親族に継ぐ者がいない。けれど現場には、二十年一緒にやってきた工事部長がいる。
職人からも協力会社からも信頼され、段取りは自分より上手い。あの男に会社を渡せないか——そう考え始めてはいないでしょうか。
結論から申し上げます。建設会社を番頭へ渡すとき、最初に確かめるのはお金ではなく許可です。
株の値段や買取資金の話から入ると、順番を間違えます。代表が交代した日に許可の要件が欠ければ、工事も入札も止まります。
- 親族に後継者がいない建設会社の社長の方
- 右腕の工事部長へ渡したい経営者の方
- 許可を守れるか不安な建設業の方
- 経営者保証の外し方を知りたい方
- 番頭として会社を継ぐ立場の方
- 建設業のMBOで代表交代時に確認する建設業許可の要件
- 株式の買い方で経営事項審査の評点が動く仕組み
- 番頭へ会社を渡す5つの段取りと、その進める順序
- 経営者保証を引き継がずに済ませるための交渉の道筋
- 行政書士・司法書士・税理士との領域の切り分け
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、中小企業診断士・事業承継士として、法人支援150社以上の実績で承継の全体設計に伴走してきました。
読み終えるころには、来週どの書類から手をつければよいかが分かります。
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建設業のMBOでつまずくのは、建設業許可と経営者保証だという構造

この記事で扱うのは役員・従業員承継(MBO)です。親族ではなく、社内の役員や従業員へ会社を引き継ぐ場面を前提にしています。
結論を先に述べます。建設業のMBOがつまずく原因は、株価でも買取資金でもありません。
多くは、代表が交代した瞬間に建設業許可の要件を満たす人がいなくなることです。もう一つが、経営者保証をめぐる話が最後まで宙に浮くことです。
MBOとは何か
MBOとは、その会社の役員や従業員が自社の株式を買い取り、経営権を引き継ぐことです。日本語では役員・従業員承継と呼ばれます。
買い手が社外の会社であればM&A、子どもであれば親族内承継です。買い手が社内の人であるところが、MBOの一番の特徴になります。
建設業のMBOでは、番頭がその買い手になります。ここで言う番頭とは、工事部長・現場代理人クラスとして現場を仕切ってきた実務の責任者のことです。
現場は誰よりも分かっている。けれど、会社の許可と数字は社長が一人で握ってきた。この非対称が、建設業のMBOに固有のむずかしさを生みます。
代表が交代した日に、許可の要件が欠ける
建設業許可には、人に関する要件が二つあります。常勤役員等(経営業務の管理責任者)と、営業所ごとの専任技術者です。
経営業務の管理責任者とは、建設業の経営を適正に行う能力があると認められる常勤の役員のことをいいます。建設業に関する経営経験の年数などで判断されます。
専任技術者とは、営業所に常勤して請負契約の技術面を担当する技術者のことです。国家資格や実務経験で要件を満たします。
問題は、この二つを長年社長一人が兼ねてきた会社が少なくないことです。社長が代表を退いて非常勤になった日に、どちらも欠ける事態が起こり得ます。
要件を満たす人がいない状態は、許可の維持そのものに関わります。新規の請負契約にも、入札にも影響します。
番頭が役員に入っていない、という落とし穴
ここで最も多い誤算をお伝えします。現場を三十年やってきた番頭でも、取締役として登記されていなければ経営の経験年数は積み上がりません。
常勤役員等の要件は、あくまで役員などとしての経験で判断されるためです。現場の年数がそのまま置き換わるわけではありません。
つまり、番頭を取締役に入れる登記を後回しにしてきた会社ほど、渡す準備に時間がかかります。この一点だけで、承継の開始時期が数年変わります。
役員変更の登記は司法書士の領域です。誰をいつ役員にするかという設計は、承継計画と一体で決めます。
放置すると、経営事項審査の評点まで下がる
公共工事を元請として受けている会社なら、経営事項審査を毎年受けているはずです。
経営事項審査とは、公共工事を直接請け負おうとする建設業者が受ける客観的な審査のことです。経審と略され、経営規模や技術力などが対象になります。
審査では、完成工事高・自己資本額・技術職員数・社会性などが点数化され、総合評定値が算出されます。この点数が、入札参加資格の等級を左右します。
MBOは、この評点に静かに効いてきます。社長が技術職員として数えられていた場合、退任すれば技術力の点が動きます。
さらに、株式の買い方によっては自己資本額そのものが減ります。詳しくは次の章で説明しますが、買い方を決める前に評点への影響を試算するのが建設業の鉄則です。
経営者保証が、番頭の家族を止める
もう一つの壁が経営者保証です。経営者保証とは、会社の借入について経営者個人が返済の責任を負う契約のことをいいます。
建設会社は、工事の立替や重機の設備投資で借入が積み上がりやすい業種です。前社長の個人保証が何本も残っていることは珍しくありません。
番頭は現場では肚が据わっています。それでも、自宅を担保に入れる話になると家族が止めます。ここで承継が止まる例を、私たちは何度も見てきました。
逆に言えば、保証の扱いを先に整理できれば、番頭は前に進めます。順序を変えるだけで結論が変わる論点です。
先送りが招く、三つの結末
ここまでの話を放置すると、行き着く先は限られます。
- 許可の要件を満たせず、承継の時期を社長の体調に合わせられない
- 評点が下がり、慣れた等級の工事が受けられなくなる
- 番頭が保証を理由に断り、外部への譲渡か廃業しか残らない
どれも、時間さえあれば防げるものばかりです。だからこそ、段取りの順序が大切になります。
建設業のMBOで番頭へ会社を渡す5つの段取り

結論を先に述べます。建設業のMBOは、次の順で進めると詰まりません。
- 建設業許可を維持できる人の要件を確認する
- 経営事項審査の評点への影響を試算する
- 職人・協力会社との関係を番頭へ引き継ぐ
- 経営者保証の引継ぎと解除を交渉する
- 株式買取資金を含む資金調達を組み立てる
お金の話を最後に置いているのは、順番を守るためです。許可と評点が決まらないうちに金額だけ動かすと、後から全部やり直しになります。
建設業許可を維持できる人の要件を確認する
最初にやることは、社内の棚卸しです。いま誰が、どの要件を満たしているのかを一枚の表にします。
| 確認する要件 | 誰が満たしているかを見る観点 |
|---|---|
| 常勤役員等(経営業務の管理責任者) | 建設業に関する役員などとしての経験年数。番頭の取締役登記の有無と、その時期 |
| 専任技術者 | 営業所ごとに常勤の技術者がいるか。国家資格か実務経験か。社長が兼務していないか |
| 財産的基礎 | 許可の区分に応じた財務の要件。株式の買い方で純資産が動く点に注意 |
| 社会保険の加入 | 適切な加入が続いているか。代表交代の前後で手続きに漏れがないか |
| 変更届の提出 | 役員・経営業務の管理責任者・専任技術者の変更は、定められた期間内に届け出る |
特定建設業の許可を持つ会社は、財産的基礎の要件がより厳しく定められています。更新のたびに問われる点にも注意が必要です。
株式の買い方によっては、この財産的基礎を割り込むおそれがあります。買い方を決める前に確認する理由が、ここにあります。
なお、要件の細かい判定と届出の期限は、許可行政庁と行政書士に確認してください。私たちが行うのは、承継の設計として「いつ誰を役員に入れるか」を決めることです。
経営事項審査の評点への影響を試算する
次に、経審の評点が代表交代でどう動くかを試算します。ここは建設業のMBOにしかない工程です。
審査基準日は、原則として申請日の直前の事業年度終了の日です。つまり決算日をまたぐ前に手を打てるかどうかで、結果が変わります。
動きやすいのは次の項目です。
- 技術職員の数 └ 社長が技術者として数えられていた場合、退任で減ることがある
- 自己資本額 └ 会社が自社株を買い取れば、純資産はその分だけ減る
- 経営状況の分析 └ 会社が借入をすれば、負債が増えて指標が動く
- 営業年数 └ 同じ法人を引き継ぐMBOなら、年数はそのまま積み上がる
ここが一般的な承継の記事と大きく違うところです。誰が株の代金を負担するかで、翌年の入札の等級まで変わります。
会社が自社株を買い取れば手続きは早い。しかし自己資本額は減ります。番頭個人が借りて買えば会社の財務は動かないが、本人の負担は重くなります。
どちらが正解かは会社によります。決め方は「評点を何点で維持したいか」から逆算することです。
職人・協力会社との関係を番頭へ引き継ぐ
三つ目は、数字に出ない資産の引継ぎです。建設業でここを軽く見ると、承継の翌年に受注が細ります。
番頭は現場の顔です。ただし、現場の顔と会社の顔は違います。単価を決める場面、支払いを待ってもらう場面では、社長の顔が効いてきました。
引き継ぐ相手を、順番に並べて可視化します。
- 一次下請・専門工事業者 └ 誰と何年、どんな条件で付き合ってきたか
- 職長・班長クラスの職人 └ 誰が誰の紹介で入ったか。技能者の登録の状況
- 発注者・元請の担当窓口 └ 指名の経緯、過去の工事成績
- 資材商社・リース会社 └ 与信の枠と、支払条件の交渉の経緯
そのうえで、社長が同席して回る期間をつくります。半年から一年、二人で挨拶に回るだけで定着はまるで違います。
入札参加資格の申請では、代表者の変更を届け出る必要があります。発注者ごとに手続きが分かれるため、一覧にして漏れを防いでください。
この工程を丁寧に設計したい方は、建設業のMBOに伴走する事業承継コンサルティングをご覧ください。
経営者保証の引継ぎと解除を交渉する
四つ目が保証です。ここでの目標は「番頭に同じ重さを背負わせないこと」に置きます。
交渉の土台になるのが、経営者保証に関するガイドラインです。あわせて、事業承継の場面を対象にした特則も公表されています。
特則では、前の経営者と後継者の双方から保証を取る、いわゆる二重の徴求を原則としない考え方が示されています。金融機関に対して、この点を正面から確認します。
交渉に入る前に、会社側で整えておく材料があります。
- 法人と個人の資産・経理を明確に分ける
- 試算表を毎月出し、決算だけでなく期中の状況を説明できるようにする
- 工事別の採算と、完成工事未収入金の回収状況を示せるようにする
- 返済の見通しを、受注残と資金繰り表で裏づける
この4点がそろうと、保証に頼らない融資の話が現実味を帯びてきます。建設業は工事の進み具合で資金が大きく揺れるため、期中の説明力がとくに効きます。
信用保証協会には、事業承継の場面で保証人の負担に配慮した制度も用意されています。どの制度が使えるかは会社の状況によりますので、取引金融機関と早めに相談してください。
株式買取資金を含む資金調達を組み立てる
最後が資金調達です。株式買取資金とは、後継者が現経営者から株式を買い取るために用意する資金のことをいいます。
建設業で組み立てるときの勘所は、金額そのものよりも支払いの順序と時期にあります。理由は三つです。
- 決算日をまたぐと、経審の評点に反映される年度が変わる
- 大きな工事の着工前は、運転資金の枠を空けておきたい
- 許可の更新時期と重なると、財産的基礎の確認が同時に走る
手当ての方法は、番頭個人の借入、会社による自社株の買取り、持株会社を用いる方法など複数あります。前社長の役員退職慰労金の設計と組み合わせる場面もあります。
あわせて点検したいのが、会社で加入している法人保険です。契約の目的・保険金額・受取人が、いまの承継の計画と合っているかを見ます。
保険は減らすためではなく、守るために組み替えるものです。削りすぎれば、万一のときに工事の続行や家族の生活に影響が出ます。
要するに、この五つは順番どおりに進めることに意味があります。許可で入口を確かめ、評点で買い方を決め、現場と保証を整えてから、お金を動かします。
ここまで読んで「うちはどこから手をつけるべきか」と迷われたなら、その整理からご一緒します。売り込みは一切ありません。お断りいただいて構いません。
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従業員承継をやり切った建設会社が手に入れる三つの未来

結論から申し上げます。段取りを踏んだ従業員承継は、社長・番頭・現場の三者すべてに変化をもたらします。
抽象的な話ではありません。三つの軸で、具体的に見ていきます。
許可と評点が途切れず、仕事の流れが止まらない
一つ目は、事業そのものの連続性です。
常勤役員等と専任技術者を先に手当てしておけば、代表交代の日も許可は続きます。変更届も期限内に出せます。
経審の評点への影響を織り込んで株の買い方を決めていれば、翌年の等級も想定の範囲に収まります。入札参加資格の変更届も、一覧にしてあるので漏れません。
発注者から見れば「代表は替わったが、会社は何も変わっていない」状態です。これが建設業の承継で最も価値のある結果です。
職人にも協力会社にも、余計な不安を与えずに済みます。噂が先に走る業界だからこそ、この静けさに意味があります。
番頭が、現場の責任者から経営者に変わる
二つ目は、後継者本人の変化です。
株を持ち、代表として登記され、金融機関と自分の言葉で話す。この三つがそろって初めて、番頭は経営者になります。
段取りを踏んだ承継では、そこに至るまでに準備の期間があります。取締役として数年、決算書を読み、資金繰りを組み、経審の申請にも立ち会う。
だから交代の日に、いきなり丸投げされる感覚になりません。現場の勘に、数字の裏づけが加わります。
保証の扱いを先に整理してあれば、家族にも堂々と説明できます。反対されて話が止まる、という最悪の展開を避けられます。
社長が、渡した後の時間を自分のものにできる
三つ目は、渡す側の変化です。
個人保証が外れれば、自宅は自宅のままです。株式の対価が入れば、その後の生活設計も立てられます。
会長や顧問として残るのか、きれいに退くのか。その選び方も、準備がある人だけの特権です。
何より、四十年かけて育てた会社が、名前も看板もそのまま続いていく。廃業を選んだ場合には、決して手に入らないものです。
許可も、評点も、職人との関係も、保証の重さも、すべて片づけたうえで渡す。その景色を、共に手に入れましょう。
自社だけで建設業のMBOを進める限界と、KICKの支援

結論を申し上げます。建設業のMBOを社内だけで進めるのが難しいのは、能力の問題ではありません。関わる専門家が多すぎて、誰も全体を見ていないからです。
専門家がそろっているのに、話が噛み合わない理由
建設会社には、たいてい優秀な専門家がついています。
| 領域 | 担当する専門家 | 建設業のMBOで扱う内容 |
|---|---|---|
| 建設業許可・経審・入札 | 行政書士 | 要件の判定、変更届、経営事項審査の申請 |
| 登記 | 司法書士 | 役員変更、代表者の変更、会社の組織に関する登記 |
| 税務 | 税理士 | 株式の評価に関する税務判断、税額の計算と申告 |
| 法律判断・紛争 | 弁護士 | 契約書の作成、株主間の紛争への対応 |
| 承継全体の設計と伴走 | 中小企業診断士・事業承継士 | 順序の設計、評点への影響の試算、金融機関との対話の組み立て |
それぞれが自分の領域で正しい仕事をします。ところが、順序を決める人がいません。
行政書士は「役員に入れるなら早いほうがよい」と言い、税理士は「株の移し方は決算の後で」と言う。金融機関は「保証の話は代表が決まってから」と言います。
全員が正しいまま、時間だけが過ぎていきます。これが、建設業のMBOで最も多い停滞のかたちです。
KICKが担うのは、順序の設計と伴走
私たちKICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、中小企業診断士・事業承継士として、この順序を決める役目を担います。認定経営革新等支援機関でもあります。
具体的には、次のことを行います。
- 許可の要件・経審の評点・保証・資金の四つを、一つの時間軸に並べる
- 番頭をいつ役員に入れるかを、経験年数の要件から逆算して決める
- 株の買い方ごとに、評点と財務にどう跳ね返るかを比較して示す
- 金融機関に何をどの順で説明するか、資料の組み立てを一緒につくる
- 事業承継専属の保険代理店として、法人保険の役割を承継計画に合わせて再設計する
逆に、私たちが行わないことも明確にしています。許認可の申請は行政書士、登記は司法書士、税務の判断と申告は税理士の領域です。
私たちは各先生方の仕事を否定しません。むしろ、同じ資料を見ながら同じ順序で動けるよう、間に立って翻訳する役に徹します。
番頭さんお一人でも、社長おひとりでも構いません
ご相談は、社長からでも、後継者となる番頭さんからでも承ります。二人が同じ部屋に座る前に、それぞれの本音を伺うほうがうまく運ぶこともあります。
初回のご相談で、会社の状況を無理に開示していただく必要もありません。許可の種類と、社長がいま兼ねている役割を教えていただければ、論点の見当はつきます。
その場でのご契約はお願いしません。しつこい営業もありません。他の専門家にすでにご相談中でも構いません。合わないと感じたら、そこで終わりにしていただいて結構です。
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建設業のMBOと従業員承継のよくある質問

Q. 建設業のMBOは、準備にどれくらいかかりますか
A. 会社の状況によりますが、数年単位で見ておくと安全です。理由は、常勤役員等の要件が役員などとしての経験年数で判断されるためです。
番頭がまだ取締役でない場合、そこから年数を積む時間が必要になります。まずは登記の状況を確認するところから始めてください。
Q. 番頭は現場一筋ですが、経営業務の管理責任者になれますか
A. 現場の経験年数がそのまま置き換わるわけではありません。判断されるのは、建設業に関する役員などとしての経験です。
ただし、常勤役員等を直接補佐する者を置く組み合わせなど、認められる形が複数あります。どの形が使えるかは許可行政庁の運用によります。
まずは行政書士に、御社の許可の種類と人員構成を見てもらってください。
Q. 社長が専任技術者を兼ねています。退任したらどうなりますか
A. 代わりの技術者を営業所に常勤で置く必要があります。国家資格を持つ社員がいれば、その方が候補になります。
候補がいない場合は、資格取得の支援を承継計画に組み込みます。取得までの期間を考えると、早めの着手が要になります。
Q. 代表が交代すると、経営事項審査の評点は必ず下がりますか
A. 必ず下がるとは限りません。評点が動くのは、技術職員の数や自己資本額など、実際に変化する項目に限られます。
営業年数は、同じ法人を引き継ぐMBOであれば続けて積み上がります。会社を新しく作って事業を移す方法とは、この点が異なります。
まずは、いまの評点の内訳を見て、どの項目が動くかを一つずつ確認してください。
Q. 株式買取資金は、会社と個人のどちらで用意するのがよいですか
A. 会社の財務と経審の評点をどう保ちたいかで決まります。会社が自社株を買えば手続きは早い一方、純資産は減ります。
個人が借りて買えば会社の財務は動きませんが、後継者本人の返済負担は重くなります。税務の取扱いも買い手によって変わります。
資金調達の形を決める前に、税理士と金融機関を交えて比較してください。順序を間違えないことが何より大切です。
Q. 前社長の経営者保証は、いつ外せますか
A. 時期を一律に決めることはできません。経営者保証に関するガイドラインと、事業承継の場面を対象にした特則の考え方をもとに、金融機関と個別に協議します。
協議を進めやすくするには、法人と個人の資産を分けること、期中の業績を説明できることが土台になります。
まずは取引金融機関に、承継を検討している旨を早めに伝えてください。伝える時期が早いほど、選べる道は広がります。
Q. 番頭も個人保証を求められるのでしょうか
A. 求められない形を目指して協議します。特則では、前の経営者と後継者の双方から保証を取ることを原則としない考え方が示されています。
そのうえで、会社の財務内容と情報開示の状況が判断の材料になります。数字で説明できる会社ほど、負担の軽い形に近づきます。
Q. 従業員承継だと、株主が分散してしまわないか心配です
A. 複数の役員や従業員で買う場合は、株主間の取り決めを先に決めておきます。退職時の株式の扱いを定めていないと、後で分散します。
取り決めの内容と契約書の作成は弁護士の領域です。設計の段階から入ってもらうと、後の紛争を防ぎやすくなります。
Q. 会社で入っている法人保険は、承継のときにどうしますか
A. まず、契約の目的・保険金額・受取人を一覧にして棚卸しします。被保険者が前社長のままの契約が残っていることも多いためです。
減らすことを目的にせず、いまの承継計画と役割が合っているかを点検する価値があります。削りすぎれば、万一のときの備えが欠けます。
Q. 相談する順番は、行政書士と診断士のどちらが先ですか
A. どちらが正しいという決まりはありません。ただ、許可の要件だけを先に確認しても、株の買い方や保証の話は残ります。
全体の順序を決めてから各専門家に依頼すると、手戻りが減ります。私たちは、その順序づくりからご一緒します。
まとめ

建設会社を番頭へ渡すMBOは、株の値段から始めると途中で詰まりやすくなります。
最初に確かめるのは、代表が交代しても建設業許可の要件を満たす人がいるかどうかです。常勤役員等と専任技術者を、社長が兼ねていないかを見てください。
次に、経営事項審査の評点への影響を試算します。株を会社が買うか個人が買うかで、翌年の等級まで変わり得ます。
そのうえで、職人と協力会社との関係を時間をかけて引き継ぎます。経営者保証の扱いを金融機関と協議し、最後に資金の組み立てを決めます。
この五つの段取りには順序があります。順序さえ間違えなければ、社内への承継は現実的な選択肢になります。
許認可は行政書士、登記は司法書士、税務は税理士の領域です。私たちは中小企業診断士・事業承継士として、その全体をつなぐ役を担います。
いま何も決まっていなくて構いません。「番頭に渡せるだろうか」という段階のご相談が、いちばん多いご相談です。
売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは、御社の許可の種類と社長の役割をお聞かせください。
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