
「そろそろ会社を譲りたい」——顧問先の社長からそう打ち明けられた瞬間、力になれる自信がなかった。そんな経験はないでしょうか。
税務申告や決算対応はきちんとこなしてきた。それでも、いざ事業承継や譲渡の話になると、顧問先の決算書は「磨かれていない」ままのことが少なくありません。
先生おひとりの問題ではありません。税務の専門家として顧問先と向き合う多くの事務所が、同じ壁にぶつかっています。
- 顧問先の事業承継の相談を受けたが、決算書の中身に自信が持てない方
- 税務の延長だけでは顧問先の企業価値を高めきれないと感じている方
- 顧問先を他の専門家に取られる不安から、連携に踏み出せない方
結論から言えば、事業承継を見据えた顧問先の「磨き上げ」は、税理士・公認会計士事務所だけで抱え込む必要はありません。認定経営革新等支援機関と連携し、早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)を活用することで、貴所の実務負担を抑えながら顧問先の企業価値を底上げできます。
どのような仕組みで、どこまで貴所の負担が軽くなるのか。その全貌は本文で順に解説します。
- 税務業務の延長だけでは顧問先の企業価値が上がらない理由
- 磨き上げを先送りした顧問先に起きる将来のリスク
- 早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)の仕組みと使い方
- 顧問先の企業価値が上がったとき、貴所に起きる変化
- 認定経営革新等支援機関と連携するときの役割分担
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。連携や契約の義務はありません。顧問先との関係はそのまま維持されます。税務は貴所、経営改善はKICKという役割分担です。
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なぜ税務業務の延長だけでは顧問先の企業価値が上がらないのか

顧問先の事業承継や譲渡の相談を受けたとき、税理士事務所・公認会計士事務所がまず直面するのは「ノウハウ・時間・立場」という3つの壁です。
税務申告は正確にこなしていても、企業価値を高める経営改善の手法までは学ぶ機会が少ない。これがノウハウの壁です。
繁忙期には申告業務だけで手一杯になり、顧問先の経営改善に割く時間が確保できない。これが時間の壁です。
そして、税務の専門家という立場のまま経営改善の提案をすると、顧問先から「専門外では」と受け止められることもあります。これが立場の壁です。
| 壁の種類 | 現場で起きること |
|---|---|
| ノウハウの壁 | 損益分岐点分析や資金繰り計画など、経営改善の実務手法を体系的に学ぶ機会が少ない |
| 時間の壁 | 決算期・確定申告期の業務量が多く、顧問先一社ごとの経営改善に時間を割きにくい |
| 立場の壁 | 税務の専門家という立場のまま経営改善を提案すると、顧問先が本気度を測りかねる |
この3つの壁があるために、税務業務の延長だけで顧問先の企業価値を高めるのは、実は容易ではありません。決算書の数字を正しくまとめることと、その数字を良くしていくことは、まったく別の専門性だからです。
顧問先の社長が事業承継を意識し始めたとき、必要なのは「正確な記帳」だけでなく「磨き上げの実務」です。ここに気づかないまま時間だけが過ぎると、次の章で示すリスクが顕在化します。
顧問先が発しているサインを見逃していないか
実は、企業価値の磨き上げが必要な顧問先は、決算書の中にサインを残していることが多くあります。
- 売上は横ばいなのに、利益率が年々じわじわ下がっている
- 借入金の返済期間が長期化し、資金繰り表を作っていない
- 社長が高齢で、後継者候補との数字の共有がほとんどない
- 同業他社と比べて、自社の強み・弱みを言葉にできていない
これらは税務申告の数字を見ているだけでは気づいても、指摘しづらいポイントでもあります。「言いにくいから伝えない」を続けるほど、磨き上げに使える時間は短くなっていきます。
磨き上げを先送りすると、顧問先と貴所に何が起きるか

企業価値の磨き上げを後回しにしたまま事業承継の話が進むと、いくつかの悪化シナリオが現実になります。
まず、顧問先の経営そのものが停滞します。資金繰りや収益構造の課題を放置したまま後継者に引き継げば、後継者が経営の立て直しから始めなければならず、承継後の早い段階でつまずくリスクが高まります。
次に、貴所の顧問報酬(ストック収入)が失われる可能性があります。経営が傾いた顧問先は、コスト削減の対象として顧問契約そのものを見直すことがあるからです。
さらに、事務所の評判にも影響します。顧問先から「税務のことしか相談できない事務所」と見られてしまうと、他の専門家への乗り換えや、承継後の後継者からの契約見直しにつながりかねません。
- 顧問先の経営改善が遅れ、承継のタイミングを逃す
- 顧問先の業績悪化により、顧問報酬の減額や解約に発展する
- 「税務だけの事務所」という印象が固定化し、新規の紹介が減る
共通の敵は、顧問先でも他の専門家でもありません。課題を先送りする風土そのものです。この風土を変えるきっかけとして、次に紹介する制度が役立ちます。
「税務は問題ない」で終わらせてよいのか
顧問先の決算が黒字であっても、油断はできません。黒字であることと、企業価値が承継や譲渡に耐えうる水準にあることは、別の話だからです。
後継者候補が「この会社を継ぎたい」と思えるかどうかは、決算書の数字だけでなく、収益構造の分かりやすさや、経営の透明性にも左右されます。磨き上げを先送りしたまま承継の時期を迎えると、後継者が事業の立て直しと承継準備を同時に背負うことになりかねません。
この状態を避けるには、承継の話が具体化する前の段階から、経営改善に着手しておくことが有効です。ここまでの内容を整理すると、顧問先を早めに磨き上げておくべき理由は、次の4つに集約されます。
- 資金繰りが安定し、貴所の顧問報酬(ストック収入)が守られる
- 後継者が経営の立て直しからではなく、前向きな引き継ぎから始められる
- 計画書の提出をきっかけに、金融機関からの信頼が高まる
- 顧問先の企業価値が上がり、貴所の提案余地・付加価値が広がる
この4つの理由を実現する具体的な仕組みが、次に紹介する早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)です。
早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)という選択肢

顧問先の企業価値を計画的に磨き上げる方法の一つが、中小企業庁が設けている「早期経営改善計画策定支援」、通称バリューアップ支援事業です。
この制度は、認定経営革新等支援機関の支援を受けて早期経営改善計画を策定する場合に、専門家費用の3分の2を国が補助する仕組みです。補助上限は計画策定費用50万円、伴走支援費用(1〜3年後)30万円の合計80万円。追加オプション(企業概要書作成10万円・金融機関交渉10万円)を加えると最大100万円まで活用できます。
2025年4月1日以降に支払申請が行われた案件からは、伴走支援完了まで補助金の半分を協議会が預かっていた「2分の1留保」も廃止されました。専門家費用の負担がより軽くなっています。
計画策定後は、最初の決算時から3年間、決算期を含め年最低2回のモニタリングと協議会への報告が必要です。この伴走支援を通じて、事業者自身がPDCAサイクルを構築し、自走できる体制を整えることが制度の目的です。
405事業(経営改善計画策定支援)との違い
似た名前の制度に405事業(経営改善計画策定支援)がありますが、対象とする局面が異なります。バリューアップ支援事業は金融支援を前提としない、早めの段階での磨き上げを想定した制度です。混同すると顧問先への説明を誤ってしまうため、次の表で整理します。
| 項目 | バリューアップ支援事業 | 405事業 |
|---|---|---|
| 金融支援 | 前提としない | 金融支援(リスケ等)が前提 |
| 計画書の規模 | 簡易な内容(資金繰り・アクションプラン等) | 本格的な経営改善計画(詳細な財務計画を含む) |
| 補助上限 | 計画策定50万円+伴走30万円(3分の2補助) | 上限300万円(3分の2補助) |
| 着手のタイミング | 早め(兆候が出た段階) | 悪化が顕在化してから |
事業承継を見据えた磨き上げは、業績が悪化してから動く405事業よりも、兆候が出た早い段階で着手できるバリューアップ支援事業のほうが相性が良いケースが多くあります。後継者に引き継ぐ前に、時間をかけて改善できるからです。
経営改善計画書は、実際どんな中身になるのか
「計画書」と聞くと、専門的で分厚い書類を想像するかもしれません。実際にはKICKが認定経営革新等支援機関として主導するため、貴所が一から作成する必要はありません。おおまかな構成は次のとおりです。
| 構成項目 | 記載内容のイメージ |
|---|---|
| 現状分析 | 財務・非財務の両面から、収益構造や資金繰りの現状を見える化する |
| 数値計画 | 損益分岐点分析をもとに、今後の売上・利益の見通しを数値で示す |
| アクションプラン | 誰が・いつまでに・何をするかを具体的な行動レベルまで落とし込む |
財務・非財務の特色を見える化する「ローカルベンチマーク」というツールを使い、対話型の現状分析を行うのも特徴です。経営者自身が数字の意味を腹落ちしたうえで計画を作るため、絵に描いた餅になりにくいという利点があります。
伴走支援の3年間で何をするのか
計画書を作って終わりではありません。策定後は最初の決算時から3年間、決算期を含め年最低2回のモニタリングと協議会への報告が続きます。
- 決算期のモニタリング。計画と実績のズレを確認し、必要に応じて計画を見直す
- 期中のモニタリング。資金繰りや進捗状況を確認し、アクションプランの実行を後押しする
- 協議会への報告。伴走支援の状況を認定経営革新等支援機関が取りまとめて報告する
このモニタリングを怠ると、費用の返還を求められる場合があります。逆に言えば、伴走支援が制度に組み込まれているからこそ、「作って終わり」の計画書にならず、事業者自身がPDCAサイクルを回せる体制が身についていきます。この体制づくりは、内部管理体制や経営の透明性を高めるという意味でも、事業承継の準備そのものと重なります。
この計画づくりの過程そのものが、事業承継を見据えた「磨き上げ」の実務にほかなりません。詳しい支援内容は次のページにまとめています。
中小企業診断士 · 認定経営革新等支援機関 資金繰りの不安、 悪化する前に手を打てていますか。 「何とかなっている」うちに動くことが、経営改善の鉄則です。 KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、国の補助制度を活用した早期経営改善計画(バリューアップ支援事業)の策...
ご相談は無料で、その場での契約を迫ることはありません。顧問先を横取りするような営業は一切行いません。あくまで貴所の顧問先を守るための後方支援です。
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先生の事務所が手に入れる未来

顧問先の企業価値が磨かれていくと、貴所にも具体的な変化が現れます。抽象的な話ではなく、日々の業務で目に見える形の変化です。
目に見える変化
顧問先との面談の空気が変わります。決算報告だけの一方通行の面談から、「次はここを改善しましょう」と前向きな会話が生まれる面談へ。社長の表情も、数字の話をするときの姿勢も変わっていきます。
通帳と時間の変化
顧問先の資金繰りが安定すれば、顧問料の支払いも滞りなく続き、貴所の売上(ストック収入)が安定します。計画策定や伴走支援の実務はKICKが主導するため、貴所の業務時間を大きく圧迫することもありません。
周囲からの変化
顧問先の業績が上向けば、金融機関からの評価も変わります。「この事務所が関わっている顧問先は、数字の管理がしっかりしている」という評判は、金融機関の担当者を通じて、思わぬところで新規の紹介につながることもあります。
職員にとっても、変化は小さくありません。申告書を作るだけの日々から、「顧問先の未来を一緒に描く」実務に関わることは、事務所で働くやりがいそのものを底上げします。採用や定着の面でも、じわじわと効いてくる変化です。
そして何より、顧問先の社長から「そろそろ会社を譲りたい」と相談されたときに、迷わず力になれる事務所になる。この変化を、共に手に入れましょう。
自所だけで抱える限界と、認定支援機関との連携

ここまで読んで、「自所だけで計画策定から金融機関対応まで担うのは難しい」と感じた先生も多いのではないでしょうか。実際、計画策定の専門性を身につけるには時間がかかり、金融機関対応にも独自のノウハウが必要です。
だからこそ、認定経営革新等支援機関である中小企業診断士と連携する事務所が増えています。KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、代表・松本昌史(MBA・中小企業診断士・事業承継士・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・金融検定協会「中小企業事業再生マネージャー」認定)が主導し、法人支援実績150社以上の実務経験をもとに、計画策定・金融機関対応を主導します。
事業承継の専門資格である事業承継士としての視点も併せ持つため、単に計画書を仕上げるだけでなく、「この磨き上げが、将来の承継や譲渡の場面でどう活きるか」まで見据えたアドバイスができる点も、貴所にとっての安心材料になります。
貴所は税務の専門家として顧問先との窓口であり続け、KICKは経営改善の実務を担う。この役割分担により、貴所のマンパワー消費は最小限で済みます。
具体的には、現状分析でのローカルベンチマーク活用、数値計画づくりでの損益分岐点分析、金融機関との面談への同席まで、計画策定・伴走支援の実務面をKICKが主導します。貴所には、顧問先の内部資料の共有や、面談日程の調整など、窓口としての役割をお願いする形になります。
連携の形も一律ではありません。顧問先ごとに、貴所がどこまで関与するかを事前にすり合わせたうえで進めるため、「思っていたより負担が大きかった」というミスマッチが起きにくい設計になっています。
費用については、制度の補助率・補助上限は本文でご紹介したとおりですが、貴所の顧問先ごとの具体的な負担額は個別に異なります。詳しい費用感はサービスページにてご確認ください。
士業連携の具体的な進め方や、他の事務所での連携事例の傾向については、次のページでも詳しく紹介しています。
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士業連携そのものの詳細(対象となる士業・連携の流れ)は、次のページにまとめています。
顧問先の「相談」に、十分に応えられていますか? 士業事務所(税理士・公認会計士、行政書士)の先生方へ。“あなた”は今、このような場面に心当たりはありませんか? ✓ ソフトウェアの登場により 新たな顧客獲得が難しく、売上じり貧... ✓ 「補助金」の相談を受けたもの...
士業連携はどの事務所でも柔軟に組める設計です。顧問先との窓口は引き続き貴所が担い、KICKが顧問先に直接営業をかけることはありません。
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よくある質問

Q. 連携すると、顧問先を奪われるリスクはないか
A. ありません。KICKは計画策定・伴走支援の実務を担う立場であり、顧問先との窓口はこれまでどおり貴所が担います。税務は貴所、経営改善はKICKという役割分担が前提です。
Q. 事務所側の実務負担はどの程度か
A. 計画策定・金融機関対応の主な実務はKICKが主導します。貴所には顧問先の情報共有や面談の同席などをお願いする場面がありますが、一から計画書を作成していただく必要はありません。
Q. バリューアップ支援事業と405事業の違いは何か
A. バリューアップ支援事業は金融支援を前提とせず、簡易な計画で早めに着手できる制度です。405事業は金融支援(リスケ等)が前提で、本格的な経営改善計画を必要とする局面で使います。補助上限もバリューアップ支援事業が最大100万円、405事業が上限300万円と異なります。
Q. どのような顧問先が対象か
A. 資金繰りに不安の兆候がある顧問先はもちろん、事業承継やM&Aを見据えて企業価値を高めたい顧問先にも向いています。業績が悪化してからではなく、早めの段階で着手できることが制度の特徴です。
Q. 事業承継をまだ具体的に検討していない顧問先でも導入する意味はあるか
A. あります。企業価値の磨き上げは、承継の直前に慌てて行うよりも、時間をかけて取り組むほうが効果的です。承継の話が具体化する前から着手しておくことで、いざというときの選択肢が広がります。
Q. 計画策定にはどのくらいの期間がかかるか
A. 顧問先の状況や資料の整備状況によって異なりますが、現状分析から計画書のとりまとめまで一定の準備期間を要します。具体的なスケジュール感は個別にご相談ください。
Q. 顧問先の経営者が乗り気でない場合はどうすればいいか
A. まずはローカルベンチマークなど、対話型のツールを使って現状を見える化するところから始めるのが有効です。数字を一緒に確認すると、経営者自身が課題に気づき、前向きになるケースが多くあります。
Q. 金融機関との関係が悪化することはないか
A. むしろ逆です。バリューアップ支援事業は金融支援を前提としないため、計画書の提出をきっかけに、資金繰りや将来展望を金融機関と共有し、目線を合わせて信頼関係を築く機会になります。
Q. 顧問先への説明はどちらが行うのか
A. 制度の概要や役割分担について、貴所とKICKの双方でご説明します。顧問先に一方的な売り込みを行うことはなく、貴所が納得したうえで顧問先に紹介いただく流れが基本です。
Q. 費用はどのくらいかかるか
A. 制度としての補助率・補助上限は本文でご紹介したとおりです。顧問先ごとの具体的な費用感については、サービスページにてご確認いただくか、無料相談でお問い合わせください。
まとめ

顧問先の事業承継を見据えた「磨き上げ」は、税務の延長では実現しにくい専門性を必要とします。だからこそ、認定経営革新等支援機関との連携が、貴所と顧問先の双方にとって現実的な選択肢になります。
早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)を活用すれば、国の補助を受けながら、貴所の実務負担を抑えて顧問先の企業価値を高めていけます。税務は貴所、経営改善はKICKという役割分担のもと、顧問先との関係を維持したまま、事務所の付加価値を一段引き上げてみませんか。
まずは情報収集のつもりで、お気軽にお声がけください。ご相談いただいたからといって、必ず契約しなければならないわけではありません。1事務所ごとに時間をかけてご対応するため、月あたりのご相談数には限りがあります。
\1事務所ずつ丁寧にご相談対応/







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