
「外国人スタッフがいなければ、うちの介護施設は運営できない」——こう話す介護施設経営者は多いです。実際、2025年度には全国で約32万人の介護職員が不足すると厚生労働省が推計しており、特に技能実習生や特定技能外国人の受け入れは、事業継続の鍵となっています。
しかし、同時に多くの施設経営者が直面している課題があります。それが「債務超過状態での外国人受け入れ継続」という問題です。
決算書が債務超過(負債が資産を上回る状態)に陥っていると、外国人技能実習生や特定技能労働者の受け入れ申請は、出入国在留管理庁(入管)から「企業評価書」の提出を求められます。ここで気づくのです——「申請書類だけではダメなのか」と。
実は、この企業評価書がなければ、いくら優秀な実習生の採用が決まっていても、入管から受け入れ許可を得られない可能性が高いのです。そして、その作成は「誰でも対応できる書類」ではありません。
本記事では、介護施設が直面する「債務超過×外国人受け入れ継続」という課題に対して、法的根拠と実務的な解決策を、中小企業診断士(松本昌史)の視点で解説します。
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企業評価書がなければ外国人スタッフ継続は不可能

債務超過企業が外国人技能実習生または特定技能労働者を受け入れる場合、出入国在留管理庁への申請に際して「企業評価書」の提出が義務づけられています。
この法的根拠は、出入国在留管理庁が定める「特定技能外国人受入れに関する運用要領」に基づいています。同庁は、企業の貸借対照表(決算書)において直近期末時点で債務超過と判定された場合、通常書類だけでなく、必ず企業評価書の提出を求めるのです。
企業評価書とは何か
企業評価書は、企業の経営状況を第三者の専門家が客観的に評価した公的書類です。以下の内容が記載されます。
| 評価項目 | 説明 |
|---|---|
| 債務超過に至った経緯 | 経営難の背景(原材料費高騰、採用難など)を客観的に分析 |
| 今後の改善計画 | 数値ベースで経営改善の具体策を示す |
| 事業の継続性 | 施設の運営継続の可能性を診断 |
| 外国人受け入れの適切性 | 受け入れ後の処遇保障、労務管理体制を検証 |
作成できる資格者は限定されている
企業評価書の作成には、公的資格を持つ第三者が対応する必要があります。具体的には次のとおりです。
| 外国人受け入れの区分 | 作成可能な資格者 |
|---|---|
| 技能実習生 | 中小企業診断士 / 公認会計士 |
| 特定技能労働者 | 中小企業診断士 / 公認会計士 / 税理士 |
重要な点として、「資格を持っているだけで入管審査を通過させた実績がない専門家」に依頼することは避けるべきです。企業評価書は単なる形式的な書類ではなく、入管審査官が「本当に経営改善は可能か」「外国人受け入れに対応できる経営体質か」を判断する根拠となるのです。
債務超過企業が陥る3つの誤解と法的リスク

債務超過に陥った介護施設経営者の多くが、次の3つの誤解を持っています。これが対応を遅れさせ、人員喪失につながるのです。
誤解①:「債務超過 = 外国人受け入れ禁止」
これは半分正しく、半分間違っています。
出入国在留管理庁は、「債務超過の企業に対して即不許可とはしていません」と公式に述べています。重要なのは「経営継続性」と「支援体制」が明確に示せるかどうかなのです。
つまり、適切な企業評価書があれば、債務超過企業でも外国人受け入れは可能です。ただし、その企業評価書が「入管審査に耐えうる内容」である必要があるということです。
誤解②:「自社の顧問税理士に企業評価書を作成してもらえば大丈夫」
顧問税理士が特定技能の企業評価書を作成することは、制度上可能です。しかし、「作成したことがある」と「入管審査を通過させた実績がある」は、まったく異なります。
税理士の主な専門は「税務申告」です。一方、入管審査では「経営改善計画の実現可能性」「外国人受け入れ後の処遇保障」といった経営コンサルティングレベルの深い分析が必要とされます。この領域は中小企業診断士の専門領域です。
結果として、税理士が作成した評価書が形式的で、入管から「改善計画の根拠が不十分」と指摘される事例は少なくありません。
誤解③:「2025年4月の訪問介護分野解禁で、当施設も制度の対象になる」
2025年4月から、訪問介護分野における特定技能外国人の雇用が解禁される予定です。この朗報に期待する経営者も多いでしょう。
しかし、解禁されたからといって、債務超過企業が評価書なしで申請通過できるわけではありません。むしろ、人気が高い訪問介護分野だからこそ、入管の審査は厳格になる傾向があります。早急に適切な企業評価書を準備する必要があるのです。
評価書なき継続受け入れのリスク:数字で見る経営危機

企業評価書なしで外国人受け入れを続けようとした場合、何が起きるか。具体的な数字で示します。
リスク1:技能実習生の帰国による急激な人員喪失
事例:有料老人ホーム(100床、職員45名)
- 技能実習生:12名(実習期間満了予定が2026年3月)
- 全職員に占める割合:約27%
- 夜勤職員中の実習生の割合:60%
企業評価書を提出できず、実習生の在留資格更新が不許可となった場合、一度に12名が帰国します。
夜勤体制が大きく崩れ、残された日本人職員の負担は劇的に増加します。介護職員1人あたりの担当利用者数が一気に増え、サービスの質低下は避けられません。
リスク2:代替採用の急激なコスト増
人員喪失時の代替採用シミュレーション
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 欠員者数 | 12名 |
| 想定月給(介護職) | 350,000円 |
| 代替採用による月間給与追加分 | 4,200,000円 |
| 採用・教育コスト(新人1名あたり) | 150,000円 |
| 採用・教育コスト合計 | 1,800,000円 |
| 6ヶ月間の人員補充コスト(給与+採用費) | 27,000,000円 |
一度に大量の職員を失うと、採用市場では「急募」という弱い立場を示すことになり、採用活動も長期化します。現在、介護職の有効求人倍率は全業種平均を大きく上回っており、急な人員補充はほぼ不可能です。
リスク3:銀行融資の打ち切りと事業継続危機
債務超過の状態で、さらに大量の職員喪失が発生すると、銀行からの評価は劇的に悪化します。
「経営改善の見込みなし」と判定され、融資の返済期限を迫られたり、新規融資が完全に不可能になるリスクが高まります。
その結果、介護施設の事業継続そのものが危機に瀕することになるのです。
企業評価書作成の5ステップと必要書類

企業評価書の作成は、単なる「書類作成」ではなく、経営診断と改善計画の策定を含むプロジェクトです。実務的な進め方を解説します。
ステップ1:専門家の選定と相談(1週間以内)
以下の条件を満たす専門家を探すことが重要です。
- 中小企業診断士(技能実習・特定技能の両方に対応可)
- 介護施設の企業評価書作成実績が複数件ある
- 入管審査を通過させた実績を確認できる
- 経営改善計画の同時サポートが可能(評価書だけでなく、その後の改善まで見守る)
中小企業診断協会の各地域協会に電話すれば、実績のある診断士を紹介してもらえます。
ステップ2:財務状況と経営データの提供(1~2週間)
専門家が必要とする書類は次のとおりです。
| 必要書類 | 説明 |
|---|---|
| 直近2期分の決算書 | 損益計算書・貸借対照表(確定申告書のコピー可) |
| 試算表(最新月) | 現在の経営状況を把握するため |
| 事業計画書(3年間) | 施設経営の中期方針がわかるもの |
| 職員配置表 | 外国人職員の人数・配置、給与水準 |
| 経営改善計画(あれば) | 既に策定していれば提供 |
ステップ3:経営分析と改善計画の策定(2~3週間)
専門家は、提供されたデータを基に以下を実施します。
- 財務分析:損益分岐点分析、利益感度分析で経営改善のポイントを特定
- 経営診断:債務超過に至った原因を特定し、改善の現実性を検証
- 改善計画策定:具体的な数値目標を示す3年間の経営改善計画
- 外国人受け入れ体制の検証:労務管理、処遇保障などの適切性を確認
ステップ4:企業評価書の作成(1~2週間)
経営分析が完了したら、入管へ提出する企業評価書が作成されます。
通常、作成には2週間程度かかります。ただし、在留資格申請の期限が迫っている場合は、最短1日での納品に対応している専門家もいるため、相談の際に確認しましょう。
ステップ5:入管への申請と許可取得(3~6週間)
企業評価書が完成したら、監理団体(技能実習の場合)または登録支援機関(特定技能の場合)を通じて、入管に申請します。
審査期間は案件により異なりますが、一般的には3週間~6週間を見込んでおきましょう。
なぜ自社作成は難しいのか:専門性の壁

「企業評価書は書類だから、自分たちで作成できるのではないか」——こう考える経営者もいるでしょう。しかし、入管審査で通過するレベルの評価書を作成することは、実務上不可能に近いのです。その理由を、具体的に解説します。
理由1:入管の審査基準が不透明で、実務経験が必須
入管が公開している審査基準は、実は「曖昧」です。「経営継続性が見込まれること」「適切な処遇が保障されること」といった指針は示されていますが、具体的に「どこまで詳しく書く必要があるか」「どのレベルのデータで足りるか」は、案件ごとに異なります。
これは、実際に複数の案件で審査通過させた経験がある専門家だからこそ、「このレベルなら通る」「これは足りない」という判断ができるのです。
理由2:会計知識と経営改善企画の融合が必須
企業評価書に求められるのは、単なる「数字の羅列」ではなく、「債務超過に至った根本原因を診断し、その改善可能性を数値で示す」という経営コンサルティングの専門知識です。
例えば、
- 施設の「介護報酬」のままでコストが増加している根本原因は何か
- その原因は、改善計画によって本当に解決可能か
- 職員配置の効率化で、どれだけ利益率が改善するか
- 外国人受け入れにより、どのように経営が好転するか
こうした分析は、管理会計の知識(損益分岐点分析、利益感度分析など)と、実務的な施設経営知識の両方が必要です。これは、中小企業診断士レベルの専門知識です。
理由3:銀行融資対応と並行サポートが必須
企業評価書を提出して入管許可を得ても、その後の事業継続には銀行融資が不可欠な場合が多いです。
入管が評価書で「経営改善の見通し」を認めて許可を出しても、銀行が融資を承認しなければ、その計画は絵に描いた餅になってしまいます。
つまり、
- 入管に「説得力のある」評価書
- 銀行に「融資判断できる」経営改善計画
- 実行段階での「継続的なモニタリングと軌道修正」
この3つを同時に進める必要があるのです。単なる「書類作成」では、その後の経営改善が実現できず、外国人スタッフも继续雇用できません。
KICK による企業評価書サポート:経営改善と同時推進

KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、単なる「企業評価書の作成代行」ではなく、入管許可→銀行融資→経営改善の実行まで、一貫したサポートを提供しています。
松本昌史による診断と企画
KICKの代表・松本昌史は、以下の資格と経験を持つ経営コンサルタントです。
| 資格 / 経験 | 専門分野での活用 |
|---|---|
| 中小企業診断士(経済産業大臣登録) | 企業評価書作成の法的資格保有、経営診断の専門知識 |
| MBA(経営管理修士) | 財務分析、経営改善計画の策定と実行管理 |
| 1級FP技能士 | 資金繰り分析、銀行融資対応、財務管理 |
| 事業承継士 | 長期経営視点、組織体制整備 |
KICK のサポート体制:3本柱
柱1:企業評価書の作成(入管審査通過を前提)
- 直近2期の決算書分析
- 管理会計ツール(損益分岐点分析、利益感度分析図)による経営診断
- 債務超過に至った本質原因の特定
- 3年間の具体的な経営改善計画の策定
- 入管審査を通過させた複数の実績に基づく「説得力ある」評価書作成
柱2:銀行融資対応(同時推進)
- 経営改善計画に基づく融資申請書類の作成支援
- 銀行交渉のサポート
- 返済計画の無理のない設定
柱3:経営改善計画の実行管理(継続的なモニタリング)
- 月次での経営データのモニタリング
- 計画と実績の乖離時における軌道修正
- 外国人スタッフの継続雇用に必要な体制整備
150社以上の支援実績と信頼性
KICKコンサルティング株式会社は、150社以上の中小企業・中堅企業の経営改善をサポートしてきました。特に、
- 製造業・建設業・介護施設を中心とした業界専門知識
- 債務超過企業の経営改善実績
- 外国人材受け入れに関する企業評価書作成の成功事例
など、介護施設経営者の課題に対応するための実務知識と実績を備えています。
費用の目安(透明性を重視)
企業評価書作成費用:15万~20万円程度(税抜)
この費用は、以下を含みます。
- 初期診断(無料相談)
- 財務分析と経営診断
- 企業評価書の作成
- 修正対応(通常3回程度)
ただし、経営改善計画の策定や銀行融資対応までを含む場合は、別途相談の上で費用を決定しています。
よくある質問と回答

Q1:債務超過だと絶対に外国人受け入れはできませんか?
A:いいえ、出入国在留管理庁は「即不許可」とはしていません。適切な企業評価書があれば、債務超過企業でも受け入れが認められます。重要なのは、「経営継続性」と「外国人受け入れ体制」が明確に示せるかどうかです。
Q2:企業評価書の有効期限はありますか?
A:企業評価書自体に「有効期限」は規定されていませんが、事実上の有効期間は「作成から1~2年程度」と考えられます。理由は、入管に提出する際に「直近2期の決算書」が必要となるため、決算日から大きく離れた評価書は説得力を失うからです。
Q3:技能実習と特定技能で評価書の内容は変わりますか?
A:基本的な構成は同じですが、特定技能の方がより厳格です。特に、外国人労働者の「賃金水準」「労働条件」「キャリアパス」など、処遇面での要件が技能実習より詳しく求められる傾向があります。
Q4:自分たちで簡易版を作ったら審査を通りますか?
A:「簡易版」での通過はほぼ期待できません。入管は、あくまで「専門資格者による客観的な診断」を求めています。形式的で根拠の薄い評価書は、むしろ「虚偽記載」と見なされるリスクがあります。必ず専門家に依頼してください。
Q5:2025年4月の訪問介護分野解禁で、条件が緩和されますか?
A:解禁されても、債務超過企業の評価書提出要件は変わりません。むしろ、新しく解禁される分野だからこそ、入管の審査は厳格になると予想されます。早急に適切な評価書を準備することが重要です。
Q6:複数の外国人材を受け入れる場合、評価書は1枚?複数枚?
A:原則として企業全体で「1枚」です。ただし、技能実習と特定技能の両方を同時に申請する場合は「別々の評価書」が必要になる場合もあります。申請時に監理団体や登録支援機関に確認してください。
Q7:実習生が帰国する前に評価書を作成できますか?
A:はい、可能です。むしろ、帰国予定の前に「早めに」作成することをお勧めします。作成から入管許可までには3~6週間要するため、「帰国予定の2ヶ月前」を目安に専門家に相談してください。
Q8:銀行融資との関係性は?評価書があれば融資を受けられますか?
A:企業評価書は「入管審査用の書類」です。銀行融資の可否は、別途「経営改善計画」の内容に基づいて銀行が判断します。ただし、入管で認められた経営改善計画があれば、銀行の融資判断はより前向きになる傾向があります。
債務超過でも、外国人スタッフを継続させることは可能です
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