
顧問先の決算書を前にして、「この会社の利益は、もう一段伸ばせるはずだ」と感じることはないでしょうか。
けれども税務申告の数字をどれだけ丁寧に整えても、顧問先の資金繰りや利益構造そのものは、なかなか変わりません。先生おひとりの努力の問題ではありません。財務会計と管理会計は、そもそも役割が違うからです。
あなたはこのような悩みはありませんか?
- 顧問先の資金繰りが悪化し、顧問料の支払いにも不安を感じる
- 税務業務が中心で、損益改善の踏み込んだ支援まで手が回らない
- 経営改善のノウハウやマンパワーが自所だけでは足りない
本記事は、税理士事務所・公認会計士事務所の所長である先生方に向けて、管理会計を使って顧問先の利益を伸ばす5つの秘訣を整理したものです。結論から申し上げます。鍵は、税務の数字を管理会計の数字に翻訳し、認定経営革新等支援機関と役割分担しながら顧問先の損益改善を仕組みにすることです。
書き手は、KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)代表・松本昌史です。中小企業診断士・MBA・1級ファイナンシャル・プランニング技能士として、認定経営革新等支援機関の立場で法人支援150社以上に携わってきました。その現場で見えた勘所を、先生方の実務にそのまま使える形でお伝えします。
この記事で分かること
- 財務会計と管理会計の違いと、顧問先の損益改善に効く数字の見せ方
- 資金繰り悪化の予兆を、損益の構造から先読みする方法
- 早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)を使った管理会計の仕組み化
- 顧問先支援が事務所の付加価値・顧問報酬の安定につながる道筋
- 認定支援機関との連携で、実務負担を抑えて損益改善を進める役割分担
まずは、顧問先支援の連携について気軽に相談したい先生のために、入口をご案内します。ご相談いただいても売り込みは一切ありません。連携や契約の義務もありません。顧問先との関係はそのまま維持されます。
財務会計から管理会計へ、顧問先との対話の土台づくり

1つ目の秘訣は、顧問先との対話を「財務会計の数字」から「管理会計の数字」へ切り替えることです。
なぜなら、税務申告のためにつくる財務会計の数字は、過去の実績を正しく記録することが目的だからです。一方で管理会計は、経営者が次の一手を決めるための数字です。目的が違えば、見せ方も変わります。
顧問先の社長にとって、損益計算書の当期純利益は「結果」でしかありません。利益がなぜその金額になったのか、どこを動かせば増えるのかは、財務会計の並びからは読み取りにくいのです。ここに管理会計の出番があります。
財務会計と管理会計の役割の違い
両者の違いを、先生方が顧問先に説明するときの言葉で整理します。
| 観点 | 財務会計 | 管理会計 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 申告・外部報告のための実績記録 | 経営判断のための損益改善の道具 |
| 見る時間軸 | 過去(確定した数字) | 現在から未来(動かせる数字) |
| 費用の分け方 | 勘定科目ごと | 変動費と固定費に分解 |
| 社長の受け止め | 「結果の報告」と感じやすい | 「自分で動かせる」と腹落ちしやすい |
費用を変動費と固定費に分ける。この一手間だけで、顧問先の見える景色が変わります。売上がいくらになれば赤字を脱するのか、あと何個売れば固定費をまかなえるのか。損益分岐点という一本の線が、社長の頭に浮かぶようになります。
損益分岐点が顧問先の会話を変える
たとえば惣菜製造工場を営む顧問先を思い浮かべてください。原材料費や外注の包装費は、生産量に応じて増える変動費です。工場の家賃や正社員の給与は、売上が増減しても大きくは変わらない固定費です。
この分解ができると、「値上げが難しいなら、固定費のどこを見直すか」「稼働率をあと5%上げると利益はどう動くか」といった、具体的な損益改善の議論に進めます。管理会計は、顧問先の社長を「数字の受け手」から「数字の使い手」へと変える道具なのです。
ここで先生方が担う役割は、決して難しいものではありません。すでに顧問先の試算表を毎月見ている先生方こそ、変動費と固定費の勘所を最もよく知る立場にあります。その知見に管理会計の切り口を一枚重ねるだけで、顧問先との会話は損益改善に向けて前進します。数字を作る力に、数字を使わせる力を足す。これが利益を伸ばす第一歩です。
要するに、顧問先の利益を伸ばす出発点は、財務会計の報告に管理会計の視点を一枚重ねることにあります。ここが5つの秘訣すべての土台になります。
資金繰り悪化の予兆を損益で先読みする視点

2つ目の秘訣は、顧問先の資金繰り悪化を「起きてから」ではなく「予兆の段階」で捉えることです。
その理由は明快です。資金繰りが目に見えて悪化してからでは、打てる手が急速に狭まるからです。手元資金が細ってからのリスケジュールや金融機関対応は、顧問先にとっても先生方にとっても負担が重くなります。
管理会計の視点があれば、決算書が赤字に転じる前の小さな変化を読み取れます。粗利率のじわじわとした低下、固定費の膨張、損益分岐点比率の悪化。これらは資金繰り悪化の予兆です。
このまま何もしなければ、顧問先と事務所に起きること
予兆を見過ごしたまま時間が過ぎると、次のような連鎖が起こりがちです。
- 顧問先の利益が細り、運転資金が不足し、借入への依存が強まる
- 資金繰りに追われた社長が、経営改善に向き合う余裕を失う
- やがて顧問料の支払いが遅れ、事務所のストック収入が揺らぐ
- 最悪の場合、顧問先の廃業・撤退により、顧問契約そのものが消える
顧問報酬は、先生方の事務所を支える大切なストック収入です。その源泉である顧問先の経営が傾けば、事務所の売上と評判にも影響が及びます。共通の敵は、特定の誰かではありません。課題を先送りにする風土と、現状維持のまま時間だけが過ぎていく構造です。
損益改善は「早い段階」ほど選択肢が多い
裏を返せば、予兆の段階で動けば選択肢は豊富です。金融支援を前提とせず、資金繰りと利益構造の見直しだけで立て直せる余地が大きいからです。
建設業の型枠工事会社を例にとります。受注は取れているのに手元資金が薄い、という相談は珍しくありません。管理会計で工事ごとの粗利を見える化すると、赤字受注や原価管理の甘さが浮かび、損益改善の糸口が見つかります。早く気づくほど、静かに、無理なく直せるのです。
介護施設でも同じことが言えます。介護報酬は大きく上げられない一方、人件費や光熱費といった固定費は上がり続けます。売上を伸ばしにくい業種ほど、損益分岐点を意識した固定費のコントロールが効きます。管理会計の視点で予兆を捉えれば、顧問先が資金繰りに追い込まれる前に、打てる手を一緒に検討できます。
つまり、資金繰り悪化を損益の予兆として先読みする視点こそ、顧問先を守り、顧問契約を守る2つ目の秘訣です。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。連携や契約の義務はありません。顧問先との関係はそのまま維持されます。税務は貴所、経営改善はKICKという役割分担です。
早期経営改善計画策定支援で管理会計を仕組み化する道

3つ目の秘訣は、管理会計を「その場かぎりの分析」で終わらせず、公的な支援制度を使って仕組みに変えることです。
ここで活用できるのが、中小企業庁の早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)です。認定経営革新等支援機関の支援を受けて早期に経営改善計画を策定する制度で、顧問先の損益改善の枠組みづくりを後押しします。
早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)の仕組み
制度の要点を整理します。数値はいずれも中小企業庁が定める制度の枠組みです。
- 認定経営革新等支援機関の支援を受けて計画を策定する場合、専門家費用の3分の2を国が補助
- 補助上限は、計画策定費用50万円と伴走支援費用30万円を合わせて80万円。追加のオプションを加えると最大100万円
- 計画策定後、最初の決算から3年間、決算期を含め年最低2回のモニタリングと報告が必要
- 金融支援(リスケジュール等)を前提としない、早めの着手に向く制度
かつては補助金の半分を協議会が預かる「2分の1留保」の仕組みがありましたが、これは廃止されました。2025年4月1日以降に支払申請が行われた案件は、留保なしで支払われます。制度は使いやすい方向に整えられているのです。
損益分岐点分析とローカルベンチマークで顧問先が腹落ちする
この制度の中で、KICKコンサルティング株式会社は管理会計の手法を実務に落とし込みます。損益分岐点分析で「利益が出る売上の水準」を明確にし、財務・非財務の特色を見える化するローカルベンチマークで、対話型の現状分析を行います。
数字を押し付けるのではなく、社長自身が腹落ちする計画をつくる。これがこの制度の狙いです。単なる計画づくりで終わらせず、事業者自身がPDCAサイクルを回して自走できる体制を整えるところまでを支援します。内部管理体制や経営の透明性の確保も、重要な支援と位置づけられています。
金融機関との関係づくりも、この計画が土台になります。計画書の提出をきっかけに、資金繰り・課題・将来展望を共有し、目線を合わせて信頼関係を築いていきます。金融支援を前提とせず、あくまで顧問先と金融機関の相互理解を深める場として計画を活かす。これがこの制度の使い方です。制度の詳しい流れは、早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)の詳細でご確認いただけます。
この仕組みが根づくと、顧問先は毎月の試算表を「実績の確認」ではなく「次の打ち手の材料」として見るようになります。管理会計が一度きりの分析で終わらず、経営の習慣として定着する。ここまで到達して初めて、顧問先の損益改善は持続的なものになります。
要するに、公的制度を使えば、管理会計は一過性の分析ではなく、顧問先に根づく損益改善の仕組みになります。これが3つ目の秘訣です。
売り込みは一切ありません。連携や契約の義務はなく、顧問先との関係はそのまま維持されます。税務は貴所、経営改善はKICKが主導する役割分担です。
顧問先の損益改善が事務所の付加価値に変わる未来

4つ目の秘訣は、顧問先の損益改善を「顧問先だけの成果」で終わらせず、先生の事務所の付加価値に変えることです。
顧問先の利益が伸びれば、その恩恵は先生方の事務所にも返ってきます。ここでは、その未来を3つの角度から具体的に描きます。
目に見える変化、顧問先との面談の質が変わる
管理会計を軸に対話するようになると、面談の空気が変わります。これまで試算表の説明で終わっていた時間が、「次はどこを改善するか」という前向きな相談の時間に変わります。
社長は数字に納得し、先生の言葉に耳を傾けます。顧問先にとって、先生は「申告をお願いする人」から「経営を一緒に考えてくれる人」へと変わっていきます。この関係の変化こそ、顧問契約の解約を遠ざける最も確かな力です。
通帳と時間の変化、顧問料の安定とゆとり
顧問先の資金繰りが安定すれば、顧問料の支払い遅延に頭を悩ませる場面が減ります。ストック収入が安定し、事務所の経営計画も立てやすくなります。
さらに、損益改善の実務を認定支援機関と分担すれば、先生方が経営改善のすべてを抱え込む必要はありません。空いた時間を、高度な税務や新しい提案に振り向けられるようになります。時間のゆとりは、事務所の次の成長投資の原資です。
周囲からの変化、顧問先・金融機関・職員の評価
顧問先の利益が改善すれば、先生の事務所には高度税務や組織再編、事業承継といった新たな提案の基盤が生まれます。「経営まで見てくれる事務所」という評判は、既存の顧問先からの信頼を厚くし、紹介にもつながります。
金融機関からは、計画づくりに関与する事務所として一目置かれます。職員にとっても、数字の先にある経営を語れる事務所は、誇りとやりがいのある職場です。こうした変化を、先生方と共に手に入れましょう。
認定支援機関との役割分担でつくる損益改善の実務

5つ目の秘訣は、損益改善の実務を自所だけで抱え込まず、認定経営革新等支援機関と役割を分担することです。
その理由は、経営改善の実務には、税務とは別の専門性と時間が必要だからです。ここを正直に見極めることが、顧問先の利益を伸ばす最後の鍵になります。
自所だけで抱えることの3つの壁
多くの事務所が、経営改善支援で次の壁に直面します。
| 壁 | 中身 |
|---|---|
| ノウハウの壁 | 計画策定・金融機関対応の実務経験が、税務業務とは別に必要になる |
| 時間の壁 | 申告期の繁忙と重なると、伴走支援まで手が回らない |
| 立場の壁 | 税務の専門家として、経営に踏み込みすぎる距離感の難しさがある |
だからこそ、認定経営革新等支援機関の中小企業診断士と連携する事務所が増えています。計画策定・伴走支援・金融機関対応の実務は認定支援機関が主導し、税務は先生方が担う。この役割分担が、無理のない顧問先支援を実現します。
KICKが主導する損益改善の伴走支援
KICKコンサルティング株式会社は、認定経営革新等支援機関として法人支援150社以上の実績を積み重ねてきました。代表の松本昌史は、中小企業診断士・MBA・1級ファイナンシャル・プランニング技能士に加え、事業承継士、金融検定協会の中小企業事業再生マネージャーの認定を持ちます。
先生方にとっての価値は、実務負担を最小限に抑えたまま、顧問先の損益改善を前に進められることです。管理会計の設計から計画策定、金融機関との目線合わせ、3年間の伴走支援まで、実務の中心をKICKが担います。先生方は税務という本業に集中できます。
費用の詳細については、バリューアップ支援事業のサービスページでご確認ください。連携の全体像や進め方は、士業連携(提携)の詳細にまとめています。
要するに、損益改善の実務を認定支援機関と分担することが、顧問先の利益と事務所の付加価値を両立させる5つ目の秘訣です。
よくある質問

顧問先を奪われるリスクはありませんか
ありません。KICKコンサルティング株式会社は、税務顧問の領域には立ち入りません。役割分担は明確で、税務は貴所、経営改善はKICKが主導します。顧問先との関係はそのまま維持され、顧問報酬にも手を付けません。先生方の顧問先を、先生方と共に守るための連携です。
事務所側の実務負担はどの程度になりますか
計画策定・伴走支援・金融機関対応といった実務の中心は、認定支援機関であるKICKが主導します。先生方には、顧問先の紹介と、税務面の情報連携をお願いする程度です。申告期の繁忙を圧迫しない設計を心がけています。
バリューアップ支援事業と405事業は何が違いますか
大きな違いは金融支援の前提です。バリューアップ支援事業は金融支援を前提とせず、兆候が出た早い段階で着手する制度で、計画書は資金繰りやアクションプラン中心の簡易な内容です。一方、405事業は金融支援(リスケジュール等)を前提とし、詳細な財務計画を含む本格的な経営改善計画を策定する制度です。悪化が顕在化してから使う点も異なります。
どのような顧問先が対象になりますか
資金繰りにやや不安が出てきた、利益率がじわじわ下がっている、といった予兆の段階の顧問先が向いています。惣菜製造工場や水産加工会社、金属プレス加工会社、建設業、介護施設など、業種を問わずご相談いただけます。悪化が深刻になる前の早めの着手ほど、損益改善の選択肢は多く残ります。
補助の上限額はいくらですか
計画策定費用の補助上限が50万円、伴走支援費用が30万円で、合わせて80万円です。追加のオプションを加えると最大100万円まで補助されます。補助率は専門家費用の3分の2です。いずれも中小企業庁が定める制度の枠組みで、40万円という上限額ではありません。
連携にかかる費用を具体的に知りたいのですが
顧問先の状況や支援範囲によって変わるため、具体的な金額はサービスページでご確認いただくのが確実です。まずは無料相談で、顧問先の状況をお聞かせください。費用感を含めて丁寧にご説明します。
補助金がなくても連携は可能ですか
可能です。制度の活用は選択肢の一つで、顧問先の状況に応じて最適な進め方をご提案します。管理会計の設計や損益改善の伴走だけを、単独でご依頼いただくこともできます。顧問先ごとに事情は異なりますので、まずは現状をお聞きした上で、無理のない形を一緒に組み立てます。
伴走支援では何をするのですか
計画策定後、最初の決算から3年間、決算期を含め年最低2回のモニタリングと報告を行います。計画と実績のずれを確認し、次の一手を一緒に考えます。顧問先が自らPDCAを回して自走できる体制を整えることが、伴走支援の目的です。
まず何から始めればよいですか
気になる顧問先が1社あれば、その状況を無料相談でお聞かせください。管理会計の視点で損益を見直し、連携が向いているかどうかを一緒に判断します。連携や契約の義務はありませんので、情報収集のつもりでも構いません。まずは先生の疑問や不安を、そのままぶつけていただければ十分です。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。1事務所ごとに時間をかけて向き合うため、月あたりのご相談数には限りがあります。気になる顧問先が思い浮かんだ今が、動くのに適したタイミングです。
あらためてお伝えします。ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。連携や契約の義務はありません。顧問先との関係はそのまま維持され、税務は貴所、経営改善はKICKという役割分担です。先生方の顧問先を奪うことは決してありません。
まとめ

顧問先の利益を伸ばす鍵は、特別な魔法ではありません。財務会計の数字を管理会計の数字に翻訳し、損益改善を仕組みに変え、認定支援機関と役割を分担すること。この5つの秘訣を積み重ねるだけです。
税務業務の延長だけでは、顧問先の利益構造は変わりません。けれども先生方には、顧問先を最もよく知る立場という強みがあります。その強みに、管理会計と認定経営革新等支援機関の実務が加われば、顧問先の資金繰りは安定し、事務所の付加価値も高まります。
顧問先の未来と、先生の事務所の未来は、地続きです。その両方を守り、伸ばすための連携を、KICKコンサルティング株式会社がお手伝いします。まずは気軽な無料相談から、第一歩を踏み出してみてください。







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