
建設業の依頼者から、外国人材の受入れについて相談を受ける。話を進めるうちに、直近決算が赤字・債務超過だと分かる。特定技能や技能実習の在留資格の申請は貴所の得意分野です。しかし「この財務状況で受入れ審査に通るのか」と問われた瞬間、答えに詰まってしまう——そんな場面はないでしょうか。
あなたはこのような悩みはありませんか?
- 依頼者の建設会社が債務超過で、受入れ審査が不安
- 企業評価書が必要だが、自所では作成できない
- 作成できる専門家の当てがなく、受任を逃しそう
これは、先生おひとりの力不足ではありません。企業評価書(改善見通しに関する評価書面)は、行政書士が作成できる書類ではないからです。相手は債務超過という状況であり、依頼者でも先生でもありません。
結論を先にお伝えします。建設業の債務超過案件で受任を逃さない鍵は、企業評価書を作成できる中小企業診断士などとあらかじめ連携しておくことです。準備の当てがあれば、財務状況を理由に相談を断る必要はなくなります。
本記事は、認定経営革新等支援機関であり法人支援実績150社以上を持つKICKコンサルティング株式会社(銀座本社)代表・松本昌史(中小企業診断士)が、行政書士事務所の視点で解説します。
この記事で分かること
- 建設業の債務超過案件で受任機会を逃しやすい理由
- 受任を逃さないための5つの秘訣
- 企業評価書は誰が作成できるのかという資格の壁
- 中小企業診断士などと連携する具体的な体制と役割分担
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。連携や契約の義務はありません。依頼者との関係はそのまま維持されます。在留資格の申請は貴所、企業評価書の作成はKICKという役割分担です。
なぜ債務超過の建設業案件で受任機会を逃しやすいのか

結論からお伝えします。建設業の債務超過案件で受任を逃しやすいのは、企業評価書という「行政書士が作成できない書類」が受入れ審査で求められるからです。
理由は、書類の性質にあります。企業評価書(改善見通しに関する評価書面)は、外国人技能実習機構(OTIT)提出書類の別紙②-1・番号20にあたります。申請企業が債務超過のときに、財務の改善見通しを客観的に示すために求められる書面です。
そして、この書面を作成できるのは中小企業診断士など専門の資格者に限られます。行政書士や税理士は作成できません。ここに、多くの事務所がつまずく壁があります。
建設業は債務超過が起きやすい構造
建設業は、そもそも財務が振れやすい業種です。理由は次のとおりです。
- 工事の入金が完成後になり、材料費や外注費の立替が先行する
- 受注の波が大きく、閑散期に赤字が出やすい
- 職人の人手不足で、外注比率が上がり利益が薄くなる
たとえば型枠工事会社や鉄筋施工会社では、大型現場の材料を先に仕入れます。足場架設(とび)工事会社や内装仕上げ工事会社、左官・塗装工事会社でも、外注費の支払いが入金より先に来ます。こうして直近決算が赤字・債務超過に振れることは、決して珍しくありません。
しかも建設業は、いま特定技能や技能実習での外国人材の受入れニーズが最も高い業種のひとつです。職人の高齢化と若手不足が同時に進み、現場を回す人手が足りていません。だからこそ、財務が振れやすい会社ほど外国人材を求める、という一見矛盾した状況が生まれます。
だからこそ、建設業の依頼者ほど特定技能や技能実習で外国人材を受け入れたい一方で、財務状況が受入れ審査の不安要素になりやすいのです。この現実を踏まえておくことが、受任を逃さない出発点になります。
作成資格の壁を整理する
誰が何を担えるのかを整理すると、壁の正体がはっきりします。
| 役割 | 担い手 | 企業評価書の作成 |
|---|---|---|
| 在留資格の申請サポート | 行政書士(貴所) | 作成できない |
| 顧問先の税務 | 税理士 | 作成できない |
| 企業評価書(改善見通しに関する評価書面)の作成 | 中小企業診断士など | 作成できる |
要するに、建設業の債務超過案件で受任を逃すのは、先生の実力の問題ではありません。作成資格の壁を知り、作成できる専門家をあらかじめ確保していないことが原因です。ここを設計すれば、受任機会は守れます。
受任を逃さないための5つの秘訣

ここからが本題です。建設業の債務超過案件で受任を逃さないための秘訣は、次の5つに集約されます。
- 初回相談での財務状況の早期把握
- 「債務超過=受入れ不可」という思い込みの排除
- 企業評価書の作成資格を踏まえた連携先の事前確保
- 提出書類と準備スケジュールの逆算
- 役割分担の明示による依頼者の安心づくり
それぞれを、建設業の現場に即して掘り下げます。
初回相談での財務状況の早期把握
結論は、初回相談の段階で決算書を確認する運用にすることです。理由は、財務状況を知るのが遅いほど手が打てなくなるからです。
たとえば内装仕上げ工事会社の受入れ相談で、書類を進めた終盤に債務超過が判明したとします。ここから企業評価書の準備を始めると、審査に間に合わない恐れがあります。逆に初回で決算書を見ておけば、必要な準備を早い段階で見立てられます。
初回相談で確認したい財務の要点は次のとおりです。
- 直近期が赤字か、純資産がマイナス(債務超過)か
- 債務超過なら、その金額と主な原因
- 改善の見通しを語れる材料があるか
早く知ることが、受任を逃さない最初の一歩になります。
「債務超過=受入れ不可」という思い込みの排除
結論は、債務超過でも受入れをあきらめる必要はないということです。理由は、財務の改善見通しを客観的に示せれば、受入れ審査で説明が可能になるからです。
債務超過という言葉だけで相談を断ってしまうと、依頼者は他の事務所を探します。これが受任機会の逸失そのものです。足場架設(とび)工事会社のように一時的な立替で債務超過に見える会社は、建設業に数多くあります。
実際、建設業では受注の波や大型現場の立替によって、一時的に純資産がマイナスに振れる会社が少なくありません。数字の一点だけを見て受入れをあきらめるのは、依頼者にとっても事務所にとっても損失です。まずは「なぜ債務超過になったのか」を冷静に確認する姿勢が求められます。
大切なのは、赤字や債務超過を「終わり」と捉えないことです。改善見通しを示す企業評価書があれば、債務超過は説明できる状況に変わります。この理解が、断らない事務所への転換点になります。
企業評価書の作成資格を踏まえた連携先の事前確保
結論は、企業評価書を作成できる中小企業診断士などと、案件が来る前に連携しておくことです。理由は、依頼が入ってから探し始めると準備が間に合わないからです。
企業評価書を作成できるのは中小企業診断士など専門の資格者に限られます。行政書士である先生が自所で作成することはできません。だからこそ、作成の当てを先に持っておく設計が効きます。
連携先を事前に確保しておく利点は次のとおりです。
- 債務超過の相談が来ても、その場で受任判断ができる
- 準備の見通しを依頼者に即答でき、信頼が高まる
- 財務の実務は連携先が担うため、先生の専門外リスクが小さい
詳しくは企業評価書作成支援の詳細をご確認ください。連携先を先に押さえることが、受任を逃さない土台になります。
提出書類と準備スケジュールの逆算
結論は、申請の期限から準備を逆算することです。理由は、企業評価書には財務分析の時間が必要で、直前では間に合わないからです。
企業評価書は、別紙②-1・番号20として求められる書面です。決算書の読み込み、債務超過の原因分析、改善見通しの整理という工程を経て仕上がります。鉄筋施工会社の受入れ案件でも、この工程を見込んで前倒しで動く必要があります。
逆算のイメージは次のとおりです。
| 段階 | 主な作業 | 担い手 |
|---|---|---|
| 初回相談 | 決算書の確認・受入れ意向の把握 | 貴所 |
| 財務分析 | 債務超過の原因・改善見通しの整理 | 中小企業診断士など |
| 書面作成 | 企業評価書の作成 | 中小企業診断士など |
| 申請サポート | 在留資格の申請書類の取りまとめ | 貴所 |
この表のとおり、貴所と中小企業診断士などの作業は交互に進みます。連携先が決まっていれば、初回相談の直後から財務分析に入れます。期限から段階的に組み立てておけば、あわてずに受任へつなげられます。準備スケジュールを逆算する習慣が、建設業の債務超過案件を取りこぼさない実務の要になります。
役割分担の明示による依頼者の安心づくり
結論は、誰が何を担うのかを依頼者に最初から示すことです。理由は、分担が見えると依頼者が安心し、受任が確実になるからです。
依頼者である建設会社の社長は、財務の専門用語に不慣れなことが多いものです。左官・塗装工事会社の社長に「企業評価書は別の専門家が作ります」とだけ伝えると、不安が残ります。
そこで、次のように役割を言葉にして示します。
- 在留資格の申請サポートは貴所が担う
- 財務分析と企業評価書の作成は中小企業診断士などが担う
- 両者が連携し、受入れ審査に向けて準備を進める
この一言があるだけで、依頼者は「ここに任せれば大丈夫だ」と感じます。特に建設業の社長は、現場を止めずに手続きを進めたいと考えています。誰が何を担うのかが明確なほど、依頼者は安心して先生に任せられます。役割分担の明示こそ、受任を逃さない5つの秘訣の締めくくりです。
このまま何もしなければ建設業の受任機会はどう失われるか

結論からお伝えします。準備の当てを持たないままだと、建設業の債務超過案件は静かに他所へ流れていきます。理由は、依頼者は「すぐに動いてくれる事務所」を求めているからです。
相談段階での取りこぼし
債務超過を理由に一度でも歯切れの悪い返答をすると、依頼者は不安を覚えます。型枠工事会社の社長は、複数の事務所に声をかけていることも少なくありません。
このとき起きるのは次のような取りこぼしです。
- 「対応が難しそうだ」と受け取られ、相談が続かない
- 企業評価書の作成先を紹介できず、話が止まる
- 準備の見通しを示せず、依頼者が他所へ移る
財務状況を理由に受任を逃すのは、非常にもったいない結果です。特定技能や技能実習の相談は、一度断られた依頼者が戻ってくることはまれです。最初の返答が、受任の分かれ目になります。
準備の遅れが審査の遅れを招く
取りこぼしのもう一つの形は、受任できても準備が遅れることです。企業評価書は、決算書の分析や改善見通しの整理に時間がかかります。連携先を持たないまま着手すると、申請の期限に追われかねません。
建設業では、現場の繁忙期と申請の時期が重なることもあります。鉄筋施工会社や内装仕上げ工事会社の社長は、書類のために現場を離れる余裕が乏しいものです。準備の当てがあれば、依頼者の負担も軽くできます。逆に段取りが後手に回ると、審査そのものが遅れてしまいます。
既存の依頼者との関係にも影響する
取りこぼしは、新規の相談だけの話ではありません。既存の依頼者が事業を広げ、特定技能や技能実習で外国人材を増やす場面でも、同じ壁が現れます。
そのとき企業評価書の準備に手間取れば、依頼者は「在留資格まわりで頼りきれない」と感じかねません。逆に、準備の当てを持っていれば、既存の依頼者からの継続受任や紹介にもつながります。
要するに、何もしないことのコストは、目に見えにくい形で積み上がっていきます。だからこそ、案件が来る前の備えが重要になります。
企業評価書を中小企業診断士と連携して用意する体制

結論は、企業評価書の作成を中小企業診断士などに任せ、在留資格の申請サポートに専念できる体制をつくることです。理由は、専門を分けたほうが、依頼者にとっても事務所にとっても確実だからです。
制度上の位置づけを正しく押さえる
まず、企業評価書がどの書類なのかを整理します。企業評価書(改善見通しに関する評価書面)は、外国人技能実習機構(OTIT)提出書類の別紙②-1・番号20にあたります。申請企業が債務超過のときに求められる書面です。
なお、育成就労制度は2027年4月に施行が予定されています。技能実習からの移行が進むなかで、建設業でも受入れの動きは今後さらに広がると見込まれます。財務が振れやすい業種だけに、企業評価書が必要になる場面は増えていくと考えられます。
ここで押さえておきたいのは、企業評価書は「悪い決算をごまかす書類」ではないという点です。債務超過に至った原因を客観的に分析し、そこから先の改善見通しを筋道立てて示すための書面です。だからこそ、財務の専門家である中小企業診断士などが作成する意味があります。建設業のように一時的な立替や受注の波で債務超過に見える会社ほど、この客観的な説明が受入れ審査で効いてきます。
KICKの財務分析と作成の流れ
KICKでは、中小企業診断士が財務分析から企業評価書の作成までを担います。おおまかな流れは次のとおりです。
- 決算書と直近試算表をもとに、財務状況を分析する
- 債務超過の原因と、改善の見通しを整理する
- 改善見通しに関する評価書面(企業評価書)を作成する
- 在留資格の申請サポートを担う貴所と内容を共有する
この流れなら、財務の専門的な実務は中小企業診断士などが主導します。先生は、得意な在留資格の申請サポートに集中できます。建設業の債務超過案件でも、迷わず受任できる体制です。
連携や契約を強いることはありません。依頼者を奪うこともありません。在留資格の申請は貴所、企業評価書の作成はKICKという役割分担です。まずは体制の相談からで結構です。
自所だけで抱える限界と、連携で手に入れる未来

結論からお伝えします。企業評価書を自所だけで抱えようとすると、時間と専門外リスクの二つの壁に必ずぶつかります。だからこそ、連携する事務所が増えています。
自所だけで抱えることの限界
行政書士である先生が、財務分析や企業評価書の作成まで背負う必要はありません。無理に抱えると、次の負担が生じます。
- 債務超過の分析に不慣れで、時間だけがかかる
- そもそも企業評価書は行政書士が作成できない
- 本来の在留資格の申請サポートに割く時間が減る
建設業の受入れ案件は、書類の点数も多く手間がかかります。そこに専門外の財務まで抱えては、事務所の生産性が落ちてしまいます。
先生の事務所が手に入れる未来
中小企業診断士などと連携すると、先生の事務所には3つの未来が生まれます。
| 軸 | 連携で得られること |
|---|---|
| 面談の質 | 債務超過でも「準備できます」と即答でき、相談が前に進む |
| 時間と受任の安定 | 財務実務を任せ、申請サポートに集中でき、受任が安定する |
| 信頼 | 在留資格まわりで頼れる事務所として、継続受任・紹介が増える |
財務が振れやすい建設業を扱う先生ほど、この効果は大きく表れます。専門外のリスクを負わず、得意分野で選ばれ続ける。そんな事務所の姿を、KICKと共に手に入れましょう。
連携の全体像は士業連携(提携)の詳細をご覧ください。役割分担や進め方をまとめています。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。連携の義務も、契約の縛りもありません。依頼者との関係はそのまま維持されます。在留資格の申請は貴所、企業評価書の作成はKICKという役割分担です。
よくある質問

Q. 連携すると、依頼者を奪われませんか?
A. 奪いません。KICKが担うのは企業評価書の作成と財務分析だけです。在留資格の申請サポートは貴所が担い、依頼者との窓口も貴所のままです。役割分担を守ることが連携の前提です。
Q. 自所の負担はどの程度になりますか?
A. 財務分析と企業評価書の作成という専門外の実務は中小企業診断士などが主導します。先生には、決算書の共有と在留資格の申請サポートに集中いただけます。専門外リスクを負う必要はありません。
Q. 企業評価書は誰が作成できるのですか?
A. 企業評価書(改善見通しに関する評価書面)を作成できるのは、中小企業診断士など専門の資格者に限られます。行政書士や税理士は作成できません。だからこそ、作成できる専門家との連携が有効です。
Q. 建設業の依頼者が債務超過でも、受入れは可能ですか?
A. 債務超過だけで受入れが不可になるわけではありません。財務の改善見通しを企業評価書で客観的に示せれば、受入れ審査に向けた説明が可能になります。まずは決算書の確認からです。
Q. 特定技能と技能実習で、企業評価書の考え方は変わりますか?
A. 受入れの枠組みによって手続きは異なりますが、債務超過のときに財務の改善見通しを客観的に示す必要がある点は共通します。個別の要件は案件ごとに整理してご案内します。
Q. 型枠工事や足場架設など、業種で対応は変わりますか?
A. 型枠工事会社、鉄筋施工会社、足場架設(とび)工事会社、内装仕上げ工事会社、左官・塗装工事会社など、建設業のいずれも対応可能です。財務分析の考え方は共通しています。
Q. 費用はどのくらいかかりますか?
A. 費用は案件の内容によって異なります。具体的な料金は、詳細をサービスページにてご確認ください。まずは体制のご相談からで結構です。
Q. 全国どこでも対応できますか?
A. 全国オンライン対応で、来社は不要です。地方の建設業の依頼者を抱える事務所からもご相談いただけます。決算書の共有もオンラインで完結します。
Q. 育成就労への移行が近いですが、今から準備すべきですか?
A. 育成就労制度は2027年4月に施行が予定されています。受入れの動きは今後広がると見込まれます。案件が来る前に連携先を確保しておくと、あわてずに受任できます。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。連携や契約の義務はありません。依頼者を奪うこともありません。在留資格の申請は貴所、企業評価書の作成はKICKという役割分担のもとで進めます。
まとめ

建設業の債務超過案件で受任を逃すのは、先生の実力不足ではありません。企業評価書という行政書士が作成できない書類が、受入れ審査で求められるからです。
だからこそ、受任を逃さない鍵は、企業評価書を作成できる中小企業診断士などと、案件が来る前に連携しておくことに尽きます。財務状況を理由に相談を断る必要はなくなります。本記事で挙げた5つの秘訣は、いずれも特別な準備を要するものではなく、日々の相談対応に組み込めるものばかりです。
在留資格の申請サポートは貴所が担い、財務分析と企業評価書の作成はKICKが担う。この役割分担があれば、特定技能や技能実習で外国人材を受け入れたい建設業の依頼者を、財務の壁で逃すことはありません。得意分野で選ばれ続ける事務所の姿を、KICKと共に手に入れましょう。







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