
決算まであと数か月というタイミングで、顧問先の社長から「そろそろ新しい機械を入れようと思うのですが、使える制度はありますか」と聞かれたことはないでしょうか。
「経営力向上計画」という言葉は知っていても、先端設備等導入計画との違いを聞かれると答えに詰まり、話を濁してしまった――そんなご経験をお持ちの先生も少なくありません。先生おひとりの問題ではなく、税務の枠を超えた提案では、多くの事務所が同じ壁にぶつかっています。
下期に入ると、設備投資の相談は例年増えていきます。しかし制度の使い分けを誤ると、顧問先が本来受けられる税制優遇を取り逃がしてしまう恐れがあります。
顧問先の設備投資を先送りにする一番の敵は、複雑な制度そのものではありません。「どちらの計画を使えばよいか分からないまま時間だけが過ぎる」という状況こそが本当の敵です。経営力向上計画と先端設備等導入計画を正しく使い分け、計画づくりの実務を認定支援機関と分担すれば、決算前のタイミングを逃さず顧問先に提案できます。詳しいやり方は、この記事の中でお伝えします。
- 経営力向上計画の税制優遇を説明しきれない方
- 先端設備等導入計画との違いに自信が持てない方
- 設備投資の相談に踏み込めていない方
- 経営力向上計画の税制優遇の仕組み
- 先端設備等導入計画との違いと使い分けの視点
- 決算前に顧問先へ提案する流れ
- 計画書の構成イメージ
- 認定支援機関と連携するときの役割分担
ご相談いただいても、無理な売り込みは一切ありません。連携するかどうかは貴所のご判断次第です。顧問先との関係は今のまま、税務は貴所が担い続けます。
\経営力向上計画の連携(30秒で相談)/
なぜ税務・決算のご案内だけでは、顧問先の設備投資判断を後押しできないのか

顧問先が設備投資を検討していても、税理士・公認会計士の先生が制度活用まで提案しきれない理由は、次の3つの壁に整理できます。
| 壁 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 専門性の壁 | 経営力向上計画と先端設備等導入計画は制度の所管も要件も異なり、両方を正確に説明するには専門知識が要る |
| 時間の壁 | 申告期限に追われる時期と、顧問先の設備投資の相談時期が重なりやすく、計画書づくりまで手が回らない |
| 立場の壁 | 税務の専門家として認識されているため、経営面の提案を切り出しづらいと感じる先生も多い |
顧問先は「知ってはいるが、動けていない」状態にある
多くの顧問先の社長は、経営力向上計画や税制優遇という言葉自体は耳にしています。問題は、自社にとってどちらの制度が合うのか、いつまでに何をすればよいのかが分からないことです。ここに専門家が伴走する価値があります。
特に製造業や建設業など、設備投資の判断が経営に直結する業種ほど、顧問先は「誰かに整理してほしい」と感じています。税務の相談のついでに設備投資の話題が出たときこそ、先生が制度の入口を示せるかどうかの分かれ目です。
例えば、老朽化した機械の入れ替えを検討している製造業の顧問先であれば、「その投資、経営力向上計画の対象になるか確認しておきましょう」という一言が、決算後に後悔させないための分岐点になります。業種を問わず、決算前に設備投資の話題が出た瞬間が、先生にとっての一番の見せどころです。
3つの壁を一人で越えようとしなくてよい
専門性・時間・立場という3つの壁は、いずれも貴所お一人ですべてを埋める必要はありません。制度の窓口役は貴所が担い、計画づくりの実務は外部の専門家に委ねるという分担にすれば、無理なく顧問先の設備投資を後押しできます。この分担の具体像は、このあとの章で詳しくお伝えします。
実際、決算書をひととおり預かっている税理士・公認会計士の先生ほど、顧問先の設備投資の兆しに気づきやすい立場にあります。気づいた瞬間に「その設備投資、使える制度があるか確認してみましょう」と一言添えられるかどうかが、税務だけの事務所と、経営の相談相手として選ばれる事務所の分かれ目になります。
経営力向上計画の基本を先に押さえたい方へ
税制優遇(即時償却・税額控除)などのメリットと申請の流れを解説しています。
このまま何もしなければ、顧問先の設備投資はどうなるか

制度の提案が遅れると、顧問先には次のような悪循環が起きます。順番に見てみましょう。
まず、顧問先が制度を知らないまま設備を先に発注してしまいます。次に、認定のタイミングを逃し、本来受けられたはずの税額控除が使えなくなります。その結果、想定していたより手元の現金が減り、資金繰りに余裕がなくなります。
現金が減れば、次の投資や採用にも慎重にならざるを得ません。そして「相談してもらえなかった」という印象が残り、顧問先は別の専門家に経営面の相談を持ちかけるようになります。最終的には、税務だけの付き合いへと関係が薄まり、顧問料の見直しにもつながりかねません。
この悪循環がやっかいなのは、顧問先自身が「損をした」と気づきにくい点です。設備投資は完了し、事業は動き続けます。ただ、本来より現金が少ない状態が続くだけで、原因が制度の使い忘れにあることには気づかれません。だからこそ、発注前の一言が先生の価値として際立ちます。
この流れを、改めて順番に整理すると次のようになります。
- 顧問先が制度を知らないまま設備を先に発注する
- 認定のタイミングを逃し、税額控除の対象から外れる
- 想定より手元の現金が減り、資金繰りが厳しくなる
- 次の投資や採用の判断が慎重になり、成長のペースが鈍る
- 「相談してもらえなかった」という印象が残る
- 経営面の相談先が、貴所以外の専門家に移っていく
「あとで気づいた」が一番もったいない
設備はすでに納品された後では、使えるはずだった制度も間に合わないことがあります。決算が近づいてから慌てて動くのではなく、余裕をもって顧問先に声をかけることが、先生と顧問先の双方にとって望ましい結果につながります。
逆に言えば、発注前のタイミングで一言添えるだけで、この悪循環は起きません。次の章では、その一言を支える経営力向上計画の中身を見ていきます。
経営力向上計画という選択肢|先端設備等導入計画との使い分け

経営力向上計画は、中小企業等経営強化法に基づき、国(事業分野別の主務大臣)が認定する計画です。認定を受けた設備投資は、税額控除(設備投資額の最大10%。法人の規模により率は異なります)などの税制優遇の対象になります。
例えば1,000万円の設備投資であれば、100万円分の法人税が抑えられ、その分の現金が手元に残る計算です。優遇の対象は法人税など国税であり、認定に必要な主な数値要件は労働生産性など経営指標の向上です。
ここで先生方に押さえていただきたいのが、先端設備等導入計画との違いです。名前が似ているため混同されがちですが、優遇される税金も認定主体もまったく異なります。顧問先に案内するときも、この2つを同じものとして説明してしまうと、あとから「思っていた優遇と違った」という食い違いを生みかねません。
特に、決算前に慌てて相談を受けた場合ほど、この2つを混同したまま案内してしまうリスクが高まります。落ち着いて次の比較表を確認しながら、顧問先の状況に当てはめて考えることが大切です。
| 比較項目 | 経営力向上計画 | 先端設備等導入計画 |
|---|---|---|
| 優遇される税金 | 法人税など(国税) | 固定資産税(地方税) |
| 認定する主体 | 国(事業分野別の主務大臣) | 設備を導入する市区町村 |
| 主な数値要件 | 労働生産性等の経営指標の向上 | 労働生産性 年平均3%以上向上 |
| 設備取得のタイミング | 例外的に取得後の申請も可(要件あり) | 認定後の取得が必須 |
| 併用 | 要件を満たせば両制度の併用が可能 | 要件を満たせば両制度の併用が可能 |
特に見落とされやすいのが「設備取得のタイミング」の違いです。先端設備等導入計画は認定後の取得が必須である一方、経営力向上計画は例外的に取得後の申請も可能なケースがあります(要件あり)。顧問先が「もう発注してしまった」という場合でも、経営力向上計画であれば選択肢が残っていることがあります。
経営力向上計画には、低金利融資や一部の補助金審査における加点といった副次的なメリットもあります。制度の詳細は個々の要件によって変わるため、迷ったときはサービスページでご確認ください。
なぜ「使い分け」を先生が押さえておくべきなのか
顧問先から見れば、税理士・公認会計士は税務の専門家であると同時に、身近な経営の相談相手でもあります。どちらの制度が自社に合うのかを最初に整理してくれる存在がいるだけで、顧問先の意思決定は早まります。逆にここで案内が遅れると、顧問先は独力で制度を調べ、判断を誤ったまま設備を発注してしまうことがあります。
使い分けの視点は、大きく3つです。第一に、優遇したいのが国税(法人税など)か地方税(固定資産税)か。第二に、設備をすでに発注しているか、これから発注するか。第三に、両方の制度を併用できる要件を満たしているかどうかです。この3つを押さえるだけで、顧問先への最初の案内は十分に成り立ちます。
計画書には、どんな項目が並ぶのか
経営力向上計画の計画書は、次のような項目で構成されます。実際の記載内容は顧問先ごとに異なりますが、全体像をイメージいただくための一覧です。
| 構成項目 | 記載する内容 |
|---|---|
| 企業の概要 | 顧問先の事業内容・沿革 |
| 現状認識 | 経営課題の整理 |
| 経営力向上の目標と指標 | 労働生産性など向上させる指標 |
| 経営力向上の内容 | 設備投資の内容・導入時期 |
| 実施に必要な資金と調達方法 | 資金計画 |
決算書を基礎資料にヒアリングを行い、計画書を作成し、認定申請まで支援を受けられます。実務は認定経営革新等支援機関が主導するため、貴所の作業負担は最小限で済みます。詳しくは次のページにまとめています。
貴所が担う部分、KICKが担う部分
連携の役割分担はシンプルです。貴所は顧問先の窓口として、設備投資の相談があったときに制度の存在を伝え、必要な決算資料を共有します。計画書の作成、経営指標の整理、認定申請の手続きといった実務は、認定経営革新等支援機関であるKICKが担当します。税務判断と経営計画の実務を分けて考えることで、貴所の専門性を保ったまま提案の幅を広げられます。
社長が考える“お悩み” 法人税の負担が重くて、どうにか節税したい 中小企業向けの節税策をもっと有効に活用したい 新たな設備投資を考えているけど、税金の負担が気になる 成長を目指しているけど、利益が増えた分の税金に悩まされる 今期に利益が見込め...
ご相談いただいても、押し売りは一切いたしません。顧問先との関係はそのまま、計画づくりの実務だけをKICKコンサルティング株式会社(銀座本社)が担います。
\決算前のご提案を後押し/
先生の事務所が手に入れる未来

経営力向上計画を軸にした提案を続けると、先生の事務所には次のような変化が起こります。
目に見える変化
決算報告だけだった面談に、設備投資や資金計画の話題が自然に加わります。顧問先の社長が今後の計画を先に相談してくれるようになり、会話の質そのものが変わっていきます。「今度、機械を入れ替えようと思うのですが」と、発注の前に声がかかるようになるのが理想の姿です。
通帳と時間の変化
税制優遇を活かせた顧問先ほど、資金繰りに余裕が生まれ、顧問料の支払いも安定しやすくなります。計画づくりの実務は認定支援機関に任せられるため、貴所の業務時間を圧迫しません。繁忙期に無理をして制度を調べる必要もなくなります。
周囲からの変化
顧問先だけでなく、取引金融機関からも「経営面まで見てくれる事務所」という評価を得やすくなります。職員にとっても、税務にとどまらない提案ができる事務所で働く誇りにつながります。こうした評価の積み重ねが、次の紹介や新規の顧問契約にもつながっていきます。
これらの変化は、一朝一夕に起きるものではありません。しかし、決算前に一言添える積み重ねが、数年後の事務所の立ち位置を大きく変えていきます。税務の専門家から、経営の相談相手へ。その変化の第一歩が、経営力向上計画の使い分けを押さえることです。
複雑な制度を分かりやすく整理し、顧問先の決断を後押しできる先生でいる未来を、共に手に入れましょう。
自所だけで抱える限界と、認定支援機関との連携

経営力向上計画の計画書づくりと認定申請には、専門的な知識と一定の時間が必要です。決算・申告の繁忙期と重なれば、貴所だけで対応しきることは容易ではありません。
だからこそ、認定経営革新等支援機関の中小企業診断士と連携する事務所が増えています。KICKコンサルティング株式会社は、法人支援実績150社以上の認定経営革新等支援機関です。代表は中小企業診断士・事業承継士の資格を持ち、経営改善の計画策定を専門に手がけています。
「外部に任せると、顧問先との距離が生まれるのではないか」と感じる先生もいらっしゃいます。しかし実際には、貴所が窓口であり続けることに変わりはありません。顧問先から見れば、いつもの先生が新しい選択肢を紹介してくれた、という体験になります。距離が生まれるどころか、頼れる場面が一つ増えるだけです。
認定経営革新等支援機関とは
認定経営革新等支援機関は、中小企業庁が一定の専門知識・実務経験を確認したうえで認定する支援機関です。経営力向上計画の認定申請には専門的な知識が求められるため、こうした支援機関と連携しながら進める事務所が広がっています。貴所が窓口となり、実務は認定支援機関が担う形であれば、事務所のブランドを損なうことなく提案の幅を広げられます。
貴所は顧問先の窓口として税務の判断を担い、計画の策定と認定申請の実務はKICKが担う。この役割分担により、貴所の負担を増やさずに、顧問先へ提案できる幅を広げられます。費用の詳細は、サービスページにてご確認いただけます。
士業の先生方との連携について、詳しくは次のページにまとめています。
顧問先の「相談」に、十分に応えられていますか? 士業事務所(税理士・公認会計士、行政書士)の先生方へ。“あなた”は今、このような場面に心当たりはありませんか? ✓ ソフトウェアの登場により 新たな顧客獲得が難しく、売上じり貧... ✓ 「補助金」の相談を受けたもの...
経営力向上計画をまとめて確認したい方へ
税制優遇(即時償却・税額控除)などのメリットと申請の流れを解説しています。
ご相談いただいても、顧問先への売り込みは一切行いません。税務申告は貴所、計画の策定と認定申請の支援はKICKという役割分担です。
\認定支援機関との連携/
よくある質問

Q. 連携すると、顧問先を奪われませんか
A. その心配はありません。KICKが担うのは計画策定と認定申請の実務のみで、顧問先との税務・顧問契約はそのまま貴所に残ります。連携や契約の義務もありません。
Q. 事務所側の実務負担はどの程度ですか
A. 顧問先の紹介と基礎資料の共有が中心です。ヒアリングから計画書の作成、認定申請までの実務はKICKが担うため、貴所の作業時間はほとんど増えません。
Q. 経営力向上計画と先端設備等導入計画は何が違いますか
A. 優遇される税金が異なります。経営力向上計画は法人税など国税、先端設備等導入計画は固定資産税という地方税が対象です。認定する主体も、前者は国、後者は設備を導入する市区町村と異なります。
Q. どのような顧問先・設備が対象になりますか
A. 業種や設備の種類によって要件が異なるため、断定的にはお答えできません。個別の状況はサービスページからご確認いただくか、ご相談ください。
Q. 顧問先が複数の設備投資を同時に検討している場合はどうなりますか
A. 設備ごとに要件を確認する必要があります。まとめて相談いただければ、それぞれの設備について経営力向上計画と先端設備等導入計画のどちらが合うかを整理してお伝えします。
Q. 顧問先が設備をすでに発注していても間に合いますか
A. 経営力向上計画は、例外的に設備取得後の申請も可能なケースがあります(要件あり)。先端設備等導入計画は認定後の取得が必須のため、発注前のご相談をおすすめしています。
Q. 税額控除はどのくらい受けられますか
A. 設備投資額の最大10%が目安ですが、法人の規模により率は異なります。具体的な試算は個別にご確認ください。
Q. 決算前のどのタイミングで顧問先に声をかければよいですか
A. 設備投資の相談を受けた時点が最初の声かけどきです。発注前であれば選択肢が広がるため、決算が近づいてから動くより早めのご案内をおすすめしています。
Q. 一度連携すると、他の顧問先にも継続して提案しなければなりませんか
A. そのような義務はありません。ご相談いただく顧問先ごとに、その都度ご判断いただけます。継続的な連携を前提としない単発のご相談も可能です。
Q. 早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)とは何が違いますか
A. 経営力向上計画は設備投資に伴う税制優遇が中心であるのに対し、早期経営改善計画策定支援は資金繰り・収益構造の改善そのものを目的とした別の制度です。顧問先の状況によって、どちらが適しているかは異なります。迷ったときはあわせてご相談ください。
Q. 費用はどのくらいかかりますか
A. 個別のお見積りとなるため、この記事では具体額をお伝えできません。サービスページにて詳細をご確認ください。
ご相談いただいても、無理な勧誘は一切ありません。まずは経営力向上計画の使い分けだけでも、お気軽にご確認ください。
\決算前、最後のご案内/
まとめ

経営力向上計画と先端設備等導入計画は、名前は似ていても優遇される税金も認定主体も異なる別の制度です。この違いを正しく押さえて顧問先に声をかけられるかどうかで、顧問先が受けられる税制優遇は大きく変わります。
計画書づくりや認定申請の実務は、貴所がすべて抱え込む必要はありません。認定経営革新等支援機関との連携により、貴所は税務の専門家として、顧問先に安心して設備投資を後押しできる立場になります。決算前の今こそ、顧問先への一言を、次の一歩につなげてください。
顧問先が「そろそろ設備を入れ替えようか」と口にしたときが、先生にとっての好機です。経営力向上計画と先端設備等導入計画の使い分けさえ押さえておけば、その場で的確な一言を返せます。あとの実務は、認定支援機関と分担すれば十分です。顧問先の決断を後押しできる事務所として、決算前のこの時期をお役立てください。








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