
工場を建てると、建物は減価償却で何十年もかけて費用化するもの。これは多くの経営者が当然の前提として受け入れてきた考え方です。その前提が、令和8年度税制改正で創設された大胆な投資促進税制(特定生産性向上設備等投資促進税制)によって動きました。経済産業大臣の確認を受けた投資計画であれば、建物を含めた設備投資について即時償却または税額控除を選択できるという設計です。
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)は、この制度の確認申請に向けた申請サポートサービスの提供を開始しました。サービス詳細ページを公開しましたので、ご案内いたします。
このお知らせの要点
- 令和8年度税制改正での新設制度
- 中小企業者等は投資額5億円以上が対象ライン
- 建物1,000万円以上も対象となる点が最大の特徴
- 年平均の投資利益率15%以上という計画要件
- 令和7年12月26日以降の意思決定という基準日
- 申請受付は2026年7月31日に開始済み
- 確認期限は令和11年3月31日まで
- KICKは計画策定と事前準備を支援(申請代行は実施せず)
新サービス提供開始の背景
当社には、製造業・建設業・食品加工業の経営者から「工場の建て替えを検討しているが、投資判断の決め手が欲しい」というご相談が継続的に寄せられてきました。これまで設備投資に関する税制優遇の中心は中小企業経営強化税制でしたが、同制度は原則として建物が対象外です。工場新設や倉庫の建設といった、投資額の過半を建物が占める案件では、税制優遇の効果が限定的でした。
大胆な投資促進税制は、この構造に正面から手を入れた制度です。経済産業省は制度の趣旨として、大規模で高付加価値な国内投資の促進を掲げています。建物を含む一体的な投資に対し、即時償却または税額控除という選択肢が用意されました。
一方で、制度を使うための条件は決して緩くありません。投資利益率15%以上という計画要件、令和7年12月26日以降という意思決定の基準日、パートナーシップ構築宣言の公表、そして公認会計士または税理士による事前確認書。これらを揃えたうえで経済産業局へ確認申請を行う必要があります。制度の存在を知った時点で設備を取得してしまっていると、そもそも適用できません。
この「知ってから動くのでは遅い」という制度特性が、今回のサービス提供開始の直接的な動機です。
相談料無料/全国オンライン対応/秘密厳守
大胆な投資促進税制の制度概要
正式名称は特定生産性向上設備等投資促進税制。産業競争力強化法に基づき、経済産業大臣が特定生産性向上設備等投資計画を確認する仕組みです。確認を受けた日から5年の間に設備投資を実行すれば、建物を含めた設備について即時償却または税額控除の適用が可能になります。
経済産業省は2026年7月31日に申請受付を開始し、全国9つの経済産業局で確認申請を受け付けています。確認申請の期限は令和11年3月31日です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠法 | 産業競争力強化法 |
| 確認主体 | 経済産業大臣(窓口は本社所在地を管轄する経済産業局) |
| 申請受付開始 | 2026年7月31日 |
| 確認申請の期限 | 令和11年3月31日 |
| 設備取得の期間 | 確認を受けた日から5年以内 |
| 申請方法 | 原則WEB申請(GビズフォームによるGビズID利用) |
| 標準処理期間 | 申請から確認書発行まで概ね30日程度(休日・補正期間を除く) |
中小企業者等は5億円という投資下限額
本制度には投資下限額が設定されています。原則は35億円以上ですが、中小企業者等については5億円以上に緩和されています。中小企業者等の主な範囲は、資本金1億円以下の法人(大規模法人の傘下でないもの)、資本を有しない法人で常時使用する従業員数1,000人以下のもの、常時使用する従業員数1,000人以下の個人などです。
5億円という水準は、年商10億円規模の製造業が工場を1棟建て替えるケースを想定すると、決して手の届かない数字ではありません。土地代を除く建物本体、生産ラインの機械装置、生産管理システムのソフトウエアを合算していくと、5億円のラインに到達する案件は現実に存在します。「うちは中小企業だから関係ない」と判断する前に、投資総額を積み上げて確認する価値があります。
対象設備と税制措置の一覧
対象となる設備の種類ごとに、取得価額の基準と税額控除率が定められています。即時償却との選択制です。
| 設備の種類 | 取得価額の基準 | 税制措置 |
|---|---|---|
| 機械装置 | 160万円以上 | 即時償却 または 税額控除7% |
| 工具・器具備品 | 120万円以上 | 即時償却 または 税額控除7% |
| ソフトウエア | 70万円以上 | 即時償却 または 税額控除7% |
| 建物 | 1,000万円以上 | 即時償却 または 税額控除4% |
| 建物附属設備・構築物 | 120万円以上 | 即時償却 または 税額控除4% |
税額控除を選択する場合、控除額はその事業年度の法人税額の20%が上限です。また取得価額の判定単位については申請要領に細かな定めがあるため、個別案件ごとの確認が必要になります。
なお、建物のみの投資は対象外です。中古資産と貸付用の設備も対象から除かれます。
中小企業経営強化税制との違い
設備投資の税制優遇として広く使われてきた中小企業経営強化税制と比較すると、本制度の位置づけがはっきりします。
| 比較項目 | 大胆な投資促進税制 | 中小企業経営強化税制 |
|---|---|---|
| 投資規模 | 中小企業者等は5億円以上 | 下限額の定めなし |
| 建物の扱い | 対象 | 原則対象外 |
| 計画の確認者 | 経済産業大臣 | 事業分野を所管する主務大臣 |
| 設備取得の期間 | 確認日から5年以内 | 令和10年3月31日まで |
| 収益性の要件 | 年平均の投資利益率15%以上 | 類型ごとに異なる(生産性向上・収益力強化等) |
重要な注意点として、投資計画の期間中は、中小企業経営強化税制・地域未来投資促進税制・カーボンニュートラル投資促進税制の適用ができません(繰越控除を除く)。どちらが自社にとって有利かは、投資の中身とタイミングを並べたうえで判断する必要があります。建物比率の高い大型投資なら本制度、機械装置中心で投資額が5億円に届かないなら経営強化税制、という切り分けが出発点になります。
関連サービス|経営力向上計画の策定支援(中小企業経営強化税制)
適用を左右する3つの関門
投資利益率15%以上の根拠づくり
本制度の中核となる要件が、年平均の投資利益率15%以上という見込みです。計算式は「営業利益と減価償却費の増加額の合計」を「特定生産性向上設備等の取得価額」で割ったもの。経済産業省は投資利益率の計算シートを公開しており、申請時にはこの適合状況を示す必要があります。
この15%という水準を、希望的観測ではなく積算で説明できるかどうかが第一の関門です。生産能力の増加量、想定稼働率、単位あたり粗利、人件費削減効果といった要素を分解し、前提条件ごとに根拠資料を揃える作業になります。
令和7年12月26日という意思決定の基準日
投資計画は、取締役会等の適切な機関の意思決定に基づくものであることが求められます。そのうえで、意思決定は令和7年12月26日以降である必要があります。
同日より前に意思決定していた投資計画については、同日以降に変更の意思決定を行い、当初投資計画と比べて150%以上に投資額が増加していることが条件とされています。既に動き始めている案件ほど、議事録の記載内容を早期に点検すべき理由がここにあります。
パートナーシップ構築宣言の公表
中小受託事業者との適切な関係構築の方針を宣言し、それを公表していることを示す書類の提出が求められます。宣言の作成だけでなく、公表まで完了していることが要件です。着手から公表までに一定の日数を要するため、確認申請のスケジュールから逆算した準備が欠かせません。
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確認申請から税務申告までの流れ
ステップ1 投資計画の意思決定
取締役会等で投資計画を決議。本税制の活用を前提とする旨を議事録に記載。
ステップ2 投資利益率の算定と資料整備
計算シートを用いた投資利益率の算定、資金調達手段の整理、パートナーシップ構築宣言の公表。
ステップ3 公認会計士または税理士による事前確認
確認申請書と裏付け資料に齟齬がないかを確認し、事前確認書の発行を受ける。
ステップ4 経済産業局への確認申請
GビズフォームからWEB申請。確認書発行まで概ね30日程度。
ステップ5 設備の取得と事業供用
確認を受けた日から5年以内に取得し、事業の用に供する。
ステップ6 適合証明の取得と税務申告
適合証明申請書を提出し適合証明書の交付を受け、確認書とあわせて申告に添付。
つまずきやすい落とし穴
- 確認前の設備取得 経済産業大臣の確認を受ける前に取得した設備は対象外
- 基準日より前の意思決定 令和7年12月26日より前の決議のみでは要件を満たさない可能性
- 他の投資促進税制との併用 計画期間中は経営強化税制等が使えなくなる設計
- パートナーシップ構築宣言の未公表 作成のみで公表していない状態は要件未充足
- 投資利益率15%の根拠不足 事前確認を担う公認会計士・税理士が説明できる資料が必要
- 建物単独の投資 建物のみの投資と中古資産・貸付用設備は対象外
- 税額控除の上限 法人税額の20%という枠を超える部分は当期に使えない
なお、投資計画の進捗については必要に応じて実施状況の報告を求められます。投資利益率15%に届かなかった場合の罰則は設けられていない一方、虚偽の計画については社名公表などの対応が予定されています。通る計画ではなく、実行できる計画を作ることが本質です。
KICKコンサルティングの支援範囲
当社は経済産業大臣登録の中小企業診断士および認定経営革新等支援機関として、投資計画の設計と事前準備を支援します。中小企業診断士は申請代行を行うことができません。申請書の作成・提出は企業自身が実施し、当社は資料の整備と論点整理を通じた申請サポートに徹します。
| 当社が支援する領域 | 支援しない領域 |
|---|---|
| 該当可能性の確認(初回無料) 投資計画・収益計画の策定 投資利益率15%の根拠づくり 社内意思決定資料の整備 パートナーシップ構築宣言の準備 顧問税理士向け説明資料の作成 経済産業局への事前相談サポート 確認後のフォローと適合証明対応 | 申請書の作成・提出(企業が実施) 事前確認書の発行(公認会計士・税理士が実施) 個別の税額試算(顧問税理士が実施) |
顧問税理士との役割分担
本制度で特徴的なのが、公認会計士または税理士による事前確認書が必須である点です。ここで「今の顧問税理士では対応できないのでは」というご不安を抱く経営者が少なくありません。
当社の基本姿勢は、長年会社を見てきた顧問税理士にそのまま事前確認をお願いできる状態を作ることです。投資利益率の算定根拠、議事録の記載、資金調達の裏付けといった資料一式を当社が整え、必要に応じて説明の場にも同席します。顧問税理士を替える必要はありません。
活用が想定されるケース
- 製造業の工場新設 建物と生産ラインを一体で整備し、投資総額が5億円を超える案件
- 食品加工業の衛生基準対応 HACCP対応の新工場と製造設備の同時導入
- 建設業の資材センター整備 倉庫棟の建設と搬送設備・管理システムの一体導入
- 物流拠点の集約 複数拠点を統合する新倉庫と自動化設備の導入
- 老朽化工場の建て替え 既存設備の更新にあわせた生産棟の刷新
共通しているのは、投資の中に建物が大きな比重で含まれている点です。これまで税制優遇の枠外に置かれていた部分に光が当たる、という理解が出発点になります。
スケジュールの目安
経済産業局での標準処理期間は概ね30日程度ですが、実際に必要な期間はその前段が大半を占めます。投資計画の策定、投資利益率の積算、社内の意思決定、パートナーシップ構築宣言の公表、公認会計士または税理士による事前確認。これらを積み上げると、設備取得の予定日から3か月以上の余裕を見ておくことが現実的です。
確認申請の期限は令和11年3月31日。まだ時間があるように見えますが、確認前に設備を取得してしまうと適用できないという制度設計上、動き出しの早さがそのまま適用可否を決めます。
よくあるご質問
Q. 中小企業でも本当に対象になりますか
中小企業者等に該当する場合、投資下限額は5億円以上に緩和されています。資本金1億円以下の法人などが対象範囲です。建物・機械装置・ソフトウエアを合算した投資総額で判定するため、工場新設案件では到達するケースがあります。
Q. 既に契約済みの設備投資でも対象になりますか
設備の取得前であれば可能性があります。ただし意思決定が令和7年12月26日以降であること、本税制の活用を前提とする投資として議事録に記載されていることが条件となります。個別の事情により判断が分かれるため、早期のご相談をおすすめします。
Q. 即時償却と税額控除はどちらが有利ですか
投資直後の資金繰りを重視するか、複数年にわたる税負担の平準化を重視するかで結論が変わります。また税額控除には法人税額の20%という上限があります。有利不利の判定は個別の損益計画に依存するため、顧問税理士による試算が前提となります。
Q. 中小企業経営強化税制と併用できますか
投資計画の期間中は併用できません。地域未来投資促進税制、カーボンニュートラル投資促進税制も同様です(繰越控除を除く)。どちらを選ぶかは投資の中身と規模から逆算して判断します。
Q. 投資利益率15%を達成できなかった場合はどうなりますか
未達そのものに対する罰則は設けられていません。ただし投資計画の進捗について実施状況の報告を求められる場合があり、虚偽の計画については社名公表などの対応が予定されています。
Q. 顧問税理士を替える必要はありますか
替える必要はありません。当社が資料を整え、必要に応じて説明の場に同席することで、現在の顧問税理士に事前確認をお願いできる状態を作ります。
Q. 全国どこからでも相談できますか
ZoomまたはTeamsによるオンライン相談に対応しており、全国の経営者からご相談をいただいています。確認申請自体も原則WEB申請のため、全段階をオンラインで進めることが可能です。
Q. 相談から確認書の取得まで、どのくらいかかりますか
経済産業局での手続きは概ね30日程度ですが、計画策定から社内の意思決定、事前確認までを含めると、設備取得の予定日から3か月以上の余裕を見込むことが理想的です。
オンライン対応/全国対応/秘密厳守
制度に関する公式の問い合わせ窓口
制度そのものの一般的なご質問については、経済産業省が設置する大胆な投資促進税制サポートセンター(電話 0570-093-930)が対応しています。確認申請の窓口は、本社所在地を管轄する全国9つの経済産業局です。経済産業省は申請前に管轄の経済産業局へ事前相談することを推奨しています。
当社にご相談いただく場合は、この事前相談の準備段階から伴走します。何を聞かれ、何を用意すべきかを整理したうえで臨むことで、やり取りの往復を減らすことができます。
まとめ
大胆な投資促進税制は、建物を含む大規模投資に即時償却または税額控除という選択肢をもたらす制度です。中小企業者等は投資額5億円以上が対象ラインとなり、年平均の投資利益率15%以上、令和7年12月26日以降の意思決定、パートナーシップ構築宣言の公表、公認会計士または税理士の事前確認という条件を揃えたうえで、経済産業局へ確認申請を行います。
最大の注意点は、経済産業大臣の確認を受ける前に設備を取得すると適用できないこと。そして確認書の発行までに概ね30日、その前段の準備を含めると3か月以上を見込むべきであることです。工場や倉庫の建設をご検討中であれば、着工前の今が判断のタイミングになります。
KICKコンサルティング株式会社は、製造業・建設業を中心に150社を超える支援実績を持つ中小企業診断士集団として、投資計画の設計から確認後の適合証明対応までを支援します。該当可能性の確認は無料です。
相談料無料/強引な営業なし/秘密厳守
サービス詳細|大胆な投資促進税制(特定生産性向上設備等投資計画)支援
この記事について
KICKコンサルティング株式会社(銀座本社)
保有資格・認定:中小企業診断士(経済産業大臣登録)/MBA(経営管理修士)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/認定経営革新等支援機関/M&A支援機関登録/事業再生マネージャー
本記事は経済産業省が公表する大胆な投資促進税制の制度資料および申請要領(2026年8月31日最終更新時点)に基づき作成しています。制度内容は今後変更される可能性があるため、最新情報は経済産業省の公表資料をご確認ください。個別の税務判断については顧問税理士にご相談ください。中小企業診断士は申請代行を行いません。







