
顧問先の観光旅館から相談を受けたところ、その会社が加入している外国人技能実習機構(OTIT)から「債務超過が確認されましたので、改善見通しの評価書面を提出いただかないと受入れの審査に進めません」と言われていた。
債務超過の原因は、装置産業と労働集約型という宿泊業の二重構造にあります。建物・客室設備への投資で減価償却の負担が重く、そこに人手不足が重なって稼働率が落ちれば、赤字に振れやすくなります。
このまま企業評価書を用意できなければ、顧問先は今いる技能実習生・特定技能人材の継続雇用すらできなくなります。継続雇用できなければ客室清掃やフロントを回せる人手を確保できず、客室を回せなければ売上は作れません。最悪の場合、顧問先の経営そのものが立ち行かなくなります。
あなたはこのような悩みはありませんか?
- 顧問先の宿泊業が赤字決算で、受入れ審査が不安な方
- 企業評価書が必要だが、自所では作成できない方
- 作成できる専門家の当てがなく、受任機会を逃しそうな方
結論を先にお伝えします。赤字決算の顧問先を守る鍵は、決算対応と企業評価書の準備を切り分けることです。
企業評価書を作成できるのは、中小企業診断士など専門の資格者に限られます。税理士は作成できません。だからこそ、税務は貴所、企業評価書の作成はKICKという役割分担が有効です。
本記事は、KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)代表・松本昌史が執筆しています。中小企業診断士として、法人支援150社以上の実務に携わってきました。審査を一発で通す企業評価書を軸に、宿泊業の赤字決算をどの判断軸で見極め、どう備えるかを整理します。
この記事で分かること
- 宿泊業の赤字決算で企業評価書が必要になる理由
- 顧問先の決算を見極める5つの判断軸
- 準備を後回しにしたときに起きるリスク
- 企業評価書を中小企業診断士と連携して用意する流れ
- 顧問先を守りながら受任機会を逃さない体制
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。連携や契約の義務はありません。顧問先との関係はそのまま維持されます。税務は貴所、企業評価書の作成はKICKという役割分担です。
なぜ宿泊業の赤字決算で受任機会を逃しやすいのか

結論からお伝えします。宿泊業は赤字決算になりやすく、そのたびに企業評価書が必要になるからです。
理由は、宿泊業の収益構造にあります。宿泊業は装置産業です。建物や客室設備への投資が重く、減価償却の負担が大きくなります。稼働率が少し落ちるだけで、赤字に転じやすい業種です。
さらに、宿泊需要は季節や外部環境に左右されます。観光の閑散期、災害、感染症。こうした要因で、観光旅館やリゾートホテルの決算は簡単に振れます。
加えて、宿泊業は人手のかかる労働集約型の側面も持ちます。フロント、客室清掃、料飲サービス。どれも人がいなければ回りません。人手が足りず稼働を落とせば、固定費だけが残り、赤字が深まります。特定技能や技能実習(育成就労)の外国人材が、宿泊業の現場を支えている理由がここにあります。
つまり宿泊業は、装置産業と労働集約型の両面から赤字に振れやすい構造を持っています。だからこそ、赤字決算と企業評価書は宿泊業の顧問先で繰り返し出てくるテーマなのです。
企業評価書が求められる場面
顧問先が外国人材を受け入れるとき、審査書類の中に財務の確認が含まれます。技能実習(育成就労)では、外国人技能実習機構(OTIT)への提出書類があります。
このうち、申請企業が債務超過のときに求められるのが、改善見通しに関する評価書面です。これがいわゆる企業評価書で、提出書類の別紙②-1・番号20にあたります。
つまり、宿泊業の顧問先が債務超過であれば、企業評価書がなければ受入れが前に進みません。特定技能でも、受入れ企業の財務健全性は重視されます。決算の中身が、そのまま採用の可否に響きます。
税理士では作成できないという壁
ここで先生方が直面するのが、作成資格の壁です。企業評価書を作成できるのは、中小企業診断士など専門の資格者に限られます。税務の専門家である税理士は、この書面を作成できません。
顧問先は「先生、なんとかなりませんか」と頼ってきます。しかし、頼まれても自所では作れない。ここで当てがないと、顧問先は別の窓口を探し始めます。受任機会を逃す入口が、ここにあります。
| 書類・対応 | 担える専門家 |
|---|---|
| 税務申告・決算書の作成 | 税理士(貴所) |
| 在留資格の申請サポート | 行政書士 |
| 企業評価書(改善見通しに関する評価書面) | 中小企業診断士など |
要するに、宿泊業の赤字決算は企業評価書を呼び込み、その企業評価書は税理士では作れません。この構造を知っておくことが、受任機会を守る第一歩です。
顧問先の赤字決算に備える5つの判断軸

結論です。宿泊業の赤字決算は、次の5つの判断軸で見極めると、企業評価書の準備がぶれません。
理由は明快です。赤字といっても中身はさまざまだからです。単なる赤字なのか、債務超過なのか。一時的な要因か、構造的な要因か。ここを切り分けないと、決算対応も企業評価書の準備も後手に回ります。
顧問先が観光旅館でもビジネスホテルでも、この5つの軸で診ていきます。1つずつ確認していきましょう。
判断軸となる純資産のマイナス(債務超過の有無)
最初の軸は、純資産がマイナスかどうかです。企業評価書が求められる決定的な条件は、赤字そのものではなく債務超過だからです。
貸借対照表の純資産の部を確認します。ここがマイナスであれば、債務超過です。宿泊業は繰越損失が積み上がりやすく、数期の赤字で純資産が水面下に沈むことがあります。
たとえばリゾートホテル運営会社が、改修投資の直後に稼働を落としたとします。損失が重なり、純資産がマイナスに転じる。この瞬間に、企業評価書が現実の課題になります。まず純資産の符号を確認する。これが出発点です。
判断軸となる赤字の要因(一時的か構造的か)
2つ目の軸は、赤字の要因です。一時的な赤字か、構造的な赤字かで、改善見通しの描き方が変わります。
一時的な要因とは、大規模改修の費用計上、設備の除却損、災害による一時休業などです。宿泊業では、客室リニューアルの期に赤字が出るのはよくあることです。
一方、構造的な要因は、稼働率の慢性的な低下、価格競争、人件費の高止まりなどです。要因を切り分けると、企業評価書に書くべき改善のストーリーが見えてきます。ここを曖昧にしたまま準備を始めると、書面の説得力が弱まります。
判断軸となる改善見通しの描けるか(回復の道筋)
3つ目の軸は、改善見通しを描けるかどうかです。企業評価書は、単なる赤字の説明書ではありません。今後どう回復するかを示す書面です。
宿泊業なら、稼働率の回復計画、客単価(ADR)の見直し、閑散期の需要づくりなどが軸になります。特定技能や育成就労の人材で人手不足を解消し、稼働を上げる。この道筋も改善の一部です。
顧問先の頭の中には、回復のアイデアがあるはずです。それを数字と時間軸に落とし込めるか。ここが企業評価書の核心であり、専門家の腕が問われる部分です。
たとえばビジネスホテルなら、稼働率の底上げと客単価の改善を組み合わせます。観光旅館なら、閑散期の平日プランや連泊需要の掘り起こしが軸になります。宿泊業ごとの勝ち筋を、改善見通しに具体的に書き込むことが大切です。曖昧な精神論では、企業評価書の説得力は生まれません。
判断軸となる決算書の整い(作成に耐える資料か)
4つ目の軸は、決算書が企業評価書の作成に耐える状態かどうかです。土台の数字が整っていないと、評価書面の精度も上がりません。
宿泊業では、勘定科目の整理が重要です。売上を宿泊・料飲・その他に分けているか。人件費や水道光熱費の按分が適切か。減価償却が正しく計上されているか。ここが整うと、改善見通しの説明が一気に楽になります。
税務の専門家である貴所の決算対応が、そのまま企業評価書の品質を左右します。決算の作り込みは、企業評価書の準備そのものです。この視点を持つと、決算対応の価値が変わります。
判断軸となる作成体制(連携する専門家の有無)
5つ目の軸は、企業評価書を作成できる専門家との連携体制があるかどうかです。前の4つの軸を整えても、作成する人がいなければ書面は完成しません。
企業評価書を作成できるのは、中小企業診断士など専門の資格者です。税理士は作成できません。だからこそ、あらかじめ連携先を持っておくことが、受任機会を守ります。
顧問先から相談が来てから探し始めると、時間切れになります。連携体制を先に用意しておく。これが5つ目の、そして最も実務的な判断軸です。
ここまでの5つの判断軸を、宿泊業の視点で一覧に整理します。顧問先の決算を診るときのチェックリストとして使えます。
| 判断軸 | 確認するポイント(宿泊業の例) |
|---|---|
| 純資産のマイナス | 繰越損失で純資産が水面下に沈んでいないか |
| 赤字の要因 | 改修費や除却損など一時的か、稼働低下など構造的か |
| 改善見通し | 稼働率・客単価の回復の道筋を描けるか |
| 決算書の整い | 売上区分や按分、減価償却が整理されているか |
| 作成体制 | 企業評価書を作れる専門家と連携できているか |
5つの判断軸は、上から順に確認すると効率的です。純資産の符号、赤字の要因、改善見通し、決算書の整い、作成体制。この順で診ると、宿泊業の赤字決算に迷いなく備えられます。
準備を後回しにすると顧問先と事務所に起きること

結論からお伝えします。企業評価書の準備を後回しにすると、顧問先の受入れが止まり、事務所は受任機会を失います。
理由は、外国人材の受入れには時間的な区切りがあるからです。採用のタイミング、在留資格の更新、育成就労への移行。宿泊業の現場は、常に人手を必要としています。待ってはくれません。
顧問先の現場で起きること
企業評価書が用意できないと、審査が前に進みません。観光旅館やビジネスホテルの現場では、次のような連鎖が起きます。
- 予定していた特定技能や育成就労の受入れが止まる
- 客室清掃やフロントの人手が足りず、稼働率を上げられない
- 稼働が上がらないため、赤字がさらに固定化する
- 採用を諦め、事業の縮小を検討し始める
赤字だから人を採れない。人を採れないから赤字が続く。この悪循環に、企業評価書の遅れが拍車をかけます。
事務所の側で起きること
顧問先が困っているのに、企業評価書は自所で作れない。ここで連携先の当てがないと、顧問先は評価書面を作れる窓口を自分で探し始めます。
その窓口が、財務全般の相談に乗り始めたらどうなるでしょうか。顧問先の信頼が、少しずつそちらへ移る恐れがあります。長く支えてきた顧問先を、思わぬ形で失いかねません。
宿泊業の顧問先は、繁忙期を逃すと一年の収益計画が崩れます。だから受入れの遅れに敏感です。「先生に相談したのに前に進まなかった」という印象が残れば、関係にひびが入ります。逆に、企業評価書の連携先をすぐ示せれば、顧問先の信頼はむしろ高まります。
要するに、準備の遅れは顧問先の縮小と事務所の受任機会の逸失を同時に招きます。だからこそ、赤字決算の兆しが見えた段階で、連携の準備を進めておくことが大切です。
企業評価書を中小企業診断士と連携して用意する流れ

結論です。企業評価書は、中小企業診断士との連携で用意するのが最善です。作成資格を満たし、かつ貴所の負担を最小にできるからです。
ここで改めて役割分担を整理します。顧問先の税務と決算は貴所が担います。企業評価書の作成は、中小企業診断士のKICKが担います。在留資格の申請サポートは、行政書士など専門の窓口が担います。それぞれが専門領域に集中する形です。
企業評価書の位置づけ
企業評価書は、改善見通しに関する評価書面です。外国人技能実習機構(OTIT)への提出書類のうち、別紙②-1・番号20にあたります。申請企業が債務超過のときに求められます。
育成就労制度は2027年4月に施行される予定です。技能実習からの移行により、宿泊業を含む受入れ企業の裾野は広がります。財務面の説明を求められる場面も、これまで以上に増えていくと見込まれます。
KICKが担う財務分析の流れ
KICKは、企業評価書の作成を次の流れで進めます。宿泊業の実情を踏まえ、実務レベルで対応します。
- 顧問先の決算書と試算表を確認し、財務の現状を把握する
- 赤字と債務超過の要因を、一時的か構造的かで切り分ける
- 稼働率や客単価など、宿泊業の指標で改善見通しを組み立てる
- 改善の道筋を数字と時間軸に落とし込み、評価書面にまとめる
- 貴所の決算対応と整合するよう、資料を突き合わせて仕上げる
この流れの中で、貴所には税務と決算の専門家として関わっていただきます。財務分析の実務は中小企業診断士が主導するため、貴所の実務負担と専門外リスクは小さく抑えられます。
企業評価書の作成範囲や進め方は、サービスページで具体的に確認できます。詳しくは企業評価書作成支援の詳細をご覧ください。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。顧問先を奪うことはありません。税務は貴所、企業評価書の作成はKICKという役割分担です。まずは連携の可否だけでも、お気軽にご確認ください。
自所だけで抱える限界と、中小企業診断士との連携

結論からお伝えします。企業評価書を自所だけで抱えるのは、時間の面でも専門性の面でも限界があります。だから連携する事務所が増えています。
理由は、企業評価書が税務とは別の専門性を必要とするからです。作成資格の壁に加えて、改善見通しの設計には時間もかかります。宿泊業の指標を読み解き、回復の道筋を描く作業は、片手間ではできません。
連携で先生の事務所が手に入れる未来
連携体制を持つと、先生の事務所には次の3つが手に入ります。すべて先生方のベネフィット起点で整理します。
- 面談の質:赤字の顧問先に「企業評価書は連携先が作れます」と即答でき、相談の場が前向きになる
- 時間と受任の安定:専門外の作業を抱え込まず、税務に集中しながら受任機会を守れる
- 顧問先と周囲からの信頼:外国人材まわりで頼れる事務所として、継続受任や紹介につながる
赤字決算という難所を、顧問先とともに乗り越える。その体制を、先生方は連携によって共に手に入れましょう。
KICKの支援内容と役割分担
KICKコンサルティング株式会社は、認定経営革新等支援機関(中小企業庁)です。代表の松本昌史は中小企業診断士で、法人支援150社以上の実績があります。全国オンライン対応のため、来社は不要です。
KICKの業務範囲は、財務分析と企業評価書の作成、申請サポートに限られます。顧問先の税務に立ち入ることはありません。顧問先を奪うこともありません。役割分担を守ることが、連携の前提です。
連携の全体像や進め方は、士業連携の専用ページにまとめています。詳しくは士業連携(提携)の詳細と、企業評価書作成支援の詳細をあわせてご確認ください。
連携や契約の義務は一切ありません。顧問先との関係はそのまま維持されます。税務は貴所、企業評価書の作成はKICK。この役割分担のもとで、宿泊業の赤字決算に備えられます。
よくある質問

Q. 顧問先を奪われることはありませんか
A. ありません。KICKの業務範囲は財務分析と企業評価書の作成、申請サポートに限られます。顧問先の税務は貴所が担い続けます。税務は貴所、企業評価書の作成はKICKという役割分担を守ります。
Q. 自所の負担はどの程度になりますか
A. 財務分析と企業評価書の作成はKICKが主導します。貴所には税務と決算の専門家として、決算資料の確認などで関わっていただきます。専門外の作業を抱え込む必要はありません。
Q. 企業評価書は誰が作れるのですか
A. 企業評価書を作成できるのは、中小企業診断士など専門の資格者に限られます。税理士や行政書士は作成できません。作成資格を満たす専門家との連携が必要です。
Q. 顧問先が債務超過でも受入れは可能ですか
A. 債務超過だからといって、受入れが一律に不可になるわけではありません。改善見通しを示す企業評価書を用意することで、審査が前に進む道が開けます。まず純資産の状況を確認することが出発点です。
Q. 企業評価書はどんな場面で必要ですか
A. 外国人技能実習機構(OTIT)への提出書類のうち、申請企業が債務超過のときに求められます。別紙②-1・番号20にあたる改善見通しに関する評価書面です。宿泊業でも赤字決算の顧問先で必要になります。
Q. 特定技能でも企業評価書は関係しますか
A. 特定技能でも、受入れ企業の財務健全性は重視されます。決算の状況が採用の可否に響く場面があります。財務の説明資料を整えておくことが、受入れをスムーズにします。
Q. 宿泊業ならではの注意点はありますか
A. 宿泊業は装置産業で、減価償却の負担が重く赤字に振れやすい業種です。売上を宿泊・料飲などに分け、稼働率や客単価で改善見通しを描くと、企業評価書の説得力が高まります。
Q. 育成就労への移行は影響しますか
A. 育成就労制度は2027年4月に施行される予定です。移行により受入れ企業の裾野が広がり、財務面の説明を求められる場面も増えると見込まれます。早めに連携体制を整えておくと安心です。
Q. 費用はどのくらいかかりますか
A. 費用の詳細はサービスページにてご確認ください。顧問先の状況によって進め方が変わるため、まずはご相談ください。連携や契約の義務はありません。
Q. 全国どこからでも相談できますか
A. はい。KICKは全国オンライン対応で、来社は不要です。地方の観光旅館やリゾートホテルを顧問先に持つ先生方も、場所を問わずご相談いただけます。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。連携や契約の義務はありません。顧問先との関係はそのまま維持されます。税務は貴所、企業評価書の作成はKICKという役割分担です。宿泊業の赤字決算でお困りの顧問先がいらっしゃれば、まずはお気軽にご確認ください。
まとめ

宿泊業は赤字に振れやすく、そのたびに企業評価書が求められます。そして企業評価書は、税理士では作成できません。この構造を知ることが、顧問先を守る出発点です。
顧問先の赤字決算は、5つの判断軸で見極めます。純資産のマイナス、赤字の要因、改善見通し、決算書の整い、作成体制。この順で診ると、備えがぶれません。
決算の作り込みは貴所の専門です。そして企業評価書の作成は、中小企業診断士のKICKが担います。税務は貴所、企業評価書の作成はKICK。この役割分担が、赤字決算の顧問先を受任につなげます。
顧問先を奪うことはありません。連携の準備を先に整えておくことで、いざというときに受任機会を逃さずに済みます。宿泊業の赤字決算という難所を、先生方とKICKで共に乗り越えていきましょう。







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