
車検場が特定技能の受入れについて、加入している監理団体に相談したところ、「決算が債務超過の状態では、受入れの手続きを進めることができません。企業評価書を用意してください」と言われた。
債務超過の原因は、検査機器への設備投資と、車検単価の据え置きにあります。指定・認証工場としての基準を満たすための機器更新にはまとまった資金が必要な一方、車検1台あたりの基本料金は取引先や地域の相場に縛られて上げにくいのが実情です。
このまま企業評価書を用意できなければ、今いる整備士・検査員の継続雇用すらできなくなります。継続雇用できなければ検査待ちの車両をさばききれず、さばけなければ車検の予約を断らざるを得ず、売上は作れません。最悪の場合、設備投資の負担だけでなく人手の面からも経営が立ち行かなくなります。
ちょうど上期の数字が見えてくるこの時期、「車検の検査機器を新しくしたら、今期は思ったより利益が残らなかった」と感じている車検場の社長も少なくないのではないでしょうか。
とはいえ、あなただけの悩みではありません。同じように整備士・検査員の確保に外国人材の受入れを考え始めた車検場の多くが、同じ壁にぶつかっています。実は、直近の決算が債務超過であっても、特定技能や外国人技能実習(育成就労)の受入れは可能です。
この記事はこんな方におすすめです
- 検査機器の更新費用がかさみ利益が薄い車検場の社長
- 直近決算が赤字・債務超過で受入れ審査が不安な方
- 企業評価書を誰に、どう頼めばよいか分からない方
- 特定技能の受入れをできるだけ手間なく進めたい総務担当
この記事で分かること
- 車検場が設備投資の負担で債務超過に陥る典型的な構造
- 特定技能・外国人技能実習で企業評価書が必要になる場面
- 企業評価書の記載イメージと、依頼する前に整えたい3つの条件
- 企業評価書を中小企業診断士に依頼するメリットと注意点
この記事は、法人支援150社以上の実績を持つ中小企業診断士が、車検場・自動車整備業の経営者向けにまとめました。読み終える頃には、赤字・債務超過を抱えたままでも特定技能の受入れを前に進めるための、具体的な次の一歩が見えているはずです。
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車検場が設備投資で赤字になり企業評価書を求められる理由

結論から言うと、車検場の赤字・債務超過は「設備投資の重さ」と「検査単価の伸び悩み」という2つの力が同時に働くことで生まれます。ポイントは3つです。
指定・認証工場としての設備基準を維持するコスト
民間車検場(指定工場・認証工場)は、検査ラインやブレーキテスター、排出ガス測定機、電子制御装置の診断機など、一定水準の検査設備を維持する義務を負っています。車両の電子制御化が進むほど、こうした機器の更新サイクルは早まる傾向にあります。
更新のたびにまとまった資金が出ていく一方で、その投資がすぐに売上へ跳ね返るわけではありません。「更新しないと検査ができなくなる」という守りの投資は、利益を生む投資とは性質が違う点に注意が必要です。
車検1台あたりの単価が上がりにくい構造
車検の基本料金は、近隣の同業他社や系列ディーラーの相場に強く影響されます。原材料や光熱費、人件費が上がっても、検査基本料金だけを単独で値上げするのは難しいのが実情です。
日本銀行の企業物価指数を見ても、資材・エネルギー関連のコストは上昇傾向が続いています。コストは上がるのに単価は据え置かれる——この価格転嫁の遅れが、じわじわと利益を圧迫します。
円安による輸入検査機器・診断機のコスト増
近年の車両は電子制御が複雑になり、診断機やスキャンツールの多くは海外メーカー製に頼らざるを得ません。円安が続くと、同じ性能の機器を導入するだけでも、以前より多くの資金が必要になります。為替の影響は経営者の努力だけではコントロールできない部分です。ここに人件費や電気代の上昇も重なり、コスト構造全体がじわじわと重くなっていきます。
EV普及によるビジネスモデルの変化
電気自動車の普及は、車検場のビジネスモデルにも影響します。エンジンオイル交換のような従来の収益源が減る一方、高電圧バッテリーや先進運転支援システムに対応した新しい検査設備への投資が必要になります。移行期のいまは、投資が先行し、収益が追いつかない期間が生まれやすいタイミングでもあります。
稼働台数の伸び悩みと整備士・検査員の不足
新車販売の動向や地域の人口構成によって、車検の稼働台数そのものが伸び悩む車検場もあります。加えて整備士・検査員の確保も年々難しくなっており、固定費(人件費・設備の減価償却費)を十分な稼働率で吸収できない状態が続くと、赤字が慢性化します。
このまま何も手を打たずにいると、赤字が数期にわたって続き、貸借対照表上の純資産がマイナス、つまり債務超過という状態に至ります。そして、外国人技能実習(育成就労)や特定技能で人材を受け入れようとしたとき、直近決算が債務超過の企業には、改善の見通しを客観的に示す書面——企業評価書——の提出が求められる場合があります。
| 車検場を圧迫する主な要因 | 内容 |
|---|---|
| 検査設備の更新費用 | ブレーキテスター・排出ガス測定機・電子制御診断機などの更新負担 |
| 検査単価の据え置き | 近隣相場・系列ディーラーとの関係で値上げしにくい |
| 稼働台数の伸び悩み | 新車販売動向・地域の人口構成による影響 |
| 整備士・検査員の不足 | 固定費を稼働率で吸収できず赤字が慢性化 |
厚生労働省の資料では、監理団体の財産的基礎について、直近期末に債務超過がある場合、中小企業診断士や公認会計士など企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を持つ第三者が「改善の見通しについて評価を行った書面」を提出するよう求める旨が示されています。これは監理団体だけでなく、受入れ企業側の審査でも同様の考え方が用いられる場面があります。赤字・債務超過を放置したまま受入れ手続きを進めようとすると、審査で立ち止まってしまうリスクがあります。
特定技能の受入れに必要な企業評価書サンプルと3つの条件

企業評価書とは、正式には「改善の見通しについて評価を行った書面」と呼ばれる書類です。直近決算が債務超過の企業が、外国人技能実習(育成就労)や特定技能で外国人材を受け入れる際に、財務状況の改善見通しを客観的に示すために用意します。
作成できるのは、中小企業診断士または公認会計士に限られます。「企業評価書 税理士」と検索して依頼先を探す方も多いのですが、顧問の税理士では企業評価書を作成できません。「企業評価書を税理士に頼めるか」と迷ったら、まずこの点を押さえておいてください。
企業評価書の記載イメージ
企業評価書のサンプル・ひな形にあたる一般的な構成は、次のような項目で組み立てられます。架空の記載例ではなく、構成項目そのものの一覧としてご覧ください。
| 記載項目 | 記載内容の目安 |
|---|---|
| 企業概要 | 事業内容、車検場としての許可・指定の区分、沿革 |
| 財務状況・債務超過に至った理由 | 設備投資の負担、検査単価の据え置きなど、赤字・債務超過の背景説明 |
| 改善の見通し | 稼働率の向上策、単価の見直し、付加価値サービスの強化などの方向性 |
| 評価者の所見 | 中小企業診断士等の第三者としての客観的な評価コメント |
詳しいサービス内容は次のページにまとめています。
外国人技能実習・特定技能の企業評価書について 社長やご担当者の方へ。“あなた”は今、このようなお悩みを抱えていませんか。 外国人技能実習制度を活用したいが、企業評価書の作成方法が分からないという方 特定技能外国人の受入れにあたり、経営改善の見通しについて評価が必要だと言われた方 ...
企業評価書を依頼してから受入れまでの流れ
特定技能・外国人技能実習(育成就労)ともに、企業評価書だけを単独で提出するわけではありません。決算書や事業計画など他の必要書類とあわせて、次のような流れで手続きが進みます。
- 中小企業診断士へのヒアリング(現状の財務状況・債務超過に至った経緯の共有)
- 決算書・試算表など必要資料の提出
- 財務分析と改善の見通しの整理、企業評価書の作成
- 企業評価書を添えて、特定技能・外国人技能実習(育成就労)の受入れ手続きを進める
特定技能と外国人技能実習(育成就労)では、提出先の窓口や求められる書類が一部異なります。どちらの制度で受け入れる場合も、企業評価書に書くべき内容の骨格は大きく変わりません。財務状況を正直に見せ、改善の見通しを筋道立てて説明するという基本は共通しています。
依頼前に整えておきたい3つの条件
企業評価書をスムーズに仕上げるために、依頼する前に整えておきたい条件は3つです。
- 直近2〜3期分の決算書・試算表など、財務状況が分かる資料をそろえている
- 債務超過に至った理由(設備投資・単価据え置きなど)を、車検場の実情に即して説明できる
- 今後の改善の方向性(稼働率向上・単価見直し等)を、数値の断定ではなく方向性として言葉にできる
この3つがそろっていれば、企業評価書の作成はスムーズに進みます。特別な財務知識や書類作成の経験は必要ありません。中小企業診断士がヒアリングを通じて一つずつ言葉にする作業を手伝いますので、経営者自身がゼロから書面を書き上げる必要もありません。逆に、資料が整っていないまま依頼すると、ヒアリングだけで時間がかかってしまうこともあります。「債務超過 理由書」というキーワードで検索する経営者も多いのですが、理由書と企業評価書は別の書類です。理由書は自社で作成する説明文書、企業評価書は資格を持つ第三者が作成する評価文書、と役割が異なります。
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価格転嫁の遅れを乗り越え特定技能の受入れで手に入る未来

企業評価書を整え、特定技能の受入れが実現すると、車検場の経営には抽象的な期待ではなく、具体的な変化が生まれます。3つの軸で見ていきます。
数字の軸:検査ラインの稼働率が上がる
検査員が確保できれば、これまで人手不足で断っていた予約枠を受けられるようになります。検査ラインの稼働率が上がれば、設備投資の負担を1台あたりの利益で吸収しやすくなります。固定費に対する売上の比率が改善し、赤字体質からの脱却につながります。
時間の軸:採用にかけていた時間を経営に回せる
整備士・検査員の求人を出しても応募が集まらず、採用活動だけで何か月も費やしてきた社長も少なくないはずです。特定技能という選択肢が加われば、採用にかかる時間の一部を、価格戦略や設備投資計画の見直しといった経営判断そのものに使えるようになります。
関係性の軸:取引先・地域からの信頼が厚くなる
検査体制が安定すれば、系列ディーラーや取引先からの信頼も高まります。「あの車検場なら安心して任せられる」という評判は、単価交渉の場でも経営者の後ろ盾になります。地域のお客様に対しても、待たせない・断らない体制は大きな安心材料です。
さらに、外国人材が長く働ける職場づくりに取り組むこと自体が、既存スタッフの定着にも良い影響を与えるケースがあります。教育体制や作業手順の見直しは、日本人スタッフにとっても働きやすさにつながるからです。
設備投資の重さと単価据え置きという構造そのものはすぐには変わりません。それでも、検査体制を整え、経営の選択肢を広げた先には、赤字体質に振り回されない経営を共に手に入れましょう。
自社だけで進める限界と、企業評価書に強い中小企業診断士の伴走支援

ここまで読んで、「自社で書面を用意すればよいのでは」と感じた方もいるかもしれません。しかし、企業評価書には自社だけで進めるには限界があります。
専門性の壁
企業評価書は、単に赤字の理由を書き並べれば通るものではありません。財務状況を客観的に分析し、改善の見通しを説得力のある形で示す専門性が求められます。自己流で作成した書面は、審査の場で「根拠が弱い」と判断されるリスクがあります。
時間コストの壁
日々の検査業務、予約対応、スタッフの管理に追われる中で、決算書を読み解きながら書面を仕上げる時間を確保するのは簡単ではありません。総務担当者が兼務で対応しようとして、他の業務が滞ってしまうケースも見受けられます。時間をかけたわりに、審査側が求める形になっていなければ、作り直しでさらに時間を失うことにもなりかねません。
判断ミスのリスク
債務超過の理由や改善の見通しをどう説明するかは、車検場ごとに事情が異なります。型どおりの文例をそのまま流用すると、実態と合わない説明になり、かえって審査側の疑問を招くこともあります。「企業評価書 中小企業診断士」と検索して探す経営者が増えているのも、こうした専門性の壁を感じているからです。
だからこそ、企業評価書は中小企業診断士に依頼して進める経営者が増えています。私たちKICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、法人支援150社以上の実績を持つ中小企業診断士として、財務状況の分析から改善の見通しの言語化まで、企業評価書の作成を一貫して支援しています。代表は中小企業診断士としてMBA(経営管理修士)も取得しており、財務の数字だけでなく、経営全体としてどう立て直すかという視点までを踏まえてご提案します。認定経営革新等支援機関として、車検場・自動車整備業特有の事情も踏まえたうえで、実態に即した書面をご提案します。
支援の流れもシンプルです。まずヒアリングで決算の状況と受入れの目的をうかがい、必要な資料をご案内します。そのうえで財務分析と改善の見通しの整理を行い、企業評価書としてまとめます。全国のご相談に対応しており、書面のやり取りはオンラインで完結できるため、遠方の車検場からのご相談も少なくありません。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは決算の状況だけでもお聞かせください。
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企業評価書のよくある質問|特定技能・債務超過の疑問を解消

Q. 企業評価書とは何ですか?
A. 正式には「改善の見通しについて評価を行った書面」と呼ばれる書類です。直近決算が債務超過の企業が、外国人技能実習(育成就労)や特定技能で外国人材を受け入れる際に、財務改善の見通しを客観的に示すために用意します。
Q. 車検場でも債務超過のまま特定技能を受入れできますか?
A. 可能です。ただし直近決算が債務超過の場合、企業評価書の提出を求められる場面があります。債務超過そのものが受入れの絶対的な障害になるわけではありません。
Q. 企業評価書は税理士に依頼できますか?
A. 依頼できません。企業評価書を作成できるのは、企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を持つ第三者、具体的には中小企業診断士または公認会計士に限られます。
Q. 外国人技能実習・特定技能のどちらでも企業評価書は必要ですか?
A. 直近決算が債務超過であるなど、財産的基礎に関する基準に関わる場合には、外国人技能実習(育成就労)・特定技能のいずれでも企業評価書が求められる可能性があります。制度ごとの詳細な要件は、事前に確認しておくと安心です。
Q. 企業評価書のサンプルや書き方の参考はありますか?
A. 「外国人技能実習 企業評価書 サンプル」や「特定技能 企業評価書 サンプル」で検索して探す経営者も多いです。一般的な構成項目(企業概要、財務状況・債務超過の理由、改善の見通し)は本記事内でも紹介していますが、架空の記載例をそのまま流用すると実態と合わなくなるため、自社の状況に即して作成することが重要です。
Q. 改善の見通しについて評価を行った書面と企業評価書は同じものですか?
A. 同じものです。「改善の見通しについて評価を行った書面」が正式名称で、実務上「企業評価書」という呼び方が広く使われています。
Q. 育成就労制度に移行しても企業評価書は必要ですか?
A. 2027年4月に施行予定の育成就労制度でも、財産的基礎に関する考え方は引き継がれる見通しです。債務超過の状態であれば、企業評価書に相当する書面が求められる可能性が高いといえます。
Q. 特定技能の定期報告でも債務超過は確認されますか?
A. 特定技能では定期的な届出・報告の中で、財産的基礎に関わる状況が確認される場面があります。債務超過が続いている場合は、早めに企業評価書を用意しておくと、報告の際にも慌てずに対応できます。
Q. 企業評価書の作成にはどれくらいの期間がかかりますか?
A. 決算書などの資料が事前にそろっている場合、ヒアリングから書面の完成まで比較的短期間で進められることが多いです。資料の整理から始める場合は、その分だけ余裕を持ったスケジュールで依頼することをおすすめします。
Q. 特定技能の受入れ後、決算が改善したら企業評価書はもう不要になりますか?
A. 直近決算の債務超過が解消されれば、その時点で企業評価書の提出を求められる場面は少なくなります。ただし特定技能では定期的な報告があるため、財務状況が改善したことを裏付ける資料は、引き続き整えておくと安心です。
Q. 企業評価書を依頼する前に何を準備すればよいですか?
A. 直近2〜3期分の決算書・試算表、債務超過に至った具体的な理由、今後の改善の方向性をメモにしておくと、ヒアリングがスムーズに進みます。
まとめ
車検場の赤字・債務超過は、設備投資の重さと検査単価の据え置きという、車検場ならではの構造から生まれます。特別な失敗をしたわけではなく、多くの車検場が同じ壁に直面しています。
そのうえで、直近決算が債務超過であっても、企業評価書を整えれば特定技能・外国人技能実習の受入れは前に進められます。大切なのは、財務状況を正直に見つめ、改善の見通しを客観的に言葉にすることです。
自己流で進めて時間を費やすより、中小企業診断士に伴走してもらいながら、確実な一歩を踏み出しませんか。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずはお気軽にお声がけください。
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