【まるっと解説】リスケジュール(リスケ)とは?返済条件変更の手法・申込みの流れ・実行率98.6%の実態・405事業の活用までわかりやすく解説

「毎月の返済が重くて、来月の支払いが見えない」「銀行にリスケを頼んだら、もう二度と融資を受けられなくなるのではないか」。資金繰りに関する相談で、もっとも多く聞くのがこの2つの声です。この記事では、リスケジュール(リスケ)とは何か、どのような手順で進めるのか、金融庁や中小企業庁が公表している最新データをもとに、2026年10月時点の実務を中小企業診断士の目線でわかりやすく整理します。

この記事は次のような方におすすめです

  • 借入金の返済が資金繰りを圧迫している経営者の方
  • リスケの手法と申込みの流れを具体的に知りたい方
  • 405事業や早期経営改善計画などの公的支援を活用したい方
  • リスケ後に正常返済へ戻す道筋を描きたい方

リスケジュール(リスケ)とは、借入金の返済が困難になった際に、金融機関と交渉して返済条件を変更することです。元金の返済を一定期間止める「元金据置」や返済期間の延長などが代表的な手法で、借入金そのものが減るわけではないため、経営改善計画とセットで取り組むことが前提になります。

リスケジュールとは?返済条件変更の意味と位置づけ

結論から申し上げると、リスケは「倒産を防ぐための時間を買う手段」であって、経営を立て直す手段そのものではありません。中小企業基盤整備機構が運営するJ-Net21でも、リスケジュールは借入金の返済が困難になった場合に金融機関と返済条件を変更することと説明されており、同時に「窮境原因を除去しない限り経営危機は続く」と注意喚起されています。

なぜ時間を買う必要があるのかというと、資金繰りが詰まる会社の多くは、売上や利益の問題より先に「返済額が稼ぐ力を上回っている」状態に陥っているからです。たとえば年間の返済元金が1,200万円あるのに、税引後利益と減価償却費を足した返済原資が600万円しかなければ、毎年600万円ずつ現預金が減っていきます。この状態で売上を伸ばそうとしても、仕入れや人件費の先行支出に耐えられません。元金返済を一時的に止めて手元資金を確保し、その間に利益構造を変える。これがリスケの本来の使い方です。

事業再生全体の流れについては事業再生とは?私的整理・リスケ・V字回復で会社を立て直す方法で解説していますので、あわせてご覧ください。

リスケの主な手法|元金据置・期間延長・返済額減額・借換え

返済条件の変更にはいくつかの型があり、金融機関との話し合いで組み合わせて決めていきます。

手法内容向いているケース
元金据置一定期間(6か月〜1年が目安)、元金の返済を止めて利息のみ支払う短期的に資金が不足しているが、改善策の効果が見込めるケース
返済期間の延長残存期間を延ばして1回あたりの返済額を圧縮する。総返済額は増える場合がある返済原資はあるが、約定返済額が過大なケース
約定返済額の減額月々の返済額を返済原資に見合う額まで引き下げる据置後、段階的に返済を再開するケース
借換え(一本化)複数の借入を1本にまとめ、期間を長くして月額を下げる複数行から短期借入が重なり、返済が集中しているケース

相談現場で多いのは、最初に元金据置で呼吸を整え、1年後に減額返済へ移り、2〜3年目に約定返済へ戻すという段階的な設計です。J-Net21でも、条件変更の内容によっては追加の保証料や金利の見直しが生じる場合があると説明されていますので、据置だけで安心せず、条件変更に伴うコストも事前に確認しておきましょう。

リスケ申込みの流れ|メインバンクへの相談から条件変更契約まで

リスケの手順は、おおむね次の4段階です。

第一に、取引金融機関、とくにメインバンクへ早めに相談します。返済を延滞してから相談するのと、延滞前に相談するのとでは、金融機関の受け止め方がまったく違います。第二に、経営改善計画書と月次資金繰り表を作成して提出します。制度上は計画書なしでも条件変更は可能ですが、J-Net21では計画書と資金繰り表の作成を強く推奨しています。第三に、複数の金融機関から借入がある場合は、全行が足並みをそろえる必要があります。一行だけが条件変更に応じ、他行が約定どおり回収すると不公平が生じるため、主要行が調整役を担うのが一般的です。第四に、条件変更契約を締結し、計画に沿って返済を再開していきます。

POINT経営改善計画書に盛り込む項目は、会社概要、借入先一覧、ビジネスモデル、収支改善策、事業収益計画、そして月次資金繰り表です。金融機関がもっとも見るのは資金繰り表で、「いつ、いくら返せるのか」が一目でわかる形にしておく必要があります。

資金繰り表の作り方は資金繰り表とは何か|黒字倒産の原因・作り方・見方で詳しく解説しています。

リスケは実際にどれくらい認められているのか|金融庁・財務省の公表データ

「リスケを頼んでも断られるのではないか」という不安をよく伺いますが、公表データを見ると、申込みの大半が実行されています。

金融庁が2026年9月30日に更新した「金融機関における貸付条件の変更等の状況」(銀行分、2025年4月1日から2026年8月末までの中小企業者向け)によると、申込件数514,602件に対して実行497,152件、謝絶6,878件、審査中24,387件、取下げ9,372件で、実行率は98.6%でした。主要行等が97.0%、地域銀行が98.9%です。

財務省が2025年11月28日に公表した政府系金融機関の状況では、2020年3月10日からの累計で申込785,035件、実行763,436件、実行率99.77%。2025年4月3日から10月末までの期間に限っても、申込94,586件に対して実行86,198件、実行率99.86%となっています。

区分期間申込件数実行件数実行率
銀行(金融庁)2025年4月〜2026年8月末514,602件497,152件98.6%
政府系金融機関(財務省)2020年3月〜2025年10月末累計785,035件763,436件99.77%

つまり、リスケの申込み自体が断られることは少なく、本当の分かれ目は「リスケ中に経営を立て直せるかどうか」にあります。

ゼロゼロ融資の返済とリスケの現状

コロナ禍で実行された実質無利子・無担保のゼロゼロ融資は、返済が本格化した2023年以降、リスケ相談の大きな要因になっています。中小企業庁の資料によると、民間ゼロゼロ融資は2024年4月末時点で融資実行約136万件・約23.2兆円にのぼり、その内訳は完済17.1%、借換17.1%、元金返済中53.8%、据置期間中6.1%、条件変更4.1%(55,754件)、代位弁済1.9%(25,801件)でした。

東京商工リサーチが2026年5月13日に公表した調査では、ゼロゼロ融資を利用した企業の倒産は2026年4月に21件で、前年同月比22.2%減と4か月連続で減少したものの、2020年7月からの累計は2,333件に達しています。返済に行き詰まる前にリスケと経営改善を組み合わせることが、この累計に加わらないための現実的な選択肢です。

リスケ中に新規融資は受けられるのか

相談現場でもっとも多い質問が「リスケをすると新規融資が止まるのか」です。金融庁は、条件変更の履歴のみを理由に新規融資を断らないよう金融機関を監督しています。しかし実態として、返済原資を示せない企業は新規融資を受けにくいのが現実です。

ここで大切なのは、リスケ中でも「改善の進捗を数字で示し続ける」ことです。金融庁が2026年7月に公表したプログレスレポートでは、返済条件の緩和だけでは経営指標は必ずしも改善しない一方で、経営改善支援を伴った場合には概ね3年目まで売上・利益が増加する傾向があると分析されています。リスケ単体ではなく、経営改善支援とセットで取り組んだ企業が結果を出しているということです。

「リスケを申し込む前に、返済原資を示せる計画を一緒につくりたい」まずはご相談ください。

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リスケと併用したい公的支援|405事業と早期経営改善計画(Vアップ事業)

経営改善計画の策定には専門家費用がかかりますが、国の制度で費用の3分の2が補助されます。

経営改善計画策定支援事業(405事業)

各都道府県の中小企業活性化協議会が窓口となり、認定経営革新等支援機関に支払う費用の3分の2を負担する制度です。通常枠では、デューデリジェンス・計画策定支援費用200万円、伴走支援費用100万円、金融機関交渉費用10万円(経営者保証の解除を目指す場合)を合わせて上限300万円。中小版GL枠(中小企業の事業再生等に関するガイドラインを活用する場合)では、デューデリジェンス費用等300万円、計画策定支援費用300万円、伴走支援費用100万円で上限700万円です。金融支援を伴う本格的な経営改善が必要な企業向けで、リスケと相性のよい制度です。詳しくは経営改善計画策定支援(405事業)とは?をご覧ください。

早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業・Vアップ事業)

資金繰り管理など基本的な経営改善に取り組む企業向けで、計画策定50万円、伴走支援30万円に加え、企業概要書作成10万円・金融機関交渉10万円(いずれも任意)を合わせて上限80万円、費用の3分の2が補助されます。金融支援を前提としないため、「リスケまでは必要ないが、返済が重くなる前に手を打ちたい」段階で使いやすい制度です。当社のサービス内容は早期経営改善計画策定支援でご案内しています。

モニタリング強化型特別保証制度

中小企業庁は2026年3月2日、信用保証協会の新制度として「モニタリング強化型特別保証制度」を公表しました。期間は2026年3月16日から2029年3月31日までで、月次で財務・資金繰りの状況を金融機関と保証協会に報告し、認定支援機関と連携することが要件です。経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)も2027年3月31日まで延長されており、リスケ後の資金繰りを支える選択肢が広がっています。

経営者保証に関するガイドライン|リスケと個人保証の関係

リスケを検討する経営者の多くが、同時に個人保証の行方を心配されます。全国銀行協会と日本商工会議所が策定した「経営者保証に関するガイドライン」は2014年2月1日から適用されており、法人と経営者の資産・資金のやりとりの明確な区分、法人のみの資産・収益力で返済できる財務基盤、財務情報の適時適切な開示という3つの要件を満たせば、経営者保証に依存しない融資や保証の解除が検討されます。

金融庁のプログレスレポート(2026年7月)によると、2025年度の新規融資に占める経営者保証に依存しない融資の割合は民間金融機関全体で55.7%と、2024年度の52.9%から上昇しました。405事業の通常枠に金融機関交渉費用10万円が含まれているのも、経営改善計画の策定と同時に保証解除の交渉を進められるようにするためです。万一の廃業時についても、2023年11月22日に改定された基本的考え方で、自由財産99万円や一定期間の生活費、華美でない自宅の取扱いが示されています。

正常化までの道筋|リスケを「延命」で終わらせないために

リスケのゴールは、約定返済への復帰、いわゆる正常化です。そのためには、据置期間中に利益構造を変え、返済原資を積み上げる必要があります。たとえば建設業であれば、元金据置の期間中に工事別の粗利管理を導入し、採算の悪い案件を受注段階で見直すといった取組みが考えられます。据置、減額返済、約定返済と段階的に戻していく計画を、実績とともに金融機関へ示していくことが正常化への近道です。

健康診断で数値が悪化したときに、薬で症状を抑えるだけでなく生活習慣を変えるのと同じで、リスケという「薬」の効果がある間に、原価管理・価格転嫁・固定費の見直しという「生活習慣」を変えることが欠かせません。資金繰り改善の全体像はV字回復・資金繰り策の一覧にまとめています。

リスケジュールの注意点|よくある失敗

相談現場で見てきた失敗は、大きく3つです。ひとつめは、延滞してから相談に行くケースです。延滞前に資金繰り表を持って相談すれば受け止め方が変わります。ふたつめは、据置期間中に何も変えないケースです。1年後に同じ数字のまま再延長を頼むことになり、金融機関の信頼を失います。三つめは、計画が楽観的すぎるケースです。売上が前年比120%で回復する前提の計画は、実績が下回った瞬間に説明が苦しくなります。保守的な売上と確実な費用削減で返済原資を示す方が、結果として信頼につながります。

相談先の選び方|認定支援機関としての実績を確認する

リスケと経営改善計画は、405事業や早期経営改善計画の枠組みを使う場合、認定経営革新等支援機関のサポートが必要です。相談先を選ぶ際は、金融機関との調整経験、資金繰り表と計画書の作成実績、リスケ後の伴走支援の有無を確認してください。KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、経済産業大臣登録の中小企業診断士・MBA・1級ファイナンシャル・プランニング技能士が在籍する認定経営革新等支援機関で、事業再生マネージャーの資格も保有しています。支援実績は150社以上で、製造業・建設業を中心に資金繰り改善の伴走支援を行っています。

まとめ|リスケは「時間を買う手段」、立て直すのは経営改善計画

リスケジュールとは、借入金の返済条件を金融機関と交渉して変更することで、元金据置・期間延長・減額・借換えといった手法があります。金融庁のデータでは銀行の実行率が98.6%、政府系金融機関では99.77%と、申込みの大半が認められていますが、借入金そのものは減りません。据置期間中に利益構造を変え、返済原資を積み上げることが正常化への唯一の道です。405事業や早期経営改善計画を活用すれば、専門家費用の3分の2が補助されます。延滞する前に、資金繰り表を手に相談することから始めてください。

「返済が重くなる前に、金融機関に示せる改善計画をつくりたい」まずはご相談ください。

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リスケジュールに関するよくあるご質問(FAQ)

POINT信用情報への影響や保証協会付き融資の扱い、据置期間の長さなど、相談現場で特によく寄せられる5つの質問をまとめました。

Q. リスケをすると、ブラックリストに載りますか?

A. 法人の条件変更が個人の信用情報機関にそのまま登録されるわけではありません。ただし、金融機関内部の債務者区分には影響し、新規融資の審査は厳しくなる傾向があります。経営者保証ガイドラインに基づく整理であれば、信用情報に登録されない扱いとされています。

Q. 信用保証協会付きの融資もリスケできますか?

A. 可能です。金融機関を通じて保証協会へ条件変更を申し込む運用になっており、条件変更の内容によっては追加の保証料や金利の見直しが生じる場合があります。プロパー融資と保証付き融資の両方がある場合は、全体の足並みをそろえて交渉します。

Q. 据置期間はどれくらいが一般的ですか?

A. 6か月から1年を区切りとし、経営改善計画の進捗を確認しながら更新するケースが多く見られます。長期間の据置を一度に求めるより、短い期間で実績を示して更新する方が、金融機関の理解を得やすい傾向があります。

Q. 経営改善計画書は自分で作れますか?

A. 作成自体は可能ですが、金融機関が納得する水準の資金繰り表や収益計画には専門的な整理が必要です。405事業や早期経営改善計画を使えば、認定支援機関への費用の3分の2が補助されますので、制度の活用をおすすめします。

Q. 複数の銀行から借りている場合、どこに最初に相談すべきですか?

A. 借入残高が最も大きいメインバンクへ最初に相談するのが基本です。メインバンクが調整役となり、他の金融機関と足並みをそろえて条件変更を進めます。全行に同じ資金繰り表と計画書を提示し、公平性を保つことが重要です。

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