
「依頼者の決算書を開いた瞬間、債務超過だと分かった。特定技能の受入れ審査は通るのだろうか」——貴所でも、こうした場面に出会ったことがあるのではないでしょうか。在留資格の申請実務には慣れていても、財務の改善見通しを裏付ける書類となると、話は別です。これは先生おひとりの悩みではありません。多くの行政書士事務所・税理士事務所が、同じ壁の前で足を止めています。
結論から言えば、依頼者が債務超過であっても、受任を諦める必要はありません。ただし、その先のやり方には専門的な役割分担が要ります。この記事では、その全体像の入り口までをお伝えします。
この記事で分かること
- 債務超過の依頼者で受任機会を逃しやすい本当の理由
- 企業評価書を放置した場合に起きる審査停滞と依頼者離れ
- 中小企業診断士と連携して企業評価書を用意する具体的な流れ
- 受任機会を守るために押さえておきたい4つの視点
- 連携しても依頼者との関係が変わらない理由
私たちKICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、認定経営革新等支援機関として法人支援実績150社以上を持つ中小企業診断士事務所です。行政書士事務所・税理士事務所の先生方と連携し、企業評価書の作成を専門的な立場から支えています。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。連携や契約の義務はありません。依頼者・顧問先との関係はそのまま維持されます。在留資格の申請は貴所、企業評価書の作成はKICKという役割分担です。
なぜ債務超過の案件で受任機会を逃しやすいのか

外国人技能実習(育成就労)・特定技能の在留資格申請では、依頼者の直近決算が債務超過のとき、外国人技能実習機構(OTIT)提出書類の別紙②-1・番号20にあたる「企業評価書(改善見通しに関する評価書面)」の提出が求められます。ここでつまずく事務所が少なくありません。
理由は明確です。企業評価書を作成できるのは、中小企業診断士または公認会計士に限られているからです。行政書士・税理士は在留資格申請と税務の専門家ですが、財務の改善見通しを第三者として評価する資格は持ちません。この事実を知らないまま依頼者を待たせてしまい、他の事務所に相談が流れてしまうケースが起きています。
| 専門家 | 在留資格の申請 | 企業評価書の作成 |
|---|---|---|
| 行政書士 | できる | できない |
| 税理士 | 顧問業務として関与 | できない |
| 中小企業診断士・公認会計士 | 対象外 | できる |
つまり、依頼者が債務超過であるほど、行政書士事務所・税理士事務所単独では手続きを完結できません。ここで大切なのは「自所ができないから断る」ではなく「できる専門家と連携して受任する」という発想の転換です。その判断軸として、次の4つの視点を押さえておくと、受任機会を逃しにくくなります。
受任機会を守る4つの視点
- 資格の視点:企業評価書を誰が作成できるかを正しく把握する
- 財務評価の視点:改善見通しをどのように示せば審査官に伝わるかを知る
- 役割分担の視点:在留資格の申請は貴所、評価書の作成はKICKという線引きを明確にする
- 時間の視点:依頼者を待たせない相談体制をあらかじめ整えておく
この4つを押さえた事務所は、依頼者から「債務超過だが受入れを進めたい」と相談された瞬間に、迷わず次の一手を示せます。反対にこれを知らないまま案件を抱えると、次の章のような停滞が起きます。
知らないまま案件を抱えてしまう典型的なパターン
実務の現場では、次のような流れで受任機会が失われがちです。まず、依頼者から在留資格の相談を受け、決算書を確認したところ債務超過であることが分かります。ここで「税務は分かるが財務評価の専門家ではない」ことに気づき、対応方針が定まらないまま日数が過ぎます。依頼者は「進んでいるのか、止まっているのか」が見えず不安になり、並行して別の事務所や紹介先に相談を始めます。結果として、申請そのものは進められたはずの案件を、入口の段階で取りこぼしてしまうのです。
この流れを断ち切るには、債務超過が判明した時点で「誰に、何を、どの順番で依頼するか」をあらかじめ決めておくことに尽きます。企業評価書の作成先を事前に確保しておけば、依頼者への回答は即座にできます。
このまま何もしなければ何が起きるか

企業評価書が用意できないまま申請準備を進めると、何が起きるでしょうか。まず、審査に必要な書類が揃わず、申請そのものが止まります。依頼者は「早く外国人材を受け入れたい」という切実な事情を抱えていることが多く、待たせるほど不信感が募ります。
次に起きるのが、依頼者の離脱です。在留資格の相談から評価書の手配まで、他の事務所や専門家に一括で相談できる先へ乗り換えられてしまうことがあります。せっかく築いた信頼関係が、たった一つの書類のために失われてしまうのは、事務所にとっても依頼者にとっても不幸なことです。
さらに、こうした事情は業界内で伝わりやすいものです。「あの事務所は債務超過の案件を断る」という評判が立てば、紹介による新規相談も減っていきます。育成就労制度は2027年4月に施行が予定されており、技能実習からの移行に伴って財務状況の確認を求められる場面は、今後さらに増えていくと見られます。今のうちに連携の体制を整えておくことが、先生の事務所の将来の受任機会を左右します。
外国人材の受入れが多いのは、飲食料品製造業(惣菜製造工場、水産加工会社など)、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業(金属プレス加工会社、電子部品組立工場など)、建設業(型枠工事会社、内装仕上げ工事会社など)、介護業(特別養護老人ホーム、有料老人ホームなど)といった業種です。これらの業種は原材料費や人件費の高騰の影響を受けやすく、直近決算が赤字・債務超過になっている依頼者も珍しくありません。つまり、企業評価書が必要になる案件は、特定の業種に偏ることなく、貴所の日常業務のなかで繰り返し発生し得るということです。
特に、依頼者が製造業や建設業のように受注状況の波が大きい業種の場合、一時的な赤字と構造的な債務超過を区別して説明できるかどうかが、審査官の心証を左右します。この説明を裏付けるのが企業評価書であり、行政書士事務所・税理士事務所だけで用意しようとすると、この点でつまずきやすいのです。
受任機会の逸失が事務所経営に与える影響
1件の案件を取りこぼすことは、単発の売上機会を失うだけにとどまりません。外国人材の受入れは、多くの依頼者にとって単年で終わる話ではなく、翌年以降の在留資格更新、追加人員の受入れ、監理支援機関とのやり取りなど、継続的な関与が発生する業務です。入口の1件を逃すということは、その先に続く継続受任の可能性も同時に失うことを意味します。
さらに、依頼者は自社の状況を複数の専門家に相談していることが多く、最初に的確な回答を示した事務所が選ばれる傾向にあります。「対応できるかどうか分からない」という回答は、それ自体が離脱の引き金になり得ます。だからこそ、債務超過の案件に対する回答を事前に準備しておくことが、事務所経営の安定にも直結します。
企業評価書を中小企業診断士と連携して用意するという選択肢

そこで選択肢になるのが、中小企業診断士による企業評価書の作成支援を、貴所の在留資格申請業務と組み合わせる方法です。役割分担はシンプルです。貴所は在留資格の申請手続きを担い、KICKコンサルティングは財務分析と改善見通しの評価書面の作成を担います。
具体的な流れは次のとおりです。まず依頼者の直近決算書と事業の状況をKICKが確認し、債務超過に至った背景(原価高騰、設備投資、一時的な特別損失など)を整理します。次に、今後の改善見通しを、数値と具体策の両面から評価書面に落とし込みます。この工程は中小企業診断士としての専門性が問われる部分であり、貴所が自所で対応する必要はありません。
評価書が完成したら、貴所が在留資格申請の一部としてOTIT・出入国在留管理庁への提出書類に組み込みます。相談から評価書の受け渡しまで、貴所の実務負担は「依頼者の情報をつなぐ」ことに留まります。財務分析そのものに時間を割く必要がないため、本来の在留資格申請業務に集中できます。
連携の流れを4つのステップで整理する
- 情報共有:貴所から依頼者の直近決算書・事業概要をKICKへ共有する
- 財務分析:KICKの中小企業診断士が債務超過の背景と改善余地を分析する
- 評価書面の作成:改善見通しを数値と具体策の両面から企業評価書としてまとめる
- 申請書類への組み込み:貴所が評価書を含めて在留資格申請の書類一式を整える
この4ステップのうち、貴所が直接手を動かすのは1番目と4番目だけです。財務分析と評価書面の作成という、最も専門性が問われる部分をKICKが担うことで、貴所は本来の申請実務に専念できます。
また、育成就労制度への移行を見据えると、財務状況の確認が求められる場面は今後も一定数続くと見込まれます。連携先をあらかじめ確保しておくことは、目先の案件対応だけでなく、事務所としての中長期的な受任基盤づくりにもつながります。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。連携や契約の義務はありません。依頼者・顧問先との関係はそのまま維持されます。在留資格の申請は貴所、企業評価書の作成はKICKという役割分担です。
先生の事務所が手に入れる未来

企業評価書の連携先を持つことで、先生の事務所にはどのような変化が訪れるでしょうか。三つの軸で具体的に描いてみます。
面談の雰囲気が変わる
依頼者から「決算が債務超過で」と切り出された瞬間に、「大丈夫です、財務評価は連携先の中小企業診断士が担当します」と即答できます。依頼者の不安な表情が和らぎ、面談の空気そのものが前向きに変わります。
受任と時間にゆとりが生まれる
これまで断っていた、あるいは対応に迷っていた案件を受任できるようになります。財務分析にかかる時間はKICKが担うため、貴所の職員が慣れない決算書の読み解きに時間を割く必要がなくなります。空いた時間は、在留資格申請の本来業務や新規相談の対応に充てられます。
また、依頼者から「企業評価書はどこに頼めばいいのか」と急に問い合わせが来ても、慌てて探し回る必要がなくなります。連携先が決まっていることで、案件の受任から完了までの見通しが立てやすくなり、事務所全体のスケジュール管理も安定します。
依頼者・周囲からの信頼が高まる
「あの事務所は債務超過の案件でも相談に乗ってくれる」という評判は、既存の依頼者からの継続受任、そして紹介につながります。行政書士会や税理士会の勉強会などで、他の先生から連携先を尋ねられる立場になることも珍しくありません。
特に、依頼者が製造業や建設業のように、決算状況の波が大きい業種であるほど、財務面の相談に応えられる事務所への信頼は厚くなります。単発の在留資格申請だけでなく、翌年以降の更新手続きや、別の外国人材受入れの相談まで、継続的に任せてもらえる関係が築けます。この安心感と信頼を、依頼者とともに共に手に入れましょう。
自所だけで抱える限界と、中小企業診断士との連携

財務分析や企業評価書の作成は、本来、中小企業診断士や公認会計士が長年の実務で培う専門性です。行政書士事務所・税理士事務所が独自に対応しようとすると、専門外の判断リスクを負うことになり、時間もかかります。だからこそ、認定経営革新等支援機関の中小企業診断士と連携する事務所が増えています。
KICKコンサルティング株式会社は、代表・松本昌史(MBA(経営管理修士)/中小企業診断士/事業承継士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)/金融検定協会「中小企業事業再生マネージャー」認定)のもと、認定経営革新等支援機関として法人支援実績150社以上を積み重ねてきました。全国オンライン対応のため、来社の必要はありません。
財務分析の専門性に加えて、依頼者の業種特性(飲食料品製造業、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、建設業、介護業など、外国人材の受入れが多い業種)を踏まえた評価書面の作成にも対応しています。業種ごとに赤字・債務超過に至る背景は異なるため、原価高騰なのか、設備投資による一時的な要因なのか、受注の波によるものなのかを丁寧に見極めたうえで、改善見通しを組み立てます。費用については依頼者の状況によって異なるため、詳細はサービスページにてご確認ください。
貴所が対応すること・KICKが対応すること
| 項目 | 担当 |
|---|---|
| 在留資格の申請手続き・依頼者との窓口 | 貴所(行政書士事務所・税理士事務所) |
| 財務分析・改善見通しの評価書面作成 | KICKコンサルティング(中小企業診断士) |
| 依頼者との継続的な信頼関係の維持 | 貴所(変わらず維持されます) |
連携しても、依頼者との関係が貴所からKICKに移ることはありません。在留資格の相談窓口はあくまで貴所であり、KICKは財務評価という専門領域だけを担う黒子の立場です。
財務分析の手法としては、損益分岐点分析などの管理会計の考え方を用いて、依頼者の収益構造のどこに改善余地があるかを具体的に示します。単に「今後改善する見込みです」と抽象的に書くのではなく、数値の裏付けを伴った評価書面に仕上げることが、審査官への説得力につながります。この専門性の部分こそ、貴所が自所で抱え込む必要のないところです。
詳しくは企業評価書作成支援サービスのページでご確認ください。
よくある質問

Q. 依頼者や顧問先を奪われることはありませんか
A. ありません。KICKが担うのは財務分析と企業評価書の作成のみです。在留資格の相談窓口は貴所のままで、依頼者との関係もそのまま維持されます。
Q. 企業評価書は誰が作成できるのですか
A. 中小企業診断士または公認会計士に限られます。行政書士・税理士は在留資格申請・税務の専門家ですが、企業評価書の作成資格は持ちません。
Q. 貴所(行政書士事務所・税理士事務所)側の実務負担はどの程度ですか
A. 依頼者の決算書などの情報をKICKにつなぐことが中心です。財務分析そのものはKICKが担当するため、貴所が新たに専門知識を習得する必要はありません。
Q. 依頼者が債務超過でも、受入れは可能ですか
A. 可能です。改善見通しに関する評価書面を用意できれば、審査に必要な書類要件を満たせます。ただし改善見通しの内容には裏付けが必要なため、早めの相談をおすすめします。
Q. 育成就労制度に移行しても対応してもらえますか
A. はい。育成就労制度は2027年4月に施行が予定されており、技能実習からの移行に伴う財務状況の確認にも対応できる体制を整えています。
Q. 企業評価書の作成にはどのくらいの期間がかかりますか
A. 依頼者の資料が揃うタイミングによって異なります。案件ごとの見通しについては、まずご相談ください。
Q. 全国どこからでも相談できますか
A. はい。KICKコンサルティングは全国オンライン対応のため、来社の必要はありません。
Q. 決算書のほかに何を準備すればよいですか
A. 直近の決算書に加え、債務超過に至った背景や今後の改善策に関する情報があると、評価書面の作成がスムーズになります。詳細はご相談時にご案内します。
Q. 顧問税理士がいる案件でも、行政書士事務所単独で連携を依頼できますか
A. 可能です。顧問税理士がいる場合はその情報も共有いただくと、財務状況の把握がより正確になります。
Q. 業種によって対応できないことはありますか
A. 飲食料品製造業、建設業、介護業をはじめ、外国人材の受入れが多いさまざまな業種に対応しています。まずは依頼者の状況をお聞かせください。
Q. 一時的な赤字と構造的な債務超過は、評価書のうえで区別されますか
A. はい。原価高騰や設備投資による一時的な要因なのか、構造的な課題によるものなのかを分析したうえで、改善見通しを組み立てます。この区別が審査官への説明の説得力を左右します。
Q. 費用はどのくらいかかりますか
A. 依頼者の状況によって異なるため、具体的な金額はサービスページにてご確認ください。
ここまで、債務超過の依頼者に対して受任機会を逃さないための考え方をお伝えしてきました。財務評価という専門外の壁を越えられずにいる案件は、今この瞬間にも先生の事務所に眠っているかもしれません。1つの案件からでも、連携をお試しいただけます。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。連携や契約の義務はありません。依頼者・顧問先との関係はそのまま維持されます。在留資格の申請は貴所、企業評価書の作成はKICKという役割分担です。
まとめ
依頼者の決算が債務超過であることは、受任を諦める理由にはなりません。必要なのは、企業評価書を作成できる中小企業診断士との連携です。在留資格の申請は貴所、財務評価はKICKという役割分担があれば、依頼者を待たせることなく、これまで見送っていた案件にも応えられます。
育成就労制度への移行が近づく今こそ、連携の体制を整えるタイミングです。財務評価という専門外の壁を、貴所おひとりで抱える必要はありません。先生の事務所が、依頼者にとって「在留資格まわりなら何でも相談できる存在」になることを願っています。







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