
「木材価格がまた下がってきた。今期も赤字になるかもしれない」——製材業・合板製造業を営む経営者の多くが、ここ数年こうした不安を抱えています。ウッドショックで一時的に高騰した木材価格は2022年以降ピークアウトし、やや下落基調に転じました。一方で新設住宅着工戸数の減少は続き、資材価格や人件費の高騰による建設コストの上昇も重なって、製材品出荷量・合板生産量はともに減少が続いています。決算書が債務超過に転じてしまった会社も少なくありません。
そんな中、2024年3月の閣議決定で特定技能1号の対象分野に「木材産業」が新たに加わりました。製材業・合板製造業に係る木材の加工工程とその附帯作業が対象になり、慢性的な人手不足に悩む現場にとって外国人材の受入れは大きな選択肢です。しかし決算が債務超過だと、受入れ審査で提出を求められる「改善見通しに関する評価書面」、いわゆる企業評価書をどう準備すればよいのか分からず、足踏みしている総務担当・経営企画の方も多いのではないでしょうか。
この記事はこんな人におすすめ
- 木材価格の乱高下で利益が読めない社長の方
- 住宅着工の減少で受注が伸びない工場長の方
- 決算が債務超過で特定技能の審査が不安な総務担当の方
- 企業評価書を誰に頼めばいいか分からない経営企画の方
- 人手不足を外国人材で補いたい製材・合板業の経営層の方
結論から言うと、債務超過であっても、正しい手順を踏めば特定技能「木材産業」の受入れは十分に可能です。カギを握るのは、中小企業診断士が作成する企業評価書と、実現可能な改善計画です。この記事では、その具体的な進め方を3つの条件に整理してお伝えします。
この記事で分かること
- 製材業・合板業が赤字や債務超過でも特定技能を受け入れられる理由
- 特定技能「木材産業」分野で企業評価書が必要になる場面
- 債務超過でも受入れ審査を通す3つの条件
- 中小企業診断士に企業評価書を依頼する具体的な流れ
私たちKICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、中小企業診断士が中心となり、これまで150社以上の法人を支援してきた認定経営革新等支援機関です。「申請サポート」ではなく、数字を見える化し利益が残る構造へ転換する伴走支援を強みにしています。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは現状をお聞かせください。
木材価格の乱高下が製材・合板業の経営を蝕む構造

製材業・合板製造業の収益が不安定になる本質は、単なる「原材料高」ではありません。原木の仕入価格と製品の販売価格が連動せず、価格転嫁のタイムラグの間に粗利が削られる構造にあります。ウッドショックで木材価格が急騰した局面では原木の調達コストが先に跳ね上がり、その後価格が下落局面に転じると、今度は在庫として抱えていた高値の原木と、下落した販売価格の差が損益を圧迫します。この「上がるときも下がるときも利益が薄くなる」構造こそが、製材・合板業の赤字や債務超過の根本原因です。
加えて、新設住宅着工戸数の減少という構造要因が重なります。国内の戸建住宅市場は縮小基調にあり、製材品出荷量・合板生産量ともに減少が続いています。工場の稼働率が下がれば固定費負担が重くのしかかり、利益率はさらに悪化します。帝国データバンクの業界動向レポートでも、製材工場数は年々減少し、再編・統合による大型工場への集約が進んでいると指摘されています。体力のない中小の製材所ほど、この波にのみ込まれやすい状況です。
放置した場合に何が起きるか
この状態を放置すると、単なる資金繰りの悪化にとどまらない連鎖が起こります。
| 放置した場合の悪化シナリオ | 具体的に起きること |
|---|---|
| 資金繰り | 原木の仕入資金と製品代金回収のタイムラグが広がり、運転資金がひっ迫する |
| 受注 | 住宅着工の減少で既存取引先からの発注量が細り、稼働率低下が固定費を圧迫する |
| 技術承継 | ベテラン職人の高齢化が進み、段取りや選木の判断が属人化したまま引き継げなくなる |
| 外国人材の受入れ | 決算が債務超過に至ると、企業評価書を準備しないまま特定技能の申請時期を迎え、受入れが遅れる |
特に見落とされがちなのが、最後の「外国人材の受入れ」への影響です。人手不足を補うために特定技能人材を採用しようとした矢先に、決算が債務超過であることが判明し、審査に必要な書類の準備が間に合わないというケースが実際に起きています。木材産業は2024年に加わったばかりの新しい分野で、受入れ企業側も何を準備すべきか手探りの状態です。だからこそ、早めに全体像を把握しておくことが重要です。
技術承継の遅れが利益体質をさらに弱くする
製材・合板業の現場では、選木や乾燥工程の見極めなど、マニュアル化しにくいベテラン職人の判断が品質を支えています。中小企業庁の調査でも、製造業の中小企業では後継者が未定の会社が全産業平均を上回る水準にのぼるとされ、木材産業もこの傾向と無縁ではありません。ベテランが退職したあとに技術承継が果たせなければ、歩留まりが落ちて原木のロスが増え、ただでさえ薄い粗利をさらに圧迫します。人手不足の解消を後回しにすればするほど、技術承継の機会そのものが失われていく点も見逃せません。
円安と原木調達コストの二重の圧力
国産材への回帰が進む一方で、集成材や合板の一部原料は輸入に依存する部分が残っており、為替の変動が原木調達コストに直接影響します。経済産業省のミニ解説でも指摘されている通り、ウッドショックによる価格の高止まりはやがて需要そのものを抑制する方向に作用しました。仕入コストの上昇局面と、価格転嫁が追いつかず需要が冷え込む局面を交互に経験する構造こそが、製材・合板業の利益を慢性的に不安定にしている本質です。
なぜ「利益」ではなく「利益が残る構造」を見るべきか
売上が回復しても、原木仕入と製品出荷のタイムラグを埋める管理会計の仕組みがなければ、また同じ理由で赤字に逆戻りします。売上ではなく、利益が残る構造そのものを見直すことが、木材価格の変動に左右されない経営への第一歩です。ここを精神論ではなく数字で捉え直すことが、次の章でお伝えする企業評価書と改善計画の土台になります。
債務超過でも特定技能「木材産業」を受け入れる3つの条件

結論として、債務超過の状態からでも特定技能「木材産業」の受入れを進める道はあります。ポイントは次の3つの条件を、順番に満たしていくことです。
条件1 直近決算の実態を正しく数字で把握する
まず必要なのは、直近2期分の決算書(貸借対照表・損益計算書)を整理し、どの勘定科目が債務超過の原因になっているかを特定することです。原木在庫の評価損なのか、設備投資に伴う減価償却の重さなのか、原因によって改善計画の書き方はまったく変わります。感覚ではなく、数字で「なぜ今この状態にあるのか」を説明できる状態を作ることが出発点です。
例えば、ウッドショック期に仕入れた高値の原木在庫が滞留している場合と、老朽化した製材機械の更新投資が減価償却として重くのしかかっている場合とでは、改善計画で示すべき対策がまったく異なります。前者であれば在庫の圧縮と仕入価格の見直し、後者であれば稼働率の向上とコスト構造の見直しが軸になります。この切り分けを曖昧にしたまま企業評価書の作成を依頼すると、内容の説得力が弱くなり、審査官への説明も苦しくなります。
条件2 中小企業診断士が作成する企業評価書を準備する
技能実習(育成就労)・特定技能いずれの申請でも、直近2期分の決算書提出が求められます。加えて直近期末が債務超過の場合には、企業評価を行う能力を有すると認められる専門家、具体的には中小企業診断士が作成する企業評価書の提出を求められます。社内の総務担当だけで作成することはできず、第三者の客観的な評価が必要になる点が特定技能の受入れ準備における最大のハードルです。
企業評価書には、債務超過に陥った原因とその対応策、そして債務超過が何年で解消できる見込みかが記載されます。ここを、希望的観測ではなく実現可能な数字で組み立てられるかどうかが審査の通りやすさを大きく左右します。特定技能の企業評価書作成に強い専門家に依頼することで、特定技能・育成就労の企業評価書作成支援を受けながら、無理のない改善計画に落とし込むことができます。
条件3 労働条件と受入れ環境を特定技能の基準に合わせる
木材産業分野で特定技能1号を受け入れるには、労働条件が日本人従業員と同等以上であること、住居の確保や生活支援体制を整えていることに加えて、木材産業特定技能1号評価試験の合格者、または技能実習2号を良好に修了した人材を採用することが要件になります。企業評価書だけを整えても、この受入れ環境が整っていなければ審査は通りません。財務面の改善計画と、現場の受入れ体制づくりを並行して進める必要があります。
住居の確保は、社宅を新たに用意するだけでなく、既存の寮や賃貸物件を活用する方法もあります。生活支援体制についても、日本語学習の機会の提供や、生活相談窓口の設置など、受入れ企業の規模に応じた無理のない形で整えれば足ります。大がかりな設備投資をしなくても、既にある資源を組み合わせて基準を満たしている会社は少なくありません。ここも自己流で判断せず、要件を正確に押さえた上で計画を立てることが遠回りを防ぎます。
この3つの条件は、どれか1つだけでは成立しません。数字の裏付け(条件1)、第三者評価(条件2)、受入れ環境(条件3)の3点がそろって初めて、審査官に「この会社なら大丈夫」と納得してもらえる状態になります。逆に言えば、この3点さえ順番に整えれば、債務超過という事実そのものが受入れを諦める理由にはなりません。焦って書類だけをそろえるのではなく、まず現状を正しく把握するところから始めることが結果的に一番早い近道になります。
その場でのご契約や、しつこい営業は一切ありません。決算書をお持ちいただくだけで、現状の整理から始められます。費用も事前にご説明した内容以外はかかりません。
3つの条件を満たした先に手に入る未来

企業評価書と改善計画を整え、受入れ環境を整備した先に、抽象的な「安心」ではなく具体的な変化が待っています。次の3つの軸で見ていきます。
数字の軸 資金繰りの波が読めるようになる
原木の仕入から製品出荷までのタイムラグを管理会計で可視化すると、木材価格が変動しても資金繰りの波を事前に予測できるようになります。「今期は赤字になるかもしれない」という漠然とした不安が、「この時期に運転資金がいくら必要か」という具体的な数字に置き換わります。
時間の軸 外国人材の受入れが計画的に進む
企業評価書を早めに準備しておけば、特定技能人材の採用スケジュールに合わせて審査手続きを進められます。人手が足りなくなってから慌てて準備するのではなく、次の繁忙期に向けて計画的に人員を確保できる状態になります。
関係性の軸 金融機関からの信頼が変わる
債務超過の原因と改善計画を第三者の専門家が客観的に整理した資料は、金融機関との対話でもそのまま説明資料として使えます。「なぜ今この状態で、いつまでにどう改善するのか」を数字で語れる経営者は、金融機関からの信頼を得やすくなります。
例えば、原木在庫の圧縮と稼働率の改善によって3年から5年で債務超過を解消する計画を数字で示せれば、追加融資の相談や返済条件の見直しといった交渉の場面でも、感覚的な説明よりはるかに説得力を持ちます。特定技能人材の受入れをきっかけに、財務体質そのものを見直す機会にする経営者が増えているのはこのためです。人手不足の解消と経営基盤の強化を同時に進められる点こそ、この3つの条件に取り組む最大の価値と言えます。
資金繰りの波が読める安心、計画的な人材確保、金融機関からの信頼——この3つを共に手に入れましょう。
自社だけで進める限界と、中小企業診断士による支援

ここまで読んで「自社の総務担当だけで進められるのでは」と感じた方もいるかもしれません。しかし企業評価書は、企業評価を行う能力を有すると認められる専門家、具体的には中小企業診断士でなければ作成できません。社内で作成した資料をそのまま提出することはできず、第三者による客観的な評価という手続き自体が制度上の要件になっています。
加えて、木材産業は2024年に加わったばかりの分野であり、前例となる社内ノウハウがありません。財務分析、改善計画の数値設計、受入れ環境の整備という複数の専門領域を、通常業務と並行して自社だけでゼロから組み立てるのは現実的に大きな時間コストがかかります。判断を誤れば、審査が長引き、人手不足がさらに深刻化するリスクもあります。だからこそ、専門家に伴走してもらいながら進める経営者が増えています。
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)では、中小企業診断士がお客様の決算書を読み解き、債務超過の原因分析から企業評価書の作成、実現可能な改善計画の策定まで一気通貫でサポートします。「申請サポート」だけでなく、資金繰り改善や売上アップまで見据えた伴走支援が私たちの強みです。代表の松本昌史はMBA(経営管理修士)・中小企業診断士・1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)の資格を持ち、認定経営革新等支援機関として150社以上の法人を支援してきました。
ご相談の流れはシンプルです。まず直近2期分の決算書をもとに現状をヒアリングし、債務超過の原因を数字で切り分けます。そのうえで、無理のない改善計画の骨子を一緒に組み立て、企業評価書として書面にまとめます。作成のあいだも、特定技能の受入れスケジュールに合わせて進行状況を共有するため、「いつ提出できるか分からない」という不安を抱えたまま待つ必要はありません。木材産業という新しい分野だからこそ、実務に精通した専門家と二人三脚で進めることが、遠回りを避ける一番の近道です。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。1社ごとに時間をかけて向き合うため、まずは現状をお聞かせください。
よくある質問

Q. 特定技能「木材産業」とはどのような分野ですか?
A. 2024年3月の閣議決定により、「自動車運送業」「鉄道」「林業」とともに特定技能1号の対象分野に新たに加わりました。対象業務は製材業・合板製造業に係る木材の加工工程とその附帯作業で、出入国在留管理庁は今後5年間で5,000人規模の受け入れを見込んでいます。
Q. 企業評価書はどんな会社に必要ですか?
A. 直近期末の決算が債務超過の場合に必要になります。技能実習(育成就労)・特定技能いずれの申請でも直近2期分の決算書提出が求められ、債務超過であれば加えて企業評価書の提出を求められます。
Q. 企業評価書は誰が作成できますか?
A. 企業評価を行う能力を有すると認められる専門家、具体的には中小企業診断士が作成します。社内の総務担当者だけで作成することはできません。
Q. 木材産業特定技能1号の受入れ要件は?
A. 労働条件が日本人従業員と同等以上であること、住居の確保や生活支援体制を整えていること、木材産業特定技能1号評価試験の合格者または技能実習2号を良好に修了した人材を受け入れることなどが要件です。
Q. 赤字でも受け入れは可能ですか?
A. 単年度の赤字であれば通常の決算書提出のみで審査されるケースが多く、赤字そのものが即座に不許可要因になるわけではありません。ただし債務超過に至っている場合は、企業評価書で改善の見通しを示す必要があります。
Q. 企業評価書の作成にどのくらいの期間がかかりますか?
A. 一般的な納期は2週間程度です。決算資料がそろっていれば、より短い期間での対応も相談できます。受入れ予定日が迫っている場合は早めの相談が重要です。
Q. 何年で債務超過を解消する計画にすればよいですか?
A. 決まった年数の定めはありません。直近の資金繰りと利益計画を踏まえ、実現可能性のある年数で改善計画を組み立てるのが一般的です。無理な計画は審査でかえって不利になります。原木在庫の圧縮や稼働率の改善など、実行できる打ち手を具体的に積み上げたうえで年数を設定することが、説得力のある企業評価書につながります。
Q. 企業評価書の提出先はどこですか?
A. 技能実習(育成就労)の場合は外国人技能実習機構、特定技能の場合は出入国在留管理局へ、それぞれ他の必要書類とあわせて提出します。
Q. 木材価格が今後また乱高下したら評価書の内容は無効になりますか?
A. 企業評価書は作成時点の財務状況と改善計画を示すものです。状況が大きく変わった場合は更新や再作成が必要になることがあるため、資材価格の動向は定期的に確認しておくと安心です。
Q. 相談する際に何を準備すればよいですか?
A. 直近2期分の決算書(貸借対照表・損益計算書)があれば相談を始められます。事業計画や資金繰り表があれば、より精度の高い評価書につながります。
まとめ
製材業・合板製造業の赤字や債務超過は、原木価格と製品価格のタイムラグ、住宅着工の減少という構造要因から生まれています。この構造を数字で正しく捉え、中小企業診断士による企業評価書と実現可能な改善計画を整えれば、特定技能「木材産業」の受入れは債務超過の状態からでも十分に進められます。大切なのは、決算が悪化してから慌てるのではなく、条件1から条件3までを早めに一つずつ整えることです。
「うちの決算では難しいかもしれない」とあきらめる前に、まずは現状を数字で整理することから始めてみませんか。1社ごとに時間をかけて向き合うため、ご相談いただいても売り込みは一切ありません。お断りいただいて構いませんので、まずは現状をお聞かせください。
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