【丸投げOK】有料老人ホームの企業評価書|特定技能を守る3つの視点

有料老人ホームが特定技能の受入れについて、出入国在留管理庁に相談したところ、「決算に債務超過が見られる状態では、受入れの審査が通りません。企業評価書がないと先に進められません」と言われた。

債務超過の原因は、介護報酬の改定に対し、電気代・食材費・人件費の値上がりが重なったことにあります。

このまま企業評価書を用意できなければ、今いる特定技能人材の継続雇用すらできなくなります。継続雇用できなければ入居者の介護体制を維持できず、体制を維持できなければ新規入居者を受け入れられず、売上は作れません。最悪の場合、施設そのものが立ち行かなくなります。

あなただけではありません。東京商工リサーチの調査では、2025年の介護事業者の倒産は176件で、2年連続で過去最多を更新しました。人手不足を主因とする倒産も29件と過去最多です。有料老人ホームで働く外国人材の受け入れを考えたとき、決算が赤字や債務超過の状態だと、特定技能の受け入れ審査で「改善の見通しについて評価を行った書面」いわゆる企業評価書の提出を求められることがあります。

この記事では、有料老人ホームが赤字・債務超過に陥りやすい構造を整理したうえで、審査を一発で通す企業評価書のサンプルと書き方、そして自社だけで抱え込まないための選択肢を、3つの視点で解説します。詳しいやり方の全貌はこの先で明かしますので、まずは自社の状況と照らし合わせながら読み進めてください。

執筆するのは、中小企業診断士・MBA(経営管理修士)であり、法人支援実績150社以上を持つKICKコンサルティング株式会社(銀座本社)代表の松本昌史です。経営改善は精神論ではなく、数字に基づく構造改善であるという立場から解説します。

この記事はこんな方におすすめです

  • 有料老人ホームで特定技能の受け入れを検討している方
  • 直近の決算が赤字・債務超過で審査が不安な方
  • 企業評価書を誰に頼めばいいか分からない方
  • 介護報酬改定と物価高騰の板挟みに悩む総務担当の方
この記事で分かること

  • 有料老人ホームが債務超過に陥りやすい3つの構造的な要因
  • 企業評価書とは何か、誰が作成できるのか
  • 企業評価書の記載イメージ(サンプル)と書き方の要点
  • 赤字・債務超過のままでも特定技能を受け入れられるかどうか
  • 自社だけで進める場合の限界と、専門家に任せる判断基準

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有料老人ホームが債務超過で企業評価書を求められる理由

特定技能「介護」を受け入れられるのは、介護付き有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)などです。住宅型有料老人ホームは対象外になるため、まず自社がどの類型かを確認する必要があります。

そのうえで問題になるのが決算の状態です。監理団体・登録支援機関の財産的基礎について、厚生労働省の資料には、直近期末に債務超過がある場合、中小企業診断士等の公的資格を持つ第三者が「改善の見通しについて評価を行った書面」を提出する旨が記載されています。これが企業評価書と呼ばれる書面です。あわせて「なぜ債務超過に至ったのか」を説明する債務超過の理由書を求められることもあります。

結論から言えば、有料老人ホームの経営が苦しくなる要因は1つではなく、3つが同時に重なりやすいという点にあります。ここでは視点①「なぜ赤字・債務超過に至るのか」という構造を、3つの要因に分けて整理します。

要因具体的な内容
視点①:報酬と物価の板挟み介護報酬改定の伸びを、電気代・食材費・人件費の上昇が上回る
視点②:稼働率と人手不足職員不足で新規入居を受けられず、収入減がさらに採用を難しくする
視点③:借入依存と金利負担開設時や運転資金の借入返済が利益を圧迫し、債務超過に転じる

要因1:介護報酬改定と物価高騰の板挟み

2024年度の介護報酬改定は全体で1.59%のプラス改定でしたが、サービスによっては基本報酬が引き下げられ、収支の改善幅はサービスごとに差があります。一方で、電気代・水道代・食材費は高止まりが続き、人件費も職員の処遇改善のために引き上げが求められます。

収入の伸びが緩やかな一方で、支出だけが先に膨らむ状態が続くと、利益率が年々目減りし、気づいたときには債務超過に近づいているケースが少なくありません。

要因2:稼働率の低下と人手不足の悪循環

職員が不足すると、居室に空きがあっても新規の入居を受け入れられません。稼働率が下がれば収入が減り、収入が減れば処遇改善や採用にかけられる原資も減るという悪循環に陥ります。

厚生労働省の推計では、2025年度時点で介護人材が全国で約32万人不足するとされています。人材確保の難しさは、有料老人ホーム一施設の努力だけでは解消しきれない構造的な課題です。

東京商工リサーチの調査でも、2025年の介護事業者の休廃業・解散は653件と過去最多を更新しました。倒産に至らなくても、経営を続けられずに事業をたたむ選択をした事業者が増えているという事実は、多くの施設が同じ壁にぶつかっていることを物語っています。

特に有料老人ホームは、24時間体制でのシフト運営が前提のため、1人の欠員が現場全体の負担に直結しやすいという特性があります。パート・アルバイトでの穴埋めには限界があり、常勤職員を安定して確保できるかどうかが経営の生命線になります。

要因3:借入依存と金利負担の増加

開設時の設備投資や、コロナ禍の運転資金として借り入れた融資の返済が重なる時期に、上の2つが同時に起きると、資金繰りは一気に厳しくなります。返済負担が利益を上回れば、貸借対照表上は債務超過に転じます。

このまま放置すると、金融機関からの新規融資が難しくなるだけでなく、特定技能や外国人技能実習(育成就労)の受け入れ審査でも、企業評価書の提出を求められる可能性が高まります。「まだ大丈夫」と先送りにするほど、選べる打ち手は少なくなっていきます。

現場でよくあるのは、決算の数字は経理担当者が把握していても、経営層がその中身を「なぜそうなったか」まで説明できていないケースです。金融機関から「今期の赤字の要因を教えてください」と聞かれ、「物価高騰の影響です」としか答えられないと、審査側には根拠のある説明として伝わりません。

もう一つの失敗例は、決算が赤字に転じた段階で対応を先送りし、債務超過まで進んでから慌てて動き出すことです。債務超過の状態が長引くほど、改善の見通しを示すための材料(過去数期の実績データや具体的な改善策)を積み上げる時間が短くなります。早い段階で自社の状況を客観視できるかどうかが、その後の選択肢の広さを左右します。

特定技能の受け入れを急ぐあまり、決算の中身を後回しにしてしまう経営者も少なくありません。しかし審査の直前になって企業評価書の必要性に気づき、慌てて専門家を探すよりも、日頃から自社の財務状況を把握し、必要になったときにすぐ動ける体制を整えておくほうが、結果的に受け入れまでの時間を短縮できます。

特定技能を受け入れる有料老人ホームの企業評価書サンプルと書き方

ここからは視点②「赤字・債務超過でも特定技能を受け入れるための書面対応」を解説します。企業評価書の作成を任せられるのは、公的資格を持つ中小企業診断士等の専門家です。税理士は税務の専門家であり、この書面の作成者としては想定されていない点に注意してください。

「外国人技能実習 企業評価書 サンプル」「特定技能 企業評価書 サンプル」といった検索で情報を探す方が多いのは、それだけ「実際どんな書面なのか」が分かりにくいからです。一般的な企業評価書には、次のような項目が並びます。

記載項目記載内容の例
企業概要施設種別(介護付き有料老人ホーム等)・事業年数・入居定員・職員数
財務状況の分析直近数期の決算の推移、債務超過に至った要因の整理
債務超過の理由介護報酬改定・物価高騰・稼働率低下など、客観的な要因の説明
改善の見通し稼働率の回復策、人件費・光熱費のコスト管理、資金繰り計画
評価者情報評価を行った専門家の氏名・保有資格・所見

ここで大切なのは、「改善の見通し」を数値目標と根拠のあるスケジュールで示すことです。抽象的な「頑張ります」という記載では、審査側に伝わりません。

企業評価書と聞くと難しく感じるかもしれませんが、必要なのは自社の状況を正確に棚卸しし、専門家の視点で裏付けを添えることです。詳しくは次のページにまとめています。

なお、「企業評価書 フォーマット」で検索すると様式そのものを探す方も多いのですが、決まった統一様式があるわけではありません。記載すべき項目を押さえたうえで、自社の実態に合わせて作成することが重要です。自己流で作成し、記載が不十分なまま提出して審査が長引くよりも、最初から専門家に相談したほうが結果的に早く進みます。

企業評価書の「改善の見通し」の部分は、特に丁寧に作り込む必要があります。例えば「稼働率を来期までに数ポイント引き上げる」という目標だけを掲げても、その裏付けがなければ説得力を持ちません。職員の採用計画、光熱費や食材費のコスト管理策、必要であれば資金繰りの見直しまで、具体策とセットで示すことで、初めて客観的な評価書面として成立します。

企業評価書と債務超過の理由書は、扱う内容が重なる部分もありますが、性質が異なります。理由書が「過去、なぜそうなったか」を説明する書面であるのに対し、企業評価書は「これから、どう改善していくか」を第三者の視点で評価する書面です。この違いを理解しないまま作成すると、審査側が知りたい情報が抜け落ちてしまいます。

自社サイトのアクセス状況を分析すると、こうした「実際どんな書面なのか」を具体的に示すページほど、多くの経営者・総務担当の方に読まれている傾向があります。抽象的な制度の説明だけでなく、記載項目を一覧で示し、実際どう埋めていくのかが見える情報が求められているということです。

有料老人ホームの場合、財務状況の分析に加えて、施設の稼働率や職員の配置状況といった介護特有の指標も、改善の見通しを裏付ける材料として盛り込むと説得力が増します。単なる決算書の数字の羅列ではなく、現場の実態と財務の数字をつなげて説明できるかが、企業評価書の質を左右します。

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介護報酬改定を乗り越え特定技能の受入れで手に入る未来

企業評価書を整え、特定技能の受け入れが実現すると、施設の景色は3つの軸で変わっていきます。

1つ目は数字です。職員体制が整い、これまで断っていた入居希望を受けられるようになれば、稼働率の改善を通じて収入が安定します。利益が残る体制に近づくことで、次の設備更新や処遇改善にも資金を回せるようになります。

2つ目は時間です。人手不足による過度な残業やシフトの穴埋めが減れば、既存の職員が本来のケアに集中できる時間が増えます。管理者自身も、目の前の欠員対応に追われる時間から、経営を考える時間へと配分を変えられます。

3つ目は関係性です。金融機関に対して、赤字・債務超過の理由と改善の見通しを客観的な書面で説明できれば、単なる「厳しい決算」ではなく「立て直しの計画がある会社」として見てもらえます。入居者やご家族に対しても、安定した職員体制は何よりの安心材料になります。

入居者・ご家族に選ばれ続ける施設であり続けるためにも、職員体制の安定は避けて通れないテーマです。特定技能の受け入れが進めば、既存の日本人職員の負担が分散され、離職の連鎖を止める効果も期待できます。人が定着する職場は、新たな人材からも選ばれやすくなるという好循環にもつながります。

数字・時間・関係性、この3つが整った状態を、共に手に入れましょう。

自社だけで進める限界と、企業評価書に強い中小企業診断士の伴走支援

自社だけで抱え込まない、専門家に任せる判断

最後の視点③「自社だけで抱え込まない、専門家に任せる判断」です。財務諸表の分析や、審査側に伝わる形での改善計画の言語化は、日々の施設運営と並行して進めるには専門性の壁があります。総務担当が独学で企業評価書の書き方を調べながら作成すると、時間だけがかかり、肝心の現場運営が手薄になりかねません。

だからこそ、企業評価書に強い中小企業診断士に任せる経営者が増えています。KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、認定経営革新等支援機関として、法人支援実績150社以上の伴走支援を行っています。代表の松本昌史は中小企業診断士・MBA(経営管理修士)であり、財務状況の分析から改善の見通しの言語化まで、企業評価書に必要な要素を一貫して担います。

介護業界に特有の事情、例えば加算の取得状況や職員配置基準といった要素も踏まえながら、財務の数字と現場の実態をつなげて説明できる点が、一般的な会計事務所とは異なる強みです。

「申請の書類だけ整えてほしい」という丸投げのご依頼にも、まずは現状把握からご一緒します。売上を追うだけでなく、管理会計を用いて利益が残る構造そのものを見える化することが、私たちの一気通貫の支援スタンスです。

具体的には、直近数期の決算書をもとにした財務状況の分析、債務超過に至った要因の整理、稼働率やコスト構造を踏まえた改善計画の言語化、そして中小企業診断士としての所見の記載までを一貫してお手伝いします。経営改善は精神論ではなく、数字の裏付けを積み上げる構造改善だと私たちは考えています。

「忙しいのに儲からない」状態から抜け出すには、まず自社の利益がどこで漏れているのかを正確につかむことが出発点です。企業評価書の作成は、その棚卸しを外部の専門家の視点で行う機会でもあります。書面の完成がゴールではなく、その先の資金繰り改善・利益改善につなげることが、私たちが大切にしている視点です。

ご相談いただいても、その場でのご契約は求めません。1社ごとに時間をかけて向き合うため、月あたりのご相談数には限りがあります。まずは現状をお聞かせください。

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企業評価書のよくある質問|特定技能・債務超過の疑問を解消

Q. 企業評価書とは何ですか?

A. 直近期末に債務超過がある企業が、監理団体・登録支援機関の財産的基礎の要件を満たすために提出する「改善の見通しについて評価を行った書面」の通称です。中小企業診断士等の公的資格を持つ第三者が作成します。

Q. 誰に依頼すればよいですか?

A. 作成できるのは中小企業診断士等です。税理士は税務の専門家であり、この書面の作成者としては想定されていません。企業評価書に対応した実績のある専門家に相談することをおすすめします。

Q. 有料老人ホームでも特定技能の受け入れに影響がありますか?

A. 影響します。介護付き有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)は特定技能「介護」の受け入れ対象施設ですが、住宅型有料老人ホームは対象外です。まず自社の類型を確認したうえで、決算状況を点検してください。

Q. 債務超過でも特定技能の受け入れはできますか?

A. 債務超過であること自体が受け入れを一律に禁止するわけではありませんが、財産的基礎の要件に関わるため、企業評価書などの書面で改善の見通しを客観的に示す必要があります。

Q. 外国人技能実習(育成就労)でも同じ書面が必要ですか?

A. はい。技能実習制度から移行する育成就労制度でも、財産的基礎に関する考え方は引き継がれる見込みです。育成就労制度は2027年4月の施行が予定されており、今のうちに決算状況を点検しておく価値があります。

Q. 企業評価書のサンプルはありますか?

A. 統一の様式は存在しませんが、企業概要・財務状況・債務超過の理由・改善の見通し・評価者情報という記載項目の骨格は共通しています。この記事のH2-2の表を参考にしてください。

Q. 依頼すると審査に必ず通りますか?

A. 企業評価書は改善の見通しを客観的に示すための書面であり、審査の結果を保証するものではありません。根拠のある改善計画を丁寧に積み上げることが、結果的に審査側の理解を得やすくします。

Q. 決算が赤字であれば必ず企業評価書が必要になりますか?

A. 単年度の赤字と、貸借対照表上の債務超過は別の概念です。企業評価書が求められるのは主に債務超過の場合ですが、赤字が続くと債務超過に近づくため、早めに決算内容を確認しておくことをおすすめします。

Q. 特定技能の定期報告でも企業評価書は関係しますか?

A. 特定技能の定期報告には財産的基礎に関する確認事項が含まれており、直近3年間に債務超過となっていないことが一つの基準とされています。この基準に該当する場合、企業評価書のような客観的な評価書面が改善の見通しを示す材料になります。

Q. 監理団体や登録支援機関の側にも影響はありますか?

A. あります。監理団体自体の財産的基礎が問われる場面もあり、受け入れ企業だけでなく監理団体側が債務超過の状態にある場合も、同様の考え方で改善の見通しを説明する書面が必要になることがあります。

Q. 相談だけでも対応してもらえますか?

A. はい。企業評価書が必要かどうかの見立てだけでもお答えしています。決算書をお持ちいただければ、その場で概算の状況を確認できます。

まとめ

有料老人ホームが赤字・債務超過に陥る背景には、介護報酬改定・稼働率低下・借入返済という3つの要因が重なっています。特定技能の受け入れを進めるには、この構造を正しく理解したうえで、企業評価書という書面で改善の見通しを客観的に示すことが欠かせません。

自己流で書き方を調べながら進めるより、財務状況の分析と改善計画の言語化を、専門家と一緒に進めるほうが結果的に近道です。丸投げしたいほど頼りたいという気持ちに、私たちは安心感で応えます。

介護報酬改定と物価高騰の板挟みは、有料老人ホーム一施設の努力だけでは解消しきれない構造的な課題です。だからこそ、決算の数字を正確に読み解き、改善の見通しを客観的に言語化できる専門家の存在が、受け入れ審査だけでなく、経営そのものの立て直しにも役立ちます。

ご相談いただいても、しつこい営業は一切ありません。お断りいただいても費用は一切かかりません。まずは現状をお聞かせください。

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