
鉄筋工事店が特定技能の受入れについて、加入している一般社団法人建設技能人材機構(JAC)に相談したところ、「貴社の決算は債務超過の状態にあります。このままでは特定技能の受入れを認めることができません。企業評価書を提出してください」と言われた。
債務超過の原因は、鋼材価格の高止まりと、下請け構造ゆえに価格転嫁が遅れることにあります。
このまま企業評価書を用意できなければ、今いる技能実習生・特定技能人材の継続雇用すらできなくなります。継続雇用できなければ新しい現場を受注できず、受注できなければ売上は作れず、最悪の場合、会社そのものが立ち行かなくなります。
ちょうど下期に入り、鋼材価格の高止まりが収まる気配のないまま、来期の受注計画を固めなければならない時期ではないでしょうか。
とはいえ、あなただけではありません。鋼材(鉄筋)価格の上昇は業界全体の構造的な問題であり、同じ悩みを抱える鉄筋工事店・鉄骨工事店は少なくありません。
特に、元請けとの取引条件が先に固まってしまう下請け構造の中では、材料費が上がった分をすぐに見積りへ反映できず、気づけば数期にわたって赤字が積み重なっているというケースが目立ちます。決算書の数字だけを見ると「経営に問題がある会社」に見えてしまうことが、受入れ審査への不安をいっそう大きくしています。
この記事はこんな方におすすめです
- 鋼材高騰で赤字が続く鉄筋工事店の経営者の方
- 特定技能の受入れ審査が通るか不安な方
- 企業評価書を誰に頼めばいいか分からない方
- 決算内容の説明にどう向き合うか悩む総務担当の方
結論からお伝えすると、債務超過であっても、客観的な第三者による評価書面を用意すれば、特定技能の受入れの道は閉ざされていません。ただし、書面の作り方・依頼先を誤ると、審査が長期化したり差し戻されたりするリスクがあります。詳しい手順は本文でお伝えします。
「特定技能 企業評価書」「外国人技能実習 企業評価書 サンプル」といった言葉で検索し、この記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。検索しても断片的な情報しか見つからず、結局何から手をつければよいのか分からない——そんなもどかしさを解消できるよう、本文では実務の流れに沿ってお伝えします。
このまま何も手を打たずにいると、人手不足はさらに深刻化し、工期の遅延や受注機会の取りこぼしが続く悪循環に陥りかねません。
この記事で分かること
- 鉄筋工事店が債務超過になりやすい構造的な理由
- 特定技能を受入れるための4つの鉄則
- 企業評価書に書く記載項目の具体的なイメージ
- 自社だけで対応する際の限界とプロに頼むメリット
私は中小企業診断士として、法人支援150社以上の実績の中で、外国人材の受入れに関わる企業評価書の作成支援に携わってきました。この記事を読み終える頃には、自社が今どの段階にあり、次に何をすべきかが具体的に分かります。
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鉄筋工事店が鋼材高騰で債務超過になり企業評価書を求められる理由

結論として、鉄筋工事店の赤字・債務超過は、経営そのものの失敗というより、業界特有の構造から生まれやすい現象です。理由は主に3つあります。
| 要因 | 鉄筋工事店に起きていること |
|---|---|
| 鋼材(鉄筋)価格の高止まり | 日本銀行の企業物価指数でも鉄鋼製品の価格上昇局面が長期化していると指摘されており、加工賃だけでは吸収しきれない |
| 下請け構造での価格転嫁の遅れ | 元請けとの契約が先に固まっているため、鋼材の値上がり分をあとから請求書に乗せにくい |
| 工期長期化による資金繰り悪化 | 職人不足で着工から竣工までの期間が延び、材料費の立て替え期間が長引く |
帝国データバンクの集計でも、原材料価格の高騰を主因とする「物価高倒産」が建設業を含む幅広い業種で増加傾向にあると報告されています。鋼材高騰は一時的な現象ではなく、構造的に長引く要因だと捉えておく必要があります。
加えて、鉄筋工事店の多くは、型枠工事や足場工事など他の専門工事会社と足並みをそろえて現場が進むため、自社の努力だけで工期を短縮したり、資材の調達時期を早めたりすることが難しいという事情もあります。国土交通省の建設工事費デフレーターでも、資材価格の上昇が工事コスト全体を押し上げていることが確認できます。こうした業界特有の事情を、決算書の数字だけでは伝えきれない点が、企業評価書という客観的な書面が求められる背景になっています。
この状態で外国人材の受入れを進めようとすると、実習実施者・監理団体、あるいは特定技能所属機関の定期届出における「一定の基準」の中で、過去の決算が債務超過となっていないかが確認されます。基準を満たさない場合、中小企業診断士・公認会計士等の公的資格を有する第三者が「改善の見通しについて評価を行った書面」、いわゆる企業評価書の提出を求められることになります。
ここで何も準備をしないまま放置すると、受入れの審査が進まず、人手不足がさらに深刻化するという悪循環に陥ります。工期の遅延が増え、次の受注が取りにくくなり、資金繰りがいっそう厳しくなる——この負の連鎖を断ち切るには、早い段階で客観的な評価書面を用意しておくことが重要です。
特に鉄筋施工会社の場合、職人一人あたりが担う作業範囲が広く、少人数でも現場が回る体制を作れるかどうかが受注量を左右します。外国人材の受入れが遅れるほど、既存の職人への負担が積み重なり、離職という別の問題を招くリスクもあります。企業評価書の準備は、単なる書類対応ではなく、人材確保の遅れそのものを防ぐための取り組みだと捉えることが重要です。
要するに、鉄筋工事店の債務超過は業界構造から生まれやすく、放置すれば受入れ審査と資金繰りの両方が悪化します。逆にいえば、外部要因であることを客観的に説明できれば、審査する側の受け止め方は変わります。次章では、この状況から特定技能を受入れるための具体的な鉄則をお伝えします。
特定技能を受入れる4つの鉄則──企業評価書のサンプルと書き方

債務超過の状態から特定技能の受入れを実現している鉄筋工事店には、共通する4つの鉄則があります。ひとつずつ見ていきましょう。
鉄則1.赤字の理由を、鋼材高騰など外部要因で正確に切り分けて説明する
決算が悪化した理由が「経営判断の失敗」なのか「鋼材価格という外部環境の変化」なのかを、数字で切り分けて説明できるようにしておきます。原材料費率の推移を前期・前々期と比較した資料を用意しておくと、あとの評価書面作成がスムーズになります。
具体的には、案件ごとの受注時単価と実際にかかった鋼材の仕入れ単価を並べ、差額がどれだけ利益を圧迫したかを一覧にしておくと説得力が増します。感覚的な説明ではなく、数字で示すことが第一歩です。
鉄則2.資材高騰分の価格転嫁と受注構成の見直しを、具体的な数値で改善計画に落とし込む
「頑張ります」という精神論ではなく、次のような数値目標を伴う改善計画に落とし込みます。
- 材料費上昇分を反映した見積り単価への改定率
- 利益率の低い受注案件からの段階的な撤退計画
- 資材の一括仕入れによる調達コストの圧縮目標
元請けとの力関係から、一度にすべての単価を改定するのは現実的ではありません。既存案件は段階的に、新規案件は改定後の単価を前提に交渉するなど、時間軸を分けて計画を立てると実行に移しやすくなります。
この改善計画が、次に紹介する企業評価書の「改善の見通し」欄の土台になります。数値目標は高すぎても低すぎても説得力を欠くため、過去数期の実績をふまえた、実現可能な水準に設定することがポイントです。
鉄則3.定期報告・更新のたびに一貫した説明ができる体制を整える
特定技能の定期届出は継続的に発生します。一度だけ評価書面を用意して終わりにせず、決算のたびに同じ考え方で説明できる社内体制を整えておくと、次回以降の更新がスムーズになります。担当者が変わっても対応できるよう、記載の根拠資料を保管しておくことも大切です。
総務担当者が交代した途端に説明の一貫性が崩れ、審査で指摘を受けるケースも見られます。改善計画の進捗を毎期振り返る機会を、決算報告と合わせて社内の年間スケジュールに組み込んでおくと安心です。
鉄則4.中小企業診断士に企業評価書の作成を依頼し、客観的な第三者評価を用意する
最後の仕上げが、外部の専門家による客観的な評価です。「外国人技能実習 企業評価書 サンプル」や「特定技能 企業評価書 サンプル」で検索すると分かるとおり、企業評価書には決まった記載項目があります。一般的な構成イメージは次のとおりです。
| 記載項目 | 主な内容 |
|---|---|
| 企業概要 | 事業内容、沿革、鉄筋施工の実績・体制 |
| 財務状況・債務超過の理由 | 鋼材高騰など外部要因の分析、決算数値の推移 |
| 改善の見通し | 価格転嫁・受注構成見直しなど具体的な改善計画と達成時期 |
※上の表は一般的な構成項目を示したものであり、架空の記載例や数値ではありません。実際の記載内容は、各社の決算内容に応じて中小企業診断士が作成します。
「企業評価書 税理士」で検索して依頼を検討する方もいますが、この書面を作成できるのは中小企業診断士または公認会計士であり、税理士は作成できません。依頼先を誤ると、書面自体が受理されない可能性があるため注意が必要です。
サービスの詳細は、次のページにまとめています。
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鋼材高騰を乗り越え特定技能の受入れで手に入る未来

企業評価書を整え、特定技能の受入れが実現すると、鉄筋工事店の現場は次の3つの軸で変わっていきます。
時間軸:工期の遅延が減り、受注機会を取りこぼさなくなる
人手が確保できることで、着工から竣工までの期間が安定します。工期遅延による違約や信用低下のリスクが下がり、次の案件を安心して受注できるようになります。職人の手配に追われて新規の相談を断っていた状態から、余力を持って商談に臨める状態へと変わっていきます。
数字の軸:安定した生産体制が、価格交渉力の向上につながる
人員体制が整うことで、無理な安値受注を減らし、鋼材高騰分を反映した適正な見積りを出しやすくなります。改善計画で立てた利益率の目標にも近づきやすくなります。目先の案件をこなすだけの経営から、利益を積み上げていく経営へと軸足を移せるようになります。
関係性の軸:金融機関からの信頼が高まり、資金調達の選択肢が広がる
客観的な評価書面をもとに改善に取り組んでいる姿勢を示せることは、金融機関との対話でもプラスに働きます。「行き当たりばったりではなく、計画的に立て直している会社」という印象を与えられます。設備投資や運転資金の相談をするときにも、この積み重ねが後押しになります。
鋼材高騰という逆風の中でも、事業を止めずに前へ進める体制を、共に手に入れましょう。
自社だけで進める限界と、企業評価書に強い中小企業診断士の伴走支援

ここまで読んで、「言っていることは分かるが、自社だけで進めるのは難しそうだ」と感じた方も多いのではないでしょうか。理由は次の3つです。
専門性の壁。企業評価書には、財務状況の分析力と、OTIT(外国人技能実習機構)や出入国在留管理庁が求める書式・記載の勘所の両方が必要です。日々の現場管理をしながら独学で対応するのは容易ではありません。
時間コスト。決算対応、現場の工程管理、職人の手配で手一杯の中、根拠資料をそろえて評価書面を書き上げる時間を確保するのは大きな負担になります。本業の合間に片手間で仕上げようとして、着手が遅れてしまうケースも少なくありません。
判断ミスのリスク。記載内容に不備があると、審査が長期化したり、書面の作り直しを求められたりすることがあります。一度の不備が、受入れ開始の遅れに直結します。独学で作成した書面を提出したあとに指摘を受け、そこから作り直しに時間を取られてしまっては本末転倒です。
だからこそ、企業評価書の作成を中小企業診断士に依頼する経営者が増えています。KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)では、財務状況の分析から改善計画の言語化、企業評価書の作成まで一貫して伴走支援しています。認定経営革新等支援機関として、これまで150社以上の法人支援に携わってきました。
代表の松本昌史は、中小企業診断士に加えてMBA(経営管理修士)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)を保有し、財務の実態把握から改善計画の策定までを一貫して担います。鉄筋工事店特有の受注構造や資金繰りの事情もふまえたうえで、実態に即した企業評価書をまとめます。
「まずは自社の決算が、今の状態で受入れの土台に乗るのかどうかだけでも知りたい」という段階でのご相談も歓迎しています。企業評価書の作成に進む前に、現状を整理するだけでも、次に何をすべきかが見えてきます。
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企業評価書のよくある質問|特定技能・債務超過の疑問を解消

Q.企業評価書とは、どのような書面ですか?
A.実習実施者や監理団体、特定技能所属機関の直近決算が債務超過の場合に、中小企業診断士や公認会計士など公的資格を有する第三者が「改善の見通し」を評価してまとめる書面です。OTIT提出書類の別紙②-1・番号20に該当します。決算内容そのものではなく、そこからどう改善に向かうのかという見通しを示す点が特徴です。
Q.鉄筋工事店の企業評価書に、他社と違う特有の記載事項はありますか?
A.決まった専用フォーマットが業種ごとにあるわけではありません。ただし、鉄筋価格という外部要因の影響度合いや、元請けとの取引構造といった業種特有の事情を、財務状況・改善の見通しの欄でどう説明するかが実務上のポイントになります。
Q.特定技能は債務超過でも受入れできますか?
A.決算が債務超過であることだけを理由に、一律で受入れができなくなるわけではありません。ただし定期届出の「一定の基準」に関わる場面では、客観的な評価書面を求められることがあります。
Q.企業評価書は税理士に依頼できますか?
A.依頼できません。この書面を作成できる公的資格は中小企業診断士または公認会計士に限られます。税理士は作成できないため、依頼先を選ぶ際は注意が必要です。
Q.外国人技能実習の企業評価書のサンプルはありますか?
A.一般的な記載項目のイメージは本文の表でご紹介したとおりです。実際の記載内容は各社の決算・改善計画に応じて個別に作成するものであり、他社の書面をそのまま流用することはできません。
Q.債務超過の理由書は自社で作成してもよいですか?
A.理由書自体を自社で作成すること自体は可能ですが、公的資格者による客観的な評価を求められる場面では、中小企業診断士等が作成した企業評価書があわせて必要になります。
Q.育成就労制度でも同じ書面が必要になりますか?
A.2027年4月に施行が予定されている育成就労制度でも、財産的基礎に関する考え方は技能実習制度の枠組みを踏まえて整理されています。監理支援機関・実習実施者に相当する立場の債務超過が問題になる構造は、現行制度と共通する部分が大きいと考えられます。
Q.企業評価書の作成にはどのくらいの期間がかかりますか?
A.決算内容の分析から改善計画のヒアリング、書面の作成まで一定の期間を要します。定期届出のタイミングから逆算し、余裕をもって早めに相談を始めることをおすすめします。
Q.改善の見通しについて評価を行った書面は、毎回作成が必要ですか?
A.債務超過の状態が続く限り、定期報告・更新のたびに同様の説明を求められる可能性があります。鉄則3でお伝えしたとおり、一度きりで終わらせず、継続して説明できる体制を整えておくことが望ましいといえます。
Q.鋼材価格の高騰はいつまで続きますか?
A.将来の価格動向を断定することはできませんが、日本銀行の企業物価指数などの公的統計を継続的に確認しながら、価格転嫁の仕組みを社内に整えておくことが現実的な備えになります。
Q.企業評価書の依頼から完成までに、社内で何を準備しておけばよいですか?
A.直近数期分の決算書、案件ごとの受注単価と仕入れ単価が分かる資料、今後の受注見込みが分かる資料をそろえておくと、ヒアリングから書面作成までがスムーズに進みます。手元にない資料は、相談の中で整理の仕方から一緒に確認していくことも可能です。
まとめ
鉄筋工事店の債務超過は、鋼材価格という業界共通の外部要因から生まれやすく、経営努力だけでは避けきれない面があります。大切なのは、赤字の理由を正確に説明し、改善計画を数値で示し、中小企業診断士による客観的な企業評価書を用意することです。この4つの鉄則が揃えば、債務超過の状態からでも特定技能の受入れへの道は開けます。
決算書の数字だけを見れば、確かに厳しい状態に映るかもしれません。しかし、その数字の裏側にある事情を客観的な書面で説明できれば、審査する側の見え方は変わります。数字を隠すのではなく、正しく説明するという発想の転換が、最初の一歩になります。この転換を後押しするのが、専門家による客観的な企業評価書です。
人手不足を放置するほど、工期の遅延と受注機会の損失は積み重なります。早めに専門家へ相談し、客観的な評価書面を整えることが、遠回りに見えて最短の道になります。一人で抱え込まず、まずは現状をお聞かせください。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは現状をお聞かせください。
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