
樹脂成形業者が特定技能の受入れについて、加入している監理団体に相談したところ、「決算が債務超過のままでは受入れの手続きが進められません。企業評価書を用意してください」と言われた。
債務超過の原因は、樹脂原料価格の高騰にあります。原油価格の高止まりと円安で樹脂ペレットの仕入れ値が上がり続ける一方、自動車メーカーなど大手取引先との量産契約は簡単に見直せず、価格転嫁が進みません。
このまま企業評価書を用意できなければ、今いる技能実習生・特定技能人材の継続雇用すらできなくなります。継続雇用できなければ量産ラインの人手を確保できず、人手を確保できなければ納期を守れず、売上は作れません。最悪の場合、取引先からの信用を失い、会社そのものが立ち行かなくなります。
そこに追い打ちをかけるのが、外国人材(特定技能・技能実習・育成就労)の受入れ審査です。決算内容が悪いと、「本当に受入れが続けられるのか」と不安になり、何から手をつければいいのか分からなくなります。同じ悩みを抱える樹脂成形業の経営者は、決して“あなた”だけではありません。
結論から言えば、樹脂高騰による赤字・債務超過があっても、正しい手順を踏めば特定技能・技能実習(育成就労)の受入れは十分に可能です。カギを握るのが、中小企業診断士が作成する「改善の見通しについて評価を行った書面」、いわゆる企業評価書です。
この記事はこんな方におすすめです
- 樹脂高騰で原価が上がり、赤字が続いている方
- 特定の取引先への依存度が高く、値上げ交渉が進まない方
- 債務超過で外国人材の受入れ審査が不安な方
- 企業評価書を誰に頼めばよいか分からない方
- 債務超過の理由書をどう書けばよいか迷っている方
この記事で分かること
- 樹脂成形業が原価高騰で債務超過に陥る構造的な原因
- 放置した場合に起きる3つの悪化シナリオ
- 特定技能・技能実習を受入れる3つの条件
- 企業評価書(改善の見通しについて評価を行った書面)の作り方とサンプルの考え方
- 中小企業診断士に依頼する場合の流れと注意点
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、法人支援実績150社以上・認定経営革新等支援機関として、樹脂成形業を含む製造業の経営改善と企業評価書の作成を数多く支援してきました。この記事を読めば、“あなた”の会社が今すぐ着手すべき3つの条件が具体的に分かります。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは現状をお聞かせください。
樹脂高騰で赤字化する樹脂成形業の構造と、放置したときに起きること

自動車部品や家電・医療機器向けの精密部品を手がける樹脂成形業では、原料である石化樹脂の価格が数年で大きく上昇しました。ポリプロピレンやABS樹脂などの汎用樹脂は、原油相場と為替の両方に価格が左右されます。
なぜ樹脂成形業は「原価高騰」で債務超過に陥りやすいのか
原因は樹脂価格の上昇そのものだけではありません。樹脂成形業の利益構造には、値上げが通りにくい3つの特徴があります。
| 構造的な要因 | 内容 |
|---|---|
| 特定取引先への依存 | 自動車メーカーやTier1(一次下請け)1〜2社への売上依存度が高く、価格交渉力が弱い |
| 量産価格の据え置き契約 | 年度単位・車種単位で単価が固定され、期中の原料高騰分を反映しにくい |
| 金型・設備投資の固定費負担 | 金型償却や成形機の維持費が重く、受注量が落ちても固定費は減らない |
この3つが重なると、売上は維持できていても利益が残らない「増収減益」から、やがて赤字・債務超過へ進んでしまいます。惣菜製造業や食肉加工業など他の製造業でも起きている現象ですが、樹脂成形業は取引先の交渉力がとりわけ強い業界のため、価格転嫁の遅れが一段と深刻になりやすいのが実情です。
日本銀行が毎月公表する「企業物価指数」では、石油・石炭製品や化学製品の価格が数年にわたって高止まりの水準で推移しています。樹脂ペレットの主原料であるナフサ(原油由来)の価格は為替の影響も受けるため、円安局面ではコスト増がさらに大きくなります。帝国データバンクの調査でも、原材料高騰を主因とする倒産は製造業で高い水準が続いており、「値上げが通らないまま原価だけが上がる」構造が、樹脂成形業に限らず中小製造業全体の共通課題になっています。
このまま放置すると起きる3つの悪化シナリオ
樹脂高騰への対応を先送りにすると、次のような悪化がドミノ式に進みます。
- 運転資金がさらに逼迫し、金融機関からの追加融資が受けにくくなる
- 決算内容の悪化により、特定技能・技能実習の受入れ審査で提出書類(企業評価書)を求められる
- 準備不足のまま審査期日を迎え、必要な人材の受入れ・更新が遅れる
特に3つ目は見落とされがちです。外国人技能実習機構(OTIT)が定める提出書類の別紙②-1・番号20には、債務超過や2期連続赤字の企業に「改善の見通しについて評価を行った書面」の提出が求められる項目があります。「知らなかった」では済まされないため、早めの準備が欠かせません。
樹脂原料価格の上昇は一時的な現象ではなく、構造的な変化です。「そのうち落ち着くだろう」と静観すると、対応が後手に回ります。
特に注意したいのは、赤字や債務超過が1期だけであれば大きな問題にならなくても、2期・3期と続くと、金融機関からの評価も外国人材の受入れ審査での評価も、一段と厳しくなるという点です。「今期だけ乗り切れば」という発想ではなく、構造そのものを変える視点が必要になります。
特定技能を受入れる3つの条件|企業評価書(改善の見通しについて評価を行った書面)の作り方

樹脂高騰で赤字・債務超過になっていても、次の3つの条件を満たせば、特定技能・技能実習(育成就労)の受入れは現実的な選択肢です。抽象論ではなく、実務レベルの手順で解説します。
条件1 材料費上昇分を数値で示す価格転嫁交渉
まず着手すべきは、原価計算の見える化です。「なんとなく値上げをお願いする」のではなく、樹脂原料費の上昇額を1個あたり単価にまで落とし込み、数値で交渉することが欠かせません。
管理会計で製品別の原価を把握し、値上げ幅の根拠を明確にした企業ほど、取引先との価格転嫁交渉が進みやすい傾向にあります。感覚ではなく数字で語ることが、交渉の土台になります。
具体的には、①直近1〜2年の樹脂原料費の変動を製品別に集計する、②量産開始時の見積原価と現在の実績原価を並べて差額を可視化する、③その差額のうち何割を単価に反映してほしいかを数値で提示する、という3ステップで進めます。「上がった分だけ丸ごとお願いします」ではなく、根拠となる資料を添えて交渉することで、取引先の担当者も社内稟議を通しやすくなります。中小企業庁の白書でも、価格交渉力の強化が中小製造業の収益改善に直結すると指摘されており、原価の見える化はその出発点になります。
条件2 特定取引先への売上依存度を下げる分散戦略
1〜2社への売上依存度が高いままでは、価格交渉力は上がりません。医療機器や家電など、自動車以外の業界への展開を検討し、特定取引先への依存度を段階的に下げる計画を立てることが2つ目の条件です。
新規取引先の開拓には時間がかかりますが、「依存度を下げる方向で動いている」という事実そのものが、後述する企業評価書の中で改善計画の説得力を高める材料になります。
分散戦略は一足飛びには進みません。まずは既存の成形技術(精密性・多点ゲート成形・インサート成形など)を棚卸しし、自動車以外でも活かせる分野(医療機器・家電・産業機器など)を洗い出すところから始めます。そのうえで展示会出展や既存の周辺取引先への提案営業など、費用をかけすぎない方法で新規開拓の入口を作ることが現実的な一歩です。
条件3 企業評価書(改善見通しの評価書面)で第三者の裏付けを示す
3つ目が、外国人材の受入れ審査で提出を求められる企業評価書そのものです。企業評価書とは、決算が赤字・債務超過の企業について、今後の経営が改善に向かう見通しを、社外の専門家が客観的に評価する書面を指します。正式には「改善の見通しについて評価を行った書面」と呼ばれます。
企業評価書を作成できるのは中小企業診断士または公認会計士に限られます。「企業評価書は税理士に頼めるのか」と検索される方も多いのですが、税理士は決算書の作成や税務は専門でも、改善見通しの評価書面の作成は対象外です。依頼先を誤ると審査そのものが遅れるため、注意が必要です。
企業評価書には決まった1枚のフォーマットがあるわけではありませんが、①現状の財務分析、②赤字・債務超過に至った原因、③具体的な改善計画、④改善後の見通しという構成が基本です。サンプルを探している方は、この4つの柱が入っているかをまず確認してください。樹脂成形業であれば、価格転嫁交渉の進捗や取引先分散の計画も、改善計画の重要な裏付けになります。
外国人技能実習・特定技能の企業評価書作成支援を専門家に相談すれば、債務超過の理由書に何を書けばよいかという疑問も含めて整理できます。
外国人技能実習・特定技能の企業評価書について 社長やご担当者の方へ。“あなた”は今、このようなお悩みを抱えていませんか。 外国人技能実習制度を活用したいが、企業評価書の作成方法が分からないという方 特定技能外国人の受入れにあたり、経営改善の見通しについて評価が必要だと言われた方 ...
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3つの条件を満たした先に手に入る未来

価格転嫁・取引先分散・企業評価書という3つの条件に取り組むと、単に審査を通過するだけでなく、会社の体質そのものが変わります。ここでは3つの軸で、その先にある未来を具体的に描きます。
軸1 数字:粗利率と資金繰りが読めるようになる
製品別原価が見える化されると、どの製品が赤字を生んでいるかが分かります。値上げ交渉と不採算品の見直しを組み合わせることで、粗利率の改善が数字として実感できるようになります。資金繰り表を作れば、3か月先の資金繰りも見通せるようになります。
軸2 時間:受入れ審査の準備に追われなくなる
企業評価書を早めに整えておけば、更新のたびに慌てて書類を作る必要がなくなります。総務担当者が本来の業務に時間を使えるようになり、監理団体とのやり取りもスムーズになります。「毎年この時期になると書類作成に追われる」という状態から抜け出せることは、現場にとって想像以上に大きな変化です。
軸3 関係性:金融機関・取引先・従業員との信頼
改善計画を数字で語れる会社は、金融機関からの信頼も得やすくなります。取引先分散が進めば価格交渉力も上がり、外国人材を含む従業員にとっても「先の見える会社」という安心感につながります。
| 軸 | 取り組む前 | 取り組んだ後 |
|---|---|---|
| 数字 | どの製品が赤字か分からない | 製品別の粗利が見え、値上げの根拠を語れる |
| 時間 | 審査のたびに書類作成に追われる | 企業評価書が整い、更新対応がスムーズになる |
| 関係性 | 金融機関・取引先への説明に自信が持てない | 改善計画を数字で説明でき、信頼を得やすくなる |
樹脂高騰という逆風の中でも、数字に基づいた経営改善と客観的な企業評価書があれば、資金繰り・時間・関係性という3つの安心を共に手に入れましょう。
自社だけで進める限界と、KICKコンサルティングの支援

ここまでの3つの条件は、理屈としては理解できても、自社だけで進めるには壁があります。
- 専門性の壁:企業評価書は中小企業診断士または公認会計士でなければ作成できません
- 時間コスト:製品別原価計算や改善計画の策定には、専門知識と一定の作業時間が必要です
- 判断ミスのリスク:審査に通らない企業評価書を作ってしまうと、受入れ時期そのものが遅れます
だからこそ、樹脂成形業を含む製造業の経営改善に伴走できる専門家に任せる経営者が増えています。KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、中小企業診断士・MBA(経営管理修士)・認定経営革新等支援機関として、次の支援を一気通貫で提供しています。
| 支援内容 | 具体的にできること |
|---|---|
| 財務分析・管理会計の導入 | 製品別原価の見える化、価格転嫁交渉の根拠づくり |
| 改善計画の策定 | 取引先分散・資金繰り改善を含む実行可能な計画への落とし込み |
| 企業評価書の作成 | 改善の見通しについて評価を行った書面(OTIT提出書類 別紙②-1・番号20)の作成 |
| 債務超過の理由書のサポート | 理由書に記載すべき内容の整理・チェック |
「申請サポートだけ」で終わらせず、経営改善から資金繰りまで、数字が見える構造へ転換するところまで伴走します。
相談から企業評価書の作成までの流れ
- 無料相談で、決算状況と受入れ審査のスケジュールを確認する
- 決算書・試算表をもとに、製品別原価と資金繰りの現状を分析する
- 価格転嫁交渉・取引先分散を含む改善計画を、経営者と一緒に作成する
- 改善計画にもとづき、中小企業診断士が企業評価書(改善の見通しについて評価を行った書面)を作成する
「忙しいのに儲からない」状態から抜け出すには、精神論ではなく構造そのものを変える必要があります。KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、その構造改善を最初から最後まで伴走支援します。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいても費用は一切かかりません。まずは現状の決算状況をお聞かせください。
よくある質問

Q. 企業評価書とはどのような書類ですか?
A. 決算が赤字・債務超過の企業について、今後の経営改善の見通しを社外の専門家が客観的に評価する書面です。正式名称は「改善の見通しについて評価を行った書面」で、外国人技能実習・特定技能の受入れ審査で提出を求められることがあります。
Q. 「改善の見通しについて評価を行った書面」とはどう違うのですか?
A. 同じ書類を指す正式名称です。実務では分かりやすさから「企業評価書」と呼ばれることが多く、両方の呼び方で検索されています。
Q. 企業評価書のサンプルやフォーマットは公開されていますか?
A. 決まった単一の様式はありませんが、①現状の財務分析、②赤字・債務超過に至った原因、③具体的な改善計画、④改善後の見通しという4つの柱で構成するのが一般的です。この構成を押さえたサンプルであれば、業種を問わず参考にできます。業種ごとの原因(樹脂成形業であれば原料高騰や取引先依存)を具体的に書き込むほど、審査担当者にとって説得力のある内容になります。
Q. 企業評価書の作成には費用がかかりますか?
A. 財務分析から改善計画の策定、企業評価書の作成までを一括で依頼する場合、内容や分量に応じて費用が変わります。具体的な金額は会社の状況によって異なるため、まずは無料相談で決算状況を伝えたうえで見積もりを確認することをおすすめします。
Q. 企業評価書は税理士に依頼できますか?
A. 依頼できません。企業評価書(改善の見通しについて評価を行った書面)を作成できるのは、中小企業診断士または公認会計士に限られます。決算書の作成や税務相談は税理士の専門領域ですが、改善見通しの評価は対象外です。
Q. 債務超過の理由書はどう書けばよいですか?
A. いつから債務超過になったか、主な原因(樹脂成形業であれば原料高騰や取引先依存など)、現在までに実施した対策、今後の改善計画の4点を、数字を交えて整理して書きます。感覚的な記述ではなく、根拠となる数値を添えることが重要です。
Q. 特定技能は債務超過でも受入れできますか?
A. 受入れ自体が一律に不可になるわけではありません。ただし決算が悪化している企業は、改善の見通しを客観的に示す企業評価書などの追加書類を求められることが一般的です。準備を早めに始めるほど、審査への影響を抑えられます。技能実習の新規受入れや特定技能の定期報告でも、同様に財務状況の確認が行われる場面があります。
Q. 技能実習から育成就労に移行すると、企業評価書の扱いは変わりますか?
A. 育成就労制度は2027年4月の施行が予定されており、優良な受入れ企業に求められる財務要件が明確になる見込みです。制度が変わっても、赤字・債務超過の企業に改善の見通しを示す考え方そのものは引き継がれるとみられます。
Q. 監理団体からも債務超過について確認を求められています。企業評価書で対応できますか?
A. 監理団体が受入れ企業の財務状況を確認する場面でも、企業評価書は改善の見通しを客観的に説明する材料になります。監理団体との定期報告に不安がある場合も、早めに準備しておくと安心です。
Q. 企業評価書の作成にはどのくらいの期間がかかりますか?
A. 財務資料の準備状況や改善計画の作成状況によって変わりますが、決算書・試算表など必要書類がそろっていれば、数週間程度で作成に着手できることが一般的です。審査期日から逆算して、早めに相談することをおすすめします。
Q. 樹脂成形業特有の注意点はありますか?
A. 量産価格が据え置き契約になっているケースが多く、値上げ交渉に時間がかかる点が特有の課題です。企業評価書の改善計画には、価格転嫁の進捗状況や取引先分散の取り組みを具体的に盛り込むと、説得力のある内容になります。また、金型の保有・償却状況によって固定費の重さが変わるため、金型ごとの採算を確認しておくと、改善計画の精度がさらに上がります。
まとめ
樹脂原料価格の高騰と、特定取引先への依存による価格転嫁の遅れ——この2つが重なると、樹脂成形業は増収減益から赤字・債務超過へと進みやすくなります。しかし、それは「もう外国人材を受入れられない」ということではありません。
①材料費上昇分を数値で示す価格転嫁交渉、②特定取引先への依存度を下げる分散戦略、③企業評価書による第三者の裏付け——この3つの条件に取り組むことで、特定技能・技能実習(育成就労)の受入れは十分に現実的な選択肢になります。
大切なのは、決算が悪化してから慌てるのではなく、審査の時期から逆算して早めに動き始めることです。中小企業診断士による客観的な企業評価書は、そのための強力な後ろ盾になります。
売上ではなく利益が残る構造に転換できるかどうかは、値上げ交渉や取引先分散を「思いつき」で終わらせず、企業評価書という客観的な裏付けと一緒に進められるかにかかっています。樹脂高騰という業界共通の逆風だからこそ、早く動いた会社から資金繰りの余裕を取り戻しています。
“あなた”の会社の樹脂高騰による赤字・債務超過の状況を、まずは無料相談で聞かせてください。売り込みは一切ありません。
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