
「肥料代も燃料代も、去年よりずっと高い。それでも決算は赤字のまま——外国人材の受入れ審査、本当に通るのだろうか」。施設園芸や畑作、畜産を営む農業経営者から、そんな声を聞く機会が増えています。肥料原料のほとんどを海外に依存する日本の農業にとって、円安や国際情勢の変化はそのまま仕入れコストの上昇に直結します。人手不足はもはや後回しにできない経営課題であり、特定技能(農業分野)の受入れを急ぎたいのに、赤字や債務超過が壁になっていると感じている方は、決してあなただけではありません。
「経営努力が足りないからだ」と自分を責める経営者の方もいますが、実際には為替相場や国際的な資材価格という、経営者一人の努力では動かせない要因が背景にあるケースがほとんどです。本当の敵は経営者自身ではなく、コスト高という外部環境と、それを説明できないまま孤立してしまう状況にあります。
結論から言えば、赤字・債務超過そのものが受入れを妨げるわけではありません。審査官が知りたいのは「なぜ赤字なのか」「今後どう改善するのか」という見通しです。それを客観的に示す書面が、中小企業診断士が作成する「改善見通しに関する評価書面(企業評価書)」です。この記事では、農業経営者が押さえておくべき要点を、具体的な数字と根拠に基づいて解説します。
- 肥料・燃料高騰で赤字が続く農業経営者の方
- 特定技能(農業分野)の受入れを急ぎたい方
- 債務超過で受入れ審査が不安な方
- 企業評価書を誰に頼めばいいか分からない方
- 手間をかけず専門家に任せたい方
- 肥料・燃料高騰で農業経営が赤字化する構造
- 放置した場合に起きる悪化シナリオ
- 赤字でも特定技能を受入れる4つの理由
- 企業評価書を依頼する実務の流れ
- 中小企業診断士に任せるメリット
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肥料・燃料高騰で農業経営が赤字化する構造と、放置したときに起きること

まず押さえておきたいのは、農業経営の赤字は「経営の失敗」ではなく「構造的な要因」であるケースが多いという事実です。日本は肥料の原料である尿素・リン安・塩化カリのほとんどを海外からの輸入に頼っており、国際相場や為替の変動がそのまま仕入れ価格に跳ね返ります。農林水産省も、肥料価格高騰対策事業や施設園芸等燃料価格高騰対策関係の資料で、生産資材コストの上昇が続いていることを公表しています。施設園芸で使うA重油や重油、畑作・畜産で使う軽油や灯油の価格も、仕入れ時期によっては数年前と比べて大きく上がったという声が現場から相次いでいます。
3つの外部要因が同時に重なっている
農業経営を圧迫している要因は、単純な一つではありません。次の表で整理します。
| 要因 | 経営への影響 |
|---|---|
| 肥料原料の輸入価格上昇 | 作付け前の資材コストが増え、粗利率が圧迫される |
| 燃料・電気料金の高騰 | 施設園芸のハウス暖房、乾燥調製作業のコストが増加する |
| 価格転嫁の遅れ | 販売先や市場への値上げが追いつかず、コスト増を一人で抱え込む |
中小企業庁の「中小企業白書」でも、原材料価格が上昇した企業のうち、販売価格に十分転嫁できていない企業が少なくないことが繰り返し指摘されています。農業も例外ではありません。価格転嫁が進まないまま人手不足を放置すれば、収穫期に人手が足りず出荷量そのものが落ち込み、赤字がさらに深掘りする悪循環に入ります。
帝国データバンクの調査でも、物価高や人手不足を理由とした中小企業の倒産・廃業が近年増加傾向にあることが繰り返し報じられています。農業分野は個人事業から法人まで経営規模の幅が広く、特に家族経営から法人化して間もない農業法人ほど、コスト上昇に対する資金的な余力が乏しい傾向にあります。「今期は仕方ない」と赤字を放置したまま次の作付けシーズンを迎えてしまうことが、最も避けるべき判断です。コストが上昇した局面ほど、早い段階で決算内容を専門家に見せ、原因を切り分けておくことが重要になります。
このまま何もしなければ起きること
肥料・燃料コストの上昇局面で人手不足を放置した場合、収穫・出荷のタイミングを逃し、翌期の売上がさらに落ち込む可能性があります。売上が落ちれば赤字幅は広がり、決算書の数字はさらに悪化します。その状態で特定技能の受入れ手続きに進もうとすると、在留資格の審査で「経営の継続性」を疑われ、受入れが遅れるという事態にもつながりかねません。人手不足を理由に外国人材を必要としているのに、赤字を理由に受入れが遅れる——これが最も避けたい悪循環です。
設備投資による「一時的な赤字」も見分けが必要
もう一つ見落とされがちな要因があります。それは、スマート農業機械やハウスの更新といった設備投資による一時的な赤字です。肥料・燃料コストの上昇と、将来の生産性向上を見込んだ設備投資が同じ期に重なると、決算書の数字だけでは「経営が悪化しているのか」「先行投資をしているのか」が判別しにくくなります。審査官はこの違いを決算書の数字だけから読み取ることはできません。だからこそ、外部の専門家が「これは一時的な要因による赤字であり、放置されたものではない」と客観的に説明する書面が必要になります。
逆に言えば、赤字の原因を経営者自身が言語化できないまま放置すると、たとえ実態が一時的な要因であっても、審査官には「構造的に利益が出ない経営」に見えてしまいます。赤字そのものより、赤字の理由を説明できていないことのほうが審査上のリスクになるという点は、多くの農業経営者が見落としがちなポイントです。
赤字でも農業が特定技能を受入れる4つの理由

結論として、赤字や債務超過があっても、農業分野の特定技能受入れは可能です。その根拠となるのが、中小企業診断士または公認会計士が作成する「改善見通しに関する評価書面(企業評価書)」です。これはOTIT(外国人技能実習機構)の提出書類のうち、別紙②-1・番号20に該当する書面で、赤字や債務超過の原因が一時的なものであり、今後の改善が見込まれることを客観的に説明する役割を担います。なぜ、この一枚の書面が受入れの可否を左右するほど重要なのでしょうか。理由は次の4つです。
- 赤字の原因を客観的に切り分けられるから。肥料・燃料高騰という外部要因による一時的な赤字なのか、構造的な経営不振なのかを、第三者の専門家が数字で説明します。
- 審査官の懸念を先回りして解消できるから。「このまま経営が続くのか」という不安に対し、改善計画とセットで回答を示すことで、審査の停滞を防ぎます。
- 企業評価書の作成が、経営改善そのもののきっかけになるから。財務を棚卸しする過程で、収益構造の弱点や資金繰りの課題が可視化されます。
- 2027年4月施行予定の育成就労制度への移行後も、同様の考え方の書面が求められる見通しであるから。早めに体制を整えておくことが、今後の人材確保でも有利に働きます。
企業評価書を依頼する実務の流れ
企業評価書は、決算書を渡せば翌日出てくるような単純な書類ではありません。一般的な流れは次のとおりです。
- 直近2〜3期分の決算書・試算表を用意する
- 赤字・債務超過に至った経緯を専門家にヒアリングしてもらう
- 肥料・燃料コストなど外部要因の影響を数値で整理する
- 今後の改善見通し(売上・利益・資金繰りの計画)をまとめる
- 中小企業診断士が評価書面として文書化する
この一連の作業を自己流で進めようとすると、「何を書けば審査官に伝わるのか分からない」「評価調書が手に入らない」といった壁にぶつかりがちです。企業評価書(改善見通しに関する評価書面)の作成支援を専門家に任せることで、審査官が納得しやすい構成に整えられます。
特に手順2の「経緯のヒアリング」は、企業評価書の説得力を左右する重要な工程です。単に「肥料が値上がりしたので赤字になりました」と書くだけでは、審査官の懸念は解消されません。いつ、何の価格が、どの程度上昇し、それが原価のどの部分にどう影響したのかを、決算書の勘定科目レベルまで掘り下げて説明する必要があります。中小企業診断士は、この掘り下げの作業を通じて、経営者自身も気づいていなかった収益構造の弱点を見つけ出すことも少なくありません。
また、手順4の「改善見通し」は、根拠のない楽観的な数字を並べても審査官には響きません。作付け計画の見直し、価格転嫁の交渉状況、資材の調達方法の変更など、実行可能で裏付けのある改善策を積み上げて数値化することが重要です。ここを甘く見て、実態とかけ離れた計画を提出してしまうと、翌期以降の実績との乖離が新たな信用不安を招きかねません。
なお、企業評価書はあくまで「現状の赤字理由と改善見通しを説明する書面」であり、決算内容そのものを良く見せる、あるいは事実と異なる数字を作る書類ではありません。根拠のない改善計画や、実態とかけ離れた数字を並べることは審査上のリスクにしかならない点は、依頼する側もあらかじめ理解しておく必要があります。中小企業診断士が第三者の立場から、決算数値と現場の実態の両方を確認したうえで作成することに、この書面の価値があります。
企業評価書のご相談だけでも構いません。その場での契約や、しつこい営業は一切ありません。まずは決算の状況をお聞かせください。
企業評価書を整えた先に手に入る未来

企業評価書を整え、特定技能の受入れが軌道に乗った先には、次の3つの変化が具体的に見えてきます。
1.数字の変化——収穫・出荷のロスが減る
人手不足による収穫遅れや出荷ロスが解消されれば、売上の底上げにつながります。人が足りずに収穫適期を逃していた作物を、計画どおりに出荷できるようになる意味は小さくありません。特定技能人材が加わることで作業の平準化が進み、繁忙期のピークに人手が足りず収穫を諦める、という機会損失そのものを減らせます。結果として、同じ作付け面積でも出荷できる量が増え、肥料・燃料コストの上昇分を売上の増加で吸収しやすい体質に近づきます。
2.時間の変化——経営者が現場作業から経営判断へ戻れる
人手不足のしわ寄せで経営者自身が収穫作業に追われている農業法人は少なくありません。人員体制が整うことで、経営者は本来やるべき販路開拓や資材調達の見直しといった経営判断に時間を割けるようになります。「気づけば毎日、現場作業だけで一日が終わっていた」という状態から抜け出せること自体が、中長期の経営改善スピードを左右します。
3.関係性の変化——金融機関からの信頼が回復する
改善見通しを数字で示した企業評価書は、そのまま金融機関への説明資料としても活用できます。「赤字の理由と改善策を自ら説明できる経営者」という印象は、今後の融資相談や借換えの場面でも信頼につながります。決算書の数字だけを見せるのではなく、その背景にある外部要因と対策をセットで説明できる経営者は、金融機関の担当者からも「一緒に改善に取り組める相手」として認識されやすくなります。
肥料や燃料の価格に振り回されるのではなく、外部要因と改善策を自ら言語化できる経営体質を、共に手に入れましょう。
自社だけで進める限界と、KICKコンサルティングの支援

企業評価書は、財務諸表を分析する専門知識と、審査官が重視する観点の両方を理解していないと、説得力のある内容になりません。農作業と経営管理を一人で担う農業経営者にとって、決算書を読み解きながら改善計画を数値化する作業は、大きな時間コストになります。だからこそ、専門家に任せる経営者が増えています。
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、中小企業診断士・MBA(経営管理修士)・認定経営革新等支援機関(中小企業庁)として、法人支援実績150社以上の経験を持ちます。企業評価書の作成にとどまらず、肥料・燃料コストの上昇局面でも利益が残る管理会計の仕組みづくりまで、一気通貫で伴走します。「申請サポートだけ」ではなく、決算書の数字を見える化し、改善計画を実行できる形に落とし込むことを重視しています。
特に農業法人の場合、作付け計画や出荷時期によって月ごとの資金繰りが大きく変動します。年間の決算書だけを見ていては、どの月に資金が最も苦しくなるのかが見えません。KICKコンサルティングでは、月次ベースの資金繰り予測とあわせて企業評価書を作成することで、「なぜ赤字なのか」だけでなく「いつ資金がショートするリスクがあるのか」まで見える化し、経営改善は精神論ではなく構造改善であるという姿勢で伴走します。忙しいのに儲からない状態から、利益が残る構造へ転換することが最終的なゴールです。
また、特定技能人材の受入れは、書面を一度提出して終わりではありません。受入れ後も、経営状況によっては継続的な報告や更新手続きが発生します。企業評価書の作成を機に、決算の数字を定点観測できる体制を整えておけば、翌期以降も同じ悩みを繰り返さずに済みます。単発の書類対応で終わらせず、経営体質そのものを見直すきっかけにするという視点が、結果的に一番の近道になります。
ご相談いただいても、無理な勧誘は一切ありません。費用や進め方に納得いただけない場合は、お断りいただいて構いません。
よくある質問

Q. 企業評価書とは、そもそもどんな書類ですか。
A. 特定技能や技能実習・育成就労の受入れ審査で、赤字や債務超過の企業に提出が求められる書面です。正式には「改善見通しに関する評価書面」といい、OTIT提出書類の別紙②-1・番号20に該当します。中小企業診断士または公認会計士が、経営状況を客観的に分析して作成します。
Q. 農業分野の特定技能でも、企業評価書は必要ですか。
A. 直近の決算が赤字、または債務超過の状態にある場合は、業種を問わず提出を求められる可能性があります。農業法人・農家であっても例外ではありません。
Q. 肥料や燃料の高騰による赤字でも、審査を通過できますか。
A. 赤字の原因が肥料・燃料価格の高騰という外部要因によるものであり、今後の改善見通しが具体的に示せれば、審査で不利になるとは限りません。重要なのは、赤字を放置せず、原因と対策を数字で説明できる状態にしておくことです。
Q. 企業評価書は誰に頼めばいいですか。
A. 中小企業診断士または公認会計士に依頼します。顧問税理士は対象に含まれないため、別途専門家を探す必要があります。
Q. 企業評価書が書けない、材料がないという場合はどうすればいいですか。
A. 決算書や試算表が手元にあれば、そこから赤字の原因分析を始められます。過去の担当者が退職している、資料が散逸しているといった場合でも、現存する資料の範囲から整理できることが多いため、まずは専門家に相談することをおすすめします。
Q. 依頼から書面完成までどれくらいの期間がかかりますか。
A. 決算書の内容や資料の整い方によって前後しますが、ヒアリングから文書化まで一定の期間を要します。受入れのスケジュールが決まっている場合は、早めに相談を始めることが重要です。
Q. 企業評価書だけを単発で依頼することはできますか。
A. 企業評価書のみのご相談も可能です。あわせて経営改善のご相談をいただくことも多くあります。
Q. 育成就労制度に変わっても、企業評価書のような書面は必要ですか。
A. 育成就労制度は2027年4月に施行予定です。制度移行後も、経営状況を客観的に説明する考え方の書面は引き続き求められる見通しです。早めに体制を整えておくことで、制度移行後も慌てずに対応できます。
Q. 決算書を見せるのに抵抗があります。相談だけでも可能ですか。
A. もちろん可能です。決算内容を含め、無理に開示を求めることはありません。まずは現状のお悩みをお聞かせください。
Q. 企業評価書を依頼すると、経営改善計画まで作らされるのでしょうか。
A. 企業評価書のみのご依頼も可能です。ただし、改善見通しを具体的に示すためには、簡易的な数値計画の作成が伴うことが一般的です。本格的な経営改善計画の策定まで必要かどうかは、決算内容や受入れの目的によって異なりますので、相談の中で確認しながら進められます。
Q. 複数の圃場や部門を持つ農業法人でも対応できますか。
A. 対応可能です。部門ごとに収益構造が異なる場合は、どの部門の赤字が全体に影響しているのかを切り分けて分析することで、より説得力のある企業評価書に仕上げられます。栽培品目や販売チャネルが複数にわたる法人ほど、こうした切り分けの精度が審査結果を左右します。
まとめ
肥料や燃料の価格高騰は、農業経営者一人の努力でコントロールできるものではありません。大切なのは、赤字の原因を放置せず、外部要因と改善見通しを数字で説明できる状態にしておくことです。その手段が、中小企業診断士が作成する企業評価書であり、特定技能(農業分野)の受入れを止めない最も現実的な一歩になります。
「赤字だから受入れは無理だろう」と自己判断して手続きを諦めてしまう前に、まずは決算の中身を専門家に見せてみることをおすすめします。原因を切り分けてみると、実は一時的な要因が大半だった、というケースは少なくありません。人手不足で収穫・出荷のロスが増える前に、早めの一手を打つことが、来期以降の経営を守ることにつながります。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは無料相談で、赤字の原因を一緒に整理しましょう。
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