【内装業向け】入管の企業評価書の書き方と通過戦略|債務超過でも許可を得るポイントを診断士が解説


「入管から企業評価書を出してくださいと言われた。何をどう書けばいいのか分からない」──こうしたご相談が、ここ1〜2年で急激に増えています。特に多いのが、内装仕上工事業を営む経営者の方々からのお問い合わせです。

外国人技能実習や特定技能の制度を活用して人材を確保しようとした矢先、決算書を確認した監理団体や登録支援機関から「債務超過なので企業評価書が必要です」と告げられ、途方に暮れる──そんなケースが後を絶ちません。

放置すれば、在留資格の更新が不許可になり、既存の外国人スタッフも就労できなくなります。現場は回らなくなり、受注した工事にも影響が出ます。つまり、企業評価書の問題は「書類の問題」ではなく「事業存続の問題」なのです。

本記事では、中小企業診断士(経済産業大臣登録)として120社超の経営支援実績を持つ筆者が、内装業に特化した企業評価書の実務と通過戦略を、具体的な数値や事例を交えて徹底解説いたします。

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入管から企業評価書を求められた内装業の経営者が、今すぐ知るべきこと

Yahoo!知恵袋やSNSには、次のような声があふれています。

監理団体から突然、企業評価書を出せと言われた。提出期限は2週間。どこに頼めばいいのか
「赤字が続いているが、外国人の職人がいないと現場が回らない。不許可になったらどうすればいいのか」
「税理士に相談したが、企業評価書は専門外だと断られた」

これらはすべて、実際に寄せられる典型的なご相談内容です。共通しているのは、「問題が発覚してから動き出している」という点にあります。

外国人技能実習機構(OTIT)の運用要領では、直近の事業年度で債務超過がある場合、中小企業診断士または公認会計士等による企業評価書の提出が必要と明記されています(技能実習制度運用要領 別紙2)。特定技能においても同様に、出入国在留管理庁(入管)が財務状況に懸念を持った場合、事業継続性を証明する書類の提出を求めます。

 

ここで重要なのは、「提出期限が短い」ということです。入管や機構から指定される提出期限は2〜4週間程度であることが多く、決算書の準備・専門家への依頼・ヒアリング・評価書の作成をこの短期間で完了させなければなりません。事前準備なしでは間に合わないケースも珍しくないのです。

なぜ内装業は「債務超過・赤字」に陥りやすいのか

内装業が財務的に厳しくなりやすい背景には、この業界特有の構造的な問題が存在します。

外注依存構造と利益率の低さ

日本政策金融公庫が公表している「業種別経営指標」によると、内装工事業の外注費対完成工事高比率は約35〜36%に達しています。つまり、売上の3分の1以上が外注費として流出している構造です。粗利益率(完成工事高総利益率)も約35.4%にとどまり、そこから人件費(約24〜25%)や諸経費を差し引くと、売上高経常利益率はわずか2.6〜2.9%という薄利体質が浮き彫りになります。

 

資材価格の高騰と価格転嫁の困難さ

帝国データバンクの調査によると、2025年の建設業倒産は前年比6.9%増の2,021件と、過去10年で最多を記録しました。4年連続の増加です。この背景には、人件費の急騰・建材価格の上昇・工期の延長といったコストアップ要因が重なり、価格転嫁率は建設業全体で43.7%と全業種平均(44.9%)を下回っている現実があります。

特に内装工事を含む「職別工事業」の倒産は879件(2024年)にのぼり、とび工事・塗装工事・内装工事などの労働集約型業種で顕著な増加が見られます。

 

人手不足と「2024年問題」の影響

2024年4月から建設業にも適用された残業時間の上限規制(いわゆる2024年問題)により、人手不足を直接原因とする倒産は113件(2025年)と前年の99件から増加しました。経営者の高齢化も深刻で、建設業の社長平均年齢は60.3歳(帝国データバンク調べ・2025年3月時点)に達しています。

内装業は元請ではなく二次・三次下請として稼働するケースが多く、工期の調整権限も限られます。繁忙期に職人を確保できなければ外注に頼らざるを得ず、結果として利益がさらに圧縮される──こうした悪循環が、債務超過や赤字の原因となっているのです。

入管が見ているのは「黒字かどうか」ではない

多くの経営者が「赤字だから不許可になるのでは」と不安を抱えています。しかし、入管の審査基準は「今、黒字かどうか」ではありません。

審査の本質は「事業継続性」

法務省が公表している「外国人経営者の在留資格基準の明確化」では、審査の焦点は「事業の継続性」にあると明記されています。具体的には、次の点が重視されます。

・債務超過に至った原因が合理的に説明できるか
・今後1年以内に債務超過が解消される見通しがあるか
・事業を安定的に継続できる収益構造が示されているか

つまり、「現在赤字である」こと自体は不許可の決定打にはなりません。重要なのは、「なぜそうなったのか」「どう立て直すのか」を、数字と根拠をもって説明できるかです。

誤解されやすい3つのポイント

誤解①「債務超過=即アウト」
出入国在留管理庁は、債務超過であることだけをもって不許可とはしていません。改善の見通しを第三者の専門家が評価した書面があれば、許可が下りた実例は多数存在します。

誤解②「売上が伸びていればOK」
売上が伸びていても、外注費や材料費の増大で赤字が拡大しているケースがあります。入管が見るのは売上ではなく、利益構造と資金繰りの健全性です。

誤解③「2期連続赤字でも大丈夫」
直近2期連続で売上総利益がゼロまたはマイナスの場合、入管基準上「通常の企業活動を行っているとは認められない」と判断され、企業評価書を提出しても覆りにくくなります。これは最も注意すべきラインです。

内装業が企業評価書で「事業継続性あり」と評価される3つのポイント

受注残高──「売上が確定している」という最大の根拠

内装業の強みは、受注残高が可視化しやすいことです。ゼネコンやデベロッパーからの発注書・契約書があれば、それは「将来の売上が確定している」ことの証明になります。受注残高が半年分〜1年分あれば、事業継続性の根拠として極めて有力です。

たとえば、年商1億2,000万円の内装業者が受注残高6,000万円を保有している場合、向こう半年間の売上はほぼ確保されていると評価できます。これを企業評価書に具体的な金額・工事名・発注元とともに記載することで、説得力が格段に高まります。

内製化による利益改善──外注依存からの脱却

前述のとおり、内装業の外注費比率は約35〜36%です。ここに手を打ち、外注工事の一部を自社施工に切り替えることで、利益率は大幅に改善できます。

たとえば、外注費比率を36%から28%に8ポイント下げた場合、年商1億円の企業なら約800万円の利益改善が見込めます。この「内製化計画」を評価書に盛り込むことで、改善の実現可能性を具体的に示すことができます。

外国人材確保の合理性──「なぜ外国人が必要なのか」の説明

企業評価書において見落とされがちなのが、「なぜ外国人材が必要なのか」という合理性の説明です。単に「人手不足だから」では不十分です。

「内装仕上工事は手作業が中心であり、機械化が困難な工程が多い。国内の求人倍率は高止まりしており、特に地方では日本人の応募がほぼゼロの状況が続いている。外国人材の受け入れによって施工体制を安定させ、自社施工比率を高めることが利益改善に直結する」──このように、経営改善計画と人材計画を一体で語ることが、審査通過の鍵となります。

企業評価書に記載すべき5つの構成要素

企業評価書には決まったフォーマットはありませんが、審査を通過するために盛り込むべき要素は明確です。

構成要素記載すべき内容
事業概要設立年・業種・主要取引先・施工実績・従業員数・外国人雇用状況
財務分析直近3期の損益推移・債務超過額の推移・キャッシュフロー分析・債務超過の原因分析
改善計画固定費削減策・内製化計画・受注戦略・人材確保策(外国人材活用を含む)
収支予測向こう3〜5年の売上・原価・利益予測・債務超過解消の時期と根拠
結論中小企業診断士としての評価(事業継続性の有無)・改善見通しの総括

特に重要なのは、数値の一貫性です。財務分析で示した課題が改善計画に反映され、それが収支予測の数字と矛盾なく繋がっている必要があります。「ストーリーとしての整合性」が欠けた評価書は、入管の審査官に「机上の空論」と判断されるリスクがあります。

通らない企業評価書の3つの特徴

抽象的な表現に終始している

「経営改善に努めてまいります」「今後は収益性の向上を図ります」──こうした抽象的な文言だけの評価書は、ほぼ確実に不許可になります。入管が求めているのは意気込みではなく、「何を・いつまでに・どれだけ改善するのか」という具体的な数値と行動計画です。

数値の根拠が示されていない

「売上は来期20%増加する見込み」と書いても、その根拠がなければ説得力はゼロです。受注一覧・契約書・見積書など、裏付けとなるエビデンスを添付し、「なぜその数字が達成できるのか」を論理的に説明する必要があります。

「過去→現在→未来」のストーリーがない

なぜ債務超過になったのか(過去)、今どのような状況にあるのか(現在)、どのように改善していくのか(未来)──この3つが一本の線でつながっていない評価書は、審査官にとって「読みにくく、信頼できない」書類になります。

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実務で「通る」評価書を作るために必要な3つの資料

資金繰り表(月次・最低12ヶ月分)

入管審査において、資金繰り表は「この会社が向こう1年間、資金ショートしない」ことを示す最重要資料です。月ごとの入金予定・支払予定・借入返済額を一覧化し、キャッシュの推移が可視化された状態が理想です。

受注一覧(確定案件・見込案件を分離)

受注残高は、「確定」と「見込」を明確に分けて記載します。確定案件には契約書や発注書を添付し、見込案件にはその根拠(過去の取引実績・商談状況など)を付記します。こうすることで、収支予測の信頼性が格段に向上します。

経営改善計画書(アクションプラン付き)

「何を」「いつまでに」「誰が」「どのように」実行するのかを明記した改善計画書が必要です。たとえば、「2026年9月までに外注費比率を現在の36%から30%に引き下げる。具体的には、内装仕上職人2名の採用(うち1名は特定技能外国人)と、クロス貼り工程の自社施工への切替を実施する」──このレベルの具体性が求められます。

なぜ中小企業診断士に依頼すべきなのか

企業評価書を作成できるのは、技能実習制度においては中小企業診断士または公認会計士、特定技能においてはこれに税理士が加わります。しかし、単に「資格を持っている」だけでは、通る評価書は作れません。

経営の「現場」を知っている第三者評価

中小企業診断士は、財務分析だけでなく事業戦略・マーケティング・人材管理・資金調達まで横断的に診断できる唯一の国家資格です。建設業の現場の実態を理解し、経営改善計画と企業評価書を一体的に作成できる点が、他の士業との決定的な違いです。

金融機関対応との整合性

企業評価書の内容は、金融機関に提出している経営改善計画やリスケジュール(返済条件変更)の内容と整合している必要があります。ここに矛盾があると、入管だけでなく金融機関からの信頼も失いかねません。中小企業診断士は、金融機関との協議経験も豊富であり、両者を矛盾なく設計できます。

認定経営革新等支援機関としての信頼性

KICKコンサルティング株式会社は、経済産業省認定の「認定経営革新等支援機関」です。国が認めた経営支援の専門機関として、企業評価書の作成においても高い信頼性を提供いたします。

よくある質問(Q&A)

赤字でも企業評価書を出せば在留資格は認められますか?

赤字であること自体は不許可の要件ではありません。ただし、赤字の原因が合理的に説明でき、改善の見通しが具体的に示されていることが条件です。特に売上総利益がマイナス(原価割れ)の状態が2期連続している場合は、事業の継続性を認められにくくなるため、早急な経営改善が必要です。

債務超過の額が大きい場合、受け入れは不可能ですか?

債務超過額の大小だけで判断されるわけではありません。重要なのは、債務超過が計画的に解消される見通しがあるかどうかです。たとえば、代表者からの借入金が多い場合、それを資本に振り替えることで実質的に債務超過が解消されるケースもあります。個別の状況に応じた評価が可能です。

企業評価書の作成にはどれくらいの期間がかかりますか?

KICKコンサルティングでは、必要書類が揃っていれば最短1日での納品も可能です。通常は3〜5営業日程度をいただいております。決算書(直近3期分)をご用意のうえ、早めにご相談いただくことをお勧めいたします。

費用はどのくらいかかりますか?

KICKコンサルティングでは98,000円(税抜)〜で対応しております。業界相場(5万〜15万円程度)の範囲内で、経営改善計画まで含めた実務レベルの評価書を作成いたします。まずは無料相談で、貴社の状況をお聞かせください。

全国どこからでも依頼できますか?

はい、全国対応しております。Zoom・Teamsによるオンライン面談で完結するため、ご来社いただく必要はございません。北海道から沖縄まで、全国の内装業・建設業の経営者さまからご依頼をいただいております。

まとめ──企業評価書は「守り」ではなく「攻め」の経営ツール

企業評価書と聞くと、「入管に怒られたから仕方なく作る書類」と思われるかもしれません。しかし実際には、企業評価書の作成プロセスそのものが、自社の経営課題を洗い出し、改善の道筋を立てる絶好の機会です。

債務超過や赤字は、正しい分析と計画があれば必ず改善できます。2025年の建設業倒産2,021件という厳しいデータは、裏を返せば「きちんと手を打てば生き残れる」ということでもあります。

入管審査を通過するためだけでなく、自社の未来を描くための第一歩として、企業評価書の作成に取り組んでいただきたいと考えております。

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松本

KICKコンサルティング株式会社 代表取締役
中小企業診断士(経済産業大臣登録)/MBA(経営管理修士)/1級FP技能士/事業再生マネージャー
認定経営革新等支援機関|M&A支援機関登録

支援実績120社超。建設業・製造業を中心に、事業再生(V字回復)・企業評価書作成を手がける。不採算店舗のV字回復を実現した実務経験を持つ。

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