
顧問先が初めて「評価書」を求められた税理士の先生と、その申請を担当する行政書士の先生に向けて書いています。
ある日、顧問先の外国人社長が、出入国在留管理局(入管)から届いた資料提出通知書を持ってきます。直近の決算が債務超過になっていて、改善の見通しについて評価を行った書面を出すよう求められている。社長の質問は「先生、評価を行った書面とは何ですか。どこに頼めばいいですか。先生が書いてくれるのですか」。経営管理ビザ(在留資格「経営・管理」)の更新で、いわゆる評価書を初めて求められた顧問先から、税理士の先生や行政書士の先生が受けやすい問いです。
日本語の書類に慣れていない社長が最初に駆け込むのは、決算を任せている顧問税理士の先生のところです。ところが、この評価書面は、在留資格を決めるときの事業計画書の「確認」とは別の書類で、ガイドラインが作成者として挙げているのは「中小企業診断士や公認会計士等」です。顧問税理士の先生は、第三者性の観点から自社の顧問先の評価を避けたいと判断される場合もあり、その場合は決算と税務を先生が、評価書面を外部の中小企業診断士が担う分担になります。周りに中小企業診断士の知り合いがいないと、そこで手が止まりがちです。
先生から顧問先に伝えたい一文は、「評価書は、専門家が決算と改善の計画を見て、1年以内に立て直せる見通しを根拠付きで評価する書面です。材料は私の手元の決算書と試算表から集めます」です。先生が最初に確認するのは、直近2期の決算で欠損金や債務超過がどの段階にあるかと、決算後の月次試算表が締まっているかの2点です。
この記事で分かること
- 評価書の様式と記載の条件
- 先生が顧問先から集める資料
- 評価書の構成を組み立てる3つの柱
- 評価書面の作成者と顧問税理士の立場
- 税理士・行政書士・診断士の役割分担
経営管理ビザの評価書が求められる場面

評価書という名前の書類が法令で定められているわけではありません。出入国在留管理庁の公表資料では「評価を行った書面」「経営に関する専門家の評価を受けた文書」といった表現で示され、実務では評価書、評価書面、診断書などと呼ばれています。明確化ガイドラインは、事業の継続性を「直近二期の決算状況により次のとおり取り扱うこととします。」としており、求められる場面を整理すると次のとおりです。
| 場面 | 公表資料での扱い | 評価書の位置付け |
|---|---|---|
| 直近期末のみ債務超過(3(1)b(イ)) | 改善の見通し(1年以内に債務超過の状態でなくなることの見通しを含む)を第三者が評価した書面の提出を求め、当該書面を参考として判断 | 中心となる提出書類 |
| 欠損金あり、債務超過なし(3(1)b(ア)) | 今後1年間の事業計画書と予想収益を示した資料。内容によって第三者の評価書面を更に求める場合あり | 追加で求められることがある書類 |
| 2期連続の債務超過(3(1)b(ウ)) | 原則として事業の継続性は認められない。設立5年以内の国内非上場企業(新興企業)に限り、評価書面、資金調達の取組み、製品・サービスの開発や顧客基盤の拡大の取組みを示す書類の内容から、債務超過に合理的な理由があると判断される場合に柔軟に判断 | 新興企業がほかの書類と組み合わせて出す書類 |
| 2期連続で売上総利益なし(3(2)) | 原則として事業の継続性は認められない。新興企業に限り、評価書面などの3種類の書類の内容から、売上総利益がないことに合理的な理由があると判断される場合に柔軟に判断 | 新興企業がほかの書類と組み合わせて出す書類 |
| 令和10年10月16日までの更新で、改正後の基準に適合しない場合(施行に伴う留意点2) | 「経営に関する専門家の評価を受けた文書を提出いただくことがあります。」 | 作成者・様式は公表資料で確認できていない |
(1)の区分は直近期又は直近期前期において売上総利益がある場合、bは直近期末において欠損金がある場合が前提です。新興企業とは、ガイドラインの原文で「設立5年以内の国内非上場企業をいう。」とされています。この記事で中心に扱うのは「直近期末のみ債務超過」の評価書です。在留資格の認定や変更の際に提出する事業計画書の専門家の確認は、似ていますが別の仕組みです。書き方は経営管理ビザの事業計画書の書き方で整理しています。経過措置期間中の更新で求められる文書については、経営管理ビザ更新に3000万円は必要かで、分かっていることと確認できていないことを分けて説明しています。
また、技能実習や特定技能の受入れで求められる企業評価書も、名前は似ていますが根拠となる制度が別の書類です。制度ごとに求められる書類の根拠が違うため、技能実習向けの記載をそのまま経営管理ビザに当てはめないことが大切です。技能実習の企業評価書は技能実習の企業評価書の解説で別に説明しています。
顧問先の社長には「専門家が会社の決算と計画を見て、立て直せるかどうかを評価する書面です」とかみ砕いて伝えると、何のための書類かが伝わります。
経営管理ビザの要件全体と改正の中身は、次の記事にまとめています。先生が顧問先・依頼者に制度の全体像を説明するときの土台としてお使いください。
「日本で会社を立ち上げて事業をしたい」「経営管理ビザを取りたいが、2025年から要件が厳しくなったと聞いた」。外国人が日本で経営者として活動するために欠かせないのが、在留資格「経営・管理」、いわゆる経営管理ビザです。2025年10月の制度改正で要件が大きく変わり、事業計画書に専門家の評価が求めら...
評価書の様式と記載の条件

評価書について、入管が定めて公表した様式は確認できていません。そのかわり、出入国在留管理庁の明確化ガイドラインは、直近期末のみ債務超過の場合に求める書面を次のように定めています。
「具体的には、直近期末において債務超過ですが、直近期前期末では債務超過となっていない場合には、中小企業診断士や公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が、改善の見通し(1年以内に債務超過の状態でなくなることの見通しを含む。)について評価を行った書面(評価の根拠となる理由が記載されているものに限る。)の提出を申請者に求めることとし、当該書面を参考として事業の継続性を判断することとします。」
出典:出入国在留管理庁『「経営・管理」の在留資格の明確化等について』(令和8年6月改訂)「3 事業の継続性について」(1)b(イ)
この原文から読み取れる条件は2つです。1つは、評価の対象が「改善の見通し(1年以内に債務超過の状態でなくなることの見通しを含む。)」であること。もう1つは、「評価の根拠となる理由が記載されているものに限る。」とされていることです。様式が決まっていない分、何を書けば足りるかを作成者が考える必要があります。
資格者の氏名と押印に、見通しがあるという一文だけを添えた書面では、評価の根拠となる理由が記載されているとは言いにくいでしょう。決算の数字のどこを見て、どの改善策が、いつまでに、どれだけ純資産を回復させると判断したのか。その筋道を文章と数字で示すことが、評価書の中身になります。なお、ガイドラインは書面を「参考として」事業の継続性を判断するとしており、最終的な判断は入管が行います。
行政書士の先生が依頼者に評価書の作成者を紹介するときも、この点が判断の目安になります。依頼の前に「どのような項目を書くか」を確かめておくと、提出の直前に内容が足りないと分かる事態を避けられます。
評価書の構成を組み立てる3つの柱
様式が自由だからこそ、構成には考え方が要ります。当社が株式会社Q様の評価書面を作成したときは、次の3つの取組みを柱にしました。
- 債務超過の原因の切り分け
- 控えめな見方から前向きな見方までの複数の筋道での見通し
- 解消しきれない場合の備え
1つ目は、本業が構造的に赤字なのか、成長のための先行投資なのかを決算の内訳から見極めることです。2つ目は、1本の楽観的な見通しではなく、前提を変えた複数の見通しを並べることです。3つ目は、見通しどおりに進まなかったときに、どの手段で純資産を補うかを先に示しておくことです。原因、見通し、備えの3つがつながっていることが、「評価の根拠となる理由」を読み手に伝える骨組みになります。
そのうえで、当社は書面の所見を次の3つの観点でまとめています。
| 観点 | 確かめること |
|---|---|
| 具体性 | 売上や利益の計画が、根拠となる数字や取り組みに裏付けられているか |
| 合理性 | 債務超過に至った原因の分析と、解消までの道筋に無理がないか |
| 実現可能性 | 1年以内に債務超過を解消する見通しが、実態に即して描けているか |
評価書に書かれる内容

当社の評価書面の記載項目を整理すると次のとおりです。事業計画として整理する5点(会社概要および事業内容、直近2期の実績、債務超過の原因、今後1年間の損益計画、債務超過の解消計画)はヒアリングで確認し、これに評価者の所見を加えます。株式会社Q様の事例のように、解消しきれない場合の備えも書き添えます。統一様式がないため一つの組み立て方ですが、ガイドラインの条件と、先ほどの3つの柱に沿っています。
| 項目 | 書かれる中身 | 主な根拠資料 |
|---|---|---|
| 会社概要・事業内容 | 会社の概要と事業の内容 | 登記事項証明書、ヒアリング |
| 直近2期の実績 | 売上、利益、純資産の推移 | 決算書2期分 |
| 債務超過の原因 | 構造的な赤字か、一時的な要因や先行投資か | 決算書の内訳、ヒアリング |
| 今後1年間の損益計画 | 改善策と実施時期を反映した損益の見通し。前提を変えた複数の筋道 | 試算表、ヒアリング |
| 債務超過の解消計画 | 1年以内に純資産がプラスに戻るまでの道筋 | 損益計画、借入明細 |
| 解消しきれない場合の備え | 見通しを下回ったときに純資産を補う手段 | ヒアリング(増資や役員借入金の扱いの方針) |
| 評価者の所見 | 具体性、合理性、実現可能性についての意見と、その根拠 | 上の各項目 |
決算の分析と債務超過の原因
評価書の前半は、過去の数字の説明です。審査で知りたいのは、なぜ純資産がマイナスになったのかです。出店や設備投資の初期費用、取引先の倒産による貸倒れといった一時的な要因なのか、粗利が販管費をまかなえない構造的な要因なのかで、後半の見通しの説得力が大きく変わります。原因が一時的であることを決算の内訳で示せるかどうかが、前半の要になります。
債務超過を1年以内に解消する見通しと根拠
後半は将来の数字です。ガイドラインの原文にあるとおり、1年以内に債務超過の状態でなくなることの見通しが問われます。決算後の月次試算表で実際に利益が出ているなら、それは有力な根拠の一つです。そのうえで、売上が見込みより下振れした場合の筋道も示しておくと、楽観的な計画ではないことが伝わります。解消の手段の組み立て方は別の論点になるため、ここでは評価書の中で「どの数字を根拠にしたか」が書かれていることを押さえておけば十分です。
具体性、合理性、実現可能性の所見
最後に、評価者としての意見を述べます。先ほどの表の3つの観点について、決算書、試算表、ヒアリングの内容のどこを根拠にそう判断したのかを、所見の中に書き添えます。判断の結果だけでなく、その筋道が読み取れることが、根拠となる理由の記載にあたります。
先生が顧問先から集める資料

評価書の材料の多くは、税理士の先生の手元にあります。当社がお願いしている主な資料は次のとおりです。
- 試算表
- 借入明細
- 決算書2期分
- 登記事項証明書
- 資料提出通知書の写し
このうち決算書、試算表、借入明細は、先生から直接お送りいただくと、顧問先の社長が書類を探す時間を省けます。決算後の月次試算表が締まっていないと、見通しの根拠を過去の決算だけに頼ることになります。通知書が届いたら、まず直近月まで試算表を締めていただくのが近道です。
増資や役員借入金の扱いの予定、代表者が考えている改善策は、ヒアリングで伺います。増資や役員借入金の予定は、1年後の貸借対照表を大きく左右します。増資を予定しているなら金額と時期、役員借入金について債務免除や資本への振替を考えているなら、その方針をお知らせください。これらの手段の税務上の取扱いは顧問税理士の先生の領域で、当社は方針が決まった前提で見通しを組み立てます。経営者に聞くべきことを先生が先に整理しておくと、ヒアリングの時間も短くなります。
行政書士の先生には、通知書の写しと、提出済みの申請書類のうち事業の説明に関わる部分をお送りいただいています。評価書の記載が申請書類の説明と食い違わないようにするためです。
評価書面の作成者と顧問税理士の先生の立場

「顧問税理士の先生が書けばよいのでは」という声は、顧問先からも先生方からも聞かれます。ガイドラインが作成者として挙げているのは「中小企業診断士や公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者」です。この「等」に税理士が含まれるかどうかは、公的資料に明記がなく、不明です。当社も、含まれるとも含まれないとも判断していません。
混同しやすいのが、事業計画書の専門家の確認です。同庁『在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について』Q&A 問16は、事業計画を確認する専門家について「施行日時点においては、中小企業診断士、公認会計士及び税理士が該当します。」とし、問18は「申請人が経営する会社の役員や従業員の場合は、客観性の確保の観点から評価者として認められません。外部顧問となっている公認会計士や税理士の場合については、評価者として差し支えありません。」としています。ただし、これは在留資格決定時に提出する事業計画書の評価についての回答で、債務超過の評価書面とは別の制度です。評価書面に同じ扱いが及ぶかは記載がなく、不明です。
実務では、顧問税理士の先生は、第三者性の観点から自社の顧問先の評価を避けたいと判断される場合もあり、その場合は決算と税務を先生が、評価書面を外部の中小企業診断士が担う分担になります。決算を作る人と見通しを評価する人を分けておくと、次のような利点があります。
- 繁忙期の負担の抑制
- 第三者による評価の説明のしやすさ
- 資料提供と数字の突き合わせへの専念
顧問先の個別の事情で先生が評価者になるかを検討する場合は、申請を担当する行政書士の先生と事前に確認してください。
評価書で起きやすい不足

債務超過の原因が書かれていない
見通しの数字だけが並び、なぜ債務超過になったのかの説明がない書面では、改善策がその原因に効くのかを読み手が判断できません。決算の内訳から原因を特定し、改善策と一対一で結び付けて書くことが基本です。
改善策が売上を伸ばす方針だけで終わっている
売上を増やすという方針だけでは、具体性の観点で所見を述べられません。どの取引先に、どの商品を、月にどれだけ販売するのか。施策を客数や件数と単価に分けておくと、評価者が過去の実績と照らして確かめられる形になります。施策を数字で書き出すことを、先生から顧問先に促してください。
評価者の資格と立場が読み取れない
評価者がどの公的資格を持ち、申請人の会社とどのような関係にあるのかが書面から読み取れないと、第三者による評価かどうかが伝わりません。資格と登録番号に加えて、申請人の会社の役員や従業員ではないことが分かる記載を置いておくと安心です。
顧問税理士の先生から届いた相談と当社の支援事例

当社が支援した株式会社Q様の事例をご紹介します。事例ページでは社名を匿名(株式会社Q様)で掲載しています。
株式会社Q様(千葉県・インド料理店2店舗・外国籍の経営者・売上高約4,000万円・従業員約10名)は、在留資格「経営・管理」の更新のタイミングで直近の決算が債務超過となり、出入国在留管理局からの通知で、1週間以内に評価書面を出すよう求められていました。外国籍の経営者から通知を持ち込まれた顧問税理士の先生の周りに中小企業診断士がおらず、当社にご依頼いただきました。
当社は顧問税理士の先生と連携し、決算書、試算表、経営者へのヒアリングをもとに作成しました。債務超過の原因は2号店の立ち上げに伴う一時的なもので、本業が構造的に赤字なのか、成長のための先行投資なのかを切り分けた結果、先行投資と判断しました。同社はすでに増資、経費の見直し、夜間の売上強化に着手していました。改善の見通しは控えめな見方から前向きな見方まで複数の筋道で示し、解消しきれない場合の備えとして、経営者が会社に貸し付けている資金を返済不要とする選択肢も整理しました。朝にオンラインでヒアリングを行い、その日のうちに書類ができ、期限内に提出できる見込みが立ちました。顧問税理士の先生が顧問先に説明しやすくなった点も、この事例の特徴です。
本記事で説明した3つの柱が、実際の書面でどう使われたかの一例です。当日中に書類ができたのはこの1件の実例で、審査の結果を約束するものではありません。詳しくは経営管理ビザ更新で債務超過だった株式会社Q様の事例をご覧ください。
税理士・行政書士の先生と中小企業診断士の役割分担

評価書の出来は、最初にそろう資料と、誰が何を担うかの整理で大きく変わります。4者の役割は次のとおりです。
| 担当 | 担う範囲 | 担わない範囲 |
|---|---|---|
| 外国人社長(申請人) | 申請人本人。入管への申請(本人申請も可)、ヒアリングへの協力、改善策の実行 | 評価書面の作成 |
| 顧問税理士 | 決算書・試算表の提供、税務の判断(債務免除・DESの税務など)、顧問先への説明 | 自社の顧問先の評価(第三者性の観点から避けたいと判断される場合もある) |
| 行政書士(または弁護士) | 申請取次、資料提出通知書への対応窓口、期限についての入管への確認・相談(延長の可否は公表資料で確認できていない) | 評価書面の作成 |
| KICKコンサルティング(中小企業診断士) | 決算分析、経営者への直接のヒアリング(60分程度、Zoom可)、1年間の改善見通しの検証、評価書面の作成(PDF納品、日本語のみ)、申請サポート(評価書面の内容についての顧問税理士・行政書士への説明、行政書士・顧問税理士との連携) | 申請取次・入管への申請手続、税務の判断 |
KICKコンサルティング株式会社(東京都中央区銀座)は、経済産業大臣登録の中小企業診断士として、改善の見通しに関する評価書面の作成、事業計画書の確認、申請サポート(評価書面の内容についての顧問税理士・行政書士への説明、行政書士・顧問税理士との連携)を行っています。当社(中小企業診断士)は申請取次も入管への申請手続も行いません。申請は申請人本人か、申請取次の行政書士・弁護士が行い、通知書への回答の提出や入管とのやり取りも申請を担当する方にお願いしています。改正ページには、書類作成について次の注意書きもあります。「なお、弁護士及び行政書士以外の方が、官公署に提出する申請書等の書類の作成を報酬を得て業として行うことは、行政書士法違反に当たるおそれがありますので御留意願います。」
評価書面とヒアリングは日本語で、全国オンラインで対応しています。ヒアリングには顧問税理士や行政書士の先生の同席をおすすめしています。先生方との連携の進め方は税理士の先生向けの協業のご案内に、料金と依頼方法は経営管理ビザの評価書面作成サービスのページにまとめています。
先生が顧問先から受ける評価書のよくある質問

Q. 評価書を出せば更新は許可されるのか
評価書は審査の判断材料の一つで、結果を約束するものではありません。ガイドラインも、書面を「参考として」事業の継続性を判断するとしています。求められた点に根拠を示して答えるための書面だと伝えてください。
Q. 評価書に決まった書式はあるのか
公表された様式は確認できていません。ガイドラインでは、評価の根拠となる理由が記載されているものに限るとされています。決算の分析、原因、改善策、1年以内の見通しとその根拠、解消しきれない場合の備え、評価者の所見が書かれていることが目安です。
Q. 評価書の作成に必要な日数
資料の内容や通知書の期限によって変わります。当社では、資料提出通知書の写しと決算書2期分をお送りいただければ、作成できるかどうかと納期を当日中にお答えします。資料提出通知書の提出期限について法令上の一律の期限は確認できていないため、通知書の記載を確認し、届いた時点でご連絡いただくのが安全です。
Q. 債務超過ではなく欠損金があるだけの場合の評価書
欠損金があり債務超過でない場合は、今後1年間の事業計画書と予想収益を示した資料が求められ、資料の内容によっては第三者の評価書面を更に求める場合があるとされています(明確化ガイドライン 3(1)b(ア))。通知書の記載を行政書士の先生と確認してください。
Q. 2期連続で債務超過の顧問先と評価書
直近期末と直近期前期末がともに債務超過の場合は、原則として事業の継続性があるとは認められないとされています。例外は設立5年以内の国内非上場企業(新興企業)で、評価書面に加えて資金調達や顧客基盤の拡大などの取組みを示す書類の内容から、債務超過に合理的な理由があると判断される場合に限り、柔軟に判断するとされています。早めに行政書士の先生と共有してください。
まとめ
経営管理ビザの評価書は、直近期末のみ債務超過の会社などに求められる、改善の見通しを第三者が評価した書面です。公表された様式は確認できておらず、評価の根拠となる理由が記載されていることが条件です。構成は、原因の切り分け、複数の筋道での見通し、解消しきれない場合の備えの3つを柱にし、具体性・合理性・実現可能性の観点で所見をまとめます。作成者は「中小企業診断士や公認会計士等」で、税理士が含まれるかは公的資料に明記がなく不明です。事業計画書の確認とは別の制度だという点も押さえておいてください。
先生が顧問先に伝える一文は、「評価書の材料は私の手元にあります。まず直近月までの試算表を締めましょう」です。その材料を評価書にまとめる作業を、税理士の先生、行政書士の先生、中小企業診断士の分担で進めていきましょう。
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この記事の執筆・監修
松本昌史(中小企業診断士・経済産業大臣登録)
KICKコンサルティング株式会社 代表取締役(東京都中央区銀座)
認定経営革新等支援機関、事業再生マネージャー、事業承継士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、MBA(法政大学経営大学院)。大手生命保険代理店に8年勤務したのち独立。支援実績は150社以上(経営支援全体の実績)。外国人技能実習・育成就労・特定技能向けの「債務超過の改善見通しに関する評価書面(企業評価書)」の作成経験をもとに、経営・管理の評価書面を作成しています。
参考資料:出入国在留管理庁『「経営・管理」の在留資格の明確化等について』(令和8年6月改訂)、同庁『在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について』(Q&A)









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