
中間決算の数字は、もう手元にあります。しかし、その数字を顧問先への具体的な提案に変えられないまま、下期に突入してしまう——そんな心当たりはないでしょうか。
公認会計士事務所の先生方は、月次の関与を通じて顧問先の数字の変化に、誰よりも早く気づける立場にあります。数字を把握していることと、それを経営改善の提案に変えられることは、まったく別の話です。専門性と時間の壁の前で、提案はどうしても後回しになりがちです。
先生おひとりの問題ではありません。監査・税務の専門性を磨いてきた分だけ、経営改善の実務にまで手を広げる余力は限られます。忙しさが顧問先の課題を先送りにする空気を事務所全体に作り、気づけば顧問先の下期も、去年と同じまま終わってしまう——そうした事務所は少なくありません。
上期がすでに9割方終わっているこの時期は、下期の対策を練るのに、決して早すぎるタイミングではありません。むしろ、数字が固まった今だからこそ、具体的な打ち手を描けます。
- 中間決算の数字は出したが、下期の提案までは手が回らない方
- 顧問先の経営改善に踏み込みたいが、ノウハウに自信がない方
- 経営コンサルティングを広げたいが、事務所にマンパワーがない方
結論から言えば、中間決算で確定した上期の数字を、認定経営革新等支援機関との連携によって下期の経営改善提案に転換するという選択肢があります。具体的な進め方は、この記事の中で順番に説明します。
- 会計士事務所が中間決算の数字を提案に活かせない構造的な理由
- 提案を先送りした顧問先に、下期に起きること
- 早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)の仕組みと流れ
- 連携によって事務所と顧問先の双方が得られる変化
- 自所だけで抱えず、認定支援機関と役割分担する考え方
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。連携や契約の義務はありません。顧問先との関係はそのまま維持されます。税務・監査は貴所、経営改善はKICKという役割分担です。
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なぜ中間決算の数字を、下期の経営改善提案に活かせないのか

上期の着地が見えるこの時期、顧問先の数字は先生の手元に集まっています。ここから先、「数字を出す」から「数字を使って提案する」へ進めない事務所には、共通の壁があります。
3つの壁を整理する
壁は1つではなく、次の3つが重なって提案を止めています。
| 壁 | 具体的な内容 |
|---|---|
| ノウハウの壁 | 損益分岐点分析・資金繰り計画など、経営改善提案に必要な管理会計の型を体系的に学ぶ機会が少ない |
| 時間の壁 | 中間決算の集計・監査対応・税務相談だけで工数の多くを使い、提案書の作成まで手が回らない |
| 立場の壁 | 顧問先から見ると「数字を計算してくれる先生」であり、「改善を一緒に考えてくれる先生」という認識にまだ変わっていない |
とりわけ立場の壁は根が深い問題です。顧問先の経営者は、決算書の数字を「事務所から渡される報告」として受け取っているだけで、そこから先の一手を先生に相談していいと思っていないことが少なくありません。
ノウハウの壁も軽視できません。損益分岐点分析や資金繰り計画は、知識として知っていることと、顧問先ごとの数字に当てはめて実際に使いこなすことの間に大きな差があります。体系立てて運用するには、相応の実務経験が必要です。日々の税務・監査業務の傍らで、この経験を一から積み上げるのは現実的ではありません。
巡回監査があっても、提案までは踏み込みにくい
毎月の巡回監査や記帳代行で顧問先の数字に触れている事務所でも、状況は同じです。巡回監査はあくまで数字の正確性を確認する業務であり、その先の経営改善提案とは、求められる専門性も時間の使い方も異なります。数字を見ている頻度と、改善提案ができるかどうかは、別の軸にある問題です。
顧問先も、気づいていても言い出せない
顧問先の経営者の側にも事情があります。上期の数字に不安を感じていても、「先生に相談すると余計な費用がかかるのでは」「税務以外の相談は場違いなのでは」と遠慮し、言い出せずにいるケースが多いのです。
結果として、先生も顧問先も、お互いに「相手から言い出すのを待っている」状態のまま、下期に入ってしまいます。
このまま何もしなければ、何が起きるか

中間決算の数字を提案に活かせないまま下期を迎えると、顧問先と事務所の双方に、じわじわとした悪化が広がります。
顧問先の経営は、下期にしわ寄せが来る
上期の課題が放置されたまま下期に入ると、資金繰りの悪化・原価率の上昇・人件費の増加が積み重なり、年度末の着地が上期以上に厳しくなることが多くあります。
金融機関との関係にも影響します。決算のたびに数字が悪化していく顧問先は、金融機関から見て「対策を打てていない先」と映りやすく、次の融資判断で慎重な扱いを受けかねません。
悪化は静かに、しかし確実に進む
資金繰りの悪化は、ある日突然起きるわけではありません。上期に見えていた小さな粗利率の低下が、下期には仕入価格の上昇や人件費の増加と重なり、気づいたときには年度末の資金繰り表に赤字の月が並ぶ——という進み方をします。早い段階で手を打てば小さく済んだはずの対策が、時間が経つほど大掛かりにならざるを得なくなります。
社会保険料の改定も、下期の負担に重なる
9月は多くの企業にとって上期末であると同時に、社会保険料が算定基礎の結果に応じて改定され、10月納付分から反映される時期でもあります。人件費の負担が下期に向けて自動的に増える顧問先も多く、原価や粗利率の課題を放置したままだと、この負担増がそのまま資金繰りを圧迫する形で重なってきます。
事務所の経営にも跳ね返る
顧問先の経営が傾けば、いずれ顧問報酬の支払いにも影響します。長年にわたって積み上げてきたストック収入である顧問報酬は、顧問先の経営が立ち行かなくなれば維持できません。
さらに、経営改善の相談に応えられない事務所は、顧問先から「税務の相談窓口」以上の役割を期待されなくなります。事務所の評判は、顧問先同士の紹介の輪の中で静かに広がっていくものです。何もしなければ、その評判が事務所の成長の機会そのものを狭めていきます。
早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)という選択肢

この状況を変えるのが、早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)です。認定経営革新等支援機関の支援を受けて早期経営改善計画を策定する場合、専門家費用の3分の2を国が補助する制度です。
金融支援(リスケジュール等)を前提としない点が大きな特徴です。業績悪化がまだ顕在化していない、兆しの段階から着手できます。中間決算で数字が見えた今は、まさに着手に適したタイミングと言えます。
この制度は、認定経営革新等支援機関の関与が前提となっています。先生おひとり、あるいは事務所単体では活用できず、認定支援機関との連携があって初めて成立する仕組みです。
支援の流れと、KICKが担う管理会計の実務
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、認定経営革新等支援機関として、損益分岐点分析・資金繰り計画といった管理会計の手法を用いて、現状分析から計画策定、金融機関対応までを実務レベルで主導します。現状分析では、財務・非財務の特色を見える化するローカルベンチマークを対話型で用い、顧問先の経営者自身が数字の背景に腹落ちできるところから始めます。
計画策定後は、最初の決算時から3年間、決算期を含め年最低2回のモニタリングと協議会への報告を行い、事業者自身がPDCAサイクルを回して自走できる体制づくりまで伴走します。単に計画を作って終わりにするのではなく、内部管理体制や経営の透明性を高めるガバナンス整備までを視野に入れているのが、この制度の目的です。
2025年4月1日以降に支払申請が行われた案件からは、伴走支援完了まで補助金の半分を協議会が預かる「2分の1留保」も廃止されました。事務所としても、以前より提案しやすい環境になっています。
金融機関との関係を、後ろ向きではなく前向きに保てる
この制度は金融支援を前提としないため、計画書の提出は「リスケの相談」という後ろ向きな話にはなりません。むしろ、計画書の提出をきっかけに、資金繰りの状況や課題、今後の見通しを金融機関と共有し、目線を合わせて信頼関係を築く機会になります。早い段階からの相談は、金融機関にとっても好印象につながります。
経営改善計画書は、こういう構成になる
「経営改善計画書」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、実際の構成はシンプルです。一般的には、次の3つの要素で組み立てます。
| 構成 | 記載する内容の例 |
|---|---|
| 現状分析 | ローカルベンチマーク等を用いた財務・非財務両面の現状把握、業績が悪化した背景の整理 |
| 数値計画 | 損益分岐点分析を踏まえた売上・利益・資金繰りの見通し |
| アクションプラン | 原価改善・経費見直し・営業体制強化など、実行する打ち手と実施時期 |
抽象的な「頑張ります」の計画ではなく、数字の裏付けと実行スケジュールがあるからこそ、顧問先自身が納得して動けますし、金融機関にも説明できる資料になります。
早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)の詳細は、次のページにまとめています。
中小企業診断士 · 認定経営革新等支援機関 資金繰りの不安、 悪化する前に手を打てていますか。 「何とかなっている」うちに動くことが、経営改善の鉄則です。 KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、国の補助制度を活用した早期経営改善計画(バリューアップ支援事業)の策...
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先生の事務所が手に入れる未来

連携によって変わるのは、制度の活用実績だけではありません。事務所の日常そのものが変わっていきます。
目に見える変化――面談の雰囲気
決算の報告だけで終わっていた面談が、「次の一手をどうするか」を一緒に考える場に変わります。顧問先の経営者の表情も、数字を突きつけられる緊張から、次の打ち手を相談する前向きなものへと変わっていきます。
面談の時間そのものも変わります。過去の数字を説明する時間が減り、未来の数字をどう作るかを話す時間が増えていきます。顧問先の経営者にとって、これは決算報告以上の価値を感じられる時間になります。
通帳と時間の変化――顧問料の安定と業務のゆとり
経営改善が進み顧問先の業績が安定すれば、既存の顧問報酬というストック収入を、これまで以上に安定して確保できるようになります。計画策定・金融機関対応の実務はKICKが主導するため、先生や事務所スタッフの実務負担は最小限で済みます。
周囲からの変化――顧問先・金融機関・職員からの評価
経営改善の成果が出れば、顧問先からの信頼は一段と厚くなり、紹介が生まれやすくなります。金融機関からも「経営改善に伴走できる事務所」として一目置かれるようになり、職員にとっても「税務だけでなく経営に関われる事務所」であることが働きがいにつながります。
損益分岐点分析をもとに顧問先と数字を一緒に眺める面談は、税務の報告とは違う手応えを先生自身にも与えます。「先生に相談してよかった」という言葉を、これまでより多くの顧問先から受け取れるようになります。
この未来は、特別な事務所だけのものではありません。中間決算の数字という、すでに先生の手元にある材料を、正しい形にするだけで届く未来です。先生と顧問先の双方で、この未来を共に手に入れましょう。
自所だけで抱える限界と、認定支援機関との連携

ここまで読んで、「理屈は分かるが、自所だけで計画策定から金融機関対応まで担うのは現実的ではない」と感じた先生も多いはずです。その感覚は正しいものです。
専門性の壁と時間コスト
経営改善計画の策定には、管理会計・資金繰り計画・金融機関対応といった、税務・監査の専門性とは異なる知見が求められます。ゼロから体制を整えるには、相応の時間とコストがかかります。だからこそ、認定経営革新等支援機関の中小企業診断士と連携する事務所が増えています。
KICKコンサルティング株式会社の支援内容
KICKコンサルティング株式会社は、認定経営革新等支援機関として、法人支援実績150社以上の実務経験を持ちます。代表の松本昌史は、MBA(経営管理修士)・中小企業診断士・事業承継士・1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)に加え、金融検定協会「中小企業事業再生マネージャー」の認定を持ち、財務改善と金融機関対応の両面から支援します。
全国オンライン対応のため、来社の手間もかかりません。会計士事務所と顧問先の距離を問わず、同じ体制で経営改善計画の策定から金融機関対応まで伴走します。
会計士だからこそ活きる強み
監査業務で培った内部統制やガバナンスの視点は、経営改善計画の策定後に求められる自走の体制づくりと相性が良いものです。数値計画の妥当性を見極める目、内部管理体制を整える視点は、公認会計士の先生方が日常業務の中ですでに持っているものです。KICKが計画策定・金融機関対応の実務を担い、先生がその視点を橋渡しすることで、顧問先にとって説得力のある経営改善が実現します。
費用については、事務所や顧問先の状況によって異なるため、詳細はサービスページにてご確認ください。
士業連携(提携)の詳細は、次のページにまとめています。
顧問先の「相談」に、十分に応えられていますか? 士業事務所(税理士・公認会計士、行政書士)の先生方へ。“あなた”は今、このような場面に心当たりはありませんか? ✓ ソフトウェアの登場により 新たな顧客獲得が難しく、売上じり貧... ✓ 「補助金」の相談を受けたもの...
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。連携や契約の義務はありません。顧問先との関係はそのまま維持されます。税務・監査は貴所、経営改善はKICKという役割分担です。
よくある質問

Q. 連携すると、顧問先を奪われることはありませんか
A. ありません。税務・監査は貴所が担い、経営改善計画の策定と金融機関対応をKICKが担うという役割分担です。連携や契約の義務もなく、顧問先との関係はそのまま維持されます。
Q. 事務所側の実務負担はどの程度ですか
A. 計画策定・モニタリング・金融機関対応の実務はKICKが主導するため、先生や事務所スタッフの負担は最小限です。先生には、顧問先への橋渡しと、日々の税務・監査業務で得た気づきの共有をお願いしています。
Q. バリューアップ支援事業と405事業はどう違いますか
A. 主な違いは次のとおりです。
| 項目 | バリューアップ支援事業(本記事の対象) | 405事業 |
|---|---|---|
| 金融支援 | 前提としない | 金融支援(リスケ等)が前提 |
| 計画書の規模 | 簡易な内容(資金繰り・アクションプラン等) | 本格的な経営改善計画(詳細な財務計画を含む) |
| 補助上限 | 計画策定50万円+伴走30万円(3分の2補助) | 上限300万円(3分の2補助) |
| 着手のタイミング | 早め(兆候が出た段階) | 悪化が顕在化してから |
Q. どのような顧問先が対象になりますか
A. 業種を問わず、上期の数字に資金繰りや収益性の課題が見え始めた顧問先が対象です。まだ深刻な状態でなくても、早い段階からの相談が可能です。
Q. 中間決算をしていない顧問先でも相談できますか
A. 相談可能です。中間決算は課題に気づくきっかけの一つに過ぎません。試算表や資金繰り表の数字からでも、現状分析は始められます。
Q. モニタリングはどのくらいの頻度で行われますか
A. 計画策定後、最初の決算時から3年間、決算期を含め年最低2回のモニタリングと協議会への報告を行います。この頻度と報告の仕組みは、KICKが主導して運用します。
Q. 顧問先への切り出し方が分からない場合はどうすればいいですか
A. 「中間決算の数字を踏まえて、下期の対策を一緒に考える専門家がいる」という一言から始めれば十分です。具体的な切り出し方についても、ご相談の中でお伝えしています。
Q. 3月決算以外の顧問先にも使えますか
A. 使えます。中間決算の時期は決算月によって変わりますが、制度自体は決算月を問わず活用できます。顧問先ごとの決算スケジュールに合わせてご相談いただけます。
Q. 顧問先が経営改善に消極的な場合はどうすればよいですか
A. 無理に説得する必要はありません。まずは中間決算の数字を材料に、現状を一緒に眺める場を設けるところから始めれば十分です。金融支援を前提としない制度なので、「まだ大丈夫」と感じている顧問先にも切り出しやすい話題です。
Q. 費用はどのくらいかかりますか
A. 具体的な費用は事務所・顧問先の状況によって異なるため、詳細はサービスページにてご確認ください。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。連携や契約の義務はありません。顧問先との関係はそのまま維持されます。税務・監査は貴所、経営改善はKICKという役割分担です。ご相談枠は1事務所ごとに時間をかけてお話を伺うため、月あたりお受けできる数には限りがあります。
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まとめ

中間決算の数字は、すでに先生の手元にあります。足りないのは、その数字を下期の一手に変える体制です。
早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)と認定経営革新等支援機関との連携は、その体制を、事務所の実務負担を増やさずに整える選択肢です。税務・監査は貴所、経営改善はKICKという役割分担のもとで、顧問先の下期を、そして事務所の未来を、共につくっていくことができます。
上期の数字をただ報告して終わらせるか、下期の一手に変えるかは、この時期の小さな一歩で決まります。中間決算の数字がそろっている今こそ、その一歩を踏み出す好機です。







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