
福岡出入国在留管理局から、「直近の決算が債務超過となっているため、改善の見通しについて評価を行った書面(企業評価書)を提出していただかない限り、特定技能の在留資格更新は認められません」と告げられた。
そう言われても、身近に中小企業診断士の知り合いはいない。企業評価書がどんな書式なのかも、誰に相談すればいいのかも見当がつかない——多くの漁業経営者が、まさにこの状態で立ち止まっています。
下期がはじまるこの時期は、来期の操業計画や漁獲枠の消化ペースを見直す会社も多いはずです。ところが「今期は水揚げが伸びない」「燃料代ばかりかさむ」という悩みを抱えたまま、決算だけが先に債務超過になってしまうケースが増えています。
- 漁獲枠が減り、水揚げが伸び悩んでいる方
- 燃料費・人件費が重く、利益が残らない方
- 決算が債務超過で、特定技能の継続が不安な方
- 企業評価書を誰に頼めばいいか分からない方
このまま対応を先送りにすると、悪循環が始まります。漁獲枠(TAC)の削減で水揚げが減る→売上が下がる→燃料費や乗組員の人件費といった固定費は変わらないため利益が圧迫される→決算が赤字・債務超過になる→企業評価書が無いと技能実習生・特定技能船員の在留資格更新や継続雇用が認められない→乗組員が減り出漁できる日数や隻数が制限される→水揚げがさらに減り、経営そのものが立ち行かなくなる。この連鎖を、どこかで断ち切る必要があります。
- 漁獲枠(TAC)削減が赤字・債務超過につながる仕組み
- 特定技能の受入れを守る企業評価書の記載イメージ
- 審査を通すために押さえる3つの基準
- 特定技能の定期届出「一定の基準」との関係
私はKICKコンサルティング株式会社(銀座本社)代表の松本昌史と申します。中小企業診断士として、これまで150社以上の法人を支援してきました。債務超過の状態からでも、企業評価書を正しく用意すれば特定技能・技能実習生の受入れを継続できる道筋があります。まずはその全体像を、一緒に確認していきましょう。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは現状をお聞かせください。
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漁獲枠削減の遠洋漁業が債務超過で企業評価書を求められる理由

マグロはえ縄漁船やカツオ一本釣り漁船を運航する遠洋・沖合漁業の会社が赤字・債務超過に陥る原因は、複雑な話ではありません。「水揚げが減っているのに、固定費は減らせない」という、ごくシンプルな構造に集約されます。原因は次の2つに絞って整理できます。
原因①漁獲枠(TAC)削減による水揚げ減少
水産庁は、漁業法に基づき「漁獲可能量(TAC)」制度を運用しています。国際的な資源管理の枠組みのもとで、マグロ・カツオをはじめとする主要魚種の漁獲枠は、資源の状況に応じて見直されます。
枠が絞られれば、船を出しても獲れる量そのものに上限がかかります。「出漁すれば売上が立つ」という単純な関係が崩れるのが、この業種特有の難しさです。人手を増やしても、漁場を工夫しても、枠自体が動かなければ水揚げの天井は変わりません。
原因②固定費(燃料費・人件費)は下がらない構造
水揚げが減っても、船を動かすための燃料費、乗組員の人件費、船体・漁具の維持費といった固定的なコストはほとんど減りません。むしろ近年は燃料価格の変動が経営を圧迫する場面も多く、売上減少がそのまま赤字に直結しやすいのが遠洋・沖合漁業の収益構造です。
このどちらか一方だけが起きているなら、まだ対応の余地はあります。しかし、漁獲枠削減と固定費の高止まりが同時に進んだとき、経営の体力は想像以上に早く削られていきます。この2つが重なると、単年度の赤字にとどまらず、純資産がマイナスになる債務超過へと進みます。債務超過の状態になると、外国人技能実習機構や出入国在留管理庁の審査で、「このまま経営を続けられるのか」という観点が必ず問われます。そこで必要になるのが、中小企業診断士または公認会計士が改善の見通しを客観的に評価した書面、すなわち企業評価書です。
「今期だけ赤字」と自己判断して放置すると、次の決算でも債務超過が続き、在留資格の更新そのものが止まってしまうリスクがあります。早めに現状を整理し、改善の見通しを言語化しておくことが欠かせません。
とりわけ遠洋・沖合漁業は、他の業種に比べて「原因が自社の外にある」という説明がしやすい業種でもあります。国が公表する漁獲可能量の見直しという事実がある以上、感覚論ではなく制度の枠組みに基づいて説明できるからです。ただし、それを審査担当者に伝わる形に整理し、書面としてまとめる作業は、経営者一人では負担が大きいのが実情です。
決算書だけを見せても、「なぜ債務超過になったのか」「今後どう改善するのか」は伝わりません。数字の裏にある事情を言語化し、第三者が読んでも納得できる形に整えることが、この段階で最も重要な作業になります。
また、燃料価格の変動幅が大きい年は、赤字の原因が「漁獲枠削減」と「燃料費高騰」のどちらにどの程度寄与しているのかが見えにくくなります。両方の要因を切り分けずに一括りで「経営が苦しい」とだけ説明すると、改善の見通しにも説得力が出ません。原因ごとに影響度を分けて整理する視点が求められます。
企業評価書の基本を先に押さえたい方へ
企業評価書が必要になる条件、作成できる専門家、混同されやすい「評価調書」との違いを、中小企業診断士が1本の記事にまとめています。
特定技能の受入れを守る3つの基準|企業評価書のサンプルと書き方

債務超過の状態でも、特定技能・技能実習生の受入れを続けている遠洋・沖合漁業の会社は実際にあります。審査で見られているのは「黒字かどうか」ではなく、「改善に向かっているかどうか」です。ポイントは次の3つの基準に整理できます。
基準①漁獲枠削減という外部要因を客観的に整理できているか
赤字の原因が、経営努力の不足ではなく、漁獲枠という外部要因によるものだと客観的に説明できるかが最初の基準です。感覚的な説明ではなく、水揚げ量・売上・固定費の推移を数字で並べ、因果関係を示す必要があります。
基準②操業計画の見直しなど改善の見通しが具体的か
次に問われるのが「これからどう改善するか」です。漁場・魚種の分散、他業者との共同出漁によるコスト圧縮、水揚げ後の加工・直販による付加価値化など、実行可能な改善策を、数値目標とあわせて示せているかが基準になります。抽象的な「頑張ります」という宣言だけでは審査を通せません。
例えば、特定の魚種・漁場に依存する体制を見直し、水揚げできる魚種の幅を広げることで、枠の削減による影響を分散させるという方向性は、多くの会社で検討の余地があります。加工・直販への展開も、水揚げ量そのものを増やせない状況で利益率を底上げする有効な選択肢です。
重要なのは、こうした改善策を「思いつき」で終わらせず、いつまでに・どの程度の効果を見込むのかという時間軸と数字をセットで示すことです。改善の見通しが具体的であるほど、審査担当者の納得も得やすくなります。
基準③中小企業診断士など資格者による評価書面を用意できているか
そして最後の基準が、企業評価書そのものの有無です。厚生労働省の資料には、監理団体の財産的基礎について、直近期末に債務超過がある場合、「中小企業診断士、公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が改善の見通しについて評価を行った書面」の提出を求める旨が記載されています。自社の説明だけでは足りず、第三者による客観的な評価が必須です。
①②の材料がどれだけ揃っていても、それを評価するのが自社の代表者や経理担当者では、審査上は「第三者評価」になりません。中小企業診断士が決算書と改善計画の両方を確認したうえで、評価コメントを添えて初めて、企業評価書としての要件を満たします。
企業評価書に記載する項目のイメージは、次の表のとおりです。架空の数値ではなく、一般的な構成項目を示しています。
| 記載項目 | 内容のイメージ |
|---|---|
| 企業概要 | 事業内容・船隻数や乗組員体制など、会社の基本情報 |
| 財務状況・債務超過の理由 | 直近数期の決算推移、漁獲枠削減と固定費の関係の説明 |
| 改善の見通し | 操業計画の見直し・収益の多角化など、具体的な改善策と数値目標 |
| 総合評価 | 中小企業診断士など第三者資格者による、改善可能性の評価コメント |
詳しくは次のページにまとめています。
外国人技能実習・特定技能の企業評価書について 社長やご担当者の方へ。“あなた”は今、このようなお悩みを抱えていませんか。 外国人技能実習制度を活用したいが、企業評価書の作成方法が分からないという方 特定技能外国人の受入れにあたり、経営改善の見通しについて評価が必要だ...
なお、特定技能をすでに受け入れている会社は、年1回の定期届出のなかで「一定の基準」という告示要件も意識しておく必要があります。この基準には「過去3年間に債務超過となっていない法人」であることが明記されており、企業評価書によって改善の見通しを示せているかどうかが、実務上の分かれ目になります。
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漁獲枠削減を乗り越え特定技能で手に入る未来

企業評価書を整え、審査を通過できた先には、具体的な変化が待っています。3つの軸で整理します。
数字の軸:乗組員体制が安定し、出漁できる日数・隻数を維持できます。水揚げの上限は漁獲枠で決まりますが、少なくとも「人手不足で船を出せない」という機会損失は避けられます。
時間の軸:在留資格更新のたびに「今回は通るだろうか」と不安を抱える時間から解放され、来期の操業計画や漁場戦略といった本業の意思決定に時間を割けるようになります。
関係性の軸:出入国在留管理局や監理団体との間に、正しい手続きを積み重ねてきたという信頼関係が築かれます。乗組員本人にとっても、雇用が安定している会社は働き続けたいと思える職場になります。取引先の水産卸や加工業者から見ても、人材の受入れ体制が整っている会社は、長期的な取引を任せやすい相手として評価されやすくなります。
漁獲枠という外部要因は、会社の努力だけでは動かせません。だからこそ、動かせる部分(経営の説明責任・改善計画・審査対応)を確実に整え、この未来を共に手に入れましょう。
審査対応に追われる状態が続くと、経営者の関心はどうしても「今回は通るか」という短期的な不安に向きがちです。企業評価書という形で改善の見通しを一度きちんと言語化しておけば、次の決算・次の更新でも同じ考え方を使い回せます。毎回ゼロから対応に追われる状態から抜け出せることも、見落とされがちな利点です。
自社だけで進める限界と、企業評価書に強い中小企業診断士の伴走支援

普通の企業(自社だけ)では、そもそも企業評価書を作成できません。企業評価書の作成は、中小企業診断士または公認会計士という公的資格を持つ第三者の役割であり、自社の担当者が自己流で書面を用意しても、審査では受け入れられません。
漁業経営者の多くは、船の運航や漁場の判断には強くても、決算書を根拠に改善の見通しを組み立てる作業には不慣れです。専門知識の壁に加え、決算期が迫るなかで時間をかけて独学するコストも大きく、記載内容を誤ると審査そのものが長引くリスクがあります。
企業評価が拒否されないように、要点を理解している経験豊富な中小企業診断士を紹介します。KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、法人支援150社以上の実績を持つ、認定経営革新等支援機関(中小企業庁)です。財務データだけでなく、漁獲枠の動向や水揚げ実績といった業種特有の非財務情報もふまえ、改善の見通しを具体的に組み立てます。
本当に向き合うべき相手は、金融機関でも審査窓口でもありません。漁獲枠削減という外部環境と、それに対応しきれていない社内の経営管理体制そのものです。この2つを正面から整理できれば、債務超過という結果だけを見て一喜一憂する状態からは抜け出せます。
東京・銀座本社を拠点としていますが、全国オンライン対応が可能です。港が地方にあり「近くに頼める専門家がいない」という会社でも、変わらずご相談いただけます。
企業評価書は、一度作って終わりの書類ではありません。翌期以降も決算のたびに改善の進捗を確認し、必要に応じて見通しを更新していく継続的な取り組みです。KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)では、初回の企業評価書作成だけでなく、その後の経営改善の伴走まで一貫してサポートしています。
管理会計の視点を取り入れ、漁獲枠・水揚げ量・固定費の関係を「見える化」しておけば、次の決算でも慌てずに数字を示せるようになります。経営改善は精神論ではなく、こうした構造の整理から始まります。
企業評価書をまとめて確認したい方へ
企業評価書が必要になる条件、作成できる専門家、混同されやすい「評価調書」との違いを、中小企業診断士が1本の記事にまとめています。
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企業評価書のよくある質問|特定技能・債務超過の疑問を解消

Q. 企業評価書とは、そもそも何ですか。
A. 正式には「改善の見通しについて評価を行った書面」と呼ばれる書類で、外国人技能実習機構の提出書類(別紙②-1・番号20)に該当します。直近決算が債務超過の企業が、技能実習生・特定技能人材の受入れを続けるために提出を求められる書面です。
Q. 企業評価書は税理士に頼めますか。
A. 企業評価書を作成できるのは、中小企業診断士または公認会計士に限られます。税理士は作成者として認められていません。顧問税理士がいる会社でも、企業評価書だけは別に依頼する必要があります。
Q. 漁獲枠(TAC)削減が原因の赤字は、評価書にどう書けばいいですか。
A. 水揚げ量・売上・固定費の推移を数字で示したうえで、赤字の主因が漁獲枠削減という外部要因にあることを説明します。そのうえで、操業計画の見直しなど実行可能な改善策を数値目標とあわせて記載する構成が基本です。
Q. 債務超過のままでも、技能実習生・特定技能船員を継続雇用できますか。
A. 債務超過そのものが即座に受入れ不可を意味するわけではありません。改善の見通しについて評価を行った書面(企業評価書)を提出し、改善に向かっていることを客観的に示せれば、受入れを続けられる可能性があります。
Q. 企業評価書のサンプルはありますか。
A. 記載項目のイメージは本文の表で示したとおりです。企業概要・財務状況と債務超過の理由・改善の見通し・総合評価という構成が一般的ですが、実際の記載内容は各社の決算内容や改善策によって異なるため、個別に組み立てる必要があります。同業他社の書式をそのまま流用すると、自社の実情と食い違い、かえって説得力を欠く結果になりかねません。
Q. 特定技能の定期届出における「一定の基準」とは何ですか。
A. 特定技能所属機関が年1回行う定期届出において、届出内容を簡素化できるかどうかの判断に関わる告示要件です。「過去3年間に債務超過となっていない法人」であることが基準の一つに明記されています。債務超過が続く場合は、企業評価書による改善の見通しの提示が実務上の対応になります。
Q. 外国人技能実習機構への「改善報告書」と企業評価書は同じ書類ですか。
A. 両者の異同は確認できていません。名称が似ているため混同されがちですが、断定はできませんので、実際の提出先・様式については専門家に確認することをおすすめします。
Q. 全国どこの港からでも相談できますか。費用はどのくらいですか。
A. KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は全国オンライン対応が可能なため、港の所在地に関わらずご相談いただけます。費用は決算内容や改善計画の複雑さによって異なるため、まずは無料相談で現状をお聞かせください。
Q. 企業評価書はどのくらいの期間で用意できますか。
A. 決算書の内容や改善計画の整理状況によって前後しますが、まずは現状の決算内容と、これまでに検討してきた改善の方向性をヒアリングするところから始まります。準備状況によって必要な期間は変わるため、更新時期が近い場合は早めのご相談をおすすめします。
Q. 技能実習生と特定技能船員が混在している場合、企業評価書の扱いは変わりますか。
A. 求められる書面の位置づけは、技能実習・特定技能のどちらの制度に基づく手続きかによって異なります。ただし、いずれの場合も「債務超過の状態で、改善の見通しを客観的に示す第三者評価が必要になる」という基本的な考え方は共通しています。制度ごとの提出先・タイミングは、個別の状況に応じて確認することをおすすめします。
まとめ
漁獲枠(TAC)の削減は、経営努力だけでは動かせない外部要因です。しかし、水揚げが減っても固定費が減らないという構造を放置すれば、赤字は債務超過へと進み、特定技能・技能実習生の継続雇用そのものが止まってしまいます。
この記事で見てきたとおり、審査で問われているのは黒字かどうかではなく、原因を客観的に説明できているか、改善の見通しが具体的か、そしてそれを第三者資格者が評価した書面として用意できているか、という3つの基準です。どれか一つでも欠けたまま提出すると、審査対応に余計な時間がかかってしまいます。
漁獲枠の動向は、来期以降も予断を許しません。だからこそ、目先の決算対応だけでなく、数年単位で見通しを更新し続けられる体制を今のうちに整えておくことが、乗組員を守り、事業を続けていくための現実的な備えになります。
大切なのは、赤字の原因を客観的に整理し、改善の見通しを具体的に描き、それを中小企業診断士などの第三者が評価した企業評価書としてかたちにすることです。この3つの基準を満たせば、債務超過の状態からでも受入れを続けられる道が開けます。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは現状をお聞かせください。
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