
左官・塗装工事会社が特定技能の受入れについて、厚生労働省に相談したところ、「塗料高騰で決算が厳しいのは分かりますが、債務超過のままでは受入れの手続きを進められません。企業評価書を用意してください」と言われた。
債務超過の原因は、ナフサ価格の高騰と円安による塗料コストの上昇にあります。大手塗料メーカーの相次ぐ値上げで原価が急上昇する一方、元請けへの価格転嫁が進まず、利益が圧迫されています。
このまま企業評価書を用意できなければ、今いる技能実習生・特定技能人材の継続雇用すらできなくなります。継続雇用できなければ新しい現場を受けられず、受注を逃せば売上は作れず、最悪の場合、会社そのものが立ち行かなくなります。
それが、外国人技能実習(育成就労)・特定技能の受入れ審査で提出を求められる「改善の見通しについて評価を行った書面」——通称企業評価書です。決してあなただけの問題ではありません。塗料高騰は業界全体を直撃しており、その結果として倒産が急増していることは、公的な統計にもはっきりと表れています。真面目に現場を回してきた会社ほど、原価が急に読めなくなったことに戸惑っているのではないでしょうか。
- 塗料・シンナーの値上げで原価が読めず不安な方
- 赤字や債務超過で、特定技能の審査が通るか心配な方
- 企業評価書を誰に、どう頼めばよいか分からない方
- 人手不足を外国人材の受入れで解消したい方
- できるだけ手間をかけずに専門家へ相談したい方
結論から言えば、塗料高騰による一時的な赤字・債務超過であっても、中小企業診断士が作成する企業評価書があれば、特定技能の受入れは十分に可能です。ただし、書き方や進め方を誤ると審査は長期化し、人材確保のタイミングを逃しかねません。
- 塗装工事業で赤字・債務超過が急増している公的データと背景
- 企業評価書が求められる理由と、放置した場合のリスク
- 審査を通過するための4つの秘訣(実務手順)
- 企業評価書を中小企業診断士に依頼するメリット
- 受入れ後に会社がどう変わるか
私たちKICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、中小企業診断士・MBA(経営管理修士)である代表・松本昌史のもと、法人支援実績150社以上、認定経営革新等支援機関(中小企業庁)として、建設業をはじめとする中小企業の企業評価書作成を数多く支援してきました。この記事を読み終える頃には、塗料高騰の逆風の中でも、自社が特定技能を受け入れるために「今日から何をすべきか」が具体的に分かります。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは現状をお聞かせください。
塗装工事業の赤字・債務超過が急増している構造と、放置したときに起きること

結論として、塗装工事業(左官・塗装工事会社)の赤字・債務超過は、経営者個人の努力不足ではなく、業界構造による「不可抗力に近い原価上昇」が主因です。まずは公的データで現状を正しく把握しましょう。
塗料価格の高騰は「一時的な値上げ」ではない
日本銀行が公表する企業物価指数(2020年基準)によると、2026年2月時点の塗料の国内企業物価指数は121.6と、2020年を100とした水準から大きく上昇しています。原油由来のナフサ価格の高騰と円安を背景に、主要塗料メーカーが値上げを繰り返しており、現場では溶剤系塗料やシンナーの入手そのものが難しくなる「品薄」状態も発生しています。
元請けや発注者への価格転嫁が追いつかなければ、受注すればするほど原価割れが進む「やればやるほど赤字」の構造に陥ります。これは経営努力だけでは短期間に解消できない、業界全体の問題です。
倒産件数が「過去最多」を更新している事実
帝国データバンクの集計によると、2025年の「塗装工事業」の倒産は206件にのぼり、2000年以降で最多を記録しました。資材価格の高騰に加え、慢性的な人手不足、受注獲得競争の激化が重なったことが背景とされています。
同様に、2025年度(2025年4月〜2026年3月)の「塗装工事業」の倒産は143件で、前年度比22.2%増と過去20年で最多水準となったことも報告されています。塗料高騰による赤字・債務超過は、決して一部の経営努力不足の会社だけに起きている現象ではありません。
| 何もしない場合の推移 | 起きること |
|---|---|
| 今期 | 塗料・シンナー高騰で原価率が悪化。単年度赤字が発生 |
| 翌期 | 赤字が続き自己資本を圧迫。金融機関の評価(債務者区分)が下がり始める |
| 受入れ審査時 | 決算書だけでは「事業継続性」を疑問視され、特定技能・技能実習の受入れが停止・遅延 |
| 放置後 | 人手不足がさらに深刻化。現場が回らず、既存の受注すら断らざるを得なくなる |
特定技能・技能実習(育成就労)の受入れでは、決算書が赤字・債務超過の状態にあると、出入国在留管理庁や外国人技能実習機構(OTIT)から「事業の継続性」を厳しく確認されます。このとき提出を求められるのが、改善の見通しについて評価を行った書面、つまり企業評価書です。作成できるのは中小企業診断士または公認会計士に限られ、税理士は作成できない点に注意が必要です(税務の専門家である税理士と、経営改善計画の評価を行う中小企業診断士とでは、担う役割が異なるためです)。
塗装業が赤字・債務超過に陥る3つの要因
塗装工事会社の決算が悪化する背景を分解すると、多くの場合、次の3つが重なっています。
- ①材料費の急騰:塗料・シンナー・下地材が短期間で値上がりし、見積り時点の想定原価と実際の仕入れ価格が大きくずれる。
- ②価格転嫁の遅れ:元請けとの契約単価は年単位で固定されがちで、材料費の値上がり分をその都度反映できない。
- ③季節・天候による稼働の変動:雨天や真夏・真冬の施工制限で工期が延び、固定費(人件費・車両費)だけが先に出ていく月が生まれる。
この3つが同時に起きると、粗利率が薄い状態がそのまま続き、単年度の赤字が積み重なって債務超過に至ります。重要なのは、これが経営者個人の資質の問題ではなく、業界全体で起きている構造的な現象だという点です。だからこそ、審査官に対しても「なぜ赤字なのか」「今後どう改善するのか」を、感覚ではなく数字で説明できる状態を作る必要があります。
要するに、塗料高騰による赤字は業界全体の構造問題であり、放置すれば受入れ審査の停滞と人手不足の悪化という二重のダメージにつながります。次章で、具体的な打開策を見ていきましょう。
塗装業が特定技能の受入れ審査を通す4つの秘訣

結論として、塗料高騰による赤字・債務超過があっても、次の4つの秘訣を押さえれば、特定技能の受入れ審査を通過することは十分可能です。抽象論ではなく、実務でそのまま使える手順として整理します。
- 秘訣1:原価の見える化で「一時的な赤字」であることを数字で示す
塗料・シンナー・下地材といった材料費と、現場ごとの人件費を分離して管理し、原価率の悪化が「塗料価格の外部要因」によるものであることをデータで裏付けます。工事案件ごとの粗利率を月次で追い、どの現場で・どの資材のせいで赤字が出ているかを特定することが第一歩です。案件別の採算が見えるようになるだけで、次の見積りの精度が大きく変わります。 - 秘訣2:元請け・発注者への価格転嫁交渉を「数字」で行う
「値上げしてほしい」ではなく、「シンナーがこの半年でどれだけ値上がりしたか」を示す資料を用意し、契約単価の改定を交渉します。日本銀行の企業物価指数のような公的データを根拠に示すことで、交渉の説得力が大きく変わります。感覚的な値上げ要請は通りにくくても、客観的な資料を添えた交渉は、元請け側も社内稟議を通しやすくなります。 - 秘訣3:改善の見通しについて評価を行った書面(企業評価書)を早めに準備する
決算が赤字・債務超過であっても、翌期以降の受注見込み・単価改定・原価管理の取り組みを具体的な数値で示せば、事業の継続性を客観的に説明できます。この評価書面の作成は
企業評価書サービス
として中小企業診断士が対応する領域であり、自社だけで作成すると、審査官が重視する「改善の実現可能性」の視点が抜け落ちがちです。決算がまとまった直後、審査の直前になって慌てるのではなく、余裕を持って準備を始めることが重要です。 - 秘訣4:特定技能「建築」区分の対象範囲を正しく理解する
特定技能の建設分野は2022年8月の業務区分統合により、「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3区分に再編されました。塗装は「建築」区分に含まれ、技能実習2号を良好に修了した人材は試験免除で特定技能1号へ移行できます。制度の対象範囲や移行要件を正しく理解していないと、採用計画そのものが遅れ、せっかく育成した人材を逃してしまうことにもつながります。
この4つは、どれか一つだけを行えばよいというものではありません。原価の見える化があるからこそ価格転嫁交渉ができ、価格転嫁交渉の実績があるからこそ企業評価書の改善計画に説得力が生まれます。順番に、しかし着実に整えていくことが、結果的に最短で審査を通す道になります。逆に、この順番を飛ばしていきなり評価書面だけを取り繕おうとすると、数字の裏付けが弱く、審査官からの追加質問に答えられなくなりがちです。
自社だけで企業評価書を作成し、事業計画の数値に根拠が乏しいまま提出すると、審査官から「改善の見通しが不明確」と判断され、補正指示や再提出を求められることがあります。作成できるのは中小企業診断士または公認会計士のみで、税理士では対応できない点も見落とされがちです。
この4つの秘訣を実行できるかどうかで、審査にかかる期間は大きく変わります。特に秘訣1と秘訣3は、専門家の伴走支援があるかどうかで精度が大きく変わる部分です。
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企業評価書を整えた先に、塗装業の経営者が手に入る未来

企業評価書を整え、特定技能の受入れ体制が整った塗装工事会社では、次の3つの軸で変化が生まれます。
数字の軸:原価管理の精度が上がり、粗利率が改善する
企業評価書の作成過程で工事別・材料別の原価を分解する習慣がつくため、塗料高騰の影響を受注段階で価格に織り込めるようになります。結果として、赤字案件を事前に見抜き、断る・単価を上げるといった判断ができるようになります。どんぶり勘定から脱却し、「この現場はいくら儲かったのか」を即座に把握できる体制は、塗料価格が今後どう動いても揺らがない経営基盤になります。
時間の軸:採用のリードタイムが大きく短縮される
決算が赤字・債務超過であっても、企業評価書が整っていれば「継続性に問題なし」と判断されやすくなり、補正指示による差し戻しを避けられます。差し戻しが1回発生するだけで審査は数週間から数か月単位で長引くこともあるため、事前に整えておくことの価値は大きく、人手不足が深刻化する前に必要な人材を確保できる体制が整います。
関係性の軸:金融機関・元請けからの信頼が高まる
原価管理と改善計画を数字で語れる経営者は、金融機関からの評価(債務者区分)にも良い影響を与えます。元請けとの価格交渉でも、感覚論ではなくデータに基づいた対話ができるようになり、対等な関係を築きやすくなります。従業員にとっても、会社の先行きが数字で説明される安心感は、離職の防止にもつながります。
塗料高騰という逆風の中でも、原価が見える化され、資金繰りに振り回されず、必要な人材を計画的に採用できる——そんな経営体制を、共に手に入れましょう。
自社だけで進める限界と、KICKコンサルティングの支援

企業評価書の作成には、専門性の壁があります。改善の見通しを数値で裏付け、審査官が納得する論理で組み立てるには、財務分析と経営改善計画の両方の知見が必要です。顧問税理士がいても、企業評価書の作成自体は税理士の業務範囲ではないため、対応できないケースも少なくありません。
また、決算をまとめながら自社で評価書面を作成しようとすると、通常の経理業務と並行することになり、時間的なコストも大きくなります。判断を誤れば審査が長期化し、その間に人手不足が深刻化するリスクもあります。さらに、赤字の説明を誤ると、悪意なく実態と異なる印象を与えてしまい、かえって審査官の不信感を招くこともあります。だからこそ、企業評価書の作成をプロに任せる経営者が増えています。
特に塗装工事業のように、材料費の変動が原価に直結する業種では、一般的な財務分析だけでなく、業種特有の原価構造への理解が欠かせません。塗料・シンナーの仕入れ価格の推移、季節による稼働率の変動、外注比率の高さといった要素を踏まえたうえで、審査官が納得できる改善計画を組み立てる必要があります。
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)では、中小企業診断士・MBA(経営管理修士)の代表・松本昌史が、塗料高騰による原価上昇の分析から、改善の見通しについて評価を行った書面の作成まで一気通貫で支援します。決算書の数字を確認するだけでなく、翌期以降の受注計画や価格転嫁の進め方まで踏み込んで整理し、審査官が納得できる根拠を組み立てます。
法人支援実績150社以上、認定経営革新等支援機関(中小企業庁)として、建設業を中心に企業評価書の作成を支援してきました。架空の数値や根拠のない見通しは一切書きません。裏付けの取れる事実だけで、審査を通過できる評価書面を作成します。決算書を預かって終わりではなく、原価管理の仕組みづくりまで踏み込んで伴走する点が、私たちの支援の特徴です。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。1社ごとに時間をかけて対応するため、まずは現状をお聞かせください。
よくある質問

Q. 塗料高騰による赤字でも、特定技能の受入れは本当に可能ですか。
A. 可能です。赤字・債務超過そのものが受入れを禁止する理由にはなりません。重要なのは、改善の見通しについて評価を行った書面(企業評価書)で、赤字の原因と今後の改善計画を客観的に説明できるかどうかです。
Q. 企業評価書は誰に依頼すればよいですか。
A. 中小企業診断士または公認会計士です。税理士は税務の専門家であり、経営改善計画の評価を行う企業評価書の作成は業務範囲に含まれません。依頼先を誤ると、審査で評価書面自体が認められないおそれがあります。
Q. 企業評価書のサンプルやフォーマットはありますか。
A. 決算状況や赤字の原因は会社ごとに異なるため、汎用のフォーマットをそのまま使うことはおすすめできません。塗装工事業であれば、塗料価格の推移や現場ごとの原価率など、業種特有のデータを盛り込む必要があります。自社の原価構造・受注状況に合わせて個別に作成することで、審査官が納得できる評価書面になります。
Q. 塗装は特定技能の対象職種に含まれますか。
A. 含まれます。2022年8月の業務区分統合により、特定技能の建設分野は「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3区分に再編され、塗装は「建築」区分の対象です。技能実習2号を良好に修了していれば、試験免除で特定技能1号へ移行できます。
Q. 育成就労制度に変わると、企業評価書の扱いはどうなりますか。
A. 育成就労制度は2027年4月の施行が予定されています。技能実習に代わる新制度への移行期であっても、財務状況に関する評価は引き続き求められる見通しであるため、早い段階から原価管理と改善計画を整えておくことが、制度が変わっても揺らがない備えになります。
Q. 債務超過の理由書と企業評価書は同じものですか。
A. 目的は重なりますが、性質が異なります。理由書は自社が状況を説明する文書であるのに対し、企業評価書は第三者の専門家が客観的に評価した書面です。審査では、客観性のある企業評価書がより重視される傾向にあります。
Q. 決算書だけでは審査が通らないのですか。
A. 赤字・債務超過の決算書だけでは、事業の継続性を疑問視されるおそれがあります。改善の見通しについて評価を行った書面を添えることで、今後の見込みまで含めて審査官に説明できます。
Q. 企業評価書の作成にはどれくらいの期間がかかりますか。
A. 決算資料の整い方や原価データの整理状況によって異なります。必要書類が早く揃うほど、審査全体のスケジュールにも余裕が生まれます。まずは現状の決算資料をお持ちのうえご相談ください。
Q. 塗料以外の資材高騰も評価書面に反映できますか。
A. 反映できます。下地材・シーラー・足場資材など、塗装工事に関わる資材全般の価格動向を根拠として整理し、赤字の要因を多角的に説明することが可能です。複数の資材価格の動きを合わせて示すことで、赤字が一過性の要因ではなく、業界全体の構造変化によるものであることをより説得力を持って伝えられます。
Q. 従業員数が少ない小規模な塗装会社でも企業評価書を依頼できますか。
A. 依頼できます。従業員数の規模にかかわらず、決算の状況と改善の見通しを客観的に説明する必要性は変わりません。むしろ小規模な会社ほど、職人1人の離職や受注1件の失注が経営に与える影響が大きいため、早めに原価構造を見える化しておくことが有効です。
まとめ
塗料・シンナーの価格高騰は、経営努力だけでは避けられない業界構造の問題です。帝国データバンクの集計でも、塗装工事業の倒産は2025年に206件と2000年以降で最多を記録しました。だからこそ、赤字や債務超過を「隠す」のではなく、改善の見通しについて評価を行った書面で「説明できる状態」に整えることが、特定技能の受入れを実現する最短ルートになります。
原価の見える化、価格転嫁交渉、企業評価書の準備、制度の正しい理解——この4つの秘訣を押さえれば、塗料高騰という逆風の中でも、必要な人材を計画的に確保できます。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは決算の状況だけでもお聞かせください。
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