
外国人材の受入れを進めたい農業の依頼者から、在留資格の相談を受けたとします。ところが直近の決算を見ると、赤字が続き、債務超過に陥っている——。そんな場面に、行政書士の先生方は少なからず直面します。
特定技能や技能実習の受入れ審査では、農業の経営体が債務超過だと、財務の改善見通しを示す企業評価書(改善見通しに関する評価書面)が求められます。しかし、この書面は行政書士の先生ご自身では作成できません。作成できる専門家の当てがなければ、せっかくの受任機会を逃しかねません。
あなたはこのような悩みはありませんか?
- 農業の依頼者が債務超過で、受入れ審査が不安な方
- 企業評価書が必要だが、自所では作成できない方
- 作成を頼める専門家の当てがなく、受任を逃しそうな方
先生おひとりで抱える問題ではありません。農業は外国人材の受入れが多く、天候や相場に左右されて決算が振れやすい業種です。債務超過の農業案件で審査への備えに悩む先生は、決して少なくありません。
結論から申し上げます。企業評価書の作成を中小企業診断士など専門の資格者と連携すれば、債務超過の農業案件でも審査への備えを整え、受任機会を逃さずに済みます。本記事では、その備えの要点を3つの視点で整理します。
この記事で分かること
- 農業の債務超過案件で、なぜ受任機会を逃しやすいのか
- 特定技能・技能実習の受入れ審査に備える3つの視点
- 企業評価書を中小企業診断士など専門家と連携して用意する流れ
- 在留資格の申請は貴所、企業評価書の作成はKICKという役割分担
本記事は、認定経営革新等支援機関であるKICKコンサルティング株式会社(銀座本社)代表・松本昌史(中小企業診断士)が執筆します。法人支援150社以上の実務経験をふまえ、平易にお伝えします。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。連携や契約の義務はありません。依頼者との関係はそのまま維持されます。在留資格の申請は貴所、企業評価書の作成はKICKという役割分担です。
なぜ農業の債務超過案件で受任機会を逃しやすいのか

農業の債務超過案件で受任機会を逃しやすい理由は、はっきりしています。特定技能や技能実習の受入れ審査で必要になる企業評価書を、行政書士の先生ご自身では作成できないからです。
受入れ審査では、申請する農業の経営体の財務状況が見られます。直近の決算が赤字で債務超過だと、そのままでは「経営が続くのか」という懸念が残ります。そこで、財務の改善見通しを客観的に示す書面が求められます。それが企業評価書です。
企業評価書が必要になる場面
企業評価書は、外国人技能実習機構(OTIT)の提出書類のうち、別紙②-1・番号20にあたる書面です。申請する経営体が債務超過のときに求められます。
農業は、この場面に当たりやすい業種です。理由を挙げます。
- 施設園芸(ビニールハウス農家)は、燃料費や資材費の高騰で採算が振れやすい
- 露地野菜栽培法人は、天候不順や相場の下落で単年の赤字が出やすい
- 養豚・養鶏・酪農などの畜産会社は、飼料価格の変動や設備投資の負担が大きい
いずれも、一時的な要因で決算が赤字・債務超過になりやすい構造を持ちます。事業そのものは健全でも、直近決算の数字だけを見れば審査で不安が残る。農業ではこうした案件が珍しくありません。
加えて農業では、機械や施設への投資が先行し、収益として戻るまでに時間がかかります。ハウスの増設や畜舎の更新をした翌期は、負債が膨らんで一時的に債務超過に見えることもあります。特定技能の人材を受け入れて事業を広げようとする農業の経営体ほど、この傾向が表れやすいと言えます。
だからこそ、直近決算の数字だけで受入れの可否を判断せず、改善の見通しを企業評価書で示す備えが要になります。
作成できる資格の壁
ここで壁になるのが、企業評価書を作成できる資格です。この書面は、財務や経営の改善見通しを専門的に評価するものです。作成できるのは中小企業診断士など専門の資格者に限られます。
行政書士の先生は、在留資格の申請の専門家です。しかし、企業評価書の作成は業務の範囲が異なります。役割の違いを整理します。
| 役割 | 担い手 |
|---|---|
| 在留資格(特定技能・技能実習)の申請サポート | 行政書士の先生(貴所) |
| 企業評価書(改善見通しに関する評価書面)の作成 | 中小企業診断士など(KICK) |
| 受入れ企業(農業の依頼者)との窓口・関係維持 | 行政書士の先生(貴所) |
要するに、農業の債務超過案件では、申請の専門家である先生と、企業評価書を作成できる中小企業診断士とが、役割を分けて備える形が自然です。作成の当てがないまま抱え込むと、受任機会を逃す原因になります。
備えを怠ると農業の受入れ案件で失うもの

結論を先に述べます。企業評価書の備えを怠ると、農業の受入れ案件では、審査の停滞・依頼者離れ・受任機会の逸失という3つの損失が起きやすくなります。
理由は単純です。債務超過の農業案件では、企業評価書がなければ審査が前に進みません。書面の準備が遅れるほど、依頼者の不安と不満が積み重なるからです。
審査が止まり、時期を逃す
農業には作付けや繁忙の時期があります。特定技能の人材を、田植えや収穫、畜産の飼養が忙しくなる前に迎えたい。依頼者はそう考えます。
ところが企業評価書の準備が間に合わなければ、審査が止まります。受入れの時期がずれ込み、依頼者は現場の人手不足を抱えたまま繁忙期に入ります。これは依頼者にとって切実な損失です。
依頼者が他の事務所に流れる
備えが整わないと、依頼者は「この先生に任せて大丈夫か」と不安を抱きます。企業評価書を用意できる別の体制を持つ事務所へ、相談ごと移ってしまうこともあります。
露地野菜栽培法人や畜産会社のように、継続して人材を受け入れる依頼者ほど、一度離れると影響が大きい。単発の失注では終わらず、その後の在留資格の更新や追加受入れの相談まで失いかねません。
受任機会そのものを逃す
最も避けたいのは、受任機会そのものの逸失です。企業評価書を作れないという一点で相談を断れば、農業の受入れという需要の大きい分野で、先生が受けられたはずの案件を手放すことになります。
特定技能・技能実習の受入れは、農業をはじめ人手不足の現場で今後も続きます。備えの有無が、受任の安定を左右します。
ここで押さえたいのは、これらの損失が別々に起きるのではない点です。審査が止まれば依頼者の不安が募り、不安が募れば他の事務所へ流れ、結果として受任機会を失う。3つの損失は連鎖して起きます。企業評価書の備えを整えておくことは、この連鎖を断つことでもあります。
農業の受入れ審査に備える3つの視点

ここからが本題です。農業の債務超過案件で受入れ審査に備えるには、3つの視点が役立ちます。決算の背景を読み解く視点・改善見通しを企業評価書で示す視点・申請と作成の役割を分担する視点の3つです。
この3つを押さえておけば、債務超過の農業案件でも慌てずに備えを整えられます。順に見ていきます。
決算に表れた債務超過の背景を読み解く
1つ目は、決算の数字の背景を読み解く視点です。債務超過という結果だけでなく、なぜそうなったのかを理解することが備えの起点になります。
農業の赤字・債務超過には、事業の失敗とは言えない一時的な要因が多くあります。例を挙げます。
- 施設園芸で、暖房用の燃料費が高騰し、単年の採算が悪化した
- 露地野菜法人で、天候不順による不作と相場下落が重なった
- 畜産会社で、飼料価格の上昇や、牛舎・鶏舎への設備投資が負担になった
これらは、事業の継続性そのものを否定する要因ではありません。一時的な要因と、構造的な問題とを見分けることが大切です。この見極めは、財務を専門に扱う中小企業診断士などの領域です。先生は依頼者の実情を把握し、専門家に橋渡しをする役割を担います。
改善の見通しを企業評価書で客観的に示す
2つ目は、改善の見通しを企業評価書で客観的に示す視点です。審査で問われるのは「今が赤字か」だけではありません。「この先、財務が改善に向かうか」という見通しです。
企業評価書は、この見通しを第三者の目で裏づける書面です。前述のとおりOTIT提出書類の別紙②-1・番号20にあたり、債務超過の農業の経営体が特定技能・技能実習の受入れを進めるうえで要になります。
KICKでは、農業の依頼者の財務を中小企業診断士が分析し、改善の見通しを企業評価書として整えます。おおまかな流れを示します。
| 段階 | 主な内容 | 担い手 |
|---|---|---|
| 実情の共有 | 依頼者の事業内容・決算・受入れ計画を確認 | 貴所とKICK |
| 財務分析 | 債務超過の背景と改善余地を分析 | KICK(中小企業診断士など) |
| 企業評価書の作成 | 改善見通しを評価書面として整える | KICK(中小企業診断士など) |
| 申請サポート | 在留資格の申請に書面を活用 | 貴所(行政書士) |
財務分析と書面作成の実務は中小企業診断士が主導します。先生の実務負担や専門外のリスクは小さく抑えられます。企業評価書の作成の詳しい流れは、企業評価書作成支援の詳細でご確認いただけます。
連携に、依頼者を奪う意図はありません。KICKは企業評価書の作成を担うだけで、在留資格の申請や依頼者との関係は貴所のものです。売り込みもありません。
在留資格の申請と企業評価書の作成を分担する
3つ目は、申請と作成の役割を先に分担しておく視点です。案件が動き出してから慌てないよう、備えの段階で体制を決めておきます。
役割の分け方はシンプルです。在留資格の申請サポートは先生が担い、企業評価書の作成は中小企業診断士などが担う。窓口と依頼者との関係は先生が持ち続けます。
この分担を先に決めておけば、農業の依頼者から債務超過の相談を受けても、その場で受任の見通しを示せます。「企業評価書は連携する中小企業診断士が作成します」と伝えられるからです。備えとは、書面を作ることだけでなく、作れる体制を先に持っておくことでもあります。
3つの視点の関係を、あらためて整理します。
| 視点 | 問い | 担い手 |
|---|---|---|
| 背景を読み解く | なぜ債務超過になったのか | 貴所が実情を把握し橋渡し |
| 見通しを示す | 改善に向かう見通しはあるか | KICKが企業評価書で客観化 |
| 役割を分担する | 誰が何を担うのか | 申請は貴所・作成はKICK |
この3つの視点は、農業の債務超過案件に共通して使えます。施設園芸でも、露地野菜栽培法人でも、畜産会社でも、備えの筋道は同じです。特定技能・技能実習の受入れ審査を前に進める土台になります。
連携で農業の依頼者に選ばれ続ける事務所の未来

企業評価書の連携体制を持つと、先生の事務所には具体的な変化が生まれます。ここでは、その未来を3つの軸で描きます。
面談の質が上がる
債務超過の農業案件でも、先生は「企業評価書は連携先の中小企業診断士が作成します」と落ち着いて説明できます。相談の場で受入れ審査への備えの道筋を示せるため、依頼者の不安がその場で和らぎます。
施設園芸や畜産の依頼者は、財務の話に不慣れなことが多いものです。先生が窓口として道筋を示せれば、面談の信頼感は大きく高まります。企業評価書という具体的な備えの名前を出せることが、相談の場での安心感につながります。
時間と受任が安定する
企業評価書の作成を中小企業診断士に任せられれば、先生は在留資格の申請サポートという本来の強みに集中できます。慣れない財務分析に時間を取られることがなくなります。
農業は特定技能・技能実習の受入れが継続する分野です。備えがあれば、債務超過の案件も断らずに受けられ、受任が安定します。
依頼者と周囲からの信頼が高まる
難しい案件を前に進められる事務所は、依頼者から頼りにされます。農業の受入れは地域のつながりが濃く、一件の満足が次の紹介を呼びます。
「あの先生に相談すれば、債務超過でも受入れの道筋を示してくれる」。そう思われる事務所になれば、継続受任と紹介の好循環が生まれます。面談の質・受任の安定・周囲からの信頼、この3つを共に手に入れましょう。
自所だけで抱える限界と中小企業診断士との連携

結論を申し上げます。農業の債務超過案件を自所だけで抱えるのは、専門外のリスクと時間コストの面で限界があります。だからこそ、中小企業診断士と連携する事務所が増えています。
理由を整理します。企業評価書は、財務や経営の改善見通しを専門的に評価する書面です。作成できるのは中小企業診断士など専門の資格者に限られます。行政書士の先生が独学で対応するには、範囲も責任も大きすぎます。
専門外を抱えるリスク
企業評価書は、審査に用いる重要な書面です。財務分析の精度が問われます。専門外の領域を無理に抱えれば、内容の妥当性に不安が残り、かえって審査での信頼を損ないかねません。
農業には、施設園芸・露地野菜・畜産と、業態ごとに費用構造の違いがあります。この違いをふまえた分析は、財務を専門に扱う中小企業診断士などの領域です。
時間コストの問題も見過ごせません。慣れない財務分析に時間を割けば、本来注力すべき在留資格の申請サポートが手薄になります。案件が重なる時期には、この負担がそのまま受任の上限になってしまいます。専門外の作業を抱え込むほど、受けられる件数が減るという矛盾が起きます。
連携で得られる備え
KICKは認定経営革新等支援機関として、法人支援150社以上の実務経験を持ちます。全国オンライン対応で、来社は不要です。農業の依頼者の企業評価書についても、財務分析から書面の作成まで中小企業診断士が担います。
先生にとっての利点を、ベネフィットの視点でまとめます。
- 債務超過の農業案件でも、客観的な企業評価書を用意でき、受任につなげられる
- 財務と改善見通しの実務は中小企業診断士が主導し、専門外のリスクが小さい
- 「在留資格まわりで頼れる事務所」として、継続受任と紹介につながる
費用の具体額は案件により異なります。詳細はサービスページにてご確認ください。連携の全体像は、士業連携(提携)の詳細もあわせてご覧いただけます。企業評価書の作成支援については、企業評価書作成支援の詳細をご参照ください。
依頼者・顧問先を奪うことはありません。在留資格の申請は貴所、企業評価書の作成はKICKという役割分担です。連携や契約の義務はなく、売り込みもありません。
よくある質問

Q. 連携すると、農業の依頼者を奪われませんか?
A. 奪うことはありません。KICKが担うのは企業評価書の作成のみです。在留資格の申請サポートや依頼者との窓口は、これまでどおり貴所が持ち続けます。役割分担を明確にした連携です。
Q. 自所の実務負担はどの程度になりますか?
A. 財務分析と企業評価書の作成は中小企業診断士が主導します。先生には、依頼者の実情の共有と、在留資格の申請サポートをお願いします。慣れない財務の実務を抱える必要はありません。
Q. 企業評価書は誰が作れるのですか?
A. 財務や経営の改善見通しを専門的に評価する書面のため、作成できるのは中小企業診断士など専門の資格者に限られます。行政書士や依頼者ご自身では作成できません。
Q. 農業の依頼者が債務超過でも、受入れは可能ですか?
A. 債務超過であること自体が、ただちに受入れを妨げるわけではありません。改善の見通しを企業評価書で客観的に示すことが、審査への備えになります。だからこそ書面の準備が重要です。
Q. 施設園芸や畜産など、業態が違っても対応できますか?
A. 対応できます。施設園芸(ハウス農家)・露地野菜栽培法人・養豚養鶏酪農などの畜産会社では、費用構造が異なります。中小企業診断士が業態の違いをふまえて財務を分析し、企業評価書を整えます。
Q. 特定技能と技能実習で、備えの考え方は変わりますか?
A. どちらの在留資格でも、農業の経営体が債務超過なら、改善見通しを示す企業評価書が要になる点は共通します。基本の備えは同じと考えていただいて差し支えありません。
Q. 育成就労制度への移行は関係しますか?
A. 育成就労制度は2027年4月の施行が予定されています。制度が移っても、農業の受入れで財務の健全性が見られる流れは続くと考えられます。企業評価書の備えは今後も役立ちます。
Q. 費用はどのくらいかかりますか?
A. 案件の内容により異なるため、具体額はこの場では申し上げられません。詳細はサービスページにてご確認ください。まずは無料でご相談いただけます。
Q. 全国どこの農業の依頼者でも相談できますか?
A. できます。KICKは全国オンライン対応で、来社は不要です。遠方の施設園芸や畜産の依頼者の企業評価書についても、オンラインで連携を進められます。
Q. まず何から始めればよいですか?
A. 農業の依頼者の決算と受入れ計画のあらましをご共有ください。企業評価書が必要かどうか、備えの見通しを一緒に確認するところから始められます。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。連携や契約の義務はありません。依頼者との関係はそのまま維持されます。在留資格の申請は貴所、企業評価書の作成はKICKという役割分担です。農業の債務超過案件で、受任機会を一緒に守りましょう。
まとめ

農業は、天候・相場・資材価格に左右され、決算が赤字・債務超過に振れやすい業種です。特定技能や技能実習の受入れ審査では、債務超過の経営体に企業評価書が求められます。しかし、この書面は行政書士の先生ご自身では作成できません。
だからこそ、備えの3つの視点が役立ちます。決算に表れた債務超過の背景を読み解くこと。改善の見通しを企業評価書で客観的に示すこと。在留資格の申請と企業評価書の作成を分担しておくこと。この3つを押さえれば、債務超過の農業案件でも慌てずに受任へつなげられます。
備えとは、書面を作ることだけではありません。作れる体制を先に持っておくことです。在留資格の申請は貴所、企業評価書の作成は中小企業診断士のKICK。この役割分担を先に整えておけば、農業の依頼者から相談を受けた瞬間に、受任の道筋を示せます。専門外を無理に抱えず、受任機会を逃さない。それが連携という選択です。
農業の債務超過案件でお困りの際は、いつでもご相談ください。依頼者との関係はそのまま、企業評価書の作成だけをKICKがお手伝いします。特定技能・技能実習の受入れという大切な機会を、備え不足で手放さずに済む体制を、一緒に整えていきましょう。







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