
「大型案件の引き合いは来ているのに、施工する人がいない」。地方で完成工事高10億〜50億円規模を担うゼネコンの経営者から、こうした声が絶えません。技能実習や特定技能で外国人材を受け入れようとした矢先、監理団体や登録支援機関から「直近決算が純資産マイナス(債務超過)なので、第三者の企業評価書が必要です」と告げられ、手が止まってしまう。この壁に直面しているのは、あなただけではありません。資材価格の高騰、労務費の上昇、構造的な人手不足。原因の多くは、経営者個人の力量ではなく、建設業全体を襲う外部環境にあります。結論からお伝えします。純資産がマイナスでも、4つの条件を満たす企業評価書を提出できれば、審査の通過は十分に狙えます。ただし、評価書は誰が書いてもよいわけではなく、書き方にも審査目線の型があります。本記事では、経済産業大臣登録の中小企業診断士として債務超過企業の評価書を数多く手がけてきた立場から、その条件と手順を具体的に解説します。
この記事で分かること
- 純資産マイナスの建設会社に企業評価書が求められる制度上の根拠
- 審査を通過する4つの条件の具体的な中身
- 決算書3〜5期分から改善の見通しを立証する手順
- 評価書を作成できる専門家の要件と、依頼から納品までの流れ
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは決算書を前に、現状をお聞かせください。
純資産マイナスの地方ゼネコンを直撃する審査の壁と放置のリスク

まず押さえるべき事実は一つです。直近事業年度の貸借対照表で純資産がマイナス(債務超過)の場合、外国人材の受け入れ審査では追加書類が必須になります。外国人技能実習機構(OTIT)が公表する「技能実習計画認定申請に係る提出書類一覧・確認表(別紙②-1)」の番号20には、次のとおり明記されています。直近の事業年度で債務超過がある場合は、中小企業診断士、公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が、改善の見通しについて評価を行った書類を提出すること。番号21では直近2事業年度の損益計算書の写しも求められます。特定技能についても同様で、出入国在留管理庁が公表する運用要領において、直近期末で債務超過の場合には中小企業診断士等による改善見通しの評価書面が必要とされています。
審査官が財務内容を厳しく見る理由
審査の目的は、企業を落とすことではありません。来日する外国人材が、実習期間や在留期間の途中で「会社が倒産して賃金が払われない」事態に陥らないよう、雇用を継続できる体力があるかを確認することにあります。つまり争点は、帳簿上の純資産の符号そのものではなく、事業を続けながら給与を払い続けられるかという一点です。だからこそ、決算書の数字を第三者の専門家が読み解き、改善の見通しを論理的に示せば、純資産マイナスでも認定への道は開けます。審査で確認される主な財務ポイントを整理します。
| 確認ポイント | 審査官が見ている内容 | 求められる立証 |
|---|---|---|
| 債務超過の有無 | 直近期末の純資産がマイナスか | 第三者による企業評価書の添付 |
| 赤字の性質 | 損失が一過性か、構造的か | 赤字要因の分解と外部データによる裏付け |
| 返済能力 | 借入金を約定どおり返せるか | 営業キャッシュフローと返済予定の整合 |
| 実質的な財務内容 | 帳簿に表れない自己資本があるか | 役員借入金等を反映した実態バランスシート |
| 改善の見通し | いつ債務超過を解消できるか | 3〜5年の数値計画と純資産の推移表 |
対応を先送りにした場合の悪化シナリオ
「評価書の準備は後回しでいい」と判断すると、何が起きるでしょうか。評価書が不十分なまま申請すれば、不認定や差し戻しとなり、採用計画は半年から1年単位で遅れます。人材の入国が遅れれば、予定していた施工体制が組めず、せっかくの大型案件を辞退せざるを得ない事態も現実に起きています。外部環境は待ってくれません。帝国データバンクの調査によると、2025年の建設業の倒産は2,021件と前年比6.9%増で、4年連続の増加。2013年以来12年ぶりに2,000件を超え、過去10年で最多となりました。同年の建設業では、人手不足に起因する倒産が113件、物価高に起因する倒産が240件にのぼります。さらに国土交通省の資料(総務省「労働力調査」に基づく)では、建設業就業者のうち55歳以上が36.7%を占める一方、20代までの若手は約12%にとどまります。国内の若手採用だけで施工体制を維持する戦略は、統計の上でも限界が見えています。追い打ちをかけるのが、2024年4月から建設業にも適用された時間外労働の上限規制、いわゆる2024年問題です。残業は原則として月45時間・年360時間までとなり、既存の職人の長時間労働で工期を守る従来のやり方は、法律上も選べなくなりました。人員の絶対数を増やす以外に、施工体制を守る道はありません。
審査を通過する4つの条件と企業評価書による立証の手順

結論として、純資産マイナスの建設会社が審査を通過するには、次の4つの条件を企業評価書の中で立証できるかがすべてです。ポイントは4つ。順に見ていきます。
条件1 過去数年の赤字が構造的なものではないことの証明
審査官が最も警戒するのは、「この会社は毎年赤字を出し続ける体質ではないか」という疑いです。そこで評価書では、赤字の原因を一つずつ分解し、一過性の要因と構造的な要因を明確に切り分けます。建設業の場合、一過性と説明できる典型例は次のとおりです。資材価格の急騰分を既契約の請負代金に転嫁できなかった期間損失、大型工事の完成時期のずれによる売上計上の期ずれ、取引先の倒産に伴う貸倒損失、労務単価の急上昇への対応遅れなどです。重要なのは、経営者の感覚ではなく外部データで裏付けることです。例えば資材高騰であれば、日本銀行「企業物価指数」の建設資材関連指数の推移を示し、「業界全体を襲った価格変動であり、当社固有の経営失敗ではない」と客観的に立証します。単価転嫁の交渉状況や新規契約からの価格改定実績まで示せれば、説得力はさらに高まります。
条件2 借入金の返済予定と営業キャッシュフローの整合性
純資産がマイナスでも、日々の資金が回り、借入金を約定どおり返済できていれば、事業の継続性は説明できます。評価書では、税引後利益に減価償却費を加えた簡易キャッシュフローを算出し、金融機関ごとの年間返済額と突き合わせます。簡易キャッシュフローが年間返済額を上回っていれば、「返しながら経営を立て直せる」ことの直接的な証拠になります。借入金残高を簡易キャッシュフローで割った債務償還年数も重要な指標です。仮に返済条件の変更(リスケジュール)中であっても、金融機関と合意した返済計画と資金繰り表を添えて整合性を示せば、マイナス材料を管理された状態として説明できます。工事代金の入金サイトと外注費・材料費の支払サイトのずれが大きい建設業だからこそ、月次の資金繰りまで踏み込んだ説明が効きます。完成工事未収入金や未成工事支出金といった建設業特有の勘定科目の中身まで示せば、審査官は「資金の流れを把握できている会社」と判断しやすくなります。
条件3 役員借入金など実質的な自己資本の正確な評価
地方の建設会社では、社長やその親族が会社に資金を貸し付けている「役員借入金」が数千万円単位で積み上がっているケースが少なくありません。ここに大きな逆転の余地があります。役員借入金は、返済を急がない実質的な自己資本として評価できる場合があるためです。金融庁が公表する金融検査の運用でも、一定の要件を満たす役員からの借入金は「資本性借入金」として自己資本とみなして差し支えないとされてきました。評価書では、帳簿上の貸借対照表を実態ベースに引き直します。役員借入金の資本性、事業用土地の含み損益、保険積立金の解約返戻金相当額、回収可能性の低い売掛金などを一つずつ精査し、実態バランスシートを作成します。その結果、帳簿上は純資産マイナスでも、実質では資産超過と評価できる会社は珍しくありません。この分析は、企業評価の訓練を受けた専門家でなければ審査に耐える形にまとめられない領域です。
条件4 向こう3〜5年での純資産プラス転換シナリオ
最後の条件が、改善の見通しそのものです。審査官は「いつ、どのようにして債務超過を解消するのか」を数字で確認します。評価書には、売上高・粗利率・販管費・経常利益・借入金返済・純資産残高を年度ごとに並べた3〜5年の数値計画を載せ、毎期の利益の積み上げで純資産がプラスに転じる時期を明示します。建設業で説得力を持つ根拠は、受注残高(手持ち工事高)です。契約済みの工事一覧と完成予定時期を示せば、計画初年度の売上は「予測」ではなく「確定に近い数字」として扱えます。加えて、外国人材の受け入れ自体が施工能力の回復を通じて売上増加に直結するという因果を計画に織り込めば、「人材確保と財務改善が両輪で進む」一貫したストーリーになります。実現不可能な右肩上がりの計画は逆効果です。過去の実績と受注残高から逆算した、保守的で達成可能な数字こそが信頼されます。
評価書作成から申請までの5ステップ
実務の流れは次のとおりです。
- 決算書3〜5期分と借入金一覧、受注残高の資料を準備する
- 専門家によるヒアリングで赤字要因と改善策を整理する(オンライン可)
- 実態バランスシートと3〜5年の数値計画を作成する
- 4つの条件に沿って改善見通しの評価書面をまとめる
- 申請書類一式に評価書を添付し、監理団体等と連携して提出する
この一連の作業を審査目線で仕上げるのが、中小企業診断士による債務超過企業向けの企業評価書作成サポートです。決算書の提出とヒアリングだけで、貴社側の作業負担を最小限に抑えながら、4条件を満たす評価書を整えられます。自社の決算内容で4条件を満たせるか不安な段階でも、判断材料として一度専門家の目を通す価値は十分にあります。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。決算書を拝見し、評価書で審査に臨める状態かどうかを率直にお伝えします。その場でのご契約や、しつこい営業はありません。お断りいただいて構いません。
企業評価書の提出後に手に入る3つの未来

評価書は、審査を通すためだけの書類ではありません。自社の財務を第三者の目で棚卸しし、改善の道筋を数字に落とす過程そのものが、経営を前に進める資産になります。提出後の会社には、数字・時間・関係性という3つの軸で変化が生まれます。
数字の未来 施工体制の回復と完成工事高の維持
技能実習計画の認定や特定技能の許可が下りれば、計画どおりの人数で施工体制を組めます。人手を理由に見送っていた案件に手を挙げられるようになり、完成工事高の目減りに歯止めがかかります。受け入れた人材が現場に定着すれば、翌期以降の受注計画も「人がいる前提」で立てられるようになります。
時間の未来 経営者が本来の仕事に戻れる日常
債務超過への対応を専門家に任せれば、経営者は書類作成や制度の調べものから解放されます。空いた時間は、受注交渉、原価管理、若手の育成といった、社長にしかできない仕事に充てられます。申請の遅れに怯えながら制度を独学する数か月と、本業に集中する数か月とでは、1年後の会社の姿が大きく変わります。
関係性の未来 金融機関と監理団体からの信頼
第三者の専門家がまとめた実態バランスシートと数値計画は、そのまま金融機関への説明資料としても機能します。「債務超過だが、改善の道筋を専門家と共有している会社」という評価は、融資取引や監理団体との関係を確実に良くします。書類一つで、周囲の見る目が変わるのです。純資産マイナスという数字に縛られない、攻めの経営判断ができる状態を共に手に入れましょう。
自社対応の限界とKICKコンサルティングの申請サポート

ここまで読んで、「条件は分かった。自社でまとめられないか」と考えた方もいるはずです。しかし、3つの壁があります。第一に資格の壁です。制度上、評価書の作成者は中小企業診断士や公認会計士など、企業評価を行う能力を有する公的資格者に限られます。自社作成は不可であり、顧問税理士も原則として対象外です。第二に構成力の壁です。同じ決算書でも、赤字要因の切り分け方や実態純資産の示し方ひとつで、審査官の心証は大きく変わります。審査目線の型を知らずに書けば、事実は正しくても伝わりません。第三に時間の壁です。監理団体から「至急提出を」と言われてから資格者を探し、一から説明していては、申請時期を逃しかねません。だからこそ、最初から専門家に任せる経営者が増えています。
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)では、経済産業大臣登録の中小企業診断士であり、MBA、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、中小企業事業再生マネージャーの認定を持つ代表・松本昌史が、初回ヒアリングから評価書の納品まで直接対応します。法人支援実績は150社以上、中小企業庁の認定経営革新等支援機関として、債務超過企業・赤字企業の財務分析と改善計画策定を強みとしてきました。決算書3〜5期分を審査官目線で読み込み、複雑な財務構造でも論理的に説明できる評価書に仕上げます。ヒアリングはZoom等で完結し、全国どこの会社でも来所不要。お急ぎの場合は最短3〜5営業日での納品にも対応しています。評価書の作成に加え、財務分析と申請書類の準備支援まで一貫してサポートします。なお、1社ごとに代表が時間をかけて対応するため、無料相談は毎月先着3社に限定しています。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。「うちの決算書でも通るのか」という一点だけでも、お気軽にお尋ねください。
よくある質問

Q. 純資産がマイナスでも技能実習計画の認定は受けられますか?
A. 受けられる可能性は十分にあります。外国人技能実習機構の提出書類一覧(別紙②-1)番号20は、債務超過の場合に「認定しない」とは定めておらず、中小企業診断士等の第三者が改善の見通しを評価した書類の提出を条件としています。4つの条件を満たす評価書を整えることが通過の鍵です。
Q. 企業評価書は税理士に頼めますか?
A. 原則として頼めません。制度上、作成者は中小企業診断士や公認会計士など「企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者」とされており、顧問税理士は通常この要件に該当しません。自社役員による作成も不可です。
Q. 2期連続の債務超過でも審査は通りますか?
A. 難易度は上がりますが、道はあります。2期連続の場合、赤字が構造的と疑われやすいため、実態バランスシートでの実質資産超過の立証や、受注残高に基づく確度の高い改善計画など、より踏み込んだ立証が必要です。決算書3〜5期分の分析から個別に判断します。
Q. 特定技能の受け入れでも評価書は必要ですか?
A. 必要です。出入国在留管理庁が公表する特定技能の運用要領でも、直近期末で債務超過の場合には、中小企業診断士等による改善見通しの評価書面が求められます。技能実習と特定技能の両方で同種の書面が必要になると考えてください。
Q. 評価書の作成に必要な資料は何ですか?
A. 中心となるのは決算書3〜5期分(貸借対照表・損益計算書・勘定科目内訳明細書)です。加えて、借入金の返済予定一覧、受注残高が分かる工事一覧、役員借入金の状況が分かる資料があると、4条件の立証精度が高まります。
Q. 依頼から納品までどのくらいかかりますか?
A. KICKコンサルティングでは、資料が揃ってから最短3〜5営業日で納品しています。監理団体から急な提出を求められた場合など、期限が迫っている案件にも柔軟に対応しますので、まず納期からご相談ください。
Q. 地方の建設会社ですが、東京の事務所まで行く必要はありますか?
A. 来所は不要です。ヒアリングはZoom等のオンラインで完結し、資料もデータでやり取りします。北海道から沖縄まで全国の企業に対応しており、地方ゼネコンからのご依頼も多数お受けしています。
Q. 役員借入金が多いと審査で不利になりますか?
A. むしろ有利に働く場合があります。返済を急がない役員借入金は実質的な自己資本と評価できる余地があり、帳簿上は債務超過でも実態では資産超過と説明できるケースがあるためです。金額と貸付の経緯を整理して評価書に反映します。
Q. 育成就労制度に変わっても評価書は必要ですか?
A. 技能実習制度は2027年4月に育成就労制度へ移行する予定です。新制度でも受け入れ企業の適正性審査は行われる見込みであり、財務健全性の確認が不要になるとは考えにくい状況です。制度移行を待つより、現行制度で早期に体制を整える方が採用計画は前に進みます。
Q. 評価書を出せば必ず認定されますか?
A. 認定を保証するものではありません。審査は財務以外の要件も含めて総合的に行われます。ただし、債務超過企業にとって評価書は提出必須の書類であり、その完成度が財務面の審査結果を左右することは間違いありません。だからこそ専門家の関与に価値があります。
まとめ

純資産マイナスは、外国人材採用の「終わり」ではなく、立証の仕方を変えるべき「合図」です。赤字の一過性、返済とキャッシュフローの整合、実質自己資本、3〜5年の転換シナリオ。この4条件を第三者の資格者が評価書で示せば、審査の土俵に正々堂々と立てます。逆に、決算書の数字だけを提出して結果を待つのは、無言のまま裁かれるのと同じです。貴社の決算書には、まだ語られていない強みが必ず眠っています。それを審査官に届く言葉に翻訳するのが、私たちの仕事です。採用計画の遅れが経営を直撃する前に、今日、最初の一歩を踏み出してください。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。無料相談は毎月先着3社限定です。まずは現状をお聞かせください。
関連記事









コメント