
金属プレス加工会社が特定技能の受入れについて、出入国在留管理庁に相談したところ、「貴社の決算は債務超過の状態です。改善の見通しについて評価を行った書面がなければ、受入れの審査は通せません」と言われた。
債務超過の原因は、鋼材価格の高騰分を取引先に価格転嫁できないことと、EV化対応の設備投資負担にあります。
このまま企業評価書を用意できなければ、今いる技能実習生・特定技能人材の継続雇用すらできなくなります。継続雇用できなければ受注をこなせず、こなせなければ売上は作れず、最悪の場合、会社そのものが立ち行かなくなります。
ちょうど10月は最低賃金の改定が発効する時期でもあり、人件費の負担がさらに重くのしかかります。
とはいえ、そう感じているのは、あなただけではありません。
結論から言えば、債務超過の状態でも、客観的な第三者による評価書面(企業評価書)を用意すれば、審査を一発で通せます。ただし、その書面には決まった構成と、押さえるべき条件があります。
- 鋼材高騰で値上げ交渉が進まず赤字が続く方
- 決算が債務超過で受入れ審査が不安な方
- 企業評価書を何から準備すべきか迷う方
- EV化対応の設備投資で資金繰りが厳しい方
- 金属プレス加工業が債務超過になりやすい理由
- 特定技能を受入れる3つの条件
- 企業評価書に書く内容の具体的なイメージ
- 中小企業診断士に相談するメリット
私たちKICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、認定経営革新等支援機関として150社以上の法人を支援してきました。この記事を読み終える頃には、自社が今すぐ準備すべきことが具体的に分かります。
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金属プレス加工業が価格転嫁の遅れで債務超過に陥り企業評価書を求められる理由

金属プレス加工会社は、自動車部品メーカーや家電メーカーからの受注に支えられている会社が多く、価格の決定権を自社で持ちにくいという構造的な弱さを抱えています。結論として、この構造が債務超過を招きやすく、それが企業評価書を求められる背景にもなっています。
鋼材価格の高騰と、進まない値上げ交渉
日本銀行の企業物価指数でも、鉄鋼製品の価格は高止まりが続いていると示されています。原材料費が上がっても、主要取引先との価格改定の話し合いには時間がかかり、実際に単価へ反映されるまでには数か月から1年近いタイムラグが生じることも珍しくありません。
その間、会社は原価割れに近い水準で受注をこなし続けることになります。値上げ分を転嫁できない期間が長引くほど、利益は目減りし、やがて自己資本を食いつぶします。
EV化対応の設備投資負担
自動車業界の電動化(EV化)の流れは、金属プレス加工業にも新しい金型やプレス機への更新投資を迫っています。受注を維持するための前向きな投資であっても、借入が先行し、減価償却の負担が重なる時期は、決算上の数字を悪化させる要因になります。
自動車部品向けの金属プレス加工会社と、家電部品向けの金属プレス加工会社とでは、求められる精度や投資の規模が異なります。自動車部品は特に品質基準が厳しく、金型の更新サイクルも短くなりがちなため、投資負担が利益を圧迫しやすい傾向にあります。
放置するとどうなるか
ここで対策を取らずに放置すると、次のような悪化シナリオが現実になります。
| 放置した期間 | 起きやすいこと |
|---|---|
| 半年程度 | 金融機関からの追加融資が受けにくくなる |
| 1年程度 | 特定技能・技能実習(育成就労)の受入れ審査が通らず、人手不足がさらに深刻化する |
| 2年以上 | 債務超過が慢性化し、取引先からの与信評価にも影響が及ぶ |
技能実習生を受け入れている場合、監理団体側にも財産的基礎の確認が課されています。厚生労働省の資料では、監理団体の直近期末が債務超過であるときは、中小企業診断士や公認会計士など公的資格を持つ第三者が改善の見通しについて評価を行った書面の提出が必要と示されています。受入れ企業自身が債務超過のときも、同じ考え方で客観的な評価が求められると理解しておくべきです。
人手不足が生産性を落とす悪循環
プレス加工の現場は、金型の段取り替えや検品など、熟練の手が欠かせない工程が多く残っています。人手が足りないままラインを回すと、段取り替えに時間がかかり、1日あたりの生産数量が落ち込みます。生産数量が落ちれば、固定費を回収しづらくなり、利益率がさらに悪化するという悪循環に陥ります。
この悪循環を断ち切るには、外国人材の受入れで人員体制を安定させることが有効な選択肢の一つです。しかし、その入口で立ちはだかるのが、まさに債務超過による審査の壁です。
特に金属プレス加工の現場では、プレス機の操作やスクラップの分別、検品といった作業を、限られた人数で回している会社が少なくありません。1人でも欠ければラインが止まりかねない体制のままでは、突発的な休業や急な退職が経営を直撃します。人員に余裕を持たせることは、単なる人手不足対策ではなく、経営の安定そのものにつながります。
放置すれば人手不足はさらに悪化し、受注をこなす体制そのものが崩れかねません。早い段階で企業評価書の準備に着手すれば、審査への不安は着実に小さくできます。
特定技能を受入れる3つの条件|企業評価書のサンプルと書き方

結論として、債務超過の金属プレス加工会社が特定技能・技能実習(育成就労)を受入れるには、次の3つの条件を満たす必要があります。
- 価格転嫁の交渉状況を、書面で客観的に示せること
- 決算書上の債務超過の理由を、具体的な数字で説明できること
- 中小企業診断士など公的資格者による企業評価書(改善の見通しについて評価を行った書面)を用意すること
条件1|価格転嫁の交渉状況を書面で示す
主要取引先への値上げ要請の記録、原価計算の根拠資料、価格改定が決まった時期をまとめておきます。「交渉している最中である」という説明だけでなく、いつ・何を・どのように交渉しているかを資料化することが重要です。
経済産業省が公表する価格転嫁の状況調査でも、金属加工を含む製造業は他業種と比べて価格転嫁率が低い傾向にあると示されています。交渉が難航している事実は、決して自社だけの特殊な事情ではないと理解した上で、記録を積み重ねていくことが大切です。
条件2|債務超過の理由を数字で説明する
鋼材価格の上昇分、労務費の増加分、設備投資に伴う減価償却費など、赤字・債務超過の内訳を分解して示します。「なんとなく苦しい」ではなく、どの要因がどれだけ利益を圧迫したかを可視化することで、審査側の理解を得やすくなります。
合わせて、今後の改善計画(値上げ交渉の進捗見通し、稼働率の改善策、設備投資の回収計画など)を数値目標とともに示すと、評価者が「見通しあり」と判断しやすくなります。
条件3|中小企業診断士による企業評価書を用意する
改善の見通しについて評価を行った書面(企業評価書)は、外国人技能実習・特定技能の別紙②-1・番号20に該当する重要書類です。作成できるのは、中小企業診断士または公認会計士に限られます。税理士は作成できないため、依頼先を誤らないよう注意が必要です。
特定技能と技能実習(育成就労)の違いを押さえる
特定技能は即戦力人材の受入れを想定した在留資格で、定期的な届出が課されます。技能実習は技能移転を目的とした制度で、2027年4月からは育成就労制度へ移行する予定です。制度の名称は変わっても、財産的基礎(債務超過の有無)が審査される考え方は共通しており、企業評価書の必要性も変わらないと見込まれています。
企業評価書のフォーマット(サンプル)には、決まった型があります。次の表は、記載する項目の一般的な構成イメージです。架空の数値ではなく、自社の実情に沿って作成する必要があります。
| 記載項目 | 記載内容の一般的な構成 |
|---|---|
| 企業概要 | 沿革・事業内容・主要取引先との取引状況 |
| 財務状況 | 直近3期の決算数値と債務超過に至った経緯 |
| 債務超過の理由 | 鋼材価格の高騰、価格転嫁の遅れ、設備投資負担など具体的な要因 |
| 改善の見通し | 収益改善の計画、資金繰りの見通し、金融機関との関係 |
| 評価者の所見 | 中小企業診断士など評価者による客観的な結論 |
特定技能の企業評価書のサンプルや、外国人技能実習の企業評価書のサンプルを探している方も多いのですが、書式そのものより「誰が」「どんな根拠で」評価したかという中身の妥当性が審査では重視されます。詳しくは次のページにまとめています。
外国人技能実習・特定技能の企業評価書について 社長やご担当者の方へ。“あなた”は今、このようなお悩みを抱えていませんか。 外国人技能実習制度を活用したいが、企業評価書の作成方法が分からないという方 特定技能外国人の受入れにあたり、経営改善の見通しについて評価が必要だと言われた方 ...
自社だけで書類を整えようとすると、財務の説明と制度上の要件をどう結びつけるかで迷いがちです。根拠の薄い評価書は審査で差し戻される恐れがあるため、早い段階で専門家に相談することをおすすめします。
既存の借入・リスケジュールとの関係
すでに金融機関からの借入について返済条件の見直し(リスケジュール)を行っている会社もあるかもしれません。その場合でも、企業評価書では「なぜ債務超過に至ったか」「今後どう改善するか」を整理して示すことが基本です。返済条件の見直し自体は、改善に向けた取り組みの一つとして、前向きに記載できる材料になります。
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価格転嫁の遅れを乗り越え特定技能の受入れで手に入る未来

企業評価書を整え、審査を通過した先には、具体的な変化が待っています。ここでは3つの軸で描きます。
数字の軸|人手不足による受注機会の損失を防ぐ
プレス機のライン稼働に必要な人員を確保できれば、受注を断らずに済みます。稼働率が安定すれば、1台あたりの固定費負担も軽くなり、利益体質の改善につながります。断っていた小ロット案件を再び受けられるようになった、という声も少なくありません。
時間の軸|経営者が現場対応に追われる時間が減る
人員体制が整うことで、社長自らが現場のライン応援に入る時間が減り、価格交渉や新規取引先の開拓といった、本来経営者がやるべき仕事に時間を使えるようになります。目先の穴埋めに追われる経営から、半年先・1年先を見据えた経営へと軸足を移せます。
関係性の軸|取引先・金融機関からの信頼が回復する
債務超過を客観的な企業評価書で説明し、改善の見通しを示せたという事実そのものが、金融機関との対話材料になります。主要取引先に対しても、体制を立て直しつつある会社として向き合えるようになります。数字で語れる経営者は、価格交渉の場でも軽視されにくくなります。
目先の資金繰りに追われる状態から抜け出し、外国人材を含めた人員体制を計画的に組めるようになれば、受注の幅も自然と広がっていきます。鋼材高騰と価格転嫁の遅れという構造的な問題を乗り越え、外国人材とともに安定した生産体制を築く未来を、共に手に入れましょう。
自社だけで進める限界と、企業評価書に強い中小企業診断士の伴走支援

企業評価書の作成には、財務分析の専門性と、外国人材の受入れ制度への理解の両方が求められます。どちらか一方が欠けても、審査側を納得させる書面にはなりません。
専門性の壁
債務超過の理由を数字で分解し、改善の見通しを筋道立てて説明するには、財務諸表を読み解く専門知識が欠かせません。自己流で作成した書面は、根拠が弱く見えてしまうことがあります。
時間コストの壁
本業のライン管理や取引先対応に追われながら、慣れない書類作成に時間を割くのは大きな負担です。準備に時間がかかるほど、受入れ計画そのものが遅れてしまいます。
判断ミスのリスク
企業評価書を作成できるのは中小企業診断士または公認会計士に限られます。依頼先を誤ると、せっかく作成した書面が審査で認められない事態にもなりかねません。だからこそ、実績のある専門家に任せる経営者が増えています。
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、認定経営革新等支援機関として150社以上の法人を支援してきた実績があります。代表・松本昌史は中小企業診断士として、金属プレス加工業をはじめとする製造業の財務改善と、企業評価書の作成に数多く携わってきました。
具体的には、決算書の分析と債務超過の理由の整理、改善計画の策定、そして企業評価書そのものの作成までを一貫してサポートしています。財務の専門家と、外国人材の受入れ制度に詳しい担当者が伴走するため、自社だけで抱え込む必要はありません。
初回のご相談では、決算書や試算表をもとに、現状の債務超過の原因を一緒に整理するところから始めます。難しい専門用語を並べるのではなく、経営者の方が自社の状況を自分の言葉で説明できる状態を目指して伴走します。
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企業評価書のよくある質問|特定技能・債務超過の疑問を解消

Q. 企業評価書とは、そもそもどんな書類ですか?
A. 外国人技能実習(育成就労)・特定技能の受入れ企業や監理団体が、直近の決算で債務超過や赤字となっている場合に提出を求められる書面です。正式には「改善の見通しについて評価を行った書面」と呼ばれ、中小企業診断士や公認会計士など公的資格を持つ第三者が作成します。
Q. そもそも債務超過とは、どういう状態ですか?
A. 貸借対照表上、負債の合計が資産の合計を上回っている状態を指します。自己資本がマイナスになっているため、金融機関や取引先からの信用力が低下しやすく、外国人材の受入れ審査でも重点的に確認される項目です。
Q. 特定技能は債務超過でも受入れできますか?
A. 一律に不可というわけではありません。改善の見通しについて評価を行った書面(企業評価書)を提出し、客観的に改善の道筋を示せれば、受入れの余地はあります。ただし、根拠が弱い書面では認められない可能性があります。
Q. 企業評価書を作成できる資格者は誰ですか?
A. 中小企業診断士または公認会計士です。税理士は、この書面を作成する資格を持っていません。依頼先を選ぶ際は、この点を必ず確認してください。
Q. 特定技能の企業評価書のサンプルはありますか?
A. 決まった様式(フォーマット)はありますが、記載する数値や理由は各社の実情に応じて変わります。書式を真似るだけでなく、自社の債務超過の理由と改善の見通しを、根拠とともに具体的に示すことが重要です。
Q. 債務超過の理由書は、どう書けばよいですか?
A. 「なぜ債務超過になったのか」を、原材料費の高騰、価格転嫁の遅れ、設備投資の負担といった要因ごとに数字で分解して説明します。抽象的な反省文ではなく、事実と数字に基づいた説明が求められます。
Q. 監理団体の債務超過も、企業評価書が必要ですか?
A. はい。技能実習の監理団体についても、直近期末が債務超過であるときは、財産的基礎の確認として同様の評価書面の提出が求められます。受入れ企業と監理団体の両方で、財務状況の確認が制度上の重要なポイントになっています。
Q. 特定技能の定期報告でも債務超過は確認されますか?
A. 特定技能の定期届出には「一定の基準」があり、その中に過去3年間に債務超過となっていないことという要件が含まれています。この基準を満たさない場合は、届出の内容がより詳しく確認される可能性があります。
Q. 育成就労制度になっても、企業評価書は必要ですか?
A. 育成就労制度は2027年4月に施行が予定されていますが、財産的基礎の考え方は技能実習・特定技能と大きく変わらないと見込まれています。今のうちから企業評価書への理解を深めておくことをおすすめします。
Q. 企業評価書の作成にはどのくらいの期間がかかりますか?
A. 決算書の分析にかかる時間や、改善計画の内容の精査度合いによって変わります。決算資料が整っている状態であれば、比較的短い期間で作成に着手できます。受入れのスケジュールが決まっている場合は、早めに相談することをおすすめします。
Q. 黒字化する前でも企業評価書を依頼できますか?
A. はい。企業評価書は「黒字になってから」ではなく、債務超過の状態にある今、改善の見通しを客観的に示すための書面です。現状が厳しいからこそ、根拠のある評価が必要になります。まずは現状をお聞かせください。
Q. 顧問税理士がいる場合、企業評価書はどう進めればよいですか?
A. 顧問税理士は日々の記帳や税務申告のプロですが、企業評価書の作成資格そのものは持っていません。決算資料の共有など日頃の連携は顧問税理士に任せつつ、企業評価書の作成部分は中小企業診断士や公認会計士に依頼するという役割分担が現実的です。
まとめ
金属プレス加工業が債務超過に陥る背景には、鋼材価格の高騰、価格転嫁の遅れ、EV化対応の設備投資負担という3つの構造的な要因があります。放置すれば、資金繰りと人手不足の両方が悪化する悪循環に陥ります。
ここで紹介した3つの条件——価格転嫁の交渉状況の可視化、債務超過の理由の数値化、中小企業診断士による企業評価書の準備——を押さえれば、特定技能や技能実習(育成就労)の受入れ審査に向き合う道筋が見えてきます。育成就労制度への移行を見据え、今のうちから準備を進めておくことが、将来の選択肢を広げることにもつながります。
自社の状況を客観的に説明できる書面があるかどうかが、審査を通過できるかどうかの分かれ目です。まずは現状を整理するところから、一歩を踏み出しましょう。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは現状をお聞かせください。
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