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資材高騰で決算が傷んだ建設業ほど、特定技能の入り口で足止めされる現実

鉄筋や生コンの値札を見るたびにため息が出る、そんな経営者が増えています。国土交通省の建設工事費デフレーターは2026年3月時点で135.4となり、資材・労務・経費を合わせた工事コスト全体は約35%膨らみました。日本建設業連合会の資料でも、資材価格は2021年比で平均39%高騰し、建設コスト全体は最大32%上昇したと示されています。
日本銀行の企業物価指数(2020年平均を100とした指数)で品目別に見ると、値動きの山がそれぞれ異なることが分かります。
| 品目 | 2020年比 | 傾向 |
|---|---|---|
| セメント | +66% | 2025年後半に再上昇、過去最高水準で高止まり |
| 生コンクリート | +57% | 段階的に上昇を続け、足元が最高値 |
| 小形棒鋼(鉄筋) | +49%(ピーク時) | 2023年7月をピークに緩やかに反落 |
出典 日本銀行「企業物価指数」品目別、2026年2月時点
木材や鉄筋の高騰を経験した記憶が強い経営者ほど、その後にコンクリート系が主役になって上昇した局面で見積りを低く見積もってしまいがちです。決算の赤字は、多くの場合こうした外部要因の積み重ねによるものであり、経営努力の欠如を意味するものではありません。
公共工事設計労務単価も2025年度は24,852円と、2021年度比で22.9%引き上げられています。売上が同じでも、原価だけが先に膨張する。多くの建設業がこの構造の中で、気づけば決算書に債務超過の文字が並んでいます。
そこに追い打ちをかけるのが人手不足です。国土交通省の集計では建設業就業者数は1997年の685万人をピークに減少を続け、55歳以上が約36%を占める一方、29歳以下は約11%にとどまります。技能実習や特定技能で外国人材を受け入れたいと考えるのは、ごく自然な経営判断です。
厄介なのは、赤字の原因が資材高騰という自社の努力ではどうにもならない外部要因であるにもかかわらず、審査の場では決算書という数字だけで判断されてしまうことです。銀行や監理団体との力関係の中で、経営者一人が孤立して説明を尽くさなければならない場面も少なくありません。この構図に立ち向かうには、資材高騰という共通の敵に対して、経営の実態を正しく翻訳してくれる専門家の存在が欠かせません。
ところが、いざ申請の段になって直近事業年度が債務超過だと分かり、外国人技能実習機構(OTIT)や国土交通省の窓口から追加書類を求められる。この記事は、そこで足を止めている建設業の経営者に向けて書きました。
結論、債務超過を越える企業評価書という解決策
先に結論をお伝えします。直近事業年度に債務超過があっても、それだけで特定技能や技能実習の受け入れが不可能になるわけではありません。中小企業診断士や公認会計士など、企業評価を行う能力を持つと認められる公的資格者が作成した第三者評価書を添えることで、審査の土俵に立てます。
ただし、その評価書には決まった型があります。次章から、建設業特有の3つの必須要件と、実際の作成手順を解説します。
直近事業年度の債務超過が特定技能・技能実習の審査を止める理由

外国人技能実習機構が定める第三者評価の根拠
技能実習計画認定申請では、外国人技能実習機構(OTIT)の提出書類一覧・確認表(別紙②-1)の番号20において、法人が直近の事業年度で債務超過にある場合、中小企業診断士・公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格者が改善の見通しについて評価した書類の提出を求めると定められています。
ここで注意したいのは、税理士は対象資格に含まれていないという点です。決算をいつも見てもらっている税理士に相談しても、この評価書は作成できません。制度上、企業評価を行う能力を有すると認められた公的資格者に限定されているためです。
あわせて確認されるのが、直近2事業年度分の貸借対照表と損益計算書です。年度が変わるたびに最新の決算内容へ更新して提出する必要があり、過去に提出済みだからといって前回の書類をそのまま流用することはできません。決算のたびに評価書の内容も見直す前提で準備を進めておくと、次の更新時にも慌てずに済みます。
特定技能の受け入れでも同様に、財務状況や事業継続力を裏付ける資料の充実度が審査の通過率を左右します。特定技能の建設分野では、国全体で5年間76,000人という受入見込数が設定され、受け入れる外国人技能実習生と特定技能1号の合計人数が自社の常勤職員数を超えないという上乗せ基準も課されています。枠が限られている以上、書類の完成度で差がつく時代になっています。
国土交通省の集計では、建設分野で活躍する外国人技能者の在留者数は約14.6万人で、全建設技能者数の約4.9%を占めます。在留資格別では技能実習が最多で、2024年時点で約11万人にのぼります。人手不足という共通の課題を抱える建設業にとって、外国人材の受け入れはもはや一部の企業だけの取り組みではなく、業界全体の生命線になりつつあります。だからこそ、決算書1枚の弱点で受け入れを諦めるのはあまりに惜しいことです。
なお、2027年4月には技能実習に代わる育成就労制度への移行が予定されています。制度移行の詳細な運用は今後順次示される見込みですが、財務状況の健全性を裏付ける書類の重要性という基本的な考え方は、移行後も大きくは変わらないとみられます。現時点で評価書の型を整えておくことは、制度移行後を見据えても無駄になりません。
評価書を整えないまま放置した場合に起こる3つの悪化シナリオ
| 段階 | 起こること |
|---|---|
| 承認の遅延・却下 | 技能実習計画や受入計画が認定されず、計画そのものの見直しと再提出を迫られる |
| 事業計画の崩壊 | 予定していた人材が確保できず、現場の稼働や工期に遅れが生じる |
| 信頼の喪失 | 監理団体や送出機関、採用予定だった技能実習生・特定技能人材からの信用が下がり、次の採用活動にも影を落とす |
資材価格の高止まりが続く局面では、赤字要因を放置すればするほど、翌期の決算でも同じ壁にぶつかります。人手不足で工期が延び、資材の追加発注でさらに原価が膨らむという悪循環に入る前に、評価書の準備を進めておくことが得策です。
特に懸念すべきは、審査官への説明が後手に回るほど、次の決算期でも同じ資料を一から作り直す羽目になることです。OTITの基準では、年度が変わった場合は最新の書類の再提出が求められるため、一度評価書の型を整えておけば、翌期以降の更新作業もスムーズになります。逆に言えば、初回の準備を丁寧に行うことが、その後の申請コストを下げることにもつながります。
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中小企業診断士が決算書3期分から赤字の本質を見極めます
建設業の企業評価書に必須の3要件と作成の実務フロー

必須要件① 資材高騰など一時的な赤字要因の明確な切り分け
審査官が最初に見るのは、赤字が構造的な経営不振によるものか、それとも一時的な外部要因によるものかという点です。セメント・生コンの高騰、型枠用合板の価格変動、大型工事の受注に伴う一時的な材料先行仕入れなど、原価上昇の内訳を数字で切り分けて示す必要があります。
ここを感覚的な説明で済ませてしまうと、審査官には「経営努力で改善できない慢性的な赤字」と受け取られかねません。原価率の推移を期ごとに並べ、どの品目がどれだけ利益を圧迫したのかを可視化することが出発点です。改正建設業法により、資材高騰等の「おそれ情報」を発注者に通知し、契約後に価格転嫁や工期の変更協議を申し入れられる仕組みも整いました。こうした制度的な後ろ盾があることも、赤字の外部要因性を裏付ける材料になります。
必須要件② 受注残高と今後の案件見通しに基づく売上計画
次に問われるのが、この先も事業を継続できるだけの受注が見込めるかどうかです。現時点で契約済みの受注残高、着工予定の案件、継続的な取引先との関係を根拠に、今後1〜3年の売上計画を積み上げます。抽象的な右肩上がりの予測ではなく、案件名や契約時期を裏付けとした計画であるほど説得力が増します。
公共工事中心か民間工事中心かによっても、示すべき裏付けは変わります。公共工事であれば入札結果や契約済み案件の一覧、民間工事であれば元請けとの継続取引の実績や見積り依頼の頻度が、受注残高の信頼性を補強する材料になります。
必須要件③ 人材確保による工期遅延回避と利益率改善の道筋
3つ目は、外国人材を受け入れること自体が経営改善につながるという論理です。人手不足による工期遅延は、追加の外注費や違約リスクを生み、利益率をさらに悪化させます。逆に言えば、必要な人員を確保できれば、工期を守り、無理な外注を減らし、利益率を段階的に回復できるという道筋を示せます。
公共工事設計労務単価は2011年の13,047円から2025年の24,852円まで、14年連続で上昇してきました。労務費が上がり続ける環境だからこそ、外部への応援要請や重層下請けに頼るコスト構造から、自社の技能人材で工事を完結できる体制へ移行することが、利益率改善の具体的な道筋として評価されやすくなります。
この3要件が噛み合って初めて、審査官は「一時的な赤字であり、改善の見通しが立っている」と判断できます。
4ステップで整える企業評価書作成の実務フロー
- ステップ1 資料提出直近2〜3期分の決算書と、資材高騰・受注状況が分かる資料を用意する
- ステップ2 ヒアリング赤字の背景や今後の受注見通しを、オンラインで専門家に説明する
- ステップ3 評価書作成ヒアリング内容をもとに、審査基準に沿った改善見通しの評価書を作成する
- ステップ4 納品OTITや国土交通省への提出書類として使える形式で受け取る
この一連の設計を担うのが企業評価書作成の専門支援サービスです。決算書とヒアリングだけで、審査基準に適合した書面へと組み立てます。
評価書の中身では、自己資本比率の推移や営業キャッシュフローがプラスであるかどうかといった財務指標を用いて、資金繰りの実態を客観的に示します。単年度の赤字だけを切り取るのではなく、複数期の決算を並べて傾向を見せることで、審査官が改善の方向性を判断しやすくなります。特定技能の建設分野では、建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録や、建設技能人材機構(JAC)への加入といった業界特有の要件も並行して確認しておく必要があります。
企業評価書を整えた先にある具体的な未来
評価書を整えるということは、単に書類を1枚増やす作業ではありません。1つ目に、赤字の原因が資材高騰という外部要因であることを対外的に説明できるようになり、金融機関や監理団体との会話が変わります。数字の裏付けをもって説明できる経営者は、それだけで信用を得やすくなります。
2つ目に、受注残高に基づいた売上計画を自ら数値化することで、経営者自身が来期の見通しを具体的に語れるようになります。感覚で語っていた将来像が、案件名や契約時期という具体的な言葉に変わります。3つ目に、必要な人材を確保できることで、工期遅延による追加コストが減り、利益率が着実に改善していきます。無理な外注や重層下請けに頼らずに済む体制は、現場の負担も軽くします。決算書の1枚の弱点を、次の成長の起点に変える。その未来を共に手に入れましょう。
自社だけで評価書を作るのが難しい理由とKICKコンサルティングの専門支援

ここまで読んで、3つの必須要件を自社の決算内容に当てはめてみようとした方もいるかもしれません。実際にやってみると、資材高騰の影響額を品目別に切り分ける作業だけでも、経理担当者が本業の合間で仕上げるには相当な時間がかかることに気づくはずです。
中小企業診断士・公認会計士以外は評価書を作成できない制度上の理由
すでに触れた通り、OTITの基準では企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格者に評価書の作成主体が限定されています。顧問税理士がいくら決算内容に詳しくても、この要件は満たせません。加えて、審査官がどこを重視するかという実務知識がなければ、書類を作っても差し戻しの対象になりかねません。
資材高騰の背景説明、受注残高の裏付け、人員計画と利益率改善の論理。この3つを審査基準に沿って一本の文章に組み立てるには、財務分析と制度理解の両方が必要です。経営者や経理担当者が本業と並行して手探りで仕上げるには、負担が大きすぎる作業と言えます。
| 比較項目 | 自社で作成 | 専門家に依頼 |
|---|---|---|
| 債務超過時のOTIT要件 | 不可(第三者評価が必要) | 公的資格者が作成するため充足 |
| 経営陣の作業負担 | 重い(手探りでの作成) | 決算書提出とヒアリングのみ |
| 審査基準への適合度 | 審査基準の理解不足で差し戻しの懸念 | 建設業特有の事情を踏まえて作成 |
KICKコンサルティングが建設業の経営者から選ばれる理由
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、経済産業大臣登録の中小企業診断士である代表松本昌史が、企業評価書の作成に直接対応します。松本は経営管理修士(MBA)に加え、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一般社団法人金融検定協会認定の中小企業事業再生マネージャーの資格を持ち、これまで150社以上の法人を支援してきました。KICKコンサルティングは中小企業庁の認定経営革新等支援機関でもあります。
群馬県高崎市や茨城県など、建設業からの企業評価書作成支援の依頼を多く受けてきた実績があり、資材高騰による一時的な赤字と、慢性的な経営不振の違いを審査官目線で見極めた上で評価書を組み立てます。
建設業の現場では、OTITからの追加提出要求が急に届くことも珍しくありません。KICKコンサルティングはオンライン完結型のヒアリング体制で全国対応しており、大至急の案件にも柔軟に対応してきました。決算書とヒアリング情報から現状を的確に反映するため、経営者側の手間や時間の負担を最小限に抑えられる点も、繰り返し依頼をいただいている理由の一つです。
ご相談から納品までの流れとリスクリバーサル
お申込みはWebフォーム、公式LINE、お電話のいずれからでも可能です。決算書をご用意いただければ、オンラインヒアリングを経て、大至急の場合は最短1営業日での納品にも対応します。ご相談いただいた段階での強引な勧誘は一切ありません。まずは決算書の状態を診断士の目で見てもらう、その一歩からで構いません。
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よくある質問と、特定技能受け入れを成功させるためのまとめ

- 直近事業年度が債務超過でも特定技能外国人を受け入れられますか
- 公的資格者による第三者評価書を添付すれば、審査の対象になります。債務超過そのものが一律の不許可事由ではありません。資材高騰など赤字の背景を数字で説明できるかどうかが重要になります。
- 企業評価書は税理士に依頼してもよいですか
- OTITの基準上、税理士は評価書の作成主体として認められていません。中小企業診断士や公認会計士など、企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格者への依頼が必要です。顧問税理士とは別に依頼先を確保しておく必要があります。
- 評価書の作成にはどのくらいの期間がかかりますか
- 決算書とヒアリング内容が揃っていれば、大至急の場合で最短1営業日から対応可能です。通常は2〜3営業日を見込んでください。OTITから急な追加提出を求められた場合も、スケジュールに応じて相談できます。
- 直近2期とも債務超過の場合でも対応できますか
- 資材高騰など外部要因による一時的な赤字であることを裏付ける資料があれば対応可能です。まずは決算内容をご相談ください。単年度の数字だけでなく、複数期の推移を見ながら判断します。
- 特定技能と技能実習で評価書の内容は変わりますか
- 基本となる財務分析と改善見通しの考え方は共通していますが、提出先の制度趣旨に合わせて記載の重点を調整します。特定技能建設分野では、常勤職員数との人数バランスにも触れることがあります。
- 2027年に始まる育成就労制度でも同様の書類は必要になりますか
- 制度移行に伴う詳細は今後順次示される見込みですが、財務状況の健全性を示す書類が求められる方向性は変わらないと考えられます。最新情報は都度ご確認ください。
- 建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録も手伝ってもらえますか
- CCUSの登録手続きそのものは業務範囲外ですが、企業評価書の作成と並行して、審査で確認されやすいポイントについて助言することは可能です。
- KICKコンサルティングは在留資格の申請そのものを代行してくれますか
- いいえ、KICKコンサルティングの業務範囲は企業評価書の作成、財務分析、申請サポートに限定されます。申請書類の提出自体は、申請者ご自身または委任を受けた専門家が行います。
- 相談すると必ず契約しないといけませんか
- いいえ、相談段階での契約義務はありません。決算内容を確認したうえで、必要かどうかをご判断いただけます。
- 建設業以外の業種でも対応してもらえますか
- 宿泊業、製造業、運輸業、介護施設など、幅広い業種での企業評価書作成支援の実績があります。
- 相談は何回でも無料ですか
- 初回のご相談は無料です。毎月のご相談枠には限りがあり、先着3社限定で受け付けています。
まとめ
資材高騰が原因の赤字は、経営の実力そのものを表すものではありません。大切なのは、その赤字を審査官が納得できる形で説明し、受注残高と人材確保による改善の道筋を数字で示すことです。3つの必須要件を満たした企業評価書があれば、債務超過は特定技能受け入れの終着点ではなく、通過点になります。
決算書を前に立ち止まっている時間が長くなるほど、人手不足による工期への影響は積み重なっていきます。資材高騰という外部要因に振り回されるだけの経営から、財務の実態を自ら説明できる経営へ。その第一歩を、専門家と一緒に踏み出してみてください。
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