グループホームが特定技能の受入れについて、加入している出入国在留管理庁の窓口に相談したところ、「決算が債務超過のままでは受入れの手続きが進められません。企業評価書を用意してください」と言われた。
債務超過の原因は、夜勤の人員配置義務にあります。認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、ユニットごとに夜勤者を最低1人配置する義務があり、人手不足のなかでこの体制を守り続けると、人件費だけが膨らみます。
このまま企業評価書を用意できなければ、今いる特定技能・育成就労人材の継続雇用すらできなくなります。継続雇用できなければ夜勤の人員配置基準を満たせず、基準を満たせなければ運営そのものを続けられません。最悪の場合、施設の存続そのものが立ち行かなくなります。
あなただけではありません。東京商工リサーチによると、2025年の介護事業者の倒産は過去最多の水準となり、認知症グループホームの倒産も増加しています。人件費高騰という「共通の敵」と向き合っているのは、あなたの施設だけではないのです。
結論から言えば、赤字・債務超過の状態でも、特定技能や育成就労で外国人材を受け入れる道は残されています。ただし、そこには「改善の見通しについて評価を行った書面」、いわゆる企業評価書の提出が必要になります。
- グループホームの夜勤基準と赤字が結びつく理由
- 企業評価書に必要な改善計画の作り方
- 特定技能・育成就労を受入れる3つの方法
- 企業評価書のサンプル・フォーマットの考え方
- 中小企業診断士に依頼する具体的なメリット
この記事は、こんな方におすすめです。
- 夜勤体制の維持で人件費が膨らみ続けている方
- 赤字・債務超過で受入れ審査が通るか不安な方
- 企業評価書を誰に依頼すればよいか分からない方
- 特定技能・育成就労の受入れを検討している方
中小企業診断士として150社以上の企業評価書作成を支援してきた立場から、グループホームに特有の事情を踏まえて、審査を通すための考え方を具体的に解説します。読み終える頃には、自社の赤字の理由を、審査官に伝わる言葉に変える方法が分かるはずです。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは現状をお聞かせください。
グループホームの夜勤基準と、赤字を放置したときに起きること

まず押さえておきたいのは、グループホームには他の介護施設と違う独自の人員配置基準があるという点です。
日中「3対1」と、夜間「ユニット1人以上」の二重の壁
厚生労働省令「指定地域密着型サービスの人員、設備及び運営に関する基準」により、グループホームは日中、入居者3人に対して介護職員1人以上の配置が求められます。
さらに夜間・深夜帯は、ユニットごとに最低1人の配置が別途義務づけられています。2ユニット運営であれば、夜勤者は最低2人必要になる計算です。
この夜勤配置は、入居者数の増減にかかわらず外せません。入居率が下がって収入が減っても、夜勤の人件費だけは固定費として残り続けます。
| 時間帯 | 配置基準の考え方 | 経営への影響 |
|---|---|---|
| 日中 | 入居者3人に対し職員1人以上 | 入居率が下がれば人件費比率が上昇 |
| 夜間・深夜 | ユニットごとに最低1人以上 | 入居率に関わらず固定費化しやすい |
| 欠員発生時 | 代替職員の確保が前提 | 採用コスト・派遣費用が急騰 |
加えて、日本銀行が公表する企業物価指数の推移が示すとおり、光熱費や食材費、衛生用品といった間接コストも上昇傾向が続いています。人件費だけでなく、施設運営に関わるあらゆる費目が同時に重くなっているのが、いまの状況です。
人件費高騰が利益を圧迫する3つの原因
グループホームの経営が赤字に向かう背景には、次の3つが複合的に絡んでいます。
- 最低賃金の引き上げによる基本給・夜勤手当の上昇
- 他産業との人材獲得競争による採用コストの高騰
- 1ユニットあたりの人数が少なく、規模の経済が働きにくい構造
この状態を放置すると、どうなるでしょうか。夜勤者が1人でも退職すれば、基準を満たせず新規入居の受入れを止めざるを得ません。
入居率が下がれば売上が減り、それでも夜勤の固定費は変わらないため、赤字が翌期も続き、純資産がマイナス(債務超過)に転落するリスクが高まります。
この状態で特定技能や育成就労による人材確保に動こうとすると、入管当局から「改善の見通しについて評価を行った書面」、つまり企業評価書の提出を求められます。ここで自己流の理由書を出して差し戻しになるケースが、実務では少なくありません。
特養・デイサービスとの違い
同じ介護業でも、特別養護老人ホームや有料老人ホームは1施設あたりの規模が大きく、夜勤者1人あたりが担う入居者数の割合が相対的に小さくなります。デイサービスは夜勤自体が発生しません。
一方でグループホームは、1ユニット9人という小規模な単位を基本としながら、夜勤者を必ず配置しなければなりません。規模が小さいほど、夜勤の固定費が収支に与える影響は大きくなるという、業種特有の弱点を抱えているのです。
この構造の違いを理解せずに、他業種向けの一般的な改善策をそのまま当てはめても、実態に合わない計画になりがちです。
帝国データバンクの調査でも、人件費・原材料費の上昇に価格転嫁が追いつかない中小企業ほど、赤字から債務超過へ移行しやすい傾向が指摘されています。介護報酬という公定価格の業種では、この傾向がさらに強く出ます。
なぜ介護業は「価格転嫁」ができないのか
一般の製造業や建設業であれば、原材料費や人件費が上がれば、取引先との価格交渉で転嫁する余地があります。
しかし介護報酬は、国が定める公定価格です。人件費がどれだけ上昇しても、サービス単価を自社の判断で引き上げることはできません。
この構造のなかで、グループホームは特養やデイサービスと比べても1ユニットあたりの職員数が少なく、夜勤者1人あたりの固定費負担が重いという特徴があります。だからこそ、赤字から債務超過へ向かうスピードが速まりやすいのです。
「改善の見通しについて評価を行った書面」が求められる場面
特定技能や技能実習、そして育成就労の申請時、直近の決算が債務超過であると、入管当局・OTIT(外国人技能実習機構)は「改善の見通しについて評価を行った書面」の提出を求めます。
この書面がなければ、事業の継続性そのものを疑われ、受入れの許可が下りません。逆に言えば、この一枚を客観的な根拠とともに整えられれば、赤字であっても受入れの道は開けます。
赤字・債務超過でも特定技能を受入れる3つの方法

債務超過だからといって、外国人材の受入れを諦める必要はありません。実務で必要になるのは、次の3つです。
方法1 管理会計でコスト構造を数値化する
まず、夜勤帯・日中帯それぞれの人件費比率、ユニットごとの収支を分けて見える化します。どこで赤字が生まれているのかを数字で説明できる状態にすることが、評価書の土台になります。
「なんとなく厳しい」ではなく、「夜勤帯の人件費比率が◯%まで上昇している」と言えるかどうかで、審査官への説得力が大きく変わります。
あわせて、ユニットごとの入居率・稼働率も月次で記録します。赤字の原因が一時的な要因であることを示す一次データになるからです。
具体的には、次のようなデータを最低3期分そろえておくと、改善計画の説得力が高まります。
- 月次の人件費・水道光熱費・食材費などの費目別推移
- ユニットごとの入居率・稼働率の推移
- 夜勤者の在籍状況と、退職・採用の履歴
- 介護報酬改定や加算取得状況による収入への影響
これらを整理するだけでも、「なんとなく苦しい」という感覚が、「どこにテコ入れすれば黒字化するか」という具体的な打ち手に変わります。
方法2 中小企業診断士に企業評価書の作成を依頼する
企業評価書は、債務超過に至った経緯、特段の事情、そして今後の改善計画を、第三者の視点で客観的に示す書面です。作成できるのは中小企業診断士または公認会計士に限られ、税理士は作成できません。
「企業評価書は税理士に頼めるのでは」と考える経営者も多いのですが、この評価書面の作成資格を持つのは中小企業診断士・公認会計士のみです。顧問税理士がいても、別途、評価書の作成者を確保する必要があります。
債務超過という数字だけを見れば、審査官は不安を抱きます。しかし、夜勤配置基準という業界特有の構造的要因を、公的な統計や制度と結びつけて説明できれば、「一時的な赤字であり、改善の見通しがある」という評価につながります。
企業評価書のサンプルやフォーマットをそのまま流用する経営者もいますが、グループホーム固有の夜勤構造を反映しない汎用フォーマットでは、説得力を欠くことがほとんどです。業種特有の事情に合わせて組み立て直す必要があります。
特定技能・技能実習の受入れに強い企業評価書の作成支援サービスでは、こうした業種特有の事情を踏まえた改善計画書を、実務経験に基づいて作成します。
方法3 特定技能・育成就労を計画的に受入れる
企業評価書が整ったら、特定技能や、2027年4月に施行予定の育成就労制度を活用し、夜勤を担える人材を計画的に確保します。
単発の採用ではなく、複数年でユニットの夜勤体制を安定させる採用計画にすることで、翌年以降の定期報告でも一貫した説明ができます。
特定技能「介護」は、5年間の実務経験を経て介護福祉士の国家資格を取得すれば、在留資格「介護」へ移行し、長期的な戦力として定着してもらうことも可能です。夜勤を任せられる人材を、単年の穴埋めではなく中長期の経営資源として位置づける発想が重要になります。
2027年4月に施行予定の育成就労制度では、より計画的な受入れと育成が前提になります。優良要件を満たせる体制を今のうちから整えておけば、制度移行後もスムーズに人材確保を続けられます。
登録支援機関の数は全国で1万を超え、介護分野の受入れは年々拡大しています。制度の追い風を、自施設の夜勤体制の安定に結びつけられるかどうかが、これからの数年で経営の分かれ目になります。
| 方法 | やること | 審査でのねらい |
|---|---|---|
| 方法1 | 夜勤帯の人件費比率・稼働率を月次で見える化 | 赤字の要因を数字で説明する土台をつくる |
| 方法2 | 中小企業診断士に企業評価書の作成を依頼 | 改善の見通しを客観的な書面として示す |
| 方法3 | 特定技能・育成就労を複数年計画で受入れ | 夜勤体制の安定という「見通し」を実現する |
その場でのご契約や、しつこい営業は一切ありません。まずは決算書と配置状況をお聞かせいただくだけで、通る見込みがあるかをお伝えします。
企業評価書を整えることで、手に入る未来

企業評価書を整え、特定技能・育成就労で夜勤体制を安定させると、経営には具体的な変化が生まれます。
数字の変化
夜勤帯の欠員による新規入居ストップが減り、稼働率が安定します。稼働率が安定すれば、赤字から黒字への改善計画も現実味を帯びてきます。
企業評価書に沿った改善計画を実行し、月次で進捗を確認していけば、「見通し」だった数字が「実績」に置き換わっていきます。この積み重ねが、翌年以降の定期報告や更新審査での信頼にもつながります。
時間の変化
採用担当者が毎月のように求人媒体を探し回る時間が減り、本来の入居者ケアや家族対応に使える時間が戻ってきます。
夜勤シフトの欠員を埋めるための緊急対応や、急な派遣依頼に追われる時間も減少します。経営者自身が、目先の穴埋めではなく、中期の採用計画に時間を使えるようになります。
関係性の変化
安定した人員体制は、入居者のご家族や地域包括支援センター、そして金融機関からの信頼にもつながります。「この施設なら任せられる」という評価は、次の入居相談にも直結します。
金融機関に対しても、赤字の理由と改善の道筋を客観的な書面で説明できることは、今後の融資相談における信頼材料になります。
夜勤に追われる毎日から、数字に裏づけられた採用計画を持つ経営へ。この変化を、共に手に入れましょう。
自社だけで進める限界と、KICKコンサルティングの支援

企業評価書の作成は、施設長や総務担当者が独学で進めるには、専門性の壁が高い分野です。
専門性の壁と時間コスト
入管当局が求める「改善の見通し」は、単なる決算内容の説明では足りません。夜勤配置基準のような制度的な構造要因を、財務データと結びつけて論理的に示す必要があります。
この作業を手探りで進めると、通常業務の合間を縫って何十時間もかかるうえ、差し戻しになれば受入れ計画そのものが遅れてしまいます。だからこそ、専門家に任せる経営者が増えています。
特に育成就労制度では、財務要件に加えて「優良要件」の考え方も求められる見込みです。制度の詳細を追いながら書面を整える負担は、施設運営と並行して行うには大きすぎます。
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)の支援内容
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、中小企業診断士・MBA(経営管理修士)である代表・松本昌史のもと、法人支援実績150社以上、認定経営革新等支援機関(中小企業庁)として、次を一気通貫で支援します。
- 決算書・人員配置データの分析による赤字要因の見える化
- 企業評価書(改善の見通しについて評価を行った書面)の作成
- 特定技能・育成就労の受入れに向けた改善計画の策定
- 更新・定期報告フェーズまで見据えた伴走支援
書面の代筆ではなく、経営そのものを整える伴走支援である点が、他の窓口との大きな違いです。企業評価書を作って終わりではなく、改善計画の実行状況を翌年以降も一緒に確認していきます。
過去には、建設業をはじめとする複数業種で、債務超過の状態から企業評価書を整え、特定技能・技能実習の受入れを実現してきた実績があります。業種ごとの制度・現場の事情を踏まえた支援に強みがあります。
企業評価書作成の大まかな流れ
実際の支援は、おおむね次のような流れで進みます。
- 決算書・試算表・人員配置状況のヒアリングと分析
- 赤字・債務超過に至った経緯の整理(夜勤体制や介護報酬改定の影響など)
- 改善の見通し(管理会計に基づく数値計画)の設計
- 企業評価書としての書面化・提出サポート
- 受入れ後の定期報告・更新に向けた継続的な確認
特に3番目の「改善の見通し」は、単なる願望ではなく、夜勤体制の見直しや稼働率向上の具体策と数字が結びついていることが重要です。ここに管理会計の視点が欠かせません。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。1社ごとに時間をかけて向き合うため、月あたりのご相談枠には限りがあります。まずはお気軽にご相談ください。
よくある質問

Q. グループホームでも特定技能の受入れはできますか。
A. 可能です。認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、特定技能「介護」の受入れ対象施設に含まれています。夜勤帯を含めたシフトの一員として業務に従事してもらうことができます。
Q. 企業評価書とはどのような書面ですか。
A. 正式には「改善の見通しについて評価を行った書面」といい、債務超過に至った経緯と、今後の改善見通しを第三者が客観的に評価する書面です。OTITの提出書類の一つに該当し、外国人技能実習・特定技能どちらの申請でも求められます。
Q. 企業評価書は誰に依頼すればよいですか。
A. 作成できるのは中小企業診断士または公認会計士に限られます。税理士は、決算や税務の専門家であっても、この評価書面を作成する権限を持っていません。顧問税理士とは別に依頼先を確保する必要があります。
Q. 企業評価書のサンプルやフォーマットはありますか。
A. 定型のサンプルをそのまま流用しても、施設固有の事情が反映されず説得力を欠くことが多くあります。夜勤配置基準や入居率の推移など、業種特有の構造を踏まえたフォーマットで作成することが重要です。
Q. 債務超過の理由書はどう書けばよいですか。
A. 「なぜ債務超過になったか」だけでなく、「なぜ改善が見込めるか」まで、数字で裏づけて書く必要があります。夜勤体制の固定費構造や、直近の稼働率の推移は、その説明材料の一つになります。
Q. 夜勤体制が原因の赤字でも、審査は通りますか。
A. 制度上の配置基準に起因する固定費であることを客観的な資料で示せれば、一時的な赤字であるという説明の説得力は高まります。ただし個別の状況によって判断は変わるため、早めの相談をおすすめします。
Q. 育成就労制度でも同じ書面が必要になりますか。
A. 2027年4月施行予定の育成就労制度でも、財務要件に関する評価は求められる見込みです。優良要件の考え方も踏まえて、早めに改善計画を整えておくことが望ましいでしょう。
Q. 企業評価書の作成にはどれくらい時間がかかりますか。
A. 決算資料や人員配置状況の整理状況によって変わります。資料がすぐに揃う場合と、複数期分をさかのぼって整理する場合とでは、必要な期間も変わってきます。早期にご相談いただくほど、余裕を持った改善計画の設計が可能になります。
Q. 特定技能の更新・定期報告のときも評価書は必要ですか。
A. 更新や定期報告の段階で財務状況の悪化が続いていれば、改めて評価書の提出を求められる場合があります。一度作成して終わりではなく、継続的な伴走支援が有効です。
Q. 複数のグループホームを運営していても対応できますか。
A. 可能です。ユニットや拠点ごとに夜勤体制や収支の状況が異なるケースが多いため、拠点ごとの実態を踏まえて評価書・改善計画を組み立てます。
まとめ

グループホームの赤字・債務超過は、経営者の怠慢ではなく、夜勤の人員配置基準という制度的な構造から生まれていることが少なくありません。
大切なのは、その事実を数字と論理で整理し、改善の見通しとして客観的に示すことです。企業評価書は、そのための書面にほかなりません。
夜勤帯の人員配置基準は、これからも変わらず求められ続けます。だからこそ、赤字の構造を正しく説明できる体制を、今のうちに整えておく価値があります。
「うちの施設は特殊だから」とあきらめる前に、まずは現状を専門家に見せてみませんか。夜勤体制を守りながら、経営を立て直す道は、確かに存在します。
入居者と、そこで働く職員の暮らしを守り続けるためにも、赤字を放置せず、早い段階で改善の見通しを描いておきましょう。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは現状をお聞かせください。







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