
電子部品組立工場が特定技能の受入れについて、外国人技能実習機構(OTIT)に相談したところ、「直近決算が債務超過のままでは、技能実習の受入れを続けることはできません。企業評価書を提出してください」と言われた。
債務超過の原因は、大口取引先への依存によりコストダウン要請を受け入れざるを得ないことと、円安による部材調達コストの増加にあります。
このまま企業評価書を用意できなければ、今いる技能実習生・特定技能人材の継続雇用すらできなくなります。継続雇用できなければ組立ラインを維持できず、維持できなければ新しい受注をこなせず、最悪の場合、会社そのものが立ち行かなくなります。
ちょうど10月は多くの会社で下期がスタートし、最低賃金の引き上げが人件費に直接効いてくる時期でもあります。
結論から言えば、特定の取引先への依存構造を客観的に整理し、中小企業診断士による企業評価書を用意すれば、審査を一発で通せる可能性は十分にあります。あなただけが悩んでいるわけではありません。
- 特定の取引先に依存し価格転嫁が進まない方
- 赤字・債務超過で受入れ審査が不安な方
- 企業評価書を誰に頼めばいいか分からない方
- 特定技能の定期報告で書類が心配な方
- 電子部品組立工場が債務超過に陥りやすい構造
- 企業評価書の記載イメージとサンプルの考え方
- 特定技能の受入れで手に入る未来
- 中小企業診断士に依頼する際の注意点
中小企業診断士として法人支援150社以上の実績を持つ立場から、実務に沿った企業評価書の整え方を分かりやすく解説します。読み終える頃には、自社が取るべき次の一手が見えているはずです。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは現状をお聞かせください。
\無料相談(30秒で予約)/
電子部品組立工場が債務超過で企業評価書を求められる理由

電子部品組立工場の多くは、自動車・家電・産業機械メーカーなど、特定の大口取引先1〜2社で売上の大半を占める構造になっています。この構造そのものが悪いわけではありませんが、発注元の値下げ要請が強く、原価上昇分を転嫁しにくいという弱点を抱えています。
大口依存の構造が利益を圧迫する
半導体をはじめとする電子部材の調達コストは、為替や需給の影響で変動しやすいものです。ここ数年は円安の影響も重なり、仕入れ値が上がりやすい状況が続いています。にもかかわらず、主要取引先への納入価格は据え置かれることが多く、原価上昇分をそのまま自社がかぶる構造になりがちです。
加えて、電子部品組立は人件費と設備投資という2つの固定費比率が高い業種でもあります。実装ライン・検査機器の更新には継続的な投資が必要で、労働集約的な工程では人件費の増加もそのまま利益を圧迫します。売上が伸びても利益率が薄いままという状態が続くと、数期にわたる赤字の積み重ねで貸借対照表がじわじわと悪化し、いつの間にか債務超過に達しているというケースが少なくありません。
決算書を毎期見ているはずなのに、債務超過に転じた瞬間には気づきにくいという声もよく聞きます。単年の赤字額だけでなく、純資産の推移を数期分並べて確認する習慣を持てるかどうかが、早めの対策につながる分かれ目になります。
| 項目 | 電子部品組立工場に多い状況 |
|---|---|
| 主要取引先への売上依存度 | 特定の大口取引先1〜2社で売上の大半を占めるケースが多い |
| 価格転嫁の余地 | 発注元の年次コストダウン要請が強く、転嫁の交渉力を持ちにくい |
| 部材・半導体の調達コスト | 為替や需給の影響を受けやすく、変動を読みにくい |
| 設備投資の負担 | 実装ライン更新や検査機器の入替が定期的に必要 |
| 人件費の増加 | 最低賃金の改定や人手不足で、組立工程の労務費が上がりやすい |
電子部品組立工場でよくある赤字パターン
現場でよく見られる赤字パターンは大きく3つに整理できます。1つ目は、取引先との力関係から単価改定の交渉に踏み切れず、原価上昇分を据え置いたまま数期を過ごしてしまうパターンです。2つ目は、実装ラインや検査機器の更新を借入で賄い、返済負担が利益を圧迫するパターンです。3つ目は、半導体不足の局面で先々の受注に備えて部材を積み増した結果、在庫の評価損や保管コストがかさむパターンです。
どのパターンも、経営者の判断が甘かったから起きているわけではありません。大口取引先への依存という構造上、単価交渉の主導権を握りにくいという業種特有の事情が背景にあります。だからこそ、赤字・債務超過の理由を「構造の問題」として整理し、企業評価書で説明することに意味があります。
特定技能の定期報告でも財務状況の説明を求められる
特定技能の受入れ企業には、受入れ状況に関する定期報告の義務があります。令和7年度からは年1回の報告に簡素化されましたが、その分「一定の基準」を満たしているかの確認は引き続き重要になっています。この基準には、過去3年間に債務超過となっていない法人であることが明記されており、債務超過にある企業は、通常より丁寧な財務状況の説明を求められる場面が出てきます。
技能実習(育成就労)についても同様に、監理団体・実習実施者の財産的基礎が確認される仕組みがあり、直近期末に債務超過がある場合には、公的資格を持つ第三者による評価書面の提出が実務上のハードルになります。
放置すると受入れ審査そのものが止まる
このまま何も手を打たなければ、赤字決算が続き、貸借対照表はいずれ債務超過に達します。厚生労働省の資料には、監理団体の財産的基礎について、直近期末に債務超過がある場合は「中小企業診断士、公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が改善の見通しについて評価を行った書面」の提出を求める旨が記載されています。受入れ企業側の実務でも、特定技能の定期報告や更新の場面で同様に財務状況の説明を求められる局面があり、企業評価書を用意できないまま放置すると、外国人材の受入れ計画そのものが止まってしまいます。
特定技能の企業評価書サンプルと書き方|大口依存を乗り越える4つのポイント

大口依存で赤字・債務超過に陥った電子部品組立工場が、特定技能の受入れ審査を乗り越えるために押さえたい4つのポイントを、実務の順序に沿って整理します。
ポイント1.価格転嫁ができない構造を可視化する
まず、主要取引先ごとの売上構成比と、直近数年の受注単価の推移を並べて整理します。「なぜ赤字なのか」を感覚ではなく数字で説明できる状態にすることが、企業評価書の土台になります。
- 直近3期分の取引先別売上構成比を洗い出す
- 主要品目ごとの受注単価の推移をまとめる
- 値下げ要請があった時期と金額をメモとして残す
この作業は経理担当者だけでもある程度進められますが、「どの粒度でまとめれば審査側に伝わるか」は経験がないと判断しにくい部分です。過去の値下げ要請を口頭の記憶に頼らず、見積書やメールなど残っている記録から拾い直すと、後の説明がぐっと具体的になります。
ポイント2.部材調達コストの上昇分を数値で説明する
仕入れ値の推移と、実際に転嫁できた比率を対比させます。転嫁できなかった差額が赤字・債務超過の主因であることを示せると、改善の見通しの説明にも説得力が生まれます。半導体や基板材料など、変動の大きい品目は特に金額の裏付けを残しておくことが重要です。
あわせて、最低賃金の改定など人件費の増加要因も同じ表に並べておくと、原価上昇が一過性ではなく構造的なものであることを審査側に伝えやすくなります。
ポイント3.改善の見通しについて評価を行った書面で第三者の裏付けを示す
ここまでの整理をもとに、中小企業診断士等の第三者が「改善の見通しについて評価を行った書面」=企業評価書としてまとめます。技能実習(育成就労)・特定技能のいずれでも、記載イメージの骨格は共通しています。架空の数値ではなく、自社の実データに基づく一般的な構成のサンプルは次のとおりです。
| 記載項目 | 内容の一般的なイメージ |
|---|---|
| 企業概要 | 沿革、事業内容、主要な取引先構成、従業員数など |
| 財務状況・債務超過の理由 | 直近決算の状況と、赤字・債務超過に至った背景(大口取引先への価格転嫁の遅れ、部材調達コストの上昇など) |
| 改善の見通し | 取引先分散や原価管理の見直しなど、今後の収益改善の道筋を第三者の立場から評価 |
詳しくは次のページにまとめています。
外国人技能実習・特定技能の企業評価書について 社長やご担当者の方へ。“あなた”は今、このようなお悩みを抱えていませんか。 外国人技能実習制度を活用したいが、企業評価書の作成方法が分からないという方 特定技能外国人の受入れにあたり、経営改善の見通しについて評価が必要だと言われた方 ...
ポイント4.中小企業診断士に依頼し、正しい依頼先を選ぶ
企業評価書を作成できるのは中小企業診断士または公認会計士で、税理士は作成できません。顧問税理士に相談したくなる場面ですが、決算数値の把握は税理士に、改善の見通しの評価書面は中小企業診断士にと役割を分けて依頼するのが実務上の近道です。
依頼先を選ぶときは、外国人材の受入れ制度に詳しいかどうかも確認しておきたいポイントです。財務の知識だけでなく、特定技能・技能実習(育成就労)の審査でどこが見られるかを理解している専門家であれば、記載内容の的確さが変わってきます。
その場でのご契約や、しつこい営業は一切ありません。お断りいただいても費用は一切かかりません。まずは現状をお聞かせください。
\無料相談(30秒で予約)/
特定技能の電子部品組立工場が乗り越えた先に手に入る未来

企業評価書を整え、受入れ審査を通過した先に見えてくる未来を、3つの軸で具体的に描いてみます。
数字の軸:組立ラインの稼働率が安定する
人手不足で欠員が出ていたラインに特定技能人材が加わることで、計画どおりの生産数量を維持しやすくなり、大口取引先からの追加発注にも応じられる余地が生まれます。稼働率が安定すれば、固定費に対する利益率も改善していきます。
受入れ後は、教育担当者を配置し、作業手順書を整えるなど、定着を前提とした受入れ体制づくりも合わせて進めることになります。この体制づくり自体が、属人化していた工程を見直すきっかけにもなります。特に検査工程は熟練者の勘に頼りがちですが、手順を言語化する過程で、日本人従業員にとっても分かりやすい作業の流れが整うという副次的な効果も期待できます。
時間の軸:経営者が現場対応から抜け出せる
採用と教育に追われていた時間が減り、経営者自身が価格交渉や新規取引先の開拓といった、会社の将来を決める仕事に時間を使えるようになります。人手不足の穴埋めに追われる日々から、半年、1年という単位で会社の方向性を考える時間へと変わっていきます。
関係性の軸:金融機関からの見方が変わる
企業評価書という第三者の裏付けを添えて改善計画を説明できると、金融機関との対話でも「場当たり的な会社」ではなく「見通しを持って経営している会社」として受け止められやすくなります。取引先に対しても、外国人材の受入れ体制を整えている会社として、供給の安定性を評価されやすくなります。
取引先から見ても、外国人材の受入れ体制が整い、安定してラインを動かせる会社は、長期の取引を任せやすい相手として映ります。価格交渉の場面でも、単なる値下げ圧力の受け手ではなく、供給の安定性という価値を提示できる立場に変わっていきます。
大口依存という構造的な弱みを、数字と第三者評価で乗り越えた会社だけが見える景色があります。その景色を、共に手に入れましょう。
自社だけで進める限界と、企業評価書に強い中小企業診断士の伴走支援

ここまでの内容を読んで「自社でもできそうだ」と感じた方もいるはずです。ただし、企業評価書には専門性の壁があります。
専門性の壁と時間コスト
財産的基礎の考え方や、審査側が納得する改善の見通しの書き方には一定の型があります。自己流でまとめた書面が、かえって審査側の疑問を増やしてしまうケースも見られます。本業の合間にゼロから調べて作成するのは、時間コストの面でも現実的ではありません。判断を誤って再提出になれば、受入れ計画そのものが遅れてしまいます。
だからこそ、専門家に伴走を任せる経営者が増えている
だからこそ、企業評価書に強い中小企業診断士に伴走を任せる経営者が増えています。KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)では、大口取引先への依存構造の整理から、改善の見通しについて評価を行った書面の作成、その後の受入れ計画づくりまでを一貫してご支援しています。
| 支援の段階 | 主な内容 |
|---|---|
| 現状整理 | 取引先依存度・原価構造・財務状況の棚卸し |
| 評価書の作成 | 企業評価書(改善の見通しについて評価を行った書面)の作成 |
| 受入れ後の伴走 | 定期報告のタイミングに合わせた見直しの提案 |
代表の松本昌史はMBA(経営管理修士)・中小企業診断士であり、認定経営革新等支援機関(中小企業庁)としても法人支援150社以上の実績があります。数字の整理から書面の作成まで、丸投げしたい気持ちに寄り添いながら伴走します。
経営改善の取り組みと両輪で進める
企業評価書は、単体で作成するよりも、赤字・債務超過そのものを見直す経営改善の取り組みと合わせて進めるほうが、改善の見通しに説得力が生まれます。大口取引先への依存度を下げる営業戦略や、原価管理の仕組みづくりなど、評価書に書く「見通し」の中身を一緒に固めていくイメージです。
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)では、企業評価書の作成だけでなく、その先にある資金繰りや取引先分散の相談にも対応しています。評価書を作って終わりにしないことが、受入れ後も安定した経営を続けるための鍵になります。
お断りいただいて構いません。費用は一切かかりません。まずは現状をお聞かせください。
\無料相談(30秒で予約)/
企業評価書のよくある質問|特定技能・債務超過の疑問を解消

Q. 企業評価書とは何ですか。
A. 外国人技能実習(育成就労)・特定技能の受入れにあたり、直近期末に債務超過がある企業に求められる「改善の見通しについて評価を行った書面」の通称です。OTIT(外国人技能実習機構)の提出書類でも、別紙②-1・番号20として該当する項目が定められています。
Q. 特定技能の受入れで企業評価書が必要になるのはどんな場合ですか。
A. 直近決算が債務超過にある場合が典型例です。特定技能の定期報告や更新の場面でも、財務状況の説明を求められることがあります。令和7年度からは定期報告が年1回に簡素化されましたが、財産的基礎の考え方自体は変わっていません。
Q. 外国人技能実習の企業評価書のサンプルはありますか。
A. 企業概要、財務状況・債務超過の理由、改善の見通しという3つの記載項目を軸にした一般的な構成イメージがあります。架空の記載例をそのまま使うのではなく、自社の実データに沿って組み立てる必要があります。
Q. 特定技能の企業評価書のサンプルも同じ形式ですか。
A. 記載項目の骨格は共通していますが、特定技能では定期報告や更新のタイミングに合わせた記載が必要になる点が異なります。継続的に受入れを続ける前提で、数年先を見据えた改善の見通しを書くことになります。
Q. 企業評価書は税理士に依頼できますか。
A. できません。企業評価書を作成できるのは中小企業診断士または公認会計士です。決算数値の把握は顧問税理士に、評価書面の作成は中小企業診断士にと役割を分けて依頼します。
Q. 企業評価書は中小企業診断士以外に依頼できますか。
A. 公的資格を有する第三者であれば公認会計士でも可能とされています。いずれにしても、資格の裏付けがある専門家に依頼することが前提です。
Q. 債務超過の理由書はどう書けばいいですか。
A. 赤字・債務超過に至った背景(価格転嫁の遅れ、調達コストの上昇など)を事実に基づいて整理し、企業評価書の中の「財務状況・債務超過の理由」として記載するのが一般的です。感覚的な説明ではなく、数字の裏付けを添えることが重要です。
Q. 改善の見通しについて評価を行った書面はいつまでに用意すればいいですか。
A. 受入れ申請や定期報告のスケジュールから逆算して準備します。作成には自社データの整理と第三者評価の期間が必要なため、余裕を持って早めに着手することをおすすめします。
Q. 特定技能の定期報告でも企業評価書は必要ですか。
A. 定期報告や更新の局面で財務状況の説明を求められる場合があり、その際に企業評価書が根拠資料として役立ちます。育成就労制度(2027年4月施行予定)への移行後も、同様の考え方が引き継がれる見込みです。
Q. 大口取引先への依存を解消しないと審査は通りませんか。
A. 依存構造そのものをすぐに解消できなくても、改善に向けた取り組みと見通しを示せれば評価の対象になります。取引先の分散計画や原価管理の見直しなど、実行可能な範囲の道筋を示すことが重要です。
Q. 特定技能1号と2号で企業評価書の扱いは変わりますか。
A. 財産的基礎や債務超過に関する考え方そのものは共通しています。ただし2号への移行や更新のタイミングでは、より長期の改善の見通しを求められることがあるため、複数年分のデータを整理しておくと安心です。
Q. すでに債務超過の状態でも今から相談してよいですか。
A. 問題ありません。むしろ、決算の数字が固まった直後や、受入れ申請のスケジュールが見えた段階で早めに相談するほうが、データの整理や第三者評価にかける時間を十分に確保でき、結果として無理のない改善の見通しをまとめやすくなります。
まとめ
電子部品組立工場が大口取引先へ依存し、価格転嫁できないまま赤字・債務超過に陥る構造は、決して珍しいものではありません。大切なのは、その構造を数字で可視化し、中小企業診断士による企業評価書という第三者の裏付けを添えて、特定技能の受入れ審査に臨むことです。
自己流で乗り切ろうとするほど遠回りになりがちなこのテーマだからこそ、専門家への早めの相談が、受入れ計画を止めない一番の近道になります。下期がスタートしたばかりの今なら、次の決算に向けて改善の見通しを整える時間もまだ十分に残っています。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約はありません。まずは現状をお聞かせください。
\無料相談(30秒で予約)/
関連記事
有限会社D様(群馬県藤岡市、建設業、従業員6名)は、外国人技能実習生の受け入れにあたり、「企業評価書」の提出が求められ、どこに依頼すべきか迷われていました。 企業評価書は、中小企業診断士が作成できる独占業務であり、財務状況や経営計画に関する専門的な分析が必要です。 KICKコンサルテ...
企業評価書は、中小企業診断士にしか作成できない独占業務であり、財務状況や経営計画、労務体制に関する高度な分析が求められます。 群馬県高崎市で建設業を営む株式会社E様(従業員4名)では、外国人技能実習生の受け入れにあたり、短期間での企業評価書の提出が必要となっていました。しかし、「本業で手が回ら...








コメント