
顧問先の金属プレス加工会社から相談を受けたところ、その会社が特定技能の受入れについて外国人技能実習機構(OTIT)から「直近決算が赤字で自己資本も薄い状態では、受入れの審査が通りません。企業評価書がないと先に進められません」と言われていたという。
債務超過の原因は、原材料費と電気代の高騰にあります。取引先からの値下げ圧力が根強く、コスト上昇分を価格に転嫁しきれていません。
このまま企業評価書を用意できなければ、顧問先はいま雇用している技能実習生・特定技能人材の継続雇用すらできなくなります。継続雇用できなければ生産ラインの人手を確保できず、人手を確保できなければ受注をこなせず、売上は作れません。最悪の場合、顧問先の経営そのものが立ち行かなくなります。
実はこれは、貴所おひとりの悩みではありません。金属プレス加工会社・プラスチック射出成形会社・溶接や機械加工の会社を顧問先に持つ税理士事務所の多くが、同じ壁にぶつかっています。
取引先からの値下げ圧力は根強く、原材料費・電気代の上昇分をすべて価格に転嫁できている会社はまだ多くありません。それでも現場の人手不足は待ってくれず、外国人材の受入れは先送りにできない経営課題になっています。
人手が足りず外国人材を受け入れたいのに、原材料費・電気代の高騰で決算は赤字。この板挟みは、製造業の顧問先に特有の悩みです。
結論から言えば、債務超過であっても、改善の見通しを示す「企業評価書」を用意できれば、受入れ審査を前に進められます。ただし、この評価書には作成できる専門家が限られているという壁があります(詳しくは本文で)。
あなたはこのような悩みはありませんか?
こんな方におすすめです
- 顧問先の製造業が赤字決算で受入れ審査に不安な税理士
- 企業評価書が必要と言われたが、自所では作成できず困っている方
- 作成できる専門家の当てがなく、顧問先の受任機会を逃しそうな方
- 顧問先の財務改善の見通しをどう説明すればよいか悩んでいる方
この記事で分かること
- 製造業の顧問先が赤字決算・債務超過で受任機会を逃しやすい理由
- 企業評価書の作成資格の壁と、税理士事務所ができること・できないこと
- 中小企業診断士と連携して企業評価書を用意する具体的な流れ
- 連携によって貴所の事務所が手に入れる未来
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。連携や契約の義務はなく、顧問先を奪うことも決してありません。決算・税務は貴所、企業評価書の作成はKICKという役割分担です。
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なぜ製造業の顧問先は赤字決算で受任機会を逃しやすいのか

結論から言うと、原因は「制度」と「作成資格」の2つの壁にあります。この記事全体を通じて押さえておきたいポイントは、次の5つです。
- 製造業は人手不足が続き、特定技能の受入れニーズが高い
- 原材料費・電気代の高騰で、赤字決算・債務超過に陥る顧問先が増えている
- 債務超過のままでは、原則として受入れ審査を通過できない
- 企業評価書があれば審査を前に進められるが、作成できるのは中小企業診断士などに限られる
- 決算・税務は貴所、企業評価書の作成はKICKという役割分担で、受任機会を守れる
金属プレス加工会社、プラスチック射出成形会社、溶接・機械加工の会社、電子部品組立工場は、いずれも特定技能・技能実習(育成就労)の受入れが多い業種です。
一方で、原材料費・電気代の高止まりや人件費の上昇により、直近決算が赤字、あるいは自己資本が薄い会社が増えています。
そして特定技能・技能実習(育成就労)の受入れ審査では、申請企業の財務の健全性が確認されます。直近決算が債務超過の場合、原則としてそのままでは審査を通過できません。
企業評価書という「もう一つの書類」
ここで必要になるのが「企業評価書(改善見通しに関する評価書面)」です。
外国人技能実習機構(OTIT)提出書類の別紙②-1・番号20にあたる書類で、債務超過であっても改善の見通しを客観的に示せば、審査を前進させられる制度です。
しかし、この企業評価書は中小企業診断士など専門の資格者に限って作成できる書類です。税理士・行政書士では作成できません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠書類 | OTIT提出書類 別紙②-1・番号20 |
| 必要になる場面 | 申請企業(顧問先)の直近決算が債務超過のとき |
| 作成できる専門家 | 中小企業診断士など |
| 税理士事務所の対応範囲 | 顧問先の決算・税務(企業評価書の作成は対象外) |
つまり、顧問先の決算・税務を担う貴所だけでは、この壁を越えられません。ここに気づかないまま相談を受けると、受任機会をそのまま逃してしまうことになります。
ここで重要なのは、貴所が悪いわけではないという点です。企業評価書の作成資格自体が、税理士・行政書士には認められていません。知識不足ではなく、制度上できないことだと理解しておくことが、次の一手を考える出発点になります。
会社種別によって財務の悪化要因が異なる
ひとくちに製造業といっても、会社種別によって財務の悪化要因は異なります。
金属プレス加工会社やプラスチック射出成形会社は、原材料(鋼材・樹脂)の価格変動が収益を大きく左右します。原価上昇分を取引先へ価格転嫁できるかどうかで、決算の結果が変わります。
溶接・機械加工の会社や電子部品組立工場は、専門人材の人件費と電気代の比重が大きく、円安局面では輸入部材のコスト増が直接、粗利を圧迫します。
顧問先がどの種別かによって、企業評価書に書くべき「改善の見通し」の説得力あるストーリーも変わります。業種特有の背景を理解した専門家に任せる価値は、ここにあります。
加えて、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業は、2023年6月の制度改正により「特定技能2号」の対象にも加わりました。5年の在留期間の上限がなくなり、長期雇用を前提にした受入れが可能になっています。長く働いてもらう前提だからこそ、審査における財務の健全性の確認は、より丁寧に行われる傾向にあります。
このまま何もしなければ何が起きるか

結論として、対応を先送りにすると、貴所と顧問先の双方に不利益が積み重なります。
まず、顧問先の受入れ審査そのものが止まります。
金属プレス加工会社もプラスチック射出成形会社も、人手不足のなかで一人でも早く外国人材を戦力に加えたいはずです。企業評価書がないまま申請を進めれば、審査は停滞し、生産計画にも影響が出かねません。
次に、顧問先の不安が募ります。
「税理士に相談したが、この件は分からないと言われた」。そう受け止められると、決算・税務以外の相談を他の専門家に流してしまうきっかけになりかねません。
具体的には、次のような事態が起きやすくなります。
- 受入れ予定だった人材の入社時期が後ろ倒しになり、現場の人手不足が長引く
- 顧問先が別の行政書士・税理士に、財務まわりの相談ごと乗り換えを検討する
- 「うちの顧問税理士は制度に詳しくない」という評判が、紹介先にも伝わる
2027年4月には、技能実習に代わる育成就労制度への移行が予定されています。制度の切り替え時期は、多くの顧問先が改めて受入れ体制を見直すタイミングになります。今のうちに企業評価書への対応を確立しておくことは、この先も続く相談への備えになります。
受任機会は一度きりではない
特定技能の受入れは、初回の申請だけで終わりません。
技能実習から特定技能への移行、2027年4月に予定される育成就労制度への移行など、節目のたびに同じ審査が繰り返されます。
最初の相談で力になれなければ、その後の相談機会も含めて失う可能性があります。
逆に言えば、ここで正しい選択肢を示せれば、顧問先との関係は一段深まります。次の章で、その具体的な進め方を見ていきます。
企業評価書を中小企業診断士と連携して用意するという選択肢

結論は、企業評価書の作成部分だけを、外部の中小企業診断士に任せることです。
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、経済産業大臣登録の中小企業診断士が、顧問先の財務分析から企業評価書の作成までを担当します。貴所は従来どおり、顧問先の決算・税務に専念していただけます。
財務分析から評価書作成までの流れ
- 顧問先の直近決算書・試算表をもとに、財務状況と債務超過の理由を整理する
- 売上・原価構造(原材料費や電気代の高騰の影響)から、改善の方向性を分析する
- 改善計画・改善の見通しを、企業評価書の様式に沿ってまとめる
- 貴所・顧問先へ内容を共有し、申請書類として提出できる形に仕上げる
企業評価書に記載する内容は、大きく3つの構成でまとまります。架空の数値は使わず、一般的な構成項目を示すと次のとおりです。
| 構成 | 記載イメージ |
|---|---|
| 企業概要 | 事業内容・沿革・受入れを予定する外国人材の職種 |
| 財務状況・債務超過の理由 | 直近決算の状況、赤字・債務超過に至った要因(原材料費・電気代・人件費の高騰など) |
| 改善の見通し | 今後の収益改善策、資金繰りの見通し、経営改善に向けた取り組み |
このように「何が書かれるか」が事前に分かっていれば、貴所が顧問先に説明する際も安心です。
どのくらいの期間で用意できるのか
財務分析から評価書の完成までにかかる期間は、決算書・試算表など基礎資料がそろっているかどうかで変わります。一般的には、資料受領後、面談と分析を経て仕上げる流れになります。
分析で特に見るポイント
製造業の顧問先を分析する際、KICKが特に重視するのは次の点です。
- 赤字・債務超過に至った要因が、一時的なもの(原材料費・電気代の急騰など)か、構造的なものか
- 主要取引先との価格転嫁の状況から、今後の売上・利益の見通しがどの程度立てられるか
- 人件費・原材料費の変動リスクに対して、どのような改善策が現実的か
これらを丁寧に整理することで、審査側にも伝わりやすい「改善の見通し」を描けます。申請のスケジュールが決まっている場合は、早めにご相談いただくほど、余裕を持って準備を進められます。詳しいサービス内容は、次のページにまとめています。
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ここでも、無理な売り込みは一切いたしません。企業評価書の作成をKICKに任せても、顧問先を奪うことはなく、顧問先との関係はそのまま維持されます。決算・税務は貴所、財務分析と評価書の作成はKICKが担います。
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先生の事務所が手に入れる未来

結論として、この連携は3つの未来を貴所にもたらします。特別な準備は必要なく、まず1件、企業評価書が必要な顧問先の相談から始められます。
面談の質が上がる
「企業評価書はこういう流れで用意できます」と即答できれば、顧問先との面談はその場で前に進みます。持ち帰って調べる時間が要りません。
特に製造業は会社種別によって事情が異なるため、その場で見通しを示せること自体が、貴所への信頼につながります。
時間と受任の安定
企業評価書の作成そのものはKICKが担うため、貴所の作業時間は増えません。受任機会を逃さずに、決算・税務という本来の業務に集中できます。
繁忙期に新しい専門分野の勉強をする余裕がない、という事務所ほど、この分業の効果を実感しやすいはずです。
依頼者・周囲からの信頼
「製造業のような専門性の高い業種でも、財務の相談まで乗ってくれる」という評判は、既存の顧問先だけでなく、新規の紹介にもつながります。
顧問先にとっても、決算・税務と企業評価書の両方をワンストップに近い形で進められる安心感は、他の事務所に乗り換える理由を減らす材料になります。
また、対応できる事務所自体が限られているからこそ、早い段階で連携体制を持っておくことは、他の税理士事務所との差別化にもなります。ものづくりの現場を支える顧問先だからこそ、専門性の高い相談に応えられる事務所であることは、長期的な信頼の土台になります。
面談の質、時間と受任の安定、依頼者・周囲からの信頼。この3つを共に手に入れましょう。
自所だけで抱える限界と、中小企業診断士との連携

結論から言えば、企業評価書の作成を自所だけで抱え込む必要はありません。これは製造業に限った話ではありませんが、特に製造業は会社種別ごとの事情の違いが大きく、独学で対応しようとすると想像以上に時間がかかります。無理に対応しようとすれば、専門外リスクと時間コストの両方を背負うことになります。
だからこそ、製造業のような専門性の高い顧問先を持つ税理士事務所ほど、中小企業診断士との連携を選ぶ事務所が増えています。
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)について
代表の松本昌史は、中小企業診断士・事業承継士・1級FP技能士・中小企業事業再生マネージャー認定を持ち、経済産業大臣登録の認定経営革新等支援機関です。法人支援実績は150社以上、全国オンライン対応(来社不要)で、製造業を含む幅広い業種の財務分析・企業評価書作成に対応しています。
連携する事務所が増えている理由
製造業に限らず、外国人材の受入れが多い業種の顧問先を持つ税理士事務所から、KICKへの相談が増えています。理由は明快で、自所の専門外の書類を、専門外のまま扱うリスクを避けたいという判断です。
企業評価書は、記載内容に誤りや根拠不足があれば、審査そのものに悪影響を及ぼしかねません。専門資格を持つ第三者に任せることは、貴所にとっても顧問先にとっても、確実性の高い選択です。
| 対応の仕方 | 貴所の負担・リスク |
|---|---|
| 自所だけで対応しようとする | 作成資格がなく対応不可。専門外の調査に時間を割くことになりかねない |
| 顧問先に「分からない」と伝えて終える | 受任機会・信頼の両方を失うおそれがある |
| 中小企業診断士(KICK)と連携する | 決算・税務に専念しながら、顧問先の受任機会を守れる |
また、士業同士の連携についても、次のページで詳しくご紹介しています。
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料金の具体額は個別のご相談内容によって異なるため、この記事では触れません。詳しくはサービスページをご確認ください。
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よくある質問

Q. 連携すると、顧問先を奪われませんか?
A. 奪われません。KICKの業務範囲は財務分析と企業評価書の作成に限定しており、決算・税務・顧問契約は従来どおり貴所が担います。
Q. 貴所(税理士事務所)の負担はどの程度増えますか?
A. ほとんど増えません。顧問先の決算書・試算表などの基礎資料をご共有いただければ、財務分析・評価書作成はKICKが担当します。
Q. 企業評価書は誰が作成できるのですか?
A. 中小企業診断士など、経営評価の専門資格を持つ第三者に限られます。税理士・行政書士は作成できません。
Q. 顧問先が債務超過でも、外国人材の受入れは可能ですか?
A. 可能です。改善の見通しを企業評価書で客観的に示すことで、審査を前に進められます。
Q. 費用はどのくらいかかりますか?
A. 顧問先の状況によって異なるため、この記事では具体額をお伝えできません。詳しくはサービスページをご確認ください。
Q. 会社種別(プレス加工・射出成形・機械加工など)によって対応は変わりますか?
A. 財務の悪化要因が異なるため、分析の切り口は変わります。ただし、企業評価書としての基本的な構成(企業概要・財務状況・改善の見通し)は共通です。
Q. 特定技能2号への移行も対象になりますか?
A. 対象になります。素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業は特定技能2号の対象分野であり、長期雇用を見据えた申請でも財務状況の確認は必要です。
Q. 決算書以外に、どんな資料が必要ですか?
A. 直近の決算書・試算表に加え、今後の受注見込みや改善に向けた取り組みが分かる資料があると、より説得力のある評価書になります。詳しくはご相談時にご案内します。
Q. すでに他の専門家に相談していますが、途中から依頼できますか?
A. 可能です。これまでの経緯や資料を共有いただければ、途中の状況からでも財務分析・評価書作成を引き継げます。
Q. 相談だけでもよいですか?
A. もちろんです。連携するかどうかは貴所・顧問先のご判断にお任せしており、相談段階での売り込みは一切ありません。
まとめ

製造業(金属プレス加工会社・プラスチック射出成形会社・溶接や機械加工の会社)の人手不足は、今後も続くと見込まれます。
一方で、原材料費・電気代の高騰による赤字決算・債務超過は、多くの顧問先が直面する現実です。
この2つが重なる場面でこそ、企業評価書という選択肢を知っているかどうかが、貴所と顧問先の分かれ道になります。
決算・税務は貴所、企業評価書の作成はKICK(中小企業診断士)。この役割分担であれば、貴所の負担を増やすことなく、顧問先の受任機会を守れます。
人手不足も、原材料費・電気代の高騰も、短期間で解消するものではありません。だからこそ、この2つが重なったときに迷わず動ける体制を、今のうちに整えておく価値があります。
ご相談・お見積りの段階でも、売り込みは一切ありません。連携するかどうかは貴所の判断にお任せし、顧問先を奪うことは決してありません。決算・税務は貴所、企業評価書の作成はKICKという役割分担を貫きます。
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