
地方の旅館・ホテルで清掃、調理補助、接客の人手が足りず、特定技能外国人の受け入れを検討している経営者様へ。直近の決算で債務超過がある場合、申請手続きには中小企業診断士などの公的資格者による企業評価書が必要になります。本記事では、その理由と進め方を整理します。
「人手が足りず、繁忙期の予約を断らざるを得ない」「ゼロゼロ融資の返済が始まり、決算書の数字が厳しい」。地方で旅館を営む経営者の元には、こうした声が日々届きます。中小企業庁が公表する調査では、宿泊業の人手不足感は他業種と比較しても高い水準で推移しており、近隣に外国人材の受け入れ手続きに詳しい専門家がいないという地域特有の悩みも重なっています。
同じ悩みを抱える旅館経営者は、決して少なくありません。観光庁の統計でも、宿泊業の客室稼働率はコロナ禍前の水準に近づきつつある一方で、従業員数は十分に回復していない地域が多いと指摘されています。人手不足は一時的な現象ではなく、構造的な課題として今後も続くと見ておく必要があります。
例えば、年商2億円規模で客室数20室前後の旅館の場合、清掃・配膳・フロント業務をあわせて常時5〜6名の人員を必要とすることが一般的ですが、地方では新規の採用そのものが難しく、既存スタッフへの負担が年々増している実態があります。こうした規模の旅館こそ、特定技能外国人の受け入れによる体制強化のメリットが大きい一方で、債務超過という財務上の課題を放置していると、人材確保の入口にすら立てないという現実に直面します。
結論から申し上げます。直近事業年度の貸借対照表で債務超過がある旅館・ホテルが特定技能外国人や技能実習生を受け入れる場合、外国人技能実習機構(OTIT)が定める提出書類一覧(別紙②-1)の番号20では、中小企業診断士、公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者による評価書の提出が求められます。自己流の決算書添付だけでは、審査の土俵に立つことすらできません。
地方の旅館経営においては、都市部の宿泊施設とは異なる構造的な悩みも重なります。近隣に金融や労務に精通した専門家が少なく、相談相手を探すだけで時間を要する地域も少なくありません。さらに、コロナ禍で実行した実質無利子・無担保のいわゆるゼロゼロ融資の返済が本格化し、客室稼働率は戻りつつあるものの利益体質の改善が追いつかず、決算書上は債務超過の状態が続いているという旅館も珍しくありません。こうした状況で人材確保の話を進めようとすると、最初の壁として立ちはだかるのが財務面の審査です。
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地方旅館が特定技能外国人を採用できない本当の理由

多くの経営者が「人材紹介会社に登録すれば外国人が来てくれる」と考えています。しかし実際の壁は人材紹介の前段階、つまり受け入れ企業側の財務審査にあります。債務超過のまま申請しても、機構や出入国在留管理庁は「この旅館は外国人の雇用を継続できる経営基盤があるのか」という点を厳しく見ています。
銀座本社のKICKコンサルティング株式会社代表・松本昌史(MBA、中小企業診断士〈経済産業大臣登録〉、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、事業承継士、一般社団法人金融検定協会認定 中小企業事業再生マネージャー)は、この審査構造についてこう説明します。「決算書の数字だけを見れば不合格に映る旅館でも、経営改善の道筋を論理的に示せれば、評価は大きく変わります。重要なのは数字を隠すことではなく、改善の見通しを公的資格者の視点で言語化することです」。
ここで読者の皆様に知っていただきたいのは、私たち経営者が向き合っている本当の敵は、外国人材そのものでも、審査機関そのものでもないという点です。敵は放置された決算書と、銀行や行政との情報格差です。ゼロゼロ融資の返済負担、コロナ禍からの売上回復の遅れ、燃料費・食材費の高騰。これらが重なって生まれた一時的な債務超過を、ただ「仕方がない」と放置してしまうことが、人材確保の機会そのものを奪っています。
| 放置した場合の流れ | 旅館経営への影響 |
|---|---|
| 企業評価書を準備せず申請 | 審査が止まり、再提出を求められる |
| 採用予定者の入国が遅延 | 繁忙期の清掃・接客体制が組めない |
| 監理団体・送出機関との関係悪化 | 次回以降の人材紹介が難しくなる |
この一連の流れを止めているのは、外国人材でも審査機関でもなく、決算書に表れた課題をそのままにしてきた時間そのものです。経営者と私たちが本当に向き合うべき相手は、目の前の数字をどう改善ストーリーに変えるかという一点に尽きます。
申請書類全体の中での企業評価書の位置づけ
OTITの提出書類一覧(別紙②-1)には、申請者の概要書、登記事項証明書、直近2事業年度の貸借対照表・損益計算書など、数多くの書類が並んでいます。企業評価書は、このうち貸借対照表に債務超過が見られる場合に追加で求められる書類という位置づけです。つまり、財務体質に課題がない企業であれば不要な書類ですが、債務超過の状態にある旅館・ホテルにとっては、ここを整えない限り他の書類がそろっていても審査が前に進まないという意味で、申請全体のボトルネックになりやすい書類だといえます。
育成就労制度への移行を見据えた準備
技能実習制度は2024年の法改正を経て、2027年に向けて育成就労制度へ段階的に移行することが見込まれています。移行期間中の具体的な経過措置については今後の公表を待つ必要がありますが、財務状況に関する審査の考え方が大きく変わるとは想定しにくく、債務超過がある企業に対する第三者評価の重要性は、制度移行後も変わらず続くと見ておくのが妥当です。今のうちに企業評価書を整えておくことは、制度変更後も慌てずに対応できる備えになります。
債務超過の背景にある旅館特有の事情
宿泊業の決算書を分析すると、債務超過の原因が一様でないことが分かります。客室や大浴場の改装にともなう設備投資の借入が重い旅館もあれば、団体旅行の需要構造が変化したことで稼働率が想定を下回り、固定費が利益を圧迫している旅館もあります。中小企業庁が公表する調査でも、宿泊業は労働生産性の改善が他業種に比べて遅れている業種として位置づけられており、人手不足と財務体質の弱さが同時に進行しやすい構造があるといえます。
重要なのは、これらの原因を放置せず、改善の道筋を数字と論理で説明できる状態にしておくことです。審査機関が見ているのは「過去にいくら赤字を出したか」ではなく、「これから立て直せるかどうか」という未来への視点です。この視点の転換ができていない決算書は、たとえ実態としては改善傾向にあっても、審査の場では正しく評価されません。
企業評価書とは何か、自社作成では通らない理由

企業評価書とは、決算書の数字だけでは伝わらない「経営改善の見通し」を、第三者の専門家が客観的にまとめた書類です。OTITの提出書類一覧(別紙②-1、番号20)には、直近の事業年度で債務超過がある場合、中小企業診断士や公認会計士など企業評価の能力を有すると認められる公的資格者による評価が必要である旨が明記されています。
ここで多くの経営者が誤解しているのが、税理士に相談すれば足りるという考え方です。税理士の専門領域は過去の税務申告の適正性を担保することにあり、未来に向けた経営改善計画の構築や第三者評価は本来の業務範囲ではありません。一方、中小企業診断士は国家資格として、企業の現状分析から将来の収益改善シナリオまでを一貫して評価する専門性を持っています。OTITが番号20で名指ししているのも、この「未来を診る」専門性です。顧問税理士がいるからといって安心していると、いざ申請の段階になって書類の要件を満たせていないことに気づくケースも見受けられます。
自社内で評価書を作成しようとすると、書式の理解不足や審査基準とのズレから、差し戻しや追加資料の要求を受けるケースが少なくありません。実務では、決算書とヒアリング内容をもとに、改善計画を審査側の視点で組み立て直す作業が必要になります。中小企業診断士による企業評価書作成支援を活用すれば、この組み立て作業を専門家に任せ、経営者は本業の旅館運営に専念できます。
評価書に盛り込むべき要素
説得力のある企業評価書には、単に決算数値を並べるだけでなく、債務超過に至った経緯、直近の収益改善の兆し、今後数年間の収支計画、そして外国人材を受け入れることで見込める売上・利益への寄与までを一貫したストーリーとして示す必要があります。客室稼働率の改善見通しや人件費構造の変化など、宿泊業ならではの数値を具体的に盛り込むことで、審査側に「この旅館は人材を受け入れても雇用を継続できる」という納得感を与えることができます。
こうした評価書の構築には、財務分析の技術だけでなく、OTITの審査運用に関する理解が欠かせません。実際の現場では、決算書の数字をそのまま転記するのではなく、改善計画の根拠となる施策や数値目標を診断士の視点で言語化する作業に時間がかかります。だからこそ、年間を通じて複数件の評価書作成に携わっている専門家への依頼が、結果的に最短ルートになるケースが多いのです。
どの程度の財務状況まで対応できるか
「債務超過の幅が大きいと評価書を作成しても意味がないのではないか」というご相談をいただくことがあります。実際には、債務超過の金額の大小よりも、今後の改善施策がどれだけ具体的に積み上げられているかが評価の鍵になります。設備投資による減価償却負担が重い旅館、コロナ禍以降の借入が累積している旅館など、状況は一社ごとに異なりますが、決算書とヒアリング内容をもとに、その旅館固有の改善ストーリーを組み立てることが可能です。まずは現状の決算書をお持ちいただき、専門家の目でどこまで改善計画を描けるかを確認することをおすすめします。判断がつかない段階でのご相談も歓迎しております。
| 比較項目 | 自社のみで作成 | 中小企業診断士に依頼 |
|---|---|---|
| OTIT番号20の要件適合 | 不可(公的資格者の評価が必須) | 適合(経済産業大臣登録の有資格者が対応) |
| 経営者の作業負担 | 重い、書式調査から手探り | 軽い、決算書提出とヒアリングが中心 |
| 地方からの対応 | 近隣に専門家がいないと停滞しやすい | オンライン完結で全国対応 |
ご相談だけでも歓迎しております。義務は一切ありません。
企業評価書を整えた先にある旅館経営の具体的な未来

企業評価書は審査を通過するための書類に過ぎませんが、その作成プロセスを通じて経営者自身が自社の財務状況と改善余地を客観的に把握できるという副次的な効果もあります。ここでは、企業評価書を整え、外国人材の受け入れが実現した先に旅館経営がどう変わっていくのか、3つの観点から具体的に見ていきます。
繁忙期の人員体制
清掃・配膳・接客の各工程に外国人材が加わることで、シーズン中の予約制限を解除できる体制が見えてきます。客室稼働率を抑えていた旅館が、満室稼働を前提とした収益計画を組み直せるようになります。週末や連休に予約を断っていた状態から、稼働日数を最大化できる体制への転換は、年間売上に直結する変化です。
銀行・監理団体との関係
経営改善の見通しを文書として提示できることは、外国人材の審査だけでなく、金融機関との対話材料にもなります。債務超過という数字の裏側にある改善ストーリーを語れる経営者は、銀行担当者からの信頼を得やすくなります。融資条件の見直しや追加の資金調達においても、論理的な経営改善計画を持っているかどうかは大きな差を生みます。
従業員と地域からの評価
人手不足による既存スタッフの過重労働が緩和されれば、離職防止にもつながります。地域における「外国人材を適正に受け入れている旅館」という評判は、今後の採用活動全体にも好影響を及ぼします。地元の高校や専門学校からの新卒採用にも好影響が及ぶケースも見られます。
繁忙期も落ち着いて予約を受けられる体制、銀行から前向きな評価を得られる経営基盤、そして従業員が長く働き続けたいと思える職場。これらを共に手に入れましょう。
専門家に任せるべき理由とKICKコンサルティングの支援内容

企業評価書の作成には、決算書の精緻な分析、OTITの審査基準への理解、そして将来の収益改善シナリオを論理的に構築する専門性が求められます。これらを本業のかたわらで自己流に進めようとすると、申請の差し戻しや採用スケジュールの遅延という形で、かえって時間とコストを失う結果になりかねません。だからこそ、財務分析と評価書作成を専門家に任せる経営者が増えています。
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、経済産業大臣登録の中小企業診断士である代表・松本昌史が直接対応する体制で、企業評価書の作成、財務分析、申請書類の準備支援を行っています。なお、KICKコンサルティングが提供するのは財務分析・評価書作成・申請書類の準備支援に限られ、申請手続きそのものの代行は行っておりません。申請サポートという位置づけで、経営者様ご自身の申請を後押しいたします。オンライン完結のヒアリング体制のため、近隣に専門家がいない地方の旅館・ホテル経営者様からのご相談も多数いただいております。
代表の松本昌史は、MBA(経営管理修士)、中小企業診断士(経済産業大臣登録)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)に加え、一般社団法人金融検定協会が認定する事業承継士、中小企業事業再生マネージャーの資格も有しています。財務分析から事業承継、資金繰り改善まで幅広い専門領域を横断できることが、債務超過という複合的な経営課題に向き合ううえでの強みになっています。KICKコンサルティングは認定経営革新等支援機関(中小企業庁)としての認定も受けており、これまでに150社を超える法人の支援に携わってきました。
ご相談からのおおまかな流れ
まず直近2期分の決算書をご提出いただき、現状の財務状況を把握します。次にオンラインでのヒアリングを実施し、債務超過に至った経緯や今後の改善施策について経営者様ご自身の言葉で伺います。そのうえで、ヒアリング内容と決算数値を組み合わせ、審査基準に沿った企業評価書を作成し、納品いたします。決算書の提出とヒアリングへのご協力という最小限の負担で、専門性の高い評価書を整えることができます。来社の必要はなく、すべてオンラインで完結するため、移動時間をかけずに本業に集中しながら準備を進めていただけます。
ご相談いただいても、無理な勧誘や契約の強要は一切いたしません。決算書を拝見したうえで、現実的な改善の見通しが描けるかどうかを率直にお伝えします。なお、毎月の対応可能件数には限りがあり、企業評価書のご相談は月3社限定とさせていただいております。繁忙期前の人材確保をお考えの場合は、早めのご相談をおすすめします。
相談しても売り込みはありません。義務は一切ありません。月3社限定のためお早めにご連絡ください。
よくある質問

- 債務超過の旅館でも特定技能外国人の受け入れは可能ですか
- 直近の事業年度で債務超過がある場合でも、中小企業診断士など公的資格者による企業評価書を提出することで、審査の土俵に立つことが可能です。債務超過があること自体が即座に不受理を意味するわけではなく、改善の見通しをどれだけ具体的に示せるかが重要になります。
- 企業評価書はどの段階で必要になりますか
- OTITの提出書類一覧(別紙②-1)番号20に基づき、直近2事業年度の貸借対照表に債務超過がある場合に提出が求められます。年度が変わると改めて最新の評価書が必要になる点にもご注意ください。
- 税理士に依頼してはいけないのですか
- 税理士の専門性は税務申告の適正性に関するものであり、OTITが番号20で求める企業評価の公的資格者には該当しません。中小企業診断士または公認会計士による評価書が必要です。
- 技能実習と特定技能で評価書の扱いは同じですか
- 企業評価書の提出義務は技能実習計画認定申請の枠組みで明文化されています。特定技能の受け入れにおいても、受け入れ機関の財務的な安定性は審査の重要な要素となるため、同様の評価書を準備しておくことが望ましいといえます。
- 評価書の作成にはどのくらいの期間がかかりますか
- 決算書の内容やヒアリングの進み方によって異なりますが、書類提出からヒアリング、評価書作成までを最短数営業日で進められる体制を整えております。繁忙期前など人材確保を急ぐ事情がある場合は、その旨を最初のご相談時にお伝えいただくとスムーズです。
- 地方の旅館でもオンラインだけで相談は完結しますか
- はい。Zoom等を用いたオンラインヒアリングで全国対応しております。来社の必要はなく、決算書のご提出と聞き取りを中心に進めます。
- 育成就労制度に移行しても企業評価書は必要ですか
- 育成就労制度は2027年に向けて段階的に移行が進められている制度であり、経過措置の詳細は今後示される見込みです。現時点では、財務状況に関する審査の考え方は技能実習制度の枠組みと大きく変わらないとみられるため、企業評価書の準備は引き続き重要です。制度の詳細が公表され次第、対応方針も柔軟に見直していく必要があります。
- KICKコンサルティングに依頼すると何をしてもらえますか
- 決算書の分析、経営改善の見通しの整理、企業評価書の作成、申請書類の準備支援までを一貫してご支援します。なお、申請手続きそのものの代行は行っておらず、申請サポートという形でご支援します。
- 相談すると必ず契約しなければなりませんか
- いいえ。ご相談いただいた段階で契約の義務は一切ございません。決算書を拝見したうえで、改善の見通しが描けるかどうかを率直にお伝えします。
- 複数の業種を兼業している旅館でも対応してもらえますか
- 飲食事業や物販事業を併設している旅館・ホテルであっても、決算書全体を踏まえて分析を行いますので対応可能です。事業構成が複雑な場合は、ヒアリングの中で詳しくお伺いします。
今、手を打つべき理由
債務超過という決算書の数字は、変えられない過去ではなく、改善の道筋を示せば前に進める一つの通過点に過ぎません。企業評価書を整えることは、外国人材の受け入れ審査を通すためだけの作業ではなく、自社の経営状態を客観的に見直し、銀行や取引先にも説明できる経営基盤をつくる機会でもあります。繁忙期の人手不足を抱えたまま次のシーズンを迎えるのか、それとも今のうちに専門家の力を借りて体制を整えるのか。その選択が、数年後の旅館経営の姿を大きく左右します。早めに動いた旅館ほど、次の繁忙期を万全の体制で迎えられています。











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