商品別採算が見える化されたら営業利益が1.86倍に|精密機械加工企業の実例

売上トップの商品が、実は最も利益を食い尽くしている

精密機械加工企業の経営者から、こんな悩みを耳にすることがあります。「売上は毎年2~4%成長しているのに、商品別に見ると、売上が大きい商品ほど利益が出ていない。むしろ売上が小さい商品の方が儲かっている」。

これは、単なる営業成績の問題ではありません。それは、あなたの会社の商品構成と採算構造が、時間とともに変わっていることを示しています。

経済産業省「2024年経済構造実態調査」によれば、製造業の中小企業のうち約32.4%が営業赤字状態にあります。さらに悪いことに、赤字企業の大多数は「売上が増えるほど、利益が減少する」という逆説的な悪循環に陥っています。

東京商工リサーチの調査では、2024年10月期~2025年9月期の中小企業全国平均の赤字企業率は23.8%に上昇しており、企業間の業績格差は拡大し続けています。特に製造業では、売上が増加しても原材料費の上昇や人件費の圧力で、実質的な利益が減少している企業が少なくありません。

この章では、その根本原因がどこに隠れているのかを、実際のコンサルティング事例から明らかにします。

見かけの売上ランキングと実際の利益ランキングが全く異なる理由

多くの精密機械加工企業の経営者は、月次決算の売上高報告を見ると、商品別の売上構成は把握しています。しかし、商品ごとの採算性は全く見えていません

財務会計(決算用の会計)では、全社の売上と全社の利益だけが明らかになります。しかし、その内訳は見えません。商品Aを製造するのにどれほどのロット数で生産しているか、段取時間がいくら発生しているか、在庫として眠っている期間がどのくらいか、という情報は、損益計算書には記載されないのです。

なぜそのような情報が見えないのか。それは、財務会計が「全社の正確な利益」を計算することを目的としており、商品別の詳細な採算を見ることを想定していないからです。

例えば、工場の減価償却費、従業員の給与、光熱費といった間接費は、全て「売上原価」または「販売費及び一般管理費」という箱に放り込まれます。これらの費用が商品Aに対していくら、商品Bに対していくら費やされたのかは、明確に分けられていません。

結果として、「売上が大きい商品=優良商品」という誤った認識のまま、経営判断を続けることになります。営業部門は「売上目標を達成した」と報告し、経営層はそれを信じる。しかし決算月を迎えると、利益の伸びが期待を大きく下回っている。こういう悪循環が生まれるのです。

商品別利益が見えない3つの隠れたコスト要因

売上が増えても利益が増えない精密機械加工企業には、共通パターンがあります。次の3つの要因です。

① ロット数の減少による原価上昇

受注形態が「大ロット安定発注」から「多品種小ロット受注」へと変化する企業は多いものです。特に自動機械部品や特注部品は、顧客からの変更仕様や急な追加注文が入りやすく、結果として小ロット生産が増加します。

小ロット生産では何が起きるか。それは段取時間の影響が相対的に大きくなるということです。

例えば、機械加工の場合、段取時間が0.5時間、加工時間が0.07時間の製品があるとします。ロット100個で生産する場合、1個あたりの段取時間は0.005時間です。しかしロット20個に減少すると、1個あたりの段取時間は0.025時間になり、5倍に跳ね上がります。結果、製造費は1個あたり100円以上増加するケースも珍しくありません。

経済産業省の「企業活動基本調査」によれば、製造業全体の売上原価比率は約80%ですが、多品種少量生産を行う企業では85%以上に達する企業も多く見られます。その差は、ロット数による段取効率の違いが大きく影響しています。

② 在庫保有による金利負担と機会損失

小ロット生産の商品は、受注から納期までの期間が短いため、在庫として滞留しやすくなります。一方、大ロット商品は注文後すぐに納品され、在庫期間は短い傾向があります。

在庫として工場に眠っている製品には、見えない金利負担が発生します。仮に月1.0%の運転資金コスト(金利+保管料)と仮定すると、100万円の商品が2ヶ月在庫に滞留するだけで、2万円のコストが発生します。年間では24万円です。これは販管費という名目で全社に吸収され、商品別の原価には計上されません。

さらに、在庫滞留による機会損失も大きいです。運転資金が在庫に拘束されることで、新しい設備投資や人材採用に資金を充てることができません。銀行借入が増え、金利負担が増すという悪循環も生まれます。

③ 品質検査・納期対応・変更仕様対応の工数増加

多品種小ロット商品は、製品ごとに仕様が異なることが多いため、品質検査工数も増加します。また、「急な納期短縮」「仕様変更」といった顧客要求に対応するための事務作業や現場調整も増えます。

これらは一見すると「営業部門の対応力」として評価されますが、採算性を見れば、対応工数が大きいほど利益が減少する構図になっています。

例えば、ある受託加工企業では、顧客からの仕様変更対応に月50時間を費やしていました。時給3,000円換算で月15万円のコスト。年間では180万円です。このコストが製品の原価に計上されていなかったため、当初の粗利率では赤字になっていたのです。

実例:年商9.2億円企業での衝撃の事実

KICKコンサルティング株式会社が支援した精密機械加工企業の事例をご紹介します。従業員45名、年商9.2億円のこの企業は、自動機械部品が全売上の32%を占める「主力商品」でした。

営業部門からは「自動機械部品の受注が安定している。これが会社の基盤」という報告が毎月上がっていました。ですが、商品別収益分析を実施した結果、衝撃の事実が判明しました。

項目数値分析
年間売上2億9,440万円全社比32%
粗利率14.8%全社平均23.2%より8.4ポイント低い
平均ロット数32個他商品の平均150個の1/5以下
段取時間(年間合計)1,680時間生産効率の最大43%を段取に消費
在庫滞留期間平均35日他商品の平均8日の4倍以上
推計月間利益▲82万円実は赤字

売上が全社の32%を占める「主力商品」が、実は月間82万円の赤字を垂れ流していたのです。年間では984万円の損失です。

なぜこんなことになっていたのか。3つの根本原因

原因1:粗利率が著しく低い(14.8%)

自動機械部品は、顧客からの価格競争圧力が強い商品です。5年前の粗利率は24%でしたが、競争力維持のため3度の値引き対応を行い、現在は14.8%にまで低下していました。営業部門は「顧客を失うより、薄利でも継続する方がいい」という判断をしていたわけです。

しかし、粗利率14.8%では、販管費や間接費を差し引くと、全く利益が残りません。それどころか、次に説明する隠れコストを加味すると、赤字になるのです。

ここで重要なポイントは、値引きが段階的に進んだため、経営層がその過程を認識していなかったということです。営業部門は「今月は顧客を維持するために5%値引きした」と個別に報告しますが、「この商品の粗利率は過去3年で10ポイント低下した」という累積的な影響を経営層に報告することはありません。

原因2:段取時間が異常に多い

自動機械部品の受注は「仕様変更」が頻繁です。「先週の仕様から寸法を±0.05mm変更したい」「材質をアルミからステンレスに変更」といった要求が、月平均5件~8件入ります。

仕様が変わるたびに、機械の段取を変更し、テスト加工を行い、品質検査基準を調整する必要があります。その工数は、同じ仕様を継続生産する場合の段取時間と比べ、3倍~5倍に膨れ上がります。

年間1,680時間の段取時間は、常勤従業員1人分の年間労働時間(約1,920時間)にほぼ匹敵します。つまり、この商品の製造のために、専任者1人が段取作業だけに従事している計算になるのです。

その専任者の給与が月給30万円だとすれば、年間360万円のコストが発生しています。それが商品の原価に計上されていなかったため、見かけの粗利は360万円多く見えていたわけです。

原因3:在庫として眠っている期間が長い

自動機械部品は、顧客の製造スケジュール変更に対応するため「多めに先作り」する傾向があります。また、「急な追加注文」に備えて在庫を持つという営業判断もありました。

結果、完成品在庫が常時3,000万円~4,000万円存在し、平均滞留期間は35日。月1.0%の運転資金コスト(金利+保管料)を仮定すると、月35万円のコストが発生していたのです。

さらに問題なのは、35日間在庫に滞留する間に、仕様変更が発生することです。「この在庫の仕様を変更してほしい」という顧客要求に対応するため、追加加工や再検査が必要になります。その工数も含めると、在庫保有コストはさらに膨れ上がるのです。

見落とされていた利益を生む商品の真実

同じ企業の事例で、もう1つの重要な発見がありました。

売上ランキングでは第6位に位置していた「標準部品」という商品。年間売上は7,200万円と、自動機械部品の1/4以下でした。営業部門からも、経営層からも、ほぼ注目されていませんでした。

項目数値分析
年間売上7,200万円全社比7.8%
粗利率23.5%全社平均に近い健全な水準
平均ロット数180個安定した大ロット発注
段取時間(年間合計)240時間自動機械部品の1/7
在庫滞留期間平均6日迅速な回転率
推計月間利益+125万円高利益

標準部品は売上7.8%の商品でありながら、月間125万円の利益を生み出していたのです。年間では1,500万円です。

この事実を知った経営者は、衝撃を受けました。自社では「売上の32%を占める自動機械部品」に営業資源を集中させ、「売上の7.8%の標準部品」を軽視していたのです。ですが、実際の利益貢献度は全く逆だったのです。

商品別収益分析とは何か。本質と定義

ここまでの事例から分かることは、「売上ランキング」と「利益ランキング」は全く別物だということです。

商品別収益分析の定義

商品別収益分析とは、各商品の製造と販売から生じる全てのコストを把握し、商品ごとの利益を算出する手法です。

財務会計では見えない「隠れたコスト」を、商品ごとに配賦し、真の採算性を明らかにします。

重要なポイントは、これは「販売利益」ではなく「経営利益」を見える化することです。販売利益とは、売上から製造原価を差し引いたもの。一方、経営利益とは、そこからロット効率、在庫保有コスト、対応工数といった経営活動に伴う全コストを差し引いたものです。

分析に必要な5つの要素

商品別収益分析には、次の5つの数字が必要です。

① 売上高
各商品からの販売額。これは販売管理システムから簡単に抽出できます。

② 粗利
売上から製造原価を差し引いた利益。製造原価が正確に計上されていることが前提です。

③ ロット数と段取時間
小ロット生産による段取コストの増加を把握するため、平均ロット数と年間段取時間が必要。

④ 在庫滞留期間
運転資金コスト(金利+保管料)を算出するため、製品が完成から出荷までの平均日数。

⑤ 対応工数(営業・品質検査・納期変更対応)
営業部門や品質部門が商品ごとに費やす時間。これが最も集計しにくい項目ですが、概算でも構いません。

これら5つを商品ごとに把握し、売上から全てのコストを差し引くと、商品ごとの真の利益が見えてきます。

商品別収益分析と顧客別採算分析の違い

前回のコンサルティング記事では「顧客別収益分析」を紹介しました。同じ手法に見えますが、対象が異なります。顧客別分析は「顧客Aとの取引からいくら利益が出ているか」を見る手法。商品別分析は「商品Xの販売からいくら利益が出ているか」を見る手法です。

実務では、この2つを組み合わせることが最も効果的です。例えば、「商品Xは全体では利益が出ているが、顧客Aへの販売は赤字」というような複合分析が可能になります。

なぜ多くの企業で商品別収益が見えないのか

ここまで読んで、「それなら自社でもやってみよう」と思う経営者も多いでしょう。

実は、この質問は毎月のようにお客様から受けます。「やってみたい」という想いは理解できます。ですが、実現は難しいというのが現実です。

ですが、実は多くの精密機械加工企業では、この分析ができていません。理由は3つです。

理由1:会計システムが全社集計を前提としている

多くの企業が使う会計ソフトは、全社の売上と全社の利益を正確に計上することを目的としています。商品ごとの採算を見ることは想定されていません。

商品別に利益を算出しようとすると、段取時間や在庫保有コストを、どの商品に配賦するか(割り当てるか)という判断が必要になります。その基準が会計ソフトには組み込まれていないのです。

理由2:生産データ(段取時間・ロット数)がデータ化されていない

現場が「商品Aの今月の段取時間は何時間か」という質問に、正確に答えられない企業がほとんどです。生産管理表には記録されていても、商品別に集計されていません。

つまり、「ロット数」「段取時間」という重要な原価要素が、経営層には見えない状態になっているのです。

理由3:複数部門にまたがったデータ整備が必要

商品別収益分析には、営業部門の売上データ、製造部門のロット・段取データ、品質部門の検査工数データ、経理部門の原価データが必要です。

これらを統合し、商品別に整理するだけで、膨大な手間がかかります。

商品別収益分析導入後の経営はどう変わるのか

では、商品別収益分析を導入した企業は、その後どう変わるのか。先ほどの精密機械加工企業の例で見てみましょう。

1. 意思決定の質が激変する

分析前:営業部門から「自動機械部品で新規顧客案件がある」という報告が上がると、経営者は「売上比32%の主力商品だから対応しよう」と判断していました。

分析後:経営者は「自動機械部品は実は月82万円の赤字商品だ。新規案件は採算を最優先に考えるべき」という判断ができるようになりました。

これは単なる「NO」という判断ではなく、「YES, ただし条件付き」という判断が可能になったことを意味します。新規顧客であれば、最初から「最低ロット100個」「仕様固定」「納期固定」という条件を提示できるようになったのです。

2. 商品選別と資源配分が最適化される

利益ランキングが明らかになると、次のような戦略的判断が可能になります。

赤字商品に対しては、値上げ交渉や受注条件の見直し(大ロット化・納期固定化)を検討します。優良商品に対しては、営業投資を増やし、新規顧客開拓に力を入れます。

この企業では、自動機械部品について「①最低発注ロット数を32個から100個に引き上げ、②仕様変更は月2回までに制限、③在庫は納期+7日分のみ」という受注条件を顧客に提案しました。既存顧客の80%がこの条件を受け入れ、採算性は月82万円の赤字から月28万円の黒字に改善されました。

同時に、標準部品への営業投資を増やし、新規顧客2社を獲得。標準部品の売上は年間7,200万円から9,840万円へと37%増加しました。また、新規顧客で新しい受託加工案件(特殊部品)も受注し、年間1,200万円の売上が追加されました。

3. 会社全体の利益率が向上する

商品別分析導入から18ヶ月後、この企業の営業利益率は2.8%から5.2%に上昇しました。売上はほぼ横ばい(年商9.2億円→9.4億円)でありながら、営業利益は2,576万円増加したのです。

同じ売上で、利益が1.86倍になったということです。

この改善の源泉は、新商品開発でも新市場開拓でもありません。単に「不採算商品の採算構造を改善し、優良商品への投資を増やした」という、経営資源の最適配分だけなのです。

さらに注目すべきは、この改善が経営層と営業部門の関係性も改善したということです。営業部門も、分析結果を見て「自分たちが優良商品を見落としていた」ことに気づき、標準部品の営業活動に積極的に取り組むようになったのです。

こうした変化は、単なる「数字の改善」ではなく、会社全体の経営意識の向上です。赤字商品の必要性を理解しつつも、採算を改善するという方向性が、営業部門にも浸透したのです。

実務的な進め方(段階的アプローチ)

「商品別収益分析は複雑で難しい」という印象を持つかもしれません。ですが、最初から完璧を目指す必要はありません。シンプルな方法から始めることができます。

ステップ1:商品別売上の整理

まず、商品ごとの売上を集計します。販売管理システムから簡単に抽出できます。Excelに商品名、売上、粗利率を列挙するだけで始まります。

この段階では、財務会計で把握されている全社の売上と、商品別売上の合計が一致することを確認します。もし不一致があれば、データの正確性を高めるまでこのステップにとどまります。

ステップ2:粗利の計算

各商品の粗利率を調べます。商品によって粗利率が異なる場合は、商品が使用する原材料の平均粗利率を使用します。

粗利=売上×粗利率

粗利率がわからない場合は、原価部門や営業部門に問い合わせます。ここで重要なのは、商品ごとの粗利率を正確に把握することです。値引き幅が大きい商品と小さい商品では、粗利率が大きく異なるケースが多いからです。

ステップ3:ロット数と段取時間の把握

次に、商品別の平均ロット数と年間段取時間を把握します。生産管理部門に依頼して、過去12ヶ月分のロット数と段取回数を商品別に集計してもらいます。

ロット数が小さい商品ほど、段取時間が相対的に大きくなります。これを「ロット係数」として、原価に加算します。

ロット係数の計算式は次の通りです。
ロット係数=段取時間(年間合計)÷生産数量(年間合計)×アワーレート

例えば、ある商品の年間段取時間が200時間、生産数量が5,000個、アワーレートが5,000円/時間だとすれば、ロット係数=200÷5,000×5,000=200円/個となります。

ステップ4:在庫滞留期間の把握

商品ごとの完成から出荷までの平均日数を調べます。在庫期間が長い商品ほど、金利・保管コストが大きくなります。

月の運転資金コストを1.0%と仮定して計算します。例えば、100万円の製品が35日在庫に滞留すれば、月1.2万円(35日÷30日×100万円×1.0%)のコストが発生します。

在庫滞留期間=(期首在庫+期末在庫)÷2÷(売上原価÷365日)

ステップ5:対応工数の概算

営業部門と品質部門に「各商品への月間対応時間」を記録してもらいます。初月は概算でも構いません。時給3,000円で換算し、人件費に変換します。

対応工数に含まれる項目:
・営業部門:受注対応、仕様相談、納期調整、クレーム対応
・品質部門:検査工数、サンプル評価、仕様変更対応
・事務部門:請求書作成、納入書作成など商品固有の事務作業

ステップ6:商品別利益の算出

粗利から、ロット係数に基づく段取コスト、在庫保有コスト、対応工数を差し引き、商品別利益を計算します。

商品別利益=粗利-段取コスト-在庫保有コスト-対応工数相当の人件費

これをExcelで実行すれば、商品別の利益ランキングが見えてきます。

ステップ7:改善施策の立案

赤字商品、低利益商品に対しては、次のアクションを検討します。

・最低発注ロット数の引き上げ
・仕様変更回数の制限
・納期を固定化(急な納期短縮対応を廃止)
・在庫ルールの厳格化(納期+7日分のみ)
・あるいは取引の終了

優良商品に対しては、営業投資や提案活動を増やしていきます。

これらの施策は、一気に実行するのではなく、3~6ヶ月の段階的な改善計画として立案することが重要です。

よくある質問(Q&A)

Q1. 従業員20名以下の小規模企業でも必要ですか

A. むしろ小規模企業こそ必要です。大企業は多数の商品から利益を生み出せますが、小規模企業は限られた商品に依存しています。1~2つの不採算商品が存在すると、会社全体の利益率に大きく影響します。商品ごとの採算把握は、経営リスク管理の観点からも重要です。実際、従業員30名以下のA社では、商品別採算分析後、主力商品が赤字だったことが判明し、即座に受注条件を改定して黒字化させました。

Q2. Excelで実装できますか、それとも専用システムが必要ですか

A. 商品数が30品目以下であれば、Excelで十分です。1度シンプルなフォーマットを作成すれば、毎月の更新は20分程度で完了します。商品数が100品目を超える場合は、クラウド型の簡易分析ツール導入も検討できます。ただし、最初から高級ツールに投資するのではなく、Excel段階でプロセスを確立してから判断することをお勧めします。

Q3. どこまで細かく分析すべきですか

A. 最初は「売上、粗利、ロット数」の3要素だけで始めてください。3ヶ月実行して、慣れてきたら「在庫滞留期間」「対応工数」を追加します。完璧を目指さず、「見える化」のレベルから始めることが継続のコツです。完全な精度より、「月1回のサイクルで実行する」という習慣化が重要です。

Q4. 分析結果から値上げを提案する際、顧客が離れないか心配です

A. 値上げ提案は、条件を明確にすることが重要です。「ロット100個以上なら10%値引き、ロット50個なら現在価格、ロット20個なら現在価格の120%」というように、選択肢を用意する方法があります。顧客の事情によって、対応方法を変える余地があります。むしろ、顧客と一緒に「採算が合う取引条件」を探る姿勢が信頼関係につながります。

Q5. 赤字商品との取引を一気に終了してもいいですか

A. 推奨しません。段階的な改善が現実的です。まず1年間で「最低ロット数の引き上げ」「仕様変更の制限」「在庫ルールの厳格化」などの対応効率化を進め、それでも採算が取れない場合に、値上げや取引量の調整を検討してください。いきなり「取引中止」という判断は、営業部門の反発を招き、他の重要な取引まで悪影響を与える可能性があります。

Q6. 分析を導入したが、継続できませんでした。よくある失敗パターンは何ですか

A. 3つあります。①最初から完璧な分析を目指して、データ整備に半年かかり、挫折する。②月次更新を「経理担当者の副業」として位置付け、決算月は手が付かなくなる。③分析結果を見ても「では、どうするのか」という具体的なアクションプランが決まらない。最初は「月1商品だけ詳しく分析する」くらいの軽さで始めることをお勧めします。実績とノウハウが蓄積されると、自然と精度と範囲が拡大します。

Q7. 商品別採算が見える化されたら、営業部門との葛藤は起きませんか

A. 起きます。営業部門は「売上を追える商品」を重視する傾向があるため、「赤字商品の取引を減らしましょう」という提案に抵抗することがあります。重要なのは、分析結果を「営業部門の能力批判」ではなく、「商品特性の違い」として伝えることです。その上で、赤字商品でも「採算が合う受注条件」を一緒に検討するプロセスが大切です。営業部門も、「自分たちが担当する商品がなぜ利益を生み出さないのか」が分かれば、改善への協力姿勢が高まります。

Q8. 商品別採算分析をしたら、想定外の利益が隠れていました。その利益をどう活用すべきですか

A. 「隠れた利益」の使い道として、①給与改善や福利厚生充実②設備投資(段取時間短縮化)③運転資金の余裕確保④新商品開発投資など、複数の選択肢があります。経営者が短期的な利益配分ではなく、中期的な競争力強化にどう配分するかを戦略的に判断することが大切です。例えば、隠れた利益を①従業員給与20%②段取効率化設備50%③運転資金余裕30%という配分で活用し、採用と設備投資を同時に進めた企業もあります。

Q9. 商品別採算分析の導入期間はどのくらいかかりますか

A. 簡易的な分析であれば2~3ヶ月、詳細な分析であれば4~6ヶ月が目安です。ただし、データ整備の状況によって大きく変わります。既に生産管理システムが商品別にデータを記録している企業なら1ヶ月で実装できますが、手作業でデータを集計している企業では3ヶ月以上かかることがあります。

Q10. 商品別採算分析の結果、市場で販売していない不採算商品も対象になりますか

A. なります。自社製品だけでなく、受託加工製品(OEM生産)も分析対象に含まれます。むしろ、受託加工製品の方が採算が悪くなるケースが多いです。なぜなら、顧客の仕様変更に対応する工数が大きくなりやすいからです。受託加工で赤字になっている場合は、単価見直しまたは受託条件の変更(仕様固定、最小ロット数設定など)を検討する必要があります。

自社対応の限界。なぜ9割の企業が実行に至らないのか

商品別収益分析の実務的な進め方をここまで説明してきました。「それなら自社でもやってみよう」と感じた方も多いと思います。

ですが、実際に導入に至る企業は全体の1割程度です。残りの9割の企業では、なぜ実行に移さないのでしょうか。

障害1:データ整備の手間が想像以上に大きい

「商品ごとのロット数と段取時間を月単位で記録してください」と生産管理部門に依頼しても、現場は既に多忙です。新たな記録業務は、現場の抵抗を生みます。

また、既存データが散在している場合(生産日報、請求データ、在庫帳簿が複数システムに分散など)、統合するだけで数週間かかることもあります。

実例として、年商5億円のB社では、過去12ヶ月分のロット数と段取時間を商品別に集計するのに3週間かかりました。生産日報は手書きであり、各項目が統一されていなかったからです。

障害2:継続的な運用が困難

3ヶ月は頑張れても、1年続ける企業は少数派です。毎月のデータ更新と分析には、専任者が必要です。

小規模企業では「分析を担当する人員がいない」というリアルな事情があります。結果、「導入から3ヶ月で形骸化」というパターンが繰り返されます。

月次更新を「経理担当者の副業」として位置付けると、決算月は手が付かなくなります。その結果、2ヶ月間のデータが蓄積され、更新の手間が2倍になり、挫折します。

障害3:分析結果を実行に移すには経営判断が必要

分析で「商品Aは赤字」と判明しても、その商品との取引を削減するには、経営者の強い決断が求められます。

「もし顧客が離れたらどうしよう」という不安が、実行を躊躇させます。特に、赤字商品が既存顧客との古い取引である場合、「今さら仕様を変えろとは言えない」という心理が働きます。

分析の技術的難易度よりも、実装と継続の組織的困難が、実現の大きな壁になっているのです。

障害4:経営判断の時間がない

月次の分析データが完成しても、「それで、どうするのか」という判断を経営者が先送りしているケースは多いです。特に、受注型製造業では日々の顧客対応に追われ、戦略的な意思決定に時間を割く余裕がありません。

結果、「分析は見たけど、特に何も変わらない」という状態が6ヶ月続き、やがて月次更新も止まってしまいます。

KICKコンサルティング株式会社の支援内容

こうした課題に向き合うため、KICKコンサルティング株式会社では、商品別収益分析の導入から実装、継続運用までを一貫でサポートしています。

V字回復プロジェクト:商品別収益分析を軸とした利益体質への転換

当社の「V字回復プロジェクト」は、次の流れで進行します。

フェーズ1:現状診断(1ヶ月)
既存データを整理し、商品別採算の仮分析を実施。赤字商品、不採算商品を特定します。

フェーズ2:データ整備と詳細分析(2ヶ月)
生産管理システムから商品別のロット数・段取時間データを抽出し、在庫滞留期間、対応工数を把握します。詳細な商品別利益を算出します。

フェーズ3:改善計画策定(1ヶ月)
分析結果に基づき、赤字商品への対応策(値上げ、ロット化、仕様制限など)と、優良商品への投資戦略を立案します。

フェーズ4:実行支援(3~6ヶ月)
赤字商品の顧客交渉、受注条件の変更、在庫ルール改定などを支援。営業部門と製造部門の調整も行います。

フェーズ5:運用定着(継続)
月次の分析・報告体制を構築し、経営判断の材料として定着させます。

この一連の流れで、売上を維持(または微増)しながら、利益を大幅に改善した企業は多数あります。

支援実績

KICKコンサルティング株式会社は、150社以上の中小企業経営改善を支援してきました。商品別収益分析導入企業の多くは、次の改善を実現しています。

・営業利益率の向上:平均で2.9%から5.1%へ(2.2ポイント向上)
・営業利益額の増加:平均で年間1,200万円の増加
・赤字商品数の削減:平均で40%削減
・優良商品への営業投資時間の増加:平均で月間18時間増加
・銀行評価の改善:営業利益率向上により、融資姿勢が変わった企業が約70%

重要なのは、これらが「新規事業」や「新商品開発」による成長ではなく、既存商品の中での経営資源の最適配分によって達成されているということです。

実例:精密部品メーカーのV字回復

当社が支援した精密部品メーカー(従業員38名、年商8.5億円)では、商品別分析導入から12ヶ月で営業利益率が2.1%から4.8%に改善されました。

特に効果的だったのは、赤字商品の「選別と再構築」でした。当初15品目あった商品のうち、分析結果から4品目が赤字と判明。その4品目について、受注条件の変更(最低ロット数引き上げ、納期固定化、仕様変更禁止)を顧客に提案したところ、既存顧客の75%がこれを受け入れました。

同時に、優良商品6品目への営業投資を集中させたところ、新規顧客3社を獲得し、売上は年間8.5億円から8.9億円に増加。営業利益は1,785万円から4,272万円へ、年間2,487万円の改善となったのです。

あなたの会社も同じ状況かもしれません

売上は増えているのに利益が伸びない。資金繰りは厳しい。営業部門と経営層の間に「採算性についての共通認識」がない。営業部門と経営層の商品戦略が異なっている。銀行の融資態度が厳しくなった。

こうした悩みを持つ経営者は、決して少なくありません。

その背景にあるのは、ほぼ100%の確率で「商品別の採算性が見えていない」という問題です。

売上が増える度に、原価も増える。なぜなら、増えた売上が、採算の悪い商品からもたらされているからです。これは、経営者が意識していない、目に見えない悪循環です。

ですが、対策を講じれば、改善は十分可能です。

今、行動する理由

「商品別収益分析をいつか導入したい」と考えていても、実行に移さなければ、何も変わりません。

それどころか、時間が経つほど、問題は深刻化します。

放置することのリスク

赤字商品の生産が続く限り、会社全体の利益率は低下し続けます。運転資金も増え続けます。借入金の返済負担も増します。競争環境の変化に対応する投資(設備、人材)に資金を充てることができません。

結果、経営環境がさらに悪化する悪循環に陥るのです。

さらに危険なのが、赤字商品に対する「可視化への抵抗」です。営業部門が「この商品は赤字です」という事実を受け入れるまでに時間がかかります。その間、赤字商品への投資は続き、損失は膨らみ続けるのです。

加えて、優良商品への投資が後回しになることで、競合企業との差が広がります。優良商品の顧客獲得競争に遅れ、市場シェアを失う可能性も高まります。

行動のメリット

一方、今から商品別収益分析に取り組めば、次のメリットが得られます。

・今後3年間の累積利益が、対策なしの場合に比べて数千万円改善される可能性
・銀行対応が改善される(利益改善により、融資姿勢が変わる)
・経営チーム内での「採算意識」が統一され、意思決定スピードが上がる
・従業員の給与改善や福利厚生充実へ資金を配分できる
・後継者へ引き継ぐ企業体質が改善される
・設備投資や新技術導入への資金確保が可能になる

経営の根本的な改善は、「何か新しいことを始める」ことではなく、「既存の構造を正しく理解し、最適化する」ことから始まります。

無料相談のご案内

ここまで、商品別収益分析の手法と効果についてお話してきました。

もし、あなたの会社でも「売上は増えているのに利益が伸びない」という課題に直面しているのであれば、まずは商品別の採算性を把握することが重要です。

その第一歩として、KICKコンサルティング株式会社では、売上と利益のズレで悩む精密機械加工企業の経営者向けに、無料経営相談を実施しています。

相談の流れ

ステップ1:簡易診断(30分程度)

あなたの会社の売上、利益、主要商品について、簡単なヒアリングを行います。その場で「赤字商品が存在する可能性」「改善余地」などを概略診断します。

ステップ2:商品別採算の仮分析(別日)

ご了承いただければ、既存データをもとに簡易的な商品別採算分析を実施。「あなたの会社の場合、改善でいくら利益が増えうるか」を具体的に試算します。

ステップ3:改善案の提案

その結果に基づき、今後のステップ(導入するかどうかも含む)をご提案します。

この無料相談は、診断と提案まで。営業圧力はありません。あなたのペースで判断してください。

代表からのメッセージ

私は、保険代理店時代に1,100名の経営者相談に応じてきました。そこで学んだのは、「経営の苦しさの大半は、結構シンプルな構造の改善で解決する」ということです。

新商品開発、新市場開拓、大規模な設備投資は、その後です。まずは、今持っている資産(商品ポートフォリオ、人員、設備)を最大限活かす経営設計が必要です。

あなたの会社も、「隠れた利益」を眠らせているかもしれません。赤字商品による損失、優良商品への投資不足、資本効率の悪さ。

それを見つけ出し、経営資源を最適に再配分し、会社全体の体質を改善する。その道のりを、共に手に入れましょう。

商品別収益分析は、難しい手法ではありません。むしろ、経営の「眼鏡」を変えるだけです。いままで見えていなかった商品の本当の姿が、鮮明に見えてくるのです。

その時、経営の判断は変わります。営業部門の視点も変わります。会社全体の体質が、劇的に変わるのです。

1年間かけて、売上を10%追うことよりも、3ヶ月間で利益構造を見える化し、経営資源を最適配分すること。その方が、はるかに大きな効果を生むのです。

次のステップは、あなたが決めてください。

商品別採算分析の無料相談を受けてみる

30秒で予約完了。オンライン相談も可能です。

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