
菓子製造業が特定技能の受入れについて、加入している監理団体に相談したところ、「決算が債務超過のままでは受入れの手続きが進められません。企業評価書を用意してください」と言われた。
債務超過の原因は、原材料価格の高騰にあります。カカオ豆の国際価格は2022年比で約4倍という歴史的な高値圏にあり、円安がその輸入コストをさらに押し上げています。小麦粉・バター・生クリームといった原材料も軒並み高止まりし、値上げすれば販売数量が落ち、据え置けば利益が出ない——そんな二択を迫られています。
このまま企業評価書を用意できなければ、今いる特定技能人材の継続雇用すらできなくなります。継続雇用できなければ製造ラインに必要な人手を確保できず、確保できなければ生産量を維持できず、売上は作れません。最悪の場合、事業の継続そのものが立ち行かなくなります。
あなただけではありません。多くの菓子製造業がこの構造的な悩みを抱えています。
- カカオ・小麦粉・乳製品の高騰で利益が出ない方
- 値上げと販売数量の板挟みで悩んでいる方
- 赤字・債務超過で受入れ審査が通るか不安な方
- 企業評価書を誰に頼めばよいか分からない方
結論から言うと、赤字や債務超過があっても、正しい手順を踏めば特定技能人材の受入れは可能です。
ただし、直近事業年度が債務超過の場合、外国人技能実習機構(OTIT)や出入国在留管理庁への提出書類として「改善の見通しについて評価を行った書面」、いわゆる企業評価書の提出を求められます。
この書面を用意しないまま申請を進め、審査の土壇場で慌てる菓子製造業の経営者を、私たちは何度も見てきました。
さらに、2027年4月には技能実習に代わる新制度「育成就労」の施行が予定されており、財務状況の確認は今後も続く見込みです。制度が変わる前に、自社の収支構造を整理しておく価値は十分にあります。
- 菓子製造業が原材料高騰で赤字・債務超過に陥りやすい構造的な原因
- 特定技能「飲食料品製造業」分野の対象業務と受入れの基本要件
- 債務超過でも受入れ審査を通すための3つのステップ
- 企業評価書を中小企業診断士に依頼する際の流れと注意点
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは現状をお聞かせください。
私たちKICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、中小企業診断士が中心となり、外国人技能実習(育成就労)・特定技能の受入れを目指す企業様の企業評価書作成を150社以上支援してきました。
代表の松本昌史はMBA(経営管理修士)と中小企業診断士の資格を持ち、認定経営革新等支援機関として、資金繰りに悩む中小企業の経営改善に数多く携わってきました。
この記事を読み終える頃には、自社の決算がなぜ苦しいのかという構造と、債務超過があっても受入れ審査を通すための道筋が具体的に分かります。
菓子製造業が原材料高騰で赤字・債務超過に陥る構造と、放置したときに起きること

結論として、菓子製造業の赤字・債務超過は、主要原材料の国際価格高騰と円安が重なり、原価が構造的に上昇し続けていることから生まれます。ポイントは2つです。
1つは原材料そのものの国際価格が記録的な水準にあること、もう1つは円安がその輸入コストをさらに押し上げていることです。この2つが同時に進行しているのが、いまの菓子業界の特徴です。
カカオショックと円安が直撃する原価構造
カカオ豆の国際価格は、2023年初頭から上昇が続き、2025年1月には1トンあたり約10,709ドルと過去最高値を記録しました。これは2022年比で約4倍という歴史的な水準です。
2026年に入ってからも8,000ドル前後の高値圏で推移しており、以前の水準への回帰は当面見込めない状況が続いています。
小麦粉・バター・生クリームといった乳製品も記録的な高止まりを見せているほか、包装資材や人件費、水道光熱費などのコストも重なって上昇しています。
原料費比率が高い商品ほど、価格を据え置けば赤字、値上げすれば販売数量が落ちるという二択を迫られやすいのが、菓子製造業の構造的な弱さです。
倒産件数にも表れる厳しさ
帝国データバンクの調査によると、2025年度の「洋菓子店」の倒産(負債1,000万円以上・法的整理)は65件に上り、前年度の51件から約3割増加し、2年連続で最多を更新しました。
また、菓子製造小売業全体でも、2025年1〜7月の倒産は39件と過去最多のペースで推移しており、年間で70件に達する可能性が指摘されています。
原材料価格の高騰による収益悪化に加え、人手不足や大手チェーンとの競争激化も重なり、厳しい経営環境が続いています。
| 項目 | 動きやすさ |
|---|---|
| カカオ豆(国際価格) | 2022年比で約4倍。以前の水準への回帰は当面見込めない |
| 小麦粉・乳製品 | 記録的な高止まりが続く |
| 為替(円安) | 輸入原材料のコストをさらに押し上げる |
| 販売価格 | 据え置けば赤字、値上げすれば販売数量が落ちるジレンマ |
放置すると起きる「値上げできない構造」の悪化
このまま何もしなければ、次の悪化シナリオが現実になります。
原価が上がり続ける一方で、値上げのタイミングを逃せば、粗利率が年々目減りしていきます。
赤字が続くことで自己資本が目減りし、決算書上の純資産がマイナス、つまり債務超過に転じます。
債務超過の状態は、金融機関からの追加融資の審査でも不利に働き、原材料の仕入れ資金そのものの調達が難しくなります。
さらに、外国人材の受入れを検討する段階になって初めて、企業評価書の提出が必要だと知り、準備不足のまま申請時期を迎えてしまうケースが後を絶ちません。
要するに、「気づいたときには選択肢が減っている」状態を避けるために、早めの準備が欠かせません。
特定の卸先・原材料調達先への依存度が高いことのリスク
菓子製造業は、特定の卸先(百貨店・スーパー・OEM先)や、特定の原材料調達先に依存度が高くなりがちです。
依存度が高い状態のまま、卸先からの単価引き下げ要請や、調達先の価格改定が重なると、現場の収益構造がそのまま揺らぎます。
このリスクを放置したまま外国人材の受入れを進めようとすると、審査の場面で「収益基盤が不安定」と判断されかねません。卸先・調達先を分散させながら、直販や自社ブランド強化に軸足を移す中長期の視点も、改善計画には欠かせません。
菓子製造業ならではのコスト構造
菓子製造は、季節商戦(バレンタイン・母の日・クリスマス等)に売上が集中しやすく、繁忙期には人手と原材料の両方を一気に確保する必要がある業種です。
賞味期限の短さから在庫を長く持てず、需要予測を誤ると廃棄ロスがそのまま原価を押し上げます。
原材料高騰と季節変動、廃棄ロスが重なれば、既存の利益率だけではとても吸収しきれず、それがさらに利益を圧迫するという悪循環に陥りやすいのも、この業種に特有の構造です。
債務超過でも特定技能を受入れる3つのステップ

そもそも企業評価書(改善の見通しについて評価を行った書面)とは
企業評価書とは、直近事業年度の決算が債務超過や赤字であっても、今後の改善見通しに客観的な根拠があることを第三者の立場から示す書面です。
外国人技能実習機構(OTIT)が提出を求める書類の別紙②-1・番号20に該当し、外国人技能実習(育成就労)だけでなく、特定技能の受入れ・定期報告の場面でも参考にされます。
この書面を作成できるのは、中小企業診断士または公認会計士です。税理士は決算や税務の専門家ですが、経営改善の見通しを第三者評価する書面の作成は対象に含まれていません。
結論を先に言うと、受入れ審査を通すためのステップは、次の3つに整理できます。
- 品目別の原価構造を可視化する——商品ごとに原材料費比率と粗利率を分解し、どの商品が赤字要因になっているかを数字で把握します。曖昧な「なんとなく原価が高い」のままでは、改善計画の説得力が生まれません。
- 値上げ・原価改善の効果を試算する——値上げによる粗利改善効果と、想定される販売数量の減少幅を数値でシミュレーションし、品目ごとの最適な価格転嫁の余地を客観的に示します。原価上昇を放置しないことが、赤字構造そのものの解消につながります。
- 企業評価書を早めに準備する——債務超過であれば、改善計画(値上げ・商品構成の見直し・原材料の調達見直しなど)を数値付きで整理し、企業評価書として第三者評価を受けます。受入れ申請の直前ではなく、決算確定後すぐに着手するのが理想です。
1つ目の「原価構造の可視化」は、地味に見えて最も重要な土台です。商品別に原材料費・製造原価・粗利率を突き合わせると、どの商品がすでに赤字なのかが初めて見えてきます。全体をひとまとめにした損益計算書だけでは、この偏りは分かりません。
2つ目の「値上げ・原価改善の効果試算」は、感覚論ではなく数字で示すことがポイントです。カカオ・小麦粉・乳製品の価格上昇分と、値上げによる粗利改善効果を時系列で整理し、「なぜ値上げが必要か」を客観的に説明できる形にします。
3つ目の「企業評価書の準備」では、単に赤字の理由を説明するだけでなく、いつまでに・何を・どれだけ改善するのかを数値目標として示すことが欠かせません。改善計画に盛り込むべき主な項目は、次のとおりです。
| 項目 | 記載する内容の例 |
|---|---|
| 現状分析 | 商品別の原材料費比率・粗利率、赤字・債務超過に至った経緯 |
| 具体的な改善策 | 値上げ、商品構成の見直し、原材料の調達方法の見直しなど |
| 数値目標 | 今後数年間の粗利率・自己資本の改善見込み |
| 実行体制 | 誰が、いつまでに、どの施策を実行するかの役割分担 |
この3つのうち、特に時間がかかるのが3つ目の企業評価書の準備です。債務超過の理由書や改善計画は、根拠となる数値の裏付けが不十分だと、審査でつまずく原因になります。
自社で一から作成しようとして、フォーマットやサンプルを探すだけで数週間が過ぎてしまうケースも珍しくありません。
その点、企業評価書の作成支援を専門家に依頼すれば、必要な資料整理から書面化まで一貫して伴走してもらえます。
なお、特定技能「飲食料品製造業」分野は、外国人材の受入れが特に多い上位分野の一つです。菓子製造工場(洋菓子店・製菓工場)は、この分野の受入れ対象となる主な事業形態の一つとして位置づけられています。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは現状の決算状況だけでもお聞かせください。
3つのステップを実行した先に、手に入る未来

原価構造の可視化・値上げ効果の試算・企業評価書の準備を進めた先には、抽象的な安心ではなく、具体的な変化が待っています。
数字の変化
商品別の原価構造が見える化されることで、どの商品を値上げすべきか、どの商品の販売を強化すべきかが明確になります。値上げの根拠が数値で示せれば、取引先や販売現場への説明もスムーズになります。
数値目標を伴う改善計画があれば、金融機関に対する説明力も上がり、原材料の仕入れ資金の調達もしやすくなります。
時間の変化
企業評価書をあらかじめ準備しておけば、特定技能人材の受入れ申請から採用までの期間を大きく圧縮できます。人手不足の製造ラインに人材を充てるまでの「待ち時間」が短くなります。
申請直前になって資料を集め始める必要がなくなるため、経営者が本来の商品開発や販路開拓に使える時間も増えます。
関係性の変化
客観的な数値に基づいて価格改定を説明できる企業は、取引先からも「経営基盤のしっかりした仕入れ先」として信頼を得やすくなります。
受け入れた特定技能人材にとっても、経営が安定した職場は長く働き続けたいと思える環境になり、定着率の向上にもつながります。
原材料高騰という共通の課題に、行き当たりばったりではなく、根拠のある計画で向き合う。その先にある安定した経営基盤を、共に手に入れましょう。
自社だけで進める限界と、KICKコンサルティングの支援

企業評価書の作成には、専門性の壁があります。
OTIT提出書類の様式や、入管審査で求められる改善見通しの根拠の示し方には独自のルールがあり、決算書だけを見ても正解が分かりません。
経営者や総務担当者が本業のかたわらで手探りで作成すると、資料集めだけで本来の業務時間を圧迫し、それでも審査で追加資料を求められる、という判断ミスのリスクも生まれます。
だからこそ、企業評価書の作成を中小企業診断士に任せる菓子製造業の経営者が増えています。
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)では、代表・松本昌史(中小企業診断士)を中心に、次のような支援を行っています。
- 決算書・試算表の分析による赤字・債務超過の要因整理
- 商品別の原価構造の可視化と、値上げ効果を示す資料の作成
- OTIT提出様式に沿った企業評価書・改善計画の作成
- 特定技能・技能実習の受入れ、定期報告時の財務面のサポート
認定経営革新等支援機関(中小企業庁)として、法人支援実績は150社を超えています。
実際のご支援は、次のような流れで進みます。
- 無料相談で決算状況と受入れ希望時期をヒアリング
- 試算表・決算書をもとに、商品別の原価構造を分析
- 値上げ・原価改善の効果試算と、改善計画の骨子を作成
- 改善計画をもとに、OTIT提出様式に沿った企業評価書を作成
- 受入れ申請・定期報告に向けたフォロー
資料の整理が苦手な場合も、必要な数値をヒアリングしながら整理していくため、経営者や総務担当者お一人で抱え込む必要はありません。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは決算状況をお聞かせいただくだけでも構いません。
よくある質問

Q. 企業評価書とはどんな書類ですか?
A. 直近事業年度が債務超過や赤字であっても、今後の経営改善に客観的な見通しがあることを第三者の立場から評価する書面です。外国人技能実習(育成就労)・特定技能の受入れ審査で提出を求められることがあります。決算書だけでは伝わらない「これからどう改善するのか」を補う役割を持ちます。
Q. 改善の見通しについて評価を行った書面と企業評価書は同じものですか?
A. はい、同じ書面を指す呼び方です。「改善の見通しについて評価を行った書面」は入管手続きでの正式名称で、実務では「企業評価書」と呼ばれることが多くなっています。OTIT提出書類では別紙②-1・番号20に位置づけられています。
Q. 菓子製造業は特定技能の対象になりますか?
A. なります。特定技能「飲食料品製造業」分野は外国人材の受入れが特に多い上位分野の一つで、菓子製造工場(洋菓子店・製菓工場)は受入れの対象となる主な事業形態の一つです。
Q. 債務超過だと必ず企業評価書が必要になりますか?
A. 直近事業年度の決算で債務超過が確認される場合、多くのケースで企業評価書の提出を求められます。単年度だけの一時的な赤字か、複数年続く債務超過かによっても、示すべき改善見通しの中身は変わります。個別の状況によって扱いが異なるため、早めに専門家へ確認することをおすすめします。
Q. 企業評価書は税理士に依頼できますか?
A. 企業評価書の作成は、中小企業診断士または公認会計士が行うものです。税理士は税務・決算の専門家であり、経営改善の見通しを第三者評価する書面の作成範囲には含まれません。顧問税理士がいる場合も、企業評価書は別途、中小企業診断士に依頼する必要があります。
Q. 企業評価書のサンプルやフォーマットはありますか?
A. 記載すべき項目には一定のひな形がありますが、原価構造や改善計画の中身は企業ごとに異なるため、サンプルをそのまま流用することはできません。自社の数値に基づいて個別に作成する必要があります。他社の事例は、あくまで構成の参考にとどめるのが安全です。
Q. 債務超過の理由書はどう書けばよいですか?
A. 債務超過に至った経緯を事実に基づいて説明したうえで、値上げや商品構成の見直しなど、具体的な改善策を数値付きで示す構成が基本です。感覚的な説明だけでは審査を通りにくくなります。「なぜ赤字になったか」と「どう改善するか」をセットで示すことがポイントです。
Q. 特定技能の定期報告でも債務超過は確認されますか?
A. 受入れ後の定期報告でも、決算状況は確認対象になり得ます。受入れ時だけでなく、その後の経営状況の変化にも備えておくことが望ましいです。受入れ後に業績が悪化した場合の対応方針も、あらかじめ考えておくと安心です。
Q. 企業評価書の作成にはどれくらいの期間がかかりますか?
A. 決算資料の整理状況にもよりますが、ヒアリングから書面完成までは一定の準備期間を要します。受入れ申請のスケジュールから逆算し、早めに着手することをおすすめします。資料が整っているほど、準備期間は短くなる傾向があります。
Q. 育成就労制度になっても企業評価書は必要ですか?
A. 2027年4月に施行が予定されている育成就労制度でも、財務状況の確認は行われる見込みです。制度移行後の要件を見据えて、今のうちから原価構造を整えておくことに意味があります。制度の詳細が固まり次第、対応方針も見直していく必要があります。
まとめ
菓子製造業の赤字・債務超過は、カカオ・小麦粉・乳製品といった主要原材料の記録的な価格高騰と、円安による輸入コストの上昇が重なった、構造的な原因から生まれます。
感覚的に「原材料が高いから仕方ない」で終わらせず、商品別の原価構造を可視化し、値上げ・原価改善の効果を試算し、必要であれば企業評価書を準備する。この3つのステップを押さえれば、債務超過があっても特定技能の受入れ審査を通す道筋は十分に描けます。
逆に言えば、この3つを後回しにしたまま人手不足だけを理由に受入れを急ぐと、審査の場面でつまずいたり、受入れ後の定期報告で再び同じ課題に直面したりするおそれがあります。
自社だけで手探りするより、中小企業診断士と一緒に進めるほうが、結果的に早く、確実です。
原材料高騰という共通の課題と向き合いながら、値上げと特定技能人材の受入れを両立させていく。その土台となるのが、数値に裏付けられた企業評価書です。
まずは自社の決算がどんな状態にあるのかを、専門家と一緒に整理するところから始めてみてください。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは現状の決算状況だけでもお聞かせください。
関連記事








コメント