
「売上はそこそこあるのに、なぜか利益が残らない」「最低賃金が上がるたびに人件費だけが膨らんでいく」——飲食店を経営されている方なら、一度はこう感じたことがあるのではないでしょうか。原材料費や水道光熱費の高騰に加え、最低賃金の引き上げが続き、気づけば決算は赤字、貸借対照表は債務超過という飲食店が増えています。そうした状態で外国人材(特定技能・技能実習)の受入れを検討すると、審査の壁として立ちはだかるのが「企業評価書」です。
結論から言えば、債務超過であっても、中小企業診断士による客観的な企業評価書があれば受入れの道は残されています。ただし、誰にどう依頼すればよいのか、何を準備すればよいのか分からず、二の足を踏んでいる経営者・総務担当の方が少なくありません。
この記事はこんな方におすすめです
- 人件費高騰で赤字が続き資金繰りが不安な方
- 最低賃金の引き上げで利益が残らない飲食店経営者の方
- 特定技能で人手不足を解消したいが審査が不安な方
- 企業評価書を誰に頼めばいいか分からない方
- 債務超過でも外国人材の受入れを諦めたくない方
このまま人件費率の高さを放置すると、赤字が固定化し、金融機関からの評価も下がり続けます。しかし、原因を正しく分解し、客観的な改善見通しを示すことができれば、状況は変えられます。
この記事で分かること
- 飲食店が人件費高騰で赤字化する本質的な原因
- 債務超過でも特定技能を受入れられる仕組み
- 企業評価書に必要な4つの条件
- 中小企業診断士に依頼する具体的な流れ
- 受入れ後に会社が得られる未来
筆者はMBA(経営管理修士)・中小企業診断士として、法人支援実績150社以上のKICKコンサルティング株式会社(銀座本社)代表を務めています。管理会計を用いた伴走支援の視点から、飲食店経営者・総務担当の方に向けて、実務レベルで分かりやすく解説します。「決算書は毎年見ているが、どこから手をつければいいのか分からない」という状態のまま時間だけが過ぎている飲食店を、これまで数多く見てきました。まずは現状を正しく把握するところから、一緒に整理していきましょう。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは現状をお聞かせください。
飲食店が人件費高騰で赤字化する構造と、放置したときに起きること

飲食店の決算が赤字に転じる背景には、単なる「不景気」では片づけられない構造的な要因があります。売上が横ばい、あるいは微増していても利益が残らない飲食店には、共通する3つの原因があります。
なぜ外食業は特に影響を受けやすいのか
製造業であれば設備投資による省人化で人件費上昇を一定程度吸収できますが、外食業は接客・調理を機械に置き換えにくく、労働集約型の構造からすぐには抜け出せません。加えて、原材料の多くを海外からの輸入に依存しているメニューも多く、為替や国際情勢の影響を受けやすい業種でもあります。人件費と原材料費の両方が外部要因で動くため、他業種以上に価格戦略と原価管理の精度が問われます。
原因1.人件費率の急上昇を売上でカバーできていない
最低賃金は全国的に引き上げが続いており、特に人手不足が深刻なホール・厨房スタッフの時給は市場価格として上昇圧力を受けています。価格改定を先送りにしたまま人件費だけが上がる状態が続くと、売上高人件費率は年々悪化し、粗利のほとんどが人件費に消えてしまいます。
原因2.原材料費・水道光熱費も同時に上昇し粗利率が圧迫されている
人件費だけでなく、食材の仕入価格や水道光熱費も同時に上昇しているのが、いまの飲食業界の厳しさです。複数のコストが同時多発的に上がる局面では、値上げのタイミングを逃すと利益が一気に消えるため、原価管理と価格戦略を一体で見直す必要があります。
原因3.管理会計が整っておらず、店舗別・部門別の採算が見えないまま放置している
複数店舗を運営している場合、どの店舗が利益を生み、どの店舗が足を引っ張っているのかを可視化できていないケースが目立ちます。全社の合算決算だけを見ていると、赤字店舗の存在に気づくのが遅れ、対策も後手に回ります。売上ではなく利益が重要という視点を、店舗単位まで落とし込めているかが分かれ目です。
| 原因 | 具体的に起きていること | 放置した場合のリスク |
|---|---|---|
| 人件費率の急上昇 | 最低賃金上昇+採用コスト増で人件費だけが先行して膨張 | 粗利を圧迫し続け、慢性的な赤字体質になる |
| 原材料費・光熱費の高騰 | 値上げの先送りにより原価率が悪化 | 営業利益がさらに縮小し、資金繰りが逼迫する |
| 管理会計の未整備 | 店舗別・部門別の採算が見えない | 不採算店舗の存在に気づかず、債務超過が進行する |
この状態を放置した場合、何が起きるでしょうか。東京商工リサーチの調査によれば、2025年の飲食業倒産は1,002件に達し、1996年以降で初めて年間1,000件を超えました。うち「物価高」を主因とする倒産は136件で前年比126.6%増、「人手不足」を主因とする倒産は55件で同161.9%増と、いずれも急増しています。帝国データバンクの調査でも、飲食店の倒産は資本金1,000万円未満の小・零細規模に集中していると報告されており、体力のある大手ではなく、地域の中小飲食店ほど影響を受けやすい構図が浮き彫りになっています。人件費高騰と人手不足が同時に進行する飲食業界では、対策の先送りが致命傷になりやすいのが実情です。
放置した場合の悪化シナリオ
人件費率の悪化に手を打たないまま半年が経過すると、粗利のほとんどが人件費と原材料費に消え、月次のキャッシュフローがマイナスに転じます。さらに1年が経過すると、運転資金を借入で補う状態が常態化し、金融機関からは追加融資の際に「返済原資が見えない」と判断されやすくなります。ここまで進行してしまうと、外国人材の受入れ審査においても「改善の見通しが立たない企業」と評価されるリスクが高まります。赤字の初期段階で原因を分解し、改善計画として言語化できるかどうかが、その後の選択肢の広さを大きく左右します。
債務超過でも特定技能を受入れる4つの条件

債務超過に陥った飲食店であっても、正しい手順を踏めば特定技能・技能実習の受入れは可能です。ここでは、企業評価書を軸にした実務レベルの4つの条件を手順化して解説します。
- 条件1.決算書の実態を可視化する 全社合算ではなく、店舗別・部門別の管理会計を整え、どこで利益が出て、どこで赤字が発生しているかを数字で把握します。
- 条件2.人件費率と粗利率の改善計画の骨子を作る 値上げの時期・幅、シフト最適化、仕入見直しなど、具体的な改善アクションを数値目標とともに整理します。
- 条件3.中小企業診断士による企業評価書を取得する 債務超過の状態から、改善計画が実現可能であることを、第三者の専門家が客観的な視点で評価した書面を作成します。
- 条件4.改善計画を実行しながら受入れ手続きを進める 企業評価書の提出とあわせて、在留資格の申請サポートや受入れ体制の整備を並行して進めます。
| 条件 | 目的 | 具体的なアクション |
|---|---|---|
| 条件1.実態の可視化 | 赤字・債務超過の原因箇所を特定する | 店舗別・部門別の損益を月次で集計する |
| 条件2.改善計画の骨子づくり | 実現可能な数値目標を設定する | 人件費率・原価率の目標値と達成時期を決める |
| 条件3.企業評価書の取得 | 改善見通しを客観的に証明する | 中小企業診断士に決算データと改善計画を提示する |
| 条件4.手続きの並行実施 | 受入れ時期の遅れを防ぐ | 企業評価書の提出と在留資格の申請サポートを並行させる |
4つの条件はどれも単独では機能しません。実態の可視化なくして、実現可能な改善計画は作れません。そして、実現可能性の裏付けがない改善計画は、企業評価書として第三者の評価に耐えられません。順番を飛ばして「とにかく評価書だけ先に欲しい」という依頼は、結果的に審査で差し戻される原因になりやすいため注意が必要です。
特に多店舗展開している飲食店では、条件1の「実態の可視化」に想像以上の時間がかかることがあります。店舗ごとに会計処理の粒度がばらついていたり、本部経費の按分方法が曖昧だったりすると、正確な店舗別損益が見えません。まず着手すべきは、決算書を細かく分解して、赤字の発生源を店舗単位まで特定することです。ここを丁寧に行うほど、続く改善計画と企業評価書の説得力が高まります。
企業評価書とは何か
企業評価書とは、直近決算が債務超過にある企業について、経営改善の見通しを第三者の専門家が客観的に評価した書面です。外国人技能実習機構(OTIT)へ提出する書類の別紙②-1・番号20に位置づけられ、技能実習では中小企業診断士または公認会計士、特定技能では中小企業診断士・公認会計士・税理士のいずれかが作成できるとされています。ただし税理士には企業評価に関する専門領域がないため、実務上は中小企業診断士や公認会計士に依頼するのが一般的です。
「誰に頼めばいいか分からない」「自社の決算で書けるのか不安」という初めての方こそ、まずは現状の決算を専門家に見せることから始めるのが近道です。特定技能・技能実習の企業評価書作成支援では、決算内容の読み解きから改善計画の骨子づくりまで伴走します。
改善計画に説得力を持たせる視点
審査官が企業評価書で確認したいのは「本当にこの会社は立て直せるのか」という一点に尽きます。抽象的な「頑張ります」という宣言ではなく、人件費率を何パーセントまで下げるのか、いつまでに達成するのか、そのために何を実行するのかという具体性が説得力を左右します。値上げのタイミングと幅、シフト最適化によるコスト削減、不採算メニューの見直しなど、実行可能な打ち手を数値と時期にひも付けて記載することが、企業評価書の質を高める最大のポイントです。
お断りいただいても費用は一切かかりません。決算内容を拝見したうえで、率直な見通しをお伝えします。
企業評価書を通して手に入る未来

企業評価書の作成は、単に受入れ審査を通過するための書類作業ではありません。その過程で得られるものは、3つの軸で具体的に描くことができます。
数字の軸
店舗別・部門別の採算が可視化されることで、人件費率や粗利率の改善目標が明確になります。「どの曜日・どの時間帯の人員配置が過剰なのか」「どのメニューの原価率が利益を圧迫しているのか」が数字で見えるようになれば、値上げやシフト見直しの判断にも根拠が生まれます。改善計画を実行し続けることで、赤字体質から脱却し、営業利益が安定して残る構造に近づきます。
時間の軸
採用難に人手を割かれ続ける状態から抜け出し、特定技能人材によって現場が安定すれば、経営者は採用活動ではなく本業の立て直しに時間を使えるようになります。求人広告への出稿や面接対応に追われる時間が減れば、その分をメニュー開発や店舗の付加価値づくりに振り向けられます。2027年4月に施行予定の育成就労制度への移行も、早い段階から準備を進めた企業ほどスムーズです。
関係性の軸
改善計画に基づいて経営を進めることは、金融機関との関係にも良い影響を与えます。債務者区分の改善につながる可能性があり、外国人材との信頼関係、地域社会との関係も含めて、会社を支える土台が強くなります。数字に基づいた対話ができる経営者は、金融機関からも従業員からも信頼されやすくなります。人件費高騰という共通の敵に、数字と計画で立ち向かう体制を、共に手に入れましょう。
自社だけで進める限界と、KICKコンサルティングの支援

ここまで読んで「自社でもできそうだ」と感じた方もいるかもしれません。ただし、実際に企業評価書の作成と改善計画の実行を自社だけで進めるには、いくつかの壁があります。
専門性の壁
企業評価書は誰でも作成できる書類ではありません。中小企業診断士・公認会計士など、公的な資格を持つ第三者が、財務分析の専門知識に基づいて作成する必要があります。自己流の計画書では、審査官に「客観性がない」と判断されるリスクがあります。
時間コストの壁
日々の店舗運営に追われる経営者・総務担当の方が、決算書の読み解きから改善計画の数値設計まで自力で行うのは、現実的に大きな負担です。書類の不備で審査が長引けば、人手不足はさらに深刻化します。
判断ミスのリスク
甘い見通しで改善計画を作成すると、審査で不備を指摘され、再提出のために受入れ時期が遅れることがあります。最初から実現可能性の高い計画を、客観的な立場で設計できるかどうかが、受入れのスピードを左右します。
だからこそ、専門家に任せる経営者が増えています。KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、法人支援実績150社以上、認定経営革新等支援機関として、管理会計を活用した伴走支援を行っています。決算書の実態把握から企業評価書の作成、改善計画の実行支援まで、一気通貫でサポートします。「申請さえ通ればいい」という発想ではなく、企業評価書の作成そのものが、赤字体質を見直す経営改善のきっかけになるという考え方で伴走するのがKICKの支援スタンスです。飲食店特有の店舗別採算管理や、原価率・人件費率のベンチマーク比較にも対応し、受入れ後も改善計画が形骸化しないよう継続的にフォローします。企業評価書を提出して終わりにせず、その後も定期的に数値を振り返り、計画とのズレを早期に修正していく伴走が、赤字体質からの脱却を確実にします。企業評価書の作成にとどまらず、資金繰り管理や銀行交渉の同席まで含めて対応できるのが、単発の書類作成だけを請け負う専門家との違いです。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。1社ごとに時間をかけて向き合うため、月あたりのご相談数には限りがあります。まずは現状をお聞かせください。
よくある質問

Q.企業評価書とは、具体的にどのような書類ですか。
A.直近決算が債務超過にある企業について、経営改善の見通しが実現可能であることを、中小企業診断士などの第三者専門家が客観的な視点で評価した書面です。外国人技能実習機構(OTIT)への提出書類の一部に位置づけられています。
Q.税理士に企業評価書を頼んでもよいのですか。
A.特定技能では制度上、税理士も作成者として挙げられていますが、企業評価という専門領域は税理士の本来業務ではありません。財務分析・経営改善計画の専門家である中小企業診断士や公認会計士に依頼するのが実務上は一般的です。
Q.飲食店(外食業)でも特定技能の対象になりますか。
A.外食業は特定技能制度の対象分野のひとつです。人手不足が深刻な業種として、ホール・調理補助などの業務で外国人材の受入れが進んでいます。
Q.債務超過の状態でも受入れは可能ですか。
A.直近決算が債務超過であっても、改善見通しに関する企業評価書を提出することで、受入れが認められる可能性があります。重要なのは、改善計画に実現可能性があることです。
Q.企業評価書はどのタイミングで必要になりますか。
A.在留資格の申請にあわせて、OTIT提出書類の一部として求められます。決算が確定した段階で、早めに専門家へ相談しておくと、申請スケジュールに余裕を持たせられます。
Q.育成就労制度になると、対応は変わりますか。
A.2027年4月に施行が予定されている育成就労制度でも、債務超過企業に対する改善見通しの評価という基本的な考え方は引き継がれる見込みです。制度が変わっても「客観的な根拠を持って改善を示せる企業かどうか」が問われる点は共通するため、早い段階から管理会計を整えておくことが、制度移行後の対応力にもつながります。
Q.企業評価書は何を根拠に作成されますか。
A.直近数期分の決算書、資金繰りの状況、店舗別・部門別の採算、今後の改善アクションと数値計画など、実際の経営データに基づいて作成します。架空の数字や根拠のない見通しは記載できません。決算書の数字だけでなく、経営者へのヒアリングを通じて、値上げや業態転換など今後の具体的な打ち手を確認したうえで評価書に反映します。
Q.依頼から受け取りまで、どのくらいの期間がかかりますか。
A.決算内容の複雑さや店舗数によって前後します。まずは決算書を確認したうえで、おおよその見通しをお伝えしています。
Q.一度作成した企業評価書は、翌年以降も使い回せますか。
A.企業評価書は直近決算の状況に基づいて作成するため、決算期が変わるごとに改めて評価を受ける必要があります。改善計画の進捗を反映させることで、次の評価も受けやすくなります。
Q.複数店舗を運営していますが、店舗ごとに評価が必要ですか。
A.企業評価書は法人単位で作成しますが、店舗別・部門別の採算状況は改善計画の説得力を高める重要な材料になります。多店舗展開している場合ほど、店舗別損益の整理から着手することをおすすめしています。
Q.相談だけでも対応してもらえますか。
A.はい。決算の状況を拝見したうえで、受入れの可能性や必要な準備について、契約前の段階でお伝えしています。
まとめ

人件費高騰は、飲食店経営者にとって避けて通れない現実です。しかし、赤字や債務超過は「もう手遅れ」を意味するわけではありません。店舗別の採算を可視化し、実現可能な改善計画を客観的な企業評価書として示すことができれば、特定技能人材の受入れという選択肢は残されています。大切なのは、赤字の原因を人手不足や物価高といった「外部要因」だけのせいにせず、自社の数字として引き受け、改善のアクションに落とし込むことです。人手不足を人手不足のまま放置するのではなく、数字に基づいた改善計画と専門家の評価によって、次の一手を整理してみませんか。
ご相談いただいても、売り込みは一切ありません。その場でのご契約や、しつこい営業もありません。お断りいただいて構いません。まずは決算の現状をお聞かせください。
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