
宮城フィッシャリー・フーズ協同組合から、「直近2期の決算が債務超過となっているため、改善の見通しについて評価を行った書面(企業評価書)を提出していただかない限り、次期の技能実習計画の認定を受けることができません」と告げられた。
そう言われても、社内に頼れる中小企業診断士の知り合いはいない。企業評価書がどのようなものかも、誰に相談すればいいのかも分からず、手が止まってしまった——そんなご相談が、飲料・乳製品工場の総務担当者から数多く届いています。
下期に入り、最低賃金の改定も重なって人件費が上がっていくこの時期、原料の生乳や果汁、砂糖の仕入れ値の上昇も止まりません。年末調整の準備で慌しくなる前に、決算の見通しを一度整理しておきたいと感じている方もいるのではないでしょうか。
飲料・乳製品工場では、生乳・果汁・砂糖といった原材料と、PETボトル・アルミ缶・段ボールといった包材の、いわば「二重の原価高騰」に直面しやすいという構造があります。
しかも大手小売のプライベートブランド(PB)や自動販売機事業者との取引が売上の大半を占めている工場ほど、価格交渉力が乏しく、上がった原価を売価に反映しづらいのが実情です。
この状態を放置すると、原価の上昇分を吸収できず利益が圧迫され、決算が債務超過に陥ります。債務超過のままでは、技能実習生の受入れ・継続雇用に必要な企業評価書の提出を求められ、これが用意できないと技能実習計画の認定そのものが受けられません。
認定が受けられなければ現場の人手不足はさらに深刻になり、生産ラインを十分に稼働させられず、受注に応えられなくなります。その結果、売上がいっそう落ち込み、会社の立て直しはますます難しくなっていきます。
- 大口取引先への依存度が高く価格交渉に悩む方
- 原料・包材のコスト増で利益が圧迫されている方
- 債務超過で技能実習生の受入れ継続が不安な方
- 企業評価書を誰に頼めばいいか分からない方
- 特定技能への切り替えも見据えて準備したい方
- 飲料・乳製品工場が債務超過に陥りやすい2つの原因
- 企業評価書の記載イメージと実務の進め方
- 技能実習の受入れを続けながら経営を立て直す視点
- 企業評価書を中小企業診断士に依頼すべき理由
中小企業診断士として法人支援150社以上の実績を持つ立場から、飲料・乳製品工場特有の原価構造を踏まえてお伝えします。この記事を読み終えたとき、企業評価書が何を求めているのかが分かり、技能実習生の受入れを止めずに次の一手を打てる状態になっているはずです。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは現状をお聞かせください。
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飲料・乳製品工場が債務超過で企業評価書を求められる理由

結論から言うと、飲料・乳製品工場が債務超過に陥り企業評価書を求められる原因は、大きく2つに整理できます。細かい例外まで気にする必要はありません。まずこの2つを押さえてください。
| 原因 | 具体的な内容 | 放置した場合 |
|---|---|---|
| 原材料・包材の二重の原価高騰 | 生乳・果汁・砂糖の相場上昇と、PETボトル・アルミ缶・段ボールのコスト増が同時に進む | 利益が圧迫され、決算が債務超過に転落する |
| 大口取引先への価格交渉力の乏しさ | PBや自動販売機事業者への売上依存度が高く、価格改定を打診しづらい | 原価上昇分を自社でかぶり続け、改善が長期化する |
日本銀行が公表する企業物価指数でも、食料品・飲料に関連する原材料の価格は上昇局面が続いていると示されています。帝国データバンクの調査でも、原材料費の上昇分を仕入価格に十分反映できていない食品関連企業が少なくないことが指摘されています。飲料・乳製品工場は設備投資額も大きいため、原価が上がった分をすぐに設備の見直しで吸収するのも簡単ではありません。
このまま何も手を打たずにいると、債務超過の状態が続き、技能実習生の受入れ・継続雇用そのものが難しくなっていきます。外国人技能実習機構の令和6年度統計では、食品製造関係の技能実習計画認定件数が全体の20.2%を占めており、飲料・乳製品工場を含む食品製造業にとって技能実習生は現場を支える重要な戦力です。
一方で、企業評価書という手段を早い段階で用意できれば、債務超過であっても受入れ・継続雇用の審査を通過できる可能性は十分にあります。次の章で、その実務の進め方を具体的に見ていきます。
そもそも、なぜ飲料・乳製品工場は価格交渉力を持ちにくいのでしょうか。生乳や果汁は乳業メーカーや商社を経由して仕入れることが多く、価格改定のタイミングが年に数回に限られています。加えて、PBや自動販売機事業者との取引は年間契約が中心で、契約期間の途中では価格を見直しにくい構造があります。
さらに、特定技能の定期報告では「過去3年間に債務超過となっていない法人」であることが一定の基準の一つとして示されています。技能実習から特定技能への移行を検討している工場ほど、この基準を意識して、決算が固まった段階で早めに手を打っておく必要があります。
企業評価書の基本を先に押さえたい方へ
企業評価書が必要になる条件、作成できる専門家、混同されやすい「評価調書」との違いを、中小企業診断士が1本の記事にまとめています。
企業評価書の書き方|飲料・乳製品工場が技能実習を守る3つの鉄則

企業評価書を無理なく用意し、技能実習の受入れを守るための鉄則は3つです。抽象的な心構えではなく、実務レベルで手順化してお伝えします。
鉄則1:原価を「原材料」と「包材」に分けて見える化する
生乳・果汁・砂糖などの原材料費と、PETボトル・アルミ缶・段ボールなどの包材費を分けて集計すると、どちらの上昇が利益を圧迫しているかが数字で見えてきます。感覚だけで「全体的に厳しい」と捉えるより、取引先別・原価要素別に分けたほうが交渉の材料になります。
自社ブランド品とPB品を同じどんぶり勘定で管理していると、どの取引先の採算が実際には合っていないのかが見えなくなります。品目別・取引先別に原価を分解しておくことが、後の改善計画づくりの土台になります。
鉄則2:改善計画を数字で明文化する
企業評価書では、現状の債務超過の理由だけでなく「今後どう改善するか」を示す必要があります。売価改定のタイミング、包材の見直し、生産ラインの稼働率向上など、実行可能な計画を数字とスケジュールで書き出しておくことが欠かせません。
具体的には、契約更新の時期に合わせた価格改定の要請、容量やキャップの規格見直しによる包材コストの削減、賞味期限の管理精度を上げて廃棄ロスを減らす取り組みなどが、改善計画の柱になります。抽象的な「頑張ります」ではなく、いつ・何を・どれだけ改善するのかを具体的に書くことが評価の対象になります。
鉄則3:早めに中小企業診断士へ企業評価書の作成を依頼する
企業評価書は、中小企業診断士または公認会計士など、企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を持つ第三者にしか作成できません。技能実習計画の認定申請には期限があるため、決算が確定した時点で早めに依頼しておくと、後から慌てずに済みます。
直前になって慌てて依頼すると、決算内容の確認や改善計画の詰めが不十分になり、審査で追加の説明を求められることもあります。決算が固まったタイミングで、まず相談から始めておくと安心です。技能実習計画の認定申請だけでなく、特定技能への切り替えを見据えている場合も、早めの準備が結果的に近道になります。
実際の企業評価書には、どのような項目が記載されるのでしょうか。一般的な構成イメージは次のとおりです(架空の数値ではなく、記載項目の一覧です)。
| 記載項目 | 記載イメージ |
|---|---|
| 企業概要 | 事業内容、飲料・乳製品の製造品目、従業員数、外国人材の受入れ状況 |
| 財務状況・債務超過の理由 | 直近決算の状況、原材料・包材の原価高騰が利益を圧迫した経緯 |
| 改善の見通し | 売価改定・原価管理・生産効率化などの具体的な計画とスケジュール |
| 評価者の見解 | 中小企業診断士等による、改善が見込めるかどうかの客観的な評価 |
詳しいサービス内容は、次のページにまとめています。
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原価高騰を乗り越え技能実習の受入れで手に入る未来

企業評価書を用意して債務超過の壁を乗り越えると、飲料・乳製品工場には3つの変化が訪れます。抽象的な話ではなく、具体的に描いてみましょう。
1つ目は人員体制です。技能実習生の受入れ・継続雇用が途切れず、繁忙期でも生産ラインを止めずに稼働させられます。夏場の飲料需要のピークで人手が足りず受注を断るような事態を避けられます。
2つ目は時間の使い方です。受入れ審査への対応に追われる時間が減り、原価管理や商品開発など、本来向き合うべき経営課題に時間を割けるようになります。決算のたびに審査を心配する状態から抜け出せます。
3つ目は取引先との関係性です。改善計画に基づいて価格交渉の材料を持てるようになると、PBや自動販売機事業者との関係も「言われた価格を受け入れるだけ」の立場から変わっていきます。品目別の原価が見えているという事実そのものが、交渉の土台になります。
技能実習生にとっても、受入れ先の経営が安定していることは安心材料になり、定着率にも良い影響を与えます。長く働いてくれる人材が増えれば、教育にかけた時間も無駄になりません。原価高騰という共通の課題を乗り越え、安定した人員体制と、対等に交渉できる取引関係を共に手に入れましょう。
自社だけで進める限界と、企業評価書に強い中小企業診断士の伴走支援

ここまで手順をお伝えしましたが、正直に言うと、普通の企業(自社だけ)では、そもそも企業評価書を作成することができません。企業評価書の作成は、中小企業診断士または公認会計士がメインの役割を担う領域であり、自己流で作成した書面を提出しても、審査で受け入れられない可能性があります。
財務状況を客観的に分析し、説得力のある改善の見通しをまとめるには専門性が必要です。決算書の数字だけでなく、飲料・乳製品業界特有の原価構造や取引慣行を踏まえて評価できるかどうかが、審査の通過を左右します。
自社の担当者が本業と並行して手探りで作成すると、時間もかかり、記載内容に不足があって再提出を求められるリスクもあります。書き方一つで、同じ財務状況でも審査での受け止め方が変わることもあるため、判断を誤ると余計な時間を費やしてしまいます。企業評価が拒否されないように、要点を理解している経験豊富な中小企業診断士を紹介します。
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、代表・松本昌史が中小企業診断士として、法人支援150社以上・認定経営革新等支援機関としての実績を持ちます。東京・銀座本社を拠点としていますが、全国オンライン対応が可能なため、地方の飲料・乳製品工場からのご相談にも対応できます。
サービス内容は次のとおりです。
- 決算内容の確認と、債務超過に至った理由の整理
- 原材料・包材の原価構造を踏まえた改善計画の策定支援
- 技能実習・特定技能・育成就労いずれにも対応した企業評価書の作成
- 提出後のフォローと、次年度以降の決算に向けた助言
決算内容の整理から改善計画の策定、企業評価書の作成まで一貫して伴走するため、飲料・乳製品工場の総務担当者が一人で抱え込む必要はありません。社長・社長補佐だけで判断に迷う場面でも、財務の専門家である中小企業診断士が客観的な視点を添えます。
なお、債務超過が続いている会社には、企業評価書とは別に「経営改善計画策定支援(405事業)」という制度もあります。金融機関と共有する本格的な経営改善計画を、専門家費用の3分の2を国が補助する形で作れる仕組みで、既存融資の返済条件の変更(リスケジュール)と組み合わせて資金繰りを立て直すことも可能です。倒産の可能性を下げる選択肢として、気になる方は次のページをご覧ください。
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企業評価書をまとめて確認したい方へ
企業評価書が必要になる条件、作成できる専門家、混同されやすい「評価調書」との違いを、中小企業診断士が1本の記事にまとめています。
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企業評価書のよくある質問|技能実習・特定技能・債務超過の疑問を解消

Q. 企業評価書とは何ですか?
A. 技能実習・特定技能・育成就労の受入れ企業の直近決算が債務超過の場合に提出を求められる書面で、正式には「改善の見通しについて評価を行った書面」といいます。中小企業診断士や公認会計士など、企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を持つ第三者が作成します。
Q. 飲料・乳製品工場のように大口取引先に依存していても、企業評価書は作成できますか?
A. 作成できます。PBや自動販売機事業者への依存度が高いこと自体は問題ではなく、その状況を踏まえて「どのように改善していくか」を客観的に示せるかどうかが評価の観点になります。
Q. 企業評価書は税理士に依頼できますか?
A. 依頼できません。企業評価書を作成できるのは中小企業診断士または公認会計士であり、税理士は対象に含まれていません。顧問税理士がいる場合も、企業評価書の作成自体は中小企業診断士等に依頼する必要があります。
Q. 企業評価書と改善報告書は同じものですか?
A. 外国人技能実習機構への「改善報告書」と企業評価書(改善の見通しについて評価を行った書面)が同一の書式を指すのかどうかは、確認できておりません。どちらの提出を求められているのかは、通知内容を専門家に確認することをおすすめします。
Q. 技能実習から特定技能へ切り替える場合も、企業評価書は必要ですか?
A. 直近決算が債務超過であれば、特定技能への切り替え時にも企業評価書に相当する書面の提出を求められる場合があります。特定技能の定期報告では「過去3年間に債務超過となっていない法人」であることが一定の基準の一つとされているため、切り替え前に財務状況を確認しておくことが大切です。
Q. 育成就労制度が始まったら、企業評価書の扱いはどう変わりますか?
A. 育成就労制度は令和9年4月に運用開始予定で、外国人技能実習機構は外国人育成就労機構へ改組される見込みです。財産的基礎に関する考え方は技能実習制度から大きく変わらないとみられますが、詳細は今後の運用要領の公表を待って確認する必要があります。
Q. 企業評価書の作成には、どれくらいの時間がかかりますか?
A. 決算内容の整理状況や改善計画の作成状況により異なりますが、決算が確定してから早めに相談いただくほど、認定申請の期限に余裕を持って対応できます。
Q. 企業評価書は毎年提出が必要ですか?
A. 直近決算が債務超過でなくなれば、提出は不要になります。決算のたびに財務状況を確認し、債務超過が続く間は継続して準備しておく必要があります。
Q. 特定技能の定期報告でも企業評価書は必要ですか?
A. 定期報告の時点で直近決算が債務超過となっている場合は、企業評価書に相当する書面の提出を求められることがあります。令和7年度から特定技能の定期報告は年1回化されており、報告のタイミングを見据えて早めに準備しておくと安心です。
Q. 企業評価書はどこに提出しますか?
A. 技能実習の場合は、外国人技能実習機構への提出書類(別紙②-1・番号20)の一部として、監理団体を通じて提出する形になります。特定技能の場合は、出入国在留管理局への届出に付随して求められることがあります。窓口によって案内が異なるため、通知内容に沿って確認することをおすすめします。
Q. 赤字と債務超過は何が違いますか?
A. 赤字はその年度の損益(利益がマイナス)を指し、債務超過は資産よりも負債が多く、純資産がマイナスになっている状態を指します。1年だけの赤字であれば必ずしも債務超過にはなりませんが、赤字が続くと純資産を食い込み、債務超過に至ることがあります。
Q. 企業評価書の作成に、決算書は何年分用意すればいいですか?
A. 直近の決算書に加えて、過去数期分の推移が分かる資料があると、改善の見通しをより説得力のある形で示せます。何年分が必要かは状況によって異なるため、相談の際にまとめて確認するとスムーズです。
Q. 全国どこからでも依頼できますか?
A. KICKコンサルティング株式会社は東京・銀座本社を拠点としていますが、全国オンライン対応が可能です。飲料・乳製品工場が地方に立地していても、オンラインでの打ち合わせで対応できます。
まとめ
飲料・乳製品工場の債務超過は、原材料と包材という二重の原価高騰と、大口取引先への価格交渉力の乏しさが重なって生まれます。放置すれば技能実習生の受入れ・継続雇用が難しくなりますが、企業評価書という手段を早めに用意できれば、審査を通過できる可能性は十分にあります。
原価を見える化し、改善計画を数字で示し、早めに中小企業診断士へ依頼する——この3つの鉄則を実行すれば、債務超過という現状も、次の一歩を踏み出すための出発点に変えられます。
大手取引先への依存度が高いことは、飲料・乳製品工場にとって珍しい話ではありません。原価高騰にどう向き合い、どう改善計画に落とし込むかが、技能実習生の受入れを続けられるかどうかの分かれ道になります。
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