後継者が社内にいない。それでも、現場の職人と長年の元請との関係は残したい。
そう考えて第三者への承継を検討し始めたとき、真っ先に気がかりになるのが公共工事です。「会社を譲ったら、経審の評価はどうなるのか」——そんな不安を抱えてはいないでしょうか。
結論から申し上げます。建設業のM&Aで経審の評価を守れるかどうかは、契約を結ぶ前の段取りでほぼ決まります。
手法の選び方と、許可・技術者・実績の引継ぎ方を先に固めておく必要があります。確認しないまま進めると、承継の後に入札へ参加できない期間が生まれることがあります。
- 後継者が不在の建設会社の経営者の方
- 公共工事の受注を続けたい社長の方
- 経審の評価が下がらないか不安な方
- 建設業許可の引継ぎ方が分からない方
- 技術者の在籍が気がかりな後継者の方
- 建設業のM&Aで経営事項審査の評価が揺らぐ仕組み
- 株式譲渡・合併・会社分割・事業譲渡で扱いがどう変わるか
- 経審の評点を守る5つの備えと、その確認の順番
- 建設業許可の承継(許可承継)と入札参加資格の段取り
- 行政書士・司法書士・弁護士・税理士とKICKの役割の切り分け
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、中小企業診断士・事業承継士として、法人支援150社以上の実績で承継の全体設計に伴走してきました。
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建設業のM&Aで経営事項審査(経審)の評価が揺らぐ理由と、放置したときに起きること

この記事で扱うのは第三者承継(M&A・組織再編)です。親族や社内に後継者がいないため、会社や事業を外部の相手へ引き継ぐ場面を前提にしています。
結論を先に述べます。建設業のM&Aで経審の評価が揺らぐのは、審査の対象になっている要素が、承継の手法によって別々の会社に散らばるからです。
会社の中身は変わっていないのに、書類の上では別の法人の実績になる。その差が、そのまま公共工事の受注機会に響きます。
経営事項審査とは何か
経営事項審査とは、公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者が、必ず受けなければならない審査のことです。実務では「経審」と略して呼ばれます。
審査は大きく分けて、経営状況の分析と、経営規模等の評価の2つで構成されます。前者は登録経営状況分析機関が、後者は許可行政庁が担当します。
総合評定値とは、この審査の結果をひとつにまとめた指標のことです。発注機関はこの数値をもとに、入札に参加できる工事の規模を決めています。
なお本記事では、評点の計算方法や配点、具体的な点数には触れません。数値は制度改正で変わるうえ、個社ごとに事情が違うためです。
ここで押さえていただきたいのは「どの要素が評価の対象になるか」と「承継の前に何を確認しておくべきか」です。
経審で評価の対象になる4つの要素
経営事項審査で見られるものは、大きく次の4つに分かれます。承継の場面では、この4つがそれぞれ別の理由で動きます。
| 評価の対象 | 主に見られるもの | 承継で動きやすい理由 |
|---|---|---|
| 経営規模 | 完成工事高、自己資本の額、利益の状況 | 実績がどの法人に紐づくかが手法で変わる |
| 経営状況 | 負債の状況、収益性、財務の健全性を示す指標 | 再編に伴う資産・負債の移動で数値が動く |
| 技術力 | 技術職員の数と資格、元請としての完成工事高 | 雇用契約の相手方が変わると在籍の扱いが変わる |
| その他の審査項目(社会性等) | 社会保険の加入、退職金制度、法令遵守の状況など | 制度の適用先が承継先へ移るまで空白が出る |
表のとおり、ひとつの要素だけを守っても足りません。4つとも、承継の手法と手続きの組み方に左右されます。
承継の手法によって、引き継げるものが変わる
第三者承継とは、親族や社内に後継者がいない場合に、会社や事業を外部の相手へ引き継ぐことです。手法は主に4つあります。
組織再編とは、合併や会社分割などによって会社の組織を組み替えることです。事業譲渡とは、会社の事業の全部または一部を、契約によって他の会社へ引き渡すことをいいます。
この違いが、建設業許可と実績の扱いを大きく分けます。
| 手法 | 法人格の扱い | 建設業許可と実績で注意すること |
|---|---|---|
| 株式譲渡 | 会社はそのまま存続する | 許可も実績も会社に残る。役員の変更などの届出が必要になる |
| 合併 | 一方が消滅し、他方へ統合される | あらかじめ認可を受ければ許可を承継できる。実績の合算は要確認 |
| 会社分割 | 事業を切り出して別法人へ移す | 切り出す範囲の決め方で、承継できる実績の範囲が変わる |
| 事業譲渡 | 会社は残り、事業だけが移る | 契約で移す対象を個別に定める。移し忘れが起きやすい |
株式譲渡は、社長が交代しても会社そのものは変わりません。そのため、許可も完成工事高の実績も原則としてそのまま残ります。
一方で合併・会社分割・事業譲渡は、事業の入れ物が変わります。入れ物が変われば、許可も実績も自動では付いてきません。
確認しないまま進めると起きること
段取りを詰めずに契約日を先に決めてしまうと、次のような状況が生まれます。
- 許可の承継の手続きが間に合わず、建設業を営めない期間が生じる
- 承継先で技術者の在籍要件を満たせず、技術力の評価が保てない
- 完成工事高の実績を引き継げず、経営規模の評価が急に下がる
- 入札参加資格の変更手続きが遅れ、指名や公告に間に合わない
- 社会保険や退職金制度の切替えが遅れ、その他の審査項目に響く
もっとも影響が大きいのは、決算期と手続きのタイミングがずれることです。経審は原則として、直前の事業年度終了の日を審査基準日として行われます。
要するに、建設業のM&Aは「相手を決める交渉」よりも先に「引き継げるものを確かめる作業」が要ります。順番を逆にすると、後から取り返すのが難しくなります。
建設業のM&Aで経審の評点を守る5つの備え

結論を先に述べます。建設業のM&Aで経審の評価を守るには、次の5つを、この順番で備えておくことです。
- 承継の手法を決める前に、建設業許可の引継ぎ方を確かめる
- 技術者の在籍と資格を、承継後の姿で並べ直す
- 完成工事高の実績が、どの法人に紐づくかを整理する
- 財務に関わる項目を、決算日と実行日から逆算して確認する
- 公共工事の入札参加資格の切替えを、工程表に組み込む
順に説明します。どれも、相手先との交渉が本格化する前に着手できるものです。
建設業許可の引継ぎ方を確かめる
許可承継とは、建設業許可を持つ地位を、承継先の会社が引き継ぐ手続きのことです。建設業法には、この承継についての定めが置かれています。
事業の譲渡や譲受け、合併、分割については、あらかじめ許可行政庁の認可を受けることで、建設業者としての地位を引き継ぐ扱いがあります。
ここで大切なのは「あらかじめ」という点です。実行してから届け出るのではなく、実行の前に認可を受ける必要があります。
認可を受けずに事業だけを移すと、承継先は改めて許可を取り直すことになります。その間、建設業を営めない期間が生まれるおそれがあります。
確認するのは、次の4点です。
- 承継の対象にする業種と、承継先が現に持つ業種の重なり
- 承継先で、経営業務の管理を担う体制が整うかどうか
- 承継先で、営業所ごとの専任技術者を配置できるかどうか
- 大臣許可と知事許可のどちらになるか、営業所の所在で変わらないか
手続きの窓口は、許可行政庁です。書類の作成と申請そのものは行政書士の領域になりますので、早い段階で相談先を決めておくと安心です。
技術者の在籍と資格を並べ直す
経審の技術力は、技術職員の人数と保有資格が評価の対象になります。ここで見落とされやすいのが「誰の従業員か」という点です。
経審では、技術職員として数えるために、審査基準日の時点で恒常的な雇用関係にあることが求められます。一定の期間、継続して在籍していることが前提です。
株式譲渡なら雇用契約の相手方は変わりません。しかし事業譲渡では、従業員は当然には移りません。一人ひとりの同意を得て、転籍の手続きを踏む必要があります。
次の点を、名簿の形で並べておきます。
- 技術職員の氏名・資格の種類・資格者証の有効期限
- 監理技術者資格者証と講習の受講状況
- 営業所の専任技術者として配置している人の重複の有無
- 承継後に転籍する人と、残る人の区分
- 定年や退職の予定があるかどうか
この名簿があると、承継先で技術力の評価をどこまで保てるかが見えます。足りない部分は、採用や資格取得の計画で埋める判断もできます。
完成工事高の実績を整理する
経営規模の評価では、完成工事高が対象になります。これは業種ごとに区分して見られるため、承継の対象業種と一致しているかの確認が要ります。
合併や事業譲渡があった場合、承継した建設業に係る実績を、承継先の完成工事高として扱える取扱いがあります。ただし条件があり、どの範囲まで認められるかは事案ごとに異なります。
そのため、実績の引継ぎは、必ず許可行政庁への事前確認を経てから前提に置きます。「引き継げるはず」で工程を組まないことが肝心です。
整理しておく資料は、次のとおりです。
- 直近の事業年度分の工事経歴書と、業種ごとの内訳
- 元請と下請の区分が分かる資料
- 公共工事と民間工事の区分が分かる資料
- 承継の対象から外れる事業の完成工事高
- 共同企業体(JV)で施工した工事の持分の記録
完成工事高は、単年ではなく複数年の平均で見る扱いがあります。承継の実行時期によって、どの年度が対象に入るかが変わる点にも注意が必要です。
財務に関わる項目を逆算して確認する
経営状況の分析では、負債の状況や収益性、財務の健全性を示す指標が対象になります。組織再編では、この部分が意図せず動くことがあります。
たとえば、承継に伴って借入を組み替えれば負債の構成が変わります。資産を移せば自己資本の額も動きます。
ここで確認するのは、金額の大小ではなく「いつの決算に反映されるか」です。決算日と実行日の前後関係で、審査に映る姿が変わります。
- 直近の決算日と、次の決算日を書き出す
- 承継の実行予定日を、その2つの間のどこに置くかを決める
- 実行に伴って動く資産・負債・資本の項目を洗い出す
- 経営状況の分析に出す資料と、税務申告の内容の整合を確かめる
なお、個別の税務判断や税額の計算は税理士の領域です。会計処理の方針は、必ず顧問税理士と共有したうえで進めてください。
入札参加資格の切替えを工程表に組み込む
入札参加資格審査とは、発注機関ごとに行われる、入札に参加できる者を登録するための手続きのことです。経審の結果は、この審査の材料として使われます。
経審を受け直しただけでは、入札には参加できません。発注機関ごとの資格の登録内容を、承継後の会社の情報に切り替える手続きが別に必要です。
国、都道府県、市区町村では、受付の時期も必要書類も異なります。定期の受付と随時の受付があり、扱いは機関ごとに違います。
そこで、次の順で工程表に落とし込みます。
- 取引のある発注機関を、すべて書き出す
- 機関ごとに、変更届で足りるか再申請が要るかを確認する
- 受付の時期と、承継の実行日の関係を並べる
- 資格の切替えが完了するまでの空白期間を見積もる
- 空白期間に入札の予定がないかを確かめる
この5つの備えを、承継の設計と一体で考えることが要になります。手法の選択・許可・技術者・実績・財務・入札は、すべてつながっているためです。
全体をどう組み立てるかは、建設業のM&Aと経審を見据えた事業承継コンサルティングの考え方が参考になります。
まだ相手先が決まっていない段階でも、ご相談いただけます。その場で契約をお勧めすることはありませんし、しつこい営業もありません。整理の途中の状態のままで構いません。
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建設業のM&Aで経営事項審査の評価を守れたときに手に入る3つの未来

結論から述べます。5つの備えを整えると、承継の前後で受注の流れを止めずに済みます。手に入るものは、大きく3つあります。
公共工事の受注の流れが途切れない
建設業許可の承継の認可を先に取り、入札参加資格の切替えを工程表に入れておく。それだけで、営業を止める期間をなくす方向に近づきます。
現場は、いま動いている工事と、これから入る工事の両方で回っています。受注の流れが一度途切れると、職人の手が空き、外注先との関係も細っていきます。
段取りを先に固めておけば、承継の日をまたいでも現場の予定表は続きます。これは、譲り渡す側にとっても、譲り受ける側にとっても価値があります。
会社の値打ちが正しく伝わる
買い手が建設会社を評価するとき、決算書だけを見ているわけではありません。許可の業種、技術者の顔ぶれ、公共工事の実績も見ています。
ところが、この3つは資料にまとめておかないと伝わりません。工事経歴書と技術職員の名簿を整えておくと、会社の中身が言葉になります。
結果として、交渉の場で「引き継げるものが明確な会社」として扱われます。条件の交渉でも、後から前提が崩れる不安が減ります。
従業員と取引先に説明できる材料が残る
承継の話が伝わったとき、社員が最初に思うのは「自分の仕事はどうなるのか」です。技術者であれば「資格や経歴は引き継がれるのか」を気にします。
5つの備えを進める過程で、その答えは自然と手元にそろいます。誰がどこへ転籍し、許可と実績がどう引き継がれるかを、順序立てて説明できます。
取引先への説明も同じです。元請や協力会社に対して、施工体制が変わらないことを具体的に示せます。
受注の連続性と、正しく伝わる会社の値打ちと、社員に示せる道筋。この3つを共に手に入れましょう。
自社だけで建設業のM&Aと経審の準備を進める限界と、事業承継士による伴走支援

ここまでの5つの備えは、考え方としては難しくありません。それでも自社だけで進めると、途中で止まりやすい理由があります。
論点が複数の専門領域にまたがる
建設業許可は行政の手続き、株式や組織再編は会社法、雇用は労務、決算は会計、契約は民事の話です。ひとつの承継に、これだけの領域が同時に絡みます。
それぞれの専門家に個別に相談すると、答えは正しくても組み合わせがずれます。「税務では最適だが、許可の承継が間に合わない」という事態が起きます。
最も多いのは、誰も全体の工程表を持っていない状態です。個別の判断は正しいのに、全体が前に進みません。
日常の経営と同時には進められない
社長は、現場の段取りと資金繰りと人の手配で手一杯です。そこへ承継の準備が重なると、どうしても後回しになります。
しかも承継の準備は、決算日と受付時期に縛られます。後回しにすると、次のタイミングまで1年待つことになりかねません。
自社の強みは、身内の目には見えにくい
長年やってきた段取りや、特定の工種での施工力は、社内では当たり前の景色になっています。買い手にとっては値打ちのある要素でも、資料には書かれません。
第三者の目で事業を調べ直すと、この「当たり前」が言葉になります。承継の交渉では、この言葉が条件を左右します。
誰が何を担うのかの切り分け
役割をはっきりさせておくと、相談の順番で迷わなくなります。KICKは他の専門家の領域には立ち入りません。
| 担い手 | 担当する領域 |
|---|---|
| 行政書士 | 建設業許可の承継の認可申請、経営事項審査の申請などの許認可手続き |
| 司法書士 | 合併・会社分割・役員変更などの登記 |
| 弁護士 | 譲渡契約・株主間の調整・法律判断・紛争への対応 |
| 税理士 | 個別の税務判断、税務申告、税額の計算 |
| KICK(中小企業診断士・事業承継士) | 承継全体の設計と工程管理、事業の棚卸し |
KICKが担うのは、全体の設計と、事業の中身を調べる事業の棚卸しです。どの専門家に、いつ、何を依頼するかを整理する役回りだとお考えください。
建設業では特に、許可・技術者・実績という3本の柱が、承継の手法選びそのものを縛ります。この制約を先に把握してから手法を決めると、後戻りが減ります。
認定経営革新等支援機関として、法人支援150社以上の現場で伴走してきました。相手先が見つかる前の、まだ何も決まっていない段階からご一緒できます。
いまの段階では何も決められない、という状態でも大丈夫です。売り込みはありませんし、その場でのご契約もお願いしません。お断りいただいても構いません。
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建設業のM&Aと経営事項審査|事業承継のよくある質問

ご相談の場でよくいただく質問をまとめました。
Q. 建設業のM&Aで経審の評点は必ず下がりますか
A. 必ず下がるとは限りません。株式譲渡のように会社そのものが存続する手法では、許可も実績も会社に残ります。一方で事業譲渡や会社分割では、引き継げる範囲を手続きで確かめる必要があります。まずは検討している手法を決め、その手法で何が引き継げるかを許可行政庁に確認するところから始めてください。
Q. 建設業許可はM&Aでそのまま引き継げますか
A. 手法によります。株式譲渡では会社が変わらないため、許可はそのまま残ります。合併・分割・事業譲渡では、あらかじめ許可行政庁の認可を受けることで、建設業者としての地位を引き継ぐ扱いがあります。認可の申請は行政書士の領域ですので、実行日を決める前に相談先を確保しておくことをお勧めします。
Q. 株式譲渡と事業譲渡では経審の扱いはどう違いますか
A. 大きく違うのは「実績と従業員が自動で移るかどうか」です。株式譲渡は会社ごと引き継ぐため、完成工事高も技術職員の在籍も原則として続きます。事業譲渡は契約で移す対象を個別に定めるため、移し忘れがあると評価の対象から外れます。移す資産・契約・従業員の一覧を早い段階で作っておくと、抜けを防げます。
Q. 完成工事高の実績は承継先に引き継げますか
A. 引き継げる場合がありますが、条件があります。合併や事業譲渡に伴って承継した建設業に係る実績については、承継先の完成工事高として扱える取扱いがあります。どの範囲まで認められるかは事案ごとに判断されるため、事前の確認が欠かせません。工事経歴書を業種ごとに整理したうえで、許可行政庁へ照会してください。
Q. 技術者が退職したら経審にどう影響しますか
A. 技術力の評価に影響します。経審では、審査基準日の時点で恒常的な雇用関係にある技術職員が対象になるためです。承継のタイミングで転籍に同意が得られないと、人数が減った状態で審査を受けることになります。技術職員の名簿を先に作り、誰に、いつ、どこまで伝えるかを設計してから動いてください。
Q. 経営事項審査はいつ受け直せばよいですか
A. 承継の実行日と決算日の関係で変わります。経審は原則として、直前の事業年度終了の日を審査基準日として行われます。実行日が審査基準日の後になると、その年度の審査には反映されません。決算日・実行日・申請日の3つを一本の線に並べ、行政書士と一緒に工程を組むのが確実です。
Q. 公共工事の入札参加資格はいつ切り替えますか
A. 発注機関ごとに手続きが必要で、時期も書類も異なります。経審を受け直しただけでは、入札参加資格は自動では変わりません。国・都道府県・市区町村それぞれに、変更届または再申請が要ります。取引のある発注機関を書き出し、受付の時期を確認して工程表に入れておいてください。
Q. 許可の承継の認可にはどれくらいの期間がかかりますか
A. 許可行政庁ごとに標準的な処理の期間が定められています。窓口や業種の構成によって差があるため、一律には申し上げられません。書類の不足があれば、その分だけ長くなります。実行日から逆算し、余裕を持った日程を行政書士と相談して決めてください。
Q. 建設業のM&Aは誰に相談すればよいですか
A. 論点ごとに担い手が分かれます。許認可は行政書士、登記は司法書士、契約は弁護士、税務は税理士です。ただし全体の工程を組み立てる役割は、どの士業の専門領域にも含まれません。承継全体の設計を担う相手を先に決めると、その後の相談がつながりやすくなります。
Q. 従業員に知られずに準備を進められますか
A. 準備の初期段階であれば可能です。決算書、工事経歴書、許可の内容、技術職員の名簿は、経営者の手元で確認できます。ただし転籍の同意が要る段階では、伝えることが避けられません。伝える順番と範囲を先に設計しておけば、動揺を小さく抑えられます。
まとめ

第三者承継(M&A・組織再編)で公共工事の仕事を守るには、経営事項審査で評価の対象になる要素を、先に押さえておくことです。
経審で見られるのは、経営規模・経営状況・技術力・その他の審査項目の4つでした。どれも、承継の手法と手続きの組み方で動きます。
備えは5つです。
- 承継の手法を決める前に、建設業許可の引継ぎ方を確かめる
- 技術者の在籍と資格を、承継後の姿で並べ直す
- 完成工事高の実績が、どの法人に紐づくかを整理する
- 財務に関わる項目を、決算日と実行日から逆算して確認する
- 公共工事の入札参加資格の切替えを、工程表に組み込む
株式譲渡なら会社が残るため、許可も実績も原則として続きます。合併・会社分割・事業譲渡では、あらかじめ認可を受けなければ、許可も実績も自動では付いてきません。
許認可の手続きは行政書士、登記は司法書士、契約は弁護士、税務は税理士の領域です。KICKは、その全体の設計と事業の棚卸しを担います。
最初の一歩に迷ったら、手元の建設業許可通知書と、直近の工事経歴書を並べてみてください。承継の対象にできる業種と実績の輪郭が、そこから見えてきます。
ご相談の場で、契約をお勧めすることはありません。売り込みも、お断りいただく気まずさもありません。まだ何も決めていない段階のままで結構です。
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