左官工事会社が特定技能の受入れについて、加入している監理団体に相談したところ、「決算が債務超過になっています。企業評価書を提出してください。提出がなければ、2年目以降は働いてもらうことができません」と言われた。
債務超過の原因は、新築の仕上げが乾式工法へ移り、塗り壁の受注そのものが構造的に減っていることにあります。受注が細るなかでも固定費(職人の給与・道具・車両)は簡単には減らせず、気づけば決算が赤字、そして債務超過に陥ってしまう左官工事会社も少なくありません。
このまま企業評価書を用意できなければ、今いる技能実習生・特定技能人材の継続雇用すらできなくなります。継続雇用できなければ限られた職人だけで現場を回すことになり、新しい受注を取れなければ売上は作れず、最悪の場合、会社そのものが立ち行かなくなります。
実際に、「富瀋国際事業協同組合」など監理団体から突然、企業評価書の提出を求められた、という経営者からのご相談が届いています。言われるまで、自社が債務超過だという実感がなかったという声も少なくありません。
実は、赤字や債務超過があっても、特定技能や外国人技能実習(育成就労)で外国人材を受入れる、あるいは受入れを続けることは可能です。ただしその際、中小企業診断士等の第三者による企業評価書(改善の見通しについて評価を行った書面)という客観的な書類が欠かせません。
- 監理団体から突然、企業評価書の提出を求められた方
- 乾式化の広がりで受注が減り、赤字に悩む方
- 決算が債務超過で、受入れ審査が不安な方
- 企業評価書を誰に頼めばいいか分からない方
- 職人の高齢化で、技術の継承を急ぎたい方
- 左官工事会社が受注減・赤字に陥る構造的な理由
- 特定技能を受入れる3つの条件と企業評価書のサンプル・書き方
- 受入れによって手に入る未来
- 自社だけで進める限界と、中小企業診断士に頼る意味
- 企業評価書のよくある質問
私たちKICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、中小企業診断士として150社以上の法人支援に携わってきました。読み終える頃には、自社の状況を整理し、次に何をすべきかが具体的に分かるはずです。
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左官工事会社が乾式化の受注減で企業評価書を求められる理由

結論から言うと、左官業は「工法の変化」という業界構造の問題と、「職人の高齢化」という担い手の問題が同時に進んでいます。ポイントは大きく3つです。
工法が湿式から乾式へ移り、受注そのものが構造的に減っている
新築住宅・マンションの内装仕上げは、工期短縮とコスト圧縮のニーズから、クロス張りや乾式ボードなど「左官職人がいなくても仕上げられる工法」に置き換わってきました。
これは景気の波による一時的な受注減ではなく、業界の構造そのものが変わっているという点が見落とされがちです。腕を上げても、そもそも塗り壁の仕事の総量が減っているのです。
建設業全体の高齢化が、左官業では特に重くのしかかる
国土交通省の資料によれば、建設業の就業者数は2024年時点で479万人と、1997年のピークから200万人以上減少しています。55歳以上が35.9%を占める一方、30歳未満は11.7%にとどまり、60歳以上の技能者は全体の約4分の1に達しています。
左官は技能の習得に年数がかかる職種であり、こうした高齢化の影響を特に受けやすい業種のひとつです。若手が入らなければ、技術そのものが次の世代に引き継がれません。
下請けの立場ゆえに、価格転嫁が難しい構造もある
左官工事会社の多くは、元請けの工務店やゼネコンから受注する下請けの立場にあります。資材価格や人件費が上がっても、受注する工事単価に転嫁しづらい構造があり、乾式化による受注減と重なると利益を確保しにくくなります。
「惣菜製造工場」や「金属プレス加工会社」のように、原材料費の高騰が直接の引き金になる業種とは異なり、左官業では工法の転換という需要側の変化が、じわじわと利益を圧迫していく点が特徴です。
| 起きている変化 | 経営への影響 |
|---|---|
| 新築の仕上げが乾式工法へシフト | 塗り壁の受注件数そのものが減る |
| 職人の高齢化・若手の未入職 | 一人当たりの生産性・対応できる現場数が下がる |
| 受注減でも固定費は下がりにくい | 利益率が悪化し、赤字・債務超過に至りやすい |
この状態のまま特定技能や外国人技能実習で外国人材を受入れようとすると、決算が債務超過であることが審査上の論点になります。厚生労働省の資料には、監理団体の財産的基礎について、直近期末に債務超過がある場合は「中小企業診断士、公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が改善の見通しについて評価を行った書面」の提出を求める旨が記載されています。
つまり企業評価書を用意しないまま放置すると、受入れの手続きそのものが前に進まなくなるおそれがあります。人手不足はさらに深刻化し、既存の職人だけで現場を回す状態が続いてしまいます。
特定技能の定期届出「一定の基準」でも債務超過が論点になる
すでに特定技能で外国人材を受入れている左官工事会社にとっても、債務超過は他人事ではありません。特定技能の定期届出には「一定の基準」を満たすことで届出の頻度を簡素化できる仕組みがあり、その告示要件には「過去3年間に債務超過となっていない法人」であることが明記されています。
令和7年度からはこの定期報告が年1回化される見直しも進んでおり、債務超過の状態が続くと、この簡素化の対象から外れてしまう点も見落とせません。受入れの入口だけでなく、受入れ後の運用にも債務超過の解消・改善が関わってきます。
このまま何も手を打たなければ、受注はさらに乾式工法へ流れ、赤字が固定化し、資金繰りも厳しくなっていきます。次の章では、この状況から特定技能の受入れにつなげる具体的な条件を見ていきます。
左官業が特定技能を受入れる3つの条件──企業評価書のサンプルと書き方

結論として、左官業が特定技能・外国人技能実習(育成就労)を受入れるには、次の3つの条件を押さえる必要があります。
条件1.受注減の実態を「感覚」ではなく数字で整理する
「仕事が減った気がする」という感覚のままでは、改善の見通しを説明できません。まずは自社の売上推移・受注件数・粗利率の推移を、直近数期分でよいので数字として整理します。
このとき、乾式工法へのシフトという業界の構造変化が原因であることを、自社の言葉で説明できる状態にしておくことが大切です。整理しておきたい数字の例は次のとおりです。
| 整理する数字 | 確認するポイント |
|---|---|
| 売上高・粗利率の推移(直近3期) | いつから、どの程度悪化しているか |
| 受注件数・工事内容の内訳 | 湿式・乾式それぞれの受注がどう変化したか |
| 主要取引先別の受注比率 | 特定の元請けへの依存度が高すぎないか |
| 資金繰りの実績と今後の見通し | 当面の資金は確保できているか |
この数字がそろっていると、企業評価書を作成する中小企業診断士等とのやり取りもスムーズになり、書面の説得力も高まります。
条件2.中小企業診断士等による企業評価書で「改善の見通し」を客観的に示す
企業評価書は、企業評価書 中小企業診断士または公認会計士のいずれかが作成する書面です。税理士は、この評価書面を作成できる資格には含まれていません。「企業評価書 税理士」という組み合わせで探している方は、この点を誤解しないよう注意してください。
外国人技能実習 企業評価書 サンプル・特定技能 企業評価書 サンプルのいずれも、記載する項目自体は大きく変わりません。一般的な記載イメージは次のとおりです。
| 記載項目 | 記載内容の例 |
|---|---|
| 企業概要 | 事業内容・沿革・従業員数・受注構造など |
| 財務状況・債務超過の理由 | 債務超過に至った経緯(受注減・工法転換等の背景) |
| 改善の見通し | 今後の受注確保策・人員体制・収支改善の方向性 |
架空の数値をそのまま真似ても意味がありません。自社の実態に基づいて、この3項目を筋道立てて説明できる書面を用意することが、審査を通す土台になります。「企業評価書 サンプル」を探すよりも、まず自社の数字と向き合うことが近道です。
条件3.監理団体・登録支援機関と早めに連携し、育成就労制度も見据える
技能実習は2027年4月に育成就労制度へ移行する予定です。制度が変わっても、債務超過企業に対する評価の考え方が大きく変わるとは限りません。今のうちに監理団体や登録支援機関と情報を共有し、企業評価書の準備を進めておくことが望ましいといえます。
育成就労制度は、これまで以上に受入れ企業の体制や処遇の適正さが問われる制度になると見込まれています。「今は特定技能だから関係ない」と考えず、早い段階から自社の財務状況を整理しておくことが、結果的に近道になります。
詳しくは、企業評価書の作成支援サービスのページにまとめています。
外国人技能実習・特定技能の企業評価書について 社長やご担当者の方へ。“あなた”は今、このようなお悩みを抱えていませんか。 外国人技能実習制度を活用したいが、企業評価書の作成方法が分からないという方 特定技能外国人の受入れにあたり、経営改善の見通しについて評価が必要だと言われた方 ...
この3条件を押さえれば、「企業評価書とは何か分からない」という段階から、審査に向けて動き出せる段階へ進めます。
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乾式化を乗り越え特定技能の受入れで手に入る未来

企業評価書を用意し、特定技能の受入れが動き出すと、左官工事会社には次の3つの変化が生まれます。
数字:新築の湿式仕上げに頼らない受注構成へ広がる
人手に余裕が生まれると、リフォームや意匠性の高い塗り壁など、新築の乾式工法とは競合しない分野にも手を広げやすくなります。受注を新築の湿式仕上げ一本に頼らない構成に変えていけます。
時間:ベテラン職人が技術を伝える時間を確保できる
若い担い手が加わることで、ベテラン職人が「現場をこなすだけ」から「技術を教える」役割にも時間を割けるようになります。技能の継承は、時間がなければ進みません。
関係性:金融機関・元請けからの信頼が積み上がる
債務超過であっても、企業評価書という形で改善の見通しを筋道立てて説明できる会社は、金融機関や元請けから見て「現状を正しく把握し、手を打てる会社」という印象を持たれます。こうした信頼の積み重ねが、次の融資や受注にもつながっていきます。
逆に、何も説明せず赤字だけが続く会社は、金融機関からの評価も厳しくなりがちです。企業評価書は、外国人材の受入れ審査のためだけでなく、日頃の取引先・金融機関との関係を守るためのツールでもあります。
特定技能・外国人技能実習(育成就労)の受入れは、単なる人手の補充ではありません。乾式化という業界構造の変化に、若い担い手という新しい力を得て向き合っていく、経営そのものの立て直しでもあります。
受注減・赤字という現状を、若い担い手と客観的な評価書で乗り越え、次の世代へ技術をつないでいく未来を共に手に入れましょう。
自社だけで進める限界と、企業評価書に強い中小企業診断士の伴走支援

ここまでの3条件は、理屈としては理解できても、自社だけで進めるには壁があります。
専門性の壁・時間コスト・判断ミスのリスク
財務諸表を読み解き、債務超過に至った理由を第三者に説明できる形に整理するには、会計・制度の専門知識が必要です。経営者や総務担当者が本業の合間に取り組むと、本業に支障が出かねません。
記載に不備があれば審査のやり直しが発生し、かえって時間がかかってしまうこともあります。だからこそ、企業評価書 中小企業診断士に伴走してもらう経営者が増えています。
社長ご自身だけでなく、社長補佐や経営管理・総務部の担当者が窓口になっているケースも多くあります。自社に会計や制度の専門知識を持つ人材がいない場合、判断に迷ったまま時間だけが過ぎてしまうこともあります。
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)の支援内容
私たちは、中小企業診断士として法人支援150社以上の実績を持ち、認定経営革新等支援機関(中小企業庁)としても活動しています。左官業をはじめとする建設業の受注構造や資金繰りの実情を踏まえ、企業評価書の作成をご支援しています。
代表の松本昌史は、MBA(経営管理修士)・中小企業診断士に加え、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)としても中小企業の資金繰り・財務改善に携わってきました。制度の要件を満たすことだけを目的にせず、その先の経営改善につながる企業評価書づくりを大切にしています。
制度の説明だけでなく、自社の数字をどう整理し、どう伝えるかという実務レベルまで一緒に考えます。ご支援の流れは、次のとおりです。
- 現状のヒアリング(受注状況・決算内容・受入れたい人数や職種)
- 売上・受注構成など、改善の見通しに必要な数字の整理
- 中小企業診断士による企業評価書の作成
- 監理団体・登録支援機関とのやり取りに向けたご説明
「何から手をつければよいか分からない」という段階からで構いません。左官業に限らず、建設業の受注構造や資金繰りの実情を踏まえてご一緒に整理します。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは資料だけでもご覧ください。
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企業評価書のよくある質問|特定技能・債務超過の疑問を解消

Q. 企業評価書とは何ですか?
A. 企業評価書とは、外国人技能実習(育成就労)・特定技能の受入れにあたり、直近期末に債務超過がある企業に対して求められる「改善の見通しについて評価を行った書面」の通称です。第三者の専門家が、財務状況と今後の改善の見通しを客観的に評価します。決算書だけでは伝わらない「今後どう立て直すか」を、外部の視点で補う書類だとイメージすると分かりやすいでしょう。
Q. 企業評価書は誰が作成できますか?
A. 中小企業診断士または公認会計士が作成します。税理士はこの書面を作成できる資格には含まれていない点に注意してください。
Q. 外国人技能実習と特定技能で、企業評価書の内容は違いますか?
A. 記載する基本項目(企業概要・財務状況や債務超過の理由・改善の見通し)は共通しています。制度ごとの提出先や運用の細かな違いは、監理団体・登録支援機関と事前にすり合わせておくと安心です。
Q. 企業評価書のサンプルやひな形はありますか?
A. 記載項目の一般的な構成はご案内できますが、財務内容は会社ごとに異なるため、他社の記載例をそのまま流用することはできません。自社の数字に基づいて作成する必要があります。
Q. 左官工事会社のような小規模事業者でも作成できますか?
A. 可能です。従業員数が少ない会社ほど、受注減や職人の離職が経営に与える影響が大きく出やすいため、むしろ客観的な企業評価書で状況を説明する価値が高いといえます。
Q. 債務超過の理由書と企業評価書はどう違いますか?
A. 理由書は自社が債務超過に至った経緯を説明する書類、企業評価書はそれを踏まえて第三者が改善の見通しを評価する書面です。両者は補い合う関係にあります。
Q. 育成就労制度が始まると企業評価書は不要になりますか?
A. 2027年4月に予定されている育成就労制度への移行後も、債務超過企業に対する評価の考え方が撤廃される見通しは示されていません。制度の詳細は今後の運用要領を注視する必要があります。
Q. 企業評価書の作成にはどのくらいの期間がかかりますか?
A. 会社の決算資料の整い方や、改善の見通しをどこまで具体的に整理できているかによって前後します。まずは無料相談で、自社の状況を踏まえた見通しをお伝えします。
Q. 費用はどのくらいかかりますか?
A. 会社の規模や決算内容によって作業量が異なるため、具体的な金額は個別にお見積りします。まずは無料相談で概算の考え方をお伝えします。
Q. 社長ではなく、経営管理・総務担当者が窓口になっても大丈夫ですか?
A. 問題ありません。実際に、決算資料や受注データの取りまとめは経営管理・総務部の担当者が窓口になることが多く、社長は方向性の確認や最終判断に専念していただく形でも進められます。
Q. 監理団体や登録支援機関にも企業評価書は関係ありますか?
A. 関係します。監理団体自身の財産的基礎の要件としても、直近期末に債務超過がある場合は同様の評価書面の提出が求められています。受入れ企業側だけの論点ではありません。
Q. すでに技能実習生を受入れている場合、今後も継続できますか?
A. 決算が債務超過になったからといって、直ちに継続ができなくなるわけではありません。企業評価書で改善の見通しを示すことが、継続に向けた重要な対応になります。
Q. 特定技能と外国人技能実習、左官業ではどちらを選べばよいですか?
A. どちらを選ぶかは、求める技能水準や在留期間の考え方によって異なります。自社の受注構成や人員計画に合わせて、監理団体・登録支援機関と相談しながら検討することをおすすめします。
まとめ
左官業の受注減は、景気の波ではなく、湿式から乾式への工法転換という業界構造の変化です。この事実を正しく認識し、数字で説明できる状態にすることが、企業評価書づくりの出発点になります。
債務超過があっても、中小企業診断士等による企業評価書で改善の見通しを客観的に示せれば、特定技能・外国人技能実習(育成就労)の受入れは前に進みます。若い担い手を迎え、技術を次の世代へつなぐ未来は、決して遠い話ではありません。
「腕はあるのに、仕事が回ってこない」という状況を、感覚のままで終わらせず、数字と客観的な評価書で説明できる形に変えていく。それが、乾式化の時代に左官業が生き残るための現実的な一歩です。社長おひとりで悩み続ける必要はありません。
自社だけで抱え込まず、専門家と一緒に一歩を踏み出してみませんか。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずはお話をお聞かせください。
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