
「解体工事の受注は途切れないのに、資材費と産業廃棄物処理費の高騰で決算は赤字続き。気づけば貸借対照表は債務超過——このままで特定技能の外国人材を受け入れられるのだろうか」。そんな不安を抱える解体工事業の経営者・総務担当の方は、決して少なくありません。人手不足が深刻な解体現場だからこそ、外国人材の受入れを急ぎたい一方で、「決算書を見られたら審査に落ちるのではないか」という漠然とした不安が、最初の一歩を踏み出せない理由になっているケースをよく見かけます。
こんな方におすすめ
- 産廃処理費や資材高騰で赤字が続く解体業の社長
- 債務超過で特定技能の受入れ審査が不安な総務担当
- 企業評価書を初めて依頼する経営管理の方
- 育成就労への切り替えを控え早めに準備したい方
- 何から手をつければよいか分からない社長補佐の方
結論から言えば、債務超過の解体工事業でも、中小企業診断士が作成する「企業評価書(改善見通しに関する評価書面)」を用意すれば、特定技能・育成就労の受入れ審査を通過できる道は十分にあります。ただし、審査官を納得させるには押さえるべき条件があり、準備不足のまま提出すると差し戻しや受入れの遅れにつながりかねません。
この記事で分かること
- 解体業が債務超過に陥りやすい構造的な原因
- 放置した場合に起きる採用・資金繰りのリスク
- 企業評価書を通すために満たすべき5つの条件
- 育成就労制度への切り替えで押さえるべき準備
- 中小企業診断士に相談するメリットと進め方
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解体業が債務超過に陥る構造と、放置したときに起きること

東京商工リサーチの調査によると、解体工事業の倒産は過去最多の54件(前年の53件を更新)に達しました。原因の多くは受注減少ですが、資材価格の上昇や産業廃棄物の処理費用の高騰、人手不足によって解体コストを吸収しきれなくなった小規模事業者の疲弊も背景にあると指摘されています。解体業は「売上はあるのに利益が残らない」構造に陥りやすい業種なのです。
なぜ利益が残らないのか
解体工事は現場ごとに条件が異なり、見積もり時点では想定できない廃材の混入や、アスベスト(石綿)含有建材の想定外の発見などで、実際の処理費用が膨らみやすい構造を持っています。木くず・コンクリートがら・金属くず・混合廃棄物など、品目ごとに処分単価が異なるため、分別が不十分な現場ほど「想定外の高い単価」で処理される割合が増えてしまいます。
加えて、下請け構造の中で価格転嫁の交渉力が弱く、処理費の上昇分をそのまま請負金額に反映できないケースも珍しくありません。受注は途切れていないのに、現場を終えるたびに利益が薄くなっていく——これが、解体業に多い赤字パターンです。重機の老朽化に伴う更新投資、有資格者(解体工事施工技士など)の確保のための人件費上昇も、これに拍車をかけます。
放置すると何が起きるか
債務超過を放置したまま特定技能の受入れ手続きを進めようとすると、改善見通しに関する評価書面(企業評価書)の提出を求められ、準備不足のまま出せば審査が止まる可能性があります。結果として、現場を回すはずだった人材の入国・就労開始が数か月単位で遅れ、受注していた工事の人繰りにまで影響が及ぶことがあります。
さらに深刻なのは、審査の遅延が一度きりの問題では終わらない点です。特定技能は在留期間の更新や育成就労への移行時にも財務状況の確認が行われるため、改善計画を持たないまま場当たり的に対応していると、更新のたびに同じ不安を抱え続けることになります。人手不足の解体現場で「毎回ヒヤヒヤしながら更新時期を迎える」状態は、経営者にとっても現場責任者にとっても大きな負担です。
元請け・下請け構造がリスクを増幅させる
解体業の多くは、建設会社やハウスメーカーからの下請けとして工事を請け負う構造になっています。元請けとの力関係の中で、処分費の上昇分をそのまま価格転嫁できず、自社で吸収せざるを得ない場面も少なくありません。受注件数が多いほど「忙しいのに利益が残らない」という感覚が強まりやすいのは、この構造が背景にあります。数字で構造を可視化しない限り、感覚的な忙しさと実際の採算のズレに気づきにくいという点も、解体業特有の落とし穴です。
| 状態 | 何もしない場合に起きること |
|---|---|
| 債務超過を放置 | 企業評価書の提出時に「改善見通し」を示せず審査が長期化しやすい |
| 原因分析をしない | 一時的な赤字なのか構造的な赤字なのかを審査官に説明できない |
| 改善計画がない | 特定技能・育成就労いずれも受入れの見通しが立たず現場が回らない |
大切なのは、赤字や債務超過そのものを隠すことではなく、「なぜ赤字なのか」「どう改善するのか」を客観的な数字で説明できる状態をつくることです。放置すればするほど、次の決算でも同じ説明を繰り返すことになり、金融機関や元請け企業からの信頼にも影を落としかねません。次の章で、その具体的な条件を解説します。
解体業が特定技能を受入れる5つの条件

企業評価書は、直近期末が債務超過の企業が特定技能・育成就労(旧・技能実習)の在留資格手続きで提出を求められる書類で、外国人技能実習機構(OTIT)の提出書類(別紙②-1・番号20)に該当します。作成できるのは中小企業診断士または公認会計士に限られ、税理士は対象になりません。ここでは、解体業が審査を通過するために押さえるべき5つの条件を整理します。
条件1 赤字の原因を外部要因と内部要因に切り分ける
産業廃棄物処理費の高騰、下請け構造での価格転嫁の遅れといった外部要因と、見積り精度や工程管理といった自社で改善できる内部要因を切り分けて説明できることが第一歩です。切り分けができていないと、「一時的な赤字」なのか「構造的な赤字」なのかを審査官に伝えられません。現場ごとの粗利を集計し、どの工種・どの取引先で利益が薄いのかを数字で可視化するところから始めます。
条件2 数値目標付きの改善計画を用意する
粗利率・受注残高・自己資本比率など、具体的な指標で改善の道筋を示す計画が必要です。「頑張ります」という精神論ではなく、数字で語れる計画であることが審査官の納得を引き出します。「今期は処分費を含めた見積り精度を高め、粗利率を〇ポイント改善する」といった、実行可能で検証できる目標に落とし込むことがポイントです。
条件3 有資格者による客観的な企業評価書を取得する
外国人技能実習・特定技能の企業評価書作成は、社内の担当者が自己判断で書ける書類ではありません。中小企業診断士など第三者の客観的な評価を受けることで、審査における信頼性が大きく変わります。自社だけで作成した資料は「自己評価」にとどまりますが、有資格者が関与することで初めて「第三者評価」としての意味を持ちます。
条件4 資金繰り表でキャッシュフローを裏付ける
決算書の数字だけでなく、直近から向こう12か月程度の資金繰り表を用意し、資金ショートの懸念がないことを示すことも重要です。金融機関との取引状況や借入条件の整理も、改善見通しの説得力を補強します。解体業は工事完了から入金までのサイトが長くなりやすいため、案件ごとの入出金のタイミングを整理しておくと、資金繰りの説明がぐっと具体的になります。
条件5 育成就労・特定技能に合わせた受入れ体制を整える
2027年4月に施行予定の育成就労制度への移行を見据え、教育体制やアスベスト対応を含む安全管理体制を書類に反映させることも欠かせません。制度の切り替え時期と自社の受入れ計画がずれないよう、早めの準備が求められます。現場での安全教育の記録や、指導担当者の配置状況を整理しておくと、評価書の説得力がさらに高まります。
| 条件 | 押さえるポイント |
|---|---|
| 1.原因の切り分け | 外部要因(処分費高騰等)と内部要因(見積り精度等)を分ける |
| 2.改善計画 | 粗利率・受注残高など数値目標で示す |
| 3.企業評価書 | 中小企業診断士・公認会計士による第三者評価を取得する |
| 4.資金繰り表 | 12か月程度のキャッシュフローを裏付けとして用意する |
| 5.受入れ体制 | 育成就労移行を見据えた教育・安全管理体制を整える |
企業評価書作成までの流れ
実際に企業評価書を作成する際は、おおむね次のような流れで進みます。あらかじめ流れを把握しておくことで、いつまでに何を準備すればよいかが見えやすくなります。
- 直近数期分の決算書・試算表をもとに、現状の財務状況をヒアリング
- 赤字・債務超過の原因を外部要因と内部要因に分解して整理
- 粗利率・受注残高などの数値目標を含む改善計画を策定
- 中小企業診断士が企業評価書(改善見通しに関する評価書面)を作成
- 受入れ手続きに必要な書類一式として整え、提出をサポート
このプロセスを自社だけで進めようとすると、財務分析に不慣れな担当者が手探りで対応することになり、結果として時間ばかりがかかってしまいます。早い段階で専門家を巻き込むことが、遠回りに見えて実は一番の近道になります。
「何から手をつければいいか分からない」という状態からのご相談も歓迎です。その場での契約や強引な営業は一切ありません。
企業評価書を通した先に手に入る未来

企業評価書を軸に改善見通しを整理し、特定技能・育成就労の受入れ審査を通過した先には、具体的にどのような変化が待っているのでしょうか。ここでは3つの軸で描きます。
数字の軸 利益体質への転換
赤字の原因を外部要因・内部要因に分解する過程で、見積り精度の甘さや原価管理の抜け漏れが可視化されます。管理会計を通じて「どの現場で利益が残らないのか」が数字で見えるようになり、次の工事から改善に着手できます。処分費の見積り精度が上がれば、追加費用の発生を最小限に抑えられ、粗利率そのものが底上げされていきます。
時間の軸 受入れ手続きの遅延を防ぐ
企業評価書と改善計画をあらかじめ整えておけば、審査の差し戻しによる数か月単位の遅延を避けられます。人手不足が深刻な解体現場において、計画通りに人材を確保できることは、工期遵守や受注拡大にも直結します。「人が足りず受注を断る」という機会損失を減らせることも、大きな意味を持ちます。
関係性の軸 金融機関・取引先からの信頼
改善見通しを客観的な書類として示せる企業は、金融機関との対話でも「数字で説明できる経営者」として評価されやすくなります。元請け企業からの信頼も積み上がり、次の受注や単価交渉にも良い影響を及ぼします。取引先に対しても「計画的に人材と資金を管理している会社」という印象を与えられ、長期的なパートナーシップにつながりやすくなります。この3つを共に手に入れましょう。
自社だけで進める限界と、KICKコンサルティングの支援

企業評価書は、決算書を読めれば書けるという単純な書類ではありません。改善見通しに説得力を持たせるには、財務分析の専門知識と、審査で何が問われるかという実務経験の両方が必要です。自社の担当者だけで対応しようとすると、時間ばかりかかったうえに、審査官に響く内容にならないという事態が起こりがちです。だからこそ、外部の専門家に任せる解体業の経営者が増えています。
特に解体業の場合、産業廃棄物処理費の変動幅が大きいこと、下請け構造の中で価格転嫁の交渉力に限界があることなど、業種特有の事情を理解した専門家でなければ、説得力のある改善見通しを描くのは容易ではありません。総務担当や経理担当が本業の合間に手探りで進めるには、負担が大きすぎるテーマでもあります。
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、中小企業診断士・MBA(経営管理修士)・1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)・認定経営革新等支援機関(中小企業庁)として、法人支援実績150社以上の経験を持ちます。「申請サポート」だけで終わらせず、決算書の数字を見える化し、利益が残る構造への転換まで伴走支援する点が特長です。解体業特有の産廃処理費の変動や下請け構造を踏まえたうえで、改善見通しに関する評価書面を作成します。
ヒアリングでは、直近の決算内容だけでなく、現場ごとの受注状況や処分費の内訳まで丁寧に確認したうえで、審査官に伝わる形に整理します。「数字を作る」のではなく「数字を正しく伝える」ことを重視し、架空の実績や根拠のない見通しを盛り込むことは一切ありません。
また、企業評価書の作成だけで終わらせず、管理会計の仕組みを社内に定着させることまで見据えて支援します。一度きりの書類作成で終わらせず、次の決算でも自信を持って数字を語れる体制をつくることが、私たちが最終的にめざすゴールです。解体業のように現場条件が変わりやすい業種だからこそ、継続的に数字を追える仕組みが欠かせません。
ご相談だけでも構いません。費用は一切かかりません。1社ごとに時間をかけて対応するため、ご相談枠には限りがあります。
よくある質問

Q. 企業評価書とはどのような書類ですか。
A. 外国人技能実習(育成就労)・特定技能の在留資格手続きで、直近期末が債務超過の企業に提出が求められる書類です。第三者が企業の現状・原因・改善見通しを客観的に評価するもので、外国人技能実習機構(OTIT)の提出書類にも位置付けられています。
Q. 誰に依頼すればよいですか。
A. 企業評価を行う能力を有すると認められる中小企業診断士または公認会計士に依頼します。税理士は作成者として認められていない点に注意が必要です。顧問税理士がいる場合でも、企業評価書の作成自体は別の有資格者に依頼する必要があります。
Q. 解体業は特定技能の対象になりますか。
A. 解体工事は建設分野の特定技能の対象区分に含まれます。2019年の制度開始以降、解体現場で特定技能外国人が働くケースは増えており、人手不足が深刻な業種の一つとして受入れが進んでいます。
Q. 育成就労制度はいつから始まりますか。
A. 技能実習制度に代わる育成就労制度は、2027年4月の施行が予定されています。制度移行の時期に合わせて、受入れ体制や必要書類の準備を早めに進めておくことが重要です。
Q. 債務超過でも本当に受入れ審査を通過できますか。
A. 債務超過であること自体が受入れを一律に妨げるわけではありません。原因分析と改善見通しを客観的に示せるかどうかが判断のポイントになります。何も対策をせず放置している状態が、最も審査上のリスクを高めます。
Q. 赤字と債務超過はどう違いますか。
A. 赤字は一会計期間の損益がマイナスであることを指し、損益計算書上の状態です。債務超過は貸借対照表上、負債が資産を上回っている状態で、赤字が積み重なることで生じます。単年度の赤字であっても、資本が厚ければ債務超過には至らないケースもあります。
Q. 企業評価書の作成にはどのくらいの準備期間が必要ですか。
A. 直近数期分の決算書の分析や改善計画の策定が必要なため、受入れ予定日から逆算し、早めに専門家へ相談を始めることをおすすめします。準備が遅れるほど、選べる改善策の幅が狭くなる点にも注意が必要です。
Q. まず何を準備すればよいですか。
A. 直近数期分の決算書、試算表、資金繰りの状況が分かる資料をご用意ください。産業廃棄物処理費など、原価が膨らんだ具体的な要因が分かる資料があると、原因分析がスムーズに進みます。工事台帳や見積書が手元にあれば、現場ごとの採算を確認する際にも役立ちます。
Q. 企業評価書だけ作成してもらうことはできますか。
A. 企業評価書の作成に加えて、改善計画の策定や管理会計の導入まで一気通貫で支援することが可能です。書類作成のみのご依頼についても、まずはご相談ください。会社の状況に応じて、必要な範囲を一緒に整理するところから始められます。
Q. 複数の現場を掛け持ちしていても対応してもらえますか。
A. 現場ごとの粗利や処分費の内訳が分かる資料があれば、複数現場を掛け持ちする解体業でも分析は可能です。工事ごとの採算を分けて可視化することで、改善計画の精度も高まります。
Q. 顧問税理士がいる場合、どのように役割分担すればよいですか。
A. 顧問税理士は日々の記帳や税務申告を担い、企業評価書の作成は中小企業診断士または公認会計士が担当するという役割分担が一般的です。事前に顧問税理士へ一声かけておくと、決算書の受け渡しなどがスムーズに進みます。
まとめ
解体業の債務超過は、経営者の努力不足だけが原因ではありません。産業廃棄物処理費の高騰、下請け構造での価格転嫁の遅れ、重機更新や有資格者確保に伴うコスト増など、業界特有の要因が積み重なって生じやすいものです。まずはその構造を正しく理解することが、改善への第一歩になります。
そのうえで、原因を外部要因・内部要因に切り分け、中小企業診断士による企業評価書と改善計画で「改善見通し」を客観的に示せれば、特定技能・育成就労の受入れは十分に実現できます。準備を後回しにすると審査の遅れが現場の人手不足に直結するからこそ、早めの一歩が現場を守ることにつながります。2027年4月の育成就労制度への移行も見据え、今のうちに財務体質を整理しておくことが、これからの解体業経営を安定させる土台になります。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは決算書の状況だけでもお聞かせください。
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