
外国人材の受入れ企業が特定技能や技能実習の受入れについて、出入国在留管理庁の審査を受けたところ、「決算が債務超過のままでは、改善の見通しについて評価を行った書面がなければ、受入れの手続きを進めることができません」と言われた。
債務超過の原因は、設備投資や特別損失など一時的な要因にあることが少なくありません。原因を具体的に特定できないまま決算だけを提出すると、審査担当者には「回復の見込みが立たない会社」と映ってしまいます。
このまま書面を用意できなければ、今いる技能実習生・特定技能人材の継続雇用すらできなくなります。継続雇用できなければ現場の体制を維持できず、体制が崩れれば事業を回せず、最悪の場合、会社そのものが立ち行かなくなります。
この書面は、通称「企業評価書」とも呼ばれる正式な提出書類です。決算が赤字・債務超過でも、事業の立て直しに合理的な根拠があると示せれば、受入れや更新の道はしっかり残されています。あなただけが困っているわけではありません。
本記事では、経営者が実際に何をどう書けば審査を一発で通せるのかを、作成の型・盛り込む根拠・サンプル構成まで実務レベルで解説します。書き方の全体像を先にお伝えすると、鍵は「債務超過になった理由の説明」と「数字で裏づけた改善計画」の2本柱です。
- 改善の見通しについて評価を行った書面(企業評価書)とは何か
- 審査を通すために盛り込むべき5つの根拠
- そのまま使えるサンプル構成とフォーマット
- 誰が作成できるのか(作成できる専門家の要件)
- 債務超過の改善計画を数字でどう組み立てるか
執筆は、中小企業診断士・1級ファイナンシャル・プランニング技能士で、法人支援150社以上の実績を持つKICKコンサルティング株式会社(銀座本社)代表・松本昌史が担当します。読み終えるころには、書面提出への不安が「これなら準備できる」という手応えに変わっているはずです。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは現状をお聞かせください。
改善の見通しについて評価を行った書面とは何か

まず押さえたいのは、この書面が「何のために」「誰から」求められる書類なのか、という点です。ここを取り違えると、書く内容がずれてしまいます。
出入国在留管理庁が求める正式な提出書類
外国人材(技能実習・特定技能・育成就労)を受け入れる企業が債務超過などの財務状況にある場合、出入国在留管理庁の審査で、事業の継続性を確かめるためにこの書面の提出を求められることがあります。
正式名称は「改善の見通しについて評価を行った書面」。実務では通称「企業評価書」と呼ばれ、決算書だけでは見えない「これから立て直せるのか」を、専門家の視点で評価した文書です。
なぜ債務超過だと提出を求められるのか
受入れ企業が途中で倒産すれば、来日した外国人材は在留資格の前提を失い、生活の基盤を突然奪われます。だからこそ審査では、財務の健全性が重視されます。
債務超過とは、会社の負債が資産を上回り、純資産がマイナスになっている状態です。この状態では「本当に事業を続けられるのか」が問われるため、改善の見通しを客観的に示す書面が必要になるのです。
言い換えれば、この書面は会社にとっての「反論の機会」です。決算の数字だけを見れば不利でも、事情と立て直しの計画を自分の言葉で伝えられる。その場を活かせるかどうかが、受入れの可否を大きく左右します。
在留資格ごとの位置づけの違い
在留資格「特定技能」では受入れ時や在留期間の更新・定期報告の場面で、技能実習では監理団体を通じた申請の場面で、財務要件の確認が入ります。制度は異なっても、「赤字・債務超過だから即不可」ではない点は共通しています。
大切なのは、赤字や債務超過という「結果」だけで判断されるのではないという理解です。審査で見られているのは、その結果に至った背景と、これから立て直せるかどうかという「動き」です。書面は、その動きを言葉と数字で伝えるための道具だと考えてください。
放置するとどうなるか
提出を求められたのに書面を用意できないと、受入れや在留期間の更新が認められず、せっかく育てた人材を手放すことになりかねません。現場の人手不足が一気に深刻化し、受注をこなせず売上がさらに落ち込む——という悪循環に陥る恐れがあります。
債務超過が続くと金融機関の見る目も厳しくなり、資金繰りの選択肢が狭まります。「求められてから慌てて作る」のではなく、早めに準備を始めることが、この悪循環を断ち切る第一歩です。
| 場面 | 求められやすい状況 | 書面で示すこと |
|---|---|---|
| 特定技能の受入れ・更新 | 直近決算が債務超過または連続赤字 | 改善計画と返済の道筋 |
| 技能実習の申請 | 監理団体経由で財務確認 | 事業継続の合理的根拠 |
| 育成就労への移行 | 財務要件の確認が想定される | 収支改善の見込み |
「債務超過=受入れできない」ではありません。改善の見通しを、数字と根拠で示せるかどうかが分かれ目になります。
審査を通す書面の書き方とサンプル構成

ここが本記事の核心です。改善の見通しについて評価を行った書面のサンプル構成と、盛り込むべき根拠を実務レベルで整理します。ポイントは「型に沿って、数字で語る」ことに尽きます。
企業評価書のフォーマット(サンプル構成)
決まった公式ひな形が一律にあるわけではありませんが、審査で通りやすい企業評価書のフォーマットは、次の6ブロックで構成するのが基本です。
- 会社概要(事業内容・沿革・従業員数)
- 財務状況の現状分析(債務超過に至った経緯)
- 債務超過になった理由の説明
- 改善計画(売上・利益・返済の3か年計画)
- 計画を裏づける具体的な根拠
- 専門家による評価と所見
この順番には意味があります。「現状→原因→対策→根拠→評価」の流れで読ませることで、審査担当者が「なるほど、この会社は立て直せる」と納得しやすくなります。
逆に、この流れが崩れると読み手は迷子になります。例えば原因の説明より先に改善計画を並べても、「そもそもなぜ債務超過なのか」が分からないため、計画の数字が宙に浮いて見えてしまうのです。型を守ることが、そのまま説得力につながります。
盛り込むべき5つの根拠
企業評価書 サンプルを検索する読者がいちばん知りたいのは「何を書けば説得力が出るのか」でしょう。次の5点を、数字とセットで示すことが重要です。
| 根拠 | 書き方の要点 |
|---|---|
| 債務超過の理由 | 一時的な要因(設備投資・コロナ禍等)か構造的要因かを明確に区別する |
| 収益改善の施策 | 単価改善・原価低減・固定費削減を数字で示す |
| 資金繰りの安定性 | 金融機関の支援姿勢や返済実績を記す |
| 受注・売上の裏づけ | 継続取引先・受注残・引き合いを具体的に |
| 返済原資の確保 | 営業利益・減価償却からの返済可能額を明示 |
債務超過になった理由の書き方(理由書のサンプル)
この5点は、どれか一つが強ければよいというものではありません。原因・施策・資金・受注・返済がひと続きの物語としてつながっていることが大切です。例えば「受注は伸びる」と書くなら、その受注を支える人材や資金の裏づけも同時に示す。ばらばらの主張ではなく、一貫したストーリーにすることで、書面全体の信頼性が高まります。
「債務超過 理由書」で最もつまずくのが、原因の説明です。ここで避けたいのは「景気が悪かった」といった曖昧な表現。審査で評価されるのは、原因を具体的に特定し、それがすでに解消・改善に向かっているという説明です。
例えば「大型設備の導入で一時的に借入が増えたが、その設備が翌期から稼働し、粗利率が改善している」という書き方です。原因と回復の道筋をセットで語るのが鉄則です。
原因が一時的なもの(設備投資・災害・取引先の一時撤退など)であれば、その事情を丁寧に説明します。構造的な要因(慢性的な低採算・過剰な固定費)であれば、それをどう変えるのかという打ち手まで踏み込んで書くことが求められます。ここを曖昧にすると、いくら計画の数字が良くても「本当に実現できるのか」と疑問を持たれてしまいます。
特定技能の定期報告・更新でも同じ考え方
特定技能 債務超過の状況で定期報告や更新を迎える場合も、書面づくりの考え方は変わりません。前回提出時からどれだけ改善したのか、計画に対して実績がどう推移したのかを示せると、継続的に立て直しが進んでいる会社だという評価につながります。「計画は立てたが達成できていない」状態を放置しないことが、次の審査を楽にします。
改善計画は数字で組み立てる
債務超過 改善計画の中核は、3か年の数値計画です。売上・粗利・営業利益・返済額を年度ごとに並べ、何年で債務超過を解消するかを明示します。
この数字は、根拠のない願望であってはいけません。既存の受注・単価・稼働率など、実在するデータから積み上げることが、書面の信頼性を決めます。
| 項目 | 初年度 | 2年目 | 3年目 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 回復の初動 | 取引拡大 | 安定成長 |
| 営業利益 | 黒字転換 | 利益率改善 | 返済原資の確保 |
| 純資産 | マイナス縮小 | 解消目前 | 債務超過の解消 |
この表は骨格の一例です。実際には、ここへ自社の具体的な金額を入れ、なぜその数字になるのかという前提(受注先・単価・数量)を注記します。数字と前提がセットになって、はじめて「評価に値する計画」になります。
金融機関の支援姿勢も書面の材料になる
返済を継続できている、リスケジュール中でも約定を守れている、といった金融機関との関係も、事業継続の重要な裏づけです。取引金融機関がどう向き合っているかを客観的に記すことで、「この会社は資金面でも支えられている」という印象を与えられます。
こうした3か年計画の設計や数値の妥当性チェックは、企業評価書の作成支援を専門とする診断士に相談すると、審査に耐える精度まで一気に引き上げられます。
お断りいただいて構いません。費用は一切かかりません。売り込みや、しつこい営業もありません。書面の作り方だけ聞きたい、という段階でも大丈夫です。
書面が通ったあとに手に入る未来

質の高い企業評価書を用意できると、単に審査を通過する以上の変化が生まれます。ここでは3つの軸で、その先の景色を具体的に描きます。
人材の軸——受入れと更新の不安が消える
書面が通れば、外国人材の受入れや在留期間の更新が進み、現場の人手不足に歯止めがかかります。「更新できなかったらどうしよう」という毎年の不安から解放され、腰を据えて人材育成に取り組めます。
働く本人にとっても、在留の見通しが立つことは大きな安心です。定着率が上がれば、採用や教育にかけたコストが無駄になりません。人が育ち、現場が回り、また新しい人を迎えられる。この好循環の入口が、一枚の書面なのです。
時間の軸——本業に集中できる
審査対応に追われて夜も眠れない状態から、書面という「通る型」を手にすることで、経営者が本来向き合うべき受注や現場改善に時間を戻せます。準備期間の目安は、必要資料がそろっていれば数週間です。
時間の軸をもう一歩——差し戻しのやり直しが減る
型と根拠がそろった書面は、審査での差し戻しが起きにくくなります。何度も作り直す往復がなくなれば、その分の時間と気力を現場に回せます。急いで作った不完全な書面で差し戻されるより、最初に型どおり仕上げるほうが、結局は早く終わるのです。
経営の軸——改善計画が会社を強くする
企業評価書のために作った3か年計画は、提出のためだけの書類では終わりません。債務超過を解消する経営計画そのものとして、金融機関との対話や社内の目標共有にも生きてきます。
数字が見えるようになると、経営判断のスピードも変わります。どの受注を優先すべきか、どの経費を見直すべきかが、感覚ではなく根拠で決められるようになるからです。書面のためにいったん整えた財務の視界は、その後の経営を長く支えてくれます。
書面づくりをきっかけに、財務を見える化し、会社を立て直す。人材と資金繰りの両方が安定した経営を、共に手に入れましょう。
自社だけで進める限界とKICKの支援

ここまで型をお伝えしましたが、実際に自社だけで書面を仕上げるには、いくつかの壁があります。
作成できるのは中小企業診断士または公認会計士
重要な事実として、改善の見通しについて評価を行った書面(企業評価書)を作成・評価できるのは、中小企業診断士または公認会計士です。日常的に相談する相手が税理士でも、税理士はこの書面を作成できません。誰に頼むかを最初に間違えないことが大切です。
数字の妥当性を客観的に示す難しさ
自社で作った計画は、どうしても「身内の希望的観測」に見られがちです。第三者である診断士が数字の根拠を検証し、評価を加えることで、書面の説得力が大きく変わります。
また、審査で求められる水準を経験値なしに読み解くのは簡単ではありません。どこまで具体的に書けば足りるのか、どの数字に根拠を添えるべきか——この勘所を外すと、何度も差し戻される事態になりかねません。時間のロスは、そのまま提出期限のプレッシャーに変わります。
KICKコンサルティングの支援内容
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、認定経営革新等支援機関として、製造業・建設業・サービス業などの中小企業を支援実績150社以上でサポートしてきました。
- 債務超過に至った原因の整理と理由書の作成支援
- 審査に耐える3か年改善計画の設計
- 中小企業診断士による企業評価書の作成と評価
- 金融機関・監理団体とのやり取りの助言
「何から手をつければいいか分からない」段階からでも、現状をお聞きして道筋を一緒に描きます。決算書や試算表がまだ整っていなくても大丈夫です。まず今ある資料を見せていただき、何が足りないかを洗い出すところから始められます。
代表の松本昌史は、金融の第一線で相談実績1,100名を重ねたのち、中小企業診断士として財務改善の現場に立ってきました。数字を「審査に通る言葉」に翻訳することが、私たちの役割です。
早めに動くほど選択肢は広がる
提出期限の直前に相談が来ると、どうしても資料集めと計画づくりを同時進行で急ぐことになり、精度が下がりがちです。反対に、期限まで数か月の余裕があれば、根拠を丁寧にそろえ、金融機関とも調整しながら、通る確度の高い書面に仕上げられます。時間は、そのまま書面の質になります。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。まずは「うちの状況でも通るのか」だけでも、お気軽にお聞かせください。
よくある質問

改善の見通しについて評価を行った書面のサンプルはありますか
一律の公式ひな形はありませんが、本記事の6ブロック(会社概要・現状分析・債務超過の理由・3か年改善計画・根拠・専門家評価)がそのままサンプル構成になります。この型に沿って作成するのが基本です。
企業評価書は誰が作成できますか
作成・評価できるのは中小企業診断士または公認会計士です。税理士は日常の会計・税務の専門家ですが、この書面の作成はできません。依頼先を最初に確認してください。
債務超過だと特定技能の受入れは必ず不可になりますか
いいえ。債務超過でも、改善の見通しを企業評価書で合理的に示せれば、受入れや在留期間の更新が認められる場合があります。「即不可」ではありません。
企業評価書のフォーマットはどこで手に入りますか
決まった配布様式に頼るより、審査で重視される6ブロックの構成に沿って作るのが確実です。特に3か年の数値計画と、その根拠の記載が評価の中心になります。
債務超過になった理由は何と書けばよいですか
「景気が悪い」といった曖昧な表現は避け、設備投資や一時的要因など原因を具体的に特定し、それがすでに改善へ向かっている事実をセットで書きます。原因と回復の道筋を必ず対で示します。
改善計画は何年分を書けばよいですか
3か年の数値計画が基本です。売上・粗利・営業利益・返済額を年度ごとに並べ、何年で債務超過を解消するかを明示します。数字は既存の受注や単価など実在データから積み上げます。
作成にはどのくらいの期間がかかりますか
決算書や試算表など必要資料がそろっていれば、数週間が目安です。資料の整理から始める場合はもう少し時間がかかるため、提出期限には余裕を持って準備を始めてください。
特定技能の定期報告でも書面を求められますか
更新や定期報告の場面で財務状況の確認が入ることがあります。連続赤字や債務超過の場合は、改善の見通しについて評価を行った書面の準備をしておくと安心です。
育成就労でも企業評価書は必要ですか
育成就労でも財務要件の確認が想定されます。制度が変わっても「改善の見通しを数字で示す」という考え方は共通のため、早めに計画を整えておく価値があります。
相談すると費用はかかりますか
初回のご相談は無料です。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。まずは自社の状況で書面が通るかを確かめる場としてご利用ください。書面提出の期限が迫っている方は、その旨をお伝えいただければ優先してご案内します。
まとめ
改善の見通しについて評価を行った書面は、「債務超過だから受け入れられない」という結論を覆すための、経営者にとっての反論の場です。決算の数字が赤くても、立て直しの道筋を型に沿って数字で語れれば、審査は通せます。
鍵は2つ。債務超過になった理由を具体的に特定することと、3か年の改善計画を実在データから積み上げることです。そして、この書面を作成・評価できるのは中小企業診断士または公認会計士だけ、という点を忘れないでください。
一人で抱え込まず、通る書面の型を知る専門家と一緒に準備すれば、人材と資金繰りの不安から抜け出せます。まずは現状をお聞かせください。
お断りいただいても、費用は一切かかりません。売り込みや、しつこい営業もありません。書面提出の期限が近い方も、まだ検討段階の方も、お気軽にどうぞ。
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