
外国人技能実習・特定技能の受入れを検討していた企業が、加入している監理団体に相談したところ、「直近の決算が債務超過のままでは、受入れの手続きを進めることができません。企業評価書を用意してください」と言われた。
債務超過の原因は、業種や会社によってさまざまです。ただし原因が何であれ、直近決算に債務超過とある限り、企業評価書の提出を避けて通ることはできません。
このまま企業評価書を用意できなければ、今いる技能実習生・特定技能人材の継続雇用すらできなくなります。継続雇用できなければ人手不足は解消できず、人手不足が解消できなければ下期に本格化させたい受入れ・採用計画そのものが前に進みません。最悪の場合、人手不足も受入れ計画も、どちらも解消できないまま止まってしまいます。
下期がスタートするこの時期、人手不足を補うために外国人技能実習生や特定技能人材の受け入れを本格的に検討する企業が増えています。
ネットで検索しても、制度の説明ばかりで、肝心の「サンプル」「フォーマット」がなかなか見つからない。担当者だけで抱え込み、申請のスケジュールだけが迫ってくる。これは決してあなただけの悩みではありません。企業評価書は制度上、中小企業診断士など専門の資格者にしか作成できないため、初めて向き合う経営者・総務担当者のほとんどが同じところでつまずきます。
結論からお伝えすると、企業評価書には一般的に決まった記載項目の型があります。その型さえ押さえれば、自社の状況をどこに当てはめればいいかが見えてきます。この記事では、審査を一発で通す企業評価書の記載項目と書き方の考え方を、業種を問わず使える形で整理します(架空の数値やそのまま使える文例は作りません。あくまで一般的な構成項目の解説です)。
- 企業評価書の提出を初めて求められた経営者・総務担当の方
- 直近決算が赤字・債務超過で受入れ審査が不安な方
- 企業評価書のサンプルやフォーマットを探している方
- 誰に作成を依頼すればいいか分からず困っている方
- 企業評価書が必要になる制度上の理由と、放置した場合のリスク
- 企業評価書に一般的に記載される5つの項目とその考え方
- 自社で作成できるのか、誰に依頼すればいいのか
- 企業評価書を用意した先生・企業が手に入れる未来
この記事は、KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)代表・松本昌史(MBA/中小企業診断士/認定経営革新等支援機関)が、法人支援実績150社以上の中で見えてきた実務を踏まえて執筆しています。読み終える頃には、自社の企業評価書に何を書けばいいか、進め方の見通しが立っているはずです。
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企業評価書が必要になる理由と、放置したときに起きること

結論から言うと、企業評価書は「直近決算が債務超過」という条件に該当した企業だけに求められる書面です。放置すればするほど、受入れの計画そのものが止まってしまいます。
なぜ債務超過だと企業評価書が必要になるのか
外国人技能実習・特定技能の受入れでは、監理団体・登録支援機関の財産的基礎の確認などの場面で、受入れ企業の財務状況が審査されます。直近期末の決算で債務超過に該当すると、単独では審査を通過できないことがあります。
そこで求められるのが、中小企業診断士など専門の資格者による「改善の見通しについて評価を行った書面」、いわゆる企業評価書です。この書面があれば、債務超過であっても改善の見通しを客観的に示せます。
記載事項が分からず止まる典型パターン
企業評価書という言葉を初めて聞いた担当者の多くは、次のようなところで止まります。
- 何を書けばいいのか、項目の全体像が見えない
- 自社の決算資料のどこを参照すればいいか分からない
- 専門用語が多く、社内で誰が書くべきか判断できない
- サンプル・フォーマットを探しても、制度説明しか出てこない
結果として、担当者が一人で抱え込み、申請の準備そのものが後回しになってしまいます。総務担当者が一人で全業種・全制度に精通しているケースはまれで、経理担当者に聞いても「決算のことなら分かるが、この書面は専門外」と言われて終わることも珍しくありません。
このまま放置すると何が起きるか
企業評価書の準備が遅れると、受入れ審査そのものが前に進みません。人手不足を補うはずの受入れ計画が、書類の壁で止まってしまうのです。
下期に入り採用計画を本格化させたい時期に、これは大きな痛手です。監理団体・登録支援機関とのやり取りも滞り、担当者の負担だけが増えていきます。
| 状況 | 起きること |
|---|---|
| 企業評価書を用意しないまま放置 | 受入れ審査が停滞し、採用計画が遅れる |
| 記載項目を理解しないまま自己流で準備 | 不備・差し戻しで審査がさらに長引く |
| 記載項目の型を踏まえて早めに準備 | 審査が前に進み、採用計画どおりに動ける |
企業評価書と混同されやすい書類との違い
準備を進める中で、次のような書類と混同してしまう担当者が少なくありません。
- 決算書そのもの:財務の結果を示す書類であり、改善の見通しまでは示さない
- 債務超過の理由書:原因の説明にとどまり、第三者による評価は含まれない
- 企業評価書:中小企業診断士など専門の資格者が、改善の見通しまで含めて評価する書面
この違いを理解しておくと、「決算書と理由書さえ出せば足りる」という誤解を避けられます。企業評価書は、この3つの中でも唯一、第三者の専門的な評価が入る書類です。
担当部署によって起きやすい誤解
社内のどの部署が対応するかによって、つまずき方の傾向が異なります。
- 総務部門:制度の全体像は把握しているが、財務数値の分析には踏み込みにくい
- 経理部門:決算数値には強いが、第三者評価の書面という性質を理解しにくい
- 現場部門:受入れの必要性は感じているが、書類作成の実務までは手が回らない
どの部署が担当しても、最終的な総合評価の部分は自社では作成できません。早い段階で、社内の役割分担と外部専門家への依頼範囲を整理しておくことが大切です。
業種によって審査で見られるポイントは異なる
債務超過に至った背景は、業種によって傾向が異なります。飲食料品製造業なら原材料費の高騰、建設業なら資材価格の上昇や工期の遅れ、介護業なら人件費の増加といった具合です。自社の業種特有の事情を踏まえて記載できると、改善の見通しの説得力が増します。
放置するほど選択肢は狭くなります。逆に、記載項目の型を先に押さえておけば、慌てずに準備を進められます。
企業評価書のサンプル|押さえるべき5つの記載項目

結論として、企業評価書には一般的に決まった5つの記載項目があります。この型さえ押さえれば、自社の状況をどこに当てはめればいいかが見えてきます。
企業評価書のサンプル構成(5項目の一覧)
実際にどんな項目で構成されるのか、一般的な記載項目を整理すると次のとおりです(架空の数値・記載例文ではなく、構成項目名の一覧です)。
| 項目 | 記載内容の例 |
|---|---|
| ①企業概要 | 事業内容・設立年・資本金・従業員数・業種 など |
| ②財務状況の分析 | 直近決算の数値、債務超過に至った経緯・要因 |
| ③原価・収益構造の分析 | 売上・原価の推移、損益分岐点の状況 |
| ④改善の見通し | 収益改善計画・資金繰り計画・実行体制 |
| ⑤総合評価 | 受入れ企業としての妥当性に関する診断士の所見 |
企業概要の書き方
まず土台となるのが、自社がどういう会社かという基本情報です。事業内容・設立年・資本金・従業員数といった、誰が読んでも会社の輪郭が分かる情報を整理します。ここは自社の登記情報や会社案内があれば、そのまま整理するだけで済みます。
財務状況の分析の書き方
直近決算の数値をもとに、なぜ債務超過に至ったのかを説明します。ここが最も重要な部分です。
- 売上の減少があったのか、それとも費用の増加が主因か
- 一時的な要因(設備投資・特別損失等)か、構造的な要因か
- 直近数期の推移で、悪化が続いているのか改善傾向にあるのか
この切り分けができているかどうかで、書面の説得力が大きく変わります。
原価・収益構造の分析の書き方
売上と原価の関係を整理し、損益分岐点(どれだけ売れば黒字化するか)の状況を示します。ここを数値で示せると、改善の見通しに説得力が生まれます。数値を並べすぎる必要はなく、要点を絞って構いません。
改善の見通しの書き方
ここが企業評価書の核心です。今後どう収益を改善していくのか、資金繰りをどう手当てするのか、誰が実行するのかを具体的に書きます。抽象的な「頑張ります」ではなく、実行できる計画として示すことが求められます。
総合評価の書き方
最後に、ここまでの内容を踏まえた総合的な評価を記載します。この総合評価の部分は、中小企業診断士など専門の資格者が第三者の立場で作成する必要があります。自社の担当者や税理士が代わりに書くことはできません。
企業評価書がどのようなものか、より詳しい実務の流れは次のページにまとめています。
外国人技能実習・特定技能の企業評価書について 社長やご担当者の方へ。“あなた”は今、このようなお悩みを抱えていませんか。 外国人技能実習制度を活用したいが、企業評価書の作成方法が分からないという方 特定技能外国人の受入れにあたり、経営改善の見通しについて評価が必要だ...
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サンプルをそのまま写してはいけない理由
他社のサンプルや記載例をそのまま流用すると、審査で不整合が疑われます。企業評価書は、あくまで自社の実態に基づいた分析でなければ意味がありません。型(構成項目)を参考にしつつ、中身は自社固有の数値・状況で埋めることが大切です。
自社で作成できるのか
結論として、企業評価書は自社では作成できません。税理士・行政書士であっても同様です。企業評価書(改善の見通しについて評価を行った書面)を作成できるのは、中小企業診断士や公認会計士など、企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格者に限られます。
「企業評価書 税理士」と検索して探す方もいますが、税理士は日々の税務・決算には強くても、企業評価書そのものの作成資格は持っていません。作成できる専門家に依頼するのが最も確実な道です。
記載項目を整えるのにかかる期間の目安
決算資料がすでに整っている場合と、これから準備する場合とでは、かかる時間が変わります。
- 決算資料・試算表がすぐ用意できる:財務状況の分析に着手しやすく、比較的短期間で進められる
- 原価・収益構造の要因分析がまだの場合:一時的要因か構造的要因かの切り分けに時間がかかる
- 改善計画が未策定の場合:資金繰り計画・実行体制の整理から始める必要がある
受入れ審査のスケジュールから逆算し、早めに着手するほど余裕を持って進められます。
相談前に手元に用意しておきたい資料
専門家に相談する際、次の資料が手元にあると話がスムーズに進みます。
- 直近2〜3期分の決算書・試算表
- 債務超過に至った経緯が分かる資料(特別損失の内容、設備投資の記録等)
- 今後の事業計画や資金繰りに関するメモ(整っていなくても構いません)
- 受入れを予定している在留資格の種類と、想定している人数
すべてが完璧に揃っていなくても相談は可能です。「何が足りないか」を一緒に整理するところから始められます。
企業評価書を整えた先に手に入る未来

記載項目を押さえ、企業評価書を用意できると、次の3つが手に入ります。
数字:受入れ審査が前に進む
債務超過であっても、改善の見通しを客観的に示せれば、受入れ審査は止まりません。採用計画どおりに人材確保を進められます。
時間:担当者が一人で抱え込まずに済む
記載項目の型と、作成を依頼できる専門家が分かれば、担当者はゼロから調べる時間を使わずに済みます。本来の業務に集中できます。
関係性:受け入れた人材との関係が安定する
審査がスムーズに進めば、受け入れた技能実習生・特定技能人材との関係づくりにも早い段階から時間を割けます。採用がゴールではなく、その後の定着まで見据えられる余裕が生まれます。
現場の負担も軽くなる
受入れ審査が滞ると、その分だけ既存の従業員に負担がしわ寄せされます。人手不足を補うはずの受入れが、逆に社内の疲弊を招いては本末転倒です。企業評価書を用意し審査を前に進めることは、現場の負担を減らすことにも直結します。
審査の不安から解放された先の、落ち着いた採用活動を共に手に入れましょう。
自社だけで進める限界と、企業評価書に強い中小企業診断士の支援

結論として、企業評価書の作成を自社だけで進めるのは現実的ではありません。理由は専門性の壁と時間コストの2つです。
専門性の壁
企業評価書は中小企業診断士など専門の資格者にしか作成できません。自社で作成・代筆すれば、資格の範囲を超えた対応と受け取られかねません。この一点だけでも、専門家への依頼が唯一の現実的な選択肢になります。
時間コスト・判断ミスのリスク
財務状況の分析から改善の見通しの整理まで一から自社で行おうとすれば、決算業務や日常業務と重なり、大きな時間を取られます。記載の切り分けを誤ると、審査で差し戻しになり、かえって時間がかかることもあります。だからこそ、専門家に任せる企業が増えています。特に決算期と受入れ審査の時期が重なると、社内のリソースはどうしても決算対応に優先的に割かれ、企業評価書の準備は後回しになりやすいものです。
KICKコンサルティングの支援内容
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、認定経営革新等支援機関(中小企業庁)として、法人支援実績150社以上、全国オンライン対応(来社不要)で企業評価書の作成を支援しています。代表の松本昌史は中小企業診断士としてこれまで数多くの財務分析・改善計画の策定に携わってきました。飲食料品製造業・建設業・介護業など、業種を問わず対応してきた実績があります。
相談したからといって、必ず依頼しなければならないわけではありません。まずは自社の状況を整理し、記載項目のどこが埋まっていて、どこが足りないかを確認するところから始められます。
制度の背景や企業評価書の位置づけについて、より基礎から知りたい方は次のページも参考にしてください。
「直近の決算が債務超過なので、企業評価書を用意してください」。監理団体や登録支援機関からこう告げられ、初めてこの書類の存在を知る経営者は少なくありません。 結論からお伝えすると、債務超過でも、外国人材の受入れが直ちに不可能になるわけではありません。中小企業診断士や公認会計士などの第三者が「改善...
費用の具体額はここでは記載しませんが、詳細はサービスページでご確認いただけます。
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企業評価書のよくある質問|サンプル・記載項目・費用の疑問を解消

Q. 企業評価書のサンプルをそのまま自社用に書き換えて使ってもいいですか?
A. おすすめできません。構成項目の型を参考にするのはよいですが、中身は必ず自社固有の決算数値・状況で埋める必要があります。他社の記載例をそのまま流用すると、審査で不整合が疑われます。
Q. 企業評価書は業種を問わず同じフォーマットですか?
A. 記載項目の骨格(企業概要・財務状況・原価収益構造・改善の見通し・総合評価)は業種を問わず共通です。ただし、記載する数値や改善策の中身は業種・会社ごとに異なります。
Q. 企業評価書は誰が作成できるのですか?
A. 中小企業診断士や公認会計士など、企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格者に限られます。税理士・行政書士が作成することはできません。
Q. 債務超過でも外国人材の受入れは可能ですか?
A. 可能です。債務超過であっても、企業評価書で改善の見通しを示せれば、受入れ審査は前に進みます。あきらめて受入れを断念する必要はありません。
Q. 費用はどのくらいかかりますか?
A. 会社の状況によって異なるため、ここでは具体額をお伝えできません。詳細はサービスページにてご確認ください。
Q. 技能実習・特定技能のどちらでも企業評価書は必要になりますか?
A. どちらの在留資格であっても、直近決算が債務超過であれば企業評価書に相当する書面が求められる考え方は共通しています。
Q. 企業評価書の作成にはどのくらいの期間がかかりますか?
A. 決算資料の準備状況によって前後します。早めに相談いただくほど、受入れ審査のスケジュールに余裕を持たせられます。
Q. 税理士に企業評価書の作成を相談してもいいですか?
A. 税理士は日々の税務・決算では頼りになりますが、企業評価書そのものの作成資格は持っていません。企業評価書の作成は、中小企業診断士など専門の資格者に相談することをおすすめします。
Q. 全国どこの会社でも相談できますか?
A. 対応できます。全国オンライン対応(来社不要)のため、会社の所在地に関わらずご相談いただけます。
Q. 監理団体や登録支援機関からも企業評価書を求められることはありますか?
A. あります。監理団体・登録支援機関の財産的基礎の確認の場面でも、直近決算が債務超過であれば同様の書面が求められることがあります。受入れ企業だけの話ではありません。
Q. 過去のサンプルと自社の状況が大きく異なる場合はどうすればいいですか?
A. 型(構成項目)は共通でも、中身は会社ごとに異なって当然です。自社固有の事情に合わせて分析すればよく、無理に他社の記載例に寄せる必要はありません。
まとめ
企業評価書には、企業概要・財務状況の分析・原価収益構造の分析・改善の見通し・総合評価という、一般的に共通する5つの記載項目の型があります。この型を押さえておけば、自社の決算数値や状況をどこに当てはめればいいかが見えてきます。
ただし、総合評価を含む企業評価書そのものの作成は、中小企業診断士など専門の資格者にしか行えません。サンプル・フォーマットで全体像をつかんだうえで、実際の作成は専門家に任せる。この分担が、受入れ審査を止めずに前へ進める最も確実な方法です。
下期の採用計画を止めないためにも、記載項目の型を早めに押さえ、必要であれば早い段階で専門家に相談しておくことをおすすめします。企業評価書は業種を問わず共通の型で整理できる書類です。飲食料品製造業でも、建設業でも、介護業でも、考え方の骨格は変わりません。まずは自社の直近決算を手元に置き、5つの項目のどこから埋められるかを確認するところから始めてみてください。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは現状をお聞かせください。
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