
顧問先の観光旅館から相談を受けたところ、その会社が加入している厚生労働省の技能実習制度運用要領の窓口から「決算が債務超過の状態では、技能実習生の継続受入れが認められません。企業評価書の提出が必要です」と言われていた。
債務超過の原因は、コロナ禍の影響が残る繰越損失と、設備投資の借入負担にあります。落ち込んだ稼働を補うための借入が自己資本を薄くし、季節変動の大きさが決算の数字を揺らします。
このまま企業評価書を用意できなければ、顧問先は今いる技能実習生・特定技能人材の継続雇用すらできなくなります。継続雇用できなければ客室清掃やフロントを回せる人手を確保できず、客室を回せなければ売上は作れません。最悪の場合、顧問先の経営そのものが立ち行かなくなります。
そして、その受入れ審査で鍵を握るのが「企業評価書」です。ところが、この書面は税理士の先生では作成できません。先生おひとりで抱える問題ではありません。
この記事の結論を先にお伝えします。審査を一発で通す企業評価書の作成を中小企業診断士と連携すれば、債務超過の顧問先でも受入れ審査を前へ進められます。税務は貴所、企業評価書の作成はKICKという役割分担です。
この記事はこんな先生におすすめ
- 宿泊業の顧問先が債務超過で、特定技能の受入れ審査が不安な先生
- 企業評価書が必要だが、自所では作成できない先生
- 作成できる専門家の当てがなく、受任機会を逃しそうな先生
この記事では、宿泊業の顧問先を企業評価書で守るための考え方と、具体的な3つのステップを整理します。読み終えるころには、決算対応の延長線上で受入れ審査の不安まで解消できる道筋が見えているはずです。
この記事で分かること
- 債務超過の宿泊業案件で、なぜ受任機会を逃しやすいのか
- 企業評価書が必要になる制度上の理由と、作成できる資格者の範囲
- 顧問先を企業評価書で守る3つのステップと役割分担
- 中小企業診断士と連携する事務所が増えている理由
筆者はKICKコンサルティング株式会社(銀座本社)代表の松本昌史です。中小企業診断士・MBA・1級FP技能士として、認定経営革新等支援機関の立場から法人支援150社以上に携わってきました。全国オンライン対応で、来社は不要です。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。連携や契約の義務はありません。顧問先との関係はそのまま維持されます。在留資格の申請は貴所、企業評価書の作成はKICKという役割分担です。
なぜ債務超過の宿泊業案件で受任機会を逃しやすいのか

結論から言えば、債務超過の顧問先には企業評価書が必要になり、その作成が税理士の先生の業務範囲の外にあるからです。だから、依頼を受けても手が止まりやすいのです。
まず、その理由を制度の面から見ていきます。
債務超過の宿泊業に求められる企業評価書
特定技能や技能実習の外国人材を受け入れるとき、受入れ企業の財務状況は審査の対象になります。健全な黒字企業なら決算書だけで足ります。
ところが、直近の決算が債務超過だとそうはいきません。外国人技能実習機構(OTIT)の提出書類では、別紙②-1・番号20として「改善見通しに関する評価書面」、つまり企業評価書の提出が求められます。
宿泊業は、この場面に当たりやすい業種です。理由は次のとおりです。
- コロナ禍の影響が決算に残り、繰越損失を抱える観光旅館が多い
- 設備投資の借入が大きく、自己資本がマイナスに沈みやすい
- 季節変動が大きく、単年度で赤字に振れやすいビジネスホテルもある
実際、リゾートホテル運営会社では、大規模改修の直後に決算が債務超過となり、そのタイミングで特定技能の受入れを進めたい、という相談が起こりがちです。
宿泊業は装置産業の側面が強く、建物や客室設備への投資が経営を左右します。稼働率が数ポイント下がるだけで、固定費の重さが一気に効いてきます。だから、業績が黒字に戻る途中でも、決算の一時点だけを見れば債務超過に映ることが少なくありません。
この「一時点の債務超過」を、回復の途上にある状態として客観的に説明する。それが企業評価書の役割です。宿泊業は回復の筋道を示しやすい業種なので、書面の説得力を出しやすい面があります。
企業評価書を作成できる資格者の壁
ここで大きな壁になるのが、作成資格の問題です。企業評価書を作成できるのは、中小企業診断士など専門の資格者に限られます。税理士の先生は、税務の専門家であっても、この書面を作成する立場にはありません。
つまり、顧問先から「受入れ審査に企業評価書が要ると言われた」と相談されても、貴所だけでは対応が完結しないのです。役割の違いを表で整理します。
| 役割 | 担い手 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 税務・顧問業務 | 貴所(税理士) | 決算・申告、月次の財務把握、経営相談 |
| 在留資格の申請 | 貴所または連携先 | 特定技能・技能実習の在留資格の申請サポート |
| 企業評価書の作成 | KICK(中小企業診断士など) | 財務分析、改善見通しの評価書面の作成 |
この壁を知らずに「なんとかします」と引き受けると、後で作成の当てがなく行き詰まります。逆に、作成できる専門家を最初から知っていれば、相談をそのまま受任につなげられます。
要するに、債務超過の宿泊業案件で受任機会を逃すのは、企業評価書という壁の前で、連携先が見つからないからなのです。
このまま何もしなければ宿泊業の顧問先に起きること

結論として、連携先を用意しないまま放置すると、受入れ審査が止まり、顧問先の信頼と貴所の受任機会をともに失いかねません。
なぜそうなるのか。企業評価書がそろわない状態を放置すると、次の連鎖が起きるからです。
受入れ審査の停滞と採用計画の崩れ
企業評価書が用意できなければ、受入れ審査は前へ進みません。書類がそろわず、申請そのものが止まります。
宿泊業では、この停滞が経営に直結します。観光旅館やビジネスホテルは、繁忙期に合わせて人員を確保する計画で動いているからです。
- 予定していた特定技能の人材が入らず、客室清掃が回らない
- フロントや配膳の欠員を、既存スタッフの残業で埋めるしかない
- 採用計画が崩れ、稼働率を上げられず売上機会を逃す
人手が足りないから受け入れたいのに、その受入れが止まる。顧問先にとっては二重の痛手です。
顧問先の不安と受任機会の逸失
より深刻なのは、顧問先の先生に対する見方が変わることです。「税務は頼れるが、受入れの相談には答えてもらえなかった」という印象が残ります。
すると、顧問先は自力で別の専門家を探し始めます。そこで在留資格まわりに強い事務所と出会えば、財務や経営の相談まで少しずつ流れていくおそれがあります。
つまり、企業評価書に対応できないことが、継続的な顧問関係のほころびにつながりかねないのです。敵は顧問先でも先生でもありません。債務超過と審査への不安、そして受任機会の逸失という状況こそが共通の敵です。
要するに、何もしなければ失うものは大きい。だからこそ、企業評価書を用意できる体制を後ろ倒しにせず整えることが大切です。
宿泊業の顧問先を企業評価書で守る3つのステップ

ここが本題です。結論として、宿泊業の顧問先を企業評価書で守るには、次の3つのステップで進めるのが最も確実です。
難しい手順ではありません。貴所がすでに握っている顧問先の情報を起点に、役割分担で進めるだけです。3つのステップを順に見ていきます。
顧問先の決算悪化と受入れ時期の早期把握
最初のステップは、顧問先の状況を早めにつかむことです。債務超過かどうかと、外国人材をいつ受け入れたいかを把握しておくと、対応の余裕が生まれます。
貴所は月次や決算で、顧問先の財務を誰よりも把握しています。だから、次のようなサインに気づける立場にあります。
- 繰越損失が膨らみ、純資産がマイナスに近づいている宿泊業の顧問先
- 大規模改修や設備更新の借入で、自己資本が薄くなっている旅館
- 社長が「外国人スタッフを増やしたい」と口にし始めたホテル
たとえば、季節変動の大きいリゾートホテルなら、繁忙期の半年前が受入れ準備の目安です。決算面談の場で受入れ予定を一言確認しておくだけで、企業評価書の準備を後ほど落ち着いて進められます。
早く気づくほど、審査の直前で慌てずにすみます。これが守りの第一歩です。
企業評価書を作れる中小企業診断士との連携
次のステップは、企業評価書を作成できる中小企業診断士と連携することです。前述のとおり、この書面は貴所では作成できません。だからこそ、作れる相手をあらかじめ持っておくことが守りになります。
KICKでは、中小企業診断士が財務分析から改善見通しの評価書面まで一貫して担当します。宿泊業の企業評価書では、実務として次の流れで進めます。
- 直近3期分の決算書と試算表から、財務の実態を分析する
- 債務超過に至った要因(改修投資・季節変動など)を整理する
- 稼働率や客単価の見通しをもとに、改善の道筋を評価書面にまとめる
宿泊業は、稼働率と客単価という分かりやすい指標があります。そのため、改善見通しを数字で示しやすい業種でもあります。観光旅館なら、団体客から個人・インバウンドへの転換など、回復の筋道を客観的に描けます。
ビジネスホテルであれば、平日の出張需要と休日のレジャー需要をどう組み合わせるかが回復の鍵になります。こうした業種特有の事情を評価書面に織り込むと、審査で見られる「本当に立ち直れるのか」という点に説得力を持って答えられます。
ここで大切なのは、貴所の決算データと、KICKの財務分析がかみ合うことです。日々の数字を握る先生と、評価書面を作る中小企業診断士が組むことで、実態に即した企業評価書に仕上がります。
作成の主導は中小企業診断士のKICKが担うため、貴所の実務負担と専門外リスクは小さく抑えられます。役割分担の詳しい内容は、企業評価書作成支援の詳細でご確認いただけます。
顧問先を奪うことは一切ありません。税務・顧問業務は貴所のまま、企業評価書の作成だけをKICKが担います。連携の義務も、料金の縛りもありません。
税務は貴所・企業評価書はKICKの役割分担
3つ目のステップは、役割分担を顧問先に明確に伝えることです。誰が何を担うかを最初に示すと、顧問先は安心して受入れ準備に集中できます。
宿泊業の受入れでは、複数の専門領域が重なります。それぞれの担い手を整理しておきましょう。
| 領域 | 担い手 | 顧問先への伝え方 |
|---|---|---|
| 決算・税務 | 貴所(税理士) | これまでどおり貴所が担当 |
| 在留資格の申請サポート | 貴所または連携する行政書士 | 特定技能の申請を後押し |
| 企業評価書の作成 | KICK(中小企業診断士など) | 財務分析と評価書面を作成 |
この分担を示せば、顧問先は「税務の先生が受入れ全体の窓口になってくれた」と受け取ります。窓口は貴所のまま、作成の実務だけをKICKが引き受ける形です。
宿泊業の社長は、日々の運営に追われています。誰に何を頼めばよいか分からない状態が、受入れの一番のつまずきどころです。そこで貴所が役割分担を整理して見せるだけで、社長の不安は大きく和らぎます。
先生は指揮者の立場です。すべてを自分で演奏する必要はありません。企業評価書という専門パートを中小企業診断士に任せ、全体の流れを見渡す。この形が、顧問先を守る一番現実的なやり方です。
要するに、把握・連携・分担という3つのステップで、債務超過の宿泊業の顧問先でも受入れ審査を前へ進められます。特別な準備は要りません。
連携で先生の事務所が手に入れる未来

結論として、企業評価書の連携体制を持つと、先生の事務所は面談の質・時間の安定・顧問先からの信頼という3つを同時に得られます。
なぜなら、対応できる範囲が広がることで、顧問先との関係が一段深まるからです。3つの軸で見ていきます。
受入れ相談にも応えられる面談の質
顧問先の社長が受入れの相談を持ちかけたとき、「企業評価書は連携先で用意できます」と即答できます。これは面談の説得力を大きく高めます。
宿泊業の社長は、人手不足という切実な悩みを抱えています。その悩みに具体的な道筋で応えられる先生は、心強い相談相手として記憶されます。
専門外に振り回されない時間と受任の安定
企業評価書の作成を自所で抱え込めば、本来の税務業務を圧迫します。慣れない書面づくりに時間を取られ、専門外のリスクも背負うことになります。
連携すれば、その負担は中小企業診断士が引き受けます。先生は税務に集中でき、受任機会を逃さず、業務時間も守れます。繁忙期でも計画が崩れにくくなります。
顧問先と周囲からの信頼
受入れの難所を乗り越えた顧問先は、貴所への信頼を深めます。特定技能の受入れが実現すれば、その成果は先生への感謝につながります。
さらに、宿泊業の経営者どうしは横のつながりが強い業種です。「あの先生に相談すれば受入れまで話が進む」という評判は、紹介という形で新たな受任を呼びます。
面談の質、時間と受任の安定、そして信頼。この3つを、KICKとの連携で共に手に入れましょう。
自所だけで抱える限界と、中小企業診断士との連携

結論として、企業評価書を自所だけで抱えるのは、時間とリスクの両面で無理があります。だから、中小企業診断士と連携する事務所が増えています。
その理由を、限界とメリットの両面から整理します。
自所だけで抱えると生じる負担
企業評価書は、財務分析と改善見通しの評価という専門領域です。税務とは別の知識と実務が求められます。自所で抱えると、次の負担が生じます。
- 作成資格の面で、そもそも税理士は企業評価書を作れない
- 宿泊業特有の稼働率・客単価の見通しを、慣れない形でまとめる手間
- 審査に耐える書面かどうかを、自所だけで判断しきれない不安
これらを無理に背負えば、本業の税務がおろそかになります。専門外のリスクを抱えることにもなります。特に決算期と受入れ時期が重なると、負担は一気に増します。
宿泊業の案件は、繁忙期という締め切りがはっきりしています。準備が間に合わなければ、受入れそのものが次の季節に持ち越されます。だからこそ、作成を任せられる相手を持っておくことが、時間の面でも守りになります。
だから連携する事務所が増えている
そこで、企業評価書の作成だけを中小企業診断士に任せる形が広がっています。KICKは認定経営革新等支援機関として、法人支援150社以上の実績があります。全国オンライン対応のため、地方の観光旅館やリゾートホテルの案件でも来社は不要です。
先生にとってのメリットを、あらためて整理します。
| 観点 | 自所だけで抱える場合 | KICKと連携する場合 |
|---|---|---|
| 作成資格 | 企業評価書を作成できない | 中小企業診断士が作成 |
| 実務負担 | 専門外の作業が発生 | 財務分析はKICKが主導 |
| 受任機会 | 逃すおそれがある | 相談を受任につなげられる |
| 顧問先との関係 | 他事務所へ流れるリスク | 窓口は貴所のまま維持 |
連携の始め方や事務所どうしの提携の形は、士業連携(提携)の詳細にまとめています。あわせて企業評価書作成支援の詳細もご確認ください。
売り込みは一切ありません。顧問先を奪うことはなく、税務・顧問業務は貴所のまま維持されます。在留資格の申請は貴所、企業評価書の作成はKICKという役割分担です。費用の詳細はサービスページでご確認いただけます。
よくある質問

Q. 連携すると顧問先を奪われませんか
A. 奪うことはありません。税務・顧問業務は貴所のまま維持されます。KICKが担うのは企業評価書の作成という一部の実務だけです。顧問先との窓口は、これまでどおり先生です。
Q. 自所の負担はどの程度ですか
A. 大きくありません。財務分析と評価書面の作成はKICKが主導します。貴所にお願いするのは、決算書や試算表の共有と、顧問先との橋渡しが中心です。専門外の作業を抱える必要はありません。
Q. 企業評価書は誰が作れるのですか
A. 中小企業診断士など専門の資格者に限られます。税理士の先生は、税務の専門家であっても作成する立場にはありません。だからこそ、作成できる相手との連携が守りになります。
Q. 宿泊業の顧問先が債務超過でも受入れは可能ですか
A. 可能です。債務超過だからこそ、改善見通しに関する評価書面(企業評価書)で受入れ審査を前へ進めます。観光旅館やビジネスホテルの回復の道筋を、客観的な数字で示せます。
Q. 企業評価書はどんな場面で必要になりますか
A. 外国人技能実習機構(OTIT)の提出書類の別紙②-1・番号20として、申請企業が債務超過のときに求められます。特定技能や技能実習の受入れで、この場面に当たります。
Q. 特定技能と技能実習のどちらでも対応できますか
A. どちらでも対応します。育成就労制度は2027年4月の施行が予定されており、この移行後の受入れも見据えた体制づくりが進められます。宿泊業はいずれの制度でも受入れの多い業種です。
Q. 費用はどのくらいかかりますか
A. 案件の状況によって異なるため、具体額はサービスページでご確認ください。まずは無料の相談で、顧問先の状況に合う進め方をお伝えします。
Q. 地方の旅館やホテルでも相談できますか
A. できます。KICKは全国オンライン対応で、来社は不要です。地方のリゾートホテルや観光旅館の案件でも、オンラインで財務分析と企業評価書の作成を進められます。
Q. どのタイミングで相談すればよいですか
A. 早いほど余裕を持って進められます。決算で債務超過が見えた時点や、顧問先が受入れを検討し始めた時点でご相談ください。繁忙期の半年前が一つの目安です。
Q. 在留資格の申請サポートまで頼めますか
A. KICKの業務は財務分析・企業評価書の作成・申請サポートに限られます。在留資格の申請そのものは貴所または連携する行政書士が担い、企業評価書の作成をKICKが担う役割分担です。
顧問先の状況に合わせた具体的な進め方は、無料の相談でお伝えします。まずはお気軽にご相談ください。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。連携や契約の義務はありません。顧問先を奪うことはなく、税務・顧問業務は貴所のまま維持されます。在留資格の申請は貴所、企業評価書の作成はKICKという役割分担です。
まとめ

宿泊業の顧問先が債務超過でも、受入れ審査はあきらめる必要はありません。企業評価書を中小企業診断士と連携して用意すれば、特定技能の受入れを前へ進められます。
本記事でお伝えした3つのステップを、もう一度整理します。
- 顧問先の決算悪化と受入れ時期を、月次や決算の場で早めに把握する
- 企業評価書を作成できる中小企業診断士と連携する
- 税務は貴所、企業評価書はKICKという役割分担を顧問先に示す
この3つを踏むだけで、債務超過の宿泊業案件でも受任機会を逃さずにすみます。企業評価書という壁は、連携先を持っていれば怖くありません。
先生が守るべきは、顧問先との信頼と、貴所の受任機会です。その両方を、KICKとの連携で共に守っていきましょう。まずは無料の相談から、顧問先に合う進め方をご一緒に考えます。







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