定員割れで稼働率が低下しているデイサービス事業者が特定技能の受入れについて、加入している監理団体に相談したところ、「決算が債務超過の状態では受入れの手続きを進められません。企業評価書を用意してください」と言われた。
債務超過の原因は、稼働率の低下にあります。近隣エリアへの新規参入が相次ぎ、定員に対する稼働率が下がっても、人件費や送迎車両の維持費はほとんど減りません。
このまま企業評価書を用意できなければ、今いる技能実習生・特定技能人材の継続雇用すらできなくなります。継続雇用できなければ送迎や入浴介助の人員体制を維持できず、これ以上の稼働率低下を防げなければ売上は作れません。最悪の場合、事業所そのものが立ち行かなくなります。
あなただけが特別に経営判断を誤ったわけではありません。介護報酬の改定や近隣競合の増加という外部環境の変化に、多くの事業所が同じように直面しています。ただし、そのまま放置すれば、受入れ審査だけでなく、金融機関からの信用にも影響が及びかねません。
この記事では、中小企業診断士としてデイサービスを含む介護事業者の経営改善を支援してきた立場から、定員割れ・稼働率低下による赤字や債務超過があっても、審査を一発で通す企業評価書の準備として押さえるべき3つの基準を、実務の順序に沿って解説します。
- デイサービスが定員割れで赤字・債務超過に陥る本質的な原因
- 特定技能の企業評価書で受入れ審査を通す3つの基準
- 企業評価書のフォーマットと、債務超過の理由書との違い
- 企業評価書を整えたあとに手に入る具体的な未来
- 自社だけで作成するリスクと、中小企業診断士に頼るべき理由
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは現状の稼働率と決算の状況をお聞かせください。
デイサービスが定員割れで赤字になる本質と、放置すると起きること

「利用者が減っている」という表面的な事実の奥には、たいてい3つの本質的な原因が重なっています。売上(利用者数)だけを見て一喜一憂しても、根本原因を直視しなければ状況は変わりません。
| 原因 | 現場でよくある実態 |
|---|---|
| ①近隣の供給過多 | 徒歩圏・車で15分圏内に新規デイサービスが2〜3件開業し、既存利用者が分散する |
| ②固定費の下方硬直性 | 送迎車両・人員配置基準上の人件費は稼働率が下がってもほぼ減らせない |
| ③財務モニタリングの欠如 | 「そのうち戻る」と楽観視し、月次の稼働率・原価を数字で追わないまま半年〜1年が過ぎる |
介護保険制度上、通所介護の人員配置基準は利用者数にかかわらず一定水準を満たす必要があります。定員が20名でも実利用者が12名まで落ち込めば、1人あたりの固定費負担は単純計算で1.6倍以上に膨らみます。これが、売上の減少幅以上に利益が圧迫される理由です。
さらに、送迎車両のリース料・燃料費、機能訓練指導員などの専門職の人件費は、稼働率が下がったからといってすぐに減らせるものではありません。稼働率が下がるほど「1人の利用者を送迎するための固定費」が割高になり、利益率がさらに悪化するという悪循環に陥りやすいのが、通所介護という業態の特徴です。人手を減らして凌ごうとすると、今度はサービスの質が落ちて利用者離れが加速するという矛盾も抱えています。
この状態を放置すると何が起きるでしょうか。まず、金融機関からの追加融資や借換えの審査が厳しくなります。次に、特定技能や育成就労で人材を受け入れようとした際、出入国在留管理庁(入管)や外国人技能実習機構(OTIT)から、直近決算が赤字・債務超過であることを理由に改善の見通しについて評価を行った書面(企業評価書)の提出を求められます。この書面が用意できなければ、人手不足の穴を外国人材で埋めようとした計画そのものが、審査の入口で止まってしまいます。
通所介護は指定基準を満たせば新規参入がしやすい業態であるため、都市部を中心に同一商圏へ複数の事業所が集中しやすい構造があります。「昔と同じやり方をしているのに数字が合わない」と感じる背景には、こうした市場全体の構造変化があります。個々の事業所の努力不足というより、供給が需要を上回ったエリアで起きている構造的な現象だと捉えるほうが、次の一手を考えやすくなります。
もう一つ見落とされがちなのが、稼働率低下が資金繰りに与える時間差の影響です。介護報酬は国民健康保険団体連合会(国保連)への請求から入金までに約2か月のタイムラグがあります。稼働率が下がり始めても、その影響が実際の入金として表面化するのは数か月後です。「数字が悪化していると気づいたときには、すでに半年分の赤字が積み上がっていた」というのは、介護事業者の資金繰り相談で繰り返し聞かれるパターンです。だからこそ、月次の稼働率を先行指標として追う仕組みが欠かせません。
売上ではなく、稼働率と原価構造こそが利益を左右する——これがデイサービス経営の本質です。抽象的な「頑張り」ではなく、構造として原因を分解することが、次章の解決策につながります。
特定技能の企業評価書で受入れ審査を通す3つの基準

結論から言えば、定員割れによる赤字・債務超過があっても、次の3つの基準を満たせば、特定技能・育成就労の受入れ審査を通す道は十分にあります。
- 現状を客観的な数字で可視化する(稼働率・利用者単価・固定費の実態を月次で示す)
- 改善計画を期限と数値目標で具体化する(何を・いつまでに・どの水準まで改善するかを明記する)
- 第三者(中小企業診断士)による企業評価書を取得する(自社作成ではなく客観的な評価として提出する)
基準1.稼働率・単価・固定費を「見える化」する
まず取り組むべきは、感覚ではなく数字での現状把握です。月別の実利用者数、定員に対する稼働率、1人あたりの利用者単価、送迎・人件費などの固定費を、最低でも直近12か月分は一覧化します。これが、次の改善計画とあとで作成する債務超過の理由書の土台になります。
基準2.改善の見通しについて評価を行った書面のフォーマットに沿って計画を作る
入管・OTITが求める企業評価書のフォーマットには、決まった型があります。現状分析、赤字・債務超過に至った原因、具体的な改善策、数値目標を伴う改善計画、そして第三者による評価という流れです。デイサービスの場合は「近隣の競合増加による稼働率低下」という原因を明示したうえで、稼働率を何%まで・何か月で回復させるのかという数値目標を盛り込みます。曖昧な「頑張ります」ではなく、根拠のある数値計画であることが審査で重視されます。
基準3.中小企業診断士による第三者評価を受ける
ここが最も誤解されやすいポイントです。企業評価書は経営者自身が作成する「決意表明」の書類ではなく、中小企業診断士または公認会計士が客観的な立場から改善見通しを評価する書面です。税理士は制度上この評価書を作成できません。改善計画の妥当性を第三者の専門家が裏付けることで、入管・OTITに対する説得力が格段に上がります。
企業評価書と債務超過の理由書は、混同されがちですが役割が異なります。実務では次のように使い分けます。
| 書類 | 役割 | 作成者 |
|---|---|---|
| 債務超過の理由書 | 赤字・債務超過に至った経緯を説明する | 経営者本人 |
| 企業評価書(改善の見通しについて評価を行った書面) | 改善計画の実現可能性を第三者が評価する | 中小企業診断士・公認会計士 |
この一連の実務は、経営者が単独で進めるより、専門家に相談しながら整理したほうが速く正確です。企業評価書の作成については企業評価書サービスで、稼働率改善と外国人材受入れの両面から伴走支援を行っています。
特に技能実習・特定技能・技能実習生の受入れを予定している場合、監理団体や登録支援機関からも財務状況の確認を求められることがあります。企業評価書を早い段階で整えておけば、監理団体との面談や定期報告の場でも、根拠のある数字で説明できるという安心感につながります。
なお、企業評価書を一度作成して終わりにしないことも重要です。受入れ後も定期報告のたびに財務状況の変化を確認されるため、改善計画で掲げた数値目標に対して、実際の稼働率がどう推移しているかを継続的に記録しておく必要があります。「作って終わり」ではなく「作ってからが本番」だと捉えておくと、あとになって慌てずに済みます。
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企業評価書を整えた先に、デイサービスが手に入る未来

企業評価書と改善計画を整えることは、単なる「書類対応」で終わりません。3つの軸で、経営そのものが変わっていきます。
1つ目は数字の軸です。稼働率・単価・固定費を毎月追う仕組みができることで、赤字の予兆を早期に発見できるようになります。定員割れが再発しそうになっても、「気づいたら債務超過」という事態を防げます。
2つ目は時間の軸です。特定技能・育成就労の受入れ審査に必要な書類を、事前に整った状態で準備できるため、急な人手不足が発生しても慌てて書類を揃える時間を取られずに済みます。
3つ目は関係性の軸です。金融機関に対しても、根拠ある改善計画を示せる経営者として見られるようになり、追加融資や借換えの相談がしやすくなります。加えて、特定技能・育成就労で受け入れた人材の定着率も変わってきます。財務基盤が不安定な事業所は職員の離職も重なりやすく、外国人材にとっても「この職場は大丈夫だろうか」という不安につながります。改善計画が数字で共有されている職場は、日本人職員・外国人材のどちらにとっても安心して働ける環境になります。
数字で語れる経営者には、金融機関も外国人材も安心して力を貸してくれます。この安心して任せられる関係性を、共に手に入れましょう。
自社だけで進める限界と、KICKコンサルティングの支援

ここまで読んで「自社でも作れそうだ」と感じた方もいるかもしれません。しかし、企業評価書には専門性の壁があります。介護保険制度・入管制度・財務分析という3つの知識を同時に扱う必要があり、自己流で作成した書面は、数値の根拠が薄いという理由で審査に通らないことがあります。また、日々の運営に追われながら書類作成の時間を確保すること自体が、大きな負担になります。
もう一つの落とし穴が、判断ミスのリスクです。改善計画の数値目標を楽観的に置きすぎると、翌年度の定期報告で「計画未達」を指摘され、かえって信用を落とすことがあります。逆に保守的すぎる計画では、受入れの必要性そのものが伝わりません。この匙加減は、複数の事業者を見てきた第三者だからこそ判断できる部分であり、経営者一人の経験だけで最適化するのは簡単ではありません。
時間コストも見過ごせません。決算数値の分析、改善計画のヒアリング、書面の作成という工程を、現場の運営と並行して自社だけで進めようとすると、数週間単位で時間を取られることも珍しくありません。その間も送迎・入浴・機能訓練といった日々のサービス提供は止められないため、結局は書類作成が後回しになり、受入れのスケジュールそのものが遅れてしまうケースもあります。
だからこそ、企業評価書の作成を専門家に任せる経営者が増えています。KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、中小企業診断士・MBA(経営管理修士)である代表・松本昌史が、法人支援150社以上の実績をもとに、決算数値の分析から改善計画の策定、企業評価書の作成まで一気通貫で支援します。認定経営革新等支援機関(中小企業庁)としての知見を活かし、単なる書類作成ではなく、稼働率を回復させる経営改善そのものに伴走します。
介護事業特有の管理会計(稼働率・利用者単価・職種別の人件費比率など)を可視化したうえで、「どこから手を付ければ利益が残るのか」を一緒に整理していくのが特徴です。書類の体裁を整えるだけの申請支援ではなく、経営そのものが立て直ることを目的にしているため、企業評価書を提出したあとも、稼働率の改善状況を継続してモニタリングできる体制づくりまで踏み込んで支援します。
「申請を通すこと」がゴールではなく、「利益が残る経営に変わること」がゴールです。デイサービスの現場を数字で立て直しながら、外国人材の受入れという選択肢を安心して選べる状態を一緒につくります。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。1社ごとに時間をかけてお話を伺うため、まずは現状だけでもお聞かせください。
よくある質問

Q. 企業評価書とはそもそも何ですか。
A. 特定技能・技能実習(育成就労)で外国人材を受け入れる企業が、直近決算で赤字や債務超過の状態にある場合に提出を求められる書面です。正式には「改善の見通しについて評価を行った書面」といい、OTIT提出書類の別紙②-1・番号20に該当します。改善計画の実現可能性を、中小企業診断士または公認会計士が第三者として評価します。
Q. デイサービスのような介護事業でも企業評価書は必要ですか。
A. 必要です。介護報酬の改定や近隣競合の増加で稼働率が下がり、決算が赤字・債務超過になっている通所介護事業所は少なくありません。業種を問わず、直近決算が赤字・債務超過であれば、特定技能・育成就労の受入れ審査で企業評価書の提出を求められます。
Q. 企業評価書のサンプルやフォーマットはありますか。
A. 決まった様式(フォーマット)自体は存在しますが、中身は各社の決算内容・改善計画に応じて個別に作成する必要があります。他社のサンプルをそのまま流用すると、数値の根拠が実態と合わず、審査で疑義を持たれる原因になります。自社の稼働率・原価構造に基づいたオーダーメイドの内容にすることが重要です。
Q. 債務超過の理由書と企業評価書は同じものですか。
A. 別の書類です。債務超過の理由書は、なぜ債務超過に至ったかという経緯を経営者自身の言葉で説明する書類です。一方の企業評価書は、その理由と改善計画の妥当性を第三者の専門家が客観的に評価する書面です。両方をセットで提出を求められることが一般的です。
Q. 特定技能は債務超過でも受入れできますか。
A. できます。ただし、直近決算が赤字・債務超過の場合、改善の見通しがあることを企業評価書で示す必要があります。逆にいえば、根拠ある改善計画さえ示せれば、債務超過そのものが受入れの絶対的な障害にはなりません。
Q. 企業評価書は税理士に依頼できますか。
A. 制度上、企業評価書を作成できるのは中小企業診断士または公認会計士であり、税理士は作成できません。顧問税理士がいる場合でも、企業評価書については中小企業診断士等への依頼が必要になります。
Q. 育成就労制度になると財務要件は変わりますか。
A. 2027年4月施行予定の育成就労制度では、優良な受入れ機関に認められる「優良要件」や計画認定の枠組みが整備される見込みです。財務の健全性・改善の見通しを客観的に示せる体制を今のうちに整えておくことが、新制度への移行後も有利に働きます。
Q. 企業評価書の作成にはどのくらいの期間がかかりますか。
A. 決算内容の分析、改善計画のヒアリング、書面化という工程を踏むため、資料が揃っている状態でも一定の準備期間が必要です。人材受入れのスケジュールが決まっている場合は、早めに相談を始めることで余裕を持って対応できます。
Q. 稼働率が低いままでも改善計画は作れますか。
A. 作れます。重要なのは「今の稼働率が低い」という事実そのものではなく、「なぜ低いのか」「どう回復させるのか」を数字で説明できることです。近隣競合の状況やケアマネジャーとの連携強化など、具体的な打ち手を数値目標とセットで示します。
Q. 監理団体や登録支援機関にも企業評価書は共有すべきですか。
A. 共有しておくことをおすすめします。技能実習の監理団体や特定技能の登録支援機関も、受入れ企業の財務状況を把握したうえで支援を行う立場にあります。企業評価書を事前に共有しておけば、定期報告や更新手続きの場でも話がスムーズに進みます。
Q. 複数の事業所(多店舗展開)を運営している場合はどうなりますか。
A. 決算は法人単位で作成されるため、企業評価書も法人全体の財務状況をもとに作成します。ただし、稼働率の低下がどの事業所で起きているかを把握しておくと、改善計画の説得力が増します。事業所ごとの数字も併せて整理しておくとよいでしょう。
まとめ
デイサービスの定員割れは、売上の減少という結果だけを見ていては解決しません。近隣の供給過多、固定費の下方硬直性、財務モニタリングの欠如という3つの原因を直視し、稼働率・単価・固定費を数字で可視化することが出発点です。
そのうえで、改善の見通しについて評価を行った書面(企業評価書)を中小企業診断士による第三者評価として整えれば、特定技能・育成就労の受入れ審査は十分に通る道が開けます。大切なのは、赤字や債務超過そのものではなく、改善の見通しを数字で語れるかどうかです。
2027年4月に育成就労制度が施行されれば、優良要件や計画認定といった新しい枠組みのもとで、財務の健全性を客観的に示せる体制がこれまで以上に重視されるようになります。制度が変わる前の今のうちに、稼働率と原価構造を数字で管理する習慣と、企業評価書をいつでも用意できる状態を整えておくことが、長期的な安心につながります。
「うちも定員割れで危ないかもしれない」と感じたら、決算書を前に一人で悩む前に、まず現状を数字で整理するところから始めてみませんか。稼働率と原価構造を数字で語れる経営者に、金融機関も外国人材も、そして利用者を紹介するケアマネジャーも、安心して力を貸してくれます。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。費用は一切かかりません。
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