
協同組合福(監理支援機関)から「直近の決算が債務超過になっているので、改善の見通しを示す企業評価書を出してください。育成就労の受入れ計画は、それが無いと先へ進められません」と言われた。
そう言われても、中小企業診断士の知り合いはいない。企業評価書が何なのかも、誰に頼めばいいのかも分からない。デイサービスの運営で手一杯の毎日に、急に宿題が降ってきた——そんな状況ではないでしょうか。
年末調整の書類を配りながら、冬の賞与の資金手当てまで頭をよぎる11月。利用者が減った月ほど、固定費の重さが身にしみます。
企業評価書が無ければ、外国人材の受入れが進められません。受入れが進まなければ、送迎や見守りに人が足りません。人が足りなければ、新しい利用者を断らざるを得ません。断れば利用者がさらに減り、売上が落ちて赤字が膨らみ、債務超過が深くなります。この悪循環を、最初の一手で止められるかどうかが分かれ目です。
- 利用者が減り債務超過になったデイサービスの社長
- 育成就労の審査が不安な介護事業の総務担当者
- 企業評価書を誰に頼むか決められていない方
- 社長を支える経営管理の担当者
- 企業評価書とは何か、なぜデイサービスで求められるのか
- 利用者減でも育成就労を守る3つの条件
- 企業評価書の記載イメージ(サンプル的な構成)
- 中小企業診断士に頼むときの進め方と注意点
- 企業評価書でよくある質問への回答
結論から言うと、利用者減の原因を数字で見える化し、体制と受入れ人数を稼働に合わせて組み直し、黒字化までの道筋を数値目標つきで書く。この3つをそろえた企業評価書なら、審査側に「改善の見通しがある」と伝わります。
私は中小企業診断士として、法人支援150社以上の現場で、債務超過の会社の改善計画に向き合ってきました。この記事では、その経験をもとに、デイサービス運営会社が企業評価書で押さえる点を順に解説します。
読み終えるころには、「誰に、何を、どの順で頼めばいいか」がはっきりし、次の一手を迷わず踏み出せます。
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デイサービスが債務超過になり企業評価書を求められる理由

企業評価書とは何か
企業評価書とは、債務超過の会社について「この先、改善の見通しがあるか」を専門家が評価して書面にまとめたものです。正式には「改善の見通しについて評価を行った書面」と呼ばれます。
厚生労働省の資料では、監理団体の財産的基礎に関して、直近期末に債務超過がある場合は、中小企業診断士や公認会計士など、企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を持つ第三者による評価書面の提出が求められると整理されています。
育成就労は2027年4月の施行が予定されており、監理団体は「監理支援機関」へ移行する見込みです。呼び名が変わっても、債務超過の会社に見通しの説明を求める流れは、今から備えておく価値があります。
なお、この書面を作成できるのは中小企業診断士または公認会計士です。税理士は作成できません。企業評価書と中小企業診断士の組み合わせで探す理由は、ここにあります。
デイサービスが債務超過に陥る2つの原因
デイサービス(通所介護)の赤字は、原因を絞ると次の2つに集約されます。
| 原因 | 起きていること |
|---|---|
| 紹介元への依存 | 利用者は、ケアマネジャーが作るケアプランを通じて紹介されることが多く、紹介元が移ると利用者がまとめて減る |
| 固定費の重さ | 介護報酬は利用実績に応じて入る一方、職員の人件費・送迎車両・建物の費用は利用者が減っても同じだけかかる |
利用者が1人、また1人と減っても、必要な職員の数はすぐには減らせません。売上は下がるのに費用は変わらないため、赤字が積み上がり、純資産がマイナスになっていきます。
ここで大切なのは、赤字の理由が「自社の努力不足」ではなく「仕組み」にあると整理することです。仕組みが分かれば、直す場所も見えてきます。
利用者が減ったあとの数字の動き方
利用者が減った直後は、売上の落ち込みが小さく見えることがあります。ところが、減った状態が数か月続くと、赤字は確実に積み上がります。
たとえば、次のような動きが重なります。
- 利用者が減っても、職員のシフトはすぐに減らせない
- 送迎車両のリースや燃料費は、利用者数に関係なくかかる
- 建物の賃料や設備の維持費も、毎月同じ額が出ていく
- 赤字を補うため借入れが増え、返済の負担がさらに重くなる
こうして少しずつ純資産が削られ、ある決算で債務超過と判定されます。債務超過は、ある日突然起きるのではなく、数期かけて静かに進むのが特徴です。
だからこそ、決算書を受け取った時点で「次は評価書を求められるかもしれない」と気づけるかどうかが重要です。気づいた日から準備を始めれば、提出期限に追われずに済みます。
このまま何もしなければ起きること
企業評価書を出さないまま時間が過ぎると、次のような流れをたどります。
- 評価書が無く、育成就労の受入れ計画が進まない
- 送迎・見守り・入浴介助などの人手が足りないまま運営が続く
- 職員の負担が増え、既存の職員が辞めてしまう
- 受け入れられる利用者が減り、売上がさらに落ちる
- 赤字が続いて債務超過が深くなり、銀行との話し合いも厳しくなる
債務超過が深くなるほど、改善の見通しを示すハードルは上がります。評価書の準備は、早く動いた会社ほど選べる手段が多く残ります。
企業評価書の基本を先に押さえたい方へ
企業評価書が必要になる条件、作成できる専門家、混同されやすい「評価調書」との違いを、中小企業診断士が1本の記事にまとめています。
企業評価書でデイサービスの育成就労を守る3つの条件

利用者減でも育成就労の受入れを守るために、企業評価書で押さえたい条件は次の3つです。
条件1 利用者減の原因を「数字」で見える化する
最初に行うのは、なぜ利用者が減ったのかを数字で分けることです。「何となく減った」では、審査側にも銀行にも伝わりません。
次の項目を、直近2〜3期ぶんそろえます。
- 月ごとの利用者数と、利用回数の推移
- 紹介元(居宅介護支援事業所)ごとの利用者数
- 新規の利用開始と終了(入院・入所・転居など)の件数
- 人件費・送迎費・建物費など、固定費の内訳
紹介元ごとに並べると、「特定の紹介元に偏っていた」「新規が止まった時期がある」といった事実が見えます。原因を1つずつ特定できるほど、改善の見通しに説得力が出ます。
└ 数字が手元に無い場合も、請求データや利用実績表から拾い直せます。診断士と一緒に整理すれば、短期間でまとまります。
条件2 体制と受入れ人数を、稼働に合わせて組み直す
次に、職員の体制と外国人材の受入れ人数を、今の利用者数に合わせて見直します。通所介護には、生活相談員・看護職員・介護職員・機能訓練指導員といった職種ごとの配置の決まりがあり、利用者数の見込みとセットで考える必要があります。
ここで「人が足りないから、たくさん受け入れたい」と書くと、かえって不安を与えます。稼働の見込みに対して、無理のない受入れ人数と配置になっているかを示すのがポイントです。
たとえば、次のような整理が考えられます。
- 現在の利用者数で必要な配置と、足りない職種
- 利用者が戻ったときに必要になる配置
- 受入れ後の教育担当と、見守りの体制
利用者が戻る前提だけで計画を立てず、戻らない場合でも赤字が広がらない組み方を併記すると、評価書の信頼性が高まります。
条件3 黒字化までの道筋を「数値目標つき」で書く
3つ目は、いつ・何をして・どこまで改善するかを、数値目標つきで書くことです。
利用者の増やし方は、広告を増やすことだけではありません。紹介元への定期的な報告、送迎範囲の見直し、リハビリや認知症対応といった強みの打ち出しなど、現場でできる手があります。
| 打ち手の種類 | 計画に書く数値目標の例 |
|---|---|
| 利用者の確保 | 紹介元の数、月ごとの新規利用者数、平均利用回数 |
| 費用の見直し | 送迎ルート・車両台数の整理、シフト調整による人件費率 |
| 収益の底上げ | 加算の取得状況の点検、利用枠の埋まり具合(稼働率) |
数値目標は、現場が実行できる水準にそろえます。背伸びした数字は、次の決算で達成できず、かえって信用を落とします。
こうして明文化した改善計画が、企業評価書の「改善の見通し」の土台になります。
なお、債務超過が続いている会社には、企業評価書とは別に「経営改善計画策定支援(405事業)」という制度もあります。金融機関と共有する本格的な経営改善計画を、専門家費用の3分の2を国が補助する形で作れる仕組みで、既存融資の返済条件の変更(リスケジュール)と組み合わせて資金繰りを立て直すことも可能です。倒産の可能性を下げる選択肢として、気になる方は次のページをご覧ください。
社長やご担当者の方へ。“あなた”は今、このようなお悩みを抱えていませんか。 ✓ 手元資金が減少している状況 ✓ 借入返済の負担が重く、将来の資金繰りに不安を感じている状態 ✓ 補助金を活用し、経営改善に取り組みたいが、準備や進め方が分からない現実 もし一人でお悩みの場...
評価書づくりで起こりがちな3つのつまずき
デイサービスの経営者が評価書の準備で足踏みしやすい点を、先に知っておくと安心です。
- 資料が分散している:決算書は税理士、利用実績は事業所、請求データは別のシステムに残っていて、そろえるだけで時間がかかる
- 原因の説明が感覚的:「高齢者が減った」「競合が増えた」など、数字の裏づけが無く、第三者に伝わらない
- 計画が現場とずれる:机上で作った目標が、実際の職員配置や送迎の都合に合わない
どれも、最初に資料の置き場所と数字の見方を決めておけば避けられます。準備のチェックとして、診断士に相談する前に次を手元に集めておくと、話が早く進みます。
- 直近2〜3期の決算書(貸借対照表・損益計算書)
- 月ごとの利用者数と利用回数が分かる資料
- 職員の人数と職種、勤務体制が分かる資料
- 借入れの状況(金融機関ごとの残高と返済条件)
- 監理支援機関などから求められた内容が分かるメモ
すべてが完全にそろっていなくても大丈夫です。足りない資料は、相談しながら一緒に洗い出せます。
企業評価書のサンプル的な記載イメージ
「企業評価書のサンプルが見たい」という声は多く、実際どんな構成になるのかは最初の関心事です。一般的な構成項目を次に整理します(架空の数値や記載例は載せず、項目名のみお示しします)。
| 記載項目 | 書く内容の方向性 |
|---|---|
| 企業概要 | 事業内容、事業所の規模、職員体制、利用者の概況 |
| 財務状況 | 直近数期の貸借対照表・損益の推移と、債務超過の状況 |
| 債務超過の理由 | 利用者減の原因を、紹介元や固定費など事実にもとづいて整理 |
| 改善策 | 利用者の確保、体制の見直し、費用の見直しの具体策 |
| 改善の見通し | 数値目標と達成時期、債務超過を解消できる見込み |
| 評価者の意見 | 中小企業診断士が、上記の妥当性を評価した結果 |
企業評価書の書き方は、この構成に沿って、自社の事実を1つずつ当てはめていく作業です。ただし、評価者の意見は第三者である資格者にしか書けません。
詳しい様式や作成の流れは、企業評価書のサービスページにまとめています。
外国人技能実習・特定技能の企業評価書について 社長やご担当者の方へ。“あなた”は今、このようなお悩みを抱えていませんか。 外国人技能実習制度を活用したいが、企業評価書の作成方法が分からないという方 特定技能外国人の受入れにあたり、経営改善の見通しについて評価が必要だと言...
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利用者減を乗り越え育成就労の受入れで手に入る未来

企業評価書で改善の見通しを示し、育成就労の受入れを続けられたとき、デイサービスの現場には次の3つの変化が起こります。
数字が見える安心
紹介元別の利用者数や固定費が整理されるため、「どこが弱いのか」を社長と現場が同じ数字で話せるようになります。感覚で悩んでいた時間が、対策を決める時間に変わります。
月次で数字を追う習慣がつくと、次に利用者が減りかけたときも、早い段階で手を打てます。
人が確保できる時間の余裕
受入れの道が開けば、送迎・見守り・入浴介助といった現場の負担が分散されます。職員が「あと1人いれば」と思いながら働く状態から抜け出せます。
余裕が生まれれば、利用者への声かけやレクリエーション、ご家族への連絡といった、選ばれる事業所になるための時間も取り戻せます。
銀行・紹介元との関係が変わる
改善の見通しを第三者が評価した書面は、監理支援機関だけでなく、金融機関や紹介元との対話にも役立ちます。「この会社は先を見て動いている」と伝わるからです。
計画を共有できる相手が増えるほど、資金繰りの相談もしやすくなり、経営者が1人で抱え込む状態が和らぎます。
この3つを、共に手に入れましょう。
自社だけで進める限界と、企業評価書に強い中小企業診断士の伴走

ここまで読んで、「自分で書いて出せないか」と考えた方もいるかもしれません。結論として、普通の企業が自社だけで企業評価書を作成し、提出することはできません。
理由は、評価書の評価者が中小企業診断士や公認会計士といった公的資格を持つ第三者に限られるからです。社長や総務部が自己流で書いた書面は、第三者による評価ではなく、受け入れられない可能性が高いといえます。
自社だけで進めるときの3つの壁
- 専門性の壁:何を、どの水準まで書けば改善の見通しとして通じるかの判断が難しい
- 時間の壁:現場の運営をしながら、数期ぶんの数字を整理し、計画に落とす時間が取れない
- 判断ミスの壁:背伸びした目標や根拠の弱い説明で、やり直しになる
やり直しが重なるほど、受入れの時期は遅れ、現場の人手不足は長引きます。
企業評価書に強い中小企業診断士が伴走する理由
企業評価が拒否されないように、要点を理解している経験豊富な中小企業診断士を紹介します。
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、法人支援150社以上の実績があり、中小企業庁の認定経営革新等支援機関です。代表の松本昌史は、中小企業診断士として、債務超過や資金繰り悪化の会社の改善計画に向き合ってきました。
拠点は東京(銀座)ですが、全国オンラインに対応しています。地方のデイサービスでも、近くに頼める専門家がいないという心配はいりません。
ご相談から評価書までの流れ
- 無料相談で、現状と求められている書面を確認する
- 決算書・利用実績などの資料をもとに、原因と強みを整理する
- 改善計画と数値目標を、一緒に組み立てる
- 中小企業診断士が企業評価書としてまとめる
- 提出後の質問や補足にも対応する
監理支援機関や関係機関から求められる内容は、それぞれ細部が異なります。最初の相談で「誰から、何を求められたのか」を伺い、必要な書面に合わせて進めます。
企業評価書をまとめて確認したい方へ
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企業評価書のよくある質問|育成就労・債務超過の疑問を解消

Q. 企業評価書とは何ですか?
債務超過の会社が、改善の見通しについて評価を行った書面です。中小企業診断士や公認会計士といった第三者の資格者が、会社の現状と改善策を評価してまとめます。
Q. 企業評価書は誰が作成できますか?
中小企業診断士または公認会計士です。税理士は作成できません。企業評価書を中小企業診断士へ依頼する会社が多いのは、この理由からです。
Q. 債務超過とは何ですか?
会社の負債が資産を上回り、貸借対照表の純資産がマイナスになっている状態です。赤字が続いた結果として起こることが多く、直近の決算書で確認できます。
Q. 債務超過なら育成就労は受け入れられませんか?
債務超過だからといって、一律に受け入れられなくなるわけではありません。改善の見通しを示す評価書面の提出などを求められる、という整理が基本です。求められる内容は、関係機関や時期によって異なるため、まず監理支援機関に確認してください。
Q. 特定技能でも企業評価書は必要になりますか?
特定技能の受入れでも、債務超過の場合に改善の見通しを示す書面を求められることがあります。企業評価書と特定技能の関係は、受入れの時期や手続きで異なるため、対象の手続きに合わせて確認が必要です。
Q. 企業評価書のサンプルやひな形を見て、自社で書けますか?
記載項目の構成を知る助けにはなります。ただし、評価者の意見は中小企業診断士や公認会計士にしか書けないため、自社だけで完結はできません。
Q. 利用者が戻る見込みが立たなくても、企業評価書は作れますか?
利用者が戻ることだけを前提にせず、戻らない場合でも赤字が広がらない体制や費用の見直しを併記する形で、評価の材料を整えられます。見込みが立たない段階こそ、早めに相談することで選べる手段が増えます。
Q. 依頼から完成までどのくらいかかりますか?
決算書や利用実績の資料がそろっているかで変わります。提出期限がある場合は、期限と求められている書面を最初の相談でお伝えください。
Q. 地方のデイサービスでも依頼できますか?
はい、全国オンラインで対応しています。資料のやり取りも面談もオンラインで進められます。
まとめ
デイサービスの赤字は、努力不足ではなく、紹介元への依存と固定費の重さという仕組みから生まれます。仕組みが分かれば、企業評価書で示せる改善の道筋も見えてきます。
利用者減でも育成就労を守る3つの条件は、次のとおりです。
- 利用者減の原因を「数字」で見える化する
- 体制と受入れ人数を、稼働に合わせて組み直す
- 黒字化までの道筋を「数値目標つき」で書く
そして、企業評価書は自社だけでは作れません。評価を担える中小企業診断士を、早めに味方につけることが最短の近道です。
監理支援機関から求められて困っている今が、動き出す一番良いタイミングです。
資料が全部そろっていなくても、提出期限が迫っていても構いません。「誰から何を求められたか」をお聞かせいただければ、必要な書面と進め方を一緒に整理します。
デイサービスの利用者と職員を守るために、まずは最初の一歩を踏み出してください。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは一度、状況をお聞かせください。
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