
型枠工事会社が特定技能の受入れについて、加入先の一般社団法人建設技能人材機構(JAC)に相談したところ、「決算が債務超過のままでは受入れの手続きが進められません。企業評価書を用意してください」と伝えられた。
債務超過の原因は、はっきりしています。型枠大工がなかなか集まらず、外注先に頼む単価だけが年々上がっていく。そのうえコンパネ(型枠用の合板)の仕入れ値も高止まりしたままで、下期に入っても利益率が改善しない。これが、JACや金融機関から指摘される「債務超過」の正体です。
問題は、原因が分かっていても、それを言語化し、一発で審査を通してくれる中小企業診断士に心当たりが無いことです。決算書をなぞるだけの説明では、審査担当者は納得しません。外注費・資材費の構造まで理解したうえで、改善の見通しを説得力のある形で書ける専門家でなければ、企業評価書は通りません。
このまま企業評価書を用意できなければ、今いる技能実習生・特定技能人材の継続雇用すらできなくなります。継続雇用できなければ新しい案件を取ることもできず、無理に取れば今度は人手が足りずさばききれません。案件をさばけなければ売上は作れず、最悪の場合、会社そのものが立ち行かなくなります。
この記事では、型枠工事会社が債務超過であっても、審査を一発で通す企業評価書を用意し特定技能の受入れを前に進めるために押さえたい4つの視点を、企業評価書の記載イメージとあわせて解説します。中小企業診断士として法人支援に携わってきた立場から、実務でつまずきやすいポイントを中心にまとめました。
この記事はこんな方におすすめです
- 型枠大工の確保に苦労している社長の方
- 決算が赤字・債務超過で受入れ審査が不安な方
- 企業評価書を初めて用意する総務担当の方
- 特定技能の受入れを検討している経営管理の方
この記事で分かること
- 型枠工事会社が赤字・債務超過に陥りやすい構造的な原因
- 企業評価書(改善の見通しについて評価を行った書面)の記載イメージ
- 特定技能・育成就労の受入れ審査で問われるポイント
- 中小企業診断士に評価書の作成を依頼するときの注意点
記事の最後では、この原因を的確に見抜き、一発で審査を通す企業評価書に強い中小企業診断士を紹介します。
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型枠工事会社が債務超過で企業評価書を求められる理由

結論から言うと、型枠工事会社の赤字・債務超過には、業界特有の3つの構造的な原因が重なっていることがほとんどです。ポイントは3つです。
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| 型枠大工の高齢化・人手不足 | 熟練した型枠大工の確保が難しく、外注先への依存度と外注単価が上がっている |
| 型枠用合板(コンパネ)の価格高止まり | 木材価格の上昇局面以降、合板の仕入れ値が下がりきらず資材費の負担が続いている |
| 元請けからの工期短縮・安全対策要請 | 短工期化による残業代の増加や、仮設・安全対策コストの負担増 |
型枠工事は、コンクリートを流し込む「型」をつくる工事です。柱・梁・床の寸法や強度は、この型の精度でほぼ決まるため、建物の品質そのものを支える専門工事といえます。図面を読み込み、現場で寸法を合わせながら組み立てる作業は、経験を積んだ型枠大工でなければ任せられません。
型枠工事は、建設業の中でも技能労働者の経験がものを言う専門工事です。国土交通省の資料でも、建設業の技能労働者の高齢化と若年層の入職者不足が繰り返し指摘されており、型枠大工も例外ではありません。若い世代からは「体力的にきつい」「屋外作業で天候に左右される」といったイメージを持たれやすく、新規入職者の確保は年々難しくなっています。
その結果、繁忙期には自社の型枠大工だけでは現場を回しきれず、外注の職人に頼らざるを得ません。外注先も同じように人手不足であるため、こちらの都合だけで単価を抑えることは難しく、外注費は右肩上がりで推移しがちです。
加えて、型枠用のコンパネ(合板)は、木材価格が大きく上昇した局面以降、高い水準のまま推移しています。日本銀行の企業物価指数を見ても、木材・木製品の価格は下がりきらず、高止まりが続いているのが実情です。型枠は転用(繰り返し使うこと)を前提とした資材ですが、価格そのものが上がっていれば、転用回数を工夫する努力だけでは吸収しきれません。
人が足りない分は外注先に頼らざるを得ませんが、外注先も同じ人手不足を抱えているため単価は上がる一方です。この3つの要因が重なると、単年度の赤字にとどまらず、貸借対照表の純資産がマイナスになる債務超過に至ることも珍しくありません。
特に型枠工事会社は、他の専門工事に比べて外注費・労務費の比率が高くなりやすい業種です。原価に占める外注費の割合が数ポイント動くだけで、営業利益がまるごと吹き飛んでしまうことも珍しくありません。
このまま放置すると、次のようなことが起きます。
- 金融機関からの追加融資が受けにくくなる
- 特定技能・育成就労の受入れ審査で追加書類を求められる
- 型枠大工不足がさらに深刻化し、受注機会そのものを逃す
実は、特定技能1号の建設分野には「型枠施工」という業務区分が明確に設けられており、型枠工事会社は本来、外国人材の受入れに最も適した業種のひとつです。
手続きの所管も整理しておきます。技能実習であれば外国人技能実習機構(OTIT)、特定技能であれば出入国在留管理庁が、それぞれ在留資格に関する手続き全体を所管しています。建設分野はこれに加えて、国土交通省の枠組みにより、受入企業が一般社団法人建設技能人材機構(JAC)へ加入することも必須とされています。技能評価の場面では、一般財団法人国際建設技能振興機構(FITS)という組織が関わることもあります。
ただし、厚生労働省の資料には、監理団体の財産的基礎について、直近期末に債務超過がある場合は「中小企業診断士、公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が改善の見通しについて評価を行った書面」の提出を求める旨が記載されています。特定技能の受入れ企業側でも、決算内容によって同様の考え方で追加の説明を求められる場面があります。
とはいえ、これは型枠工事会社だけが特別なわけではありません。同じ建設業でも、鉄筋工事・とび土工工事など、技能労働者への依存度が高い専門工事ほど同じ構造の悩みを抱えています。型枠工事会社に固有なのは、コンパネという消耗資材の価格変動が原価に直接効いてくる点です。
要するに、型枠大工不足と資材高騰という現場の実感が、決算書の数字を通じて受入れ審査にそのまま跳ね返ってくる構造になっているということです。
企業評価書の基本を先に押さえたい方へ
企業評価書が必要になる条件、作成できる専門家、混同されやすい「評価調書」との違いを、中小企業診断士が1本の記事にまとめています。
型枠工事会社の企業評価書サンプル|特定技能を受入れる4つの視点

債務超過の状態であっても、正しい手順を踏めば特定技能・育成就労の受入れは可能です。ここでは、型枠工事会社が企業評価書を準備するときに押さえておきたい4つの視点を、実務の手順に沿って解説します。
視点1.型枠大工の人手不足という原因を数字と事実で言語化する
まず取り組みたいのが、赤字・債務超過に至った理由を「型枠大工が足りないから」で終わらせず、外注比率の推移や1人あたりの施工面積、外注単価の変化など、社内にある数字で裏付けることです。
感覚的な説明だけでは、金融機関にも審査担当者にも伝わりません。過去2〜3期分の外注費・労務費の推移を並べるだけでも、原因の説明力は大きく変わります。
あわせて、自社の型枠大工の年齢構成や、直近の採用活動の状況(求人への応募数、面接から採用に至った人数など)も記録しておくと、「人手不足が一時的なものではなく構造的な課題である」ことを示す材料になります。
視点2.コンパネ(型枠用合板)価格の高止まりを財務データで裏付ける
次に、資材費の負担が利益率にどう影響しているかを、原価率の推移として示します。型枠用合板は消耗品であり、転用回数を重ねるほど1回あたりのコストは下がりますが、価格そのものが高止まりしていれば、転用回数を増やす努力だけでは吸収しきれません。
「資材費が上がった」という説明ではなく、原価率が何ポイント悪化したかを示せると、改善の見通しに説得力が生まれます。
合板の仕入れ先を見直す、転用回数を管理して廃棄のタイミングを最適化するなど、現場でできる工夫と、その工夫でどこまで原価率を戻せる見込みかをセットで示せると、単なる言い訳ではなく「改善の見通し」として受け止めてもらいやすくなります。
視点3.中小企業診断士に依頼し、特定技能・育成就労の受入れ準備を並行して進める
企業評価書を作成できるのは、中小企業診断士または公認会計士です。税理士は決算書の作成や税務の専門家ですが、改善の見通しについて評価を行う書面の作成者としては想定されていません。「顧問税理士に相談すればよい」と考えて時間を使ってしまうケースもあるため、早い段階で作成できる専門家を確認しておくことが大切です。
中小企業診断士であれば、財務の分析だけでなく、外注費・資材費の構造分析から改善計画づくりまで一貫して伴走できます。特定技能・育成就労の申請スケジュールと並行して評価書の準備を進められるため、受入れ時期が後ろ倒しになりにくくなります。
特定技能1号の建設分野は「型枠施工」を含む複数の業務区分に分かれており、受入れの手続きも複数の関係機関とのやり取りが発生します。企業評価書の準備だけを後回しにすると、他の手続きが整っているのに受入れ時期だけがずれ込む、という事態になりかねません。早い段階で専門家に相談し、全体のスケジュールを一本化しておくことが大切です。
視点4.企業評価書(改善の見通しについて評価を行った書面)の記載イメージをつかむ
初めて企業評価書を用意する経営者ほど、「何をどこまで書けばよいのか」が分からず不安になります。一般的な記載項目のイメージは、次のとおりです(架空の数値・記載例ではなく、構成項目名の一覧です)。
| 記載項目 | 内容の目安 |
|---|---|
| 企業概要 | 事業内容、施工体制、外国人材の受入れ体制など |
| 財務状況・債務超過に至った理由 | 外注費・資材費の高騰など、赤字・債務超過の背景となった要因の分析 |
| 改善の見通し | 原価管理・生産性向上・資金繰りなど、今後の改善計画と実現可能性の評価 |
この一覧のとおり、企業評価書は決算書の数字を並べるだけの書面ではなく、原因の分析と今後の改善計画をセットで示す書面です。だからこそ、財務分析に慣れた中小企業診断士による客観的な評価が求められます。
特に「改善の見通し」の部分は、根拠のない期待値ではなく、外注費の圧縮計画や、合板の転用管理の見直しなど、現場の実態に即した内容であることが重視されます。この部分の説得力が、審査を通過できるかどうかを左右すると言っても過言ではありません。
企業評価書の作成支援については、次のページで詳しくまとめています。
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型枠大工不足を乗り越え特定技能の受入れで手に入る未来

企業評価書を整え、特定技能・育成就労の受入れが軌道に乗ると、現場は数字・時間・関係性の3つの面で変わっていきます。
数字:外注に頼らざるを得なかった型枠工程の一部を自社の受入れ人材でまかなえるようになり、外注費の比率が下がります。1現場あたりの粗利が積み上がりやすくなり、赤字体質からの脱却が現実的な目標になります。
時間:採用活動に費やしていた時間が減り、経営者自身が原価管理や工程管理に使える時間が増えます。「人を探す」から「人を育てる」に時間の使い方が変わることが、生産性向上の起点になります。
関係性:改善の見通しを数字で示せたことで、金融機関との対話がしやすくなり、元請けからも「先を見て経営している会社」として信頼を得やすくなります。特定技能・育成就労の受入れ実績自体が、次の受注につながることもあります。
受入れが軌道に乗った型枠工事会社では、若手の外国人材が数年かけて型枠大工としての技術を身につけ、将来的には現場のリーダー候補になっていくケースも見られます。人手不足を一時的に埋める発想ではなく、数年先の施工体制を一緒につくっていく発想に切り替わることも、大きな変化のひとつです。
型枠大工不足という現場の悩みを、外国人材の受入れという前向きな一手に変え、数字・時間・関係性のすべてが整った経営体制を共に手に入れましょう。
自社だけで進める限界と、企業評価書に強い中小企業診断士の伴走支援

ここまで読んでいただいて、「自社の決算書だけでは、原因の分析も改善計画づくりも難しい」と感じた方もいるのではないでしょうか。それは自然なことです。
企業評価書は、中小企業診断士または公認会計士という公的資格を持つ第三者にしか作成できない書面です。社内で似たような資料を作っても、審査で求められている「客観的な評価」の要件を満たせないことがあります。
加えて、外注費・資材費の分析から改善計画の作成まで、通常業務と並行して自社だけで仕上げるには相応の時間がかかります。特定技能・育成就労の申請スケジュールに間に合わせようとして、内容が浅いまま提出してしまうと、審査でかえって時間を取られる恐れもあります。
だからこそ、専門性の壁・時間のコスト・判断ミスのリスクを踏まえ、企業評価書の作成を中小企業診断士に任せる経営者が増えています。
外注費・資材費の構造まで理解しないまま作成された書面では、審査でかえって説明を求められることもあります。企業評価が拒否されないように、要点を理解している中小企業診断士を紹介します。
KICKコンサルティング株式会社は、中小企業診断士である代表が、法人支援実績150社以上、認定経営革新等支援機関(中小企業庁)としての知見をもとに、型枠工事会社をはじめとする建設業の財務分析と企業評価書の作成を支援しています。外注費・資材費の構造分析から、改善の見通しの言語化、特定技能・育成就労の申請スケジュールとのすり合わせまで、伴走してご支援します。
決算書を一度お預かりし、外注費・資材費の構造や利益率の推移を確認したうえで、企業評価書としてどこまで具体的な改善の見通しを描けそうかを、事前にすり合わせることも可能です。「そもそも自社に評価書が必要な状態なのか」という段階からのご相談も歓迎しています。
企業評価書をまとめて確認したい方へ
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型枠工事会社の企業評価書のよくある質問|特定技能・債務超過の疑問を解消

Q. 企業評価書とは何ですか。
A. 外国人技能実習(育成就労)・特定技能の受入れにあたり、監理団体や受入れ企業が債務超過などの状態にある場合に提出を求められる「改善の見通しについて評価を行った書面」の通称です。技能実習では外国人技能実習機構(OTIT)、特定技能では出入国在留管理庁が手続き全体を所管しており、中小企業診断士または公認会計士が第三者の立場で評価します。なお、外国人技能実習機構は令和9年4月から外国人育成就労機構へ改組される予定です。
Q. 型枠工事会社でも企業評価書を用意できますか。
A. 可能です。外注費・資材費の分析や、改善計画の考え方は業種ごとに異なりますが、型枠工事会社に特有の構造(型枠大工の外注比率、合板の価格変動など)を踏まえて評価書を作成できます。
Q. 特定技能の企業評価書のサンプルはありますか。
A. 具体的な記載例は会社ごとに異なるため一律には示せませんが、一般的な記載項目は「企業概要」「財務状況・債務超過の理由」「改善の見通し」の3つに大きく分かれます。詳しい記載イメージは本文の表で解説しています。
Q. 外国人技能実習の企業評価書と、特定技能の企業評価書は同じものですか。
A. 求められる場面や名称に細かな違いはありますが、いずれも「改善の見通しについて評価を行った書面」という考え方に基づく点は共通しています。「改善報告書」など類似した名称の書類と混同されることもありますが、書式や位置づけの異同は本記事の範囲では確認できておらず、制度ごとの位置づけは専門家に確認しながら整理することをおすすめします。
Q. 企業評価書は顧問税理士に頼めますか。
A. 改善の見通しについて評価を行う書面の作成者としては、中小企業診断士または公認会計士が想定されています。税理士は決算書の作成や税務の専門家であり、この書面の作成者には含まれていない点に注意が必要です。在留資格の申請取次や申請サポートを担う行政書士も、企業評価書そのものの作成者ではない点は同様です。
Q. 企業評価書を中小企業診断士に依頼するメリットは何ですか。
A. 財務分析の専門性に加え、外注費・資材費といった原価構造の分析から改善計画づくりまで一貫して相談できる点です。決算書の数字だけでなく、現場の実情を踏まえた説得力のある評価書に仕上げやすくなります。
Q. 育成就労でも企業評価書は必要になりますか。
A. 出入国在留管理庁の資料によると、育成就労制度は令和9年4月1日からの運用開始が予定されており、これにあわせて外国人技能実習機構も外国人育成就労機構へ改組される見込みです。細部の運用は今後明らかになる部分もありますが、監理支援機関の財産的基礎の考え方は技能実習制度の枠組みを引き継ぐとされています。債務超過の状態であれば、同様の書面が求められる可能性を想定して準備しておくと安心です。
Q. 企業評価書の準備には、どのくらいの期間がかかりますか。
A. 決算内容の分析の深さや、改善計画の詰め方によって前後しますが、決算書一式をお預かりしてから初回のご報告までは、一般的な財務分析と同程度の期間を見込んでいただくと安心です。特定技能・育成就労の申請スケジュールが決まっている場合は、逆算して早めにご相談いただくことをおすすめします。
Q. 債務超過の理由書と企業評価書は何が違いますか。
A. 債務超過に至った理由を自社で説明する書類を「理由書」と呼ぶことがありますが、企業評価書は中小企業診断士や公認会計士といった第三者が客観的に評価する書面である点が大きく異なります。
Q. 型枠大工不足の解消に、企業評価書はどう役立ちますか。
A. 企業評価書そのものが型枠大工を増やすわけではありませんが、債務超過の状態でも特定技能・育成就労の受入れ審査を前に進める手段になります。受入れが実現すれば、型枠大工不足という根本課題の解消に近づきます。
まとめ
型枠大工の人手不足と、コンパネ(型枠用合板)の価格高止まり。この2つが重なって赤字・債務超過に陥っている型枠工事会社は、決して少なくありません。
大切なのは、その原因を数字で言語化し、中小企業診断士による客観的な企業評価書として示すことです。それができれば、債務超過という状態のままでも、特定技能・育成就労の受入れという前向きな選択肢が現実的になります。
型枠大工不足という現場の悩みを一人で抱え込まず、まずは現状をお聞かせください。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。費用は一切かかりません。
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