
足場架設・とび工事会社が特定技能の受入れについて、加入している一般社団法人建設技能人材機構(JAC)に相談したところ、「労災保険料の負担で決算が厳しいのは分かりますが、債務超過のままでは受入れの審査を進められません。企業評価書を用意してください」と言われた。
債務超過の原因は、労災保険料の負担増ととび職人の高齢化にあります。高所作業を担う労災保険料率の重さに加え、熟練職人の高齢化で採用コストがかさみ、決算を圧迫しています。
このまま企業評価書を用意できなければ、今いる技能実習生・特定技能人材の継続雇用すらできなくなります。継続雇用できなければ高所作業をこなす人手を確保できず、人手が足りなければ新しい現場を受けられず、最悪の場合、会社そのものが立ち行かなくなります。
- とび職人の高齢化で現場が回らない方
- 労災保険料の負担増で利益が残らない方
- 決算が赤字・債務超過で受入れ審査が不安な方
- 企業評価書を誰に頼めばいいか分からない方
結論から言えば、赤字・債務超過があっても、特定技能・技能実習(育成就労)の受入れは十分に可能です。ただし、そのためには入管・OTITが求める「改善の見通しについて評価を行った書面(企業評価書)」を、正しい手順で用意する必要があります。何もせず決算だけを提出すれば、受入れ審査は厳しい目で見られてしまいます。
この記事では、足場工事・とび工事会社が労災保険料の負担増や職人不足で赤字・債務超過に陥る本質原因を整理したうえで、中小企業診断士が作成する企業評価書によって審査を一発で通す実務手順を解説します。KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、法人支援実績150社以上の中小企業診断士が、決算数値の分析から改善計画づくりまで一気通貫で伴走する体制を整えています。
- 足場工事業が赤字・債務超過に陥る3つの構造的原因
- 企業評価書(改善の見通しについて評価を行った書面)の中身
- 受入れ審査を通過するための3つの条件
- 中小企業診断士に依頼するメリットと費用の考え方
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足場工事業が赤字・債務超過に陥る構造と、放置したときに起きること

足場架設・とび工事会社の決算が悪化する理由は、単なる「売上不足」ではありません。労働災害リスクの高さと職人不足という、この業種特有の構造にあります。
とび・足場工事は、墜落・転落による労働災害が発生しやすい作業です。労災保険には「メリット制」という仕組みがあり、労働災害の発生実績に応じて保険料率が上下します。安全対策を強化しても、一定の災害が避けられない現場では、保険料負担がじわじわと利益を圧迫します。
利益を圧迫する3つの原因
| 原因 | 内容 |
|---|---|
| 労災保険料の負担増 | メリット制により、災害発生実績が保険料率に反映され続ける |
| とび職人の高齢化・人手不足 | 若手が定着せず、外注・応援単価が上昇し原価を圧迫する |
| 足場材(鋼管・くさび等)の価格変動 | 資材価格が上下し、見積時点の想定利益が確保しにくい |
このまま何も手を打たなければ、次のような悪化シナリオが現実味を帯びます。職人が確保できず受注を断らざるを得なくなり、売上が減る一方で固定費(保険料・車両・機材リース)は変わらず、赤字が続き、やがて自己資本を食いつぶして債務超過に至るという流れです。
決算が赤字・債務超過のまま外国人材の受入れを申請すると、入管・OTITの審査担当者は「事業の継続性」に疑問を持ちます。何の説明もなければ、不許可・追加資料要求のリスクが高まります。
大切なのは、「なぜ赤字・債務超過になったのか」「今後どう改善していくのか」を、第三者の専門家が客観的に説明することです。それが企業評価書の役割です。
特に足場架設・とび工事は、他の建設職種と比べても現場ごとに条件が異なります。高さ・工期・作業内容によって必要な人員も変わるため、決算数値だけを見ても、なぜ赤字になったのかが伝わりにくいという事情もあります。だからこそ、業種の実態を踏まえた説明が欠かせません。
なぜ足場工事業は特にこの構造から抜け出しにくいのか
足場架設・とび工事は、他の建設職種と比べて一人親方や少人数の会社が多いという特徴があります。10人未満の会社では、職人1人の離職や病気・怪我が、そのまま現場の稼働率を直撃します。応援を頼めば頼むほど、外部委託費がかさみ、粗利が薄くなっていきます。
さらに、若年層の建設離れは全国的な傾向です。帝国データバンクなどの調査でも、建設業は毎年、人手不足を訴える企業の割合が全業種の中でも高い水準で推移していると報告されています。足場・とびの職種は、その中でも「高所」「危険」というイメージから、特に若手の応募が集まりにくい現場です。
この結果、既存の職人に負荷が集中し、労災リスクがさらに高まるという悪循環に陥りやすくなります。労災保険料の負担増は、この悪循環の結果であって、原因の一部にすぎません。経営者が向き合うべきは、保険料そのものではなく、この構造全体です。
加えて、足場材(鋼管・くさび緊結式部材等)は鋼材市況の影響を受けやすく、価格が変動しやすい資材です。見積り時点の想定原価と、実際に現場で使う時点の調達価格がずれると、想定していた粗利がそのまま目減りします。日本銀行が公表する企業物価指数でも、鋼材関連品目の価格は年によって振れ幅が大きいことが確認できます。「見積り通りに進めたはずなのに利益が残らない」という感覚は、この価格変動が原因であることが少なくありません。
放置した場合の悪化シナリオ
| 時期 | 起きうる状態 |
|---|---|
| 今期 | 職人不足により受注できる現場数が頭打ちになる |
| 来期 | 応援単価・保険料負担が増え、粗利率がさらに低下する |
| 再来期以降 | 自己資本を取り崩し続け、債務超過が定着する |
このシナリオは、決して大げさな話ではありません。「忙しいのに儲からない」状態が数年続くと、赤字と債務超過は静かに、しかし確実に定着します。売上ではなく、利益と資本の構造そのものに手を打つ必要があります。
企業評価書で受入れ審査を通す3つの条件(作成の手順)

企業評価書とは、外国人技能実習機構(OTIT)が求める提出書類(別紙②-1・番号20)にあたる「改善の見通しについて評価を行った書面」のことです。決算が赤字・債務超過であっても、次の3つの条件を満たす評価書があれば、受入れ審査を通過できる可能性は十分にあります。
条件1:赤字・債務超過の原因を客観的に説明する
労災保険料の増加、職人単価の上昇、資材価格の変動など、赤字・債務超過に至った具体的な理由を財務データに基づいて説明します。感覚的な説明ではなく、決算書・試算表の数値と結び付けて整理することが重要です。
条件2:改善計画を数値で示す
「安全対策の徹底でメリット制の保険料率を下げる」「若手職人の定着で外注単価を抑える」など、具体的な改善策を、売上・利益の見通し数値とセットで提示します。抽象的な「頑張ります」では審査担当者を納得させられません。
条件3:中小企業診断士など適切な専門家が評価する
この評価書を作成できるのは、中小企業診断士または公認会計士です。税理士は税務の専門家であり、経営改善の見通しを評価する資格要件を満たしません。「誰に頼めばいいか分からない」という悩みは、この資格要件を知らないことが原因であるケースが多く見られます。
特に足場工事業のように、労災保険料や外注比率といった業種特有の数字が経営を左右する会社では、財務分析の専門知識を持つ中小企業診断士が評価することで、審査担当者への説得力が大きく変わります。自己流の説明書と、専門家による評価書とでは、受け取られ方がまったく異なります。
改善計画に盛り込むべき数値項目の例
| 項目 | 見るべきポイント |
|---|---|
| 労災保険料率の推移 | メリット制の適用状況と、安全対策による改善見込み |
| 外注費・応援費の比率 | 自社職人の採用・定着でどこまで下げられるか |
| 粗利率の推移 | 資材価格の変動を踏まえた、実現可能な目標水準 |
| 受注残高・工事進行状況 | 今後の売上見通しを裏付ける具体的な根拠 |
これらの数値を決算書・試算表から拾い上げ、改善の道筋とセットで示すことが、審査担当者に「事業継続性がある」と認識してもらう近道になります。
- 決算書・試算表をもとに赤字・債務超過の原因を分析する
- 労災保険料や職人採用コストなど、業種特有の要因を整理する
- 改善計画を数値目標とともに設計する
- 中小企業診断士が評価書としてまとめ、提出用に整える
企業評価書の作成そのものを丸投げすることはできませんが、資料の整理から改善計画の設計まで、企業評価書作成サポートを専門家に伴走してもらうことで、初めての方でも迷わず準備を進められます。
「何から手をつければいいか分からない」という段階で構いません。決算書と、労災保険料の通知書・職人の雇用状況が分かる資料をお持ちいただければ、現状の整理から一緒に進めていくことができます。
お断りいただいても、費用は一切かかりません。まずは決算書をお見せいただくだけで、赤字・債務超過の原因整理の方向性をお伝えできます。
企業評価書を整えたあとに手に入る未来

企業評価書を整え、受入れ審査を通過した先にある変化を、3つの軸で具体的に描きます。
軸1:人手(現場を回せる体制)
特定技能・技能実習(育成就労)の外国人材を受入れることで、高所作業を担う人手を安定的に確保できます。「職人が足りず受注を断る」状態から抜け出せます。応援職人への依存度が下がれば、外注費の変動に一喜一憂する経営からも距離を置けます。
軸2:時間(社長が現場に出なくて済む)
受入れ体制が整うことで、社長自らが応援職人を探し回る時間が減ります。経営者本来の仕事である資金繰りや営業活動に時間を割けるようになります。日々の人繰りに追われていた時間を、次の受注獲得や現場の安全管理の質を高める時間に振り向けられます。
軸3:関係性(金融機関・取引先からの信頼)
改善計画を数値で示した企業評価書は、金融機関への説明資料としても活用できます。「赤字の理由と改善の道筋を説明できる会社」という信頼を積み重ねられます。元請け企業に対しても、安定した職人体制を示せることは、次の受注につながる安心材料になります。
| 軸 | 受入れ後に起きる変化 |
|---|---|
| 人手 | 高所作業を担う人員が安定し、受注を断らずに済む |
| 時間 | 人繰りに追われる時間が減り、経営に集中できる |
| 関係性 | 金融機関・元請けからの信頼が積み上がる |
「職人が足りず現場が止まる不安」「決算が悪く相談先すら分からない不安」——そうした状態から抜け出し、安定した現場体制と、金融機関・取引先からの信頼を共に手に入れましょう。
自社だけで進める限界と、KICKコンサルティングの支援

企業評価書の作成には、財務分析の専門知識と、入管・OTITが求める書式・論理構成の理解が欠かせません。自社だけで作成しようとすると、次のような壁にぶつかります。
決算書を読み込み、赤字・債務超過の原因を財務的に説明する作業は、経理担当者だけでは荷が重いのが実情です。誤った自己流の評価書は、かえって審査担当者の疑念を招きかねません。
専門性の壁に加えて、日々の現場管理や職人の手配に追われる中で、評価書作成に十分な時間を割ける社長・総務担当は多くありません。「決算書は税理士に任せているが、改善の見通しまでは相談していなかった」というケースも珍しくありません。だからこそ、中小企業診断士に評価書作成を任せる経営者が増えています。
また、審査担当者にとって説得力のある評価書には、財務分析の型があります。赤字・債務超過の原因、改善策、数値目標という流れを、決算書の実数値と矛盾なくつなげる作業は、経営改善支援の実務経験がなければ難しいものです。判断を誤れば、せっかく用意した書面が「根拠が弱い」と受け取られ、再提出を求められることもあります。
自己流の評価書で起きやすい失敗パターン
| 失敗パターン | 審査担当者にどう見えるか |
|---|---|
| 赤字の理由が「業界全体が厳しいから」で終わっている | 自社固有の原因分析ができていないと判断される |
| 改善計画に数値目標がない | 実行可能性が乏しく、口約束に見える |
| 決算書の数値と説明内容が食い違っている | 資料全体の信頼性が疑われる |
これらは、専門家の目を通さずに社内だけで書面を用意した場合に起きやすい失敗です。第三者である中小企業診断士が関わることで、こうした食い違いを事前に防げます。
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、代表・松本昌史(MBA・中小企業診断士・認定経営革新等支援機関)のもと、法人支援実績150社以上の伴走型コンサルティングを行っています。決算書の分析から改善計画の設計、企業評価書の作成まで、外国人材受入れを目指す建設業の社長に寄り添った支援を提供しています。
数字を見える化し、利益が残る構造へ転換することは、企業評価書の作成だけにとどまりません。労災保険料の負担、外注比率、資材価格の変動といった業種特有の数字を継続的に管理会計で捉え直すことで、外国人材の受入れ後も安定した経営を続けられる体制づくりを支援します。
- 決算書・試算表をもとにした赤字・債務超過の原因分析
- 労災保険料や職人採用コストを踏まえた改善計画の設計
- 中小企業診断士による企業評価書の作成
- 金融機関対応も見据えた資料としての活用アドバイス
建設業は地域による商習慣や、元請け・下請けの関係性も評価書の説得力に影響します。KICKコンサルティングは、そうした業界特有の事情も踏まえたうえで、決算数値と現場の実態が食い違わない評価書づくりを支援しています。
その場でのご契約や、しつこい営業は一切ありません。お断りいただいても構いません。まずは決算の現状をお聞かせください。
よくある質問

Q. 企業評価書とは何ですか?
A. 外国人技能実習機構(OTIT)が求める提出書類(別紙②-1・番号20)にあたる「改善の見通しについて評価を行った書面」の通称です。決算が赤字・債務超過の企業が、受入れ審査時に提出を求められます。単なる決算報告ではなく、赤字・債務超過に至った原因分析と、今後の改善見通しをセットで示す書面である点が特徴です。
Q. 足場工事業(とび職)はなぜ債務超過になりやすいのですか?
A. 労災保険のメリット制による保険料負担、職人の高齢化・人手不足による外注単価の上昇、足場材の価格変動という3つの要因が重なりやすく、他の建設職種と比べても収益が不安定になりやすい傾向があります。一人親方や少人数体制の会社が多いことも、赤字が積み重なりやすい要因の一つです。
Q. 企業評価書のサンプルやフォーマットはありますか?
A. OTIT側に統一の様式は公表されていませんが、記載すべき項目(財務状況・赤字の原因・改善計画)は共通しています。中小企業診断士に依頼すれば、自社の決算内容に合わせた形式で作成してもらえます。ひな形をそのまま流用するより、自社の数値に基づいた内容の方が審査担当者に伝わりやすくなります。
Q. 企業評価書は税理士に依頼できますか?
A. できません。改善の見通しに関する評価は、中小企業診断士または公認会計士が担う業務です。税理士は税務申告・税務相談の専門家であり、この評価書の作成要件を満たしません。
Q. 特定技能の受入れで債務超過だと必ず不許可になりますか?
A. いいえ。債務超過そのものが即不許可につながるわけではありません。原因と改善の見通しを客観的に説明できれば、受入れが認められるケースは多くあります。逆に、何の説明も準備せずに申請すると、追加資料の提出を求められ、受入れ時期が後ろ倒しになることがあります。
Q. 改善の見通しについて評価を行った書面とは企業評価書と同じですか?
A. 同じものを指します。「改善の見通しについて評価を行った書面」がOTITの正式名称で、「企業評価書」は現場で使われる通称です。検索する際は、どちらの呼び方でも同じ書類にたどり着きます。
Q. 企業評価書の作成にはどのくらいの期間がかかりますか?
A. 決算書・試算表の準備状況にもよりますが、資料が整っていればおおむね数週間程度で作成できます。受入れ時期から逆算し、早めに相談を始めることをおすすめします。人手不足が深刻な現場ほど、余裕を持ったスケジュールで動くことが安心につながります。
Q. 技能実習生を受け入れている場合も企業評価書は必要ですか?
A. 必要です。技能実習・特定技能・育成就労のいずれの制度でも、決算が赤字・債務超過の場合は同様の評価書面の提出が求められます。
Q. 労災保険のメリット制度とは何ですか?
A. 労働災害の発生実績(給付実績)に応じて、労災保険料率を一定の範囲で増減させる制度です。災害が続くと保険料率が上がり、固定費負担が増える要因になります。逆に、安全対策を積み重ねて災害発生を抑えれば、数年単位で保険料率が改善する可能性もあります。改善計画に安全対策を盛り込む意味は、この点にもあります。
Q. 特定技能の定期報告でも企業評価書は必要ですか?
A. 定期報告の時点で決算が赤字・債務超過に転じた場合、更新のタイミングで改めて評価書面の提出を求められることがあります。受入れ時だけでなく、定期報告のタイミングでも決算状況の変化には注意が必要です。
Q. 企業評価書を依頼する際、どんな資料を準備すればいいですか?
A. 直近2〜3期分の決算書・試算表があれば相談を始められます。労災保険料の推移や職人の雇用状況が分かる資料があると、原因分析がより具体的になります。
まとめ
足場架設・とび工事会社の赤字・債務超過は、「売上が足りない」からではなく、労災保険料の負担増・職人不足・資材価格の変動という業種特有の構造から生まれています。この本質を理解せずに決算だけを提出すれば、受入れ審査は厳しくなる一方です。
中小企業診断士による企業評価書は、この構造を客観的に説明し、改善の道筋を数値で示す手段です。正しい手順を踏めば、赤字・債務超過があっても受入れ審査を通過できる可能性は十分にあります。まずは決算の現状を、専門家と一緒に整理することから始めてみませんか。
「忙しいのに儲からない」状態は、精神論や根性では変わりません。労災保険料・職人採用コスト・資材価格という3つの数字に向き合い、構造そのものを見直すことが、外国人材の受入れと、利益が残る経営の両方につながります。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約はなく、お断りいただいても費用は一切かかりません。
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