
「エンジン部品の受注が、去年よりまた減っている」——鋳物工場の経営者から、こうした声を聞く機会が増えました。自動車のEV化が進むにつれ、内燃機関(エンジン)向けの鋳造部品は需要そのものが縮小し、受注減がそのまま赤字・債務超過に直結する鋳造業が全国で増えています。しかし、あなただけの問題ではありません。特定技能・技能実習(育成就労)で外国人材の受入れを続けたくても、直近決算が債務超過だと、審査で「改善見通しに関する評価書面(企業評価書)」の提出を求められ、そこで止まってしまう会社が少なくないのです。現場では人手不足も同時に進んでおり、「受注は減っているのに人が足りない」という矛盾した状況に頭を悩ませている経営者も多いのではないでしょうか。この記事では、EV化による受注減という一時的・構造的な要因を財務データで説明し、中小企業診断士の企業評価書によって「1年以内に債務超過を解消できる見通し」を客観的に示す方法を解説します。
- EV化でエンジン部品の受注が急減している方
- 鋳造業で赤字・債務超過に陥っている方
- 特定技能の受入れ審査が通るか不安な方
- 企業評価書を誰に頼めばいいか分からない方
- EV化がもたらす鋳造業の構造的な受注減の実態
- 債務超過でも特定技能の受入れが可能になる条件
- 企業評価書に必要な「改善見通し」の示し方
- 中小企業診断士に依頼する具体的な流れと準備
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鋳物工場を襲うEV化ショック―受注減少と債務超過の連鎖

結論から言えば、鋳造業の受注減少は「経営努力不足」ではなく、業界構造そのものの転換によるものです。このまま何も手を打たずにいると、赤字が固定化し、金融機関からの評価も下がり、外国人材の受入れどころか事業継続そのものが難しくなります。
なぜ鋳造業の受注が減っているのか
銑鉄鋳物製品は生産額の半分以上が自動車向けとされています。EV化が進むと、エンジンやトランスミッションといった内燃機関の部品はモーターやインバーターに置き換わり、従来型の鋳鉄部品そのものが不要になっていきます。実際に、経済産業省も工業製品製造業分野の外国人材受入れに関する資料の中で、素形材・機械金属加工の現場が構造転換の渦中にあることを示しています。特定技能の「機械金属加工」区分には鋳鉄鋳物製造・非鉄金属鋳物鋳造・ダイカストなどが含まれており、この分野の企業ほど、受注構成の変化に経営が直接左右されます。
帝国データバンクの業界動向調査でも、素形材(鋳造・鍛造・金型)関連の中小企業は、自動車生産台数や車種構成の変化に業績を大きく左右される「川上」の産業として位置づけられています。取引先の完成車メーカーがエンジン車からEVへ生産ラインを切り替えるタイミングで、鋳造品の発注量が段階的に減っていくため、決算数値に表れる頃には既に受注構成の転換が進んでいる、というケースが少なくありません。「気づいたときには赤字が2期続いていた」という相談も、現場では珍しくないのです。
得意先1社への依存が、赤字を加速させる
鋳造業は設備投資額が大きく、特定の完成車メーカーや一次サプライヤーとの長期取引に依存しやすい業種です。得意先の生産計画が変わるだけで、自社の売上が大きく揺らぐ構造そのものが、業界特有のリスクになっています。得意先依存度が高い会社ほど、EV化の影響を受けやすいため、受注構成の見直しは先延ばしにできない経営課題です。
現場では「人手不足」と「受注減」が同時に起きている
ここが鋳造業ならではの難しさです。エンジン部品向けの受注は減っているにもかかわらず、鋳込み・型込め・仕上げといった熟練の技能を要する工程では、依然として人手不足が続いています。ベテラン職人の高齢化と若手の採用難が重なり、受注量が減っても現場の負担は軽くならない、という状況に陥っている会社も少なくありません。だからこそ、赤字であっても特定技能人材を受け入れて現場を維持しながら、同時に受注構成を立て直すという両輪の経営判断が必要になります。
「受注が減った」で終わらせないための視点
受注減少に直面したとき、多くの経営者はまず「新規開拓を頑張る」「経費を削る」という対症療法に向かいがちです。もちろんどちらも必要ですが、審査担当者や金融機関が見ているのは、その対応が数字の裏付けを伴っているかどうかです。感覚的な努力目標ではなく、得意先別・製品別の売上構成、原価率の推移、今後の設備投資計画といった具体的な数値に落とし込めるかどうかで、評価書の説得力は大きく変わります。
放置すると起きる3つの悪化シナリオ
| シナリオ | 起きること |
|---|---|
| 受注減の放置 | 固定費(人件費・設備償却費)を売上が下回り、赤字が慢性化する |
| 債務超過の長期化 | 金融機関の債務者区分が下がり、追加融資が受けにくくなる |
| 人材受入れの停止 | 企業評価書を準備できず、特定技能・技能実習の更新や新規受入れが止まる |
ここで大切なのは、「EV化だから仕方ない」で終わらせないことです。受注減の中身を分解し、改善の道筋を数字で示せるかどうかが、赤字から抜け出せる会社と抜け出せない会社の分かれ目になります。
特定技能受入れを実現する4つの秘訣

結論として、債務超過であっても「1年以内に解消できる見通し」を客観的に示せれば、特定技能・技能実習(育成就労)の受入れは可能です。ポイントは4つあります。
秘訣1:受注減を「一時的要因」と「構造的要因」に切り分ける
まず、過去3〜5期の売上高を得意先別・製品別に分解します。エンジン部品向けの受注が減っている一方で、EV部品(モーターケース、電池ケース等のアルミ鋳造品)や産業機械向けの受注が横ばい・増加であれば、「一時的な受注構成の変化」として説明できます。数字の裏付けがない「頑張ります」だけの説明は、審査でも金融機関でも通用しません。逆に言えば、受注減の中身を分解できている会社ほど、評価書の説得力が高くなります。
| 分析項目 | 確認するポイント |
|---|---|
| 得意先別売上推移 | 特定の完成車メーカー・一次サプライヤー向けの減少幅 |
| 製品別売上推移 | エンジン部品と非エンジン部品(EV・産業機械向け等)の比率変化 |
| 受注残・見積件数 | 減少が底を打っているか、まだ下がり続けているか |
秘訣2:EV関連部品への転換計画を数値で示す
非鉄金属の使用量はEVでガソリン車の3〜4倍に増えるとされ、アルミ鋳造部品のニーズは今後むしろ拡大が見込まれます。設備投資や新規取引先開拓の計画を、金額・時期・見込み売上とセットで示すことで、「受注減は一時的で、改善の道筋がある」という説明に説得力が生まれます。既存の鋳造設備を活かしながら、アルミ鋳造や非鉄金属加工へ品目を広げられないか、現有設備の転用可能性から検討するのが現実的な進め方です。
秘訣3:管理会計で原価管理と見積り精度を立て直す
売上ではなく利益が残る構造にできているかを確認します。鋳造業は原材料(銑鉄・アルミ地金)とエネルギーコストの変動が大きく、どんぶり勘定の見積りのままでは、受注が入っても利益が残りません。製品別・ロット別の原価を管理会計で見える化し、粗利率の改善計画を数値で提示することが、改善見通しの根拠になります。企業評価書作成の支援サービスでは、この管理会計の整理から一緒に進めます。
特に、原材料価格やエネルギーコストが上昇した分を見積りに反映できているかどうかは、鋳造業の利益体質を左右する重要なポイントです。価格転嫁が遅れている取引先があれば、その交渉材料をそろえることも、改善計画の一部として評価書に反映できます。
秘訣4:中小企業診断士による第三者評価書で客観的に証明する
ここまでの分析・計画を、企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格(中小企業診断士または公認会計士)を持つ第三者が評価し、書面にまとめます。OTIT提出書類(別紙②-1・番号20)に該当するこの評価書面は、社長自身の説明だけでは代替できません。第三者の客観的な視点が入ることで、初めて審査上の信頼性を持つ書類になります。
評価書には「なぜそのような評価に至ったのか」という根拠の記載が欠かせません。受注構成の分析、転換計画の数値、管理会計の改善状況という秘訣1〜3の内容が、そのまま評価書の根拠として積み上がっていく、という関係になっています。
どのくらいの期間で準備できるか
決算書・試算表がそろっている状態であれば、財務分析から評価書の完成までは概ね数週間程度が目安です。ただし、得意先別・製品別の売上データが未整理の場合や、改善計画をこれから具体化する場合は、資料整理の段階で時間を要することがあります。特定技能・技能実習の受入れスケジュールから逆算し、余裕をもって準備に着手することが、審査を滞りなく進めるコツです。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは決算書をお持ちください。
企業評価書取得後に手に入る未来

企業評価書が整い、特定技能の受入れが実現すると、会社の景色は3つの軸で変わります。
数字:利益が残る受注構成へ
エンジン部品への依存度を下げ、EV関連部品・産業機械部品を含めた受注ポートフォリオが整うことで、粗利率が改善し、赤字体質から抜け出す道筋が数字で見えるようになります。原材料価格やエネルギーコストの変動を織り込んだ見積りができるようになれば、受注が入るたびに利益が削られる状態からも抜け出せます。
時間:現場の人手不足から解放される
特定技能人材が現場に定着することで、鋳込み・仕上げといった技能を要する工程の人手不足が緩和され、経営者が資金繰りだけに追われる日々から時間を取り戻せます。
関係性:金融機関からの見え方が変わる
改善見通しを数字で説明できる会社は、金融機関からも「立て直しの道筋がある会社」として評価され、今後の資金調達や返済条件の相談もしやすくなります。取引先に対しても、EV関連部品への対応力を持つ会社として、新規商談の入り口が広がることがあります。数字が整った経営基盤と、外国人材が定着した現場を、共に手に入れましょう。
自社だけで進める限界と、KICKコンサルティングの支援

企業評価書の作成には、財務分析・改善計画の策定・第三者評価という3つの専門性が必要です。自社の総務担当だけで、これを審査に耐えうる水準で仕上げるのは容易ではありません。判断を誤れば、評価書自体が受理されず、受入れ手続きが振り出しに戻るリスクもあります。だからこそ、プロに任せる経営者が増えています。
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)の支援内容
- 決算書・試算表から受注減の要因を得意先別・製品別に分解
- EV関連部品への転換計画・粗利改善計画を管理会計で数値化
- 中小企業診断士による企業評価書(改善見通しに関する評価書面)の作成
- 受入れ後も見据えた資金繰り・利益改善の伴走支援
私たちは「申請サポート」ではなく、数字を見える化し、利益が残る構造へ転換することを軸に支援しています。法人支援実績150社以上、認定経営革新等支援機関としての知見をもとに、鋳造業特有の原価構造まで踏み込んで整理します。経営改善は精神論ではなく構造改善であるという考え方のもと、忙しいのに儲からない状態から抜け出す道筋を、数字で一緒に描いていきます。
よくある失敗パターン
実務でよく見られるのが、決算書の数字だけを整えて評価書の体裁を整えようとするケースです。受注減の要因分析が浅いまま「来期は頑張ります」という抽象的な計画で評価書を作成すると、審査担当者から根拠不足を指摘され、追加資料の提出や再提出を求められることがあります。結果的に受入れ手続き全体が数か月単位で遅れてしまうことも珍しくありません。逆に、受注構成の分解・転換計画・管理会計の3点がそろっている会社は、評価書の作成自体もスムーズに進みます。
また、「経営管理は税理士に任せているから大丈夫」と考える経営者もいますが、企業評価書は税理士では作成できません。顧問税理士との役割分担を明確にしたうえで、財務分析と第三者評価の部分を中小企業診断士に任せる、という体制づくりも重要な準備の一つです。
もう一つよくあるのが、「受注が回復するまで様子を見る」という判断です。EV化による受注構成の変化は一時的な景気変動とは性質が異なり、待っているだけでは元の水準に戻らないことがほとんどです。様子見をしている間に赤字が積み重なり、いざ改善に着手しようとしたときには選択肢が狭まっている、という展開を避けるためにも、早い段階で財務状況を専門家に見せることが結果的に近道になります。
特に、特定技能や技能実習(育成就労)の在留期間更新のタイミングが近づいている会社ほど、準備にかけられる時間は限られます。「まだ決算が確定していないから」と後回しにせず、試算表の段階から専門家に相談を始めることが、審査を滞りなく進めるための現実的な備えになります。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。費用は一切かかりません。
よくある質問

Q. 企業評価書とは何ですか?
A. 中小企業診断士や公認会計士など、企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を持つ第三者が、直近決算で債務超過となっている企業の改善見通しについて客観的に評価する書面です。特定技能・技能実習(育成就労)の受入れ審査で、OTIT提出書類(別紙②-1・番号20)として求められます。
Q. 企業評価書は誰に頼めばいいですか?
A. 税理士では作成できません。企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格である、中小企業診断士または公認会計士に依頼します。
Q. 鋳造業でも特定技能の対象になりますか?
A. 対象になります。特定技能「工業製品製造業」分野の「機械金属加工」業務区分には、鋳鉄鋳物製造・非鉄金属鋳物鋳造・ダイカストなどが含まれています。
Q. 債務超過だと受入れは絶対に無理ですか?
A. そうとは限りません。1年以内に債務超過が解消される見通しを、企業評価書で客観的に示せれば受入れは可能です。EV化による受注減のように、要因を数字で説明できる場合はなおさらです。
Q. 決算書以外に何を準備すればいいですか?
A. 直近3期分の決算書・試算表に加え、得意先別・製品別の売上内訳、今後の設備投資や取引先開拓の計画が分かる資料があると、改善見通しの説得力が増します。特に鋳造業の場合、エンジン部品と非エンジン部品の受注比率が分かる資料は重要な根拠になります。資料が手元にまとまっていない場合でも、まず現状ある決算書だけを持って相談に来ていただければ、そこから何を追加で整理すべきかを一緒に洗い出せます。
Q. 改善計画は自社で作ったものを使えますか?
A. 自社で作った計画をベースにすることは可能ですが、最終的には第三者の公的資格者による客観的な評価が必要です。計画の妥当性を診断士が精査したうえで、数値の根拠を補いながら評価書に落とし込みます。
Q. 費用はどのくらいかかりますか?
A. 企業の状況や必要な分析の範囲によって異なります。具体的な金額は、まず無料相談で現状をお聞きしたうえでお伝えしています。
Q. 特定技能ではなく技能実習(育成就労)でも同じ書類が必要ですか?
A. はい。2027年4月施行予定の育成就労制度でも、債務超過の企業には同様に改善見通しに関する評価書面の提出が求められます。
Q. 評価書を提出しても審査に落ちることはありますか?
A. 評価書の内容が数字の裏付けに乏しく、改善の見通しに説得力がない場合は、追加資料を求められることがあります。だからこそ、専門家による客観的な分析が重要になります。
Q. 顧問税理士がいますが、それでも中小企業診断士に相談する必要がありますか?
A. はい。顧問税理士は決算・税務の専門家ですが、企業評価書の作成は企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格者(中小企業診断士・公認会計士)に限られます。顧問税理士とは役割が異なるため、両者と連携しながら進めるのが実務上もスムーズです。
まとめ
「EV化で受注が減った」という現実そのものは、一社の努力だけで止められるものではありません。だからこそ大切なのは、その現実を数字で正確に説明し、次の一手を具体的な計画として示せるかどうかです。得意先別・製品別の受注分解、EV関連部品への転換計画、管理会計による粗利改善、そして中小企業診断士による第三者評価。この4つがそろえば、債務超過という数字だけで受入れの道が閉ざされることはありません。
2027年4月に施行予定の育成就労制度でも、この考え方は変わりません。むしろ今のうちに財務体質を整え、改善見通しを客観的に説明できる体制を作っておくことが、今後の外国人材受入れをスムーズにする備えになります。数字が整えば、審査も、金融機関との関係も、現場の人材確保も、同時に前に進みます。EV化という業界の変化を、赤字の言い訳にするのではなく、受注構成を見直すきっかけとして捉え直すこと。それが、鋳造業がこの先も現場を支える人材を確保し続けるための出発点になります。自社だけで抱え込まず、まずは現状を専門家に見せることから始めてみませんか。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。1社ごとに時間をかけて対応するため、ご相談は無理のない範囲で承っています。
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