
建設業を営む経営者の方から、次のようなご相談が急増しています。「外国人材を受け入れたい。しかし直近の決算で純資産がマイナスになった。理由書を自分で書き始めたが、何をどう書けば審査を通るのかまったく分からず、パソコンの前で三日間手が止まっている」。
資材価格の高騰、時間外労働の上限規制への対応、下請構造のなかでの価格転嫁の遅れ。赤字決算の原因は、経営者個人の怠慢ではなく、建設業という業界を取り巻く構造にあります。日本銀行の企業物価指数では建設用材料の価格水準が近年高止まりし、厚生労働省の公表によれば2025年度の地域別最低賃金は全国加重平均で1,121円と、前年度の1,055円から66円引き上げられ、目安制度開始以来で最大の上げ幅となりました。原価は上がり、人件費も上がる。それでも工期と請負金額は先に決まっている。この板挟みのなかで数字が沈むのは、真面目に現場を回してきた会社ほど起こりやすい現象です。
しかも、赤字が判明するタイミングが厄介です。多くの場合、決算が締まった直後や、技能実習2号への移行手続の途中で、監理団体から「純資産がマイナスなので追加書類が必要です」と連絡が入ります。すでに送出機関との面接は終わり、入国予定日も決まっている。そこから慌てて理由書の書き方を検索し、ネット上の断片的な情報をつなぎ合わせて書いてみるものの、これで受理されるのかどうか誰も保証してくれない。担当者が孤立するのは、まさにこの局面です。
本当の敵は、赤字そのものではありません。「赤字だから受け入れは無理だろう」と自社で結論を出してしまい、必要な書類の作り方を知らないまま採用計画を止めてしまうこと。これが最大の損失です。
債務超過でも、外国人材の受け入れを諦める必要はありません
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建設業の赤字決算で外国人採用が止まる構造

先に結論をお伝えします。直近事業年度が債務超過であっても、外国人技能実習(育成就労)・特定技能の受け入れは可能です。ただし条件が一つあります。外国人技能実習機構(OTIT)が公表する提出書類一覧・確認表の別紙②-1・番号20には、直近の事業年度で債務超過がある場合、中小企業診断士、公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が、改善の見通しについて評価を行った書類もあわせて提出する旨が明記されています。同じく番号21では、直近2事業年度の損益計算書の写しの提出が求められます。
ここで多くの担当者がつまずきます。この評価書面は、社内で作成しても要件を満たしません。顧問税理士に依頼しても、原則として要件を満たしません。条文が求めているのは「第三者」かつ「企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格者」であり、その代表例として中小企業診断士と公認会計士が名指しされているからです。手が止まっているのは、書き方が下手だからではありません。そもそも作成できる立場にない方が書こうとしているから、進まないのです。
審査で見られているのは赤字の有無ではなく雇用継続能力
審査担当者の関心は、御社が黒字か赤字かではありません。「この会社は、受け入れた外国人材に対して、実習期間・在留期間を通じて約束した賃金を払い続けられるのか」という一点です。純資産のマイナスは、その懸念を呼び起こす入口にすぎません。したがって評価書面の役割は、赤字を弁解することではなく、支払能力が続くことを財務の裏付けとともに示すことにあります。
| 審査で見られる観点 | 担当者がやりがちな説明 | 評価につながる説明 |
|---|---|---|
| 赤字の原因 | 経営努力が足りず申し訳ない | 資材価格の上昇分と発生時期を金額で特定 |
| 今後の見通し | 全力で経費削減に努める | 受注残と単価改定を根拠に売上と粗利を試算 |
| 支払能力 | 給与は必ず支払う | 月次の資金繰りと借入返済後の残高で提示 |
| 作成者 | 自社または顧問税理士が作成 | 中小企業診断士または公認会計士が作成 |
赤字決算から採用成功へ導く企業評価書の書き方3選

実際に評価書面を組み立てるときの勘所は、次の3つに集約されます。中小企業診断士として決算書を読み込み、審査官の目線で書類を設計してきた立場から、順にご説明します。
1つ目 赤字を隠さず外部要因として論理的に説明する
最も多い失敗が、赤字を小さく見せようとすることです。決算書は提出済みですから、数字は最初から見られています。隠すほど不自然になり、かえって信頼を損ないます。
正しい手順は、赤字を分解することです。まず、売上総利益率が前々期・前期・当期でどう動いたかを並べます。次に、その低下幅のうち、何円が鋼材・生コン・木材などの単価上昇によるものか、何円が労務単価の上昇によるものか、何円が特定工事の追加原価によるものかを切り分けます。日本銀行の企業物価指数や、国土交通省が公表する公共工事設計労務単価の推移といった公的データを物差しに使えば、その説明は「言い訳」から「外部環境の測定結果」へと性質が変わります。
書き方の型としては、時系列で並べるのが最も伝わります。いつ、どの外部環境が、どの工事に、いくらの影響を与えたのか。たとえば「請負契約を締結した時点の見積単価と、実際に資材を発注した時点の単価との差額が、この工事で何百万円発生した」という形です。建設業は請負金額が先に確定し、原価が後から動く業種ですから、この時間差こそが赤字の正体であることが多いのです。逆に言えば、単価改定を反映した新規契約が積み上がるにつれて、同じ理由で利益は戻っていきます。その回復の理屈まで書き切って、はじめて「改善の見通し」になります。
この分解ができると、読み手の受け取り方が変わります。「経営が下手な会社の赤字」ではなく「外部環境の変動を受けたが、原因を金額まで特定できている会社の赤字」になる。その結果、同じ純資産マイナスでも、管理能力のある会社という評価に転じます。ここが1つ目の分岐点です。
2つ目 コスト削減ではなく採用による売上増を主軸に置く
改善の見通しを書くとき、多くの方が経費削減を並べます。しかし建設業で赤字が出ている会社の多くは、すでに削れる経費を削り終えています。役員報酬の減額と交際費の圧縮を列挙しても、読み手には「これ以上は縮むだけ」と映ります。縮小均衡の計画では、雇用を継続できる根拠になりません。
主軸に置くべきは売上です。人手が足りずに断っている工事、職人が確保できず着工を遅らせている案件、施工体制が組めないために入札を見送っている物件。建設業の赤字の相当部分は、需要不足ではなく供給制約から生じています。だからこそ、外国人材の受け入れは「コスト増」ではなく「売上制約の解除」として説明できます。
この視点の転換は、読み手にとっても腑に落ちやすいものです。工事の受注残があり、引き合いもある。足りないのは人だけ。ならば人を入れれば売上が戻る。これほど単純で、これほど検証しやすい改善計画はありません。逆に、需要そのものが消えている業種であれば、人を入れても改善しません。建設業は前者です。国土交通省が公表する建設業の就業者数は長期にわたり減少傾向をたどり、技能者の高齢化も進んでいます。人を確保できた会社から順に受注を取り戻すという構図が、業界全体で起きています。
具体的には、受け入れ予定人数、その人員が加わることで施工可能となる工事の件数と平均請負金額、稼働率、そこから生まれる年間の増加粗利までを数字で結びます。採用が原因で改善するという因果を示せれば、受け入れそのものが改善計画の中核になる。その結果、審査は「赤字なのに雇うのか」から「雇うから改善するのか」へと読み替えられます。これが2つ目の勘所です。
受注残はあるのに人がいない。その状況こそ、評価書面の材料です
決算書3期分をお預かりし、改善の見通しが描けるかどうかを最初の面談でお伝えします。描けないと判断した場合は、その旨を正直にお伝えします。無理なご契約の勧誘は行いません。毎月先着3社限定です。
3つ目 最低賃金と適正給与を払えるキャッシュフローを明確にする
3つ目は、支払能力の証明です。ここが最も軽視され、そして最も効きます。
外国人材には、日本人と同等以上の報酬を支払う必要があります。加えて、厚生労働省の公表のとおり、2025年度の最低賃金は全国加重平均1,121円まで上昇し、2026年度の改定に向けた議論も進んでいます。人件費の下限は毎年切り上がる前提で計画を組まなければ、計画そのものが現実味を失います。
見落とされがちなのは、受け入れに伴って発生する費用が賃金だけではないという点です。監理団体への監理費、入国後講習の期間中の手当、宿泊施設の家賃と初期費用、渡航関連費用。これらは入国前後に集中して出ていく一方、その人材が生む粗利は数か月後から立ち上がります。この時間差を織り込まない計画は、実務を知る読み手にはすぐ見抜かれます。
示すべきは、損益ではなく現金です。月次の入金予定と出金予定を並べ、借入金の約定返済を差し引いたうえで、受け入れ後の人件費増加分を支払っても資金残高がマイナスにならないことを示します。手元資金が薄い場合は、支援機関を活用した資金繰り改善の道筋や、金融機関との交渉方針までを添える。賃金を払い続けられる現金の裏付けがあれば、審査担当者の最大の懸念が消える。その結果、赤字であることは「解消予定の一時的な状態」として位置づけられます。
自社作成を続けた場合に失うもの

ここまで読まれて、「要点は分かった。あとは自分で書く」と考える方もいらっしゃいます。その判断が招く現実を、正直にお伝えします。
| 項目 | 自社で作成を続けた場合 | 公的資格者に依頼した場合 |
|---|---|---|
| 要件充足 | 第三者要件を満たさず受理されない | 番号20の求める要件を満たす |
| 経営者の時間 | 書式調査と手直しに数十時間 | 決算書の提出と面談のみ |
| 採用スケジュール | 差し戻しのたびに数週間から数か月の遅延 | 3営業日から5営業日での納品が目安 |
| 機会損失 | 人員不足による受注辞退が継続 | 施工体制の回復に着手できる |
とくに深刻なのが3つ目です。監理団体や登録支援機関のスケジュール、送出機関の面接時期、入国後講習の日程は連動しています。書類が一つ遅れれば、玉突きで半年先送りになることも珍しくありません。半年間、人が足りないまま現場を回すコストは、書類作成の外部委託費とは比較になりません。
もう一つ、見えにくい損失があります。差し戻しが重なると、監理団体や送出機関からの信頼が下がることです。書類の遅延が続く受入企業は、次の候補者を優先的に紹介してもらえなくなります。人材の争奪が起きている今、紹介の順番から外れることは、募集広告を止めるのと同じ意味を持ちます。書類は事務作業ではなく、採用競争力そのものです。
加えて、建設業では時間外労働の上限規制が2024年4月から適用されています。人員が増えないまま工期を守ろうとすれば、法令上の上限に抵触するリスクが高まります。人手不足は、もはや売上の問題ではなく、コンプライアンスの問題です。だからこそ、書類作成は専門家に任せ、経営者は現場と受注に時間を使う。その判断をされる方が増えています。
審査官目線で組み立てる企業評価書と支援の流れ

KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、経済産業大臣登録の中小企業診断士であり、MBA・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・事業承継士・中小企業事業再生マネージャーの資格を併せ持つ代表の松本昌史が、決算書を直接読み込み、評価書面を作成します。中小企業庁の認定経営革新等支援機関として、これまで150社以上の法人支援に携わってきました。
金融機関との交渉、事業再生、事業承継といった現場を数多く見てきた経験は、評価書面の作成にそのまま生きます。銀行の審査部が何を疑い、何があれば納得するのか。その感覚は、決算書を年間で何十社分も読み込んでいなければ身につきません。外国人材の受け入れ審査で見られている雇用継続能力は、金融機関が見ている返済能力と、着眼点がよく似ています。だからこそ、財務の専門家が書いた書面は、行政の読み手にも届きます。
支援の対象範囲と進め方
当社が担うのは、財務分析、評価書面の作成、そして申請書類の準備に関する申請サポートです。中小企業診断士は申請の代理を行う立場にはありませんので、提出そのものは御社または監理団体が行います。この線引きを最初に明示することも、専門家としての責任だと考えています。
- お申込み。Webフォームからご連絡いただき、決算書3期から5期分をご用意いただきます
- オンライン面談。事業概要、受注状況、赤字の原因、今後の受注見込みを直接お伺いします。全国どこからでもご参加いただけ、来社は不要です
- 評価書面の作成。外部要因の特定、採用による増収シナリオ、資金繰りの裏付けを一体で組み立てます
- 納品。3営業日から5営業日を目安に、そのまま提出できる形でお渡しします
制度面では、2027年4月に育成就労制度への移行が予定されています。制度が変わる局面では、書類の作り込みの差がそのまま結果の差になります。詳しい支援内容は債務超過企業の企業評価書作成支援のページにまとめています。
手に入る具体的な未来
評価書面が整うと、御社には3つの変化が起こります。第一に、書類の面。番号20の要件を満たした評価書面が手元にあり、担当者が夜中にパソコンの前で悩む時間がゼロになります。第二に、現場の面。予定していた人員が入り、断っていた工事を受けられるようになり、既存の職人の残業が減ります。第三に、財務の面。赤字の原因が金額で特定され、いつ・何によって純資産がプラスに転じるかが、御社自身の言葉で金融機関にも説明できるようになります。
この3つ目の変化は、副次的なものに見えて実は最も長く効きます。改善の見通しを一度きちんと言語化した会社は、翌期以降、自分たちの数字を自分たちの言葉で語れるようになります。銀行との面談で「なぜ赤字なのか」を問われたときに、資料を出して30秒で答えられる。追加融資の場面でも、事業承継の場面でも、その説明能力が会社を守ります。評価書面の作成は、審査を通すための一枚の紙にとどまりません。御社が自社の現在地を把握し直す機会そのものです。
赤字は、会社の価値ではありません。説明できない赤字が、価値を下げているだけです。数字で語れる状態を、共に手に入れましょう。
今月の相談枠は先着3社です
相談したからといって、契約の義務は一切ありません。しつこい営業連絡も行いません。まずは決算書を見せていただき、可能性があるかどうかだけをお伝えします。
よくあるご質問

- Q. 債務超過だと外国人材の受け入れは認められないのですか
- A. そのようなことはありません。外国人技能実習機構の提出書類一覧・確認表の別紙②-1・番号20は、直近事業年度に債務超過がある場合に、公的資格を有する第三者による改善の見通しの評価書面を追加提出するよう求めています。禁止ではなく、追加書類の要求です。
- Q. 評価書面は誰が作成できるのですか
- A. 番号20には、中小企業診断士、公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者と明記されています。自社の経理担当者や役員が作成したものは第三者に該当しません。
- Q. 顧問税理士に頼めば済みますか
- A. 税理士は税務の専門家であり、番号20が例示する資格には含まれていません。決算書の作成者が改善の見通しを評価するという構図自体が第三者性を欠くため、原則として別途、中小企業診断士または公認会計士への依頼が必要です。
- Q. 3期連続で赤字ですが、それでも作成してもらえますか
- A. 赤字の期数そのものが可否を決めるわけではありません。原因が特定でき、今後の受注や単価改定によって改善の道筋が描けるかどうかが判断の軸になります。まずは決算書を拝見したうえで、率直に見立てをお伝えします。
- Q. 提出まで代わりに行ってもらえますか
- A. 当社が行うのは財務分析、評価書面の作成、申請書類の準備に関する申請サポートまでです。中小企業診断士は申請の代理を行う立場にありませんので、提出は御社または監理団体にお願いしています。
- Q. 納品までどのくらいかかりますか
- A. 決算書とヒアリング情報が揃ってから、3営業日から5営業日が目安です。提出期限が迫っている場合は、お申込み時にその旨をお伝えください。
- Q. 決算書は何期分必要ですか
- A. 3期分から5期分をお願いしています。番号20および番号21が求めるのは直近2事業年度の貸借対照表と損益計算書ですが、赤字の原因を外部要因として説明するには、それ以前の推移との比較が必要になるためです。
- Q. 地方の会社でも依頼できますか
- A. 全国対応です。ヒアリングはオンラインで完結しますので、ご来社いただく必要はありません。北海道から沖縄まで、同じ体制でご支援しています。
- Q. 改善の見通しには、どのような内容を書くのですか
- A. 赤字の原因の外部要因としての特定、外国人材の受け入れによる施工能力の回復と増収の試算、賃金支払を裏付ける資金繰り計画。この3点を軸に構成します。経費削減のみを並べた計画では、雇用継続能力の証明として弱くなります。
- Q. 育成就労制度への移行後も、この評価書面は必要ですか
- A. 2027年4月に育成就労制度への移行が予定されていますが、受入企業の財務健全性を確認するという審査の考え方が消えることは想定しにくく、現時点で必要性が下がると判断する根拠はありません。制度移行の前後で運用が変わる可能性があるため、最新の公表資料に基づいて対応しています。
- Q. 相談したら契約しなければなりませんか
- A. その必要はありません。相談は無料で、その場での売り込みも行いません。判断に必要な情報だけをお持ち帰りいただいて構いません。
- Q. 相談枠に制限はありますか
- A. 代表が全件を直接担当しているため、毎月先着3社までとさせていただいています。定員に達した場合は翌月のご案内となります。
赤字だから採用を諦めるのではありません。採用するから、赤字から抜け出せる。その筋道を、書類という形にしてお渡しします。
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