
施設園芸業者が特定技能の受入れについて、外国人技能実習機構(OTIT)に相談したところ、「決算が債務超過の状態だと、このままでは受入れの審査が通りません。企業評価書がないと先に進められません」と言われた。
債務超過の原因は、暖房用重油や灯油など燃料費と資材費の高騰にあります。
このまま企業評価書を用意できなければ、今いる特定技能人材・技能実習生の継続雇用すらできなくなります。継続雇用できなければハウスの管理や収穫の人手を確保できず、人手を確保できなければ出荷量を維持できず、売上は作れません。最悪の場合、経営そのものが立ち行かなくなります。
9月は多くの会社にとって上期末にあたり、上期の数字がちょうど固まる時期です。施設園芸の経営でも、燃料費(重油・灯油)や資材費の高騰が決算にどう響いたかが見え始め、下期の対策を考え始める頃ではないでしょうか。
「特定技能や外国人技能実習で人手を確保したいのに、決算が債務超過では受入れ審査が通らないのでは」——そう感じている社長・経営管理担当の方は、あなただけではありません。燃料費や資材費の高騰は施設園芸業界に広く起きている構造的な問題であり、あなたの経営努力が足りないわけではないのです。
- 重油・灯油の高騰で今期の決算が赤字になりそうな方
- 債務超過で特定技能の受入れ審査が不安な方
- 企業評価書を誰に頼めばいいか分からない方
- 施設園芸で人手が足りず外国人材を急ぎたい方
- 施設園芸が赤字・債務超過に陥る本当の理由
- 企業評価書に何を書けば審査を通せるか
- 企業評価書のサンプル・記載項目の具体像
- 特定技能の受入れで会社がどう変わるか
- 自社だけで進める際のリスクと専門家に頼るタイミング
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施設園芸の重油高騰が招く赤字・債務超過と企業評価書の実務

結論から言うと、施設園芸の赤字・債務超過は、経営が下手だからではなく「燃料費・資材費・天候」という3つの外部要因が重なった結果であることがほとんどです。ポイントは3つあります。
| 要因 | 施設園芸への影響 |
|---|---|
| 暖房用の重油・灯油の高騰 | ビニールハウスは冬季の暖房費が経費の大きな割合を占め、燃料単価の上昇がそのまま利益を圧迫する |
| ビニール・段ボール等の資材費上昇 | ハウスの被覆資材や出荷用の梱包資材の価格が上がり、価格転嫁が追いつかない |
| 天候不順による収量・単価の変動 | 猛暑や日照不足で収量が落ち込むと、固定費(燃料・人件費)だけが先に出ていく |
農林水産省の調査でも、施設園芸経営における燃料費の負担増加が繰り返し指摘されています。特に重油依存度の高いハウス栽培・露地野菜栽培の法人ほど、燃料費の変動が経営を直撃しやすい構造にあります。
施設園芸の中でも、特に「特に多い会社」として挙げられるのが、冬季にビニールハウスで加温栽培を行う施設園芸法人と、露地野菜栽培を手がける農業法人です。前者は暖房用の重油代がそのまま利益を左右し、後者は天候不順による収量変動の影響を受けやすいという違いがありますが、どちらも「原材料費が経営を圧迫し、決算が赤字・債務超過に近づく」という構図は共通しています。
この赤字・債務超過という数字が問題になるのは、特定技能や外国人技能実習(育成就労)で外国人材を受け入れる際、直近期末の貸借対照表が債務超過だと、原則として「改善の見通しについて評価を行った書面」(通称・企業評価書)の提出を求められるからです。これはOTIT(外国人技能実習機構)提出書類の別紙②-1・番号20にあたり、育成就労制度(2027年4月施行予定)に移行しても、同じ考え方の財産的基礎の確認が続く見込みです。
「重油代の高騰は自社だけの責任ではないのに、なぜ財務状況まで審査されるのか」と感じる経営者も少なくありません。ただし、これは施設園芸に限った話ではなく、原材料費・エネルギー価格が高騰した業種全般に共通する審査の考え方です。審査側が見ているのは「今、赤字かどうか」だけでなく、「その赤字が一時的なものか、改善の見通しがあるのか」という点です。だからこそ、企業評価書というかたちで、客観的な改善の見通しを示すことが重要になります。
日本銀行が公表する企業物価指数を見ても、燃料関連の価格は年ごとの変動が大きく、施設園芸のように燃料使用量の多い業種ほど、決算への影響を受けやすい状況が続いています。こうした外部環境の変化は、経営者の努力だけでコントロールしきれるものではありません。だからこそ、企業評価書では「なぜ赤字・債務超過になったのか」という外部要因を正しく説明し、そのうえで「どう改善していくのか」という自社の打ち手を示すという、2段構えの説明が求められます。
この企業評価書は、中小企業診断士または公認会計士という、企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格者だけが作成できます。税理士は決算書の作成や税務の専門家ではありますが、この企業評価書の作成資格には含まれていません。ここを取り違えると、審査直前になって作成先が見つからず慌てることになります。
放置した場合の悪化シナリオも見ておきましょう。債務超過のまま何も手を打たずに申請すると、審査側から追加資料や説明を求められ、受入れ予定が数か月単位で後ろ倒しになるケースがあります。人手不足が深刻な施設園芸では、この遅れが収穫期の労働力確保に直結し、収量そのものに影響しかねません。だからこそ、赤字・債務超過が見えた時点で、早めに企業評価書の準備に着手することが重要です。
さらに見落とされがちなのが、特定技能の受入れ後に求められる定期報告への影響です。受入れ時だけでなく、その後の運用期間中も財務状況が確認される場面があり、「受入れさえ実現すればそれで終わり」ではないという前提で、継続的な財務改善に取り組む姿勢が求められます。
企業評価書のサンプルと書き方|特定技能受入れの3つの手順

ここからは、施設園芸の会社が特定技能の受入れに向けて企業評価書を用意するまでの、実務的な3つの手順を解説します。抽象論ではなく、実際にどう動けばよいかを順番に見ていきます。
手順1 自社の財務状況を正しく棚卸しする
まず直近期の貸借対照表を見て、純資産がマイナス(=債務超過)になっていないかを確認します。重油代の高騰が響いた期だけ一時的に赤字になった場合と、複数期にわたり債務超過が続いている場合とでは、企業評価書に書くべき内容が変わってきます。
あわせて、なぜ債務超過に至ったのかという原因も棚卸ししておきましょう。「重油代が前年比でどれだけ上がったか」「資材費・人件費のうちどの費目が特に増えたか」を数字で押さえておくと、後の企業評価書の作成が格段にスムーズになります。この段階を飛ばしていきなり専門家に依頼すると、ヒアリングだけで余計な時間がかかってしまうので注意が必要です。
手順2 中小企業診断士に企業評価書の作成を依頼する
次に、企業評価書(改善の見通しについて評価を行った書面)の作成を、中小企業診断士など公的資格を持つ専門家に依頼します。自社の言い分だけで書いた書面より、第三者の客観的な評価のほうが審査側の信頼を得やすいのが、この書面が求められている理由そのものです。
依頼する際は、決算書(直近2〜3期分)と、手順1で整理した「債務超過に至った理由」のメモを渡すと、やり取りがスムーズです。改善の見通しの部分は、燃料費の削減策・栽培品目の見直し・出荷先の分散といった、施設園芸ならではの現実的な打ち手を盛り込むことで、より説得力のある書面になります。
手順3 監理団体・登録支援機関と受入れスケジュールを調整する
企業評価書ができたら、監理団体(育成就労では監理支援機関)や登録支援機関と連携し、OTITへの提出書類一式を整えます。企業評価書はあくまで書類一式の一部であり、他の必要書類とあわせて準備する意識を持つことが大切です。
特に施設園芸は、収穫・出荷の繁忙期に合わせて人員を配置したいという事情があります。企業評価書の作成には一定の準備期間がかかるため、繁忙期の直前になって慌てないよう、決算が固まった段階で早めに動き始めることをおすすめします。
「企業評価書のサンプルを見てから頼みたい」という声もよくいただきます。架空の記載例をそのまま公開することはできませんが、一般的に企業評価書に盛り込む構成項目は次のとおりです。
| 記載項目 | 内容の目安 |
|---|---|
| 企業概要 | 事業内容・沿革・従業員数など会社の基本情報 |
| 財務状況と債務超過に至った理由 | 燃料費・資材費の高騰など、赤字・債務超過の背景となった客観的な事実 |
| 改善の見通し | 収益改善の具体策と、今後の財務見通しについての評価者の所見 |
| 評価者の資格・所見 | 中小企業診断士等としての客観的な評価コメント |
この企業評価書のフォーマット・ひな形をゼロから自社で用意しようとすると、記載項目の抜け漏れや、審査側が求める客観性を欠いた内容になりがちです。特に「改善の見通し」の部分は、単なる願望ではなく、燃料費の削減策や資材の共同購入、栽培品目の見直しといった、実行可能な打ち手として書けるかどうかで説得力が大きく変わります。詳しくは次のページにまとめています。
外国人技能実習・特定技能の企業評価書について 社長やご担当者の方へ。“あなた”は今、このようなお悩みを抱えていませんか。 外国人技能実習制度を活用したいが、企業評価書の作成方法が分からないという方 特定技能外国人の受入れにあたり、経営改善の見通しについて評価が必要だと言われた方 ...
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重油高騰を乗り越え特定技能の受入れで手に入る未来

企業評価書を整え、債務超過という壁を越えて特定技能の受入れが実現すると、施設園芸の現場は具体的に3つの軸で変わります。
1つ目は数字の軸です。収穫・出荷の繁忙期に必要な人数を確保できれば、収穫のタイミングを逃さず出荷でき、収量に応じた売上をきちんと取りにいけるようになります。
2つ目は時間の軸です。社長や経営管理担当が現場の人繰りに追われる時間が減り、燃料費の削減策や販路の見直しなど、経営そのものに時間を使えるようになります。これまで「人が足りないから今日をどう乗り切るか」に追われていた時間が、「来期をどう黒字化するか」を考える時間に置き換わっていきます。
3つ目は関係性の軸です。安定した人員体制は、取引先の量販店や卸先に対しても「安定供給できる会社」という信頼につながります。監理団体・登録支援機関との関係も、企業評価書を整えて誠実に対応した実績が、次回の更新審査での信頼にもつながっていきます。
これらの3つの軸は、それぞれ独立した話ではありません。人手が安定すれば収穫のタイムロスが減り、経営者の時間が生まれ、その時間で取引先との関係づくりに動ける、という好循環になります。逆に人手不足のまま放置すれば、収穫の遅れ・出荷量の減少・取引先からの信頼低下という悪循環に陥りかねません。企業評価書という一枚の書面が、この好循環と悪循環の分かれ目になると考えると、その重要性が見えてくるはずです。
燃料費高騰という逆風の中でも、正しい手順を踏めば、施設園芸の経営は着実に前に進めます。この安定した経営基盤を、共に手に入れましょう。
自社だけで進める限界と、企業評価書に強い中小企業診断士の伴走支援

ここまで読んで「自社だけでも何とかなりそうだ」と感じた方もいるかもしれません。ただし、企業評価書には専門性の壁があります。
企業評価書は、単に赤字の理由を並べるだけの書面ではありません。審査側が納得できる客観性と、財務の改善見通しを裏付ける論理構成が求められます。これを自己流で作成すると、内容が主観的になり、かえって審査を長引かせるリスクがあります。
また、通常業務と並行して企業評価書の作成に取り組むと、収穫期・出荷期の繁忙と重なり、時間的な負担も無視できません。判断を誤りやすいのが「とりあえず簡単な書面で済ませよう」という発想です。内容が薄い企業評価書は、かえって審査側の疑問を招き、追加の説明を求められて受入れが遅れる原因になります。だからこそ、企業評価書に強い中小企業診断士に伴走を依頼する経営者が増えています。
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、法人支援実績150社以上、認定経営革新等支援機関(中小企業庁)として、外国人技能実習・特定技能の企業評価書作成を数多くサポートしてきました。代表の松本昌史は中小企業診断士・MBA(経営管理修士)であり、財務の見立てから改善の見通しの整理まで、施設園芸業の実情に合わせて一気通貫でご支援します。
単に書面を作って終わりではなく、燃料費・資材費のコスト構造を見える化し、どこに手を打てば利益が残る経営に変わるのかという管理会計の視点まで踏み込んでご提案します。企業評価書の作成は、あくまで「経営を立て直す入り口」として活用いただくのが、私たちの基本スタンスです。
施設園芸のように季節・天候の影響を受けやすい業種では、単年度の数字だけを見て一喜一憂しても、根本的な解決にはなりません。複数期の数字の推移を見ながら「どの費目が構造的に増えているのか」「どこまでが一時的な要因か」を切り分けることが、改善の見通しを説得力あるものにする鍵です。私たちは、この切り分けの作業から一緒に伴走します。
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企業評価書のよくある質問|特定技能・債務超過の疑問を解消

Q. 企業評価書とは何ですか?
A. 外国人技能実習・特定技能の受入れにあたり、直近期末が債務超過の企業に提出が求められる「改善の見通しについて評価を行った書面」の通称です。中小企業診断士または公認会計士が作成します。
Q. 施設園芸業でも債務超過だと特定技能の受入れはできませんか?
A. 債務超過が直ちに受入れ不可を意味するわけではありません。企業評価書を提出し、改善の見通しを客観的に示すことで、受入れの可能性を残せます。
Q. 企業評価書は税理士に頼めますか?
A. 頼めません。決算書の作成や税務相談は税理士の領域ですが、企業評価書の作成は中小企業診断士または公認会計士に限られます。
Q. 企業評価書のサンプル・ひな形はありますか?
A. 会社ごとに財務状況が異なるため、汎用のひな形をそのまま使うことはできません。企業概要・債務超過の理由・改善の見通しといった構成項目に沿って、会社の実情に合わせて作成します。
Q. 外国人技能実習と特定技能で企業評価書の扱いは違いますか?
A. どちらも直近期末が債務超過の場合に同様の考え方で企業評価書の提出が求められます。育成就労制度(2027年4月施行予定)に移行しても、財産的基礎を確認する考え方は続く見込みです。
Q. 特定技能の定期報告でも債務超過は確認されますか?
A. 定期報告の枠組みでは「過去3年間に債務超過となっていない法人」であるかが、報告の簡素化に関わる基準の1つとして扱われています。詳しい適用条件は個別に確認が必要です。
Q. 監理団体・監理支援機関にも企業評価書は関係しますか?
A. 監理団体・監理支援機関自体の財産的基礎の確認でも、同様に企業評価を行った書面が求められる場合があります。受入れ企業側の企業評価書とは別の論点として押さえておくとよいでしょう。
Q. 企業評価書は自社で作成してはいけませんか?
A. 自社で作成した書面は、審査側が求める客観性を欠くと判断されるおそれがあります。公的資格を持つ第三者による評価という位置づけそのものが、この書面の意味だからです。
Q. 企業評価書の作成にはどれくらいの期間がかかりますか?
A. 会社の財務資料の整い方や決算内容の複雑さによって変わります。収穫期など繁忙期に入る前に、早めに相談を始めておくと余裕を持って準備できます。
Q. 育成就労制度への移行後も企業評価書は必要になりますか?
A. 2027年4月施行予定の育成就労制度でも、監理支援機関・受入れ企業の財産的基礎を確認する考え方は引き継がれる見込みです。制度の呼び名が変わっても、債務超過であれば客観的な評価書面が求められる方向性は変わらないとみておくべきでしょう。
Q. 企業評価書と一緒に用意しておくべき書類はありますか?
A. 直近の決算書一式に加え、債務超過に至った理由をまとめたメモや、今後の改善策の骨子があると、企業評価書の作成がスムーズです。監理団体・登録支援機関から別途求められる書類とあわせて、早めにリストアップしておくとよいでしょう。
Q. 露地野菜栽培でも施設園芸と同じように企業評価書は必要ですか?
A. 露地野菜栽培の農業法人でも、直近期末が債務超過であれば、施設園芸と同様に企業評価書の提出を求められます。燃料費よりも天候不順による収量変動が赤字の主因になりやすいという違いはありますが、企業評価書に求められる考え方そのものは変わりません。
まとめ
重油・資材の高騰による赤字・債務超過は、施設園芸業に広く起きている構造的な問題であり、経営者一人の責任ではありません。大切なのは、その事実から目をそらさず、企業評価書という客観的な書面で「改善の見通し」を正しく示すことです。
企業評価書を整えることは、単に審査を通すためだけの作業ではありません。自社の財務課題を専門家と一緒に見つめ直し、次の一手を明確にする機会でもあります。人手不足の施設園芸だからこそ、特定技能の受入れという選択肢を早めに整えておく価値があります。
「重油代が上がったから仕方ない」で思考を止めるのではなく、「その中でどう利益を残す構造に変えるか」まで踏み込んで初めて、経営は前に進みます。企業評価書はそのための出発点であり、ゴールではありません。まずは今の決算状況を客観的に整理するところから、始めてみませんか。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは今の状況だけでもお聞かせください。
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