完成工事高は順調に伸びてきた。創業から積み上げた利益が、決算書の純資産にそのまま残っている。
ところが顧問税理士から自社株の評価額を聞かされ、言葉に詰まった。「この株を、息子はどうやって受け取るのか」——そんな戸惑いを抱えてはいないでしょうか。
結論から申し上げます。建設業の事業承継は、株価の高さそのものより、向き合う順番で結果が変わります。
地場のゼネコンや地域の建設会社は、業種の特性として自社株の評価が膨らみやすい構造にあります。
そのまま何年も先送りすると、後継者が株を受け取れない状態になりかねません。会社は残っても、経営権が分かれてしまいます。
- 自社株の評価額に驚いた建設会社の社長の方
- 息子や娘への承継を考え始めた方
- 後継者の資金負担が心配な経営者の方
- 何から手をつけるか分からない方
- 建設業許可の引き継ぎが気になる方
- 建設業で自社株の評価が膨らみやすい理由
- 株価が高いと後継者が受け取りにくくなる構造
- 自社株評価と向き合う4つの判断軸と、その順番
- 事業磨きで会社の本質的な価値を高める考え方
- 税理士・行政書士・診断士の役割の切り分け方
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、中小企業診断士・事業承継士として、法人支援150社以上の実績で承継の全体設計に伴走してきました。
読み終えるころには、来週どの資料を机に並べればよいかが分かります。
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建設業の事業承継で自社株の評価が膨らみやすい理由と、先送りした先に起きること

結論を先に述べます。建設業は、業績が良い会社ほど自社株の評価が重くなりやすい業種です。
理由は、完成工事高の規模と、厚く積み上がった内部留保にあります。どちらも会社の健全さの証しですが、株価には上向きに働きます。
この記事が前提にするのは親族内承継です。子や親族に会社を引き継ぐ場面を想定しています。
事業承継とは何を引き継ぐことか
事業承継とは、会社の経営権・資産・目に見えない強みを、次の世代へ引き継ぐことです。社長の椅子を渡すだけではありません。
引き継ぐ中身は、大きく3つに分かれます。
- 人の承継 └ 代表者の交代、後継者の育成
- 資産の承継 └ 自社株、事業用の土地・建物、機械
- 知的資産の承継 └ 技術者、施工ノウハウ、発注者との関係
そして親族内承継とは、子・配偶者・兄弟姉妹など親族の中から後継者を選び、会社を引き継ぐ方法のことです。
地域の建設会社では、いまも親族内承継が中心です。地元での信用が代表者個人と結びついているためです。
建設業という業種が自社株の評価を押し上げる4つの事情
自社株評価とは、取引相場のない株式について、贈与や相続の場面で1株あたりの価額を計算することです。
建設業には、その計算結果を押し上げやすい事情がそろっています。
| 建設業の特性 | 自社株の評価に働く向き |
|---|---|
| 完成工事高が大きい | 会社の規模区分が大きく判定されやすい |
| 利益を内部留保に回してきた | 純資産が厚くなり、評価の土台が上がる |
| 経営事項審査を意識して自己資本を厚くする | 意図せず株価も一緒に上がっていく |
| 作業所・車両・重機・社宅を保有する | 含み益が評価に反映されることがある |
完成工事高とは、その期に完成し引き渡した工事の売上高のことです。建設業の決算書では、一般の売上高にあたる科目として使われます。
経営事項審査に向けて自己資本を厚くする経営は、正しい判断です。ただ、その努力は自社株の評価にもそのまま効いてきます。
良い会社を作る努力が、そのまま承継の重さになる。これが建設業の事業承継の入口にある悩みです。
株価が高いほど後継者が受け取りにくくなる構造
株価が上がると、贈与税や相続税の負担も重くなります。負担を背負うのは、渡す側ではなく受け取る側です。
後継者である息子や娘に、その資金があるとは限りません。役員報酬から捻出できる額には限りがあります。
結果として、次のような回避行動が起こります。
- 渡す株数を減らし、社長が過半数を持ち続ける
- 兄弟や親族に少しずつ分けて、負担を薄める
- 判断を先に延ばし、そのまま何年も過ぎる
どれも、その場では合理的に見えます。しかし数年後には、経営権が分かれた会社が残ります。
先送りした先に起きること
先送りの怖さは、静かに進む点にあります。表面上は何も起きないまま、選べる道だけが減っていきます。
放置したときに起きやすいこと
- 業績の伸びとともに株価が上がり、負担がさらに重くなる
- 相続が先に起きて、株が複数の相続人に分かれる
- 経営に関わらない親族が株主として残る
- 社長個人の連帯保証が整理されないまま引き継がれる
- 後継者が資金の重さを理由に承継をためらう
とくに株式の分散は、あとから元に戻すのが難しい問題です。買い戻すにも資金と交渉がいります。
建設業では、経営業務の管理責任者や監理技術者といった人の要件も関わります。代表者の交代は、許可の維持とも切り離せません。
要するに、建設業の事業承継は「株の話」と「会社を続ける話」が同時に動きます。だからこそ、向き合う順番が要ります。
建設業の事業承継|自社株評価と向き合う4つの判断軸

結論を先に述べます。自社株の評価に向き合うときは、次の4つの判断軸を順番どおりに使います。
- 評価の前提を知る
- 承継の時期を決める
- 事業磨きで本質的な価値を高める
- 専門家の役割を分ける
順番には理由があります。前提を知らないまま時期を決めると、根拠のない先延ばしになるからです。
判断軸1 評価の前提を知る
最初にすることは、株価を動かすことではありません。自社の株がどういう考え方で評価されるのかを知ることです。
取引相場のない株式の評価には、代表的な2つの考え方があります。
| 方式 | どういう考え方か |
|---|---|
| 類似業種比準方式 | 上場している同じ業種の会社の株価を物差しにして、自社の配当・利益・純資産と比べながら評価する考え方 |
| 純資産価額方式 | 会社の資産と負債を相続税の評価に置き直し、会社を今たたんだらいくら残るかという発想で評価する考え方 |
どちらをどう使うかは、会社の規模区分などによって決まります。規模区分の判定には、従業員数や取引金額といった要素が関わります。
建設業は完成工事高が大きくなりやすいため、規模の判定でも上のほうに位置づけられやすい業種です。
この記事では、評価方式の考え方だけを説明しています。個別の計算や、評価額そのものの取扱いは税理士の領域です。実際の数字は、必ず顧問税理士に確認してください。
社長がここで得るべきものは、正確な金額ではありません。「自社の株は何によって動くのか」という感覚です。
この感覚があると、決算のたびに承継の重さがどう変わるかを、自分の言葉で説明できるようになります。
判断軸2 承継の時期を決める
次に決めるのは時期です。株価は毎期の業績や資産の状況で動くため、「いつ渡すか」は結果を左右します。
ただし、株価だけを見て時期を決めるのは危険です。大型工事の完成期や、機械の入替え時期とも重なります。
時期を考えるときは、次の3点を並べて見ます。
- 会社の予定 └ 大型案件、設備投資、借入の返済計画
- 後継者の準備 └ 現場経験、資格、社内の合意
- 制度の期限 └ 使う可能性のある制度の期日
制度の期限では、事業承継税制の特例措置に注意が必要です。ここは誤解が多い部分です。
| 何の期限か | 期日と見通し |
|---|---|
| 特例承継計画の提出期限(法人版) | 令和9年(2027年)9月30日。省令改正で延長された |
| 贈与・相続を実行する期限 | 令和9年(2027年)12月31日。延長されない見込み |
「計画の提出期限が延びたから、まだ余裕がある」という理解は誤りです。実際の贈与や相続が期日までに済んでいなければ、特例は使えません。
また、この制度は税を免除するものではなく、納税を猶予するものです。要件を満たさなくなれば、猶予が打ち切られることもあります。
使えるかどうかは会社ごとの要件しだいです。「必ず使える制度」として計画を立てないでください。
建設業許可や経営事項審査の扱いも、時期の検討に含めます。令和2年の改正建設業法により、事前に認可を受ければ許可を引き継ぐ道が開かれました。
相続の場合は、被相続人の死亡後30日以内に認可の申請を行う必要があります。手続の詳細と要件の確認は、許認可を扱う行政書士の領域です。
判断軸3 事業磨きで本質的な価値を高める
3つ目が、この記事でいちばんお伝えしたい軸です。株価の話に閉じこもらず、会社そのものを磨きます。
事業磨きとは、会社の稼ぐ力と続く力を高め、後継者が引き継ぎたいと思える状態に整えることです。中小企業庁の資料でも「磨き上げ」として示されている考え方です。
建設業の事業磨きは、次の観点で進めます。
- 受注構成を整える └ 公共と民間、元請と下請の比率を把握し、偏りを直す
- 原価管理を仕組みにする └ 実行予算と実績の差を工事ごとに見える化する
- 技術者を計画的に育てる └ 資格取得の年次計画と、配置の余力を持つ
- 協力会社との関係を残す └ 社長個人の付き合いを、会社の関係に置き換える
- 財務の質を上げる └ 未成工事や滞留債権を整理し、実態を正しく映す
ここで大切なのは目的の置き方です。事業磨きは株価を操作するための作業ではありません。
後継者が受け取ったあと、その会社で利益を出し続けられるかどうか。判断の基準はそこに置きます。
実際、事業磨きが進んだ会社では、後継者の顔つきが変わります。「継がされる」から「継ぎたい」へ変わるからです。
金融機関の見方も変わります。工事ごとの採算が説明できる会社は、代表者が交代しても評価が続きやすくなります。
この観点をまとめて設計するのが、建設業の事業承継コンサルティングで扱う領域です。株式・保険・後継者育成を一つの計画に束ねます。
判断軸4 専門家の役割を分ける
4つ目は、誰に何を頼むかの整理です。承継が止まる原因の多くは、ここの曖昧さにあります。
| 専門家 | 担う領域 |
|---|---|
| 税理士 | 個別の税務判断、税額の計算、税務申告 |
| 司法書士 | 役員変更や本店移転などの登記 |
| 行政書士 | 建設業許可、経営事項審査などの許認可手続 |
| 弁護士 | 法律判断、株主間の紛争、契約の整理 |
| 中小企業診断士・事業承継士 | 承継全体の設計、事業磨き、後継者育成の伴走 |
税額の計算や申告は、税理士でなければできません。この記事も、評価の考え方までにとどめています。
一方で、誰が全体の順番を決めるのかは決まっていません。ここが空いたままだと、それぞれが正しい仕事をしていても計画が進みません。
KICKは中小企業診断士・事業承継士として、この全体設計の役を担います。他の専門家の仕事を置き換えるものではありません。
共通の敵は人ではなく、バラバラのまま時間だけが過ぎる状況です。
ここまでの4つを順に踏めば、株価に振り回されない承継の道筋が見えてきます。
4つの判断軸を自社に当てはめる場面では、遠慮なくご相談ください。売り込みは一切なく、その場での契約もありません。話を聞くだけで終えていただいて構いません。
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建設業の事業承継が整った会社が手に入れる3つの未来

4つの判断軸を踏んだ会社には、共通して現れる変化があります。3つの軸で具体的に見ていきます。
未来1 後継者が迷わず引き受けられる
いちばん大きな変化は、後継者の腹が決まることです。理由は単純で、見通しが立つからです。
株をいつ、どれだけ受け取るのか。資金はどう用意するのか。会社としてどこまで支えるのか。
この3点が紙になっているだけで、後継者の不安は大きく減ります。話し合いの場も、感情論から計画の議論に変わります。
現場でよく起きるのは、親子で同じ心配を別々に抱えている状態です。社長は「重い荷物を背負わせたくない」と考え、後継者は「相談してもらえない」と感じています。
計画が言葉になると、この行き違いが解けます。承継の話が、家族の会話として成立するようになります。
未来2 会社の信用が途切れない
2つ目は、対外的な信用が続くことです。建設業では、この点がとくに重く効きます。
発注者は、代表者が代わったあとも同じ品質で工事が進むかを見ています。金融機関は、返済の見通しが続くかを見ています。
経営事項審査とは、公共工事の入札に参加する建設業者が受ける客観的な審査のことです。経営規模や経営状況などが点数として示されます。
承継の設計に許可と審査の段取りを組み込んでおけば、代表者交代の前後で手続が滞りにくくなります。
協力会社との関係も同じです。社長個人の信頼で保たれていた関係が、会社の関係として引き継がれます。
未来3 家族と従業員が安心して働ける
3つ目は、周囲の安心です。承継の話は、社長と後継者だけの問題ではありません。
株式が分散しないよう整理されていれば、経営に関わらない親族が株主として残る事態を避けやすくなります。相続をめぐる家族の対立も起きにくくなります。
従業員にとっても意味があります。誰が次の代表になるのかが早めに共有されると、若手の定着が良くなります。
職人の高齢化が進むなかで、「この会社は10年後もある」と思えることは、採用でも強みになります。
納税資金や自社株の買取資金をどう準備するかも、この段階で整理します。法人保険を使う場面もありますが、目的は守ることであって、削ることではありません。
会社と家族と従業員が、それぞれの場所で安心して次を見られる状態。その状態を共に手に入れましょう。
自社だけで建設業の事業承継を進める限界と、KICKの支援

結論から述べます。自社だけで進めると、多くの会社が同じ場所で止まります。
止まる理由は能力ではありません。日々の現場が回っているからです。
自社だけで進めたときにぶつかる壁
- 着手が遅れる └ 工期と資金繰りが優先され、承継は後回しになる
- 話がつながらない └ 税理士・保険担当者・後継者がそれぞれ別の前提で話す
- 順番が決まらない └ 何から手をつけるかを決める人がいない
- 家族に切り出せない └ 相続の話題になるため、社長が言い出しにくい
- 後継者が言えない └ 資金の不安を、親である社長に相談できない
とくに多いのが2つ目です。それぞれの専門家は正しい助言をしています。ただ、束ねる人がいないため計画になりません。
KICKが担う役割
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、中小企業診断士・事業承継士として承継の全体設計に伴走します。認定経営革新等支援機関でもあります。
具体的には、次の役を引き受けます。
- 現状の整理 └ 株主構成、後継者の状況、許可と審査の状況を一枚にまとめる
- 順番の設計 └ 4つの判断軸に沿って、いつ何を決めるかの工程を引く
- 事業磨きの伴走 └ 受注構成と原価管理を、後継者と一緒に整えていく
- 専門家との橋渡し └ 税理士・行政書士・司法書士と同じ前提を共有する
- 保険の再設計 └ 事業承継専属の保険代理店として、契約の目的を点検する
保険については、削ることを目的にしません。承継の局面で契約の役割が合っているかを点検し、守るために整え直します。
削りすぎれば、万一のときに事業の継続や家族の生活に影響が出ます。過剰と不足の両方を見ます。
法人支援150社以上の実績のなかには、地域の建設会社も含まれます。現場の言葉で話せることを大切にしています。
相談したからといって、契約する義務は一切ありません。その場での契約や、しつこい営業もありません。話が合わなければ、お断りいただいて構いません。まずは現状をお聞かせください。
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建設業の事業承継と自社株評価のよくある質問

Q. 建設業の事業承継は、いつから準備を始めればよいですか
A. 社長が60歳になる前から始めるのが安心です。準備には、後継者の育成期間も含まれるためです。
株の移転だけなら短期間でも進みます。しかし現場を任せられる状態になるには、数年単位の時間がかかります。
まずは株主名簿と直近3期分の決算書を並べ、現状を書き出すところから始めてください。
Q. 自社株の評価は誰に頼めばよいですか
A. 贈与税や相続税の計算に使う評価額は、税理士に依頼します。税務の個別判断は税理士の領域だからです。
診断士が扱うのは、その評価額をどう受け止め、承継の順番にどう反映するかという部分です。役割が重なるわけではありません。
まずは顧問税理士に「現時点の株価の目安」を尋ねてみてください。そこが出発点になります。
Q. 自社株の評価を出してもらう費用はどれくらいかかりますか
A. 依頼先や会社の規模によって幅があるため、一律の金額はありません。まずは見積りを取ってください。
顧問契約の範囲に含まれる場合もあります。決算の打合せのときに確認すると、話が早く進みます。
KICKの初回相談は無料です。費用の見当をつける段階でも、お使いいただけます。
Q. 後継者に株を受け取る資金がない場合はどうすればよいですか
A. 資金の準備方法と、渡し方の設計を分けて考えます。両方を同時に検討すると、選べる道が広がります。
資金面では、役員退職慰労金や法人保険を使った準備が候補になります。渡し方では、贈与の進め方や制度の活用が候補になります。
どの組み合わせが合うかは会社ごとに違います。まずは必要な金額の規模を、税理士と一緒に把握してください。
Q. 事業承継税制は建設業でも使えますか
A. 業種を理由に使えないという制度ではありません。ただし要件を満たすかどうかは、会社ごとの判断になります。
この制度は税を免除するものではなく、納税を猶予するものです。要件を満たさなくなれば、猶予が打ち切られることもあります。
特例措置を考えるなら、令和9年(2027年)12月31日までに贈与や相続を実行する必要があります。適用の可否は税理士に確認してください。
Q. 特例承継計画の提出期限が延びたと聞きました。急がなくてよいのですか
A. 急ぐ必要があります。延びたのは計画の提出期限であって、贈与や相続を実行する期限ではありません。
提出期限は令和9年(2027年)9月30日です。一方で実行の期限は令和9年(2027年)12月31日で、延長されない見込みです。
計画だけ出しても、実行が間に合わなければ特例は使えません。逆算して段取りを組んでください。
Q. 建設業許可は後継者にそのまま引き継げますか
A. 自動では引き継がれません。令和2年の改正建設業法により、事前に認可を受ければ引き継げる道が整いました。
相続の場合は、被相続人の死亡後30日以内に認可の申請を行う必要があります。期限が短い点に注意してください。
要件と手続の詳細は、許認可を扱う行政書士に確認するのが確実です。承継の計画にこの段取りを組み込んでおきます。
Q. 経営事項審査の点数は代表者が代わると下がりますか
A. 代表者の交代そのものが直接の減点になるわけではありません。ただし承継の進め方によって、影響が出る場面はあります。
完成工事高の実績や技術者の在籍状況は、審査の内容に関わります。承継のタイミングで人員が抜けると、結果に響くことがあります。
審査の申請時期と、代表者交代の時期を並べて確認してください。実務は行政書士と相談しながら進めます。
Q. 兄弟に株が分散しています。まとめるべきですか
A. 経営を担う後継者へ集約する方向で検討する価値があります。議決権が分かれたままだと、重要な決定が滞るためです。
ただし、買い集めには資金と話し合いがいります。感情的な対立を招くと、かえって時間がかかります。
まず株主名簿で現状を正確に把握してください。そのうえで、順番と伝え方を設計します。
Q. 事業磨きとは、具体的に何から始めればよいですか
A. 工事ごとの採算を見える化することから始めてください。原価管理は、建設業の事業磨きの土台になります。
実行予算と実績の差を工事単位で並べると、儲かる仕事と苦しい仕事がはっきりします。受注の判断基準もそこから作れます。
直近1年分の完成工事について、粗利の一覧を作るのが最初の一歩です。後継者と一緒に作ると、育成にもつながります。
まとめ

建設業の事業承継は、完成工事高の大きさと厚い内部留保という業種特性から、自社株の評価が膨らみやすい構造にあります。
株価が高いほど、受け取る後継者の負担は重くなります。だからこそ、向き合う順番が結果を分けます。
本記事でお伝えした判断軸は4つです。
- 評価の前提を知る └ 類似業種比準方式と純資産価額方式の考え方を押さえる
- 承継の時期を決める └ 会社の予定・後継者の準備・制度の期限を並べて見る
- 事業磨きで本質的な価値を高める └ 受注構成と原価管理から着手する
- 専門家の役割を分ける └ 税額の計算と申告は税理士、許認可は行政書士
株価は結果であり、目的ではありません。目的は、後継者が引き継ぎたいと思える会社を渡すことです。
親族内承継は、地域の建設会社にとって今も現実的な道です。準備の時間さえあれば、選べる道は残ります。
先送りしても、株価は待ってくれません。まずは株主名簿と決算書を机に並べ、現在地を書き出すところから始めてください。
一人で抱え込まず、まずは話してみるところからで構いません。ご相談いただいても売り込みは一切なく、その場でのご契約もありません。合わなければお断りください。
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