
顧問先の社長から、こんな相談を受けたことはありませんか。「銀行融資を追加で頼みたいが、この決算内容で通るだろうか」。決算作業で数字が固まったころには、資金繰りはすでに厳しくなっている。そんな場面は、税理士事務所・公認会計士事務所の現場で決して珍しくありません。
銀行融資と金融機関対応は、顧問先の存続を左右する重いテーマです。しかし税務の締め切りに追われるなかで、事業計画づくりや資金繰りの相談まで手が回らない先生方は多いはずです。
あなたはこのような悩みはありませんか?
- 顧問先の資金繰りが悪化し、銀行融資の相談に自信を持って応じられない
- 金融機関対応や事業計画づくりまで、税務の合間に対応する時間がない
- 経営改善まで踏み込みたいが、ノウハウとマンパワーが足りない
これは先生おひとりの問題ではありません。多くの会計事務所が同じ壁に直面しています。本当の敵は、課題を先送りにする風土と、付加価値を生まないままの現状維持です。
結論から言えば、早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)を認定支援機関と連携して活用することが、最小の負担で顧問先の資金繰りと事務所の付加価値を同時に高める近道です。その具体的な進め方は、この記事で銀行融資を支える5つの注意点として順に解説します。
この記事で分かること
- 銀行融資を支えるために会計事務所が押さえたい5つの注意点
- 金融機関が事業計画のどこを見て融資を判断するのか
- 税務の負担を増やさずに顧問先の資金繰りを改善する連携の形
執筆は、認定経営革新等支援機関であり法人支援実績150社以上を持つKICKコンサルティング株式会社(銀座本社)代表・松本昌史(中小企業診断士)が担当します。金融機関対応の実務を数多く支えてきた立場から、先生方の負担を増やさない現実的な方法をお伝えします。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。連携や契約の義務はありません。顧問先との関係はそのまま維持されます。税務は貴所、経営改善はKICKという役割分担です。
銀行融資の相談は決算後では間に合わないという現実

ひとつ目の注意点は、銀行融資の支援を決算後から始めないことです。資金繰りの悪化は、決算書ができる前から兆候として数字に表れています。
理由は明快です。金融機関対応は、時間をかけて信頼関係を築くほど有利になるからです。資金繰りが行き詰まってからの駆け込み相談では、金融機関も慎重にならざるを得ません。
決算を待つほど選択肢は狭まる
決算が固まってから動くと、打てる手はすでに限られています。売上の落ち込みや利益率の低下は、月次試算表や資金繰り表の段階で見えているものです。
たとえば惣菜製造工場や水産加工会社では、原材料費の高騰が利益をじわじわ削ります。建設業の型枠工事会社や鉄筋施工会社では、工事代金の入金遅れが資金繰りを一気に圧迫します。
こうした兆候を早くつかめば、銀行融資の相談も「悪化する前の前向きな資金調達」として進められます。決算後では、同じ相談が「悪化してからの後ろ向きな資金繰り相談」に変わってしまいます。
金融機関の立場に立てば、この差は決定的です。業績が下り坂に入る前に相談に来る経営者は、自社の数字を把握し、先を読んで動ける社長だと映ります。反対に、資金がショート寸前になってから駆け込む相談は、管理体制への不安を金融機関に抱かせます。銀行融資の可否は、数字そのものだけでなく、こうした経営姿勢の印象にも左右されるのです。
資金繰り悪化のサインを税務データから読む
会計事務所には、顧問先の数字がリアルタイムに集まります。これは金融機関を持たない他の支援者にはない、大きな強みです。
| 早期に表れるサイン | 放置したときのリスク |
|---|---|
| 売上総利益率の継続的な低下 | 運転資金の不足が慢性化する |
| 売掛金の回収サイト長期化 | 黒字でも資金がショートする |
| 借入依存度の上昇 | 追加の銀行融資が受けにくくなる |
これらは、決算を待たずに月次でつかめる数字です。サインを早く共有できれば、顧問先も落ち着いて手を打てます。
早く動くほど金融機関対応は有利になる
要するに、銀行融資を支える第一歩は「早さ」です。兆候が出た段階で事業計画づくりに着手すれば、金融機関との対話にも余裕が生まれます。
決算後に慌てて動くのではなく、数字の変化を予兆として捉える。この姿勢が、顧問先の資金繰りを守る土台になります。
金融機関が本当に見るのは決算書ではなく事業計画

ふたつ目の注意点は、金融機関が見ているのは過去の決算書だけではない、という理解です。金融機関が本当に知りたいのは、これから返済できるかどうか、その裏付けとなる事業計画です。
理由は、融資は将来への投資だからです。過去の数字は判断材料の一部にすぎず、将来の返済原資を示す計画がなければ、金融機関は前に進めません。
過去の数字だけでは融資判断は動かない
赤字や債務超過があっても、それだけで銀行融資が止まるわけではありません。金融機関が懸念するのは、赤字の理由と、そこから抜け出す道筋が示されないことです。
金属プレス加工会社やプラスチック射出成形会社のように、設備投資が先行して一時的に赤字となる業種もあります。理由と回復シナリオを事業計画で示せれば、金融機関の見方は大きく変わります。
事業計画が金融機関との共通言語になる
事業計画は、顧問先と金融機関をつなぐ共通言語です。数字の根拠、アクションプラン、資金繰りの見通しがそろえば、金融機関対応は交渉ではなく対話に近づきます。
| 金融機関が決算書で見る点 | 金融機関が事業計画で見る点 |
|---|---|
| 現在の財務状況と返済能力 | 将来の返済原資が生まれる根拠 |
| 過去の業績の推移 | 課題を解決する具体的な行動 |
| 借入と自己資本のバランス | 経営者が計画を実行しきる本気度 |
決算書は現在地を、事業計画は行き先を示します。両方がそろって初めて、金融機関は安心して銀行融資を判断できます。
ここで会計事務所の役割が生きてきます。決算書という現在地を最も正確に語れるのは、日々その顧問先の数字を見ている先生方だからです。事業計画づくりに先生の知見が加われば、計画の数字は絵に描いた餅ではなく、実態に裏打ちされたものになります。金融機関は、その一貫性を必ず見ています。
計画書の提出をきっかけに目線を合わせる
大切なのは、事業計画を金融機関に一度提出して終わりにしないことです。計画書の提出をきっかけに、資金繰り・課題・将来展望を共有し、目線を合わせていく姿勢が信頼を育てます。
つまり、金融機関対応は書類の提出作業ではなく、継続的な関係づくりです。事業計画はそのための入口になります。
数字の見える化なき資金繰り支援は長続きしない

みっつ目の注意点は、数字を顧問先自身が理解できる形に見える化することです。見える化のない資金繰り支援は、その場しのぎで終わり、長続きしません。
理由は、経営者が腹落ちしていない計画は実行されないからです。金融機関対応も、社長自身の言葉で語れなければ説得力を持ちません。
損益分岐点を顧問先と共有する
まず押さえたいのが損益分岐点です。あといくら売上を上げれば黒字になるのか、固定費をどこまで抑えれば資金繰りが回るのか。この一点が見えるだけで、社長の行動は具体的に変わります。
介護業の有料老人ホームやデイサービス運営会社、外食業の居酒屋チェーンなど、固定費の重い業種ほど、損益分岐点の共有は効果を発揮します。数字が言葉になれば、金融機関への説明も明快になります。
ローカルベンチマークで現状を対話的に見える化する
財務と非財務の特色を見える化するツールに、中小企業庁が示すローカルベンチマークがあります。対話型で現状分析を行うことで、経営者が腹落ちした事業計画をつくりやすくなります。
数字を一方的に説明するのではなく、社長と一緒に対話しながら課題をあぶり出す。この過程そのものが、顧問先との関係を深めます。
たとえば溶接・機械加工会社であれば、受注は伸びているのに手元資金が増えないという悩みは珍しくありません。ローカルベンチマークで在庫や売掛金の動きを可視化すると、資金が滞留している場所が見えてきます。社長がその原因を自分の言葉で理解できれば、銀行融資の相談でも「なぜ資金が必要か」を筋道立てて説明でき、金融機関対応の質が一段上がります。
自走できる体制づくりが最終目的
要するに、見える化の目的は計画をつくること自体ではありません。事業者自身がPDCAサイクルを回し、自走できる体制を整えることが最終目的です。
内部管理体制や経営の透明性、ガバナンス体制の整備も、この自走に向けた大切な支援です。数字が見える会社は、金融機関からの信頼も自然と高まっていきます。
そして見える化は、先生方の日々の業務とも相性が良い取り組みです。月次の試算表や決算のデータは、そのまま損益分岐点やローカルベンチマークの土台になります。すでに手元にある数字を、顧問先が動ける形に翻訳するだけで、資金繰り支援は一段と実践的になり、銀行融資の場面でも力を発揮します。
金融機関対応を顧問先任せにしない仕組みづくり

よっつ目の注意点は、金融機関対応を顧問先任せにしないことです。社長ひとりに銀行融資の交渉を委ねると、計画の意図が正しく伝わらず、せっかくの支援が空回りします。
そこで活用したいのが、早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)です。認定経営革新等支援機関の関与を前提に、事業計画づくりと金融機関対応を専門家が支える公的な枠組みです。
早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)とは
この事業は、経営に大きな問題が顕在化する前の早い段階で、簡易な経営改善計画を策定して自走を促す制度です。金融支援(リスケジュール等)を前提とせず、資金繰りや将来展望を金融機関と共有し、信頼関係を築くことを狙いとします。
ポイントは、この制度が単なる計画づくりで終わらない設計になっていることです。計画策定のあとに伴走支援が続き、経営者自身がPDCAサイクルを構築して自走できる体制を整えることまでを目的としています。金融機関との関係も、計画書の提出をきっかけに資金繰りや課題を共有し、目線を合わせて信頼を積み上げていく流れです。
認定経営革新等支援機関の支援を受けて早期経営改善計画を策定する場合、専門家費用の3分の2を国が補助します。制度の枠組みは次の表のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 専門家費用の3分の2 |
| 補助上限 | 計画策定50万円+伴走支援30万円=80万円(追加オプションを加え最大100万円) |
| 伴走支援 | 計画策定後、最初の決算から3年間、年最低2回のモニタリングと報告 |
| 留保の扱い | 2分の1留保は廃止。2025年4月1日以降の支払申請は留保なしで支払われる |
伴走支援を怠ると費用の返還を求められる場合があります。計画をつくって終わりではなく、決算期を含め年2回の報告を続けることが前提です。
金融機関対応はKICKが主導し、税務は貴所が担う
この枠組みの利点は、役割分担が明確なことです。計画策定と金融機関対応の実務は、認定経営革新等支援機関であるKICKコンサルティング株式会社(中小企業診断士)が主導します。貴所は税務という本業に集中できます。
先生方が得られるメリットを、三段階で整理します。
- 顧問先の資金繰りと収益構造が早期に改善し、既存の顧問報酬というストック収入を強固に維持できる
- 顧問先の利益が改善すれば、高度税務や組織再編など新たな提案の基盤が生まれ、事務所の売上アップにつながる
- 計画策定と金融機関対応の実務はKICKが主導するため、貴所の実務負担とマンパワーの消費は最小限で済む
制度の詳しい流れや対象は、早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)の詳細で確認できます。費用の具体額は、詳細をサービスページにてご確認ください。
連携をご相談いただいても、顧問先を奪うことは一切ありません。税務は貴所、経営改善と金融機関対応はKICKという役割分担で進めます。売り込みや契約の義務もありません。
自所だけで抱え込まず認定支援機関と連携する判断

いつつ目の注意点は、銀行融資の支援を自所だけで抱え込まないことです。計画策定の専門性、時間コスト、金融機関対応の負担は、税務の合間にこなすには重すぎるのが実情です。
だからこそ、認定経営革新等支援機関である中小企業診断士と連携する会計事務所が増えています。専門性とマンパワーを外部から補い、顧問先の資金繰り支援を無理なく続ける形です。
計画策定と金融機関対応には専門性の壁がある
事業計画の策定と金融機関対応には、税務とは異なる専門性が必要です。損益分岐点分析やローカルベンチマークを使った現状分析、金融機関との目線合わせは、経験の蓄積がものを言う領域です。
KICKコンサルティング株式会社は、認定経営革新等支援機関として法人支援実績150社以上を重ねてきました。代表の松本昌史は、中小企業診断士・MBA・1級ファイナンシャル・プランニング技能士に加え、中小企業事業再生マネージャーの認定を持ち、金融機関対応の実務を数多く支えています。
これらの専門性を、先生方がゼロから自所に蓄えるには相応の時間がかかります。銀行融資を支える一連の実務を外部の専門家に委ねられれば、貴所は税務という強みを磨き続けながら、顧問先には経営改善という新しい価値を届けられます。すべてを自前でそろえる必要はありません。
連携で先生の事務所が手に入れる変化
連携によって、先生の事務所には具体的な変化が生まれます。
- 顧問先との面談が、数字の報告から将来を語る前向きな対話に変わる
- 顧問料が安定して回収でき、金融機関対応に追われていた時間にゆとりが戻る
- 顧問先や金融機関、そして職員からの評価が高まり、事務所の信頼が厚くなる
顧問先の資金繰りを支える具体的な進め方は、顧問先の財務改善を支えるバリューアップ支援の内容で確認できます。連携全体の仕組みは、士業連携(提携)の詳細もあわせてご覧ください。
顧問先を奪わない役割分担で進める
要するに、自所の強みである税務に集中しながら、専門外の領域はプロと組む。これが、顧問先の資金繰りと事務所の付加価値を同時に守る最善の判断です。顧問先との関係はそのままに、経営改善という新しい価値を、共に手に入れましょう。
ご相談は無料で、売り込みは一切ありません。連携や契約の義務はなく、顧問先との関係はそのまま維持されます。税務は貴所、経営改善はKICKという役割分担で進めます。
よくある質問

Q. 連携すると顧問先を奪われませんか
A. 奪うことは一切ありません。税務は貴所、経営改善と金融機関対応はKICKという役割分担で進めます。顧問契約はそのまま貴所に残り、KICKが顧問税理士の立場を得ることもありません。
Q. 事務所側の実務負担はどの程度ですか
A. 負担は最小限です。計画策定や金融機関対応の実務はKICKが主導します。貴所には顧問先の数字や状況の共有をお願いする程度で、税務という本業に集中していただけます。
Q. バリューアップ支援事業と405事業は何が違いますか
A. 大きく4点が異なります。バリューアップ支援事業は金融支援(リスケ等)を前提とせず、簡易な計画で早めに着手し、補助上限は計画策定50万円と伴走30万円です。一方、405事業は金融支援を前提とし、本格的な経営改善計画を策定するもので、補助上限は300万円、悪化が顕在化してからの着手が中心です。
Q. どのような顧問先が対象になりますか
A. 大きな問題が顕在化する前の、早い段階の会社が向いています。売上の落ち込みや資金繰りの悪化の兆しがあり、銀行融資や金融機関対応を前向きに整えたい顧問先です。業種は問いません。製造業でも建設業でも介護業でも、早めに手を打ちたい会社であれば連携の対象になります。
Q. 費用はどれくらいかかりますか
A. 制度としては専門家費用の3分の2が国から補助されます。具体的な報酬額や顧問先の自己負担については、詳細をサービスページにてご確認ください。無料相談で概算をお伝えすることもできます。
Q. 認定経営革新等支援機関とは何ですか
A. 中小企業の経営支援を行う専門的知識と実務経験を持つと、国が認定した支援機関です。早期経営改善計画策定支援の活用には、この認定支援機関の関与が前提となります。KICKコンサルティング株式会社は認定を受けています。
Q. すでに銀行融資のリスケを検討している顧問先でも使えますか
A. バリューアップ支援事業は金融支援を前提としない枠組みです。すでにリスケなど本格的な金融支援が必要な段階であれば、別の枠組みが適することもあります。まずは状況を伺い、最適な進め方をご提案します。
Q. 金融機関対応はどこまで任せられますか
A. 事業計画づくりから、計画書をきっかけとした金融機関との目線合わせまで支えます。金融機関との関係づくりや資金繰りの共有をKICKが主導し、貴所は税務の立場から必要な情報提供で連携できます。
Q. 顧問先が経営改善に消極的でも相談できますか
A. もちろん可能です。まずは先生からご相談いただき、進め方を一緒に検討します。ローカルベンチマークを使った対話で、社長自身が腹落ちできるよう現状を見える化するところから始められます。
1事務所ごとに時間をかけて向き合うため、月あたりのご相談数には限りがあります。ご相談いただいても売り込みはなく、連携や契約の義務もありません。顧問先との関係はそのまま維持されます。税務は貴所、経営改善はKICKという役割分担です。
まとめ

銀行融資を支える会計事務所の役割は、決算書をつくることではありません。資金繰り悪化の兆候を早くつかみ、将来を語る事業計画で金融機関との信頼を育てることです。
そのために押さえたい注意点は、決算後では遅いこと、金融機関が見るのは事業計画であること、数字を見える化すること、金融機関対応を顧問先任せにしないこと、そして自所だけで抱え込まないことの5つでした。どれも特別な発想ではなく、日々の税務データを一歩前に進めるだけで実践できるものばかりです。
早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)を認定支援機関と連携して活用すれば、貴所は税務に集中したまま、顧問先の資金繰り改善と事務所の付加価値向上を同時に実現できます。顧問先を守り、事務所の未来を広げる連携を、ここから始めてみませんか。







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