外国人技能実習・特定技能の企業評価書|債務超過企業の改善見通し計画の作り方

企業評価書の解説(外国人技能実習・特定技能の受け入れ)

技能実習・特定技能の受入れ企業が、加入している監理団体に相談したところ、「決算内容に債務超過が見られるため、改善の見通しに関する評価書面を出していただかないと受入れは難しいです」と言われた。

債務超過の原因は、設備投資の過大や事業不振による赤字の累積など、企業ごとにさまざまです。原因が一時的なものか構造的なものかによって、審査での見られ方は変わります。

このまま企業評価書を用意できなければ、今いる技能実習生・特定技能人材の継続雇用すらできなくなります。継続雇用できなければ現場の人手が足りず、人手が足りなければ受注をこなせません。最悪の場合、事業そのものが立ち行かなくなります。

直近の決算で債務超過になっていても、企業評価書で合理的な改善見通しを示せば、外国人雇用の審査を通過できるケースがあります。実際に、決算書を整理して原因と改善策を数字で説明できた企業ほど、審査担当者への説明がスムーズに進む傾向があります。

本記事では、中小企業診断士の視点から、一発で審査を通す企業評価書に必要な改善見通し計画の具体的な作り方を解説します。これまで150社以上の法人の経営改善を支援してきた知見をもとに、記載すべき項目・数値計画の組み立て方・専門家に依頼した場合の流れまで、実務で使える形でまとめました。

 

  • 対象:技能実習・特定技能の受入れ企業
  • 財務状況:債務超過企業
  • 監修:中小企業診断士
この記事で分かること

  • 企業評価書(改善の見通しについて評価を行った書面)が必要になる具体的なケース
  • 改善見通し計画に盛り込むべき基本構成と、記載項目のサンプル・フォーマット
  • 特定技能の定期報告・監理団体の財務要件と企業評価書の関わり
  • 中小企業診断士に相談する際の流れと、相談から納品までの目安期間

ここまでで、自社が企業評価書の対象になりそうかどうか、ある程度イメージが付いた方も多いのではないでしょうか。次に必要なのは、悩み続けることではなく、直近の決算書を用意して専門家に一度見てもらうことです。決算内容によっては、想定より早く改善見通しを整理できるケースもあります。

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外国人技能実習・特定技能における企業評価書の役割

企業評価書とは、技能実習・特定技能の受入れ企業が債務超過など財務上の懸念を指摘された際に、財務状況の分析と今後の改善見通しをまとめて提出する書面です。正式名称は「改善の見通しについて評価を行った書面」で、実務では企業評価書と呼ばれるのが一般的です。次の章から、この書面が求められる理由と、中身の作り方を順に見ていきます。

外国人雇用制度と財務審査

技能実習制度および特定技能制度では、受入れ企業(実習実施者・特定技能所属機関)が人材を安定的に受入れ・育成できる体制を持つことが審査の前提となります。出入国在留管理庁(入管)や監理団体・登録支援機関は、企業の財務状況を含めた受入れ適格性を確認しており、直近の決算内容が重要な審査対象です。

特に賃金の支払い能力や雇用継続の見込みを担保する観点から、財務審査は審査プロセスの中で大きな比重を占めます。

債務超過企業に求められる改善見通し

直近の決算で債務超過(純資産がマイナスの状態)が確認された場合、審査機関は「この企業は経営を持続できるのか」という観点で精査します。単に財務数値が悪いというだけでなく、その原因を把握し、どのように改善する見通しがあるのかを説明できなければ、審査通過は困難です。

そのため債務超過企業には、現状の財務実態と今後の改善計画を一体的に説明する書類として「企業評価書(改善見通し計画を含む)」の提出が求められます。

企業評価書の提出が必要になるケース

  • 技能実習計画の認定申請・更新時に債務超過が確認された場合
  • 特定技能所属機関として届出・審査を行う際に財務懸念が生じた場合
  • 監理団体や登録支援機関から経営状況の説明を求められた場合

企業評価書と改善の見通しについて評価を行った書面の関係

出入国在留管理庁の審査文書上では、正式には「改善の見通しについて評価を行った書面」という名称が使われます。実務の現場では、この書面を指して「企業評価書」と呼ぶのが一般的です。

どちらも同一の書類を指しており、財務状況の分析と今後の改善見通しを第三者の専門家が評価した内容が中心になります。名称のゆらぎで混乱しないよう、監理団体や登録支援機関からの案内文を確認する際は、両方の呼び方があることを把握しておくとよいでしょう。

技能実習と特定技能で企業評価書の内容は変わるか

実習実施者として提出する企業評価書と、特定技能所属機関として提出する企業評価書は、確認する機関や手続きの窓口こそ異なりますが、財務状況を分析し改善の見通しを評価するという書面の性質そのものは共通しています。技能実習では外国人技能実習機構、特定技能では出入国在留管理庁が主な確認主体となりますが、いずれも「賃金支払いの継続性」「経営の安定性」を見る視点は変わりません。

そのため「技能実習 企業評価書」で調べても「特定技能 企業評価書」で調べても、必要になる書面の中身は基本的に共通していると考えて差し支えありません。両方の受入れ形態を持つ企業では、1つの企業評価書を土台に、提出先ごとの必要事項を補足する形で対応すると効率的です。

債務超過企業に改善見通し計画が必要な理由

債務超過の状態とは

債務超過とは、貸借対照表(B/S)上で負債の合計が資産の合計を上回り、純資産がマイナスになっている財務状態を指します。累積損失の積み重ねや、設備投資の過大、事業不振による赤字の継続などが主な原因です。

債務超過は「倒産リスクが高い状態」と評価されやすく、金融機関からの融資や取引先からの与信にも影響します。外国人雇用審査においても、審査機関が最も注視するリスク指標の一つです。

外国人雇用制度における審査の考え方

入管や機構(外国人技能実習機構)は、受入れ企業が実習生・特定技能人材を適正に雇用・管理できるかを審査します。その際、経営の安定性は「適正な賃金の支払い」「雇用継続の可能性」に直結するため、財務状況が審査要素に組み込まれています。

債務超過が確認されても、改善が見込まれる合理的な根拠があれば審査が通るケースもありますが、その場合は根拠のある計画書の提出が不可欠です。

入管や監理団体が確認するポイント

審査機関が改善見通し計画を精査する主な視点は次のとおりです。

  • 債務超過の原因が一時的なものか、構造的なものかの判断
  • 今後の売上・利益の見通しに数値的根拠があるか
  • 資金繰りに無理がなく、賃金支払いが継続できるか
  • 計画が実行可能であり、経営者がその実現に真摯に取り組んでいるか

特定技能の定期報告における債務超過の扱い

特定技能所属機関は、受入れ後も定期的な届出が義務付けられています。従来は四半期ごと(年4回)の提出でしたが、令和7年4月の制度改正により、対象期間を1年間とした年1回の提出に変わりました。提出期間は毎年4月1日から5月31日までの2か月間に統一されています。受入れ時点では債務超過でなかった企業でも、その後の決算で純資産がマイナスに転じた場合、この年1回の定期報告のタイミングで財務状況の悪化が把握されることになります。

この場合も、初回審査と同様に改善見通し計画の提出を求められることがあります。決算が確定した段階で速やかに現状を整理し、必要に応じて企業評価書を更新しておくことが、その後の手続きを円滑に進めるうえで重要です。

特定技能所属機関の定期届出には、一定の基準を満たす場合に届出内容が簡素化される仕組みがあります。この基準には直近3年以内に債務超過となっていないことが含まれているため、債務超過を解消しておくことは、日々の定期報告の負担を軽くすることにもつながります。基準を満たすと、登記事項証明書や納税証明書といった添付書類の一部を省略できるため、事務負担そのものが軽くなる点も実務上のメリットです。

この仕組みは実務上「特定技能 定期届出 一定の基準」や「特定技能 定期報告 一定の基準」と呼ばれることもあります。告示上も、この基準の一つとして「過去3年間に債務超過となっていない法人であること」が明記されており、裏を返せば直近3年のいずれかの決算期で債務超過が確認された場合は、簡素化の対象から外れ、通常どおりの詳細な定期報告と企業評価書の提出が必要になる形です。

特定技能所属機関に求められる決算書の提出範囲

特定技能所属機関としての届出・報告では、直近の決算書の提出を求められる場面があります。一般的には直近1期分の決算書に加え、財務状況の推移を確認できるよう2〜3期分をあわせて準備しておくと、審査担当者への説明がしやすくなります。

単年度の決算書だけでは、債務超過が一時的なものか構造的なものかの判断がつきにくいため、複数期分をそろえたうえで、企業評価書の中で推移を示すことが望まれます。

監理団体が債務超過の場合の注意点

技能実習では、受入れ企業(実習実施者)だけでなく、監理団体の財務状況が問われる場面もあります。監理団体が債務超過に陥っている場合、監理事業の許可更新や実習計画の認定に影響が及ぶ可能性があります。

厚生労働省の資料でも、監理団体の財産的基礎について、直近期末に債務超過がある場合は「中小企業診断士、公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が改善の見通しについて評価を行った書面」の提出を求める旨が示されています。監理団体・受入れ企業のいずれの立場でも、この書面の考え方は共通しています。

受入れ企業の立場で監理団体の財務状況を直接コントロールすることはできませんが、監理団体の経営状況に不安がある場合は、早めに自社の財務体制を整理し、改善見通し計画を用意できる状態にしておくと安心です。なお育成就労制度では、監理団体は「監理支援機関」という名称に変わる見通しであり、財産的基礎の考え方は引き続き重視されるとみられます。

育成就労の監理支援機関に求められる要件

育成就労制度で監理団体に代わる「監理支援機関」も、許可を受ける際に財産的基礎の要件を満たす必要がある見通しです。現行の監理団体と同様、直近期末に債務超過がある場合は、中小企業診断士や公認会計士等の第三者による改善見通しの評価書面が求められると考えられます。

監理支援機関としての許可申請を控えている団体や、これから監理支援機関の立場での運営を検討している事業者は、財務状況の整理を早めに進めておくことが、許可申請をスムーズに進めるうえで重要です。受入れ企業の立場でも、自社が加入する監理団体・監理支援機関の財務要件がどう変わるかを把握しておくと、今後の制度移行に落ち着いて対応できます。

育成就労制度への移行と財務要件

技能実習制度に代わる新制度として、育成就労制度への移行が進められています。育成就労では優良な受入れ機関としての要件(優良要件)や計画認定の基準が定められる見通しであり、財務の健全性は引き続き重視されると考えられます。優良要件では基本的な基準に加えて上乗せ基準が設けられる見通しであり、財務の健全性はこうした基準を満たせるかどうかの判断材料になり得ると考えられます。

制度が切り替わっても、受入れ企業が安定的に雇用を継続できるかという審査の本質は変わりません。現時点から財務体質を整理し、改善見通し計画を作成できる状態にしておくことが、新制度への円滑な移行につながります。

育成就労制度の詳細な運用要領は、法務省・厚生労働省から順次公表が進められている段階です。財産的基礎に関する具体的な基準もこの中で明らかになっていく見通しのため、監理支援機関としての許可申請を控えている団体や受入れ企業は、公表される運用要領の内容を随時確認しながら準備を進めることをお勧めします。

改善見通し計画の基本構成

改善見通し計画は、単なる「売上目標の羅列」ではなく、現状を正確に把握したうえで、実現可能な改善策と数値計画をセットで示す構成が求められます。次の4要素を体系的にまとめることが基本です。

経営状況の整理

直近2〜3期分の決算書をもとに、売上高・営業利益・経常利益・純資産の推移を整理します。業界平均との比較や、同規模企業との対比を加えると、自社の財務状況を客観的に示すことができます。「いつから債務超過になったか」「どの時点で悪化が始まったか」を時系列で示すことで、問題の全体像を審査機関に的確に伝えられます。

債務超過の原因分析

債務超過になった原因を明確に分析します。「コロナ禍による売上激減で累積損失が発生した」「設備投資の減価償却負担が重なった」「特定取引先の倒産による売掛金貸倒が発生した」など、具体的な事実に基づいた原因説明が必要です。

外部要因と内部要因に分けて整理すると、より論理的な説明が可能です。原因が曖昧なままでは、改善計画の説得力が失われます。

改善戦略の方向性

原因分析を踏まえた改善の方向性を示します。売上拡大・コスト削減・資産圧縮・財務リストラなど、複数の観点から取り組む戦略を記述します。ここで重要なのは「やれることを全部書く」のではなく、「自社の強みと経営資源に照らして、実行可能な施策に絞る」という姿勢です。実態から乖離した大げさな計画は、かえって信頼性を損ないます。

数値計画の作成

改善戦略を裏付ける数値計画(損益計画・資金繰り計画)を作成します。計画期間は通常3〜5年程度が目安です。各年度の売上高・原価・販管費・営業利益・経常利益・純資産を数値で示し、債務超過が何年度に解消されるかを明示します。

数値は根拠とセットで示すことが必須であり、「前年比〇%増の根拠」「コスト削減額の算定根拠」を明確に記載します。

作成にあたっては専門家の関与が有効です。自社だけでは気づきにくい数値の根拠づけや構成の整理は、次のページで詳しくご案内しています。

企業評価書のサンプル・フォーマットに入れる項目

企業評価書のサンプルやフォーマットを探している場合、次の項目が過不足なく含まれているかを基準に確認するとよいでしょう。

記載項目内容
企業概要事業内容・沿革・従業員数・外国人材の受入れ状況
財務状況の推移直近2〜3期の売上高・営業利益・純資産の推移
債務超過の原因分析外部要因・内部要因に分けた具体的な事実
改善戦略売上改善・コスト削減・資金繰り改善の方向性
数値計画3〜5年程度の損益計画・資金繰り計画
資金繰り計画月次・四半期ベースの入出金見込みと借入返済スケジュール
実施体制・進捗確認方法計画を推進する体制と、定期的な進捗確認の方法
評価者の所見中小企業診断士等の専門家による実行可能性の評価

市販の汎用フォーマットをそのまま使うと、自社の実態と合わない項目が残ってしまうことがあります。この8項目を軸に、自社の状況に合わせて内容を組み立てることが、審査機関に伝わる企業評価書の作成につながります。

各記載項目に盛り込む具体的な要素

上記の8項目は、それぞれ次のような要素まで掘り下げて記載すると、より審査機関に伝わりやすい企業評価書になります。架空の数値を当てはめるのではなく、自社の実態に置き換えて考えることが前提です。

  • 企業概要:商号・所在地・資本金・設立年・主な事業内容に加え、技能実習生・特定技能人材の受入れ人数と職種
  • 財務状況の推移:各期の売上高・営業利益・経常利益・純資産額の推移、自己資本比率の変化
  • 原因分析:外部要因(取引先の倒産・市場縮小・原材料価格の高騰など)と内部要因(過大投資・収益力不足など)の切り分け
  • 数値計画:年度ごとの売上高・営業利益・純資産の目標値と、その根拠となる施策
  • 実施体制:計画を推進する担当者・役職、進捗確認の頻度(月次会議など)

この粒度まで具体化しておくと、企業評価書のサンプルやフォーマットを別途探す必要がなくなり、自社の決算内容から直接、記載項目を埋めていくことができます。

企業評価書のサンプルをそのまま使えるか

「外国人技能実習 企業評価書 サンプル」や「特定技能 企業評価書 サンプル」を探して、公開されているひな形をそのまま流用したいと考える経営者様は少なくありません。しかし企業評価書は、各社の財務数値・債務超過の原因・改善策を反映して作成する書面であるため、他社のサンプルをそのまま転用することはできません。

参考にすべきは個別の記載内容よりも、上記の8項目という「構成」です。この構成を土台に、自社の決算内容と改善策を専門家とともに落とし込んでいくことが、実務上もっとも確実な進め方です。

「企業評価書 フォーマット」で探している場合も、行き着く先は基本的に同じ8項目です。むしろサンプルそのものより、上記の各項目に何を書くべきかという中身の作り方を理解しておくほうが、実際の企業評価書作成では役立ちます。

正式名称である「改善の見通しについて評価を行った書面 サンプル」で探している場合も同様で、書式の名前が違っても中身の構成は変わりません。まずは8項目の骨格を押さえたうえで、自社の決算内容を専門家とともに落とし込んでいく進め方が確実です。

債務超過理由書との違い

「債務超過理由書」という書類名で提出を求められる場合もありますが、これは企業評価書のうち債務超過の原因を説明する部分を独立させたものと理解しておくとよいでしょう。

理由書だけでは「なぜ債務超過になったか」の説明にとどまり、「今後どう改善するか」までは示せません。審査機関が最終的に知りたいのは改善の見通しであるため、理由書を作成する場合も、改善見通し計画とセットで整えることが望まれます。

「債務超過 理由書 サンプル」で書き方を探している場合も、まず押さえるべきは原因を外部要因・内部要因に分けて具体的に記載するという点です。そのうえで改善見通し計画を合わせて用意しておくと、審査機関への説明がスムーズになります。

ここまでの8項目と記載要素が分かれば、自社の決算書を手元に置いて、どこから手を付ければよいかが具体的にイメージできるはずです。あとは、この構成に自社の数字を当てはめ、根拠のある数値計画に仕上げる作業が残っています。この部分だけを専門家に相談する経営者様も少なくありません。

ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。数値計画の作り方だけでも、お気軽にご相談ください。

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改善見通し計画の具体的な作り方

売上改善の計画

売上改善計画では、新規顧客獲得・既存顧客の深耕・新商品・新サービス開発・エリア拡大など、施策ごとに売上への寄与額を積み上げる形で計画します。「全体で売上10%増を目指す」という書き方では根拠が不明確です。

「新規取引先A社・B社の受注見込みで〇百万円」「既存顧客への単価改定で〇百万円」のように、施策別に積み上げることで説得力が増します。過去の実績トレンドと照らし合わせ、過大な計画になっていないかを確認することも大切です。

コスト削減の計画

コスト削減は、変動費(原材料費・外注費)と固定費(人件費・賃料・減価償却費)に分けて整理します。削減額は、現状の費用構造を把握したうえで、具体的な施策(仕入先の見直し・業務効率化・不要資産の処分など)に紐づけて算出します。

人件費の削減は労務管理・法令遵守の観点から慎重な記述が必要ですが、自然減・採用抑制などの現実的な方法で示すことが可能です。

資金繰り改善

損益計画と並行して、月次または四半期の資金繰り計画を作成します。特に審査機関が重視するのは「賃金支払いに十分なキャッシュが確保されているか」です。金融機関との既存借入の返済スケジュール・リスケジュール(返済条件変更)の状況なども記載し、資金繰りが回ることを数値で示します。

財務改善のスケジュール

計画を一覧できるロードマップ(年度別の数値目標と主要施策)を表形式で示すと、審査担当者が全体像を把握しやすくなります。マイルストーン形式で整理することが有効です。

  • 第1年度:売上回復・コスト削減の実施
  • 第2年度:営業黒字化の達成
  • 第3年度:債務超過の解消

なお、債務超過が続いている会社には、企業評価書とは別に「経営改善計画策定支援(405事業)」という制度もあります。金融機関と共有する本格的な経営改善計画を、専門家費用の3分の2を国が補助する形で作れる仕組みで、既存融資の返済条件の変更(リスケジュール)と組み合わせて資金繰りを立て直すことも可能です。倒産の可能性を下げる選択肢として、気になる方は次のページをご覧ください。

特定技能所属機関特有の留意点

特定技能所属機関は、技能実習の実習実施者と異なり、受入れ人材への生活支援や定期的な面談などの支援体制もあわせて求められます。改善見通し計画を作成する際は、これらの支援体制を維持できるだけの資金繰りが確保されているかも、数値計画に織り込んでおくことが望まれます。

改善見通し計画で重要な数値指標

改善見通し計画では、次の4つの数値指標を軸に計画を構築することが基本です。

①売上高
事業継続の基盤
②営業利益
本業収益力の証明
③キャッシュフロー
賃金支払い能力
④債務超過解消時期
計画の最終目標

売上高

事業継続と利益創出の基盤となる最重要指標です。過去3期の推移と、計画年度の目標値を示します。目標値は施策別の積み上げで算定し、業界の市場動向とも整合していることを確認します。

営業利益

本業の収益力を示す指標であり、「事業そのものが稼げているか」を確認するために必須です。営業赤字が続く場合、そのままでは債務超過解消は困難なため、黒字化の時期を具体的に示す必要があります。

キャッシュフロー

利益が出ていても資金繰りが悪化するケースがあるため、営業キャッシュフローの確保状況が重要です。賃金・税金・借入返済をまかなえるだけの現金収入があるかを、月次の資金繰り計画で証明します。

債務超過解消の時期

計画の最終到達点として、何年度に純資産がプラスになるか(債務超過解消)を明示します。計画の合理性が高ければ、3〜5年での解消見通しが一般的です。解消が長期にわたる場合でも、各年度で着実に純資産のマイナスが縮小していく軌跡を示すことが重要です。

企業評価書作成でよくある失敗

数値根拠の不足

よくある失敗パターン

「売上を来年から20%増やす」と書かれているにもかかわらず、その根拠が一切示されていないケース。数値計画に根拠がなければ、審査担当者はそれを「希望的観測」として捉えます。

施策ごとの売上貢献額の試算、過去実績との比較、市場データとの照合など、数値の裏付けを丁寧に示すことが不可欠です。

抽象的な改善計画

よくある失敗パターン

「営業強化に取り組む」「コスト意識を高める」のような抽象的な記述は、計画として機能しません。

「いつ・誰が・何を・どの程度」行うのかを具体的に記載することが求められます。特に、外国人雇用の文脈では「雇用継続のために何をするか」が問われているため、現場レベルの具体的な行動計画まで落とし込むことが効果的です。

実行可能性の低い数値計画

よくある失敗パターン

審査を通過したいという気持ちから、現実離れした楽観的な数値計画を作成してしまうケース。過去の業績と著しく乖離した計画は、かえって「実態を理解していない」と評価されるリスクがあります。

中小企業診断士などの専門家が関与することで、実態に即した計画の妥当性を担保できます。

業種特有の事情を反映していない計画

よくある失敗パターン

どの業種にも通用する汎用的な改善策だけを並べてしまい、自社の業種特性が反映されていないケース。

外国人材の受入れが多い建設業・製造業・飲食料品製造業・介護業などは、それぞれ収益構造や資金繰りの波が異なります。例えば建設業であれば受注工事の進捗と入金サイトの関係、飲食料品製造業であれば原材料価格の変動が利益に与える影響など、業種特有の事情を踏まえて改善策を組み立てることで、計画の説得力が高まります。

外国人技能実習・特定技能の企業評価書は専門家に相談

中小企業診断士の役割

中小企業診断士は、企業の経営状況を財務・非財務の両面から分析し、実現可能な改善計画を策定する国家資格者です。外国人雇用制度に関する企業評価書では、財務分析・数値計画の策定・計画の実行可能性の検証において専門的な知見を発揮します。

企業評価書、すなわち改善の見通しについて評価を行った書面の作成には、財務分析と経営改善計画の策定という専門性が求められるため、実務上は中小企業診断士または公認会計士が担うのが一般的です。顧問税理士は日々の税務申告や決算書の作成において重要な専門家ですが、業務範囲として経営改善計画の策定までは含まれていないことが多く、企業評価書を単独で作成する専門家としては位置づけられていません。

近年は「企業評価書 中小企業診断士」のように、資格を持つ専門家を具体的に指名して探す経営者様も増えています。誰が作成した書面かによって審査機関への説得力が変わるため、こうした指名検索の増加は、専門家選びを慎重に考える企業が多いことの表れといえます。

第三者の専門家が関与した企業評価書は、審査機関に対する説得力が高まり、審査の円滑化に繋がります。

KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、代表の松本昌史が中小企業診断士としてこれまで150社以上の法人の経営改善を支援してきた実績をもとに、外国人材受入れ企業の企業評価書作成を数多くサポートしています。

企業評価書は税理士に依頼できるか、中小企業診断士に依頼するメリット

「企業評価書 税理士」と検索して、まずは顧問税理士に相談できないかと考える経営者様も少なくありません。しかし税理士の業務は税務相談・税務代理・税務書類の作成が中心であり、財務状況の分析にもとづいて改善の見通しを評価する業務は、通常の税理士業務の範囲には含まれていません。

決算書の作成やこれまでの税務対応は顧問税理士に任せつつ、そこから先の改善見通しの評価と企業評価書の作成は中小企業診断士または公認会計士に依頼するという役割分担で進めれば、顧問税理士との関係を変えずに対応できます。

「企業評価書 中小企業診断士」という組み合わせで検索する経営者様が増えているのも、財務分析と経営改善計画の両方に専門性を持つ中小企業診断士が、企業評価書の作成先として適していることの表れといえます。認定経営革新等支援機関の認定を受けている中小企業診断士であれば、経営改善計画の策定実務にも日常的に携わっているため、初めて企業評価書を作成する企業様でも安心して相談しやすいでしょう。

企業評価書作成の流れ

  1. 1
    ヒアリング:事業概要・現状の財務状況・債務超過の経緯を確認
  2. 2
    財務分析:直近2〜3期の決算書を分析し、課題と原因を整理
  3. 3
    計画策定:売上・コスト・資金繰りの改善計画と数値計画を作成
  4. 4
    ドラフト作成:経営者の確認を経て企業評価書を仕上げ
  5. 5
    納品・フォロー:提出後の追加説明や修正対応も含めてサポート

相談から納品まで

企業評価書の作成期間は、資料の揃い具合にもよりますが、ヒアリングから納品まで概ね2〜4週間程度が目安です。申請スケジュールから逆算して早めにご相談いただくことをお勧めします。外国人材受入れ企業向けの企業評価書作成支援の内容は、次のページにまとめています。

「うちは債務超過だから無理では」と諦める前に、まずは専門家に現状を話してみることが大切です。改善の見通しが立てられるかどうかは、専門家とともに丁寧に検討することで見えてきます。

外国人経営者自身の在留資格更新でも同様の書面が求められることがある

改善の見通しについて評価を行った書面は、技能実習・特定技能の受入れ企業だけの話ではありません。外国人経営者ご自身が、会社の経営・管理を目的とする在留資格を更新する場面でも、会社が債務超過の状態にある場合は、同様の考え方で改善見通しの提出を求められることがあります。事業の継続性を確認するという審査の視点は共通しているためです。

技能実習・特定技能の受入れと、経営者自身の在留資格更新の両方に関わる場合は、財務状況の整理と改善見通し計画の考え方を一度に把握しておくと、それぞれの手続きに効率よく対応できます。経営者の在留資格に関する内容は、次のページで詳しく解説しています。

よくある質問

Q債務超過企業でも外国人技能実習生を受入れできますか?

債務超過であっても、改善見通しが合理的に示せれば受入れが認められるケースがあります。ただし、債務超過の原因・程度・改善の見込みによって審査の結果は異なります。単に「今後は頑張る」という意思表示ではなく、根拠ある数値計画と具体的な改善施策を盛り込んだ企業評価書を提出することが、審査通過のカギとなります。まずは中小企業診断士などの専門家に相談し、自社の状況が改善見通しとして示せるかを確認することをお勧めします。

 

Q改善見通しは何年計画で作成しますか?

一般的には3〜5年の計画期間で作成することが多いです。計画期間の目安は、債務超過の規模・原因・改善施策の効果が出るまでの期間によって異なります。重要なのは「何年で解消するか」という期間の長短よりも、各年度の進捗が具体的かつ実現可能であるかという点です。5年を超える長期計画は審査機関から懐疑的に見られる場合もあるため、過大な計画にならないよう注意が必要です。

 

Q企業評価書は誰が作成できますか?

企業評価書そのものには、法令上の作成者の資格要件が明記されているわけではありませんが、財務状況の分析・数値計画の策定・計画の実行可能性の評価には、経営・財務の専門知識が不可欠です。実務上、企業評価書を作成できるのは中小企業診断士または公認会計士であり、税理士は日々の税務処理を専門とするため、単独で企業評価書を作成する立場にはありません。第三者の専門家が作成・監修した評価書は、審査機関に対する信頼性が高まります。特に中小企業診断士は経営改善計画の策定に豊富な実績を持ち、企業評価書の作成において適切な専門家といえます。認定経営革新等支援機関の認定を受けている中小企業診断士は、経営改善計画の策定を日常的に手がけているため、企業評価書の作成先として選ばれることが多くなっています。

Q企業評価書は税理士に依頼できますか?

企業評価書(改善の見通しについて評価を行った書面)を作成できるのは、財務分析と経営改善計画の策定を専門とする中小企業診断士または公認会計士です。税理士は日々の税務申告や決算書の作成において重要な専門家ですが、業務範囲として経営改善計画の策定までは含まれていないことが一般的で、企業評価書を単独で作成することはできません。顧問税理士がいる場合でも、企業評価書の作成については中小企業診断士や公認会計士に別途相談することをお勧めします。決算書の作成は引き続き顧問税理士に任せ、そこから先の財務分析と改善見通しの評価だけを中小企業診断士や公認会計士に依頼するという役割分担であれば、顧問税理士との関係を変えずに進めることができます。

 

Q改善の見通しについて評価を行った書面とは何ですか?

出入国在留管理庁の審査文書で使われる正式名称で、実務では「企業評価書」と呼ばれることが一般的です。財務状況の分析結果と、今後の改善見通しを第三者の専門家が評価した内容をまとめた書面を指します。名称が異なっていても、同一の書類として扱われます。

 

Q企業評価書のサンプルやフォーマットはありますか?

企業評価書には「企業概要」「財務状況の推移」「債務超過の原因分析」「改善戦略」「数値計画」「資金繰り計画」「実施体制・進捗確認方法」「評価者の所見」の8項目が基本的な構成として含まれます。市販の汎用フォーマットは自社の実態と合わない部分が出やすいため、これらの項目を軸に、中小企業診断士など専門家と一緒に自社の状況に沿った内容を組み立てることをお勧めします。

 

Q債務超過理由書と企業評価書は同じものですか?

債務超過理由書は、企業評価書のうち債務超過の原因説明に焦点を当てた部分と理解しておくとよいでしょう。理由書だけでは原因の説明にとどまり、今後の改善見通しまでは示せません。審査機関には改善見通しまで含めて説明する必要があるため、理由書を求められた場合も、改善見通し計画とセットで整えることが望まれます。

 

Q特定技能の定期報告でも企業評価書は必要ですか?

受入れ時点では債務超過でなくても、その後の決算で純資産がマイナスに転じた場合、定期報告のタイミングで財務状況の悪化が把握されることがあります。特定技能の定期届出は令和7年4月の制度改正で四半期ごと(年4回)から年1回に変わり、毎年4月1日から5月31日までに提出する形になりました。この年1回の報告時点でも、改善見通し計画の提出を求められることがあるため、決算が確定した段階で速やかに企業評価書を更新しておくことをお勧めします。

 

Q特定技能の定期報告はいつまでに提出すればよいですか?

令和7年4月の制度改正により、特定技能の定期報告は対象期間を1年間とした年1回の提出に変わりました。提出期間は毎年4月1日から5月31日までの2か月間です。この期間に決算が確定していない場合でも、直近の決算状況を踏まえて企業評価書の準備を早めに進めておくと、期限直前の対応に追われずに済みます。

Q育成就労制度に移行しても財務状況の審査はありますか?

技能実習制度に代わる育成就労制度でも、優良な受入れ機関としての要件(優良要件)や計画認定の基準の中で、財務の健全性は引き続き重視される見通しです。制度が切り替わっても、受入れ企業が安定的に雇用を継続できるかという審査の本質は変わらないため、早めに財務体質を整理しておくことが望まれます。

Q企業評価書のサンプルをそのまま使うことはできますか?

企業評価書は各社の財務状況や債務超過の原因を反映して作成する書面のため、他社のサンプルをそのまま転用することはできません。参考にすべきは記載項目の構成であり、自社の状況に合わせて専門家とともに内容を組み立てることが重要です。

 

Q企業評価書の作成には決算書が何期分必要ですか?

一般的には直近1期分に加え、財務状況の推移を示すために2〜3期分をそろえておくと、審査担当者への説明がしやすくなります。単年度の決算書だけでは、債務超過が一時的なものか構造的なものかの判断がつきにくいためです。

 

Q技能実習と特定技能で企業評価書の内容は違いますか?

提出先や手続きは異なりますが、財務状況を分析し改善の見通しを評価するという書面の性質は共通しています。両方の受入れ形態を持つ企業でも、1つの企業評価書を土台に対応することが可能です。

Q企業評価書とは何ですか?

企業評価書とは、技能実習・特定技能の受入れ企業が債務超過など財務上の懸念を指摘された際に、現状の財務分析と今後の改善見通しをまとめて提出する書面です。出入国在留管理庁の審査文書では正式に「改善の見通しについて評価を行った書面」と呼ばれ、実務では企業評価書という呼称が一般的に使われています。

 

Q監理団体が債務超過の場合、企業評価書は必要ですか?

監理団体自身が債務超過の状態にある場合も、財産的基礎の観点から改善の見通しを示す書面の提出を求められることがあります。厚生労働省の資料では、直近期末に債務超過がある場合、中小企業診断士や公認会計士等の第三者による評価書面の提出を求める旨が示されています。受入れ企業としても、監理団体の財務状況に不安がある場合は、早めに自社の体制を整理しておくと安心です。

 

Q特定技能の定期報告で一定の基準を満たすとどうなりますか?

特定技能所属機関の定期届出には、一定の基準を満たす場合に届出内容が簡素化される仕組みがあります。この基準には直近3年以内に債務超過となっていないことが含まれているため、債務超過を解消しておくことは、日々の定期報告の負担を軽くすることにもつながります。この基準は実務上「特定技能 定期届出 一定の基準」とも呼ばれ、告示では過去3年間に債務超過となっていない法人であることが要件の一つとして明記されています。

Q企業評価書のフォーマットは業種によって変わりますか?

基本の記載項目(企業概要・財務状況の推移・原因分析・改善戦略・数値計画・資金繰り計画・実施体制・評価者の所見)というフォーマット自体は、業種を問わず共通しています。ただし建設業・製造業・飲食料品製造業・介護業など、外国人材の受入れが多い業種は収益構造や資金繰りの波が異なるため、原因分析や改善戦略の中身は業種特有の事情を反映させる必要があります。フォーマットは共通、中身は自社仕様、と考えるとよいでしょう。

 

Q育成就労の監理支援機関になるには、どのような要件がありますか?

育成就労制度で監理団体に代わる「監理支援機関」も、許可を受ける際に財産的基礎の要件を満たす必要がある見通しです。現行の監理団体と同様、直近期末に債務超過がある場合は、中小企業診断士や公認会計士等の第三者による改善見通しの評価書面が求められると考えられます。許可申請を控えている団体は、早めに財務状況の整理を進めておくことをお勧めします。

 

Q経営者自身の在留資格更新でも企業評価書は必要ですか?

技能実習・特定技能の受入れ企業だけでなく、外国人経営者ご自身が会社の経営・管理を目的とする在留資格を更新する場面でも、会社が債務超過の状態にある場合は、同様の考え方で改善見通しの提出を求められることがあります。事業の継続性を確認するという審査の視点は共通しているためです。両方に関わる場合は、財務状況の整理を一度に進めておくと効率的です。

企業評価書の作成・改善見通し計画は中小企業診断士にご相談ください

債務超過は、現状を正確に分析し、実現可能な改善見通し計画として言語化できれば、外国人雇用の審査でも乗り越えられる壁です。「うちは無理だ」と決めつける前に、専門家とともに数字で現状を整理してみることが、最初の一歩になります。

「債務超過だから諦めていた」という企業様のご相談も歓迎です。ヒアリングから納品まで、中小企業診断士が丁寧にサポートいたします。

ご相談の際は、直近2〜3期分の決算書をお手元にご用意いただくだけで構いません。それだけで、原因が一時的なものか構造的なものか、その場で一緒に整理を始められます。

ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは御社の決算内容をお聞かせください。

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