
「うちは債務超過だから、外国人技能実習生の受入はムリだろう……」
鉄筋工事業をはじめとする建設業の経営者の方から、このような相談が後を絶ちません。求人を出しても日本人の若手が集まらない。鋼材価格は2021年初頭と比べて約3〜5割も高い水準が続いている。重筋作業が敬遠され、既存の職人は高齢化が進む一方——。こうした状況のなかで、外国人材の活用を検討したいのに、「財務状況が原因で受入できないのではないか」と不安を抱えている企業は、決して少なくありません。
しかし、結論から申し上げます。債務超過であっても、外国人技能実習生・特定技能外国人の受入は可能です。そのための鍵となるのが、中小企業診断士や公認会計士が作成する「企業評価書」(改善の見通しについての評価書面)です。
この記事では、債務超過の企業が外国人材を受入するために必要な企業評価書の意味、具体的な内容、鉄筋工事業ならではの課題と活用方法、そして認められるための条件までを、中小企業診断士の立場からわかりやすく解説します。
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「債務超過=受入不可」は誤解である

まず大前提として知っていただきたいのは、出入国在留管理庁は「債務超過=即NG」とはしていない、という事実です。
技能実習制度の根拠法である「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(平成28年法律第89号)に基づく「技能実習制度運用要領」では、技能実習計画の認定申請に際して、直近2事業年度の貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)の提出が求められています。
参考:出入国在留管理庁「技能実習制度運用要領・各種様式等」
ここで重要なのが、直近期末に債務超過がある場合の取り扱いです。運用要領の別紙2には、次の趣旨が定められています。
「直近の事業年度で債務超過がある場合、中小企業診断士、公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が、改善の見通しについて評価を行った書類の提出も必要」
参考:外国人技能実習機構「技能実習制度運用要領」
つまり、債務超過だから受入ができないのではなく、改善の見通しを専門家が評価し、それを書面で証明できれば、審査のテーブルに乗ることができるのです。それにもかかわらず、「債務超過=門前払い」と誤解して、最初から諦めてしまう経営者の方が多いのが実態です。
また、特定技能制度においても同様に、直近期末の決算で債務超過がある場合は、企業評価書(改善の見通しについて評価を行った書面)の提出が求められます。この書面を作成できるのは、中小企業診断士や公認会計士など、企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を持つ第三者に限られます。顧問税理士に相談されるケースも多いのですが、税理士単独ではこの評価書を作成できない点には注意が必要です。
参考:厚生労働省「技能実習制度 運用要領」
監理団体・登録支援機関も「数字だけ」で判断しない
監理団体(技能実習の場合)や登録支援機関(特定技能の場合)は、受入企業の財務状況を確認する役割を担っています。しかし、彼らも単に「債務超過か否か」という二択だけで判断しているわけではありません。
実際に見ているのは、実習生や特定技能外国人を受入した場合に、その方々への給与支払いや生活支援を安定的に継続できるだけの経営基盤があるかどうかです。したがって、債務超過の原因や改善見通しが明確に示されていれば、受入の道は十分に開けます。
特定技能は受入れ後も「定期報告」で財務状況を確認される
特定技能外国人を受入れる企業には、受入れ後も定期的な届出(定期届出/定期報告)が求められます。令和7年度からは、この定期報告が年1回にまとめられました。
この届出とあわせて位置づけられているのが「一定の基準」です。出入国在留管理庁の関連告示には、過去3年間に債務超過となっていないことが、受入れ企業に求められる基準の一つとして挙げられています。つまり、財務状況の健全性は、初めて受入れる時点だけでなく、受入れを継続する間も見られているということです。
裏を返せば、直近で債務超過があっても、改善の見通しを示す企業評価書を用意しておくことが、その後の定期報告や在留資格の更新の場面でも安心材料になる、ということでもあります。
技能実習制度は「育成就労」へ——今の備えが将来にも生きる
技能実習制度は、2027年をめどに新しい「育成就労制度」へと移行することが決まっています。育成就労では、監理団体は「監理支援機関」という名称に変わり、財産的基礎(財務の健全性)についての考え方も引き継がれる見通しです。
今、企業評価書を用意して技能実習・特定技能の受入れ基盤を整えておくことは、育成就労制度へ移行した後の受入れ体制づくりにもそのまま生きてきます。制度の変わり目だからこそ、早めに専門家へ相談し、自社の財務状況を客観的に整理しておく価値は大きいといえます。
鉄筋工事業が直面する「三重苦」と外国人材の必要性

鉄筋工事業を営む企業にとって、今の経営環境は極めて厳しいものです。実際、当社(KICKコンサルティング)にご相談いただく鉄筋工事業の経営者の多くが、次の3つの課題を抱えています。
課題1:若手人材が入ってこない構造的な問題
鉄筋工事は、重い鉄筋を手作業で運び、組み立てるという重筋作業が中心です。夏は灼熱の屋外、冬は極寒の現場。こうした作業環境は、近年の若者が求める「ワークライフバランス」「安全で快適な職場」とは対極にあります。
総務省の「労働力調査」によれば、建設業の就業者のうち30歳未満はわずか約12%にとどまる一方、55歳以上は約37%を占めています。特に型枠大工や鉄筋工といった専門技能職は、人材の高齢化と若手の不足がもっとも顕著な職種です。
課題2:鋼材価格の急騰による利益圧迫
鉄筋工事業は、主要資材である異形棒鋼(鉄筋)の価格変動に経営が大きく左右されます。一般社団法人日本建設業連合会の資料によれば、異形棒鋼の価格は2021年1月比で約54%上昇しています。この背景には、「アイアンショック」と呼ばれる世界的な鋼材需要の急増、ウクライナ情勢に伴う原材料費の高騰、さらに円安による輸入コストの増大が複合的に影響しています。
こうした資材価格の高騰を受注価格に転嫁しきれない中小企業では、利益が大幅に目減りし、結果として決算が赤字、さらには債務超過に陥るケースが発生しています。
課題3:加工コストの増大と人件費の上昇
鋼材価格の上昇に加えて、鉄筋の加工にかかるコストも増加しています。公共工事設計労務単価は2021年度比で約22.9%引き上げられており、建設技能労働者の人件費も年々上昇しています。鉄筋の加工場でも、人手不足によるアウトソーシング費用の増大が経営を圧迫する要因となっています。
こうした「三重苦」が重なった結果、鉄筋工事業では外国人材の活用が「選択肢」ではなく「経営の必要条件」になりつつあります。帝国データバンクの調査では、2024年の建設業の倒産は1,924件に達し、人手不足倒産が大きな割合を占めています。もはや、外国人材を活用しなければ事業そのものの継続が危ぶまれる段階にある企業も少なくないのです。
詳しくは、債務超過でも外国人材の受入れを進めるための考え方を、次のページでまるごと解説しています。
「債務超過だから外国人を雇えないのでは?」と諦めていませんか? 実は、適切な手続きと書類を準備すれば、技能実習生や特定技能外国人の受け入れは可能です。 本記事では、債務超過でも外国人材を受け入れるために必要な書類や費用、依頼方法、実際の事例までを詳しく解説。 企業評価書や理由書の作成ポイントも紹介し...
企業評価書とは何か——「改善の見通し」を第三者が証明する書面

では、債務超過の企業が外国人技能実習生・特定技能外国人を受入するために必要な「企業評価書」とは、具体的にどのような書面なのでしょうか。
企業評価書とは、一言でいえば、「この会社は今は債務超過の状態にあるが、改善に向かう見通しがあり、外国人材を安定的に受入できる体制が整っている」ということを、公的資格を持った第三者が客観的に評価・証明した書面です。
企業自身が「うちは大丈夫です」と説明するだけでは、審査機関に対する説得力は十分ではありません。中小企業診断士や公認会計士といった国家資格者が、財務データと事業計画に基づいて分析し、改善の見通しを専門的な視点で評価するからこそ、信頼性のある書面となるのです。
なぜ「形式的な黒字」ではなく「継続性」が重視されるのか
審査においては、単に「次の決算で黒字になればいい」という話ではありません。重要なのは、事業の継続性です。一時的に数字をよく見せるのではなく、「なぜ債務超過に陥ったのか」「どのような改善施策を実行するのか」「いつまでに債務超過を解消できる見込みなのか」——こうしたストーリーに一貫性と合理性があるかどうかが、審査の核心です。
特に外国人技能実習機構(OTIT)や出入国在留管理庁は、受入企業が実習生に対して適切な待遇を継続できるかどうかを重視しています。したがって、企業評価書においても、財務の改善見通しだけでなく、事業そのものの安定性や将来性を示すことが求められます。
企業評価書のサンプル・記載項目——実際にはどんな内容になるのか
「企業評価書のサンプルやひな形があれば見てみたい」というお声もよく聞きます。決まった様式(フォーマット)が公開されているわけではありませんが、実務上は次のような記載項目で構成されるのが一般的です。
| 評価項目 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 財務分析(BS・PL) | 直近2〜3期分の貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)をもとに、債務超過に至った経緯を分析。資産・負債の内訳、自己資本比率の推移、売上高・営業利益の変動などを整理する |
| 債務超過の原因分析 | なぜ債務超過に陥ったのかを明確にする。たとえば、鋼材価格の急騰による原価率の上昇、設備投資に伴う一時的な費用増、役員借入金(社長からの貸付)による見かけ上の債務超過など、原因を特定する |
| 資金繰りの状況 | 現時点でのキャッシュフローに問題がないかを示す。手元資金の状況、借入金の返済計画、売掛金の回収状況などを確認する |
| 事業計画 | 今後の売上見込み、受注予定、新規取引先の開拓状況、外国人材活用による生産能力向上の計画などを具体的な数字で示す |
| 改善施策 | コスト削減策、価格転嫁の取り組み、新規事業の展開、人材確保策など、債務超過を解消するための具体的なアクションプランを記載する |
| 債務超過解消の見込み時期 | 上記の施策を実行した場合に、何年以内に債務超過を解消できるかの見通しを示す |
このうち特に重要なのが、「債務超過の原因」と「改善施策」の整合性です。たとえば、債務超過の原因が「鋼材価格の急騰」であるならば、改善施策として「価格転嫁の交渉状況」「原価管理の強化」「外国人材活用による生産性の向上」など、原因に対応した打ち手を示す必要があります。
企業評価書の作成支援について、詳しくは次のページにまとめています。
外国人技能実習・特定技能の企業評価書について 社長やご担当者の方へ。“あなた”は今、このようなお悩みを抱えていませんか。 外国人技能実習制度を活用したいが、企業評価書の作成方法が分からないという方 特定技能外国人の受入れにあたり、経営改善の見通しについて評価が必要だと言われた方 ...
中小企業では、社長個人が会社にお金を貸している(役員借入金)ケースが多くあります。この場合、帳簿上は「負債」として計上されるため債務超過になりますが、実態としては社長の個人資産が会社を支えている状態です。こうした「実質的には資産超過」である場合も、企業評価書のなかでその旨を説明し、実態としての財務の健全性を示すことが有効です。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは現状の決算内容をお聞かせください。
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鉄筋工事業の事例——外国人材導入で収益改善を実現

ここからは、鉄筋工事業における外国人材活用の合理性と、企業評価書によって受入を実現した事例についてご紹介します。
なぜ鉄筋工事業に外国人材が合理的なのか
鉄筋工事業において外国人技能実習生・特定技能外国人を受入する合理性は、次の3点に集約されます。
第一に、慢性的な人手不足への対応です。鉄筋施工は技能実習制度の対象職種(建設関係22職種33作業のうちの1つ)に含まれており、制度上も外国人材を受入できる枠組みが整っています。日本人の若手が集まらない以上、外国人材は貴重な戦力確保の手段です。
第二に、工期の安定と受注機会の拡大です。人手不足によって工期が遅延すれば、発注元からの信頼を失い、次の受注にも影響します。外国人材を安定的に確保することで、受注できる工事量が増え、売上の拡大につながります。
第三に、コスト増を吸収する生産能力の向上です。鋼材価格や加工コストの上昇に対して、一人あたりの生産性を維持しながら施工量を増やすことで、売上原価率を改善し、利益を確保することが可能になります。
事例
状況:鋼材価格の高騰と受注単価の据え置きにより、直近期末で約600万円の債務超過が発生。監理団体から「このままでは技能実習生の受入申請ができない」と告げられ、当社に相談。
分析:A社の債務超過の主因は、役員借入金の存在と鋼材コストの上昇による一時的な利益圧迫であった。実態としてのキャッシュフローは安定しており、手元資金にも余裕があった。
評価書の内容:BS・PLの分析に加えて、今後の受注見込み(大手ゼネコンとの継続取引の実績)、価格転嫁の交渉状況、外国人材受入による月間施工可能面積の増加見込みなどを数字で示した。債務超過解消の見込み時期を「翌期末まで」として評価書を作成。
結果:企業評価書の提出後、技能実習計画が認定され、2名のベトナム人技能実習生の受入が実現。施工体制が強化され、受注量が増加し、翌期の決算で債務超過を解消した。
この事例が示す通り、「現状の数字」だけで判断するのではなく、「改善の見通し」を根拠をもって示せるかどうかが、受入の可否を分けるポイントです。
債務超過でも受入が認められるための条件

すべての債務超過企業が無条件に受入できるわけではありません。審査機関が重視するポイントを理解し、企業評価書でこれらに対応する必要があります。
条件1:改善見通しの具体性
「なんとなく良くなるだろう」では通りません。改善の見通しには、具体的な数字と根拠が求められます。たとえば、「売上を前年比10%増やす」と記載するのであれば、その根拠として「〇〇社との新規取引が決定済み」「△△案件の受注内示がある」など、裏付けとなる情報が必要です。
条件2:継続的な収益モデルの存在
債務超過の原因が一時的なものであり、本業で安定的に利益を出せる構造が存在することが重要です。鉄筋工事業であれば、元請ゼネコンとの継続的な取引実績、地域内でのシェア、技術的な強み(高層ビルの鉄筋組立ができるなど)といった要素が評価の対象になります。
条件3:資金繰りの裏付け
BS上は債務超過であっても、日々の資金繰りに問題がないことを示す必要があります。給与支払い、社会保険料の納付、鋼材の仕入代金の支払いなどが滞りなく行われていることを、預金残高の推移や資金繰り表で示します。
4期以上にわたって債務超過が継続しているような場合、審査のハードルは高くなります。改善の見通しに説得力を持たせるには、より具体的かつ実行可能性の高い事業計画と改善施策を示す必要があります。過去にトラブルや不正がある場合は、それ自体が受入拒否の理由となることもあるため、正確な情報開示が大前提です。
企業評価書の作成支援——ヒアリングから書面完成までの流れ

KICKコンサルティングでは、これまで150社以上の法人の経営改善・成長を支援してきた実績を持つ中小企業診断士が、外国人技能実習・特定技能の企業評価書の作成を支援しています。「企業評価書が必要だと言われたけど、どうすればいいかわからない」という経営者の方に向けて、支援の流れをご説明します。
- お問い合わせ・初回ヒアリング(無料)
まずは現在の状況をお聞かせください。債務超過の金額、業種、受入を予定している外国人材の人数や在留資格など、基本的な情報をお伺いします。オンライン対応のため、全国どこからでもご相談いただけます。 - 決算書・財務資料のご提出
直近2〜3期分の決算書(BS・PL)をご提出いただきます。確定申告書の写し、納税証明書、資金繰り表などもご用意いただくと、より精度の高い評価が可能になります。 - 詳細ヒアリング・経営状況の把握
中小企業診断士が経営者と直接お話しし、債務超過に至った経緯、現在の事業状況、今後の見通し、改善に向けた取り組みなどを詳しくお聞きします。数字には表れない「現場の実態」をしっかりと把握することが、説得力のある評価書を作成するうえで欠かせません。 - 分析・企業評価書の作成
ヒアリング内容と財務データに基づき、中小企業診断士が企業評価書を作成します。財務分析、債務超過の原因、改善施策、資金繰りの状況、債務超過解消の見込み時期などを体系的にまとめます。 - 内容確認・修正・納品
作成した企業評価書の内容をご確認いただき、必要に応じて修正を行います。最終版をPDF形式で納品いたします。その後、監理団体や登録支援機関を通じて、外国人技能実習機構(OTIT)や出入国在留管理庁への申請書類として提出していただきます。
※当社は企業評価書の作成支援を行う立場であり、申請手続きそのものの代行は行っておりません。申請は監理団体・登録支援機関と連携のうえ進めていただきます。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。ヒアリングだけでもお気軽にどうぞ。
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ご利用いただいた経営者の声

「債務超過で技能実習生を受入できないと監理団体に言われたとき、正直もう諦めかけていました。人が足りなくて工期は遅れる、受注を断らないといけない、このままでは会社を畳むしかないかもしれないと。KICKコンサルティングさんに相談したところ、うちのような状況でも企業評価書を出せば受入の可能性があると教えていただき、すぐにお願いしました。丁寧にヒアリングしてもらい、うちの強みや受注の見込みをちゃんと数字で示してもらえたことで、無事に認定が下りました。今は2名のベトナム人実習生と一緒に現場を回しています。もっと早く相談すればよかったと思っています。」
「うちは設備投資のタイミングが重なって一時的に債務超過になってしまいました。本業の利益は出ているのに、帳簿上の数字がネックになって特定技能外国人を受入できないかもしれないと焦りました。評価書では、債務超過の原因が設備投資であること、来期には確実に解消できる見込みであることを、わかりやすく示していただきました。おかげで登録支援機関からも『これなら問題ない』と言ってもらえ、スムーズに受入を進めることができました。」
企業評価書のよくある質問|特定技能・債務超過の疑問を解消
Q. 債務超過とはどのような状態を指しますか
A. 債務超過とは、貸借対照表上の負債の合計が資産の合計を上回り、純資産(資本の部)がマイナスになっている状態を指します。金額の大小にかかわらず、この状態にあれば債務超過に該当します。
Q. 企業評価書とはどのような書類ですか
A. 直近の決算で債務超過がある企業が、外国人技能実習生・特定技能外国人を受入れる際に提出を求められる書面です。中小企業診断士や公認会計士など公的資格を持つ第三者が、財務データと事業計画をもとに「改善の見通し」を評価します。企業が自ら作成する説明資料ではなく、第三者による客観的な評価であることが重視されます。
Q. 企業評価書は税理士に依頼できますか
A. 税理士単独では、この企業評価書を作成することはできません。企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格者として位置づけられているのは、中小企業診断士や公認会計士です。顧問税理士に相談されるケースは多いのですが、評価書そのものの作成は中小企業診断士・公認会計士に依頼する必要があります。
Q. 企業評価書のサンプルやフォーマットはありますか
A. 決まった様式が公開されているわけではありませんが、財務分析、債務超過の原因分析、資金繰りの状況、事業計画、改善施策、解消の見込み時期といった項目で構成されるのが一般的です。本記事内の表で、記載項目のイメージを紹介しています。
Q. 特定技能の定期報告でも企業評価書は必要ですか
A. 特定技能では、受入れ後も定期報告(令和7年度からは年1回)が求められ、そのなかで受入れ企業の財務状況も継続的に確認されます。出入国在留管理庁の関連告示には、過去3年間に債務超過となっていないことが受入れ企業の「一定の基準」の一つとして挙げられており、直近で債務超過がある場合は、企業評価書で改善の見通しを示すことが引き続き重要になります。
Q. 技能実習制度が「育成就労」に変わっても企業評価書は必要ですか
A. 技能実習制度は2027年をめどに育成就労制度へ移行することが決まっており、監理団体は「監理支援機関」という名称に変わる見通しです。財務の健全性についての考え方も引き継がれるとみられるため、今のうちに企業評価書を用意し、財務状況を整理しておくことは、育成就労制度への移行後の受入れ体制づくりにも役立ちます。
Q. 監理団体や登録支援機関は何を基準に判断していますか
A. 監理団体(技能実習)や登録支援機関(特定技能)は、単に債務超過か否かの二択で判断しているわけではありません。実習生や特定技能外国人への給与支払いや生活支援を安定的に継続できるだけの経営基盤があるかどうかを、企業評価書などの資料をもとに確認しています。
Q. 債務超過の理由書と企業評価書は同じものですか
A. 異なります。企業が自社の状況を説明する理由書やメモは参考資料にはなりますが、審査上必要とされるのは、中小企業診断士や公認会計士といった公的資格者が作成する企業評価書です。理由書を用意する場合も、最終的には企業評価書として第三者の評価を受ける必要があります。
Q. 直近の貸借対照表で純資産が少しでもマイナスなら対象になりますか
A. はい。貸借対照表上の純資産がマイナスであれば、金額の大小にかかわらず債務超過に該当し、企業評価書の提出対象になります。金額が小さい場合でも、早めに専門家に相談し、改善の見通しを整理しておくことをおすすめします。
Q. 債務超過はどのくらいの期間で解消すればよいですか
A. 明確な年数の基準が定められているわけではありませんが、改善施策を実行した場合に何年程度で債務超過を解消できる見込みかを、具体的な根拠とともに示すことが重要です。一般的には、数期以内の解消見通しを示せると、審査上の説得力が高まりやすいといえます。
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建設業、とりわけ鉄筋工事業における人手不足は、もはや一企業の努力だけで解消できる問題ではありません。外国人材の活用は、事業を継続し、成長させるための経営戦略上の重要な選択肢です。
「うちは債務超過だから……」と諦める前に、ぜひ一度ご相談ください。中小企業診断士の視点で貴社の財務状況を分析し、企業評価書が作成可能かどうかをお伝えいたします。
この記事のまとめ
- 債務超過でも、企業評価書を提出すれば外国人技能実習生・特定技能外国人の受入は可能
- 企業評価書を作成できるのは中小企業診断士・公認会計士等の公的資格者のみで、税理士単独では作成できない
- 評価書に求められるのは、「改善の見通し」を財務データと事業計画で具体的に示すこと
- 鉄筋工事業は人手不足・鋼材価格高騰・コスト増の「三重苦」に直面しており、外国人材の活用は経営上の必要条件
- 形式的な黒字ではなく、事業の「継続性」と「改善の合理性」が審査のポイント
- 特定技能は受入れ後の定期報告でも財務状況が確認され、育成就労制度への移行後もこの考え方は引き継がれる見通し
- KICKコンサルティングでは、支援実績150社以上の中小企業診断士が企業評価書の作成を支援(全国対応・オンライン完結)
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